JP5950729B2 - 帯電装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
本発明は、電子写真方式を用いた複写機、ファクシミリ、プリンタ、これらの複合機などの画像形成装置にて用いられる帯電装置、及びその画像形成装置に関するものである。
電子写真方式の画像形成装置における電子写真感光体(感光体)の帯電方式として、ブラシ帯電方式がある。この帯電方式には、帯電部材としての帯電ブラシと感光体との間で発生する放電を用いた放電方式と、帯電ブラシから感光体に直接電流を流すことで帯電する注入帯電方式がある。
ブラシ帯電方式で用いられるロールタイプの帯電ブラシ(以下「ロールブラシ」ともいう。)は、筒状の金属製の芯金に、繊維が植毛された帯状の基布を隙間無く螺旋状に巻き付けることで作製することができる。このようなロールブラシを用いる場合、芯金に対する帯状の基布の巻き目の近傍に生じる巻き隙間に起因して、感光体の帯電ムラ(以下「巻き目ムラ」ともいう。)が生じ、その結果画像に濃度ムラが生じてしまうことがある。特に、注入帯電方式では、繊維から直接電流を流すことによって感光体を帯電させるため、巻き隙間が生じると、その部分ではまったく感光体を帯電させることができない。従って、注入帯電方式では、放電方式よりも画像に生じる濃度ムラが大きくなってしまうことがある。
この巻き目ムラの解決手段の一つとして、ロールブラシの繊維の先端を倒して隙間を埋める斜毛加工が提案されている(特許文献1)。
又、カラー画像形成装置においては、長期間使用したブラシを用いると、各色で巻き目ムラが生じてしまうことがある。そして、各色の巻き目ムラが重なると、ムラの濃淡が強調される重ねムラが発生してしまうことがある。
この重ねムラの解決手段の一つとして、記録材上の巻き目ムラの角度を複数の異なる角度に設定することが提案されている(特許文献2)。
しかしながら、特許文献1に記載されるような斜毛加工を施しても、長期間の使用により、巻き隙間の部分から繊維の束が割れてきたり、斜毛加工が崩れてきたりしてしまうことがある。そのため、長期にわたり巻き目ムラを抑制することは難しい。
又、特許文献2の方法では、記録材上の巻き目ムラの角度を複数の異なる角度に設定することで、各色の巻き目ムラを重ならないようにして、重ねムラを低減させている。しかし、巻き目ムラ自体の発生を抑制することはできていない。
ここで、巻き目ムラの解決策として、例えばドラム状の感光体である感光体ドラムが、この感光体ドラムとロールブラシとの接触部(帯電ニップ部)を通過する間に、ロールブラシを1回転以上回転させることが考えられる。
具体的には、ロールブラシの外径を細くしたり、ロールブラシの回転数を上げたり、感光体ドラムの線速(表面移動速度、周速度)を下げたりするといった方法が挙げられる。しかし、例えば、外径84mmで線速300mm/sで回転する感光体ドラムに対して、外径24mmのロールブラシを侵入量1mmで当接させた場合には、次のようなことになる。即ち、感光体ドラムが帯電ニップ部を通過する時間でロールブラシが1回転するためには、2700mm/s以上のロールブラシの線速を必要とする。このような条件では、ロールブラシが感光体ドラムと接触する機会が多くなるため、感光体ドラムの表面に傷がつきやすくなり、感光体ドラムの寿命を縮めてしまうことがある。又、ロールブラシを高速で回転させるため、ロールブラシ自体の寿命も低下してしまうことがある。
ロールブラシの線速を下げるためには、感光体ドラムの線速を下げればよいが、生産性が低下してしまう。又、ロールブラシの外径を5mmと細くした場合では、ロールブラシの線速は1200mm/sまで下げることが可能だが、ロールブラシの芯金が細くなるため耐久性が低下してしまう。
このように、感光体ドラムの寿命が短くなったり、ロールブラシの寿命が短くなったり、生産性が低下したりするといった新たな不具合が生じてしまうため、上記解決策は現実的なものとは言い難い。
