JP2015103424A - 絶縁被覆電線及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】曲げ形状を確実に保持できる絶縁被覆電線及びその製造方法を提供する。【解決手段】電線本体Wは、導体10と、絶縁被覆20と、形状保持材40と、を備える。絶縁被覆20は、導体10の外周面から径方向外側に離間するように膨出する膨出部24を有する。電線本体Wは、前記膨出部24にて曲げられる。前記形状保持材40は、その曲げられた膨出部24の内側に入れられることにより当該膨出部24の曲げ形状を固定する。【選択図】 図8

Description

本発明は、自動車等に配索される絶縁被覆電線及びその製造方法に関する。
絶縁被覆電線は、導体と、これを被覆する絶縁被覆と、を備える。このような絶縁被覆電線が自動車等に配索される場合、その配索場所に適した形状となるように適当な箇所で曲げられながら使用される。しかしながら、例えば互いに近接するバッテリ端子を接続する電線のように、大電流を流すために大きな径を与えられた電線では、絶縁被覆の剛性が高いため、これを曲げても復元する力が強く、その曲げ形状を保持することは難しい。
従来、このような絶縁被覆電線の曲げ形状を保持するための技術として、特許文献1に記載されるワイヤハーネスが知られている。このワイヤハーネスは、電線と、その周囲に配置される筒状のコルゲートチューブと、を備える。コルゲートチューブは凸部と凹部とが交互に並ぶ蛇腹状をなし、前記電線の曲げに追従して変形可能である。そして、電線が曲げられた状態で前記コルゲートチューブの凹部に接着剤入りの充填材が充填され、硬化されることにより、当該電線の曲げ形状が保持される。
特開2013−42646号公報
前記ワイヤハーネスでは、電線の曲げ形状を保持するために電線とは別のコルゲートチューブを具備しなければならず、構造の複雑化及び大型化は避けられない。また、作業も面倒である。しかも、前記のような大径で剛性の高い電線を曲げて使用する場合、その大きな復元力に対向して当該電線の曲げ形状を前記のような接着剤のみで確実に保持することは困難である。
本発明の目的は、構造の複雑化及び大型化を抑えながら、曲げ形状を確実に保持することが可能な絶縁被覆電線及び当該絶縁被覆電線を容易に製造することが可能な方法を提供することにある。
本発明者らは、当該目的を達成するための手段として、絶縁被覆電線の導体と絶縁被覆との密着性に着目した。一般に、絶縁被覆電線の導体と絶縁被覆とは互いに強く密着していて両者が相対変位をすることが困難であるが、当該導体から部分的に当該絶縁被覆を外側に離間させて両者の相対変位を可能にすることにより、その部位での曲げ変形が容易になり、その分当該曲げ状態から元の形状に戻ろうとする復元力は小さくなる。そして、その曲げられた導体と絶縁被覆との隙間に形状保持のための材料を入れることにより、その曲げ形状を確実に保持することができる。
本発明は、このような観点からなされたものである。本発明が提供する絶縁被覆電線は、導体と、絶縁性を有する合成樹脂材料からなり、前記導体を被覆する絶縁被覆と、前記導体及び前記絶縁被覆の曲げ形状を保持するための形状保持材と、を備える。前記絶縁被覆は、前記導体の外周面から前記絶縁被覆電線の径方向の外側に離間するように部分的に膨出する膨出部を含み、この膨出部において当該導体及び当該絶縁被覆が曲げられている。前記形状保持材は、このように曲げられた膨出部の内側の空間に入れられることにより、当該膨出部の曲げ形状を保持する。
この絶縁被覆電線によれば、絶縁被覆のうちの膨出部が導体の外周面から外側に離間しており、この部分で曲げが行われているために、その曲げられた状態から直線形状に戻ろうとする復元力は小さく、よって、当該膨出部の内側の空間に形状保持材が入れられて硬化することによって、コルゲートチューブなどの特別な部材を用いることなく前記膨出部での曲げ形状を確実に保持することが可能である。
