以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態における媒体厚検出装置を備える画像形成装置の斜視透視図、図2は本発明の第1の実施の形態における媒体厚検出装置を備える画像形成装置の要部を示す側面透視図、図3は本発明の第1の実施の形態における印字ヘッドを示す側面透視図である。なお、図3において、(a)は非印刷時の状態を示す図、(b)は印刷時の状態を示す図である。
図において、10は、本実施の形態における画像形成装置である。該画像形成装置10は、例えば、プリンタ、ファクシミリ機、複写機、又は、スキャナ、プリンタ、ファクシミリ機及び複写機の機能を併せ持つ複合機、すなわち、MFP(Multi Function Printer:複合プリンタ)であって、インクジェット方式、電子写真方式、熱転写方式等の各種の画像形成方式を利用して、紙等の媒体32に画像を形成することができる装置であれば、いかなる種類の装置であってもよいが、ここでは、ワイヤドット方式で印刷を行うシリアル・インパクト・ドット・マトリックス・プリンタ(SIDMプリンタ)であるものとして説明する。
そして、前記画像形成装置10は、画像形成条件を切り替えるために、具体的には、紙、複写紙、通帳等の媒体32の種類に応じて印字ヘッド11の発生するインパクト力を自動的に切り替えるために、一次元位置センサ12としてのPSD(Position Sensitive Device)を利用した後述される媒体厚検出装置20を備える。
図2に示されるように、前記画像形成装置10は、キャリッジシャフトを軸にスペースモータにより左右に動作する印字ヘッド11と、該印字ヘッド11に対して媒体搬送方向(副走査方向)上流側に配設された搬送手段である第1搬送ローラとしての第1上側ローラ15a及び第1下側ローラ15b、前記印字ヘッド11に対して媒体搬送方向下流側に配設された搬送手段である第2搬送ローラとしての第2上側ローラ16a及び第2下側ローラ16b、左右方向に延在するプラテン33とを有する。
そして、媒体32は、図2及び3における左側から挿入され、第1上側ローラ15a及び第1下側ローラ15bによって上下から挟持され、媒体搬送方向下流側(図2及び3における右側)に搬送される。
また、前記印字ヘッド11は、図3に示されるように、複数のワイヤ、すなわち、ドットピン26を備え、画像形成装置10の左右方向(主走査方向)に移動して前記ドットピン26を選択的に駆動し、該ドットピン26の先端でインクリボン31にインパクト(衝撃)を与えることによって媒体32に印刷を行う。なお、前記ドットピン26を駆動する駆動ユニットは、永久磁石24、板ばね25及び電磁マグネット27を含んでいる。図3(a)に示される状態では、前記永久磁石24の吸引力によって吸引された板ばね25の先端に上端を固定されたドットピン26の下端は、上昇している。そして、電磁マグネット27の励磁によって永久磁石24の磁束を打ち消すと、吸引力から開放された際に生じる板ばね25の復元力によって、図3(b)に示されるように、ドットピン26の下端が高速で下降し、インクリボン31を介して、ドットピン26の下端は媒体32上に押し付けられる。
前記プラテン33は、ドットピン26のインパクトを吸収する部材であって、その上面には弾性体であるウレタンゴムが貼(てん)付され、媒体32の搬送経路を挟んで、印字ヘッド11と平行となるように配設されている。また、前記プラテン33は、付勢手段としての第3圧縮コイルばね35cによって、印字ヘッド11の下端側面に回転可能に取り付けられたメディアローラ34に対して押圧される。これにより、該メディアローラ34とプラテン33との間を通過する媒体32の厚さが変化しても、前記印字ヘッド11と媒体32との間のギャップが一定に保たれる。
なお、図2に示されるように、前記第1上側ローラ15aは、付勢手段としての第1圧縮コイルばね35aによって、第1下側ローラ15bに対して押圧され、前記第2上側ローラ16aは、付勢手段としての第2圧縮コイルばね35bによって、第2下側ローラ16bに対して押圧される。また、前記第1上側ローラ15a及び第1下側ローラ15b、並びに、第2上側ローラ16a及び第2下側ローラ16bを統合的に説明する場合には、それぞれ、第1搬送ローラ15及び第2搬送ローラ16として説明する。
前記第1上側ローラ15a及び第1下側ローラ15b、並びに、第2上側ローラ16a及び第2下側ローラ16bは、画像形成装置10の左右のサイドフレーム21に、図示されない軸受を介して、回転自在に支持されている芯(しん)金シャフトに同軸に取り付けられたゴムローラである。そして、第1上側ローラ15aと第1下側ローラ15bとの間、及び、第2上側ローラ16aと第2下側ローラ16bとの間に媒体32が進入すると、第1上側ローラ15a及び第2上側ローラ16aは、第1圧縮コイルばね35a及び第2圧縮コイルばね35bの付勢力に抗して、第1下側ローラ15b及び第2下側ローラ16bに対して、軸方向に平行な状態を保ちつつ、上昇するようになっている。
