JP2015103418A - 絶縁被覆電線及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】容易に曲げ可能でかつ磨耗による寿命の短縮を抑止することができる絶縁被覆電線及びその製造方法を提供する。
【解決手段】絶縁被覆電線Wは、導体10と、絶縁性を有する合成樹脂材料からなり、導体10を被覆する絶縁被覆20と、を備える。絶縁被覆20は、絶縁被覆電線Wの軸方向の一部の箇所に形成された膨出部24を含んでおり、膨出部24は、導体10の外周面から絶縁被覆電線Wの径方向の外側に離間するように膨出している。膨出部24の外周面は、部分的に絶縁被覆電線Wの径方向の外側に突出する突出部26aを有しており、突出部26aのある部分の膨出部24の肉厚が他の部分の肉厚に比べて大きい。
【選択図】図2

Description

本発明は、自動車等に配索される絶縁被覆電線及びその製造方法に関する。
絶縁被覆電線は、導体と、これを被覆する絶縁被覆と、を備える。このような絶縁被覆電線が自動車等に配索される場合、その配索場所に適した形状となるように適当な箇所で曲げられながら使用される。しかしながら、例えば互いに近接するバッテリ端子を接続する電線のように、大電流を流すために大きな径を与えられた電線では、絶縁被覆の剛性が高いために容易に曲げることができず、その配線作業が困難であるという課題を有している。
このような課題を解決するための手段として、特許文献1は、絶縁被覆電線の屈曲予定部の被覆材を除去することと、その被覆材を除去した部分をプロテクタの屈曲部に沿わせながら電線をプロテクタに装着することと、を含む方法を開示する。
特開平8−98368号公報
前記方法は、屈曲予定箇所における絶縁被覆を除去する作業と、その除去した箇所を当該電線とは別のプロテクタに装着する作業とを要する。これらの作業を配線現場で行うのは極めて面倒であり、配線作業の効率の向上は望めない。かかる不都合は、当該電線の曲げ予定箇所が多いほど深刻となる。
本発明の目的は、面倒な作業及び複雑な構造を要することなく適当な部位を曲げることが可能な絶縁被覆電線及び当該絶縁被覆電線を容易に製造することが可能な方法を提供することにある。
本発明者らは、当該目的を達成するための手段として、絶縁被覆電線の導体と絶縁被覆との密着性に着目した。一般に、絶縁被覆電線の導体と絶縁被覆とは互いに強く密着していて両者が相対変位をすることが困難であるが、当該導体から部分的に当該絶縁被覆が外側に離間するようにこれを膨出させて両者の相対変位を可能にすることにより、その部位での曲げ変形が容易になる。
しかしながら、前記絶縁被覆が部分的に膨出することは、その膨出部分に磨耗が集中して当該膨出部分が破損しやすく、これにより絶縁信頼性が低下するおそれがある。従って、当該絶縁信頼性を高く保持しながら容易に曲げ変形することが可能な絶縁被覆電線の提供が望まれる。
本発明は、このような観点からなされたものである。本発明が提供する絶縁被覆電線は、導体と、絶縁性を有する合成樹脂材料からなり、前記導体を被覆する絶縁被覆と、を備え、前記絶縁被覆は、前記絶縁被覆電線の軸方向の一部の箇所に形成された膨出部を含む。前記膨出部は、前記導体の外周面から前記絶縁被覆電線の径方向の外側に離間するように膨出する。さらに、前記膨出部の外周面は、部分的に前記絶縁被覆電線の径方向の外側に突出する突出部を有し、前記突出部のある部分の膨出部の肉厚が他の部分の肉厚に比べて大きい。
前記の膨出部を有する絶縁被覆電線によれば、当該膨出部が導体の外周面から外側に離間しているために、当該膨出部での絶縁被覆電線の曲げを容易にすることができる。すなわち、この絶縁被覆電線の曲げ易さは、当該絶縁被覆電線を構成する絶縁被覆そのものの形状(導体から離間して当該絶縁被覆に対する当該導体の相対変位を許容する膨出部を有する形状)により与えられるので、従来のように当該絶縁被覆の一部を除去する作業やその除去した部位を当該絶縁被覆電線とは別の部材であるプロテクタに装着する作業は不要である。