前記膨出部の形状としては、複数の山部と、この山部の外径よりも小さい外径と当該山部の内径よりも小さな内径とを有する複数の谷部とが軸方向に交互に並ぶ蛇腹形状を有するものが、好適である。この形状は、導体と絶縁被覆との離間による曲げ剛性の低下に加え、絶縁被覆そのものの曲げ剛性も効果的に低減させることができる。あるいは、本発明では、前記膨出部が軸方向に間欠的に並ぶ複数の位置にそれぞれ形成されてもよい。
また本発明は、前記絶縁被覆電線を製造するための方法を提供する。この方法は、導体とこの導体を被覆する絶縁被覆とを有する電線本体であって、前記絶縁被覆が前記導体の外周面から前記絶縁被覆電線の径方向の外側に離間するように部分的に膨出する膨出部を含む電線本体を用意する工程と、この電線本体を前記膨出部にて曲げ、その曲げ状態で当該膨出部の内側に流動状態の形状保持材を注入する工程と、前記曲げ状態を保持したまま当該膨出部内で当該形状保持材を硬化させることにより当該膨出部の曲げ形状を固定する工程と、を含む。
ここで、前記形状保持材としては、流動状態から硬化して固形状態となることが可能なものであればよく、例えば、エポキシ系樹脂、紫外線硬化樹脂、シリコーン樹脂などが好適である。
前記絶縁被覆電線素材を用意する工程としては、前記導体と前記絶縁被覆とを含み、かつ当該絶縁被覆が円筒状をなす絶縁被覆電線素材を用意する工程と、前記絶縁被覆電線素材の軸方向の少なくとも一部の箇所の周囲に当該絶縁被覆電線素材の外周面に対して径方向外側に膨出する形状の膨出内面を有する金型を配置する工程と、当該金型内において前記絶縁被覆を構成する熱可塑性樹脂材料を加熱して軟化させるとともに当該絶縁被覆の内側の圧力が前記金型内における当該絶縁被覆の外側の圧力よりも高くなるような圧力差を与えることにより、当該絶縁被覆に、前記金型の膨出内面に沿った形状の膨出部を形成する工程と、を含む。
ここで、「熱可塑性樹脂材料を加熱して軟化させる」とは、前記圧力差の付与により当該熱可塑性樹脂が膨張して前記金型の膨出内面に沿う形状に変形可能となる程度まで軟化するように加熱することを意味し、その具体的な加熱温度は、当該熱可塑性樹脂の材質や厚みに応じて適宜設定されればよい。
この絶縁被覆電線の製造方法によれば、絶縁被覆電線素材の周囲に金型を配置して当該金型内で絶縁被覆を加熱しながらその内外に圧力差を与えるだけで、当該絶縁被覆に好適な膨出部を形成することができる。この方法では、前記金型の膨出内面の形状とこれにより得られる膨出部の形状とが対応しているので、当該膨出内面の形状の設定により、好ましい形状の膨出部を自由に形成することが、可能である。つまり、好ましい形状の電線本体を容易に製造することができる。
前記金型内における絶縁被覆の内側の圧力と外側の圧力との間に圧力差を与えるには、当該金型内を排気して減圧してもよいし、当該絶縁被覆電線素材の少なくとも一方の端部から前記金型内で加熱している絶縁被覆の内側に空気等のガスを押し込んでもよい。前者の場合には、特別な加圧ガスを用いることなく所望の膨出部を形成することができる。
以上のように、本発明によれば、構造の複雑化及び大型化を抑えながら、曲げ形状を確実に保持することが可能な絶縁被覆電線及び当該絶縁被覆電線を容易に製造することが可能な方法を提供することができる。
本発明の実施の形態に係る絶縁被覆電線を構成する電線本体が曲げられる前の状態における当該電線本体の要部を示す断面斜視図である。 図1に示される状態における前記電線本体の要部を示す断面正面図である。 前記電線本体の膨出部を真空成形によって形成するための下金型及び上金型を絶縁被覆電線素材の周囲に配置した状態を示す斜視図である。 前記下金型及び上金型を前記絶縁被覆電線素材の周囲に配置した状態を示す断面正面図である。 前記下金型の平面図である。 前記電線本体を膨出部にて曲げた状態を示す斜視図である。 前記電線本体を前記膨出部にて曲げた状態を示す断面正面図である。 前記電線本体が曲げ状態に保たれたままその膨出部の内側に形状保持材が充填された状態を示す断面正面図である。
本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
この実施の形態に係る絶縁被覆電線は、図1及び図2に示す電線本体Wと、図8に示される形状保持材40と、を備える。
