<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態について図1〜図4を参照して説明する。
この実施形態は、本発明をパイプ椅子に適用した場合のものである。この椅子1は、図1及び図2に模式的に示すように、脚体2と、この脚体2に支持された座4とを具備してなる。
脚体2は、図1及び図2に示すように、左右のベース27と、これらベース27の前端から起立させた前脚281と、前記ベース27の後端から起立させた後脚282と、前記左右の前脚281の上端間を連結する前座受け部261と、前記左右の後脚282の上端間を連結する後座受け部262と、前記前脚281と後脚282とを上方で連結する左右の横架材29を備えたもので、この実施形態においては、前記ベース27、前後の脚281、282、及び前後の座受け部261、262は、1本のパイプを折り曲げ加工して作られている。前後の座受け部261、262は、座4の前部領域F及び後部領域Rをそれぞれ支持するためのもので、前記座4が図示しない止着具を介して前後の座受け部261、262に止着されている。
座4は、図1及び図2に示すように、シェル状の座本体431と、この座本体431の下面に配された取付部432とを備えたものである。この座4の座本体431は、硬質の合成樹脂により一体に成形されており、硬質部11を主体に構成されている。詳述すれば、荷重を受けて弾性変形する構造材たる座4の弾性変形する部位に対をなす対向面113を設け、前記座4が弾性変形した際に前記対向面113が近接して当該座4の弾性変形特性が変化するように構成されている。すなわち、座4は、荷重が加わったときに弾性変形する前記硬質部11を具備してなり、この硬質部11の弾性変形により引っ張り応力を受ける側の面、すなわち下向き面411に凹陥部分112を設け、この凹陥部分112の内側に前記弾性変形に伴って接近する対をなす対向面113を形成し、前記硬質部11が一定以上弾性変形した際に前記対向面113同士が直接当接して、前記硬質部11の前記弾性変形限度を越えた変形を抑止するようにしたものである。すなわち、座4は、荷重が加わったときに曲げ方向に弾性変形する硬質部11を備えたものであり、この硬質部11の曲げ方向から見て外側に前記弾性変形に伴って接近する対をなす対向面113を形成したものである。この曲げ方向から見て外側とは、荷重が加わって曲げ変形が進行するのに伴って引張り方向の内部応力が増大する側であり、曲率半径が小さくなる方向に曲げ変形される場合の曲率中心と逆の側を指す。前記対向面113は、前記座4の外面に添設された第1及び第2の取付部品101、102にそれぞれ形成されている。より具体的には、前記対をなす対向面113が、座4に支持された外向き鍔部101aと、この外向き鍔部101aに被さるようにして設けられた内向き鍔部102aとに形成されたものであって、外向き鍔部101aが前記第1の取付部品101に形成されているとともに、内向き鍔部102aが前記第2の取付部品102に形成されている。この座4は、着座時に荷重のかかる側が弾性変形の内側となる。この実施形態においては、座4の下向き面411に単一の凹陥部分112を形成し、その凹陥部分112には、エラストマーが配されていない。凹陥部分112は、前記座4の前部領域Fと後部領域Rとを区画する境界に形成されている。すなわち、凹陥部分112は、座4の前後方向中央付近に左右方向にわたって形成されたもので、その凹陥部分112の対向する内側の一部を前記対向面113としている。換言すれば、前記硬質部11は、薄肉部分91と、この薄肉部分91の両側に設けられ前記薄肉部分91よりも厚み寸法の大きな厚肉部分92とを備えたものであり、前記両厚肉部分92間に前記凹陥部分112が形成されており、この凹陥部分112の内側に前記対向面113が形成されている。
このような椅子1であれば、座4の沈み込み動作と座4の弾性変形とが相俟って、多様な着座感が得られる。すなわち、執務姿勢(S)で座4に着座した場合には、図4に示すように、着座者の体重に起因した荷重によって、座4のうち凹陥部分112の付近が顕著に弾性変形し、前部領域Fと後部領域Rとの境界部分が沈み込むことになる。なお、図3及び図4では、弾性変形前と弾性変形後の座4の硬質部11、並びに、第1及び第2の取付部品101、102を拡大して示している。この弾性変形は、凹陥部分112の対向面113同士が当接するまでの間は、主に薄肉部分91の弾性特性に支配されて反発力を蓄勢するが、対向面113が当接した後は、薄肉部分91の変形が禁止され、厚肉部分92の弾性特性に支配されることになる。