JP5953975B2 - 洗浄媒体飛散防止部材、洗浄対象物保持体及び乾式洗浄装置 - Google Patents
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Description
このようなマスク治具は、繰り返し使用されるうちに、フラックスが表面に堆積して固着しマスクの精度を下げるため、定期的に洗浄する必要があった。
しかしながら、溶剤を用いる洗浄装置を、フラックス等が付着した洗浄対象物の洗浄に使用した場合、溶剤を大量に使用するだけでなくフラックス等を含んだ廃液の処理及び洗浄後の乾燥処理におけるエネルギーの消費といった環境負荷が大きく、高コストになるという問題がある。
この洗浄装置は、洗浄媒体が洗浄槽の内部で循環して、洗浄対象物に繰り返し衝突するため、少量の洗浄媒体でかつ乾式であっても大きな洗浄効果を発揮する。
特に、可撓性を有する薄片状の洗浄媒体を用いることで、さらに少量の洗浄媒体の使用量で超音波洗浄と同等以上の洗浄能力を発揮することができることが明らかになっている。
この洗浄装置では、洗浄媒体が洗浄槽外に漏出することを防ぎ、洗浄媒体が飛翔する空間内に洗浄媒体を速やかに戻すことで、洗浄対象物に衝突する洗浄媒体の数量を維持し、安定した洗浄能力を得ることができる。
この装置を具体的に説明すると、図15に示すように、半円筒状の洗浄槽6の開口部6a側に洗浄対象物(フローパレット)4を保持した洗浄対象物保持体3をセットする構成となっている。
洗浄槽6の開口部側には、洗浄媒体5が滞留するプール部19が形成され、洗浄対象物保持体3は洗浄対象物4を保持した状態でプール部19を図中左右方向に移動する。洗浄媒体5は樹脂製の薄片状であるが本図では分かりやすくするために、丸形状で表示している。
洗浄媒体5は図示しない吸引装置に接続された吸引管18による吸引により洗浄槽6の飛翔空間内に戻され、再度飛翔する動作が繰り返される。
また、飛翔運動エネルギーが消失してプール部19に滞留した洗浄媒体5は、洗浄対象物保持体3の下面に設けられたスクレーパ26で洗浄槽へ戻される。
洗浄対象物保持体3は、ウレタンゴム又は発泡樹脂などの弾性のある部材で構成されており、洗浄対象物4を洗浄対象物保持部23に押し込んで摩擦力で保持固定するようになっている。
洗浄対象物保持体3は、洗浄媒体によって洗浄するための気流が漏れず、洗浄媒体5が詰まってしまうような間隙を有さない構成となっている。これは、洗浄対象物であるフローパレットが複数の開口を有する板状の部材であるため、洗浄対象物をそのまま洗浄槽の開口部にセットすると、圧縮空気で加速された洗浄媒体が洗浄対象物の開口から飛散してしまい、洗浄槽内で循環しなくなり、洗浄能力が維持できないことを防止するためである。
洗浄対象物保持体3の洗浄対象物保持部23に洗浄対象物4を押し込み、洗浄対象物保持体3を裏返しにして洗浄槽ユニット2のプール部19にセットする。洗浄時には、洗浄対象物保持体3が図示しない移動機構によりスライドされ、洗浄面の移動がなされる。
図16において、符号20はリニアガイドを、21はプール部19の側面ガイドを示している。
・洗浄対象物の形状に合わせた凹形状の洗浄対象物保持部を有する構成では、その形状の洗浄対象物しか保持できず汎用性がない。すなわち、異なる形状の洗浄対象物に対応する場合には洗浄対象物毎の洗浄対象物保持体を用意しなければならない。
・洗浄対象物保持体に洗浄対象物をセットしたあと、洗浄対象物を洗浄槽側に向けるために、反転させて設置する必要があり、操作がわずらわしい。また、大型の洗浄対象物であれば反転動作そのものが困難であり、労力を要する。
・摩擦による保持は確実ではなく、洗浄槽内に発生する負圧によって吸引され、洗浄対象物保持体から洗浄対象物が外れてしまう可能性がある。
洗浄装置に固定された洗浄対象物保持体の枠内に洗浄対象物を上方から入れ、枠の底面側で保持ピンにより洗浄対象物を支持するものである。
