JP2015103425A - 絶縁被覆電線及びその製造方法 - Google Patents

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芳正 水野
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Abstract

【課題】容易に曲げ可能でかつ磨耗の促進を抑止可能な絶縁被覆電線を提供する。【解決手段】絶縁被覆電線Wは、導体10と、絶縁被覆20と、を備える。絶縁被覆20は、導体10の外周面から径方向外側に離間するように膨出する膨出部24を有するとともに、当該膨出部24を有しない、軸方向に均一な断面形状をもつ筒状にある状態で架橋が施された合成樹脂により構成される。絶縁被覆電線Wは、当該膨出部24で容易に曲げられ、かつ、その曲げ後に絶縁被覆20が加熱されることにより前記膨出部24の膨出度合いを減らすことが可能である。【選択図】 図7

Description

本発明は、自動車等に配索される絶縁被覆電線及びその製造方法に関する。
絶縁被覆電線は、導体と、これを被覆する絶縁被覆と、を備える。このような絶縁被覆電線が自動車等に配索される場合、その配索場所に適した形状となるように適当な箇所で曲げられながら使用される。しかしながら、例えば互いに近接するバッテリ端子を接続する電線のように、大電流を流すために大きな径を与えられた電線では、絶縁被覆の剛性が高いために容易に曲げることができず、その配線作業が困難であるという課題を有している。
このような課題を解決するための手段として、特許文献1は、絶縁被覆電線の屈曲予定部の被覆材を除去することと、その被覆材を除去した部分をプロテクタの屈曲部に沿わせながら電線をプロテクタに装着することと、を含む方法を開示する。
特開平8−98368号公報
前記方法は、屈曲予定箇所における絶縁被覆を除去する作業と、その除去した箇所を当該電線とは別のプロテクタに装着する作業とを要する。これらの作業を配線現場で行うのは極めて面倒であり、配線作業の効率の向上は望めない。かかる不都合は、当該電線の曲げ予定箇所が多いほど深刻となる。
本発明の目的は、面倒な作業及び複雑な構造を要することなく適当な部位を曲げることが可能な絶縁被覆電線及び当該絶縁被覆電線を容易に製造することが可能な方法を提供することにある。
本発明者らは、当該目的を達成するための手段として、絶縁被覆電線の導体と絶縁被覆との密着性に着目した。一般に、絶縁被覆電線の導体と絶縁被覆とは互いに強く密着していて両者が相対変位をすることが困難であるが、当該導体から部分的に当該絶縁被覆が外側に離間するようにこれを膨出させて両者の相対変位を可能にすることにより、その部位での曲げ変形が容易になる。
しかしながら、前記絶縁被覆が部分的に膨出することは、その膨出部分に磨耗が集中して当該膨出部分が破損しやすく、これにより絶縁信頼性が低下するおそれがある。
本発明は、このような観点から、適当な部位を曲げることが可能であるのに加え、絶縁被覆の磨耗の促進を抑止することが可能な絶縁被覆電線を提供するものである。この絶縁被覆電線は、導体と、絶縁性を有する合成樹脂材料からなり、前記導体を被覆する絶縁被覆と、を備え、前記絶縁被覆は、その軸方向の一部の箇所に形成される膨出部を含む。この膨出部は、前記導体の外周面から前記絶縁被覆電線の径方向の外側に離間するように膨出する。さらに、この膨出部を含む絶縁被覆は、当該膨出部を有しておらず軸方向全域にわたり均一な断面形状をもつ筒状の状態で架橋された合成樹脂材料により構成されていることを特徴とする。