すなわち、対向面113同士が当接する前後で、硬質部11の弾性変形特性が急変することになり、対向面113が当接した後は、座4がそれ以上大きく沈み込むことが抑止される。なお、このように硬質部11が弾性変形限度に達して対向面113同士が当接した後も、座4に過大な沈み込み方向の力を加えれば、前記座4の硬質部11の厚肉部分92の弾性特性に支配されつつ若干の変形を行うことになる。すなわち、着座者が座4に荷重をかけて、前記座4における硬質部11が前記弾性変形限度に達した場合には、図4に示すように、第1の取付部品101の外向き鍔部101aに形成された前記対向面113と、第2の取付部品102の内向き鍔部102aに形成された対向面113とが直接当接することになる。そのため、座4のそれ以上の弾性変形が抑止され、座4のそれ以上の沈み込み動作ができなくなる。
以上に述べたように、本実施形態にかかる椅子1は、荷重を受けて弾性変形する座4を備え、この座4の弾性変形する部位に対をなす対向面113を設け、前記座4が弾性変形した際に前記対向面113が近接して当該座4の弾性変形特性が変化するように構成されたものであって、前記対向面113の少なくとも一方が前記座4の外面に添設された第2の取付部品102に形成されているので、座4の対向面113が当接する前と後で反発特性を変えることができる。そのため、大きな荷重が作用したときに変形しすぎることを抑制するためのストッパ等を座4から離れた箇所に設ける必要がなく、適度な弾性変形を持たせて座り心地を良くすることができる。したがって、上述したストッパ等の設置によって椅子1の設計の自由度が著しく損なわれるという不具合が生じない。
座4が、荷重が加わったときに曲げ方向に弾性変形する硬質部11を備えたものであり、この硬質部11の曲げ方向から見て外側に前記弾性変形に伴って接近する対をなす対向面113を形成しているので、対向面113を形成する取付部材101、102が比較的複雑な構造となる。このような複雑な構造を座4に一体に形成することは難しいが、本実施形態のように、前記対向面113を形成する第1の取付部品101及び第2の取付部品102を座4とは別体に形成するようにすれば、複雑な形状であっても簡単に成型することができる。すなわち、金型が複雑になることを防止でき、大量生産には好適である。
前記対をなす対向面113が、座4に支持された外向き鍔部101aと、この外向き鍔部101aに被さるようにして設けられた内向き鍔部102aとに形成されたものであって、外向き鍔部101aが前記第1の取付部品101に形成されているとともに、内向き鍔部102aが前記第2の取付部品102に形成されているので、座4に先に第1の取付部品101を取り付けた後に、第2の取付部品102を取り付けることによって、座4の下向き面411側に対をなす対向面113を形成することができる。なお、第1の取付部品101と第2の取付部品102との取り付け位置を変更することによって、対向面113間の距離を変えて弾性変形のしやすさを種々設定することも可能である。
座4が、着座時に荷重のかかる側が弾性変形の内側となるものであるので、前記対向面113間に着座者の衣服等を挟み込んでしまうおそれもない。
座4が、一定以上弾性変形した際に前記対向面113同士が直接当接するようにしたものであるので、座4の対向面113が当接する前と後で反発特性を急激に変えることができる。また、本実施形態のものは、対をなす対向面113の両方を座4とは別体の取付部品101、102に形成しているので、対向面113同士が擦れ合って磨耗した際には、この別体の取付部品101、102を取り替えることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について図5を参照して説明する。
この実施形態は、本発明をパイプ椅子に適用した場合のものである。この椅子1は、図5に示すように、脚体2と、この脚体2に支持された座4及び背凭れ5とを具備してなる。
脚体2は、図5に示すように、図示しない左右のベースと、これらベースの前端から起立させた前脚281と、前記ベースの後端から起立させた後脚282と、前記左右の前脚281の上端間を連結する座受け部261と、前記左右の後脚282の上端間を連結する背凭れ受け部263と、前記前脚281の上端部と後脚282の中間部とを連結する左右の横架材29とを備えたもので、この実施形態においては、前記ベース、前後の脚281、282、座受け部261及び背凭れ受け部263は、1本のパイプを折り曲げ加工して作られている。座受け部261は、座4の前部領域Fを支持するためのもので、前記座4が図示しない止着具を介して座受け部261に止着されている。背凭れ受け部263は、背凭れ5の上部領域Uを支持するためのもので、前記背凭れ5が図示しない止着具を介して背凭れ受け部263に止着されている。
