JP5952608B2 - 木造建築物の耐火構造 - Google Patents
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Description
従来、このような中〜大規模の木造建築物では、耐火構造とするため、構造用部材として、難燃薬剤を注入した木材や不燃材を複合した大断面の耐火集成材などが用いられている。
このような耐火集成材の例として、例えば、特許文献1には、長期荷重を支持するに足り木材等からなる荷重支持層と、該荷重支持層の外側に配置され、不燃材にしてかつ断熱性を有する断熱材を有した燃え止まり層と、該燃え止まり層の外側に配置され、所定の燃えしろ厚さを有する木材からなる燃えしろ層とを備えてなる構造材が記載されている。
また、特許文献2には、長期荷重を支持するに足り木材等からなる荷重支持層と、該荷重支持層の外側に配置されて所定の燃えしろ厚さを有し前記荷重支持層より熱慣性を低くした木材からなる燃えしろ層とを備えた構造材が記載されている。
また、特許文献3には、難燃薬剤を実質的に含まない木材で構成された表面層と、該表面層に隣接した内側に、木材に難燃薬剤を注入処理した難燃薬剤注入層とを備え、前記難燃薬剤注入層における難燃薬剤の注入量の平均値が、固形分換算で70kg/m3以上である耐火集成材が記載されている。
特許文献1〜3に記載の技術は、いずれも構造用部材自体の耐火性を向上しようとするものであるが、中〜大規模の木造建築物に用いることができる大断面の構造用部材の分野では、このような耐火集成材の安定した製造技術や取引市場は未だ確立していない。このため、材料調達コストが増大するという問題がある。
また、このような耐火集成材は、必要な耐火性および構造強度を満足するために、特定の複合材を特定の構造で積層接着している。このため、部分的な改修や交換が難しいという問題がある。
例えば、火災によって一部が燃えたり、焦げたりした場合、損傷した部分の外観や耐火性を回復する改修を行う必要がある。しかし、耐火集成材ではこのような部分的な改修が困難であるため、復旧工事が大がかりとなり高価についてしまう。
また、例えば、耐火性を有する構造部分が経年劣化した場合にも、部分的に改修することは困難である。
さらに、このような耐火集成材は、形状や外観の選択の自由度が少ないため、意匠性の点で不利であるという問題がある。
また、不燃材など木材以外の材料と木材とが複合されている耐火集成材の場合には、解体やリサイクルのための処理コストが高くなるという問題もある。
本発明の第1の実施形態の木造建築物の耐火構造について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の木造建築物の耐火構造の一例を示す模式的な平面図である。図2(a)は、図1におけるA−A断面図である。図2(b)は、図1におけるB−B断面図である。図3(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態の木造建築物の耐火構造の被覆部材の接合方法の一例および他例を示す模式的な拡大断面図である。
まず、耐火構造を設ける構造梁2の構成について説明する。以下では、一例として、図2(a)、(b)に示すように、構造梁2は、上階床板9の下面9aに設けられているものとして説明する。また、図1は、上階床板9では、図示を省略している。
図1では図示を省略しているが、各支持部材10aは、それぞれの両端部で支持部材10bと接合されており、構造梁2は、支持部材10bと平行に複数設けられている。各構造梁2の間の配列ピッチは、一定値P0である。
構造梁2と支持枠部10との間、および各構造梁2の間には、上階床板9の受け部材(床根太)となる複数の小梁8が、支持部材10aと平行に架設されている。小梁8の配列ピッチは、一定値pである。
構造梁2の形状は、図2(a)、(b)に示すように、幅寸法W0×高さ寸法H0(ただし、W0<H0)の縦長の矩形状断面が架設方向にのばされた形状を有し、上面2dが上階床板9の下面9aと当接されている。ここで、幅W0は、構造梁2の側面2a、2b間の寸法であり、高さH0は、上面2d、下面2c間の寸法である。
構造梁2の架設方向の両端部は、適宜の接合方法で支持部材10a、10bと接合されていればよい。本実施形態では、一例として、スリット式受け金物(図1では図示略)を介して支持部材10a、10bと接合されている。
以下では、構造梁2は、一例として、W0×H0が、105mm×330mmの矩形断面梁であるものとして説明する。
また、小梁8の材質は、適宜の木材または木材の集成材からなる。例えば、カラマツの角材などを採用することができる。カラマツの場合、例えば、105mm角の角材を採用することができる。
小梁8は、構造用梁材でないため、万一、火災時に焼損したとしても木造建築物の倒壊を招くことはない。したがって、構造梁2に比べて耐火性が劣る構成としてもよい。ただし、例えば、難燃薬剤が注入されたり、不燃材が複合されたりすることにより、耐火性が向上されていれば、より好ましい。
被覆部材3は、火災が発生しても、一定の耐火時間、例えば、1時間、2時間、3時間等、燃え落ちることなく配置位置に残存すること(燃え残り)により、火炎を遮断し、構造梁2の温度を着火温度以下に保つために設けられている。
