JP5954285B2 - 絶縁被覆電線及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車等に配索される絶縁被覆電線及びその製造方法に関する。
絶縁被覆電線は、中心導体と、これを被覆する絶縁被覆と、を備える。このような絶縁被覆電線が自動車等に配索される場合、その配索場所に適した形状となるように適当な箇所で曲げられながら使用される。しかしながら、例えば互いに近接するバッテリ端子を接続する電線のように、大電流を流すために大きな径を与えられた電線では、絶縁被覆の剛性が高いために容易に曲げることができず、その配線作業が困難であるという課題を有している。
このような課題を解決するための手段として、特許文献1は、絶縁被覆電線の屈曲予定部の被覆材を除去することと、その被覆材を除去した部分をプロテクタの屈曲部に沿わせながら電線をプロテクタに装着することと、を含む方法を開示する。
特開平8−98368号公報
前記方法は、屈曲予定箇所における絶縁被覆を除去する作業と、その除去した箇所を当該電線とは別のプロテクタに装着する作業とを要する。これらの作業を配線現場で行うのは極めて面倒であり、配線作業の効率の向上は望めない。かかる不都合は、当該電線の曲げ予定箇所が多いほど深刻となる。
本発明の目的は、面倒な作業及び複雑な構造を要することなく適当な部位を曲げることが可能な絶縁被覆電線及び当該絶縁被覆電線を容易に製造することが可能な方法を提供することにある。
本発明が提供する絶縁被覆電線は、中心導体と、絶縁性を有する合成樹脂材料からなり、前記中心導体を被覆する絶縁被覆と、を備え、前記絶縁被覆は、その軸方向の一部の箇所に形成されて他の部分よりも曲げ剛性の低い曲げ補助部を有し、この曲げ補助部は複数の山部と、この山部の外径よりも小さい外径と当該山部の内径よりも小さな内径とを有する複数の谷部とが軸方向に交互に並ぶ形状を有し、前記曲げ補助部の複数の山部はそれぞれ中心導体の外周面から前記絶縁被覆電線の径方向の外側に離間するように膨出する一方、前記谷部のうちの少なくとも一部は、当該少なくとも一部の谷部が前記中心導体をその径方向の外側から拘束するように当該中心導体の外周面に全周にわたり接触することを可能にする内径を有するものである。
前記の曲げ補助部を有する絶縁被覆電線によれば、当該曲げ補助部に含まれる複数の山部の内周面が中心導体の外周面から径方向の外側に離間しているために、当該曲げ補助部に対応する箇所での絶縁被覆電線の曲げを容易にすることができる。すなわち、この絶縁被覆電線の曲げ易さは、当該絶縁被覆電線を構成する絶縁被覆そのものに形成された曲げ補助部の形状により与えられるので、従来のように当該絶縁被覆の一部を除去する作業やその除去した部位を当該絶縁被覆電線とは別の部材であるプロテクタに装着する作業は不要である。その一方、当該曲げ補助部に含まれる複数の谷部の少なくとも一部は前記中心導体の外周面にわたり接触することが可能な内径を有していて当該接触により前記中心導体をその径方向の外側から拘束するため、前記中心導体からの前記各山部の内周面の離間にかかわらず、曲げ補助部において当該中心導体が絶縁被覆に対して相対変位するのを抑止することができ、当該相対変位による不都合、例えば、当該中心導体が互いに束ねられた複数の素線からなる場合に当該素線がばらけるといった不都合、を回避することができる。
前記曲げ補助部は、これに含まれる全ての谷部の内径が、当該谷部が前記中心導体をその径方向の外側から拘束するように当該中心導体の外周面に全周にわたり接触することを可能にする径であることが、より好ましい。これにより、当該曲げ補助部における中心導体の径方向外側からの拘束がより確実となる。