枠のサイズは洗浄対象物の外形に一致するように設計されており、外形が異なる洗浄対象物に対しては、枠の一辺をスライドさせて調整するようになっている。
洗浄対象物がフローパレットである場合、作業者はまず、プリント基板もしくはプリント基板と同サイズの板部材をフローパレットの洗浄面とは反対側の面にセットして、フローパレットの開口を塞ぎ、次に枠の中にフローパレット及び板部材を入れ、保持ピンで支持された状態で固定する。
フローパレットの開口は上記板部材によって塞がれ、フローパレットの側面は洗浄対象物保持体の枠内面と密接するため、洗浄媒体が飛散する隙間をなくすことができる。この場合、板部材は洗浄媒体飛散防止部材として機能することとなる。
(1)洗浄対象物の縦横のサイズが同時に変動する場合に対応できない。
(2)洗浄対象物が四角形以外の形状の場合に対応できない。
(3)複数の種類の洗浄対象物を混在して洗浄する際に段取り変えの負荷が大きい。
図1乃至図4に基づいて、第1の実施形態を説明する。図1は、本実施形態に係る乾式洗浄装置1の要部を示している。乾式洗浄装置1は、洗浄槽ユニット2と、洗浄対象物保持体12とを有している。
洗浄槽ユニット2は、洗浄槽6と、洗浄媒体加速部7と、プール部19とを有している。洗浄槽6の吸引管18が対向する部分には、分離部10が設けられている。分離部10と吸引管18との間には、洗浄槽6から外部に膨らむように形成された空隙部8が形成されている。
洗浄槽6は、両側が閉塞された半円筒形に形成され、上部に開口部6aを有している。空隙部8は断面半円形状で洗浄槽6の長手方向に延びている。
分離部10は、気体及び粉塵などは通過することができるが、洗浄媒体5が通過できないよう小孔又はスリットを多数有する。分離部10は、例えば、金網、プラスチック網、メッシュ、パンチングメタル、又はスリット板といった多孔性部材で洗浄媒体が滞留しない滑らかな形状に形成される。
特許文献1の図1に記載されているように、洗浄槽6は、洗浄槽本体の内部に分離部を設けた二重構造としてもよい。
洗浄媒体加速部7は、複数の噴出口を有する洗浄媒体加速ノズル11と、コンプレッサからなる図示しない圧縮空気供給装置を有している。
洗浄媒体加速ノズル11は、複数の噴出口が洗浄槽の底面中心に沿って一直線になるように配置されている。洗浄媒体加速ノズル11は図示しない圧縮空気供給装置に、制御弁を有する送気管を介して接続されている。圧縮空気供給装置は洗浄媒体加速ノズルに圧縮空気を供給し、洗浄媒体5を飛翔させる。
また、リニアガイド20は洗浄対象物保持体12を保持し、プール部の平行な側面ガイド21とともに洗浄対象物保持体12の図中左右方向の移動を案内する。
洗浄対象物保持体12は、例えば、直動モータ、エアシリンダ又はワイヤー駆動部等の図示しない駆動部に接続されている。図示しない制御装置からの制御信号により駆動部が駆動され、洗浄槽ユニットの動作と並行してプール部に沿って洗浄対象物保持体12が移動する。プール部は、洗浄対象物保持体12で保持された洗浄対象物の移動範囲以上の面積を有している。
保持枠14は、開口部6aの面積よりも大きい輪郭を有し、開口部6aの上方を覆う矩形の枠形状をなすベース部28と、ベース部28の四辺から上方に立ち上げられた枠壁30とを有している。枠壁30は板金折り曲げ加工によって矩形の枠体として形成されており、各枠壁30の上端部は、保持枠14内に洗浄媒体飛散防止部材22Aを入れやすくするために外側に折り曲げられている。
ベース部28の対向する辺部には、内方へ突出して洗浄対象物4を支持する保持ピン32が設けられている。また、ベース部28の下面には、プール部19に溜まった洗浄媒体5を洗浄槽6側へ戻す漏れ防止部材34が設けられている。漏れ防止部材34は、密状態に植毛されたブラシ状部材から構成されており、洗浄媒体5の漏れは防止するが空気の通りは許容する。