座4は、図5に示すように、シェル状の座本体431と、この座本体431の下面に配された取付部432とを備えたものである。この座4の座本体431は、硬質の合成樹脂により一体に成形されており、硬質部11を主体に構成されている。詳述すれば、荷重を受けて弾性変形する構造材たる座4の弾性変形する部位に対をなす対向面113を設け、前記座4が弾性変形した際に前記対向面113が近接して当該座4の弾性変形特性が変化するように構成されている。すなわち、座4は、荷重が加わったときに弾性変形する前記硬質部11を具備してなり、この硬質部11の弾性変形により引っ張り応力を受ける側の面、すなわち下向き面411に凹陥部分112を設け、この凹陥部分112の内側に前記弾性変形に伴って接近する対をなす対向面113を形成し、前記硬質部11が一定以上弾性変形した際に前記対向面113同士が直接当接して、前記硬質部11の前記弾性変形限度を越えた変形を抑止するようにしたものである。すなわち、座4は、荷重が加わったときに曲げ方向に弾性変形する硬質部11を備えたものであり、この硬質部11の曲げ方向から見て外側に前記弾性変形に伴って接近する対をなす対向面113を形成したものである。この曲げ方向から見て外側とは、荷重が加わって曲げ変形が進行するのに伴って引張り方向の内部応力が増大する側であり、曲率半径が小さくなる方向に曲げ変形される場合の曲率中心と逆の側を指す。前記対向面113は、前記座4の外面に添設された第1及び第2の取付部品101、102にそれぞれ形成されている。より具体的には、前記対をなす対向面113が、座4に支持された外向き鍔部101aと、この外向き鍔部101aに被さるようにして設けられた内向き鍔部102aとに形成されたものであって、外向き鍔部101aが前記第1の取付部品101に形成されているとともに、内向き鍔部102aが前記第2の取付部品102に形成されている。この座4は、着座時に荷重のかかる側が弾性変形の内側となる。この実施形態においては、座4の下向き面411に単一の凹陥部分112を形成し、その凹陥部分112には、エラストマーが配されていない。凹陥部分112は、着座者の臀部に対応する部分に形成されている。すなわち、凹陥部分112は、座4の後部領域Rに形成されたもので、その凹陥部分112の対向する内側の一部を前記対向面113としている。換言すれば、前記硬質部11は、薄肉部分91と、この薄肉部分91の両側に設けられ前記薄肉部分91よりも厚み寸法の大きな厚肉部分92とを備えたものであり、前記両厚肉部分92間に前記凹陥部分112が形成されており、この凹陥部分112の内側に前記対向面113が形成されている。そして、この座4の後端に、背凭れ5を一体に連続させて設けている。
背凭れ5は、図5に示すように、シェル状の背凭れ本体531と、この背凭れ本体531の背面側に配された取付部532とを備えたものである。この背凭れ5の背凭れ本体531は、硬質の合成樹脂により一体に成形されており、この背凭れ5は、硬質部11を主体に構成されている。詳述すれば、荷重を受けて弾性変形する構造材たる背凭れ5の弾性変形する部位に対をなす対向面113を設け、前記背凭れ5が弾性変形した際に前記対向面113が近接して当該背凭れ5の弾性変形特性が変化するように構成されている。すなわち、背凭れ5は、荷重が加わったときに弾性変形する前記硬質部11を具備してなり、この硬質部11の弾性変形により引っ張り応力を受ける側の面、すなわち後向き面511に凹陥部分112を設け、この凹陥部分112の内側に前記弾性変形に伴って接近する対をなす対向面113を形成し、前記硬質部11が一定以上弾性変形した際に前記対向面113同士が直接当接して、前記硬質部11の前記弾性変形限度を越えた変形を抑止するようにしたものである。すなわち、背凭れ5は、荷重が加わったときに曲げ方向に弾性変形する硬質部11を備えたものであり、この硬質部11の曲げ方向から見て外側に前記弾性変形に伴って接近する対をなす対向面113を形成したものである。この曲げ方向から見て外側とは、荷重が加わって曲げ変形が進行するのに伴って引張り方向の内部応力が増大する側であり、曲率半径が小さくなる方向に曲げ変形される場合の曲率中心と逆の側を指す。