また本発明が提供する方法は、前記絶縁被覆電線を製造するための方法であって、中心導体と絶縁性を有する熱可塑性樹脂材料からなって前記中心導体を被覆する絶縁被覆とを有する絶縁被覆電線素材を用意する工程と、前記絶縁被覆電線素材の軸方向の少なくとも一部の箇所の周囲に当該絶縁被覆電線素材の外周面に対して径方向外側に膨出する形状の膨出部と前記絶縁被覆電線素材の絶縁被覆の外周面と接触可能な内径をもつ接触部とが軸方向に交互に並ぶ凹凸内面を有する金型を配置する工程と、当該金型内において前記絶縁被覆を構成する熱可塑性樹脂材料を加熱して軟化させるとともに当該絶縁被覆の内側の圧力が前記金型内における当該絶縁被覆の外側の圧力よりも高くなるような圧力差を与えることにより、当該絶縁被覆に、前記金型の凹凸内面に沿った形状の曲げ補助部であって、前記中心導体の外周面から前記絶縁被覆電線の径方向の外側に離間するように膨出する複数の山部と、この山部の外径よりも小さい外径と当該山部の内径よりも小さな内径とを有する複数の谷部とが軸方向に交互に並ぶ形状を有し、かつ、前記谷部のうちの少なくとも一部の谷部の内径は、当該谷部が前記中心導体をその径方向の外側から拘束するように当該中心導体の外周面に全周にわたり接触することを可能にする径である曲げ補助部を形成する工程と、を含むものである。
ここで、「熱可塑性樹脂材料を加熱して軟化させる」とは、前記圧力差の付与により当該熱可塑性樹脂が膨張して前記金型の凹凸内面に沿う形状に変形可能となる程度まで軟化するように加熱することを意味し、その具体的な加熱温度は、当該熱可塑性樹脂の材質や厚みに応じて適宜設定されればよい。
この絶縁被覆電線の製造方法によれば、絶縁被覆電線素材の周囲に金型を配置して当該金型内で絶縁被覆を加熱しながらその内外に圧力差を与えるだけで、当該絶縁被覆に好適な曲げ補助部を形成することができる。この方法では、前記金型の内面の形状とこれにより得られる曲げ補助部の形状とが対応しているので、当該金型の内面の形状の設定により、好ましい形状の曲げ補助部を自由に形成することが、可能である。
前記金型内における絶縁被覆の内側の圧力と外側の圧力との間に圧力差を与えるには、当該金型内を排気して減圧してもよいし、当該絶縁被覆電線素材の少なくとも一方の端部から前記金型内で加熱している絶縁被覆の内側に空気等のガスを押し込んでもよい。前者の場合には、特別な加圧ガスを用いることなく所望の曲げ補助部を形成することができる。
以上のように、本発明によれば、面倒な作業及び複雑な構造を要することなく適当な部位を曲げることが可能な絶縁被覆電線及び当該絶縁被覆電線を容易に製造することが可能な方法が提供される。
本発明の実施の形態に係る絶縁被覆電線の要部を示す断面斜視図である。 前記絶縁被覆電線の要部を示す断面正面図である。 前記絶縁被覆電線の曲げ補助部を真空成形によって形成するための下金型及び上金型を当該絶縁被覆電線の周囲に配置した状態を示す斜視図である。 前記下金型及び上金型を前記絶縁被覆電線の周囲に配置した状態を示す断面正面図である。 前記下金型の平面図である。 前記下金型の接触部と前記絶縁被覆電線の絶縁被覆の外周面との接触部位を示す拡大断面正面図である。
本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1及び図2は、本発明に係る絶縁被覆電線Wを示す。この絶縁被覆電線Wは、中心導体10と、これを被覆する絶縁被覆20と、を備える。前記中心導体10は、高い導電性を有するものであればよく、例えば、銅などの良導電性金属材料からなる単一の素線または互いに束ねられた複数の素線により構成される。当該中心導体10が複数の素線を含む場合に、後述の効果はより有効となる。絶縁被覆20は、絶縁性を有する合成樹脂材料からなる。この絶縁被覆20の具体的な材質は特に限定されないが、後述のようにして絶縁被覆電線Wの製造を行うためには、熱可塑性樹脂であることが、好ましい。
この絶縁被覆電線Wの特徴として、前記絶縁被覆20は、その軸方向の一部の箇所に曲げ補助部24を有する。この曲げ補助部24は、絶縁被覆20のうちの当該曲げ補助部24以外の部分、すなわち当該絶縁被覆20の内周面が中心導体10の外周面に密着または略密着する通常径部分22よりも曲げ剛性を低くする形状を有する。
具体的に、この実施の形態に係る曲げ補助部24は、複数の大径部すなわち山部26と複数の小径部すなわち谷部28とが軸方向に交互に並ぶ形状、すなわち、いわゆる蛇腹状をなす。前記各山部26は、その内周面が前記中心導体10の外周面から径方向の外側に大きく離間するように当該径方向の外側に膨出する形状を有する。一方、前記各谷部28は、前記山部26の外径よりも小さい外径と、前記山部26の内径よりも小さい内径と、を有する。すなわち、この実施形態に係る曲げ補助部24は、その内径及び外径が軸方向について繰り返し増減する形状を有する。