従って、本発明の目的は、長期にわたってロールブラシの巻き目ムラの発生を抑制することのできる帯電装置及び画像形成装置を提供することである。
上記目的は本発明に係る帯電装置及び画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、回転可能な感光体を帯電処理する帯電装置において、繊維が設けられた帯状の基布を円筒状又は円柱状の芯材の外周面に巻き付けて構成され、前記感光体に接触して回転可能な第1の帯電部材と、繊維が設けられた帯状の基布を円筒状又は円柱状の芯材の外周面に巻き付けて構成され、前記第1の帯電部材よりも前記感光体の回転方向下流側において前記感光体に接触して回転可能な第2の帯電部材と、を有し、回転する前記感光体を回転する前記第1、第2の帯電部材により帯電処理する際に、前記感光体の回転方向における前記第1の帯電部材と前記感光体との接触部において前記第1の帯電部材の前記基布の巻き目に対向した前記感光体の表面の領域と、前記感光体の回転方向における前記第2の帯電部材と前記感光体との接触部において前記第2の帯電部材の前記基布の巻き目に対向する前記感光体の表面の領域とが重ならないことを特徴とする帯電装置である。
本発明の他の態様によると、回転可能な感光体と、上記本発明の帯電装置と、を有することを特徴とする画像形成装置が提供される。
本発明によれば、長期にわたってロールブラシの巻き目ムラの発生を抑制することができる。
以下、本発明に係る帯電装置及び画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
第1の実施形態
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す模式的な断面図である。本実施形態では、画像形成装置100は、電子写真式のタンデムタイプの画像形成装置である。
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す模式的な断面図である。本実施形態では、画像形成装置100は、電子写真式のタンデムタイプの画像形成装置である。
画像形成装置100は、第1、第2、第3、第4の4つの画像形成部Py、Pm、Pc、Pkを有する。4つの画像形成部Py、Pm、Pc、Pkでは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像が、潜像形成、現像、転写のプロセスを経て形成される。
尚、本実施形態では、各画像形成部Py、Pm、Pc、Pkの基本的な構成及び動作は、使用するトナーの色が異なることを除いて実質的に同じである。従って、特に区別を要しない場合は、第1、第2、第3、第4の画像形成部Py、Pm、Pc、Pkの要素であることをそれぞれ示す符号の末尾のy、m、c、kは省略して総括的に説明する。
画像形成部Pは、像担持体としてのドラム形状の電子写真感光体(感光体)である感光体ドラム3を有する。本実施形態で使用する感光体ドラム3は、ドラム形状のOPC(有機感光体)である。この感光体ドラム3は、直径φ84mmのアルミニウム製のドラム基体上に、下引き層、正電荷注入防止層、電荷発生層、電荷輸送層、表面保護層を下から順に設けたものである。画像出力時には、各画像形成部Py、Pm、Pc、Pkの各感光体ドラム3y、3m、3c、3kは、図中矢印方向(反時計回り)に回転駆動され、その外周面(表面)に各色のトナー像が形成される。
各画像形成部Py、Pm、Pc、Pkの各感光体ドラム3y、3m、3c、3kに隣接して、中間転写体としての無端ベルト状の中間転写ベルト111が配置されている。例えばフルカラー画像の形成時には、各感光体ドラム3の表面に形成された各色のトナー像が、各1次転写部N1で中間転写ベルト111の外周面(表面)に順次重ね合わせるようにして1次転写される。又、中間転写ベルト111に1次転写されたトナー像は、2次転写部N2で記録材S上に一括して2次転写される。