また、本実施形態では、図2(a)、(b)に示すように、構造梁2および被覆部材3は、上階床板9の下面9aから下方に向かって、木造建築物の室内に突出された梁部1を構成している。このため、梁部1の室内に露出されているため、外観および意匠性が重要となる部材になっている。
被覆部材3の概略構成は、化粧梁4A、4B、下部被覆部材5、および小梁間被覆部材6A、6Bを備える。
化粧梁4Aは、耐火性能を得るための遮蔽、遮熱部材として機能するとともに、梁部1の主要な外観を形成する部材にもなっている。
このため、化粧梁4Aの材質としては、耐火性能に優れるとともに、外観の優れた材質を採用することが好ましい。例えば、木材、木材の集成材、不燃材、不燃材と木材の複合材などの例を挙げることができる。本実施形態では、一例として、カラマツを採用している。
また、化粧梁4Aの矩形断面の高さ寸法(上面4dと下面4cとの間の距離。以下、単に高さ寸法と称する)は、後述する下部被覆部材5を固定するため構造梁2の下面2cより下方に突出して配置できる寸法とする。
このため、本実施形態では、化粧梁4Aは構造梁2と固定されておらず、化粧梁4Aの両端部のみが、構造梁2と同様にスリット式受け金物(図1では図示略)を介して支持部材10a、10bに固定されている。
また、化粧梁4Aの上面4dと上階床板9の下面9aとの間の距離は、小梁8の高さ寸法よりわずかに大きく、小梁間被覆部材6Aと後述する充填材7とを収容可能な距離とされている。例えば、小梁8の高さ寸法が105mmの場合、120mm程度とすることが可能である。
また、化粧梁4Bは、化粧梁4Aと面対称な形状を有し、化粧梁4Aと面対称な位置に配置されている。化粧梁4Bの断面形状、長さ、材質、支持部材10aに対する固定方法も、化粧梁4Aと同様である。
下部被覆部材5は、各内側面4a間に略隙間なく密接してはめ込まれていれば、複数の部材に分割されている構成としてもよい。
下部被覆部材5の材質は、耐火性能に優れる材質であれば特に限定されない。例えば、木材、木材の集成材、不燃材、不燃材と木材の複合材などの例を挙げることができる。本実施形態では、一例として、板厚105mmのカラマツを採用している。
下部被覆部材5の上面5aと、構造梁2の下面2cとの間には、距離d2の均等な隙間が設けられている(図2(a)参照)。距離d2は、下部被覆部材5の遮熱特性と、隙間の空気層による遮熱特性とを併せて、構造梁2を保護する耐火性能が得られる適宜の寸法に設定する。例えば、0mmより大きくダクト等が貫通できる500mm以下とすることが好ましい。ただし、距離d2は、下部被覆部材5自身または構造梁2の変形や振動によって、上面5aが構造梁2の下面2cと接触しない程度の大きさとすることが好ましい。
本実施形態では、これらの変形や振動に対する余裕を考慮して、d2=15(mm)としている。このため、これらの変形や振動があっても、少なくとも7.5mm以上の隙間を確保することができるようになっている。
本実施形態では、図3(a)に示すように、化粧梁4A、4Bをそれぞれ貫通する複数のビス12によって、側方からビス止めされている。このため、各ビス12を外すことで、下部被覆部材5のみを取り外すことが可能である。また、各ビス12の頭を座彫り埋木することにより、ビス頭を隠して外観に配慮しても良い。
このため、適宜下部被覆部材5を取り外すことで、下方から構造梁2の状態を容易に観察することができる。これにより、構造梁2のメンテナンスや、火災発生後の構造梁2の健全性の確認等を容易に行うことができる。
さらにこのような梁部1では、化粧梁4A、4Bの下端部が下方に突出して、平行に延びる単一梁とは異なる独特の外観が得られるため、意匠性が向上する。
この場合、下部被覆部材5Aは、下部被覆部材5に比べて、燃えしろが大きくなるため、被覆部材3Aの方が耐火性能を向上することができる。
さらに、各ビス12をより上面5aに近い方に配置すれば、下方側の燃えしろが大きくなり、ビス12による固定部が焼損しにくくなる。ただし、燃えしろが十分である場合には、ビス12をより下方に固定することも可能である。この場合、板厚が厚くなる分、ビス12の固定可能範囲が広がるため、例えば、図3(b)に示すように、各ビス12の先端が互い違いになるようにビス12の固定位置を変えることも可能である。また、例えば、図3(c)に示すように、各ビス12を下部被覆部材5Aの下方から下面4cに対し斜めに固定することも可能である。
また、外観の面では、下部被覆部材5Aを備える梁部1Aでは、下面が面一となるため、構造梁2に比べて幅が大きな梁が設けられたのと同様の外観を備える。この場合、下部被覆部材5Aは、化粧梁4A、4Bの材質と同一の材質を採用することがより好ましい。
ただし、小梁間被覆部材6A(6B)の矩形断面の高さ寸法は、上面4dと下面9aとの隙間よりもわずかに小さい寸法とし、小梁間被覆部材6A(6B)と下面9aとの間に耐火性を有する充填材7が充填されている。
小梁間被覆部材6A(6B)において、構造梁2の側面2a(2b)に対向する内側面6aは、化粧梁4A(4B)の内側面4aと整列されており、小梁間被覆部材6A(6B)と側面2a(2b)との間には、距離d1の隙間が形成されている。
また、小梁間被覆部材6A(6B)の長さは、図2(b)に示すように、隣り合う小梁8の間隔から当該小梁8の幅寸法分を引いた長さとほぼ等しい長さを有し、隣り合う小梁8の間にはめ込まれている(図1参照)。