ここで、前記膨出部は他の部分よりも前記絶縁被覆電線の径方向外側に突出する部位である。このため、前記膨出部は他の部材との接触等により磨耗しやすい傾向がある。そこで、前記の膨出部を有する絶縁被覆電線によれば、当該膨出部の一部が前記絶縁被覆電線の径方向の外側に突出する突出部を有しており且つこの突出部のある部分に大きな肉厚が与えられることにより、前記磨耗による絶縁電線の寿命の短縮を抑止することができる。すなわち、前記膨出部のうち前記突出部のある部位が他の部材と接触しやすいため、当該突出部がない部分の磨耗を抑止することができる一方、当該突出部のある部位には他の部分よりも大きな肉厚が与えられているため、この部位でも寿命の低下が抑止される。しかも、膨出部全体の肉厚を大きくする場合に比べて高い柔軟性を確保できる。
前記突出部は、例えば、前記膨出部のうち前記絶縁被覆電線の軸方向の一部の箇所に形成されていてもよい。すなわち、前記突出部は、前記膨出部のうち前記絶縁被覆電線の軸方向の全部の箇所に形成されていなくともよく、例えば、前記絶縁被覆電線を配索した場合に他の部材と接触が生じやすい部位にのみ前記突出部を形成することによっても、上記の効果を十分に奏する。
また、前記膨出部は、例えば、前記導体の外周面から前記絶縁被覆電線の径方向の外側に離間するように膨出する複数の山部と、前記山部の外径よりも小さい外径と前記山部の内径よりも小さな内径とを有する複数の谷部とが軸方向に交互に並ぶ形状を有し、前記山部の少なくとも一部が前記突出部を有し、前記突出部のある部分の前記山部の肉厚が他の部分の肉厚に比べて大きいものが、好適である。このように山部及び谷部を有する形状、すなわち蛇腹状の膨出部は、当該膨出部自体の曲げ変形も容易であるため、当該膨出部での絶縁被覆電線の曲げ易さをさらに促進することができる。しかも、前記山部に形成された突出部によって当該山部の磨耗による寿命の短縮を抑止することができる。あるいは、前記絶縁被覆電線の軸方向に並ぶ複数の位置にそれぞれ膨出部が形成され、これらの膨出部のうちの少なくとも一部の膨出部が前記突出部を有するものでもよい。
また、前記突出部は、例えば、前記膨出部のうち前記絶縁被覆電線の周方向の一部の箇所に形成されていてもよい。すなわち、前記突出部は、前記膨出部のうち前記絶縁被覆電線の周方向の全周に亘って形成されていなくともよく、例えば、前記絶縁被覆電線の径方向のうち前記絶縁被覆電線を配索した場合に他の部材と接触が生じやすい方向にのみ前記突出部を形成することによっても、上記の効果を十分に奏する。
また、前記突出部は、前記膨出部の全周にわたって形成されていることが、好ましい。この膨出部はあらゆる方向からの他の部材との接触について、膨出部の磨耗による寿命の短縮を抑止することが可能である。
また、本発明は、前記絶縁被覆電線を製造するための方法を提供する。この方法は、導体と絶縁性を有する熱可塑性樹脂材料からなって前記導体を被覆する絶縁被覆とを有する絶縁被覆電線素材を用意する工程と、前記絶縁被覆電線素材の軸方向の少なくとも一部の箇所の周囲に当該絶縁被覆電線素材の外周面に対して径方向外側に膨出する形状の膨出内面を有する金型を配置する工程と、当該金型内において前記絶縁被覆を構成する熱可塑性樹脂材料を加熱して軟化させるとともに当該絶縁被覆の内側の圧力が前記金型内における当該絶縁被覆の外側の圧力よりも高くなるような圧力差を与えることにより、当該絶縁被覆に、前記金型の膨出内面に沿った形状の膨出部であって、前記膨出部が前記導体の外周面から前記絶縁被覆電線の径方向の外側に離間するように膨出する膨出部を形成する工程と、を含む。そして、この膨出部を形成する工程では、前記膨出部の外周面が部分的に径方向外側に突出する突出部を有し、前記突出部のある部分の前記膨出部の肉厚が他の部分の肉厚に比べて大きくなるように、前記金型の前記膨出内面の形状が設定される。
ここで、「熱可塑性樹脂材料を加熱して軟化させる」とは、前記圧力差の付与により当該熱可塑性樹脂が膨張して前記金型の凹凸内面に沿う形状に変形可能となる程度まで軟化するように加熱することを意味し、その具体的な加熱温度は、当該熱可塑性樹脂の材質や厚みに応じて適宜設定されればよい。