トナー像が転写された記録材Sは、定着手段としての画像加熱定着器9に導入されて、その上にトナー像が定着され、記録画像形成物として画像形成装置100の外部の排出トレイ(図示せず)に排出される。こうして画像出力動作が終了する。
更に説明すると、感光体ドラム3の表面の周囲には、その回転方向に沿って次の各手段が設けられている。先ず、帯電手段としての帯電装置2である。次に、現像手段としての現像装置1である。次に、1次転写手段としてのローラ形状の1次転写部材である1次転写ローラ(1次転写帯電器)7である。次に、クリーニング手段としてのクリーナ4である。又、感光体ドラム3の図中上方には、感光体ドラム3の回転方向において帯電装置2と現像装置1との間で感光体ドラム3を露光するように露光手段としてのレーザスキャナ5が設けられている。
本実施形態では、感光体ドラム3は、図中矢印方向(反時計回り)に285mm/sの線速(表面移動速度、周速度)で回転駆動される。そして、回転する感光体ドラム3の表面が、帯電装置2により所定の極性(本実施形態では負極性)の所定の電位に一様に帯電させられる。
一様に帯電処理された感光体ドラム3の表面は、レーザスキャナ5から出力される、画像信号に応じて変調されたレーザ光Lによって走査露光される。レーザスキャナ5は、光源装置、ポリゴンミラー、fθレンズなどを有する。レーザスキャナ5は、光源装置から発せられたレーザ光を、ポリゴンミラーを回転して走査し、その走査光の光束を反射ミラーによって偏向する。そして、fθレンズにより感光体ドラム3の表面の母線上に集光して露光する。これによって、感光体ドラム3の表面に画像信号に応じた静電潜像(静電像)が形成される。
各現像装置1y、1m、1c、1kにはそれぞれ、現像剤としてイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックのトナーが収容されている。トナーは、トナー供給装置6y、6m、6c、6kにより、それぞれの現像装置1y、1m、1c、1kに補給されるようになっている。本実施形態では、感光体ドラム3上の静電潜像を現像するトナーの意図された帯電極性(正規の帯電極性)は負極性である。
現像装置1は、感光体ドラム3の表面の静電潜像をトナー像として現像(可視化)する。本実施形態では、イメージ露光と反転現像との組み合わせにより、トナー像が形成される。即ち、一様に帯電処理された後に露光されることで電位の絶対値が低下した感光体ドラム3上の露光部に、感光体ドラム3の帯電極性と同極性に帯電したトナーを付着させることでトナー像が形成される。
中間転写ベルト111は、平行に配置された駆動ローラ112、2次転写対向ローラ113、従動ローラ114の3本のローラに架け渡されて張設されたエンドレスベルトである。中間転写ベルト111は、駆動ローラ112に駆動力が伝達されて、図中矢印方向(時計回り)に、感光体ドラム3と同じ線速(表面移動速度、周速度)で回転駆動される。中間転写ベルト111の内周面側において、各感光体ドラム3に対向する位置に、1次転写ローラ7が配置されている。1次転写ローラ7は、中間転写ベルト111を介して感光体ドラム3に押圧され、中間転写ベルト111と感光体ドラム3とが接触する1次転写部(1次転写ニップ部)N1を形成している。又、中間転写ベルト111の外周面側において、2次転写対向ローラ113に対向する位置には、2次転写手段としてのローラ形状の2次転写部材である2次転写ローラ120が配置されている。2次転写ローラ120は、中間転写ベルト111を介して2次転写対向ローラ113に押圧され、中間転写ベルト111と2次転写ローラ120とが接触する2次転写部(2次転写ニップ部)N2を形成している。