アーム38を洗浄媒体飛散防止部材22A側に回動して押圧し、図示しないレバーを操作することにより押圧状態がロックされるようになっている。
押圧手段24は、洗浄対象物4に対する保持枠14の最大保持面積を押圧可能に4箇所に対向して配置されており(図8参照)、各調整パッド40の位置を調整することにより、4箇所での押圧力を均一にすることができる。ベース部28に対する支持部材36の位置は固定してもよいが、着脱自在なネジ固定方式とし、押圧位置を変えられるようにしてもよい。
表面材46は、芯材42の追従変形性を阻害せず且つ洗浄媒体5の衝突に対し耐摩耗性を有する材料で形成されている。
本実施形態では、芯材42は低反発性ウレタンスポンジから構成されており、表面材46はストレッチ生地から構成されている。表面材46の上端は面板44に接着等の手段で固定されており(図1では省略)、装置とは分離した1つのユニットとしてなる。
ここで、「低反発性」とは、厳密には低反発弾性であり、反発弾性率が15%程度以下(JIS K 6400-3)のものであり、低反発性の発泡材とは、例えば、ポリウレタン樹脂を組成とした連通気泡の発泡体である。
まず、洗浄槽6に洗浄対象物4の洗浄に適した量(予め実験により求められている)の洗浄媒体5を投入する。
次に、図3(a)に示すように、保持枠14内に洗浄対象物としてのフローパレット4を挿入し、保持ピン32で支持された状態に載置する。次に、洗浄媒体飛散防止部材22Aをその上から保持枠14に挿入する。保持枠14と洗浄媒体飛散防止部材22Aとの間には若干の隙間があり、容易に挿入することができる。
洗浄媒体飛散防止部材22Aを挿入しただけの状態では、洗浄媒体飛散防止部材22Aの下面がフローパレット4の最も高さの大きい凸部4aで規制される。このままの状態で洗浄がなされると、保持枠14の上方外側へ洗浄媒体5が飛散することは防止されるが、洗浄媒体5がフローパレット4の両側における保持枠14との間の隙間やフローパレット4の開口4bを通ってフローパレット4の上面に堆積し、洗浄時間の経過とともに洗浄媒体5の数量が減って洗浄能力が低下していくことを避けられない。
図3において、符号4dは、洗浄対象物4を保持ピン32に載置するための載置片4dを示している。
図4に示すように、保持枠14内のフローパレット4の上部を剛性板材やゴム板等の部材50で塞いでも、洗浄媒体5が載置片4dを含むフローパレット4の上面に堆積してその数量が低下する。
特許文献1に記載の「凹部に弾性で保持する方式」ではこの問題を解消できるが、上述のようにフローパレット4の形状の変化に一対一でしか対応できず、洗浄対象物の形状に対応した数量の洗浄対象物保持体を用意する必要がある。
洗浄媒体飛散防止部材22Aは洗浄対象物4の形状がどのようなものであってもそれに沿って任意に変形するので、1つのもので全ての洗浄対象物4に対応可能となる。
フローパレットのフラックスが付着していない上面には、プリント基板を固定するための部材が多く配置されているが、低反発スポンジおよびストレッチ生地が柔軟に変形することで、開口4bに密接することができる。また、低反発スポンジであるので、押し付けられても洗浄対象物に大きな負荷が掛かることはない。
また、洗浄媒体飛散防止部材22Aは押圧変形により保持枠14の内面に密接するので、保持枠14と洗浄媒体飛散防止部材22Aとの間に隙間が存在することによる空気漏れによる洗浄媒体5の飛翔速度の低下も抑制される。
この気流によって洗浄媒体5が飛翔してフローパレット4に衝突することでフローパレットの表面に付着している固着フラックスを効率良く除去する。フローパレットに衝突した洗浄媒体は、気流の流れと重力とによって落下し、分離部10上で吸引されながら洗浄媒体加速ノズル11の近傍に滑り落ちる。