また、前記第1搬送ローラ15の媒体搬送方向上流側には、テーブルセンサ22が、第1搬送ローラ15と平行に、かつ、想定される媒体32の幅以下の範囲内に、所定の間隔で複数並んで配設されている。さらに、前記第1搬送ローラ15の媒体搬送方向上流側には、第1搬送ローラ15と平行に延在するシャッター17が配設されている。さらに、該シャッター17の媒体搬送方向上流側直近には、スキューコレクションセンサ23が、第1搬送ローラ15と平行に、かつ、想定される媒体32の幅以下の範囲内に、所定の間隔で複数並んで配設されている。
前記画像形成装置10の一方のサイドフレーム21には、一次元位置センサ12が搭載されたPSD基板13、及び、遮光カバー46が配設されている。また、前記PSD基板13の近傍には、揺動中心である支点41を中心に揺動可能な揺動部材としてのアーム37と、該アーム37に形成されたスリット42を通過する光を照射する発光部としての赤外LED(Light Emitting Diode)43を搭載した赤外LED基板44が配設されている。なお、該赤外LED基板44は、前記アーム37を挟んで、PSD基板13と対向するように配設されている。
次に、前記画像形成装置10の機能構成について説明する。
図4は本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の機能構成を示すブロック図である。
図において、14は、画像形成装置10の動作を制御する制御部であり、一次元位置センサ12を含む媒体厚検出装置20、及び、印字ヘッド11と接続されている。なお、前記媒体厚検出装置20は、一次元位置センサ12に加えて、アーム37、赤外LED43等も含むものである。前記制御部14は、マイクロプロセッサ、及び、ROM、RAM等のメモリ47を含む一種のコンピュータであり、前記媒体厚検出装置20が、検出した媒体32の厚さ、すなわち、媒体厚としての電圧を出力すると、該電圧に基づき、前記メモリ47にあらかじめ格納されている印字へッドドライブ条件テーブルを参照して印字ヘッドドライブ条件を選定し、選定した印字ヘッドドライブ条件に応じて、前記印字ヘッド11を制御する。
次に、前記媒体厚検出装置20の構成について詳細に説明する。
図5は本発明の第1の実施の形態における媒体厚検出装置の斜視分解図、図6は本発明の第1の実施の形態における媒体厚検出装置の要部平面図、図7は本発明の第1の実施の形態における媒体厚検出装置の要部側面図、図8は本発明の第1の実施の形態における一次元位置センサの出力電圧を示す図、図9は本発明の第1の実施の形態と比較するための一般的な一次元位置センサの出力電圧を示す図である。
図5に示されるように、画像形成装置10の一方のサイドフレーム21には、固定手段としてのスクリュー45によって、センサブラケット36が固定される。そして、該センサブラケット36には、アーム37が支点41を中心に揺動可能となるように取り付けられている。また、赤外LED基板44に搭載された赤外LED43と、PSD基板13に搭載された一次元位置センサ12とは、前記アーム37に形成されたスリット42を挟むように、互いに対向して、前記センサブラケット36に固定される。
なお、前記一次元位置センサ12は、その検出方向がアーム37と平行となるように配設される。また、前記アーム37は、第1上側ローラ15aの芯金シャフト、すなわち、軸の上に自重で乗っている状態となっているので、媒体厚に応じて変位可能な搬送ローラとしての第1上側ローラ15aの上下方向の変位に追従して揺動することができる。
さらに、前記一次元位置センサ12は、前記アーム37に極力近接した位置に配設される。これは、前記スリット42を通過した光が一次元位置センサ12の受光部で必要以上に拡散することを防ぐための配慮である。また、前記一次元位置センサ12が外光を受光して誤動作を引き起こすことがないように、前記一次元位置センサ12の付近には、外光からの遮光を目的とした遮光カバー46が配設されている。
図6に示されるように、発光素子である赤外LED43としては、前記一次元位置センサ12の受光部における受光範囲をまんべんなく照射することができる指向角を備えるものを使用する。そして、アーム37に形成されたスリット42を通過した光のみが、前記一次元位置センサ12によって受光される。
前記スリット42は、図7に示されるような形状を備え、アーム37の自由端(支点41と反対側端)寄りの部分に形成される。前記スリット42は、X方向(支点41からアーム37の自由端に向けて延在する半径の方向)に対して傾斜した第1部分としての傾斜部分42aと、前記支点41を中心とする円弧のような第2部分としての円弧状部分42bとを備える。前記傾斜部分42aを通過した光の一次元位置センサ12の受光部における受光位置は、アーム37の上昇量と同量だけ、X方向に変化する。また、前記円弧状部分42bを通過した光の一次元位置センサ12の受光部における受光位置は、アーム37が上昇しても、X方向に変化しない。前記傾斜部分42aと前記円弧状部分42bとが同時に一次元位置センサ12の受光部にかかる場合には、図8に示されるように、受光位置がX方向に変化する部分とX方向に変化しない部分とが合わさり、リニア検出にならない範囲である。