図1及び図2は、電線本体Wが曲げられる前の状態を示している。この電線本体Wは、導体10と、これを被覆する絶縁被覆20と、を備える。前記導体10は、高い導電性を有するものであればよく、例えば、銅などの良導電性金属材料からなる単一の素線または互いに束ねられた複数の素線により構成される。当該導体10が複数の素線を含む場合に、後述の効果はより有効となる。絶縁被覆20は、絶縁性を有する合成樹脂材料からなる。この絶縁被覆20の具体的な材質は特に限定されないが、後述のようにして電線本体Wの製造を行うためには、熱可塑性樹脂であることが、好ましい。
この電線本体Wの特徴として、前記絶縁被覆20は、その軸方向の一部の箇所に膨出部24を有する。この膨出部24は、前記導体10の外周面から電線本体Wの径方向の外側に離間するように部分的に膨出する部分である。換言すれば、この膨出部24以外の通常部分22は、その内周面が前記導体10の外周面に密着した状態にある。
この実施の形態に係る膨出部24は、さらに、前記通常部分22よりも曲げ剛性の低い形状を有する。具体的に、当該膨出部24は、複数の大径部すなわち山部26と複数の小径部すなわち谷部28とが軸方向に交互に並ぶ形状、すなわち、いわゆる蛇腹状をなす。前記各山部26は、その内周面が前記導体10の外周面から径方向の外側に大きく離間するように当該径方向の外側に膨出する形状を有する。一方、前記各谷部28は、前記山部26の外径よりも小さい外径と、前記山部26の内径よりも小さい内径と、を有する。すなわち、この実施形態に係る膨出部24は、その内径及び外径が軸方向について繰り返し増減する形状を有する。
前記各谷部28の内周面28aは全周にわたって導体10の外周面から僅かな隙間をおいて離間している。この隙間は、後述のように形状保持材40を膨出部24の内部全域に行き渡らせることを容易にするものである。しかし、本発明は前記内周面28aが導体10に密着していている態様を除外しない。この態様については、前記各山部26のみが本発明に係る膨出部を構成する、つまり、複数の膨出部が軸方向に間欠的に並ぶ、ことになる。
この電線本体Wでは、膨出部24における複数の山部26がそれぞれ導体10から径方向の外側に離間しているため、膨出部24以外の通常部分22に比べ、小さな曲げ荷重で当該膨出部24に対応する部分に曲げ変形を生じさせることができる。このことは、換言すれば、当該膨出部24で曲げられたときの電線本体Wの復元力を低下させることに寄与する。そして、その曲げられた状態にある膨出部24の内側に図8に示すような形状保持材40が入れられることによって、当該膨出部24での電線本体Wの曲げ形状が確実に保持される。
次に、この実施の形態に係る絶縁被覆電線の製造方法について説明する。この方法は、概して、1)以上説明した電線本体Wを用意する工程と、2)この電線本体Wを前記膨出部24にて曲げて形状保持材40を入れる工程と、3)当該形状保持材40を硬化させて曲げ形状を固定する工程と、を含む。以下、各工程について詳述する。
1)電線本体Wを用意する工程
本発明において、前記電線本体Wの製造方法は特に限定されないが、当該電線本体Wは、例えば以下の工程を含む方法により、合理的かつ容易に製造されることが可能である。
1−1)予備工程(絶縁被覆電線素材準備工程)
この工程では、前記の導体10と絶縁被覆20とを有する通常の(すなわち絶縁被覆20の肉厚及び径が均一の)絶縁被覆電線素材が準備される。この絶縁被覆電線素材は、通常の被覆電線と同様、例えば押出し成形によって生産されることが可能である。前記絶縁被覆20の材質としては、後の加熱状態での成形のために、絶縁性に加えて熱可塑性を有する樹脂が用いられる。具体的には、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、架橋ポリエチレン、エチレン−エチルアクリルレート共重合樹脂、サーモプラスチックポリウレタン共重合樹脂、塩化ビニルなど、が好適である。
1−2)金型配置工程及び膨出部形成工程