前記対向面113は、前記背凭れ5の外面に添設された第1及び第2の取付部品101、102にそれぞれ形成されている。より具体的には、前記対をなす対向面113が、背凭れ5に支持された外向き鍔部101aと、この外向き鍔部101aに被さるようにして設けられた内向き鍔部102aとに形成されたものであって、外向き鍔部101aが前記第1の取付部品101に形成されているとともに、内向き鍔部102aが前記第2の取付部品102に形成されている。この背凭れ5は、着座時に荷重のかかる側が弾性変形の内側となる。この実施形態においては、背凭れ5の後向き面511に単一の凹陥部分112を形成し、その凹陥部分112には、エラストマーが配されていない。凹陥部分112は、着座者の腰部に対応する部分に形成されている。すなわち、凹陥部分112は、背凭れ5の下部領域Dに形成されたもので、その凹陥部分112の対向する内側の一部を前記対向面113としている。換言すれば、前記硬質部11は、薄肉部分91と、この薄肉部分91の両側に設けられ前記薄肉部分91よりも厚み寸法の大きな厚肉部分92とを備えたものであり、前記両厚肉部分92間に前記凹陥部分112が形成されており、この凹陥部分112の内側に前記対向面113が形成されている。
このような椅子1であれば、座4の沈み込み動作と座4または背凭れ5の弾性変形とが相俟って、多様な着座感が得られる。すなわち、執務姿勢(S)で座4に着座した場合には、図5に実線で示すように、着座者の体重に起因した荷重は、座4の前部領域Fに作用するため、座4は傾動せず安定した状態で支持されることになる。また、着座者の荷重が座4の後部領域Rに移行した場合には、図5に二点鎖線で示すように、座4の後部領域Rが座4の前部領域Fに対して沈み込むとともに、背凭れ5の下部領域Dが背凭れ5の上部領域Uに対して後方へ移動することになり、着座者をやわらかく受け止めることになる。この動作は、座4及び背凭れ5において各凹陥部分112が形成された箇所の硬質部11が弾性変形することにより営まれる。この弾性変形は、第1実施形態と同様なものであり、対向面113同士が当接する前後で、硬質部11の弾性変形特性が急変することになり、対向面113が当接した後は、座4及び背凭れ5がそれ以上大きく弾性変形することが抑止される。すなわち、前記硬質部11が前記弾性変形限度に達した場合には、第1の取付部品101に形成された対向面113と第2の取付部品102に形成された対向面113とが直接当接することになる。そのため、座4及び背凭れ5のそれ以上の弾性変形が抑止される。すなわち、各対向面113同士がそれぞれ当接した状態で、過大な力が作用しない限り、前記座4及び背凭れ5が予め設定した変形形状に保たれるようにしている。なお、図5では、弾性変形した後の座本体431及び背凭れ本体531を二点鎖線で示しており、前記第1及び第2の取付部品101、102その他各部分については図示していないが、これらも前記弾性変形に伴って変形する。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について図6を参照して説明する。
この実施形態の椅子1は、図6に示すように、左右の背フレーム51間にメッシュ状の張地52を張設した背凭れ5を備えたものであり、その背凭れ5の腰部にランバーサポート85を有している。ランバーサポート85は、前記左右の背フレーム51に両端部を支持させて前記張地52の背面側に配置された保持部851と、この保持部851の前面側に配され着座者からの荷重を受けて厚み方向に弾性変形可能な硬質合成樹脂製のランバーサポート本体852とを備えている。
以上のような椅子1のランバーサポート本体852に本発明を適用している。
このランバーサポート本体852は、図6に示すように、硬質部11を主体に構成されている。詳述すれば、荷重を受けて弾性変形する構造材たるランバーサポート本体852の弾性変形する部位に対をなす対向面113を設け、前記ランバーサポート本体852が弾性変形した際に前記対向面113が近接して当該ランバーサポート本体852の弾性変形特性が変化するように構成されている。すなわち、ランバーサポート本体852は、荷重が加わったときに弾性変形する前記硬質部11を具備してなり、この硬質部11の弾性変形により引っ張り応力を受ける側の面、すなわち後向き面853に凹陥部分112を設け、この凹陥部分112の内側に前記弾性変形に伴って接近する対をなす対向面113を形成し、前記硬質部11が一定以上弾性変形した際に前記対向面113同士が直接当接して、前記硬質部11の前記弾性変形限度を越えた変形を抑止するようにしたものである。