したがって、第1上側ローラ15aの変位量が所定値未満であるときは、スリット42を通過した光の一次元位置センサ12の受光面における受光位置が第1上側ローラ15aの変位に応じて変位し、第1上側ローラ15aの変位量が所定値以上であるときは、スリット42を通過した光の一次元位置センサ12の受光面における受光位置が第1上側ローラ15aが変位しても一定である。赤外LED43から照射されてスリット42を通過した光の一次元位置センサ12における受光重心位置と、前記アーム37の上昇量に対応する媒体厚との関係は、図8の横軸、縦軸に示されるようになる。図8に示されるように、媒体厚が0〜0.75〔mm〕の範囲においては、一次元位置センサ12における受光重心位置は、0.5〜2.0〔mm〕の範囲で、媒体厚に対してリニアに変化するが、媒体厚が1.0〜6.0〔mm〕の範囲においては、一次元位置センサ12における受光重心位置は、2.5〔mm〕のままで、媒体厚に対して不変、すなわち、一定である。媒体厚が0.75〜1.0〔mm〕の範囲においては、一次元位置センサ12における受光重心位置は、リニア変化と一定とが合わさる範囲となり、リニア検出とならない範囲となる。本実施の形態において、媒体厚が0.4〔mm〕以上の検出は、リニア検出しない範囲とする。
なお、図8は、一次元位置センサ12における受光重心位置及び媒体厚と、一次元位置センサ12の出力電圧との関係の例を示すグラフである。また、受光重心位置とは、一次元位置センサ12の受光範囲に照射された光量の重心位置であるものとする。本実施の形態においては、赤外LED34から照射された光が、アーム37に形成されたスリット42を通過し、一次元位置センサ12の受光範囲に照射された光量のX方向に関する重心位置が示されている。
図7に示されるように、支点41から第1上側ローラ15aの軸までの距離をAとし、支点41からスリット42(スリット42において赤外LED34から照射された光が通過する位置)までの距離をBとすると、B/Aは、スリット42の増幅率となる。つまり、媒体厚に相当する第1上側ローラ15aの上昇量に前記増幅率B/Aを乗じた値が、スリット42の上昇量、すなわち、変化量となる。このように、媒体厚を増幅率B/Aだけ増幅してスリット42が変位するので、媒体厚の検出精度が向上する。
なお、一般的なPSDの場合、図9に示されるような受光重心位置と出力電圧との関係を具備しており、受光重心位置が受光範囲(図に示される例においては0〜3〔mm〕の範囲)外になると、外光の回り込み等のわずかな光でも受光重心位置の電圧を出力(光がなくても受光範囲内で出力)し、実際の媒体厚に相当する電圧と異なる電圧を出力するため、誤検出となる。これは、本実施の形態における一次元位置センサ12についても同様である。そのため、本実施の形態においては、図8に示されるように、一次元位置センサ12における受光重心位置が0.5〜2.5〔mm〕の範囲となっている。
次に、前記構成の媒体厚検出装置20の動作について説明する。
図10は本発明の第1の実施の形態における媒体厚検出装置の動作を示す図、図11は本発明の第1の実施の形態における媒体厚と受光重心位置との関係を説明する図である。なお、図10において、(a)は媒体がない状態を示す図、(b)は受光重心位置がスリットの傾斜部分に対応する状態を示す図、(c)は受光重心位置がスリットの円弧状部分に対応する状態を示す図であり、図11において、(a)〜(e)は媒体厚に対応したアームの変化を示す一連の図である。
ここで、一次元位置センサ12の受光範囲は、一般的なPSDと同様に、また、図10にも示されるように、0〜3〔mm〕の範囲であるものとする。
第1上側ローラ15aと第1下側ローラ15bとの間に媒体32が存在しない場合、すなわち、媒体厚がゼロである場合、図10(a)及び11(a)に示されるように、第1上側ローラ15aの上昇量がゼロなので、一次元位置センサ12における受光重心位置は、スリット42の傾斜部分42aに対応するとともに、3〔mm〕の受光範囲における右端から0.5〔mm〕の位置である。つまり、受光重心位置は、略0.5〔mm〕に設定されている。これは、各部品の寸法が寸法公差でバラついても、受光重心位置が受光範囲外にならないように設定された値で、実際に媒体32が存在しない状態で検出した受光重心位置を原点として記憶、相対変化量で媒体厚を測定する。
そして、第1上側ローラ15aと第1下側ローラ15bとの間に媒体32が存在する場合、図10(b)及び11(b)〜(d)に示されるように、一次元位置センサ12における受光重心位置は、スリット42の傾斜部分42aに対応する範囲で、媒体厚に応じてX方向に変化する。
媒体32が薄手の紙である場合のように、例えば、媒体厚が0.1〔mm〕である場合、図11(b)に示されるように、受光重心位置は0.7〔mm〕、すなわち、3〔mm〕の受光範囲における右端から0.7〔mm〕の位置となる。また、媒体32が厚手の紙である場合のように、例えば、媒体厚が0.25〔mm〕である場合、図11(c)に示されるように、受光重心位置は1.0〔mm〕、すなわち、3〔mm〕の受光範囲における右端から1.0〔mm〕の位置となる。さらに、媒体32が通帳である場合のように、例えば、媒体厚が0.4〔mm〕である場合、図11(d)に示されるように、受光重心位置は1.3〔mm〕、すなわち、3〔mm〕の受光範囲における右端から1.3〔mm〕の位置となる。