この絶縁被覆電線の製造方法によれば、絶縁被覆電線素材の周囲に金型を配置して当該金型内で絶縁被覆を加熱しながらその内外に圧力差を与えるだけで、当該絶縁被覆に好適な膨出部を形成することができる。この方法では、前記金型の内面の形状とこれにより得られる膨出部の形状とが対応しているので、当該金型の内面の形状の設定により、好ましい形状の膨出部を自由に形成することが、可能である。
前記金型内における絶縁被覆の内側の圧力と外側の圧力との間に圧力差を与えるには、当該金型内を排気して減圧してもよいし、当該絶縁被覆電線素材の少なくとも一方の端部から前記金型内で加熱している絶縁被覆の内側に空気等のガスを押し込んでもよい。前者の場合には、特別な加圧ガスを用いることなく所望の形状の膨出部を形成することができる。
以上のように、本発明によれば、面倒な作業及び複雑な構造を要することなく適当な部位を曲げることが可能な絶縁被覆電線及び当該絶縁被覆電線を容易に製造することが可能な方法が提供される。また、前記絶縁被覆電線では、膨出部の存在にかかわらず、この膨出部の磨耗の進行による寿命の短縮を抑止することができる。
本発明の実施の形態に係る絶縁被覆電線の要部を示す斜視図である。 前記絶縁被覆電線の要部を示す軸方向断面図である。 前記絶縁被覆電線の膨出部を真空成形によって形成するための下金型及び上金型を絶縁被覆電線素材の周囲に配置した状態を示す斜視図である。 (a)は、前記下金型及び上金型を前記絶縁被覆電線素材の周囲に配置した状態を示す軸方向断面図である。また、(b)は、(a)中に示した1点鎖線で囲んだ領域A1を拡大した図である。 前記下金型の平面図である。 前記絶縁被覆電線の他の例を示しており、図2と同様の部位を示した軸方向断面図である。 前記絶縁被覆電線のさらに他の例を示した径方向断面図である。 前記絶縁被覆電線のさらに他の例を示しており、図2と同様の部位を示した軸方向断面図である。
本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1及び図2は、本発明に係る絶縁被覆電線Wを示す。この絶縁被覆電線Wは、導体10と、これを被覆する絶縁被覆20と、を備える。前記導体10は、高い導電性を有するものであればよく、例えば、銅などの良導電性金属材料からなる単一の素線または互いに束ねられた複数の素線により構成される。絶縁被覆20は、絶縁性を有する合成樹脂材料からなる。この絶縁被覆20の具体的な材質は特に限定されないが、後述のようにして前記絶縁被覆電線Wの製造を行うためには、熱可塑性樹脂であることが、好ましい。
この絶縁被覆電線Wの特徴として、前記絶縁被覆20は、その軸方向の一部の箇所に膨出部24を有する。この膨出部24は、前記絶縁被覆20のうちの当該膨出部24以外の部分、すなわち当該絶縁被覆20の内周面が前記導体10の外周面に密着または略密着する通常径部分22よりも曲げ剛性を低くする形状を有する。
具体的に、この実施の形態に係る前記膨出部24は、複数の大径部すなわち山部26と複数の小径部すなわち谷部28とが軸方向に交互に並ぶ形状、すなわち、いわゆる蛇腹状をなす。前記各山部26は、その内周面が前記導体10の外周面から径方向の外側に大きく離間するように当該径方向の外側に膨出する形状を有する。一方、前記各谷部28は、前記山部26の外径よりも小さい外径と、当該山部26の内径よりも小さい内径と、を有する。すなわち、この実施形態に係る前記膨出部24は、その内径及び外径が軸方向について繰り返し増減する形状を有する。また、この実施の形態に係る前記山部26および前記谷部28のそれぞれの内周面は、いずれも前記導体10の外周面から径方向の外側に離間している。
さらに、前記膨出部24の特徴として、前記各山部26は、その外周面において部分的に前記絶縁被覆電線Wの径方向の外側に突出する突出部26aを有している。この実施の形態では、突出部26aは、山部26のうち絶縁被覆電線Wの軸方向の一部に形成されている。この突出部26aは、前記山部26のうち前記導体10の内周面に対する高さ位置が最も高くなる部位に位置している。また、この突出部26aのある部分の前記山部26の肉厚は、当該突出部26aのない部分の前記山部26の肉厚に比して大きく設定されている。なお、この実施の形態では、前記突出部26aは、前記山部26の全周に亘って形成されている。換言すれば、前記突出部26aは、前記山部26と同様に、前記絶縁被覆電線Wの周方向に連続的に形成されており、前記導体10を取り囲んで位置している。