前記の膨出部を有する絶縁被覆電線によれば、当該膨出部が導体の外周面から外側に離間していて両者の相対変位が可能であるために、当該膨出部に対応する箇所での絶縁被覆電線の曲げを容易にすることができる。この絶縁被覆電線の曲げ易さは、当該絶縁被覆電線を構成する絶縁被覆そのものに形成された形状(導体から離間して当該絶縁被覆に対する当該導体の相対変位を許容する膨出部を有する形状)により与えられるので、従来のように当該絶縁被覆の一部を除去する作業やその除去した部位を当該絶縁被覆電線とは別の部材であるプロテクタに装着する作業は不要である。
ここで、前記膨出部は他の部分よりも径方向外側に突出する部位であるため、他の部材との接触等により磨耗しやすい傾向があるが、当該膨出部を含む絶縁被覆は、当該膨出部を有しておらず軸方向に均一な断面形状をもつ筒状の状態で架橋された合成樹脂材料からなるので、絶縁被覆電線が前記膨出部にて曲げられた状態で加熱されることにより、元の形状すなわち軸方向に均一な断面形状をもつ筒状であって軸方向の一部に膨出部を有しない形状に復元しようとし、その結果、前記膨出部の膨出度合いが低減する。つまり、加熱前の前記膨出部の形状を利用して当該絶縁被覆電線を容易に曲げることができるのに加え、その曲げた後は絶縁被覆の加熱によって前記膨出部の形状を軸方向に均一な断面形状をもつ筒状、例えば円筒状、に近づけることができ、これにより、磨耗が進行しにくい形状にすることができる。なお、このように絶縁被覆電線が曲げられた後は導体がその剛性によって曲げ形状を保持するため、前記絶縁被覆がある程度元の形状に復元すなわち収縮しても絶縁被覆電線全体が曲がる前の形状に戻ることはない。
前記架橋が施された合成樹脂材料としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂であってシラン架橋が施されたものや、ポリ塩化ビニルやポリエチレンであって電子線架橋が施されたものが、好適である。当該合成樹脂材料からなる絶縁被覆は、工場内で加熱されて前記膨出部の膨出度合いが低減した状態で出荷されてもよいし、例えばエンジンルーム内といった高温下での使用中に加熱されてもよい。
前記膨出部としては、例えば、前記導体の外周面から前記絶縁被覆電線の径方向の外側に離間するように膨出する複数の山部と、この山部の外径よりも小さい外径と当該山部の内径よりも小さな内径とを有する複数の谷部とが軸方向に交互に並ぶ形状を有するものや、軸方向に間欠的に並ぶ複数の位置にそれぞれ前記膨出部が形成されたものが、好適である。これらの形状は、いずれも、凹凸が著しく、絶縁被覆の曲げ剛性を効果的に低減させることができるという利点を有する一方で磨耗を受け易い欠点があるが、その低い曲げ剛性を利用して絶縁被覆電線が曲げられた後にその絶縁被覆が加熱されることによって、元の形状に近づいた形状、つまり、凹凸が解消もしくは緩やかになって前記摩耗の促進を抑止することが可能な形状に変形することが可能である。
また本発明は、特定箇所で曲げられた絶縁被覆電線を製造するための方法を提供する。この方法は、導体と絶縁性を有する熱可塑性樹脂材料からなって前記導体を被覆する絶縁被覆とを有する絶縁被覆電線素材を用意する工程と、当該絶縁被覆が軸方向に均一な断面形状をもつ筒状にある状態で当該絶縁被覆を構成する前記熱可塑性樹脂に架橋を施す工程と、前記絶縁被覆の軸方向の一部に前記導体の外周面から外側に離間するように膨出する膨出部を形成して絶縁被覆電線を製造する工程と、この膨出部にて前記絶縁被覆電線を曲げた状態で前記絶縁被覆を加熱することにより当該絶縁被覆を前記架橋時の形状に戻る方向に変形させて前記膨出部の膨出度合いを減らす工程と、を含む。
前記膨出部を形成する工程としては、前記絶縁被覆電線素材の外周面に対して径方向外側に膨出する形状の膨出内面を有する金型を配置する工程と、当該金型内において前記絶縁被覆を構成する熱可塑性樹脂材料を加熱して軟化させるとともに当該絶縁被覆の内側の圧力が前記金型内における当該絶縁被覆の外側の圧力よりも高くなるような圧力差を与えることにより、当該絶縁被覆に、前記金型の膨出内面に沿った形状の膨出部を有する膨出部であって、前記膨出部が前記導体の外周面から前記絶縁被覆電線の径方向の外側に離間するように膨出する膨出部を形成する工程と、を含むものが、好適である。