これらの工程では、前記絶縁被覆電線素材の軸方向の少なくとも一部の箇所の周囲に、前記膨出部24を形成するための金型が配置され、その状態で膨出部24の形成が行われる。換言すれば、当該金型の内部に前記絶縁被覆電線素材の軸方向の少なくとも一部が配置され、当該金型の内部で前記膨出部24の形成が行われる。この膨出部24の形成は、当該膨出部24の形成箇所における絶縁被覆20の内側の圧力と外側の圧力(すなわち金型内の圧力)との間に前者の圧力の方が高いような圧力差を与えることにより、行われる。このような圧力差を利用した膨出部24の形成は、例えば、次の真空成形が好適である。
この真空成形は、絶縁被覆20の外側空間を減圧することにより前記圧力差を形成するものであり、例えば図3〜図5に示すような上金型30A及び下金型30B(図5は下金型30Bのみ図示)の使用により、実現される。
上金型30A及び下金型30Bは、図3〜図5に示す絶縁被覆電線素材W′のうちの膨出部形成部位及びその近傍部位のみを上下から挟みこむ形状を有する。具体的に、両金型30A,30Bの軸方向両端部は、前記絶縁被覆電線素材W′の外周面に対応する断面半円状の半割内周面32をそれぞれ有し、軸方向中央部分は、形成目標となる膨出部24の外側面形状に対応した形状の膨出内面34を有する。すなわち、この膨出内面34は、前記山部26の外周面に対応した寸法で径方向の外向きに膨出する大径部36と、前記谷部28の外周面に対応した内径を有する小径部38と、を有する。
前記各金型30A,30Bの外側面には、図略の真空ポンプに接続される部分である凹部31が形成され、この凹部31の底面と前記内側面32の複数の箇所(図4及び図5に示す例では、前記各山部26に対応する各大径部36すなわち径方向外向きに大きく膨出する部分、の内面)とを連通するように複数のエア吸引孔35が各金型30A,30Bが形成されている。従って、各エア吸引孔35に前記真空ポンプが接続されることが可能である。
真空成形の際には、前記上金型30A及び前記下金型30Bのうちその軸方向両端部に形成された内周面32がそれぞれ前記絶縁被覆電線素材W′の外周面(絶縁被覆20の外周面)に全周にわたり密着するように、両金型30A,30B同士の間に前記絶縁被覆電線素材W′が挟み込まれ、この状態で両金型30A,30B同士が図略のボルトにより締結される。換言すれば、絶縁被覆電線素材W′の周囲に前記両金型30A,30Bが配置される。
この状態で、例えば前記金型30A,30Bに内蔵されたヒータにより前記絶縁被覆20を構成する熱可塑性樹脂が加熱される。この温度は、後述の圧力差の付与によって、当該熱可塑性樹脂が膨張して前記金型30A,30Bの膨出内面34に沿う形状に変形可能となる程度まで軟化する温度に設定されればよく、その具体的な値は当該熱可塑性樹脂の材質や厚みに応じて適宜設定されればよい。例えば、絶縁被覆20の材質が塩化ビニルで1mm程度の肉厚を有する場合には100°C〜130°C程度まで加熱すればよい。すなわち、この熱可塑性樹脂の加熱温度は、当該熱可塑性樹脂からなる絶縁被覆20が前記膨出内面34に対応する形状まで変形することを可能にする程度まで軟化するように設定さればよく、その具体的な温度は限定されない。
このような加熱状態で、さらに、前記真空ポンプが作動して上金型30A及び下金型30Bの内部のエアを吸引することにより負圧を形成する。これにより、当該金型30A,30B内のエアの圧力(すなわち絶縁被覆20のすぐ外側のエアの圧力)Poと、絶縁被覆20の内側の圧力Piとの間にPo<Pi(=大気圧)となる圧力差(=Pi−Po)が与えられる。この圧力差により、金型30A,30B内で加熱されて軟化した絶縁被覆20が金型30A,30Bの内側面に密着する形状、すなわち、大径部36と小径部38とが交互に並ぶ膨出内面34のうちの大径部36の領域で径方向の外向きに膨出する形状、に変形させられる。これにより、前記膨出部24以外の部分すなわち通常部分22よりも薄肉でかつ前記山部26および谷部28を含む膨出部24が形成される。このようにして、当該膨出部24をもつ電線本体Wが製造される。
なお、前記絶縁被覆20の弾性が低くて当該絶縁被覆20と金型内周面32との密着が難しい場合には、両者間に例えばOリングが挟み込まれてもよい。また、両金型30A,30B同士の接合面のシールのためにゴムシートが両金型30A,30Bの間に挟みこまれてもよい。あるいは、絶縁被覆電線素材W′が比較的短い場合には、当該電線素材W′全体を密封するような長尺の金型が使用されてもよい。この場合も、当該金型内を排気して減圧すると、絶縁被覆電線素材W′における導体10での流路抵抗により絶縁被覆20の内側圧力Piと外側圧力Poとの間にPo<Pi(=大気圧)となる圧力差が生ずるので、前記と同様に膨出部24を形成することが可能である。