この絶縁被覆電線Wでは、前記膨出部24が前記導体10から径方向の外側に離間しているため、当該膨出部24以外の通常径部分22に比べ、小さな曲げ荷重で当該膨出部24に対応する部分に曲げ変形を生じさせることができる。このことは、配線作業の容易化に寄与する。しかも、この絶縁被覆電線Wの曲げ易さは、当該絶縁被覆電線Wを構成する前記絶縁被覆20そのものに形成された前記膨出部24の形状によって与えられるものなので、従来のように当該絶縁被覆の一部を除去する作業やその除去した部位を当該絶縁被覆電線とは別の部材であるプロテクタに装着する作業は不要である。従って、この絶縁被覆電線Wの配線のための作業は飛躍的に容易化される。
さらに、この絶縁被覆電線Wでは、前記山部26がその外周面において部分的に当該絶縁被覆電線Wの径方向の外側に突出する前記突出部26aを有しており、この突出部26aがある部分の山部26の肉厚は、当該突出部26aのない部分の山部26の肉厚に比して大きく設定されている。このため、この絶縁被覆電線Wでは、他の部材との接触が生じやすい前記膨出部24において接触箇所を前記突出部26aに集中させることができるとともに、当該突出部26aがある山部26の肉厚を相対的に大きく設定することで、摩耗によって前記膨出部24が破損する可能性を低減することができる。すなわち、前記絶縁被覆電線Wの寿命の短縮を低減することができる。なお、この絶縁被覆電線Wでは、前記突出部26aが前記山部26の外周面において部分的に前記絶縁被覆電線Wの径方向の外側に突出する部位であるため、前記山部26全体の肉厚を大きくする場合に比して高い柔軟性を確保することができる。
なお、この実施の形態においては、前記山部26および前記谷部28のそれぞれの内周面は、いずれも前記導体10の外周面から径方向の外側に離間しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、前記谷部28の内周面は前記導体10の外周面に接触していてもよい。この実施の形態のように前記山部26および前記谷部28のそれぞれの内周面がいずれも前記導体10の外周面から径方向の外側に離間している場合は、前記膨出部24の内周面全体が前記導体10の外周面に接触することがないため、高い柔軟性を確保することができる。また、前記谷部28の内周面が前記導体10の外周面に接触している場合は、当該谷部28によって前記導体10を径方向の外側から拘束できるため、当該導体10が前記膨出部24に対して径方向に相対変位することを抑止することができる。このため、例えば前記導体10が複数の素線からなる場合に、車の振動等に起因して当該素線がばらけるといった不都合を防ぐことができる。
また、この実施の形態のように、前記突出部26aは、前記山部26の全周に亘って連続的に形成されていることが好ましい。このような構成によれば、前記膨出部24において前記絶縁被覆電線Wを曲げて配索した場合に、いずれの方向において当該膨出部24と他の部材とが接触したとしても、前記突出部26aがない前記山部26と前記他の部材とが接触する可能性を低減することができる。このため、前記絶縁被覆電線Wの寿命の短縮をより低減することができる。
以上説明した絶縁被覆電線Wは、例えば以下の工程を含む方法により、合理的かつ容易に製造されることが可能である。
1)予備工程(絶縁被覆電線素材準備工程)
この工程では、前記の導体10と絶縁被覆20とを有する通常の(すなわち絶縁被覆20の肉厚及び径が均一の)絶縁被覆電線素材が準備される。この絶縁被覆電線素材は、通常の被覆電線と同様、例えば押出し成形によって生産されることが可能である。前記絶縁被覆20の材質としては、後の加熱状態での成形のために、絶縁性に加えて熱可塑性を有する樹脂が用いられる。具体的には、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、架橋ポリエチレン、エチレン−エチルアクリルレート共重合樹脂、サーモプラスチックポリウレタン共重合樹脂、塩化ビニルなど、が好適である。