ここで、「熱可塑性樹脂材料を加熱して軟化させる」とは、前記圧力差の付与により当該熱可塑性樹脂が膨張して前記金型の凹凸内面に沿う形状に変形可能となる程度まで軟化するように加熱することを意味し、その具体的な加熱温度は、当該熱可塑性樹脂の材質や厚みに応じて適宜設定されればよい。
この絶縁被覆電線の製造方法によれば、絶縁被覆電線素材の周囲に金型を配置して当該金型内で絶縁被覆を加熱しながらその内外に圧力差を与えるだけで、当該絶縁被覆に好適な膨出部を形成することができる。この方法では、前記金型の内面の形状とこれにより得られる膨出部の形状とが対応しているので、当該金型の内面の形状の設定により、好ましい形状の膨出部を自由に形成することが、可能である。なお、前記金型内の加熱により、既に架橋されている熱可塑性樹脂が元の形状、例えば円筒形状、に戻ろうとする復元力(収縮力)が発生する可能性があるが、当該復元力に抗して前記圧力差によって前記膨出部の形状を維持したまま絶縁被覆を冷却することにより、不都合なく膨出部を形成することが可能である。
前記金型内における絶縁被覆の内側の圧力と外側の圧力との間に圧力差を与えるには、当該金型内を排気して減圧してもよいし、当該絶縁被覆電線素材の少なくとも一方の端部から前記金型内で加熱している絶縁被覆の内側に空気等のガスを押し込んでもよい。前者の場合には、特別な加圧ガスを用いることなく所望の膨出部を形成することができる。
以上のように、本発明によれば、面倒な作業及び複雑な構造を要することなく適当な部位を曲げることが可能な絶縁被覆電線及び当該絶縁被覆電線を容易に製造することが可能な方法が提供される。また、前記絶縁被覆電線では、前記膨出部にて当該絶縁被覆電線を曲げた後に前記絶縁被覆を加熱することによって前記膨出部の膨出度合いを減らすことができ、これにより、当該膨出部の磨耗の進行による寿命の短縮を抑止することができる。
本発明の実施の形態に係る絶縁被覆電線の要部を示す断面斜視図である。 前記絶縁被覆電線の要部を示す断面正面図である。 前記絶縁被覆電線の膨出部を真空成形によって形成するための下金型及び上金型を絶縁被覆電線素材の周囲に配置した状態を示す斜視図である。 前記下金型及び上金型を前記絶縁被覆電線素材の周囲に配置した状態を示す断面正面図である。 前記下金型の平面図である。 前記絶縁被覆電線を膨出部にて曲げた状態を示す斜視図である。 前記膨出部にて曲げた状態にある前記絶縁被覆電線の絶縁被覆を加熱することにより当該膨出部の膨出度合いを減らした状態を示す斜視図である。
本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1及び図2は、本発明に係る絶縁被覆電線Wを示す。この絶縁被覆電線Wは、導体10と、これを被覆する絶縁被覆20と、を備える。前記導体10は、高い導電性を有するものであればよく、例えば、銅などの良導電性金属材料からなる単一の素線または互いに束ねられた複数の素線により構成される。当該導体10が複数の素線を含む場合に、後述の効果はより有効となる。絶縁被覆20は、絶縁性を有する合成樹脂材料からなる。その材質については後述する。
この絶縁被覆電線Wの第1の特徴として、前記絶縁被覆20は、その軸方向の一部の箇所に膨出部24を有する。この膨出部24は、前記導体10の外周面から絶縁被覆電線Wの径方向の外側に離間するように部分的に膨出する部分である。換言すれば、この膨出部24以外の通常部分22は、その内周面が前記導体10の外周面に密着した状態にある。