第1の画像形成部Pyの感光体ドラム3yの表面に形成された1色目のイエロートナー像は、1次転写部N1yを通過する過程で、中間転写ベルト111の表面に1次転写される。このとき、1次転写ローラ7aには、電源(図示せず)から、1次転写バイアス(1次転写電圧)として、トナーの正規の帯電極性とは逆極性の直流電圧が印加される。即ち、イエロートナー像は、1次転写ローラ7aに印加される1次転写バイアスにより形成される電界と、圧力とにより、中間転写ベルト111の表面に1次転写される。同様に、第2、第3、第4の画像形成部Pm、Pc、Pkの感光体ドラム3m、3c、3kの表面に形成された、2色目のマゼンタトナー像、3色目のシアントナー像、4色目のブラックトナー像が、中間転写ベルト111の表面に重畳して1次転写される。これによって、中間転写ベルト111の表面に目的のカラー画像に対応した合成カラートナー像が形成される。
一方、2つの給送カセット115、116に積載収納されている種類の異なる記録材Sのうち所定の記録材Sが、いずれかの給送カセット115、116から1枚ずつ分離されて給送され、シートパス117、118を通ってレジストローラ119まで搬送される。レジストローラ119は、その記録材Sを2次転写部N2に所定のタイミングで給送する。
2次転写ローラ120には、電源(図示せず)から、2次転写バイアス(2次転写電圧)として、トナーの正規の帯電極性とは逆極性の直流電圧が印加される。これにより、中間転写ベルト111の表面の合成カラートナー像が記録材Sに一括して2次転写される。
合成カラートナー像が転写された記録材Sは、中間転写ベルト111の表面から分離されて定着器9に搬送される。そして、この記録材Sは、定着器9によって加熱及び加圧されることでトナー像が定着される。その後、トナー像が定着された記録材Sは、画像形成装置100の外部の排出トレイ(図示せず)に排出される。
1次転写が終了した感光体ドラム3の表面は、クリーナ4により転写残トナーが除去、回収される。そして、感光体ドラム3は、引き続き次の画像形成に供される。又、中間転写ベルト111の表面に残留したトナー及びその他の異物は、中間転写ベルト111の表面にクリーニングウエブ(不織布)121を当接させて拭い取るようにしている。
2.帯電装置
次に、帯電装置2の基本構成について説明する。本実施形態では、各画像形成部Pの各帯電装置2の基本構成は同一である。又、各画像形成部Pの各感光体ドラム3の基本構成も同一である。
次に、帯電装置2の基本構成について説明する。本実施形態では、各画像形成部Pの各帯電装置2の基本構成は同一である。又、各画像形成部Pの各感光体ドラム3の基本構成も同一である。
図2に示すように、帯電装置2は、第1の帯電部材(接触帯電部材)としての第1のロールブラシ21aと、第2の帯電部材(接触帯電部材)としての第2のロールブラシ21bと、を有する。又、帯電装置2は、第1、第2のロールブラシ21a、21bを所定の位置で支持するケース22と、駆動源(図示せず)からの駆動を第1、第2のロールブラシ21a、21bにそれぞれ伝達する第1、第2の駆動ギア23a、23bと、を有する。
第1、第2のロールブラシ21a、21bの回転軸は、感光体ドラム3の回転軸と略平行(感光体ドラム3の回転方向と略垂直)に配置されている。又、第1のロールブラシ21aは、第2のロールブラシ21bよりも感光体ドラム3の回転方向上流側に配置されている。即ち、第2のロールブラシ21bは、第1のロールブラシ21aよりも感光体ドラム3の回転方向下流側に配置されている。第1、第2のロールブラシ21a、21bは、ケース22に、軸受け24a、24bを介して回転自在に保持されている。
第1、第2のロールブラシ21a、21bは感光体ドラム3の表面に接触させられており、第1、第2のロールブラシ21a、21bと感光体ドラム3とのそれぞれの接触部である第1、第2の帯電ニップ部Nc1、Nc2(図11参照)が形成されている。