各小梁間被覆部材6A(6B)と化粧梁4A(4B)とは、外側面6b、4b側からそれぞれ小梁間被覆部材6A(6B)、化粧梁4A(4B)に対して斜めにビスや釘を打って固定するか、小梁間被覆部材6A(6B)の上面から化粧梁4A(4B)に対してビス、釘、またはボルトで連結して固定されている。
また、このように小梁間被覆部材6A(6B)と下面9aとの間に、充填材7が充填されることにより、火炎が侵入する可能性のある隙間がふさがれている。
充填材7の材質の例としては、例えば、ロックウール、グラスウール、耐火コーキング材等を挙げることができる。また、充填材7は圧縮性を有する材料であることがより好ましい。
本実施形態では、小梁間被覆部材6A(6B)と下面9aとの隙間が15mmとされ、この隙間に、充填材7としてロックウールを充填している。
図4(a)、(b)、(c)は、本発明の第1の実施形態の木造建築物の耐火構造の施工方法を説明する模式的な斜視図である。図5(a)、(b)、(c)は、本発明の第1の実施形態の木造建築物の耐火構造の施工方法を説明する模式的な断面図である。
まず構造梁2の建て方では、図4(a)に示すように、支持枠部10の互いに対向する支持部材10aのそれぞれに複数の梁受け金物14が取り付けられる(図4(a)では、一方の支持部材10aのみ図示)。
梁受け金物14は、支持部材10aに構造梁2、化粧梁4A、4Bの各両端部を接合するためもので、本実施形態では、スリット式受け金物を採用している。
各梁受け金物14の取付位置は、構造梁2、化粧梁4A、4Bの両端部の配置位置に合わせて設定されており、例えば、これらの梁受け金物14にそれぞれ接合を完了すると、構造梁2と、化粧梁4A、4Bとの相対的な位置関係が決まるようになっている。
次に、各構造梁2間、または構造梁2と図示略の支持部材10bとの間に、小梁8を架設し、小梁8の両端部を構造梁2や支持部材10bと接合する。
以上で、構造梁2の建て方が終了する。
これにより、化粧梁4A、4Bと、構造梁2との相対位置関係が固定される。例えば、小梁8が通っていない位置での断面(例えば、図1のA−A断面に相当)では、図5(a)に示すように、構造梁2の側面2a、2bに対して、化粧梁4A、4Bの内側面4aが距離d1だけ離間して配置される。また、上階床板9の下面9aに対しては、距離d3だけ離間して配置される。ここで、距離d3は、小梁8の高さ寸法に充填材7と充填代を加えた寸法である。
また、化粧梁4A、4Bの各下面4cは、構造梁2の下面2cよりも下方に突出して配置される。
これにより、図4(c)(ただし、充填材7は図示略)、図5(c)に示すように、下部被覆部材5によって、構造梁2の下面2cが覆われ、被覆部材3が組み立てられるとともに、梁部1が形成される。
また、下部被覆部材5に代えて下部被覆部材5Aを用いる場合、上記の下部被覆部材5に代えて下部被覆部材5Aを同様に組み付けることにより、被覆部材3A、および梁部1Aが形成される。
また、被覆部材3(3A)は、木製部材で構成されるため、木製部材の遮熱効果により、構造梁2の温度上昇を抑制することができる。特に本実施形態では、被覆部材3(3A)と構造梁2との間に隙間に空気層が形成されるため、被覆部材3自身の遮熱効果に加えて、空気層の断熱効果も相俟って、隙間がない場合に比べてより一層良好な遮熱効果を備える。
このため、構造梁2を外すことなく、下部被覆部材5(5A)および化粧梁4A、4Bを取り外したり、交換したりすることが容易である。
このため、万一、火災によって、梁部1(1A)に延焼が生じた場合、下部被覆部材5(5A)を取り外して、構造梁2の被害の有無をただちに確認することができる。
また、燃え残りの化粧梁4A、4B、小梁間被覆部材6A、6Bを容易に取り外し、新品の被覆部材3(3A)に交換することができる。
被覆部材3(3A)は、上記に説明したように、構造梁2の建て方後に施工することができるため、燃え残りを取り外して構造梁2が露出された状態で、同様にして施工を行うことができる。
次に、本実施形態の第1変形例について説明する。
図6は、本発明の第1の実施形態の第1変形例の木造建築物の耐火構造の構成を示す模式的な拡大断面図である。
被覆部材13は、上記第1の実施形態の被覆部材3における下部被覆部材5に代えて、下部被覆部材として不燃材である強化石膏ボード15を備えるとともに、下部被覆部材の化粧梁4A、4Bに対する固定方法を変更したものである。これにより、化粧梁4A、4Bの間に強化石膏ボード15の下面が露出された梁部11が形成されている。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本変形例では、一例として、下部被覆部材5と同幅に加工された厚さ21mmのものを2枚重ねにして用いている。このため、構造梁2の長さより短い長さの複数のものを継ぎ足して配置しても、継ぎ目を上下異なる位置に設けることで、隙間が形成されないように配置することができる。
また、強化石膏ボード15と構造梁2の下面2cとの距離d2は、上記第1の実施形態と同様の寸法としてもよいし、強化石膏ボード15の遮熱特性に応じて、寸法を変更してもよい。
すなわち、化粧梁4A、4Bの各内側面4a間において強化石膏ボード15の積層体の最上面15aを配置する位置に、吊り下げ金物16を架設して下地を設ける。そして、この吊り下げ金物16に、下側から強化石膏ボード15の積層体を当てつけ、この積層体を貫通する長さのビス17を用いて、積層体を吊り下げ金物16にビス止めしている。