すなわち、ランバーサポート本体852は、荷重が加わったときに曲げ方向に弾性変形する硬質部11を備えたものであり、この硬質部11の曲げ方向から見て外側に前記弾性変形に伴って接近する対をなす対向面113を形成したものである。この曲げ方向から見て外側とは、荷重が加わって曲げ変形が進行するのに伴って引張り方向の内部応力が増大する側であり、曲率半径が小さくなる方向に曲げ変形される場合の曲率中心と逆の側を指す。前記対向面113は、前記ランバーサポート本体852の外面に添設された第1及び第2の取付部品101、102にそれぞれ形成されている。より具体的には、前記対をなす対向面113が、ランバーサポート本体852に支持された外向き鍔部101aと、この外向き鍔部101aに被さるようにして設けられた内向き鍔部102aとに形成されたものであって、外向き鍔部101aが前記第1の取付部品101に形成されているとともに、内向き鍔部102aが前記第2の取付部品102に形成されている。このランバーサポート本体852は、着座時に荷重のかかる側が弾性変形の内側となる。この実施形態においては、ランバーサポート本体852の後向き面853に複数の凹陥部分112を形成し、それらの凹陥部分112には、エラストマーが配されていない。凹陥部分112は、着座者の腰部に対応する部分に形成されている。すなわち、凹陥部分112は、ランバーサポート本体852の中央及び左右の両側2箇所に形成されたもので、それら凹陥部分112の対向する内側の一部を前記対向面113としている。換言すれば、前記硬質部11は、薄肉部分91と、この薄肉部分91の両側に設けられ前記薄肉部分91よりも厚み寸法の大きな厚肉部分92とを備えたものであり、前記両厚肉部分92間に前記凹陥部分112が形成されており、この凹陥部分112の内側に前記対向面113が形成されている。
このような椅子1であれば、着座者の腰部がランバーサポート85に強く押し付けられた際には、ランバーサポート本体852の硬質部11が弾性変形し、着座者の腰部をやわらかく受け止めることになる。この弾性変形は、第1実施形態と同様なものであり、対向面113同士が当接する前後で、硬質部11の弾性変形特性が急変することになり、対向面113が当接した後は、ランバーサポート本体852がそれ以上大きく湾曲することが抑止される。すなわち、前記ランバーサポート本体852における硬質部11が前記弾性変形限度に達した場合には、前記対向面113同士が直接当接することになる。そのため、ランバーサポート本体852のそれ以上の弾性変形が抑止されることになる。したがって、このようなランバーサポート85であれば、一定の節度を保った上で着座者の腰部を柔らかく保持することができる。なお、図6では、弾性変形した後のランバーサポート本体852を二点鎖線で示しており、前記第1及び第2の取付部品101、102その他各部分については図示していないが、これらも前記弾性変形に伴って変形する。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について図7を参照して説明する。
この実施形態の椅子1は、図7に示すように、シェル状をなす背凭れ5と、この背凭れ5を支持する背支持部材7とを備えたものであり、その背凭れ5の上部後方にハンガー86を有している。ハンガー86は、背支持部材7の上端に取り付けられるベース861と、このベース861から上方に延出させたハンガー支柱862と、このハンガー支柱862の上端に支持されたハンガー本体863とを備えたもので、前記ベース861、ハンガー支柱862及びハンガー本体863は、硬質合成樹脂により一体に成形されている。
以上のような椅子1のハンガー支柱862に本発明を適用している。