2)金型配置工程及び膨出部形成工程
これらの工程では、前記絶縁被覆電線素材の軸方向の少なくとも一部の箇所の周囲に、前記膨出部24を形成するための金型が配置され、その状態で膨出部24の形成が行われる。換言すれば、当該金型の内部に前記絶縁被覆電線素材の軸方向の少なくとも一部が配置され、当該金型の内部で前記膨出部24の形成が行われる。この膨出部24の形成は、当該膨出部24の形成箇所における絶縁被覆20の内側の圧力と外側の圧力(すなわち金型内の圧力)との間に前者の圧力の方が高いような圧力差を与えることにより、行われる。このような圧力差を利用した膨出部24の形成は、例えば、次の真空成形が好適である。
この真空成形は、絶縁被覆20の外側空間を減圧することにより前記圧力差を形成するものであり、例えば図3〜図5に示すような上金型30A及び下金型30B(図5は下金型30Bのみ図示)の使用により、実現される。
上金型30A及び下金型30Bは、図3〜図5に示す絶縁被覆電線素材W′のうちの膨出部形成部位及びその近傍部位のみを上下から挟みこむ形状を有する。具体的に、両金型30A,30Bの軸方向両端部は、前記絶縁被覆電線素材W′の外周面に対応する断面半円状の半割内周面32をそれぞれ有し、軸方向中央部分は、形成目標となる膨出部24の外側面形状に対応した形状の凹凸内面34を有する。すなわち、この凹凸内面34は、前記各山部26の外周面に対応した寸法で径方向の外向きに膨出する複数の大径部36と、前記各谷部28の外周面に対応した内径を有する複数の小径部38と、を有する。
ここで、各大径部26の一部には、各突出部26aの外周面に対応した寸法で径方向の外向きに膨出する複数の窪部36aが形成されている。窪部36aは、大径部26のうち最も径の大きい部位である。この実施の形態においては、窪部36aは、大径部26のうち軸方向中央部に位置している。
各窪部36aは、エア吸引孔35を介して凹部31に連通している。具体的には、前記各金型30A,30Bの外側面には、図略の真空ポンプに接続される部分である凹部31が形成されており、この凹部31の底面と各窪部36aとを連通するように複数のエア吸引孔35が形成されている。これにより、各エア吸引孔35に前記真空ポンプが接続される。
真空成形の際には、前記上金型30A及び前記下金型30Bのうちその軸方向両端部に形成された内周面32が前記絶縁被覆電線素材W′の外周面(絶縁被覆20の外周面)に全周にわたり密着するように、両金型30A,30B同士の間に前記絶縁被覆電線素材W′が挟み込まれ、この状態で両金型30A,B同士が図略のボルトにより締結される。換言すれば、絶縁被覆電線素材W′の周囲に前記両金型30A,30Bが配置される。
この状態で、例えば前記金型30A,30Bに内蔵されたヒータにより前記絶縁被覆20を構成する熱可塑性樹脂が加熱される。この温度は、後述の圧力差の付与によって、当該熱可塑性樹脂が膨張して前記金型30A,30Bの凹凸内面34に沿う形状に変形可能となる程度まで軟化する温度に設定されればよく、その具体的な値は当該熱可塑性樹脂の材質や厚みに応じて適宜設定されればよい。例えば、絶縁被覆20の材質が塩化ビニルで1mm程度の肉厚を有する場合には100°C〜130°C程度まで加熱すればよい。すなわち、この熱可塑性樹脂の加熱温度は、当該熱可塑性樹脂からなる絶縁被覆20が前記凹凸内面34に対応する形状まで変形することを可能にする程度まで軟化するように設定されればよく、その具体的な温度は限定されない。
このような加熱状態で、さらに、前記真空ポンプが作動して上金型30A及び下金型30Bの内部のエアを吸引することにより負圧を形成する。これにより、当該金型30A,30B内のエアの圧力(すなわち絶縁被覆20のすぐ外側のエアの圧力)Poと、絶縁被覆20の内側の圧力Piとの間にPo<Pi(=大気圧)となる圧力差(=Pi−Po)が与えられる。この圧力差により、金型30A,30B内で加熱されて軟化した絶縁被覆20の一部が凹凸内面34に密着するように径方向の外向きに膨出する。