図6に示す例では、吊り下げ金物16は、上方に開口するC字状の断面を有しているが、強化石膏ボード15を下方から固定できる形状であれば、このような断面形状には限定されず、適宜形状のアングルを採用することができる。
また、吊り下げ金物16における、図6の奥行き方向の長さも適宜設定することができる。
ただし、吊り下げ金物16は、強化石膏ボード15に比べて熱伝導率が高いため、構造梁2とは当接しない形状とすることが好ましい。
その後、強化石膏ボード15を配置して、ビス17によるビス止め作業を行う。
強化石膏ボード15は、木材を用いる場合に比べて同じ耐火性を得るための厚さを薄くてよいため、強化石膏ボード15の積層体の最下面を、化粧梁4A、4Bの各下面4cに対してより上方に配置することができる。これにより、強化石膏ボード15は、上記第1の実施形態の下部被覆部材5に比べると各下面4cより上方に引っ込んで配置されるため、強化石膏ボード15が室内から見えにくい構成とすることができる。
また、強化石膏ボード15を構造梁2の下方から、吊り下げ金物16に当てつけてビス止めできるため、一方向のみの固定作業となり、作業性が良好となる。
また、強化石膏ボード15を固定する下地としては、吊り下げ金物16の他にも、木材を用いることが可能である。
また、強化石膏ボード15の固定方法は、ビス止め以外にも、釘、ステープルなどで固定してもよい。
また、強化石膏ボード15の固定方法は、吊り下げ金物16や木材等の下地を用いる他にも、フック等で吊る固定方法も可能である。
次に、本実施形態の第2変形例について説明する。
図7は、本発明の第1の実施形態の第2変形例の木造建築物の耐火構造の構成を示す模式的な拡大断面図である。
被覆部材23は、上記第1変形例の吊り下げ金物16に代えて、断面L字状のアングル18A、18Bを備えるとともに、強化石膏ボード15の化粧梁4A、4Bに対する固定方法を変更したものである。これにより、化粧梁4A、4Bの間に強化石膏ボード15の下面が露出された梁部21が形成されている。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
また、各突片部18aの間には、強化石膏ボード15を下方から挿入して突片部18aの上方に配置するための適宜の開口幅を有する開口部18bが形成されている
アングル18A、18Bの図示奥行き方向の長さおよび配置個数は、強化石膏ボード15の長さ寸法や質量等に応じて適宜の長さおよび配置個数を採用することができる。
例えば、アングル18A(18B)を化粧梁4A(4B)の全長にわたって設置する場合には、強化石膏ボード15の側面と化粧梁4A(4B)の内側面4aとの間に隙間ができても、アングル18A(18B)によって上方から隙間がふさがれるため、耐火性をより向上することができる。
アングル18A、18Bの固定方法は、適宜の固定方法、例えば、ビス、釘、ステーブル、粘着テープ、接着剤等により止めつける方法を採用することができる。
また、本変形例では、開口部18bから強化石膏ボード15の積層体を挿入して、突片部18a上に上方から係止することができるため、強化石膏ボード15を固定する際の作業性が良好となる。
次に、本実施形態の第3変形例について説明する。
図8は、本発明の第1の実施形態の第3変形例の木造建築物の耐火構造の構成を示す模式的な拡大断面図である。
被覆部材33は、上記第1の実施形態における下部被覆部材5に代えて、下層被覆部材35Aと上層被覆部材35Bとの2層構造を有する下部被覆部材35を備えるものである。これにより、化粧梁4A、4Bの間に下層被覆部材35Aの下面が露出された梁部31が形成されている。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
これにより、梁部31の下面側の外観を木調で統一したり、化粧梁4A、4Bと同一の外観に統一したりすることができる。
下層被覆部材35Aの固定方法は、特に限定されないが、本実施形態では、上記第1の実施形態と同様にして、化粧梁4A、4Bに貫通するビス12によって側方からビス止めされている。このため、本変形例では、梁部31の下面に固定手段が露出しない構成になっている。
本変形例では、上記第2変形例と同様にして、アングル18A、18Bを用いて固定している。本変形例のアングル18A、18Bは、上層被覆部材35Bを各突片部18a上に配置したとき、上層被覆部材35Bの上面が構造梁2の下面2cから距離d2だけ離間する位置に固定されている。
ただし、上層被覆部材35Bが、突片部18a上に配置したときに自重によって座屈して抜け落ちることがない程度の剛性を備える場合には、上層被覆部材35Bの下面と下層被覆部材35Aの上面との間に隙間を設けて、空気層が形成される配置としてもよい。この場合、上層被覆部材35Bと構造梁2との間の空気層による断熱効果に、上層被覆部材35Bと下層被覆部材35Aとの間の空気層による断熱効果も加わるため、耐火性能をさらに向上することができる。
次に、上記第1の実施形態と同様にして、下層被覆部材35Aを上層被覆部材35Bの下方側から化粧梁4A、4Bの間に挿入して、ビス12を用いて、化粧梁4A、4Bの内側面4aとの間に固定する。