このハンガー支柱862は、図7に示すように、硬質部11を主体に構成されている。詳述すれば、荷重を受けて弾性変形する構造材たるハンガー支柱862の弾性変形する部位に対をなす対向面113を設け、前記ハンガー支柱862が弾性変形した際に前記対向面113が近接して当該ハンガー支柱862の弾性変形特性が変化するように構成されている。すなわち、ハンガー支柱862は、荷重が加わったときに弾性変形する前記硬質部11を具備してなり、この硬質部11の弾性変形により引っ張り応力を受ける側の面、すなわち前向き面864に凹陥部分112を設け、この凹陥部分112の内側に前記弾性変形に伴って接近する対をなす対向面113を形成し、前記硬質部11が一定以上弾性変形した際に前記対向面113同士が直接当接して、前記硬質部11の前記弾性変形限度を越えた変形を抑止するようにしたものである。すなわち、ハンガー支柱862は、荷重が加わったときに曲げ方向に弾性変形する硬質部11を備えたものであり、この硬質部11の曲げ方向から見て外側に前記弾性変形に伴って接近する対をなす対向面113を形成したものである。この曲げ方向から見て外側とは、荷重が加わって曲げ変形が進行するのに伴って引張り方向の内部応力が増大する側であり、曲率半径が小さくなる方向に曲げ変形される場合の曲率中心と逆の側を指す。前記対向面113は、前記ハンガー支柱862の外面に添設された第1及び第2の取付部品101、102にそれぞれ形成されている。より具体的には、前記対をなす対向面113が、ハンガー支柱862に支持された外向き鍔部101aと、この外向き鍔部101aに被さるようにして設けられた内向き鍔部102aとに形成されたものであって、外向き鍔部101aが前記第1の取付部品101に形成されているとともに、内向き鍔部102aが前記第2の取付部品102に形成されている。このハンガー支柱862は、荷重のかかる側と反対の側が弾性変形の内側となる。この実施形態においては、ハンガー支柱862の前向き面864に複数の凹陥部分112を形成し、それらの凹陥部分112には、エラストマーが配されていない。凹陥部分112は、ハンガー支柱862の上下2箇所に形成されたもので、それら凹陥部分112の対向する内側の一部を前記対向面113としている。換言すれば、前記硬質部11は、薄肉部分91と、この薄肉部分91の両側に設けられ前記薄肉部分91よりも厚み寸法の大きな厚肉部分92とを備えたものであり、前記両厚肉部分92間に前記凹陥部分112が形成されており、この凹陥部分112の内側に前記対向面113が形成されている。
このような椅子1であれば、ハンガー支柱862を比較的容易に後方へ弾性変形させることができるので、ハンガー86に衣類をかける動作や、ハンガー86から衣類を外す動作を容易に行うことができる。この弾性変形は、第1実施形態と同様なものであり、対向面113同士が当接する前後で、硬質部11の弾性変形特性が急変することになり、対向面113が当接した後は、ハンガー支柱862がそれ以上大きく湾曲することが抑止される。しかも、その動作の際のハンガー支柱862の変形には一定の限度があり、ハンガー支柱862がむやみに変形することがないため、衣類に不測の外力が作用してハンガー86から外れてしまうような不具合を抑制することができる。なお、図7では、弾性変形した後のハンガー支柱862及びハンガー本体863を二点鎖線で示しており、前記第1及び第2の取付部品101、102その他各部分については図示していないが、これらも前記弾性変形に伴って変形する。
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限られない。
上述した実施形態では、対をなす対向面が第1の取付部品と第2の取付部品に別々に形成されていたが、図8に示すように、前記対向面の一方のみが前記構造材の外面に添設された取付部品に形成されているものであってもよい。以下、第1実施形態の椅子1と同様の箇所には同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。すなわち、この座4は、対向面113の一方を構造材たる座4の下向き面411に添設された取付部品102に形成するとともに、対向面113の他方を当該座4に一体に設けた突起433に形成している。詳述すれば、前記対をなす対向面113が、座4に一体に形成された突起433の外向き鍔部101aと、この外向き鍔部101aに被さるようにして設けられた内向き鍔部102aとに形成されたものであって、外向き鍔部101aが前記突起433に形成されているとともに、内向き鍔部102aが前記取付部品102に形成されている。このようなものであれば、1つの部品を取り付けるという簡単な作業で複雑な形状をなす凹陥部分112を形成することができる。また、座と一体に形成される外向き鍔部の形状及び/または大きさは、図示したものに限られず種々変更可能である。例えば、上述した第1〜第4実施形態の第1の取付部品101を座4と一体に形成する等してもよいのはもちろんである。