第1、第2のロールブラシ21a、21bは、それぞれ駆動源からの駆動がギア列(図示せず)を介して第1、第2の駆動ギア23a、23bに伝達されることで回転駆動される。そして、帯電電圧印加手段としての帯電電源(高圧電源)(図示せず)によって、第1、第2のロールブラシ21a、21bに所定の帯電バイアス(帯電電圧)が印加される。本実施例では、第1、第2のロールブラシ21a、21bには、等電位の帯電バイアスが印加される。これにより、感光体ドラム3の所望の帯電電位が得られるようになっている。
3.ロールブラシ
次に、第1、第2のロールブラシ21a、21bの基本構成について説明する。本実施形態では、第1、第2のロールブラシ21a、21bの基本構成は同一である。従って、特に区別を要しない場合は、総称してロールブラシ21として説明する。
次に、第1、第2のロールブラシ21a、21bの基本構成について説明する。本実施形態では、第1、第2のロールブラシ21a、21bの基本構成は同一である。従って、特に区別を要しない場合は、総称してロールブラシ21として説明する。
図3に示すように、ロールブラシ21は、芯材としての金属製の芯金30の外周面に、予め繊維34が設けられた帯状の基布31を螺旋状に巻き付けることで構成されている。本実施形態では、芯材としての芯金30は、ステンレスなどの金属を円筒形状又は円柱形状に形成したものである。
図4に示すように、基布31は、繊維34がベース32に植毛されることで構成されている。或いは、基布31は、繊維34が縦方向に沿ってパイル織されて構成されていてもよい。繊維34としては、ナイロン、ポリエステル、アクリルといった熱可塑性樹脂に導電材としてカーボンブラックを分散させた導電性繊維を好適に使用することができる。
又、繊維34のほぐれを防止するために、基布31のベース32の外縁には、繊維34のないリブ33が設けられている。従って、ロールブラシ21は、基布31を詰めるようにして芯金30に巻き付けても、巻き目35の近傍にリブ33の分だけ巻き隙間36(無繊維部)が生じる。ここで、巻き目35は、帯状の基布31の長手軸線方向(巻き付け方向)と直交する方向における端部同士が隣接する部分であり、該端部同士は好ましくは接触している。但し、該端部同士が離間している箇所があってもよい。該端部同士が離間している場合には、その間隔は、極力狭くした方が良く100μm以下であることが好ましい。
ロールブラシ21は、繊維34の密度が比較的高くされて、繊維34の先端側が広がるように形成されているため、巻き隙間36に繊維34が覆いかぶさるように広がり、巻き隙間36に対応する箇所の感光体ドラム3の帯電不良が抑制されている。しかし、巻き隙間36の近傍では、巻き隙間36を覆う分だけ繊維34の密度が若干低くなるので、帯電電位(絶対値)が低くなり、帯電ムラ(巻き目ムラ)が発生することがある。
図5に示すように、基布31を1周巻き付けた時に、W/cosθずれるような角度θで巻き付けることで、基布31を芯金30に隙間なく巻き付けることができる。図5を参照して、ロールブラシ21の巻き隙間36の角度、即ち、巻き目35の角度は、次のように求められる。ロールブラシ21の基布31の幅をW、芯金30の外径(直径)をRとする。このとき、基布31の芯金30に対する巻き付け角度θは、芯金30の周長πRと基布31の幅Wから、
sinθ=W/(πR)
即ち、
θ=sin-1W/(πR)
となる。
sinθ=W/(πR)
即ち、
θ=sin-1W/(πR)
となる。
尚、基布31を芯金30に巻き付けたときに巻き目35が離れた場合にも、図6に示すように巻き隙間36が形成される。
そして、巻き隙間36と対向する感光体ドラム3の表面は、帯電されないか又は帯電が弱くなり、感光体ドラム3の表面に斜めの帯電ムラ(巻き目ムラ)が生じることがある。この帯電ムラ(巻き目ムラ)は、現像装置1による現像動作の際にトナー像に反映されて、中間転写ベルト111上に転写され、最終的に出力画像上に現れる。