また、下部被覆部材35は、互いに材質が異なる下層被覆部材35Aと上層被覆部材35Bとを、別々に固定するため、それぞれの材質や剛性等に応じて好適な固定方法で固定することができる。
また、取り外す際も、別々に取り外すことができるため、取り外し後の分別が容易となり、解体やリサイクルの処理コストを低減することができる。
次に、本実施形態の第4変形例について説明する。
図9は、本発明の第1の実施形態の第4変形例の木造建築物の耐火構造の構成を示す模式的な拡大断面図である。
以下、上記第3変形例と異なる点を中心に説明する。
すなわち、本変形例は、上記第1変形例の強化石膏ボード15の固定方法を、下層被覆部材35Aの固定方法に適用した変形例になっている。
次に、本実施形態の第5変形例について説明する。
図10(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態の第5変形例の木造建築物の耐火構造の構成を示す模式的な拡大断面図である。
被覆部材53は、上記第1の実施形態の下部被覆部材5、化粧梁4A、4B、に代えて、下部被覆部材55、化粧梁54A、54Bを備える。これにより、化粧梁54A、54Bの間に下部被覆部材55の下面が露出された梁部51が形成されている。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
下部被覆部材55は、外力を加えると、外力が作用しないときの自然状態から、湾曲変形または圧縮変形することが可能であって、外力を解除すると、自然状態の形状に略戻る(完全に戻るばあいも含む)軟性の部材で構成される。
下部被覆部材55の自然状態の幅W1は、化粧梁54A、54Bの各内側面4a間の距離D(=W0+2・d1)よりも大きい寸法である。
下部被覆部材55の材質としては、火災時の温度上昇により自重で座屈変形しない程度の剛性を有し、必要な耐火性能を有する適宜の軟性材料を採用することができる。
例えば、ロックウールを挙げることができる。
各係止溝54eの溝断面は、下部被覆部材55の幅方向の端部を挿入して係止することができる適宜の矩形状の断面を採用することができる。
すなわち、各係止溝54eの溝幅は、下部被覆部材55の圧縮性の程度に応じて、下部被覆部材55の厚さと同等もしくはわずかに狭い溝幅を採用することができる。
また、各係止溝54eの溝深さは、下部被覆部材55をはめ込んだあと、自重や振動で落下せず、火災発生時の温度上昇により落下しない程度の深さにすればよい。本実施形態では、図10(a)に示すように、一例として、各係止溝54e間の距離寸法が、下部被覆部材55の自然状態の長さW0と等しくなる溝深さに設定している。
このような寸法とすれば、振動によって、下部被覆部材55ががたつくことがないため好ましい。ただし、下部被覆部材55の圧縮性の程度によっては、自然状態の幅W0より狭い隙間として、幅方向(図10(a)の左右方向)に圧縮された状態で、下部被覆部材55を取り付けてもよい。
次に、下部被覆部材55を、例えば湾曲させて、化粧梁54A、54Bの下端側の隙間から、上方に押し込み、下部被覆部材55の幅方向の端部55aを各係止溝54eに挿入する。これにより、下部被覆部材55が自然状態の形状に戻り、各係止溝54e間にはめ込まれて水平に保持される。この結果、化粧梁54A、54Bの間の隙間がふさがれる。
本変形例では、下部被覆部材55の端部55aは係止溝54eに挿入されているのみで、接合されたり、ビス止めされたりしていないため、取り外す際に、容易に取り外すことができる。このため、異材質の化粧梁54A、54Bと分離して取り外すことが容易である。
このように、本変形例によれば、被覆部材53の取り付け、解体の施工が容易となる。また、取り外し後の分別が容易となり、解体やリサイクルの処理コストを低減することができる。
次に、本実施形態の第6変形例について説明する。
図11(a)は、本発明の第1の実施形態の第6変形例の木造建築物の耐火構造の構成を示す模式的な断面図である。図11(b)は、第6変形例に用いる取り付け金具を示す模式的な斜視図である。
被覆部材63は、上記第1の実施形態の下部被覆部材5に代えて、下部被覆部材65を備える。これにより、化粧梁4A、4Bの間に下部被覆部材65の下面が露出された梁部61が形成されている。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
羽付き梁受け金物62は、図11(a)、(b)に示すように、上端部に支持部材10aと固定するために、構造梁2の側方側に張り出した羽状の固定部62aを有し、この各固定部62aに、上方に開口された断面コ字状の枠部である受け枠部62bが接続されている。
受け枠部62bは、構造梁2を上方から挿入して、構造梁2の下端部の側面2a、2b、および下面2cに密着して受けられる形状に形成され、例えば、ボルトやロックピン等によって、構造梁2の端部を固定できるようになっている。
このため、図11(a)に示すように、構造梁2の側面2a(2b)と化粧梁4A(4B)との隙間d4は、固定部62aの張り出し量d5より大きくなっている。
下部被覆部材65は、このような化粧梁4A、4Bの対向間隔に合わせて幅寸法を変更した点のみが上記第1の実施形態の下部被覆部材5と異なる。
また、火災時に羽付き梁受け金物62も火炎から保護されるため、構造梁2の固定部における耐火性能を向上することができる。