そして、例えば、媒体厚が想定される最大値としての6.0〔mm〕である場合、図10(c)及び11(e)に示されるように、一次元位置センサ12における受光重心位置は、スリット42の円弧状部分42bに対応する範囲となり、受光重心位置は2.5〔mm〕、すなわち、3〔mm〕の受光範囲における右端から2.5〔mm〕の位置となる。なお、前述のように、媒体厚が1.0〜6.0〔mm〕の範囲においては、一次元位置センサ12における受光重心位置は、2.5〔mm〕のままで、媒体厚に対して不変、すなわち、一定である。これも、各部品の寸法が寸法公差でバラついても、受光重心位置が受光範囲外にならないように設定された値である。
次に、本実施の形態における画像形成装置10の動作について説明する。
図12は本発明の第1の実施の形態における印字ヘッドドライブ条件テーブルを示す図、図13は本発明の第1の実施の形態における印字ヘッドドライブ条件を説明する図、図14は本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の動作を示すフローチャートである。なお、図12において、(a)は印字ヘッドドライブ条件テーブルの構成を示す図、(b)は印字ヘッド駆動電流の変化を示す図であり、図13において、(a)は印字ヘッドの発生するインパクト力の強弱と媒体厚との関係を示す図、(b)は印字ヘッドの印字速度と媒体厚との関係を示す図である。
まず、オペレータによって画像形成装置10の電源がONにされると、制御部14は、テーブルセンサ22及びスキューコレクションセンサ23が媒体なしを検出したか否かを判断する。つまり、テーブルセンサ22及びスキューコレクションセンサ23のいずれもが、媒体32の存在を検出していないことを確認する。
ここで、媒体なしを検出しない場合には、画像形成装置10内に媒体32が存在すると判断することができるので、画像形成装置10は媒体排出を行い、第1搬送ローラ15及び第2搬送ローラ16を逆回転させて媒体32を画像形成装置10の外に排出した後、再度、媒体なしを検出したか否かを判断する。
そして、媒体なしを検出した場合、画像形成装置10は、イニシャル動作を行い、媒体厚測定を行う。この場合、図10(b)及び(c)に示されるような一次元位置センサ12の受光重心位置の原点を設定するキャリブレーションのために媒体厚測定を行う。具体的には、図10(a)及び11(a)に示されるように、第1上側ローラ15aと第1下側ローラ15bとの間に媒体32が存在しない状態で、一次元位置センサ12の受光範囲における受光重心位置を測定し、測定した位置を原点とする。
この場合、第1搬送ローラ15を順方向に回転させつつ、該第1搬送ローラ15の回転角60度位相相当回転毎に、すなわち、第1搬送ローラ15が60度回転する毎に、合計6回、一次元位置センサ12の出力電圧を測定する。つまり、第1搬送ローラ15が1回転する間に一次元位置センサ12の出力電圧を6回測定する。そして、6回の測定値の平均値を算出する。これにより、第1搬送ローラ15の偏心や摩耗の影響を排除することができる。第1搬送ローラ15が1回転する間の一次元位置センサ12の出力電圧を平均するので、第1搬送ローラ15の1周当たりの偏心や摩耗の影響を排除することができる。なお、第1搬送ローラ15の回転数及び1回転当たりの測定回数は、適宜変更することができる。また、第1搬送ローラ15の精度が高い場合には、キャリブレーションのための媒体厚測定を省略することもできる。そして、制御部14は、一次元位置センサ12の出力電圧の平均値をメモリ47に格納する。該メモリ47に格納された平均値は、画像形成装置10の電源がOFFにされるまで、メモリ47内に保持されて記憶される。
続いて、オペレータによって、画像形成装置10に媒体32が挿入される。すると、制御部14は、テーブルセンサ22が媒体32を検出したか否かを判断する。この場合、テーブルセンサ22が媒体32を検出するまで、検出したか否かの判断を繰り返して待機する。そして、テーブルセンサ22が媒体32を検出すると、画像形成装置10は、媒体吸入動作を開始し、フィードローラを回転させる。具体的には、第1搬送ローラ15及び第2搬送ローラ16を順方向に回転させる。
続いて、制御部14は、2つ以上のスキューコレクションセンサ23が媒体32を検出したか否かを判断する。この場合、2つ以上のスキューコレクションセンサ23が媒体32を検出するまで、検出したか否かの判断を繰り返して待機する。そして、2つ以上のスキューコレクションセンサ23が媒体32を検出すると、媒体32の先端がシャッター17に当接することによって媒体32のスキューが補正された、と判断することができるので、画像形成装置10はフィードローラの回転を停止させる。