この実施の形態に係る膨出部24は、さらに、前記通常部分22よりも曲げ剛性の低い形状を有する。具体的に、当該膨出部24は、複数の大径部すなわち山部26と複数の小径部すなわち谷部28とが軸方向に交互に並ぶ形状、すなわち、いわゆる蛇腹状をなす。前記各山部26は、その内周面が前記導体10の外周面から径方向の外側に大きく離間するように当該径方向の外側に膨出する形状を有する。一方、前記各谷部28は、前記山部26の外径よりも小さい外径と、前記山部26の内径よりも小さい内径と、を有する。すなわち、この実施形態に係る膨出部24は、その内径及び外径が軸方向について繰り返し増減する形状を有する。
前記各谷部28の内周面28aは全周にわたって導体10の外周面から僅かな隙間をおいて離間している。しかし、本発明は前記内周面28aが導体10に密着していている態様を除外しない。この態様については、前記山部26及び前記谷部28のうちの各山部26のみが本発明に係る膨出部を構成する、つまり、複数の膨出部が軸方向に間欠的に並ぶ、ことになる。
この絶縁被覆電線Wでは、膨出部24における複数の山部26がそれぞれ導体10から径方向の外側に離間しているため、膨出部24以外の通常部分22に比べ、小さな曲げ荷重で当該膨出部24に対応する部分に曲げ変形を生じさせることができる。
さらに、この絶縁被覆電線Wの第2の特徴として、前記絶縁被覆20は、後に詳述するように、前記膨出部24を有しておらず軸方向全域にわたり均一な断面形状をもつ筒状、具体的には、軸方向全域にわたり均一な径をもつ円筒形状の状態で架橋された合成樹脂材料により構成されている。
次に、この実施の形態に係る絶縁被覆電線Wの製造方法について説明する。この方法は、概して、1)絶縁被覆電線素材W′を用意する工程と、2)この絶縁被覆電線素材W′に膨出部を形成して絶縁被覆電線Wを製造する工程と、を含む。
1)絶縁被覆電線素材W′を用意する工程
この工程では、前記の導体10と絶縁被覆20とを有する通常の形状の(すなわち絶縁被覆20の肉厚及び径が均一の)絶縁被覆電線素材が準備される。この絶縁被覆電線素材は、例えば押出し成形によって生産されることが可能である。前記絶縁被覆20を構成する合成樹脂材料は、絶縁性を有することに加えて架橋可能であり、また、後の加熱状態での成形のために熱可塑性を有することが望まれる。具体的には、シラン架橋が可能なポリオレフィン樹脂や、電子線架橋が可能なポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、が好適である。当該合成樹脂材料は、次の膨出部形成工程の前に、前記絶縁被覆20が軸方向に均一な径をもつ円筒形状にある状態で予め架橋される。これにより、当該合成樹脂材料には、一定以上の温度に加熱されると当該円筒形状に戻ろうとする特性が与えられる。
2)膨出部形成工程
この工程では、前記絶縁被覆電線素材の軸方向の少なくとも一部の箇所の周囲に、前記膨出部24を形成するための金型が配置され、その状態で膨出部24の形成が行われる。換言すれば、当該金型の内部に前記絶縁被覆電線素材の軸方向の少なくとも一部が配置され、当該金型の内部で前記膨出部24の形成が行われる。この膨出部24の形成は、当該膨出部24の形成箇所における絶縁被覆20の内側の圧力と外側の圧力(すなわち金型内の圧力)との間に前者の圧力の方が高いような圧力差を与えることにより、行われる。このような圧力差を利用した膨出部24の形成は、例えば、次の真空成形が好適である。
この真空成形は、絶縁被覆20の外側空間を減圧することにより前記圧力差を形成するものであり、例えば図3〜図5に示すような上金型30A及び下金型30B(図5は上金型30Aのみ図示)の使用により、実現される。