さらに、他の例としては、図9〜図10に示すように、対をなす対向面の両方が単一の取付部品に形成されたものであってもよい。図9及び図10に示すものは、構造材が、荷重が加わったときに曲げ方向に弾性変形する硬質部11を備えたものであり、この硬質部11の曲げ方向から見て外側に前記弾性変形に伴って接近する対をなす対向面113を形成したものであり、複数箇所に形成された対向面113が前記構造材の外面に添設された単一の取付部品103に形成されている。この曲げ方向から見て外側とは、荷重が加わって曲げ変形が進行するのに伴って引張り方向の内部応力が増大する側であり、曲率半径が小さくなる方向に曲げ変形される場合の曲率中心と逆の側を指す。この取付部品103は、前記対向面113の接離動作を可能にするための隙間104を介して前記硬質部11に取り付けられている。また、図11に示すものは、参考例を示したものであるが、構造材が、荷重が加わったときに曲げ方向に弾性変形する硬質部11を備えたものであり、この硬質部11の曲げ方向から見て内側に前記弾性変形に伴って接近する対をなす対向面113を形成したものであり、複数箇所に形成された対向面113が前記構造材の外面に添設された単一の取付部品103に形成されている。この曲げ方向から見て内側とは、荷重が加わって曲げ変形が進行するのに伴って圧縮方向の内部応力が増大する側であり、曲率半径が小さくなる方向に曲げ変形される場合の曲率中心側を指す。このように、硬質部11の弾性変形により圧縮応力を受ける側の面に凹陥部分112を設けてもよい。
以上説明したように、前記弾性変形に伴って接近する対をなす対向面を硬質部の曲げ方
向から見て外側に形成した場合に、凹陥部分の形状、並びに、取付部品の形状は、図示したものに限られず種々変更可能である。
取付部品の取付方法は、例えば、ねじ等の止着具を介して固着したり、構造材に設けた凹部に嵌め込んで固定したり、構造材に設けた突状のリブ等の突部に側方からスライド移動させて嵌め込んで固定したり、接着剤等を用いて接着したりする等の方法が種々採用可能である。
対向面を設ける場所は、上述したものに限られず、種々変更可能である。例えば、座と背凭れとの境界部分に凹陥部分を設けてもよい。また、椅子の種類についても、パイプ椅子に限られず、脚体と、この脚体に支持機構を介して支持された座と、この座に支持された背凭れとを具備してなる事務用回転椅子に適用してもよい。
また、以上説明した実施形態においては、凹陥部分にエラストマーを全く配さない場合について説明したが、凹陥部分の全体または一部にエラストマーを配してもよいのはもちろんである。凹陥部分の一部にエラストマーを配した一例として、図13及び図14に示すものが挙げられる。この構造材たる椅子1は、対向面113間にゴム弾性を有する樹脂であるエラストマー12を配している。より具体的には、前記対をなす対向面113が、座4に一体に形成された突起433の外向き鍔部101aと、この外向き鍔部101aに被さるようにして設けられた内向き鍔部102aとに形成されたものであって、外向き鍔部101aが前記突起433に形成されているとともに、内向き鍔部102aが前記取付部品102に形成されている。なお、取付部品102は、ビス等の止着具Bを用いて座4に取り付けられている。詳述すれば、突起433の外向き鍔部101aにエラストマー12の一端側を配する取付凹部を形成するとともに、取付部品102の内向き鍔部102aにエラストマー12の他端側を配する取付凹部を形成し、これら両取付凹部間にエラストマー12を配している。この椅子1に下方への荷重がかかると、対向面113間の弾性材たるエラストマー12を圧縮変形させながら対向面113が徐々に接近していくこととなる。そのため、適度な弾性変形を持たせて座り心地を良くすることができる。なお、凹陥部分の全部にエラストマーを配する場合には、前記硬質部が所定の弾性変形限度まで変形した際に、前記対向面同士がエラストマーを介して接近し、凹陥部分の一部にエラストマーを配する場合には、その配し方によって、前記硬質部が所定の弾性変形限度まで変形した際に、前記対向面同士が直接当接する場合と、前記対向面同士がエラストマーを介して接近する場合とが考えられる。また、凹陥部分内に配されるエラストマーの形状についても、どのようなものであってもよい。さらに、外向き鍔部が座とは別体の取付部品に形成されるものであってもよいのはもちろんである。
以上説明した実施形態においては、厚肉部分と薄肉部分の厚み寸法の比率については、必要な弾性変形特性に応じて適宜設定すればよい。
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。