このとき、洗浄媒体に付着した粉状のフラックスが吸引される。分離部10で分離された付着物は吸気ダクト18を通って吸引装置により回収される。
また、洗浄媒体加速ノズル11の近傍に落下した洗浄媒体は、再び洗浄媒体加速ノズル11により噴射された気流によって垂直上方向に飛翔する。この動作を繰り返すことにより、乾式洗浄装置はフローパレットの表面に付着した固着フラックスを除去する。
プール部19上に堆積した洗浄媒体は、洗浄対象物保持体12の往復動作に伴い、漏れ防止部材34のスクレープ機能により洗浄槽6に掃き戻される。洗浄槽に掃き戻された洗浄媒体は、再び洗浄媒体加速ノズル11から噴射された気流によって垂直上方向に飛翔する。この動作を繰り返すことにより、フローパレットの表面に付着した付着物が除去される。
このように洗浄対象物保持体12を洗浄槽6に対して往復移動させてフローパレットを洗浄することにより、大きな面積を有するフローパレットでも確実に洗浄することができる。
本実施形態ではこの問題を解消すべく、変形性と、洗浄媒体5に対する耐性とを分離してそれぞれ別部材で担わせることにより、洗浄媒体飛散防止部材22Aの早期劣化を抑制することとしたものである。
低反発性ウレタンスポンジの表面に低反発性ウレタンスポンジの変形性を阻害せず、洗浄媒体5に対する耐摩耗性を有するコーティング処理等を行ってもよい。
このため、表面材46のみを交換可能とすれば、洗浄媒体飛散防止部材をユニット全体として交換するよりもコスト的に有利である。
本実施形態では、図2に示すように、表面材46の上端は面板44に固定されているが、面状ファスナーで着脱可能として交換できるようにしてもよい。また、芯材42と面板44を包み込む袋状に形成し、ファスナーの開閉で着脱できるようにしてもよい。
本実施形態では、芯材42として低反発性ウレタンスポンジを採用したが、上記変形性を得ることができれば何でも良く、例えば空気や水等の流体や粉体、粒状体等でもよい。
本実施形態では、上記の厚さやサイズの洗浄媒体を用いているが、洗浄対象物によってサイズや材質を変えることが効果的であり、これに限るものではない。
薄片状の洗浄媒体は、投影面積が大きい方向に気流の力が作用した場合、空気抵抗力に対する質量が非常に小さいため気流によって容易に加速されて飛翔する。また、投影面積が小さい方向には空気抵抗が小さく、その方向へ飛翔した場合、高速運動が長距離にわたって維持される。このため洗浄媒体の持つエネルギーが大きく、洗浄対象物に接触したときに作用する力が大きくなって、洗浄対象物の表面に付着した付着物を有効に除去することができるとともに、洗浄媒体を繰り返し循環して洗浄対象物に接触する頻度が増すので洗浄効率を高めることができる。
上記実施形態では、押圧手段24により押圧して洗浄媒体飛散防止部材22Aを変形させる構成としたが、本実施形態では芯材42の自重を利用している。
本実施形態における洗浄媒体飛散防止部材22Bの芯材42は、ビニール等の軟質の袋にビーズ等の粒状体を入れて構成されている。面板44は取っ手52を有しており、作業者が洗浄媒体飛散防止部材22Bを持ち上げて保持枠14内に落とし込む方式となっている。
洗浄媒体飛散防止部材22Bを落とし込むと、洗浄媒体飛散防止部材22Bは図5(b)に示すように、自重変形性により図3(b)と同様の飛散防止構造を得ることができる。
押圧手段24を用いない構成としては、他に、面板44の面積を若干小さくし、あるいは面板44を無くし、枠壁30の内側の周囲に水平に突出する突縁を設けて保持枠14の挿入開口面積を狭くし、低反発性ウレタンスポンジ等からなる洗浄媒体飛散防止部材を手で押し込んで変形させ、上記突縁で洗浄媒体飛散防止部材の復元を止めて変形状態を維持する構成を採用することもできる。
本実施形態では、図6に示すように、保持枠14の洗浄対象物4を保持する領域を、洗浄対象物4の大きさに応じて調整する保持領域調整手段54を有していることを特徴とする。
