JPH0783727B2 - 椅子における背凭部付き座体の弾力調節装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、事務用または作業用の椅子における背凭部付
きの座体の弾力調節装置の構造に関するものである。

〔従来の技術〕

事務用又は作業用等の椅子において、使用者が背凭部に
寄り掛るときのクッション性能（寄り掛りの荷重を支え
る抵抗力の強弱、ひいては背凭部の後傾程度）を調節す
る手段は種々あり、例えば特公昭63−16121号公報で
は、自動車の座席における座体または／及び背凭部の裏
面における箱型フレーム内に枠状の中央弾性部材を配設
し、この中央弾性部材を箱型フレームの側縁との間で装
架する多数の懸架スプリング群により弾支する一方、前
記箱型フレームと中央弾性部材とを繋ぐ剛性懸架構造体
を回動自在に設け、この剛性懸架構造体を張設位置固定
及び解除する固定手段にて前記多数の懸架スプリング群
の弾性力を封止するように構成することが開示されてい
る。

〔発明が解決しようとする課題〕

この構成によれば、手動操作により固定手段を操作して
剛性懸架構造体の位置固定を解除すると、中央弾性部材
自体と、その周囲の多数の懸架スプリング群との二重の
弾性力によるクッション性能を発揮することができる一
方、前記剛性懸架構造体を位置固定すれば、中央弾性部
材自体は箱型フレームに対して固定されたのと同様にな
って中央弾性部材自体のみの弾性力によるクッション性
能を発揮するだけとなる。

しかし、前記二種類のクッション性能の中間の任意の弾
力性を付与することはできず、使用者の好みに応じて種
々のクッション性能を得るように調節することや使用者
の体重の軽重に応じて自動的に弾力の強弱を調節するこ
ともできないという欠点があった。

本発明は、この従来の欠点に鑑みて、椅子における背凭
部の弾力性をもたれる程度等に応じて変更できるように
して、種々のクッション性能を得ることができる椅子を
提供しようとするものである。

〔課題を解決するための手段〕

この目的を達成するため本発明は、椅子における着座部
と背凭部とから成る側面視略Ｌ字状の座体を弾性を有す
る板で一体的に造形する一方、この座体の裏面側に配設
する外シェル体における背凭受け部を外力にて弾性変形
可能に構成し、外シェル体における座受部上面と前記座
体における着座部との間に下向き外力にて沈み込む弾性
支持部材を介挿し、座体における背凭部背面には外シェ
ル体の背凭受け部に接当させる間隔保持体を後向きに突
出し、外シェル体の背凭受け部と座体の背凭部とを伸縮
及びずれ可能な連結手段にて連結した構成としたもので
ある。

〔発明の作用及び効果〕

本発明における外シェル体の背凭受け部と、該外シェル
体の表面側に配設した座体はとは外力にて弾性変形する
ものであり、外シェル体における座受部と座体における
着座部との間に外力にて下方向に沈み込む弾性支持部材
を介挿してあるから、座体に着座する人の体重が大きい
と着座部が座受部に近付くように沈み、体重が小さいと
前記の沈み込み料は少なくなるというように、座体の高
低が体重に感応する。

他方、この座体における背凭部裏面から後向きに突出し
た間隔保持体が外シェル体の背凭受け部に接当している
ので、背凭部にもたれかかる人の荷重に応じて背凭部が
後傾するように弾性変形すると、前記間隔保持体を介し
て外シェル体の背凭受け部に後向きの力が作用すること
になり、椅子における背凭部のクッション性能は、座体
の背凭部自体と外シェル体の背凭受け部の両者の曲げ抵
抗の大きさの総和によって決定されるのである。

この場合、座体の背凭部と外シェル体の背凭受け部との
隙間間隔は前記間隔保持体により一定に保持されている
一方、外シェル体の背凭受け部と座体の背凭部とを伸縮
及びずれ可能な連結手段にて連結したものであるから、
当該背凭部は外シェル体から大きく外れない状態にて下
向きにずれると共に、後向きに湾曲変形し、この背凭部
に外力が掛からなくなれば、元の姿勢に復帰することが
できる。

このように、本発明に従えば、椅子に座る人の体重の軽
重に応じて、背凭部のクッション性能を最適となるよう
に自動的に調節できることになり、人間工学的に優れた
椅子を提供することができるのである。

そして、その構成も、外シェル体と座体及びばね等の弾
性支持部材と連結手段という少ない部品点数にて達成す
ることができるから、座体の高低や湾曲程度が着座する
人の体重に応じて変化する感応性の大きい椅子を簡単な
構造で構成することができるものである。

〔実施例〕

次に実施例につき説明すると、椅子１は、下端にキャス
トを備えた脚支柱２の上端に支持台３を固着し、該支持
台３の上面には着座受け部4aとその後端から上向きに延
びる背凭受け部4bとを一体的に成形した側面視略Ｌ字状
の外シェル体４を固着し、その表面側には、適宜間隔
（ｈ）を空けて座体５を後述の複数の手段や部材等を介
して装着してある。

この座体５は前記外シェル体４と側面視が略同様のＬ字
状であり、座受部5aと背凭部5bとを一体的に形成されて
いる。

外シェル体４及び座体５は合成樹脂製の板または金属板
等の弾性を有する材料にて各々一体的成形するもので、
少なくとも座体５の背凭部5b及び外シェル体４の背凭受
け部4bは外力にて弾性変形可能になるように形成されて
いる。