ここで、凹凸内面34のうち大径部36の領域において径方向の外向きに膨出した絶縁被覆20の一部は、上記の圧力差を与える続けることによって窪部36aの領域においても径方向の外向きに膨出する。このように圧力差を与えることによって絶縁被覆20の一部を変形させることで、突出部26aを有する山部26と谷部28とを含む膨出部24が形成し、当該膨出部24を有する絶縁被覆電線Wが製造される。
なお、前記絶縁被覆20の弾性が低くて当該絶縁被覆20と金型内周面32との密着が難しい場合には、両者間に例えばOリングが挟み込まれてもよい。また、両金型30A,30B同士の接合面のシールのためにゴムシートが両金型30A,30Bの間に挟みこまれてもよい。あるいは、絶縁被覆電線素材W′が比較的短い場合には、当該電線素材W′全体を密封するような長尺の金型が使用されてもよい。この場合も、当該金型内を排気して減圧すると、絶縁被覆電線素材W′における導体10での流路抵抗により絶縁被覆20の内側圧力Piと外側圧力Poとの間にPo<Pi(=大気圧)となる圧力差が生ずるので、前記と同様に膨出部24を形成することが可能である。
このような真空成形の他、ブロー成形によっても前記圧力差を与えることが可能である。このブロー成形は、前記絶縁被覆20の内側に圧力ガス(例えばエア)を押し込んで当該内側の圧力Piを昇圧することにより、Po(=大気圧)<Piとなる圧力差を形成するものである。
このような製造方法によれば、絶縁被覆電線素材W′の周囲に適当な形状の内面をもつ金型を配置して当該金型内で絶縁被覆20を加熱しながら当該絶縁被覆20の内側と外側との間に圧力差を与えるだけで、当該絶縁被覆20に好適な膨出部24を形成することができる。具体的には、上記の圧力差を与えるだけで、各山部26および各谷部28を形成することができ、さらには突出部26aも同時に形成することができる。
すなわち、この方法では、金型内面形状と得られる膨出部24の形状とが対応しており、当該金型の内面の形状を要求される膨出部の形状に設定することにより、突出部26aを含む好ましい形状の膨出部24を容易に形成することができる。
以上、本発明の実施の形態である絶縁被覆電線Wおよび当該絶縁被覆電線Wの製造方法について詳細に説明したが、この絶縁被覆電線Wは種々の変形が可能である。
例えば、上記の実施の形態においては、膨出部24は複数の山部26と複数の谷部28とが交互に並んだ蛇腹状をなしていたが、これに限らず、図6に示すように導体10を周方向に取り囲む円筒状をなしていてもよい。具体的には、図6に示す絶縁被覆電線Wでは、導体10の外周面に対する膨出部24の内周面の高さ位置が略均一になるように膨出部24が形成されており、上記の実施の形態のように山部26および谷部28が形成されていない。このような構成であっても、膨出部24が通常径部分22に比して導体10の外周面から絶縁被覆電線Wの径方向に膨出しているため、上記の効果を奏する。なお、図6では、導体10の軸方向に沿って1つの突出部24aが形成されているが、これに限らず、導体10の軸方向に沿って複数の突出部24aが断続的に形成されていてもよい。
また、上記の実施の形態においては、山部26のうち絶縁被覆電線Wの軸方向の一部に突出部26aが形成されていたが、これに限らず、図7に示すように山部26のうち絶縁被覆電線Wの周方向の一部に突出部26aが形成されていてもよい。具体的には、図7に示す絶縁被覆電線Wでは、突出部26aは、山部26のうち絶縁被覆電線Wの周方向に間欠的に形成されており、当該絶縁被覆電線Wの径方向における四方に位置している。このような構成によれば、膨出部24において絶縁被覆電線Wを曲げて配索した場合に、前記四方のいずれかの方向において膨出部24と他の部材とが接触したとしても、突出部26aがない山部26と他の部材とが接触する可能性を低減することができる。なお、突出部26aは絶縁被覆電線Wの前記四方に位置していなくともよく、例えば、絶縁被覆電線Wを曲げて配索した場合に他の部材と接触しやすい方向にのみ突出部26aを形成してもよい。