このような真空成形の他、ブロー成形によっても前記圧力差を与えることが可能である。このブロー成形は、前記絶縁被覆20の内側に圧力ガス(例えばエア)を押し込んで当該内側の圧力Piを昇圧することにより、Po(=大気圧)<Piとなる圧力差を形成するものである。
以上示した方法によれば、絶縁被覆電線素材W′の周囲に適当な形状の内面をもつ金型を配置して当該金型内で絶縁被覆20を加熱しながら当該絶縁被覆20の内側と外側との間に圧力差を与えるだけで、当該絶縁被覆20に好適な膨出部24を形成することができる。この方法では、金型内面形状と、得られる膨出部24の形状と、が対応しているので、当該金型の内面の形状の設定により、好ましい形状の膨出部24を自由に形成することが、可能である。換言すれば、要求される形状の膨出部の形成は、その形状に対応した形状の金型を用いることで容易に達成することが可能である。
2)膨出部24を曲げて形状保持材40を入れる工程
前記のようにして用意された電線本体Wがその膨出部24で所望の形状、例えば図6及び図7に示すような形状、に曲げられ、その曲げ状態を保ったまま当該膨出部24に図8に示すような形状保持材40が入れられる。
前記のように、膨出部24は他の通常部分22に比べて曲げ剛性が小さいため、容易に曲げることが可能であり、またその曲げた状態での復元力も比較的小さい。従って、その曲げ状態を小さい保持力で維持することが可能である。
前記形状保持材40としては、流動状態で前記膨出部24内に注入されることができ、かつ、その注入後に硬化するものが、好適である。具体的には、エポキシ系樹脂、紫外線硬化樹脂、シリコーン樹脂などが好適である。
前記形状保持材40を前記膨出部24内に注入するには、当該膨出部24にこれを貫通する少なくとも一つの注入用の孔27(図7)が設けられるのがよい。この孔27は、例えば電線本体Wが形成された後にその膨出部24の適所に加工されてもよいし、前記金型30A,30Bの工夫により成形段階で形成されてもよい。あるいは、注射器の針が前記膨出部24に突き通されて当該注射器から前記膨出部24内に直接前記形状保持材40が注入されてもよい。
この実施の形態のように膨出部24が蛇腹状をなす場合、その谷部28の内周面と導体10との間に隙間が確保されていることは、当該膨出部24内に形状保持材40を容易に行き渡らせることを可能にする。具体的には、当該膨出部24の1箇所ないしは比較的少ない複数の箇所から形状保持材40を注入することにより、当該形状保持材40を各谷部28の内側の隙間を通じて膨出部24全体に行き渡らせることが可能である。逆に、前記谷部28が導体10の外周面に密着している場合、すなわち、前記山部26及び前記谷部28のうちの山部26のみが膨出部を構成する場合、換言すれば、軸方向に並ぶ複数の位置に膨出部が間欠的に形成されている場合、には、各膨出部について前記形状保持材40の注入が行われればよい。
3)形状保持材40を硬化させて曲げ形状を固定する工程
前記膨出部24の曲げ状態が保持されたままその内側で前記形状保持材40が硬化することにより、当該膨出部24の曲げ形状が固定される。このように、形状保持材40が膨出部24の内側で硬化するため、従来のようにコルゲートチューブといった追加的な部材を用いることなく電線本体Wの曲げ形状を固定することができる。しかも、膨出部24の曲げ剛性が低いことから、当該膨出部24がその曲げ状態から復元しようとする力は小さい。すなわち、絶縁被覆20から形状保持材40に加えられる復元力は小さく、よって当該形状保持材40の機械的負荷が小さい。このように、膨出部24は、その内部に形状保持材40を受け入れることによりコルゲートチューブなどの特別な部材を用いることを不要にするという役割と、電線本体W自体の曲げ剛性を下げて形状保持材40の負担を軽減することにより当該形状保持材40による曲げ形状の保持を確実にするという役割と、を同時に担うという顕著な特徴を有する。