続いて、画像形成装置10は、シャッター17を開き、媒体厚測定を行う。この場合、媒体32が、シャッター17から印字ヘッド11直下の印字位置までの距離を搬送されて移動する間に、媒体厚測定が行われる。なお、シャッター17から印字位置までの距離は、第1搬送ローラ15の1周長以上に設定されている。そして、前回の媒体厚測定と同様に、第1搬送ローラ15が1回転する間に、該第1搬送ローラ15が60度回転する毎に、合計6回、一次元位置センサ12の出力電圧を測定し、6回の測定値の平均値を算出する。
続いて、制御部14は、測定した一次元位置センサ12の出力電圧の平均値とメモリ47に記憶されている出力電圧の平均値とを比較し、印字ヘッドドライブ条件を決定する。具体的には、メモリ47にあらかじめ格納されている印字ヘッドドライブ条件テーブルを参照して、印字ヘッドドライブ条件を選定する。
図12(a)には、印字ヘッドドライブ条件テーブルの例が示されている。ここでは、印字ヘッドドライブ条件を切り替える媒体32は、単紙、複写紙(薄手)、複写紙(厚手)及び通帳の4種類である。そして、媒体32の種類は、相当する媒体厚に置き換えて識別される。単紙/複写紙(薄手)/複写紙(厚手)/通帳、の媒体厚は、0以上〜0.1〔mm〕未満/0.1以上〜0.25〔mm〕未満/0.25以上〜0.4〔mm〕未満/0.4〔mm〕以上、であるものとする。
また、一次元位置センサ12の出力電圧は、図8に示されるように、媒体厚の変化に対応して変化するものとする。なお、図8に示される例では、媒体厚0〔mm〕に対応する一次元位置センサ12の出力電圧が0.5〔V〕となっているが、イニシャル動作の直後に行った媒体厚測定の結果としてメモリ47に記憶されている出力電圧の平均値が原点としての基準となる。
例えば、メモリ47に記憶されている出力電圧の平均値が0.55〔V〕であり、測定した一次元位置センサ12の出力電圧の平均値が0.85〔V〕である場合、その差が0.85−0.55=0.3〔V〕であって、媒体厚0.1〜0.25〔mm〕の範囲に含まれるから、媒体厚測定の対象である媒体32は、複写紙(薄手)である、と判断される。
そして、図12(a)に示されるような印字ヘッドドライブ条件テーブルに基づいて、測定した媒体厚に応じた印字ヘッドドライブ条件が選定される。
前述のように、印字ヘッド11においては、永久磁石24の吸引力によって吸引された板ばね25の先端に上端を固定されたドットピン26の下端は、上昇している。そして、電磁マグネット27の励磁によって永久磁石24の磁束を打ち消すと、吸引力から開放された際に生じる板ばね25の復元力によって、ドットピン26の下端が高速で下降し、インクリボン31を介して、ドットピン26の下端は媒体32上に押し付けられ、印字が行われる。
そして、図12に示される印字ヘッド駆動電流は、電磁マグネット27に供給される電流である。また、図12に示されるDT1は、永久磁石24の磁束を打ち消すために流す電流であって、印字ヘッド11が発生するインパクト力となる。しかし、該インパクト力を増すためにDT1に流す電流の値を増加すると、大きなエネルギが必要となる。そこで、DT1の回生電流をDT2で使用する。該DT2はインパクト力を保持する役割を果たす。DT1とDT2とを合わせて印字ヘッド駆動電流と表現する。
該印字ヘッド駆動電流を供給する時間は、電磁マグネット27が永久磁石24の磁束を打ち消す時間となるので、印字ヘッド駆動電流を供給する時間を変化させると、印字ヘッド11が発生するインパクト力及び印字速度が変化する。例えば、図13に示されるようになる。印字ヘッド駆動電流を供給する時間を短くすると、ドットピン26の下端を媒体32上に押し付ける時間が短くなるので、インパクト力は弱くなるが、次の印字に移るための時間が短くなるので、印字速度が速くなる。一方、印字ヘッド駆動電流を供給する時間を長くすると、ドットピン26の下端を媒体32上に押し付ける時間が長くなるので、インパクト力は強くなるが、次の印字に移るための時間が長くなるので、印字速度が遅くなる。
続いて、画像形成装置10は印字を開始する。この場合、第1搬送ローラ15及び第2搬送ローラ16によって媒体32は副走査方向に搬送され、印字ヘッド11は主走査方向に移動してドットピン26を選択的に駆動し、媒体32の所定箇所に印字を行う。
そして、所定の印字が行われると、画像形成装置10は印字を終了して、すべての処理を終了する。
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 オペレータによって画像形成装置10の電源がONにされる。
ステップS2 制御部14はテーブルセンサ22及びスキューコレクションセンサ23が媒体なしを検出したか否かを判断する。媒体なしを検出しない場合はステップS3に進み、媒体なしを検出した場合はステップS4に進む。
ステップS3 画像形成装置10は媒体排出を行い、再度、媒体なしを検出したか否かを判断する。
ステップS4 画像形成装置10はイニシャル動作を行う。
ステップS5 画像形成装置10は媒体厚測定を行う。
ステップS6 制御部14は一次元位置センサ12の出力電圧の平均値をメモリ47に格納する。
ステップS7 オペレータによって、画像形成装置10に媒体32が挿入される。