上金型30A及び下金型30Bは、図3〜図5に示す絶縁被覆電線素材W′のうちの膨出部形成部位及びその近傍部位のみを上下から挟みこむ形状を有する。具体的に、両金型30A,30Bの軸方向両端部は、前記絶縁被覆電線素材W′の外周面に対応する断面半円状の半割内周面32をそれぞれ有し、軸方向中央部分は、形成目標となる膨出部24の外側面形状に対応した形状の膨出内面34を有する。すなわち、この膨出内面34は、前記山部26の外周面に対応した寸法で径方向の外向きに膨出する大径部36と、前記谷部28の外周面に対応した内径を有する小径部38と、を有する。
前記各金型30A,30Bの外側面には、図略の真空ポンプに接続される部分である凹部31が形成され、この凹部31の底面と前記内側面32の複数の箇所(図4及び図5に示す例では、前記各山部26に対応する各大径部36すなわち径方向外向きに大きく膨出する部分、の内面)とを連通するように複数のエア吸引孔35が各金型30A,30Bが形成されている。従って、各エア吸引孔35に前記真空ポンプが接続されることが可能である。
真空成形の際には、前記上金型30A及び前記下金型30Bのうちその軸方向両端部に形成された内周面32がそれぞれ前記絶縁被覆電線素材W′の外周面(絶縁被覆20の外周面)に全周にわたり密着するように、両金型30A,30B同士の間に前記絶縁被覆電線素材W′が挟み込まれ、この状態で両金型30A,30B同士が図略のボルトにより締結される。換言すれば、絶縁被覆電線素材W′の周囲に前記両金型30A,30Bが配置される。
この状態で、例えば前記金型30A,30Bに内蔵されたヒータにより前記絶縁被覆20を構成する熱可塑性樹脂が加熱される。この温度は、後述の圧力差の付与によって、当該熱可塑性樹脂が膨張して前記金型30A,30Bの膨出内面34に沿う形状に変形可能となる程度まで軟化する温度に設定されればよく、その具体的な値は当該熱可塑性樹脂の材質や厚みに応じて適宜設定されればよい。例えば、絶縁被覆20の材質が塩化ビニルで1mm程度の肉厚を有する場合には100°C〜130°C程度まで加熱すればよい。すなわち、この熱可塑性樹脂の加熱温度は、当該熱可塑性樹脂からなる絶縁被覆20が前記膨出内面34に対応する形状まで変形することを可能にする程度まで軟化するように設定さればよく、その具体的な温度は限定されない。
このような加熱状態で、さらに、前記真空ポンプが作動して上金型30A及び下金型30Bの内部のエアを吸引することにより負圧を形成する。これにより、当該金型30A,30B内のエアの圧力(すなわち絶縁被覆20のすぐ外側のエアの圧力)Poと、絶縁被覆20の内側の圧力Piとの間にPo<Pi(=大気圧)となる圧力差(=Pi−Po)が与えられる。この圧力差により、金型30A,30B内で加熱されて軟化した絶縁被覆20が金型30A,30Bの内側面に密着する形状、すなわち、大径部36と小径部38とが交互に並ぶ膨出内面34のうちの大径部36の領域で径方向の外向きに膨出する形状、に変形させられる。これにより、前記膨出部24以外の部分すなわち通常部分22よりも薄肉でかつ前記山部26および谷部28を含む膨出部24が形成される。このようにして、当該膨出部24をもつ絶縁被覆電線Wが製造される。
なお、前記絶縁被覆20の弾性が低くて当該絶縁被覆20と金型内周面32との密着が難しい場合には、両者間に例えばOリングが挟み込まれてもよい。また、両金型30A,30B同士の接合面のシールのためにゴムシートが両金型30A,30Bの間に挟みこまれてもよい。あるいは、絶縁被覆電線素材W′が比較的短い場合には、当該電線素材W′全体を密封するような長尺の金型が使用されてもよい。この場合も、当該金型内を排気して減圧すると、絶縁被覆電線素材W′における導体10での流路抵抗により絶縁被覆20の内側圧力Piと外側圧力Poとの間にPo<Pi(=大気圧)となる圧力差が生ずるので、前記と同様に膨出部24を形成することが可能である。
このような真空成形の他、ブロー成形によっても前記圧力差を与えることが可能である。このブロー成形は、前記絶縁被覆20の内側に圧力ガス(例えばエア)を押し込んで当該内側の圧力Piを昇圧することにより、Po(=大気圧)<Piとなる圧力差を形成するものである。