さらに、この曲げ補助部24の特徴として、前記各谷部28の内周面28aが全周にわたって中心導体10の外周面に接触するように、当該谷部28の内径が設定されている。具体的に、この実施の形態に係る谷部28の内周面28aは、中心導体10の外周面に向かって凸となるような曲線状の断面形状を有しており、その内向きの凸の頂点部分すなわち最小径部分が前記中心導体10の外周面に接触している。
この絶縁被覆電線Wでは、曲げ補助部24における複数の山部26がそれぞれ中心導体10から径方向の外側に離間しているため、曲げ補助部24以外の通常径部分に比べ、小さな曲げ荷重で当該曲げ補助部24に対応する部分に曲げ変形を生じさせることができる。このことは、配線作業の容易化に寄与する。しかも、この絶縁被覆電線Wの曲げ易さは、当該絶縁被覆電線Wを構成する絶縁被覆20そのものに形成された曲げ補助部24の形状によって与えられるものなので、従来のように当該絶縁被覆の一部を除去する作業やその除去した部位を当該絶縁被覆電線とは別の部材であるプロテクタに装着する作業は不要である。従って、この絶縁被覆電線Wの配線のための作業は飛躍的に容易化される。
その一方、各谷部28の内側面が中心導体10の外周面に対して全周にわたり接触することにより、当該中心導体10を径方向の外側から拘束しているため、前記山部26が前記中心導体10の外周面から離間するように膨出しているにもかかわらず、当該中心導体10が絶縁被覆20の曲げ補助部24に対して径方向に相対変位することを抑止することができる。従って、例えば前記中心導体10が複数の素線からなる場合に、車の振動等に起因して当該素線がばらけるといった不都合を防ぐことが可能である。つまり、この曲げ補助部24の形状は、当該曲げ補助部24での絶縁被覆電線Wの曲げ易さの向上と、当該曲げ補助部24に対する中心導体10の径方向の相対変位の抑止と、を両立させることを可能にする。
本発明において、前記谷部28の内径は全て同一である必要はない。例えば、当該谷部28のうちの一部の内径が中心導体10の外径よりも大きくて当該谷部28の内周面が当該中心導体10の外周面から径方向の外側に離間していても、他の谷部28の内周面が当該中心導体10の外周面に接触していてこれを径方向外側から拘束することにより、当該中心導体10の絶縁被覆20に対する相対変位を抑止することが可能である。
また、谷部28の内周面の断面形状は、図示の内周面28aのように内向きに凸の曲線に限定されない。例えば、均一な内径を有する円筒状の内周面であってもよい。しかし、前記のような凸の曲線であってその頂点部分すなわち最小径部分が前記中心導体10に接触するものは、曲げ補助部24の十分な柔軟性(低い曲げ剛性)を確保しながら中心導体10を径方向の外側から効果的に拘束できる利点がある。
以上説明した絶縁被覆電線Wは、例えば以下の工程を含む方法により、合理的かつ容易に製造されることが可能である。
1)予備工程(絶縁被覆電線素材準備工程)
この工程では、前記の中心導体10と絶縁被覆20とを有する通常の(すなわち絶縁被覆20の肉厚及び径が均一の)絶縁被覆電線素材が準備される。この絶縁被覆電線素材は、通常の被覆電線と同様、例えば押出し成形によって生産されることが可能である。前記絶縁被覆20の材質としては、後の加熱状態での成形のために、絶縁性に加えて熱可塑性を有する樹脂が用いられる。具体的には、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、架橋ポリエチレン、エチレン−エチルアクリルレート共重合樹脂、サーモプラスチックポリウレタン共重合樹脂、塩化ビニルなど、が好適である。
2)金型配置工程及び曲げ補助部形成工程
これらの工程では、前記絶縁被覆電線素材の軸方向の少なくとも一部の箇所の周囲に、前記曲げ補助部24を形成するための金型が配置され、その状態で曲げ補助部24の形成が行われる。換言すれば、当該金型の内部に前記絶縁被覆電線素材の軸方向の少なくとも一部が配置され、当該金型の内部で前記曲げ補助部24の形成が行われる。この曲げ補助部24の形成は、当該曲げ補助部24の形成箇所における絶縁被覆20の内側の圧力と外側の圧力(すなわち金型内の圧力)との間に前者の圧力の方が高いような圧力差を与えることにより、行われる。このような圧力差を利用した曲げ補助部24の形成は、例えば、次の真空成形が好適である。
この真空成形は、絶縁被覆20の外側空間を減圧することにより前記圧力差を形成するものであり、例えば図3〜図6に示すような上金型30A及び下金型30B(図5は上金型30Aのみ、図6は下金型30Bのみ図示)の使用により、実現される。