ステップS8 制御部14はテーブルセンサ22が媒体32を検出したか否かを判断する。テーブルセンサ22が媒体32を検出した場合はステップS9に進み、テーブルセンサ22が媒体32を検出しない場合はテーブルセンサ22が媒体32を検出するまで待機する。
ステップS9 画像形成装置10は媒体吸入動作を開始する。
ステップS10 画像形成装置10はフィードローラを回転させる。
ステップS11 制御部14は2つ以上のスキューコレクションセンサ23が媒体32を検出したか否かを判断する。2つ以上のスキューコレクションセンサ23が媒体32を検出した場合はステップS12に進み、2つ以上のスキューコレクションセンサ23が媒体32を検出しない場合は2つ以上のスキューコレクションセンサ23が媒体32を検出するまで待機する。
ステップS12 画像形成装置10はフィードローラの回転を停止させる。
ステップS13 画像形成装置10はシャッター17を開く。
ステップS14 画像形成装置10は媒体厚測定を行う。
ステップS15 制御部14は測定した一次元位置センサ12の出力電圧の平均値とメモリ47に記憶されている出力電圧の平均値とを比較する。
ステップS16 制御部14は印字ヘッドドライブ条件を決定する。
ステップS17 画像形成装置10は印字を開始する。
ステップS18 画像形成装置10は印字を終了して、すべての処理を終了する。
このように、本実施の形態においては、アーム37の半径方向に対して傾斜した傾斜部分42aとアーム37の支点41を中心とする円弧形状を備える円弧状部分42bとを備えるスリット42を通過した光の一次元位置センサ12における受光重心位置を検出することによって媒体厚を測定し、測定した媒体厚に基づいて媒体32の種別を判断し、媒体32の種別に応じた印字ヘッドドライブ条件に自動的に切り替えるようになっている。
したがって、媒体32の厚さ検出可能範囲が広く、広範囲で厚さが異なる多種多様な媒体32の厚さを高精度で検出することができる。また、厚さが薄く、印字の際に強いインパクト力の必要ない媒体32に対して、弱いインパクト力の印字ヘッドドライブ条件を選択することができるので、インクリボン31の生地に無駄を与えることがない。さらに、印字ヘッドドライブ条件に自動的に切り替えることができるので、印字ヘッドドライブ条件を切り替えるためのメニュー切り替えが不要となる。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
図15は本発明の第2の実施の形態における媒体厚検出装置を備える画像形成装置の斜視透視図、図16は本発明の第2の実施の形態における媒体厚検出装置を備える画像形成装置の要部を示す側面透視図、図17は本発明の第2の実施の形態における媒体厚検出装置の斜視分解図、図18は本発明の第2の実施の形態における媒体厚検出装置の要部側面図、図19は本発明の第2の実施の形態における媒体厚検出装置の要部断面図であって図18のC−C矢視断面図、図20は本発明の第2の実施の形態における一次元位置センサの出力電圧を示す図である。
本実施の形態において、媒体厚検出装置20は、揺動部材の第1部材としての第1アーム37a、及び、揺動部材の第2部材としての第2アーム37bを備える。図17に示されるように、画像形成装置10の一方のサイドフレーム21に固定されたセンサブラケット36には、第1アーム37a及び第2アーム37bが第1支点41a及び第2支点41bを中心に回転可能となるように取り付けられている。なお、第1支点41a及び第2支点41bは、同軸上に位置し、第1アーム37a及び第2アーム37bは、センサブラケット36に対して回転可能であるとともに、相互に回転可能である。
前記第1アーム37aの自由端近傍にはスリット42が形成され、前記第2アーム37bには、第1アーム37aの方向に向けて突出するガイド部37c及びばね受部37dが形成されている。そして、前記第1アーム37aの下側縁とばね受部37dとの間には付勢手段としての第4圧縮コイルばね35dが配設され、該第4圧縮コイルばね35dの付勢力によって、前記第1アーム37aは、その上側縁がガイド部37cに当接するように押圧される。
また、赤外LED基板44に搭載された赤外LED43と、PSD基板13に搭載された一次元位置センサ12とは、前記第1アーム37aに形成されたスリット42を挟むように、互いに対向して、前記センサブラケット36に固定される。なお、本実施の形態において、前記一次元位置センサ12は、その検出方向が第1アーム37aと垂直となるように、すなわち、上下方向に延在するように配設される。図19に示されるように、発光素子である赤外LED43としては、前記一次元位置センサ12の受光部における受光範囲をまんべんなく照射することができる指向角を備えるものを使用する。
また、前記第2アーム37bは、第1上側ローラ15aの芯金シャフト、すなわち、軸の上に自重で乗っている状態となっているので、媒体厚に応じた前記第1上側ローラ15aの上下方向の変位に追従して揺動することができる。