次に、本実施形態の第7変形例について説明する。
図12(a)、(b)、(c)は、本発明の第1の実施形態の木造建築物の耐火構造の施工方法の変形例(第7変形例)の工程を説明する模式的な断面図である。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
そして、この組立体30を、すでに建て方が終了した構造梁2の下方から挿入し、図示略の梁受け金物14と接合可能な位置に配置する。
次に、この組立体30における両端部の化粧梁4A、4Bと、各梁受け金物14とを、上記第1の実施形態と同様にして接合する(図12(b)参照)。
次に、図12(c)に示すように、上記第1の実施形態と同様にして、小梁間被覆部材6A、6Bを固定し、充填材7を充填する。
このようにして、被覆部材3Aが施工され、梁部1Aが形成される。
次に、本実施形態の第8変形例について説明する。
図13(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態の第8変形例の木造建築物の耐火構造の構成を示す模式的な断面図である。
被覆部材73は、上記第1の実施形態の下部被覆部材5に代えて、下部被覆部材75を備え、構造梁2の側面2a、2b、下面2cを隙間なく密接して覆うようにしたものである。これにより、化粧梁4A、4Bの間に下部被覆部材75の下面75cが露出された梁部71が形成されている。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
化粧梁4A、4Bは、上記第1の実施形態と同様に、両端部のみで支持部材10aと固定されていることが好ましいが、繰り返しの着脱が可能な非接着の固定方法、例えば、ビス止め等の固定方法によって一部が構造梁2と着脱可能に固定されていてもよい。
下部被覆部材75は、その上面75aを構造梁2の下面2cに密接させた状態で、上記第1の実施形態と同様にして、化粧梁4A、4Bに固定されている。
下部被覆部材75は、上記第1の実施形態と同様に、化粧梁4A、4Bのみと固定されていることが好ましいが、繰り返しの着脱が可能な非接着の固定方法、例えば、ビス止め等の固定方法によって一部が構造梁2と着脱可能に固定されていてもよい。
本変形例によれば、化粧梁4A、4B、下部被覆部材5の耐火性能による耐火性能が得られる。また、隙間を設けない分、上記第1の実施形態の梁部1に比べて、梁部71の幅や高さを低減することができる。
次に、本実施形態の第9変形例について説明する。
図14(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態の第9変形例の木造建築物の耐火構造の構成を示す模式的な断面図である。
被覆部材93は、上記第1の実施形態の化粧梁4A、4Bに代えて、化粧梁94A、94Bを備える。これにより、上記第1の実施形態の下部被覆部材5を用いた梁部1に比べて、下部被覆部材5の下面5cが化粧梁94A、94Bの下面94cからさらに引っ込んだ位置に設けられた梁部91が形成されている。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
化粧梁94A(94B)の断面の高さ寸法は、構造梁2に対して下部被覆部材5を上記第1の実施形態と同様の配置としたときに、下面94cが下部被覆部材5の下面5cよりも長さd5だけ突出する寸法としている。
長さd5は、室内から下部被覆部材5が見えにくい適宜寸法を採用することができる。例えば、d5≧5(mm)のような寸法が好適である。
また、本変形例では、配列ピッチP0を代えることにより、変化に富んだ意匠を実現することができる。
例えば、図14(b)に示す例は、構造梁2を、配列ピッチP0よりも小さい配列ピッチP1で設け、それぞれに被覆部材93を施工した場合の例である。この場合、配列ピッチP1を適宜に設定することにより、幅寸法の小さい化粧梁94Aが細かいピッチで多数配列された印象を与えることができ、このような意匠が必要とされる場合に好適となる。例えば、図14(b)では、P1=455(mm)としている。
また、配列ピッチP1を、化粧梁94A、94Bの対向ピッチの2倍に設定すれば、化粧梁94A、94Bの各下端部が等ピッチに配置されることになる。
また、このように、構造梁2の配列ピッチを小さくする場合、強度上必要のない構造梁2をあえて設けてもよいが、構造梁2を増やすことにより、個々の構造梁2の梁断面を小断面に変更することも可能である。
次に、本実施形態の第10、11変形例について説明する。第10変形例、第11変形例は、いずれも上階床板9の下方に天井化粧板を設ける場合の変形例である。
図15(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態の第10、11変形例の木造建築物の耐火構造の構成を示す模式的な断面図である。
互いに隣接する梁部1A間には、その中間部に位置する構造梁2の下方側であって、梁部1Aの下面を構成する下面4c、5cよりも上側となる位置に、石膏ボードなどからなる耐火性の天井化粧板105が設置されている。
天井化粧板105は、図示略の天井吊り具や、根太などによって固定されている。また、天井化粧板105の外縁部は、化粧梁4A、4Bの側面に対して略隙間なく密接されている。