以上示した方法によれば、絶縁被覆電線素材W′の周囲に適当な形状の内面をもつ金型を配置して当該金型内で絶縁被覆20を加熱しながら当該絶縁被覆20の内側と外側との間に圧力差を与えるだけで、当該絶縁被覆20に好適な膨出部24を形成することができる。この方法では、金型内面形状と、得られる膨出部24の形状と、が対応しているので、当該金型の内面の形状の設定により、好ましい形状の膨出部24を自由に形成することが、可能である。換言すれば、要求される形状の膨出部の形成は、その形状に対応した形状の金型を用いることで容易に達成することが可能である。
なお、前記膨出部24の形成の際、前記絶縁被覆電線素材W′が加熱されるため、既に架橋された合成樹脂材料からなる絶縁被覆20には元の円筒形状に戻ろうとする復元力すなわち収縮力が生じる可能性があるが、この復元力に抗して前記の圧力差により膨出部24の形状を維持したまま前記絶縁被覆20を冷却することにより、当該膨出部24を不都合なく形成することが可能である。
前記絶縁被覆電線Wの絶縁被覆20は、膨出部24を有するのに加え、予め円筒形状にある状態で架橋された合成樹脂材料により構成されているから、例えば図6に示すように当該膨出部24において容易に曲げ変形することが可能であるのに加え、その曲げ変形後に絶縁被覆20を一定以上の温度まで加熱して元の形状に戻ろうとする復元力を発生させることにより、前記膨出部24の膨出度合いを減らしてその磨耗の促進を抑止することが可能である。
特に、前記膨出部24が図1及び図2に示すような山部26と谷部28とを交互に有する凹凸の著しい形状を有する場合、その山部26が磨耗しやすくなるが、前記絶縁被覆20の加熱による収縮で図7に示すように前記凹凸が効果的になまされ、これにより、磨耗しやすいという欠点を有効に低減させることができる。中でも、曲げ半径の大きい側すなわち曲げ方向外側の面は、他の部材と接触し易いが、この部分に作用する引張方向の曲げ応力も相俟って凹凸がほとんど存在しない面にまで復元すなわち収縮することが可能であり、これにより前記膨出部24の形状に起因する磨耗の促進は効果的に解消される。なお、図7に示すように絶縁被覆電線Wが一旦曲げられた後は、導体10の剛性によってその曲げ形状が維持されるから、絶縁被覆20の形状にある程度の復元があっても絶縁被覆電線W全体の曲げ形状を失うことはない。
前記復元力を得るために必要な加熱温度は、絶縁被覆の材質やその架橋の度合いにもよるが、例えば、特定の条件でシラン架橋が施されたポリオレフィン系樹脂は約150°Cの加熱でほぼ原形状に復元し、同様に、電子線架橋が施されたポリ塩化ビニル樹脂は70°〜170°Cの範囲内の温度で20%以上の復元(70°Cで20%、120°Cで50%の復元)が可能であることが確認されている。
このようにして材質や架橋条件と復元可能温度との関係を蓄積することにより、所望の復元可能温度を設定するといったことも可能になる。
本発明に係る絶縁被覆電線の膨出部での曲げ及びその後の絶縁被覆の形状の復元を得るための加熱が行われる場所は特に限定されない。例えば、本発明に係る絶縁被覆電線が製造される工場内で、当該絶縁被覆電線の曲げ及びその後の加熱も併せて行われ、当該加熱により膨出部の膨出度合いが低減された状態で当該絶縁被覆電線が出荷されてもよいし、当該絶縁被覆電線の配線場所の環境温度が高い場合(例えばエンジンルームに配線される場合)には、復元のための加熱が施されていない状態で当該絶縁被覆電線がその配線先に配線され、その配線後にその配線場所での環境温度を利用して絶縁被覆の形状の復元(膨出部の膨出度合いの低減)が行われてもよい。