さらに、前記一次元位置センサ12は、前記第1アーム37aに極力近接した位置に配設される。これは、前記スリット42を通過した光が一次元位置センサ12の受光部で必要以上に拡散することを防ぐための配慮である。また、前記一次元位置センサ12が外光を受光して誤動作を引き起こすことがないように、前記一次元位置センサ12の付近には、外光からの遮光を目的とした遮光カバー46が配設されている。
また、前記センサブラケット36には、第1アーム37aの上方への変位量を制限するリミッタ部36aが形成されている。該リミッタ部36aに第1アーム37aが当接することによって、該第1アーム37aの上方への変位量は、スリット42を通過した光が一次元位置センサ12の受光範囲を超えないように制限される。なお、前記スリット42は、第1アーム37aの半径方向に延在する直線状の形状を備える。
本実施の形態において、赤外LED43から照射されてスリット42を通過した光の一次元位置センサ12における受光重心位置と、前記第1アーム37a及び第2アーム37bの上昇量に対応する媒体厚との関係は、図20の横軸、縦軸に示されるようになる。図20に示されるように、媒体厚が0〜1.0〔mm〕の範囲においては、一次元位置センサ12における受光重心位置は、0.5〜2.5〔mm〕の範囲で、媒体厚に対してリニアに変化するが、媒体厚が1.0〜6.0〔mm〕の範囲においては、一次元位置センサ12における受光重心位置は、2.5〔mm〕のままで、媒体厚に対して不変、すなわち、一定である。
図18に示されるように、第1支点41a及び第2支点41bから第1上側ローラ15aの軸までの距離をAとし、第1支点41a及び第2支点41bからスリット42までの距離をBとすると、B/Aは、スリット42の増幅率となる。つまり、媒体厚に相当する第1上側ローラ15aの上昇量に前記増幅率B/Aを乗じた値が、スリット42の上昇量、すなわち、変化量となる。このように、媒体厚を増幅率B/Aだけ増幅してスリット42が変位するので、媒体厚の検出精度が向上する。なお、図に示される例では、増幅率B/A=2となっているので、スリット42の変位量は、媒体厚の2倍である。
しかし、媒体厚が増加して所定の値(図20に示される例では1.0〔mm〕)になると、第1アーム37aは、リミッタ部36aに当接するので、それ以上は上昇不能となる。媒体厚がさらに増加して前記所定の値以上となると、第2アーム37bは、第1上側ローラ15aの軸に押されて上昇するが、第1アーム37aは、リミッタ部36aに当接しているので、上昇せず、第4圧縮コイルばね35dがさらに圧縮される。したがって、一次元位置センサ12における受光重心位置は不変、すなわち、一定である。
なお、媒体厚検出装置20及び画像形成装置10のその他の点の構成については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
次に、本実施の形態における媒体厚検出装置20の動作について説明する。
図21は本発明の第2の実施の形態における媒体厚と受光重心位置との関係を説明する第1の図、図22は本発明の第2の実施の形態における媒体厚と受光重心位置との関係を説明する第2の図である。なお、図において、(a)〜(f)は媒体厚に対応したアームの変化を示す一連の図である。
ここで、一次元位置センサ12の受光範囲は、一般的なPSDと同様に、また、図にも示されるように、0〜3〔mm〕の範囲であるものとする。
第1上側ローラ15aと第1下側ローラ15bとの間に媒体32が存在しない場合、すなわち、媒体厚がゼロである場合、図21(a)に示されるように、第1上側ローラ15aの上昇量がゼロなので、一次元位置センサ12における受光重心位置は、3〔mm〕の受光範囲における下端から0.5〔mm〕の位置である。つまり、受光重心位置は、略0.5〔mm〕に設定されている。また、第1アーム37aとリミッタ部36aとの間隔は、2.0〔mm〕である。
そして、第1上側ローラ15aと第1下側ローラ15bとの間に媒体32が存在する場合、図21(b)〜22(e)に示されるように、一次元位置センサ12における受光重心位置は、媒体厚に応じて上方向に変化する。
媒体32が薄手の紙である場合のように、例えば、媒体厚が0.1〔mm〕である場合、図21(b)に示されるように、受光重心位置は0.7〔mm〕、すなわち、3〔mm〕の受光範囲における下端から0.7〔mm〕の位置となる。なお、第1アーム37aとリミッタ部36aとの間隔は、1.8〔mm〕となる。
また、媒体32が厚手の紙である場合のように、例えば、媒体厚が0.25〔mm〕である場合、図21(c)に示されるように、受光重心位置は1.0〔mm〕、すなわち、3〔mm〕の受光範囲における下端から1.0〔mm〕の位置となる。なお、第1アーム37aとリミッタ部36aとの間隔は、1.5〔mm〕となる。
さらに、媒体32が通帳である場合のように、例えば、媒体厚が0.4〔mm〕である場合、図22(d)に示されるように、受光重心位置は1.3〔mm〕、すなわち、3〔mm〕の受光範囲における下端から1.3〔mm〕の位置となる。なお、第1アーム37aとリミッタ部36aとの間隔は、1.2〔mm〕となる。