符号６は外シェル体４における座受部4aと座体５の着座
部5aとの間に介挿したコイルバネ等の弾性支持部材で、
着座部5aに座る人の体重に応じて沈み込む量が比例する
ように構成されている。

なお、弾性支持部材６の端部は座受部4aと座体５の着座
部5aに対して各々離れ不能に装着するものであり、座体
５の着座部5a及び背凭部5bの表面側には発泡ポリウレタ
ン樹脂等のクッション材７を張設している。

符号８は、前記、座体５の背凭部5b裏面に後向きに複数
箇所にわたって突出した間隔保持体で、外郭間隔保持体
８は座体５の成形時に一体的に形成する。

また、符号９は、座体５の背凭部5bと外シェル体４の背
凭受け部4bとの間にて伸縮及びずれ動き可能に両者を連
結するための連結手段で、その第１実施例は、第１図〜
第４図に示すように、外シェル体４の背凭受け部4bから
前向きに突出した受け部材10と、該受け部材10における
前後長手の皿部11に嵌合する下向き突起部12を備えた鉤
体13が座体５の背凭部5bから後向きに突出した組から成
り、前記受け部材11の先端には上向きの突出部14を鉤体
13の下面方向に臨ませてある。

この構成により、座体５上のクッション材７に人の荷重
が掛かると、その体重F1の大小に応じて外シェル体４の
座受部4aと座体５の着座部5aとの間に介挿した弾性支持
部材６が縮小し、着座部5aは沈み込み（第５図参照）。

このとき、座体５の背凭部5bも下方向に移動するが、外
シェル体４の背凭受け部4bとの相対的上下方向ずれは前
記連結手段９の箇所（第１実施例では、受け部材11の皿
部11に対する鉤体13の下向き突起部12の位置ずれ及び鉤
体13下面と受け部材10先端の突出部14との接触）にて許
容できる。

また、座対５の背凭部5bに人がもたれ掛かるとき、その
後向きの外力F2の大きさに応じて当該背凭部5bが後向き
に湾曲し、その箇所の間隔保持体８を介して外シェル体
４の背凭受け部4bを後向きに押圧してこの背凭受け部4b
をも後向きに湾曲させることになる（第５図参照）。こ
の両部分は弾性部材であるので、前記外力F2の大きさに
応じて曲げ抵抗力も大きくなる。

この連結手段９はコイルバネ18を用いることもできる。

さらに、この連結手段９′の他の実施例として、第７図
に示すように、外シェル体４の背凭受け部4bと座体５の
背凭部5bとの間に軟質又は半硬質のゴム製の棒状または
筒状の弾性梁15を介挿し、該弾性梁15の前後両端部に埋
め込んだ鍔16付き取付け金具17をかしめる等して連結固
着するものである。なお、前記弾性梁15の前後端面を著
接接着剤にて接着固定しても良い。

この実施例の構成の連結手段９′によれば、体重の重い
人が座体５に着座すると、当該座体５における背凭部5b
が外シェル体４の背凭受け部4bに対して下向きにずれる
ことにより、弾性梁15が斜め方向に所謂せん断応力及び
引張り力を受け、さらに背凭部5bに後向きの外力が加わ
ることで、背凭部5b及び背凭受け部4bが湾曲するとき、
弾性梁15の両端間の距離が延びることによる抵抗力が増
大する。

従って、座体５が体重に比例して下降動し、且つ連結手
段９を介して座体５の背凭部5b及び外シェル体４の背凭
受け部4bの弾性変形抵抗力（ひいてはクッションの感
性）も背凭れの力の大きさに応じて変化するのである。

なお連結手段は前記各実施例を取り交ぜて設けても良い
ことは言うまでもない。

このように、本発明によれば、体重が軽い人では背凭部
にもたれ掛かる荷重も少ないのだから、クッションの軟
かい椅子に座った感じを与えることができる。

反対に、体重の重い人が座ると、硬い背凭部にもたれ掛
かるのと同様となるので、クッションが軟らか過ぎる感
じを与えない。

このように、椅子の座体に座る人の体重の軽重に比例し
て、背凭部へのもたれ力に抵抗するクッション性能を強
弱調節することが自動的に実行されるので、体重の軽重
の如何に拘わらず、最適のクッション性を持つ椅子を提
供できるのである。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示し、第１図は椅子の横断面
図、第２図は第１図のII−II視断面図、第３図は連結手
段の要部拡大断面図、第４図は第３図のIV−IV視断面
図、第５図は作用説明図、第６図は他の実施例の断面図
である。 １……椅子、２……脚支柱、３……支持台、４……外シ
ェル体、4a……座受部、4b……背凭受け部、５……座
体、5a……着座部、5b……背凭部、６……弾性支持部
材、７……クッション材、８……間隔保持体、9,9′…
…連結手段、10……受け部材、11……皿部、14……突出
部、12……下向き突起部、13……鉤体、15……弾性梁、
16……鍔、17……取付け金具、18……コイルバネ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】椅子における着座部と背凭部とから成る側
   面視略Ｌ字状の座体を弾性を有する板で一体的に造形す
   る一方、この座体の裏面側に配設する外シェル体におけ
   る背凭受け部を外力にて弾性変形可能に構成し、外シェ
   ル体における座受部上面と前記座体における着座部との
   間に下向き外力にて沈み込む弾性支持部材を介挿し、座
   体における背凭部背面には外シェル体の背凭受け部に接
   当させる間隔保持体を後向きに突出し、外シェル体の背
   凭受け部と座体の背凭部とを伸縮及びずれ可能な連結手
   段にて連結したことを特徴とする椅子における背凭部付
   き座体の弾力調節装置。