また、本変形例によれば、天井化粧板105から、梁部1Aの下端部が突出されているため、構造梁2よりも太い梁が設けられているように見える。このため、実際にこれと同じ太さの構造梁を設け、その構造梁全体に耐火処理を行う場合に比べて、同様な印象を与える梁部1Aを容易に形成することができる。
なお、梁部1A間に配置された構造梁2は、天井化粧板105によって覆われているため、天井化粧板105の耐火性能によって保護されている。
被覆部材103は、上記第1の実施形態の被覆部材3の化粧梁4B、4A、下部被覆部材5に代えて、化粧梁104B、104A、天井化粧板115を備える。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
また、化粧梁104Bにおいて、側面2bと対向する側面である側面104aと側面2bとは、上記第1の実施形態と同様に、距離d1だけ離間されている。
ただし、本変形例では、側面104aと反対側の側面104bは、上記第1の実施形態の化粧梁4Bの外側面4bとは異なり、天井化粧板115の裏側に位置するため、室内から見えない外表面になっている。このため、化粧梁104Bは、必要な耐火性能を有して入れば、どのような外観を有していてもよい。
このため、化粧梁104Aでは、下面104cと、下端側の長さd6の領域の側面104a、104bは、それぞれ天井梁として必要な外観を備える。ここで、化粧梁104Aの側面104aは、構造梁2の側面2aと対向する側面であり、側面104bは、その反対側の側面である。
化粧梁104Aの側面104aと天井化粧板115の端部との密接方法は、例えば、化粧梁104Aと天井化粧板115とで形成される隅角部に木製や鋼製の下地材を入れておのおの留めつける。または、下地材を用いずに化粧梁104Aの側面を一部切り欠いて天井化粧板115をのみこませることができる。これにより、化粧梁104Aの側面104aと天井化粧板115の端部とは、略隙間なく密接されている。
各天井化粧板115は、互いに隣り合う化粧梁104Aの間にある化粧梁104Bの下面104cに、例えば、ビスや釘などによって固定されている。これにより、化粧梁104Bの下面104cと天井化粧板115の上面とは、略隙間なく密接されている。
また、図示は省略するが、必要に応じて、互いに隣り合う化粧梁104Aの間に設けられた、根太や天井吊り金具などによって、支持されている。
このため、本変形例では、天井化粧板115の取り付け工程は天井施工を兼ねている。
さらに、本変形例では、天井化粧板115より下方側には、化粧梁104Aの下端部のみが突出されるため、室内から見える梁部101を細く見せることができる。
次に、本実施形態の第12変形例について説明する。本変形例は、構造用梁材が種々の構成を有する場合の変形例である。
図16(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態の第12変形例の木造建築物の耐火構造の施工前、施工後の構成を示す模式的な斜視図である。
構造梁120は、角形断面を有する構造用梁材であり、木製部材からなる。
構造梁121は、構造梁120に比べて断面の高さ寸法が大きい縦長の矩形状断面を有する構造用梁材であり、木製部材からなる。
構造梁122は、構造梁121と同様な幅および高さに有するH形鋼の鉄骨梁からなる。
構造梁120、121の両端部は、上記第1の実施形態と同様に、支持部材10aに取り付けられた梁受け金物14(図16(a)参照)によって、支持部材10aと固定されている。
構造梁122の両端部は、支持部材10aに対して、例えば、ボルト止めなどによって接合されている。
ス止め等の固定方法によって一部が構造梁2と着脱可能に固定されていてもよい。
このため、構造梁122の周囲には、構造梁121を覆うことができる被覆部材124が設置され、これにより、構造梁122の側面および下面が覆われている。
このため、図16(a)に示すように、支持部材10aにおける構造梁122の固定位置の側方には、被覆部材124の端部を固定する梁受け金物14が予め固定されている。
特に、構造梁122のように、鉄骨梁を被覆部材124で覆う場合、鉄骨梁は木材に比べて耐火性能に優れるため、被覆部材124を設けることにより、より優れた耐火性が得られる。また、被覆部材124を設けることにより、構造梁122自身の耐火性能を低減することが可能になるため、梁断面形状を小型化し、鉄骨梁の重量を低減することも可能である。
また、鉄骨梁がH形鋼のような断面形状を有する場合、構造梁122の側面の大部分は、ウェブ表面122a、122bによって形成されるため、ウェブ表面122a、122bと被覆部材124の内側面との間に、大きな空気層が形成される。この空気層の断熱効果により、被覆部材124の耐火性能は、構造梁122を覆う場合の方が向上されている。
次に、本発明の第2の実施形態の木造建築物の耐火構造について説明する。
図17(a)、(b)は、本発明の第2の実施形態の木造建築物の耐火構造の施工前、施工後の主要部の構成を示す模式的な斜視図である。図17(c)は、図17(b)におけるC−C断面図である。
以下では、一例として、土台200上に立設されている場合の例で説明する。
構造柱201の材質は、本実施形態では、適宜の木製部材からなる。この木製部材は、例えば、難燃薬剤が注入されたり、不燃材が複合されたりすることにより、耐火性が向上されていてもよいが、特に耐火処理を施されてない木製部材も好適である。