ここで、前記形状保持材40は必ずしも膨出部24内を完全に満たしていなくてもよい。例えば、山部26の外周部分に形状保持材40が到達していない空間が多少残されていても、前記形状保持材40の硬化によって前記膨出部24の形状が固定されるのであれば、本発明の目的は達成される。
本発明に係る絶縁被覆電線は図に示されるような円形断面を有するものに限られない。例えば、複数の導体と絶縁被覆とを含む偏平な形状のフラットケーブルであって、これらの導体がその軸方向と直交する幅方向に並んだ状態で当該導体を前記絶縁被覆が一括して覆うものであっても、当該絶縁被覆に前記のような膨出部が形成され、その内側に形状保持材が入れられることにより、本発明の目的が達成される。
膨出部の形状も前記膨出部24のような蛇腹状のものに限られない。例えば、軸方向略全域にわたって一定の内径及び外径を有する膨出部であっても、その内径が導体の外径よりも大きいという条件、すなわち当該膨出部の内周面が導体の外周面から離間しているという条件を満たすものであれば、その内部に形状保持材を受け入れるという役割及び電線本体の曲げ剛性を下げるという役割を果たすことが可能である。また、当該膨出部が前記山部26のような山部を有するものである場合において、その山部の形状は前記山部26のような環状のものに限られない。例えば、当該山部は、外から見て網目状に形成されたものや螺旋状に形成されたものであってもよい。
W 電線本体
W′ 絶縁被覆電線素材
10 導体
20 絶縁被覆
22 通常部分
24 膨出部
26 山部
28 谷部
30A 上金型
30B 下金型
34 膨出内面
40 形状保持材

Claims (5)

  1. 絶縁被覆電線であって、
    導体と、
    絶縁性を有する合成樹脂材料からなり、前記導体を被覆する絶縁被覆と、
    前記導体及び前記絶縁被覆の曲げ形状を保持するための形状保持材と、を備え、
    前記絶縁被覆は、前記導体の外周面から前記絶縁被覆電線の径方向の外側に離間するように部分的に膨出する膨出部を含み、この膨出部において当該導体及び当該絶縁被覆が曲げられており、
    前記形状保持材は、曲げられた前記膨出部の内側の空間に入れられることにより、当該膨出部の曲げ形状を保持する、絶縁被覆電線。
  2. 請求項1記載の絶縁被覆電線であって、前記膨出部は、複数の山部と、この山部の外径よりも小さい外径と当該山部の内径よりも小さな内径とを有する複数の谷部とが軸方向に交互に並ぶ蛇腹形状を有する、絶縁被覆電線。
  3. 請求項1記載の絶縁被覆電線であって、複数の膨出部が軸方向に並ぶ複数の位置に間欠的に形成されている、絶縁被覆電線。
  4. 絶縁被覆電線を製造するための方法であって、
    導体とこの導体を被覆する絶縁被覆とを有する電線本体であって、前記絶縁被覆が前記導体の外周面から前記絶縁被覆電線の径方向の外側に離間するように部分的に膨出する膨出部を含む電線本体を用意する工程と、
    この電線本体を前記膨出部にて曲げ、その曲げ状態で当該膨出部の内側に流動状態の形状保持材を注入する工程と、
    前記曲げ状態を保持したまま当該膨出部内で当該形状保持材を硬化させることにより当該膨出部の曲げ形状を固定する工程と、を含む、絶縁被覆電線の製造方法。
  5. 請求項4記載の絶縁被覆電線の製造方法であって、前記絶縁被覆電線素材を用意する工程は、前記導体と前記絶縁被覆とを含み、かつ当該絶縁被覆が円筒状をなす絶縁被覆電線素材を用意する工程と、前記絶縁被覆電線素材の軸方向の少なくとも一部の箇所の周囲に当該絶縁被覆電線素材の外周面に対して径方向外側に膨出する形状の膨出内面を有する金型を配置する工程と、当該金型内において前記絶縁被覆を構成する熱可塑性樹脂材料を加熱して軟化させるとともに当該絶縁被覆の内側の圧力が前記金型内における当該絶縁被覆の外側の圧力よりも高くなるような圧力差を与えることにより、当該絶縁被覆に、前記金型の膨出内面に沿った形状の膨出部を形成する工程と、を含む、絶縁被覆電線の製造方法。

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