上記のように、洗浄対象物4の外表面の形状(凹凸形状)も様々なものが存在するが、その大きさ(縦・横サイズ)も色々なサイズが存在する。本実施形態ではこの縦横の不定サイズに対応すべく、ベース部28の一辺部に保持領域調整手段54を設けている。
保持領域調整手段54は、ベース部28の一辺部に挿通・支持され、図中左右方向にスライド自在な調整軸56と、調整軸56の先端部に設けられた可動プレート58と、可動プレート58の先端に固定された保持ピン32とを有している。
図6(b)は、調整後に洗浄対象物4を保持ピン32上に載置した状態を示している。
このような小サイズの洗浄対象物4を洗浄する場合でも、洗浄媒体飛散防止部材22のサイズは一定であり、図6(c)に示すように最大保持領域をカバーするサイズとなっている。
洗浄対象物4のサイズによっては、図6(b)の保持領域の図中下側にも空白領域ができるが、この領域も同様に洗浄媒体飛散防止部材22の変形性によって塞がれる。
図8に示すように、ベース部28が枠壁30を兼ねる保持枠140を構成し、保持領域調整手段54は、安定した調整操作が行えるように複数本(ここでは3本)の調整軸56を備えた構成としてもよい。
図面上見えないが、可動プレート58の移動方向前面下端部には保持ピン32が設けられている。各調整軸56は保持枠140の外側において連結プレート55で連結されており、中央部の調整軸56を固定ネジ57で固定することにより調整後の位置が固定される。
上記各実施形態では、洗浄対象物保持体と洗浄媒体飛散防止部材とを別体にして洗浄媒体の漏れを防止する構成としたが、本実施形態では、これらを一体化して、より確実に洗浄媒体の漏れを防止し、かつ洗浄対象物の固定を容易にする構成としたことを特徴とする。
図9に示すように、本実施形態に係る乾式洗浄装置60は、ベース62と、該ベース62から上方に延びる装置本体64とからなる縦型の使用スタイルとなっている。
プール部19を形成する面が、垂直からわずかに図中左側に傾斜した角度で配置されている。装置本体64のプール部19の中心には、第1の実施形態と同様の構成の洗浄槽ユニット2が配置されている。洗浄対象物保持体のベース部28が、洗浄槽ユニットの開口部に相対する位置に、図示しない直動手段に接続されて配置されている。
洗浄媒体飛散防止ユニット68の側面には、ピン長さを調整できる保持ピン部材72が配置されている。さらに保持ピン部材72は、洗浄媒体飛散防止ユニット68の洗浄媒体飛散防止部材22Aに沿った位置で保持ピン部材72をロックする保持ピンロック機構74を備えている。
作業者はまずシャッター部材78を開き、洗浄媒体飛散防止ユニット68のロック機構70を解除して、洗浄媒体飛散防止ユニット68を手前に倒す。洗浄媒体飛散防止ユニット68は、蝶番66と開いたシャッター部材78で保持される。このとき、洗浄媒体飛散防止部材22Aは、低反発性ウレタンスポンジを被覆したストレッチ生地が上になった状態となる。作業者は洗浄対象物4の洗浄したい面を上にして、洗浄媒体飛散防止ユニット内に置く。
次に、図10に示すように、保持ピン部材72の長さを調整して、洗浄対象物4の一方の端を保持ピン32の下に潜り込ませる。そして、洗浄対象物4を手で押さえ付け、洗浄媒体飛散防止部材22A中に押し込み、他方の保持ピン部材72を伸張させて保持ピン固定手段74により位置を固定する。
次に、洗浄媒体飛散防止ユニット全体を、蝶番を支点に回転させ、図9(b)に示すように、ベース部に接続してロック機構により固定する。
このような状態で、シャッター部材78を閉じ、装置を稼働させると、第1の実施形態の場合と同様に、洗浄媒体が圧縮空気によって加速され、洗浄対象物に衝突して付着物を除去する。
また、洗浄媒体飛散防止ユニット68によって、洗浄媒体5は洗浄槽6およびプール部19の外に漏れ出すことはない。