また、構造柱201の材質は、例えば、鉄骨材などを採用してもよい。
構造柱201の下端部は、土台200上に固定された柱脚金物204を介して土台200に固定されている。
化粧柱202は、火災が発生しても、一定の耐火時間、例えば、1時間、2時間、3時間等、燃え落ちることなく配置位置に残存することにより、火炎を遮断し、構造柱201の温度を着火温度以下に保つために設けられている。
化粧柱202は、図17(c)に示すように、本実施形態では、4枚の化粧板203が着脱可能に接合されて構成された四角柱状の外形を有する筒状部材である。着脱可能な固定方法としては、例えば、ビス止め、ボルト止め等の方法を挙げることができる。
距離d7は、化粧板203の遮熱特性と、隙間の空気層による断熱特性とを併せて、構造柱201を保護する耐火性能が得られる適宜の寸法に設定する。距離d7は、例えば、0mmより大きく100mm以下とすることが好ましい。ただし、距離d7は、化粧板203自身または構造柱201の変形や振動によって、内面203aが構造柱201の外周面201aと接触しない程度の大きさとすることが好ましい。本実施形態では、d7=7.5(mm)としている。
このため、化粧板203は、耐火性能に優れるとともに、外観の優れた材質を採用することが好ましく、上記第1の実施形態の化粧梁4A、4Bと同様の材質を採用することができる。
また、化粧柱202は、木製部材で構成されるため、木製部材の遮熱効果により、構造柱201の温度上昇を抑制することができる。特に本実施形態では、化粧柱202と構造柱201との間に隙間に空気層が形成されるため、化粧柱202自身の遮熱効果に加えて、空気層の断熱効果も相俟って、隙間がない場合に比べてより一層良好な遮熱効果を備える。
このため、万一、火災によって、化粧柱202に延焼が生じた場合、化粧板203を取り外して、構造柱201の被害の有無をただちに確認することができる。
また、燃え残りの化粧柱202を容易に取り外し、新品の化粧柱202に交換することができる。
化粧柱202は、構造柱201の建て方後に施工することができるため、燃え残りを取り外して構造柱201が露出された状態で、同様にして施工を行うことができる。
例えば、被覆部材において、構造用部材と対向する側に、構造用部材の表面と当接する凸部を設けたり、スペーサ部材を配置したりして、凸部やスペーサ部材以外の領域に隙間が形成される構成とすることが可能である。
また、例えば、上記第1の実施形態およびその変形例において、構造用梁材の側面のいずれか、または下面のみを隙間なく密接させ、残りの表面に隙間を形成する構成も可能である。
例えば、構造用部材がコンクリートや鉄筋コンクリートからなる場合に、適用することも可能である。
また、本発明の被覆部材は、木造建築物以外のコンクリート造、鉄骨造等の非木造建築物に適用することも可能である。
2、120、121、122 構造梁(構造用部材、構造用梁材)
2a、2b 側面(構造用部材の表面)
2c 下面(構造用部材の表面)
3、3A、13、23、33、33A、53、63、73、93、103、123、124、125 被覆部材
4A、4B、54A、54B、94A、94B、104A、104B 化粧梁
5、5A、35、55、65、75、75A 下部被覆部材
6A、6B 小梁間被覆部材
7 充填材
8 小梁
9 上階床板
10a、10b 支持部材
12、17 ビス
14 梁受け金物
15 強化石膏ボード(下部被覆部材)
16 吊り下げ金物
18A、18B アングル
35A 下層被覆部材
35B 上層被覆部材
62 羽付き梁受け金物
105、115 天井化粧板
201 構造柱(構造用部材)
201a 外周面(構造用部材の表面)
202 化粧柱(被覆部材)
203 化粧板
203a 内面
203b 外面
Claims (5)
- 構造用部材を有する木造建築物の耐火構造であって、
前記構造用部材の表面を覆う被覆部材が前記構造用部材の表面との間に隙間を有するように配置されており、
前記構造用部材は、その上面が上階床板の下面に当接している構造用梁材であり、
前記被覆部材は、前記構造用梁材の側面および下面に沿って、前記構造用梁材の表面を覆うように配置されており、かつ、長手方向の両端部において前記構造用梁材とは異なる部材と固定された
ことを特徴とする木造建築物の耐火構造。 - 前記被覆部材は、前記構造用部材の表面から離して配置された
ことを特徴とする請求項1に記載の木造建築物の耐火構造。 - 前記被覆部材は、木製部材を備える
ことを特徴とする請求項1または2に記載の木造建築物の耐火構造。 - 前記構造用梁材とは異なる部材には、前記被覆部材が前記構造用梁材の下方から挿入可能な受け金物が固定され、
前記被覆部材の前記長手方向の両端部は、前記受け金物に接合されている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の木造建築物の耐火構造。 - 前記被覆部材は、前記構造用梁材の下面を覆う位置に、着脱可能に配置された下部被覆
部材を備える
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の木造建築物の耐火構造。
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