ここで、上記角度θで巻き付けられた外径rのロールブラシ21が、対感光体線速比αで感光体ドラム3に当接して回転しているものとする。このときのロールブラシ21の巻き目35の感光体ドラム3上への投影角度(以下「ムラ角度」ともいう。)をψとする。このムラ角度ψは、図7に示すように、ロールブラシ21の使用量が増加した場合などにロールブラシ21の巻き隙間36によって生じる可能性のある記録材S上の画像ムラの、画像形成方向(記録材Sの搬送方向)に対する角度である。図5、図7に示すように、ロールブラシ21の1周分相当の距離(πr/α)で、巻き目横幅(W/cosθ)だけ横にズレる。そのため、次式、
tanψ=(W/cosθ)/(πr/α)=αW/(πrcosθ)
が成立する。又、次式、
W=πRsinθ
より、
tanψ=α(R/r)tanθ
が成立する。ムラ角度ψは、この式から求められる。
tanψ=(W/cosθ)/(πr/α)=αW/(πrcosθ)
が成立する。又、次式、
W=πRsinθ
より、
tanψ=α(R/r)tanθ
が成立する。ムラ角度ψは、この式から求められる。
尚、対感光体線速比α(=ロールブラシの線速/感光体ドラムの線速)の符号は、ロールブラシ21の回転方向を意味する。プラスの時は、感光体ドラム3とロールブラシ21とが逆方向(互いの対向部では同方向)に回転する。又、マイナスの時は、感光体ドラム3とロールブラシ21とが同方向(互いの対向部では逆方向)に回転する。即ち、感光体ドラム3の線速はプラスの値で表される。又、ロールブラシ21が、感光体ドラム3とロールブラシ21との対向部において両者が同方向に移動するように回転している場合、該ロールブラシ21の線速はプラスの値で表される。一方、ロールブラシ21が、感光体ドラム3とロールブラシ21との対向部において両者が逆方向に移動するように回転している場合、該ロールブラシ21の線速はマイナスの値で表される。
4.巻き目ムラの抑制
次に、本実施形態の帯電装置2における巻き目ムラの抑制方法について説明する。
次に、本実施形態の帯電装置2における巻き目ムラの抑制方法について説明する。
図8に示すように、感光体ドラム3の回転方向上流側に設置された第1のロールブラシ21aと感光体ドラム3とのニップ部において、感光体ドラム3の表面に巻き目ムラ(非帯電部)40aが生じる。即ち、所望の電位に帯電された帯電部41aと帯電されていない非帯電部40aとが混在しながら、感光体ドラム3の回転方向下流側に搬送される。そして、この非帯電部40aは、感光体ドラム3の回転方向下流側に設置された第2のロールブラシ21bと感光体ドラム3とのニップ部において所望の帯電電位に帯電される。このようにして、第2のロールブラシ21bと感光体ドラム3とのニップ部を通過した後の感光体ドラム3の表面電位は略均一になり、巻き目ムラが抑制される。
このように巻き目ムラを打ち消すためには、第2のロールブラシ21bと感光体ドラム3とのニップ部にて、第1のロールブラシ21aによる巻き目ムラ(非帯電部)40aと第2のロールブラシ21bの巻き隙間36bとが重ならないことが必要となる。即ち、第1のロールブラシ21aによる巻き目ムラ(非帯電部)40aと第2のロールブラシ21bによる巻き目ムラ(非帯電部)40b(図11参照)とが交わらないことと、重ならないことと、が必要となる。
第1、第2のロールブラシ21a、21bによる巻き目ムラ40a、40bが交わる場合や重なる場合には、第1のロールブラシ21aによって帯電させられなかった非帯電部40aに、第2のロールブラシ21bの繊維34が接触しない。そのため、その第1のロールブラシ21aによって帯電させられなかった非帯電部40aを、第2のロールブラシ21bで帯電させることができない。その結果、第2のロールブラシ21bと感光体ドラム3とのニップ部を通過した後の感光体ドラム3の表面に、巻き目ムラ(非帯電部)40bが発生してしまう。