洗浄媒体飛散防止部材22Aと保持枠とが一体化しているため、上記各実施形態に比べ洗浄媒体の漏れ防止機能を高めることができる。また、洗浄媒体飛散防止部材を一体化したことにより、作業者の手間を低減できる。
本実施形態では、複数の洗浄対象物を連続で洗浄することに適した構成を特徴としている。
洗浄媒体飛散防止部材を用いない従来の乾式洗浄装置や、上記各実施形態における乾式洗浄装置では、個々に洗浄対象物を洗浄対象物保持体に固定する手間が生じるため、連続して複数の洗浄対象物を洗浄装置に投入することが極めて困難である。
本実施形態では、洗浄媒体飛散防止部材22Cとして、芯材としての低反発性ウレタンスポンジローラ80を表面材としてのストレッチ生地82によって被覆されたスポンジローラを使用する。以下、低反発性ウレタンスポンジローラ80とストレッチ生地82とを含めて「スポンジローラ80」という。
また、洗浄槽ユニットとして、吸気吸引により発生する旋回気流を用いて洗浄媒体を飛翔させるドラム状筐体構成を採用している。
スポンジローラ80は、洗浄対象物がない状態で、洗浄槽ユニット84の開口部86を塞ぐのに十分な半径を有している。
スポンジローラ80は回転することにより、搬送されるパレット表面に押し付けられ、パレット4の開口部を塞ぐ。
洗浄槽ユニット84及びスポンジローラ80の前後には、パレット4を搬送できる搬送装置(ローダ・アンローダ)88が配置されており、パレット4はどちらか一方に必ず保持されて平行移動するようになっている。
スポンジローラ80は回転軸81で支持されており、パレット4の移動で従動回転する。
払い落とされた洗浄媒体は、ダクトを経由して洗浄槽ユニット84のインレット(通気口)94近辺に落下する構成となっており、洗浄媒体はインレット94から吸引されて再び洗浄槽ユニット84内の旋回気流96によって飛翔する。図11において、符号95は旋回気流の流路断面形状を規定する流路制限部材を示している。円筒状の流路制限部材95は、洗浄媒体5を通さない多孔性の分離手段としても機能し、洗浄槽ユニット84の開口部86がパレットで塞がれない状態では、インレット94からの空気流入が少なく、吸引管18を介した吸気により洗浄媒体5は流路制限部材95に吸着される。
このような構成にすることにより、洗浄対象物に付着した洗浄媒体の飛翔空間からの持ち出し(飛散)により、洗浄槽ユニット内部の洗浄媒体の数量が減少するのを防ぐことができる。
図12において、符号83は漏れを防止するための側壁を示している。
吹き払われた側面には、吹き払いスペースの上下を連通する間隙が設けられており、パレットの上面に付着していて吹き払われた洗浄媒体は、この間隙を通って吹き払いスペースの下部に落下する。吹き払いスペースはインレット94に連通しており、インレット94に向かう方向に吸引気流が発生している。
このため、落下した洗浄媒体は吸引気流で搬送されてインレット94に吸い込まれ、再び洗浄槽ユニット内に回帰する。
洗浄対象物出口100に、暖簾状の部材を配置すれば、より確実に洗浄媒体の漏れを防ぐことができる。
また、スポンジローラ80に接触するスクレーパ102を配置し、スポンジローラ80の表面に静電気などで付着した洗浄媒体を掻き落とし、払落しスペース92に落下させることで洗浄槽ユニット内に回収する。
このような構成にすることにより、板状の洗浄対象物を連続で洗浄できる装置が実現できる。
本実施形態における乾式洗浄装置(パレット洗浄装置)110は、洗浄媒体を旋回気流により飛翔させ、旋回領域の一部に設けられた開口部から洗浄媒体を洗浄対象物に衝突させて洗浄する洗浄ユニット112と、洗浄対象物を洗浄可能に配置して保持する洗浄対象物保持体114と、洗浄ユニット112を移動させて洗浄位置を変える洗浄ユニット移動手段としての3軸タイプの直交ロボット116とを備えている。