さらに、媒体厚が1.0〔mm〕である場合、図22(e)に示されるように、受光重心位置は2.5〔mm〕、すなわち、3〔mm〕の受光範囲における下端から2.5〔mm〕の位置となる。そして、第1アーム37aがリミッタ部36aに当接する。すなわち、第1アーム37aとリミッタ部36aとの間隔は、0〔mm〕となる。そのため、媒体厚が1.0〔mm〕以上の場合には、第1アーム37aが上昇せず、スリット42も上昇しないので、受光重心位置は2.5〔mm〕のままとなる。
したがって、媒体厚が想定される最大値としての6.0〔mm〕である場合、図22(f)に示されるように、一次元位置センサ12における受光重心位置は2.5〔mm〕、すなわち、3〔mm〕の受光範囲における下端から2.5〔mm〕の位置のままである。もっとも、第2アーム37bは、第1上側ローラ15aの軸に押されて上昇するので、第4圧縮コイルばね35dがさらに圧縮されるとともに、ガイド部37cが第1アーム37aの上側縁から離間する。
なお、媒体厚検出装置20及び画像形成装置10のその他の点の動作については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
このように、本実施の形態においては、スリット42が形成された第1アーム37aと、第1上側ローラ15aの上昇によって上昇させられる第2アーム37bとを別個の部材とし、第2アーム37bの変位が第4圧縮コイルばね35dを介して第1アーム37aに伝達されるとともに、リミッタ部36aによって所定の値以上の第1アーム37aの上昇を制限するようになっている。
したがって、媒体厚が増加しても、受光重心位置が一次元位置センサ12の受光範囲を超えないようにすることができ、一次元位置センサ12の出力電圧が媒体厚に対してリニアに変化する範囲を拡大して、広範囲で厚さが異なる多種多様な媒体32の厚さを高精度で検出することができる。また、一次元位置センサ12の検出方向に対してスリット42の幅が狭いので、受光重心位置を求める範囲が狭くなる。これにより、埃(ほこり)等の異物によってスリット42を通過する光の一部が遮られても、受光重心位置を正確に求めることができる。
なお、その他の点の効果については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1及び第2の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1及び第2の実施の形態と同じ動作及び効果についてもその説明を省略する。
図23は本発明の第3の実施の形態における媒体厚検出装置の要部側面図、図24は本発明の第3の実施の形態における一次元位置センサの出力電圧を示す図である。
本実施の形態において、媒体厚検出装置20は、図23に示されるような形状のスリット42が形成されたアーム37を備える。前記スリット42は、支点41を中心とする円弧のような円弧状部分42bと、該円弧状部分42bの両端に接続され、半径方向に対して傾斜した傾斜部分42aとを備える。
そして、媒体32の厚さ、すなわち、媒体厚が所定の数値範囲内である場合には、一次元位置センサ12の受光範囲における受光重心位置が円弧状部分42bに対応する領域内にあり、媒体厚が所定の数値範囲外である場合には、一次元位置センサ12の受光範囲における受光重心位置が傾斜部分42aに対応する領域内にあるようにする。この場合、一次元位置センサ12における受光重心位置及び媒体厚と、一次元位置センサ12の出力電圧との関係を示すグラフは、図24のようになる。
なお、その他の点については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
このように、本実施の形態においては、媒体厚が所定の数値範囲内であるかを識別することができる。これにより、媒体32が良品であるか否か、すなわち、その媒体厚が所定の数値範囲内である良品であるか否かを識別するために、媒体厚検出装置20を利用することが可能となる。図24に示されるように、一次元位置センサ12の出力電圧が良品の寸法範囲に対応する値であれば、媒体32が良品であると判断し、一次元位置センサ12の出力電圧が不良品の寸法範囲に対応する値であれば、媒体32が不良品であると判断することができる。
例えば、シート状のフィルム等の製造工程、検査工程等において、シート状のフィルム等の良不良を識別するために利用することができる。
なお、前記第1及び第2の実施の形態においては、印字ヘッドドライブ条件を切り替える目的で、シリアル・インパクト・ドット・マトリックス・プリンタにおいて媒体厚を測定する例について説明したが、本発明は、コピー機、印刷機、ノンインパクトプリンタ(NIP)等における媒体の重送検出にも適用可能である。
また、前記第1〜第3の実施の形態においては、光を発光する光源として赤外LED43を使用する例について説明したが、光源としては、レーザ、レンズによる集光、プリズム等の屈折光、光ファイバ等の導光などを使用することもできる。
さらに、前記第1〜第3の実施の形態においては、一次元位置センサ12の受光素子としてPSDを使用する例について説明したが、CCD、CMOSイメージセンサ等を使用することもできる。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。