上金型30A及び下金型30Bは、図3〜図6に示す絶縁被覆電線素材W′のうちの曲げ補助部形成部位及びその近傍部位のみを上下から挟みこむ形状を有する。具体的に、両金型30A,30Bの軸方向両端部は、前記絶縁被覆電線素材W′の外周面に対応する断面半円状の半割内周面32をそれぞれ有し、軸方向中央部分は、形成目標となる曲げ補助部24の外側面形状に対応した形状の凹凸内面34を有する。すなわち、この凹凸内面34は、前記山部26の外周面に対応した寸法で径方向の外向きに膨出する膨出部36と、前記谷部28の外周面に対応した内径を有する接触部38と、を有する。
具体的に前記接触部38の内径は、この接触部38が前記絶縁被覆電線素材W′の絶縁被覆20の外周面に対して接触することが可能な寸法、すなわち、当該絶縁被覆20の外径と同等またはこれよりも小さい寸法、に設定されている。この寸法は、当該接触部38が確実に前記絶縁被覆20の外周面に対して接触できるように、当該絶縁被覆20の外径よりも小さい寸法、すなわち、当該接触部38が当該絶縁被覆20を径方向の内向きに圧縮変形させながら当該絶縁被覆20の外周面に圧接する寸法が、より好ましい。具体的な寸法は特に限定されないが、一般には、当該絶縁被覆20の外径と当該接触部38の内径との差が当該絶縁被覆20の厚みの0〜50%の範囲内で設定されるのが、好ましい。
前記各金型30A,30Bの外側面には、図略の真空ポンプに接続される部分である凹部31が形成され、この凹部31の底面と前記内側面32の複数の箇所(図4及び図5に示す例では前記山部26に対応する膨出部36すなわち径方向外向きに大きく膨出する内面)とを連通するように複数のエア吸引孔35が各金型30A,30Bが形成されている。従って、各エア吸引孔35に前記真空ポンプが接続されることが可能である。
真空成形の際には、前記上金型30A及び前記下金型30Bのうちその軸方向両端部に形成された内周面32と、前記凹凸内面34における複数の接触部38と、がそれぞれ前記絶縁被覆電線素材W′の外周面(絶縁被覆20の外周面)に全周にわたり密着するように、両金型30A,30B同士の間に前記絶縁被覆電線素材W′が挟み込まれ、この状態で両金型30A,30B同士が図略のボルトにより締結される。換言すれば、絶縁被覆電線素材W′の周囲に前記両金型30A,30Bが配置される。
この状態で、例えば前記金型30A,30Bに内蔵されたヒータにより前記絶縁被覆20を構成する熱可塑性樹脂が加熱される。この温度は、後述の圧力差の付与によって、当該熱可塑性樹脂が膨張して前記金型30A,30Bの凹凸内面34に沿う形状に変形可能となる程度まで軟化する温度に設定されればよく、その具体的な値は当該熱可塑性樹脂の材質や厚みに応じて適宜設定されればよい。例えば、絶縁被覆20の材質が例えば塩化ビニルで1mm程度の肉厚を有する場合には100°C〜130°C程度まで加熱すればよい。すなわち、この熱可塑性樹脂の加熱温度は、当該熱可塑性樹脂からなる絶縁被覆20が前記凹凸内面34に対応する形状まで変形することを可能にする程度まで軟化するように設定さればよく、その具体的な温度は限定されない。
このような加熱状態で、さらに、前記真空ポンプが作動して上金型30A及び下金型30Bの内部のエアを吸引することにより負圧を形成する。これにより、当該金型30A,30B内のエアの圧力(すなわち絶縁被覆20のすぐ外側のエアの圧力)Poと、絶縁被覆20の内側の圧力Piとの間にPo<Pi(=大気圧)となる圧力差(=Pi−Po)が与えられる。この圧力差により、金型30A,30B内で加熱されて軟化した絶縁被覆20が金型30A,30Bの内側面に密着する形状、すなわち、膨出部36と接触部38とが交互に並ぶ凹凸内面34のうちの膨出部36の領域で径方向の外向きに膨出する形状、に変形させられる。これにより、通常径部分22よりも薄肉でかつ前記山部26および谷部28を含む曲げ補助部24が形成される。このようにして、当該曲げ補助部24をもつ絶縁被覆電線Wが製造される。