直交ロボット116は、図中左右方向(矢印D1方向)の移動を担うX軸118と、紙面厚み方向の移動を担うY軸120と、上下方向の移動を担うZ軸122と、これらの可動軸を支持するベースと、これらの可動軸の動きを制御する図示しない制御手段と有している。
洗浄ユニット112は、Z軸122の下端にバネ部材123を介して取り付けられている。
洗浄対象物保持体114は、洗浄媒体飛散防止部材22を支持する支持フレーム124と、該支持フレーム124から上方に延びる一対の保持枠126、128と、保持枠126、128内に収容された洗浄媒体飛散防止部材22とを有している。
支持フレーム124は、直交ロボット116の上記ベースを兼ねている。
上記実施形態では、洗浄媒体飛散防止部材22を洗浄対象物4の上方から覆い被せる洗浄構成を採ったが、本実施形態では逆構成となっている。
洗浄ユニット112は、筐体内部で高速の旋回気流を生じさせて洗浄媒体を循環飛翔させ、旋回領域の一部に設けている開口部112aで洗浄媒体を洗浄対象物4に衝突させて洗浄する構成を有している。
上記吸引装置で吸引している状態で、上記開口部112aが洗浄対象物4に当接して塞がれると、通気口としてのインレット112bから外部空気が高速で流入し、筐体中央の円筒部材112cを旋回軸として旋回気流が生成され、筐体内部に保持されている洗浄媒体が飛翔する。
したがって、洗浄対象物4から開口部112aが離れても、筐体内部の洗浄媒体は保持され、外部に漏れない。
洗浄ユニット112としては、本出願人による特開2012−050973号公報に記載のクリーニング筐体を利用している。バネ部材123を介したZ軸122との連結を容易にするために、上記クリーニング筐体を矩形のケーシングで覆い、該ケーシングにバネ部材123を固定している。
まず、作業者は洗浄ユニット112の筐体内に洗浄媒体を適量供給する。供給は、開口部112aから吸い込んでもよく、インレット112bから投入してもよい。
次に、作業者はパレット4を洗浄媒体飛散防止部材22の上におき、固定の保持ピン32の下にパレット4の一端部を挿入し、他端部を押し込んで可動の保持ピン32を操作して押え付ける。
パレット4を固定したら、パレットのすべての開口部が洗浄媒体飛散防止部材22で塞がれていることを確認して、図示しない制御手段に稼動開始信号を入力する。
制御手段は、上記吸引装置を稼動させ、次に直交ロボット116のXY軸を稼動させて、洗浄ユニット112をパレット4の隅(洗浄ホームポジション)に移動させる。
この押圧によって、シール部材132が変形してパレットに密着し、洗浄ユニットの開口部112aが塞がれて洗浄ユニット内の圧力が吸引により低下する。
これに伴って洗浄ユニットにインレット112bから流れ込む気流が増大し、洗浄ユニットの筐体内に旋回気流が発生して洗浄媒体が飛翔し、開口部112aに密接したパレットに洗浄媒体が衝突する。
これにより、パレット表面に付着したフラックスを高速に除去することができる。
パレットの表面にうねりや凹凸があっても、Z軸方向のバネ部材123により、押し付け状態を保ったまま平行移動することができる。
平行移動することにより、洗浄ユニットの開口部112aより広い領域を洗浄することができ、さらに洗浄媒体飛散防止部材22の変形効果により、パレットの端部や開口部周りであっても隙間が生じず、洗浄ユニットの開口部から洗浄媒体が漏れ出すことなく、パレット全面を洗浄することができる。洗浄ユニット112の洗浄軌道は予めプログラムされている。
また、特開2012−050973号公報で説明されている「洗浄媒体飛翔・吸着効果」により、洗浄対象物から洗浄ユニットを離しても、洗浄媒体が外部にもれ出ることがないため、不連続な軌道をとることも可能である。
本実施形態では洗浄ユニットの移動手段として直交ロボットを用いたが、水平多関節ロボットや垂直多関節ロボットを用いてもよい。