本発明に係る絶縁被覆電線は図に示されるような円形断面を有するものに限られない。例えば、複数の導体と絶縁被覆とを含む偏平な形状のフラットケーブルであって、これらの導体がその軸方向と直交する幅方向に並んだ状態で当該導体を前記絶縁被覆が一括して覆うものであっても、当該絶縁被覆が、軸方向の一部に膨出部を有しない形状すなわち軸方向に均一な断面形状をもつ筒状の状態で架橋が施された合成樹脂材料からなり、かつ、その架橋の後に前記のような膨出部が形成されることにより、本発明の目的が達成される。
膨出部の形状も前記膨出部24のような蛇腹状のものに限られない。例えば、軸方向略全域にわたって一定の内径及び外径を有する膨出部であっても、その内径が導体の外径よりも大きいという条件、すなわち当該膨出部の内周面が導体の外周面から離間しているという条件を満たすものであれば、その膨出部にて絶縁被覆電線を容易に曲げることが可能である。また、当該膨出部が前記山部26のような山部を有するものである場合において、その山部の形状は前記山部26のような環状のものに限られない。例えば、当該山部は、外から見て網目状に形成されたものや螺旋状に形成されたものであってもよい。
W 絶縁被覆電線
W′ 絶縁被覆電線素材
10 導体
20 絶縁被覆
22 通常部分
24 膨出部
26 山部
28 谷部
30A 上金型
30B 下金型
34 膨出内面

Claims (5)

  1. 絶縁被覆電線であって、
    導体と、
    絶縁性を有する合成樹脂材料からなり、前記導体を被覆する絶縁被覆と、を備え、
    前記絶縁被覆は、その軸方向の一部の箇所に形成される膨出部を含み、この膨出部は、前記導体の外周面から前記絶縁被覆電線の径方向の外側に離間するように膨出し、
    前記膨出部を含む絶縁被覆は、軸方向に均一な断面形状をもつ筒状にある状態で架橋された合成樹脂材料により構成されている、絶縁被覆電線。
  2. 請求項1記載の絶縁被覆電線であって、前記膨出部は、前記導体の外周面から前記絶縁被覆電線の径方向の外側に離間するように膨出する複数の山部と、この山部の外径よりも小さい外径と当該山部の内径よりも小さな内径とを有する複数の谷部とが軸方向に交互に並ぶ形状を有する、絶縁被覆電線。
  3. 請求項1記載の絶縁被覆電線であって、前記膨出部は、軸方向に間欠的に並ぶ複数の位置にそれぞれ形成されている、絶縁被覆電線。
  4. 特定箇所で曲げられた絶縁被覆電線を製造するための方法であって、
    導体と絶縁性を有する熱可塑性樹脂材料からなって前記導体を被覆する絶縁被覆とを有する絶縁被覆電線素材を用意する工程と、
    当該絶縁被覆が軸方向に均一な断面形状をもつ筒状にある状態で当該絶縁被覆を構成する前記熱可塑性樹脂に架橋を施す工程と、
    前記絶縁被覆の軸方向の一部に前記導体の外周面から外側に離間するように膨出する膨出部を形成して絶縁被覆電線を製造する工程と、
    この膨出部にて前記絶縁被覆電線を曲げた状態で前記絶縁被覆を加熱することにより当該絶縁被覆を前記架橋時の形状に戻る方向に変形させて前記膨出部の膨出度合いを減らす工程と、を含む、曲げられた絶縁被覆電線の製造方法。
  5. 請求項4記載の曲げられた絶縁被覆電線の製造方法であって、前記膨出部を形成する工程は、前記絶縁被覆電線素材の外周面に対して径方向外側に膨出する形状の膨出内面を有する金型を配置する工程と、当該金型内において前記絶縁被覆を構成する熱可塑性樹脂材料を加熱して軟化させるとともに当該絶縁被覆の内側の圧力が前記金型内における当該絶縁被覆の外側の圧力よりも高くなるような圧力差を与えることにより、当該絶縁被覆に、前記金型の膨出内面に沿った形状の膨出部を有する膨出部であって、前記膨出部が前記導体の外周面から前記絶縁被覆電線の径方向の外側に離間するように膨出する膨出部を形成する工程と、を含む、曲げられた絶縁被覆電線の製造方法。

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