また、上記の実施の形態においては、各山部26の全てが突出部26aを有していたが、これに限らず、図8に示すように各山部26のうち一部の山部26にのみ突出部26aが形成されていてもよい。ここで、図8では、各山部26の外周面は、導体10の外周面に対する高さ位置がそれぞれ異なっている。突出部26aは、各山部26外周面のうち導体10の外周面に対する高さ位置が相対的に高い山部26にのみ形成されている。このような構成によれば、絶縁被覆電線Wを配索した場合に、各山部26のうち導体10の外周面に対する高さ位置が相対的に低い山部26が他の部材と接触する可能性を低減することができる。すなわち、膨出部24と他の部材との接触点を少なくすることができ、摩耗によって当該膨出部24が破損する可能性をより低減することができる。
なお、絶縁被覆電線Wについてのこれらの変形例はいずれも、上記の製造方法において上金型30Aおよび下金型30Bの凹凸内面34の形状を適宜変更することによって製造することができる。
W 絶縁被覆電線
W′ 絶縁被覆電線素材
10 導体
20 絶縁被覆
22 通常径部分
24 膨出部
26 山部
26a 突出部
28 谷部
30A 上金型
30B 下金型
34 凹凸内面
36 大径部
38 小径部

Claims (5)

  1. 絶縁被覆電線であって、
    導体と、
    絶縁性を有する合成樹脂材料からなり、前記導体を被覆する絶縁被覆と、を備え、
    前記絶縁被覆は、前記絶縁被覆電線の軸方向の一部の箇所に形成された膨出部を含んでおり、
    前記膨出部は、前記導体の外周面から前記絶縁被覆電線の径方向の外側に離間するように膨出しており、
    前記膨出部の外周面は、部分的に前記絶縁被覆電線の径方向の外側に突出する突出部を有しており、
    前記突出部のある部分の前記膨出部の肉厚が他の部分の肉厚に比べて大きい、絶縁被覆電線。
  2. 請求項1記載の絶縁被覆電線であって、
    前記突出部は、前記膨出部のうち前記絶縁被覆電線の軸方向の一部の箇所に形成されている、絶縁被覆電線。
  3. 請求項2記載の絶縁被覆電線であって、
    前記膨出部は、前記導体の外周面から前記絶縁被覆電線の径方向の外側に離間するように膨出する複数の山部と、前記山部の外径よりも小さい外径と前記山部の内径よりも小さな内径とを有する複数の谷部とが前記絶縁被覆電線の軸方向に交互に並ぶ形状を有しており、
    前記山部の少なくとも一部が前記突出部を有しており、
    前記突出部のある部分の前記山部の肉厚が他の部分の肉厚に比べて大きい、絶縁被覆電線。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の絶縁被覆電線であって、
    前記突出部は、前記膨出部のうち前記絶縁被覆電線の周方向の一部の箇所に形成されている、絶縁被覆電線。
  5. 絶縁被覆電線を製造するための方法であって、
    導体と絶縁性を有する熱可塑性樹脂材料からなって前記導体を被覆する絶縁被覆とを有する絶縁被覆電線素材を用意する工程と、
    前記絶縁被覆電線素材の軸方向の少なくとも一部の箇所の周囲に当該絶縁被覆電線素材の外周面に対して径方向外側に膨出する形状の膨出内面を有する金型を配置する工程と、
    当該金型内において前記絶縁被覆を構成する熱可塑性樹脂材料を加熱して軟化させるとともに当該絶縁被覆の内側の圧力が前記金型内における当該絶縁被覆の外側の圧力よりも高くなるような圧力差を与えることにより、当該絶縁被覆に、前記金型の膨出内面に沿った形状の膨出部であって、前記膨出部が前記導体の外周面から前記絶縁被覆電線の径方向の外側に離間するように膨出する膨出部を形成する工程と、を含んでおり、
    前記膨出部を形成する工程において、前記膨出部の外周面が部分的に径方向外側に突出する突出部を有し、前記突出部のある部分の前記膨出部の肉厚が他の部分の肉厚に比べて大きくなるように、前記金型の前記膨出内面の形状が設定される、絶縁被覆電線の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112071483A (zh) * 2020-08-26 2020-12-11 远东电缆有限公司 一种智慧能源用抗压电缆及其制备方法

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