また、本実施形態では洗浄する面を上に向けて配置したが、洗浄媒体飛散防止部材を押し付けて洗浄対象物であるパレットの開口部を塞ぐことができれば、洗浄ユニット移動手段の移動形態を変化させることにより、洗浄する面は横向き、もしくは下向きに配置されていても洗浄可能となる。
5 洗浄媒体
6 洗浄槽
6a 開口部
12、114 洗浄対象物保持体
14 保持枠
22 洗浄媒体飛散防止部材
24 押圧手段
42 芯材
44 剛性を有する部材としての面板
46 表面材
54 保持領域調整手段
112 洗浄ユニット
116 洗浄ユニット移動手段としての直交ロボット
Claims (11)
- 気流により飛翔する洗浄媒体を、洗浄対象物に衝突させて洗浄する乾式洗浄装置に用いられる洗浄媒体飛散防止部材であって、
前記洗浄対象物を保持する洗浄対象物保持体に、前記洗浄対象物の前記洗浄媒体が衝突する側と反対側に配置されるものであり、
前記洗浄対象物の外面形状に沿って追従変形する芯材と、該芯材の表面を覆う表面材とからなり、
自重によりあるいは押圧力により、前記洗浄対象物の外面形状に沿って追従して変形し、前記洗浄媒体が前記反対側に移動する隙間を塞ぐことを特徴とする洗浄媒体飛散防止部材。 - 請求項1に記載の洗浄媒体飛散防止部材において、
前記表面材は前記芯材の追従変形性を阻害せず且つ前記洗浄媒体の衝突に対し耐摩耗性を有する材料で形成されていることを特徴とする洗浄媒体飛散防止部材。 - 請求項1又は2に記載の洗浄媒体飛散防止部材において、
前記芯材が、低反発性の発泡材からなることを特徴とする洗浄媒体飛散防止部材。 - 請求項1〜3のいずれか1つに記載の洗浄媒体飛散防止部材において、
前記芯材の前記反対側が剛性を有する部材で支持されていることを特徴とする洗浄媒体飛散防止部材。 - 請求項1〜4のいずれか1つに記載の洗浄媒体飛散防止部材において、
前記表面材が取り替え可能に設けられていることを特徴とする洗浄媒体飛散防止部材。 - 気流により飛翔する洗浄媒体を、洗浄対象物に衝突させて洗浄する乾式洗浄装置に用いられ、前記洗浄対象物を保持する保持枠を備えた洗浄対象物保持体において、
前記保持枠内に、請求項1〜5のいずれか1つに記載の洗浄媒体飛散防止部材を有していることを特徴とする洗浄対象物保持体。 - 請求項6に記載の洗浄対象物保持体において、
前記保持枠が、前記洗浄媒体飛散防止部材を押圧して変形させる押圧手段を有していることを特徴とする洗浄対象物保持体。 - 請求項6に記載の洗浄対象物保持体において、
前記保持枠が、前記洗浄媒体飛散防止部材を押し込んで変形させた後の該変形状態を維持する構成を有していることを特徴とする洗浄対象物保持体。 - 請求項6〜8のいずれか1つに記載の洗浄対象物保持体において、
前記保持枠の前記洗浄対象物を保持する領域を、前記洗浄対象物の大きさに応じて調整する保持領域調整手段を有していることを特徴とする洗浄対象物保持体。 - 気流により飛翔する洗浄媒体を洗浄対象物に衝突させて洗浄する洗浄装置であって、前記洗浄媒体が飛翔し、且つ開口部を有する洗浄槽と、前記開口部に前記洗浄対象物を洗浄可能に配置して保持する洗浄対象物保持体とを備えた乾式洗浄装置において、
前記洗浄対象物保持体が、請求項6〜9のいずれか1つに記載のものであることを特徴とする乾式洗浄装置。 - 気流により飛翔する洗浄媒体を洗浄対象物に衝突させて洗浄する洗浄装置であって、前記洗浄媒体を旋回気流により飛翔させ、旋回領域の一部に設けられた開口部から洗浄媒体を洗浄対象物に衝突させて洗浄する洗浄ユニットと、前記洗浄対象物を洗浄可能に配置して保持する洗浄対象物保持体と、前記洗浄ユニットを移動させて洗浄位置を変える洗浄ユニット移動手段とを備えた乾式洗浄装置において、
前記洗浄対象物保持体が、請求項6〜9のいずれか1つに記載のものであることを特徴とする乾式洗浄装置。
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