なお、前記絶縁被覆20の弾性が低くて当該絶縁被覆20と金型内周面32との密着が難しい場合には、両者間に例えばOリングが挟み込まれてもよい。また、両金型30A,30B同士の接合面のシールのためにゴムシートが両金型30A,30Bの間に挟みこまれてもよい。あるいは、絶縁被覆電線素材W′が比較的短い場合には、当該電線素材W′全体を密封するような長尺の金型が使用されてもよい。この場合も、当該金型内を排気して減圧すると、絶縁被覆電線素材W′における中心導体10での流路抵抗により絶縁被覆20の内側圧力Piと外側圧力Poとの間にPo<Pi(=大気圧)となる圧力差が生ずるので、前記と同様に曲げ補助部24を形成することが可能である。
このような真空成形の他、ブロー成形によっても前記圧力差を与えることが可能である。このブロー成形は、前記絶縁被覆20の内側に圧力ガス(例えばエア)を押し込んで当該内側の圧力Piを昇圧することにより、Po(=大気圧)<Piとなる圧力差を形成するものである。
以上示した製造方法によれば、絶縁被覆電線素材W′の周囲に適当な形状の内面をもつ金型を配置して当該金型内で絶縁被覆20を加熱しながら当該絶縁被覆20の内側と外側との間に圧力差を与えるだけで、当該絶縁被覆20に好適な曲げ補助部24を形成することができる。この方法では、金型内面形状と、得られる曲げ補助部24の形状と、が対応しているので、当該金型の内面の形状の設定により、好ましい形状の曲げ補助部24を自由に形成することが、可能である。換言すれば、要求される形状の曲げ補助部の形成は、その形状に対応した形状の金型を用いることで容易に達成することが可能である。
W 絶縁被覆電線
W′ 絶縁被覆電線素材
10 中心導体
20 絶縁被覆
22 通常径部分
24 曲げ補助部
26 山部
28 谷部
30A 上金型
30B 下金型
34 凹凸内面
36 膨出部
38 接触部

Claims (4)

  1. 絶縁被覆電線であって、
    中心導体と、
    絶縁性を有する合成樹脂材料からなり、前記中心導体を被覆する絶縁被覆と、を備え、
    前記絶縁被覆は、その軸方向の一部の箇所に形成されて他の部分よりも曲げ剛性の低い曲げ補助部を有し、この曲げ補助部は複数の山部と、この山部の外径よりも小さい外径と当該山部の内径よりも小さな内径とを有する複数の谷部とが軸方向に交互に並ぶ形状を有し、前記曲げ補助部の複数の山部はそれぞれ中心導体の外周面から前記絶縁被覆電線の径方向の外側に離間するように膨出する一方、前記谷部のうちの少なくとも一部は、当該少なくとも一部の谷部が前記中心導体をその径方向の外側から拘束するように当該中心導体の外周面に全周にわたり接触することを可能にする内径を有する、絶縁被覆電線。
  2. 請求項1記載の絶縁被覆電線であって、前記中心導体が互いに束ねられた複数の素線を含む、絶縁被覆電線。
  3. 請求項1または2記載の絶縁被覆電線であって、前記曲げ補助部は、これに含まれる全ての谷部の内径が、当該谷部が前記中心導体をその径方向の外側から拘束するように当該中心導体の外周面に全周にわたり接触することを可能にする径である、絶縁被覆電線。
  4. 縁被覆電線を製造するための方法であって、
    中心導体と絶縁性を有する熱可塑性樹脂材料からなって前記中心導体を被覆する絶縁被覆とを有する絶縁被覆電線素材を用意する工程と、
    前記絶縁被覆電線素材の軸方向の少なくとも一部の箇所の周囲に当該絶縁被覆電線素材の外周面に対して径方向外側に膨出する形状の膨出部と前記絶縁被覆電線素材の絶縁被覆の外周面と接触可能な内径をもつ接触部とが軸方向に交互に並ぶ凹凸内面を有する金型を配置する工程と、
    当該金型内において前記絶縁被覆を構成する熱可塑性樹脂材料を加熱して軟化させるとともに当該絶縁被覆の内側の圧力が前記金型内における当該絶縁被覆の外側の圧力よりも高くなるような圧力差を与えることにより、当該絶縁被覆に、前記金型の凹凸内面に沿った形状の曲げ補助部であって、前記中心導体の外周面から前記絶縁被覆電線の径方向の外側に離間するように膨出する複数の山部と、この山部の外径よりも小さい外径と当該山部の内径よりも小さな内径とを有する複数の谷部とが軸方向に交互に並ぶ形状を有し、かつ、前記谷部のうちの少なくとも一部の谷部の内径は、当該谷部が前記中心導体をその径方向の外側から拘束するように当該中心導体の外周面に全周にわたり接触することを可能にする径である曲げ補助部を形成する工程と、を含む、絶縁被覆電線の製造方法。
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