第1、第2のロールブラシ21a、21bによる巻き目ムラ40a、40bが交わった場合は、図9(a)のようなドット状の帯電ムラが発生する。又、第1、第2のロールブラシ21a、21bによる巻き目ムラ40a、40bが重なると、図9(b)のように帯状の帯電ムラが発生する。
第1、第2のロールブラシ21a、21bによる巻き目ムラ40a、40bが交わらないようにするには、第1、第2のロールブラシ21a、21bのそれぞれのムラ角度ψを等しくすればよい。
尚、ムラ角度ψが等しいとは、完全に等しい場合だけではなく、例えば、帯電ムラの発生頻度が少なく、連続する画像の間(紙間)に帯電ムラを発生させることができることなどから、±0.2°の誤差は許容される。
これは、芯金30の外径、ロールブラシ21の外径、基布31の幅、基布31の巻き付けの方向、対感光体線速比α、ロールブラシ21の回転方向を調整することで可能となる。以下、芯金30の外径を「芯金外径」、ロールブラシ21の外径を「ブラシ外径」、基布31の幅を「基布幅」ともいう。尚、芯金30の外径とは、芯金30の回転軸線方向に垂直な断面における直径である。又、基布31の幅とは、帯状の基布31の長手軸線方向と直交する方向の長さである。又、ロールブラシ21の外径とは、感光体ドラム3に当接させていない状態(自然状態)のロールブラシ21の回転軸線方向に垂直な断面における、全体としてローラ状の複数の繊維から成るブラシの仮想円(外接円)の直径で代表される。
基布31の巻き付け方向は、第1、第2のロールブラシ21a、21bの回転方向が同じであれば、図10(a)のように同じ巻き付け方向にする。即ち、第1、第2のロールブラシ21a、21bを、画像形成装置100に設置した状態で一方の側面から見たときに、第1、第2のロールブラシ21a、21bの回転軸線方向に対する巻き目35a、35bの傾斜方向が同じになる方向に巻き付ける。又、第1、第2のロールブラシ21a、21bの回転方向が逆であれば、図10(b)のように逆の巻き付け方向になるようにする。即ち、第1、第2のロールブラシ21a、21bを、画像形成装置100に設置した状態で一方の側面から見たときに、第1、第2のロールブラシ21a、21bの回転軸線方向に対する巻き目35a、35bの傾斜方向が逆になる方向に巻き付ける。
そして、第1、第2のロールブラシ21a、21bによる巻き目ムラ40a、40bが重ならないようにするには、次のようにすればよい。即ち、上述のように第1、第2のロールブラシ21a、21bのそれぞれのムラ角度ψを等しくし、更に第1、第2のロールブラシ21a、21bの回転方向に角度差(位相差)を設ければよい。
図11を参照して、第1、第2のロールブラシ21a、21bの角度差(位相差)と巻き目ムラとの関係について説明する。図11は、第1のロールブラシ21aの巻き目35a(即ち、巻き隙間36a)が感光体ドラム3に対向しているときの、感光体ドラム3と第1、第2のロールブラシ21a、21bの回転軸線方向に垂直な断面図である。
第1のロールブラシ21aの芯金外径をRa、ブラシ外径をra、基布幅をWa、対感光体線速比をαaとする。又、第2のロールブラシ21bの芯金外径をRb、ブラシ外径をrb、基布幅をWb、対感光体線速比をαbとする。上述のように、αa、αbは、次のように定義される。即ち、感光体の線速をV1、第1、第2の帯電部材の線速をそれぞれV2a、V2bとする。ここで、V2a、V2bは、感光体との接触部で感光体と同方向に移動する場合はプラスの値、逆方向に移動する場合はマイナスの値である。このとき、αa、αbは、それぞれV2a/V1、V2b/V1で表される。
先ず、第1のロールブラシ21aと第2のロールブラシ21bとの間の距離dが、第1のロールブラシ21aの1周分の距離(πra/|αa|)の整数倍になるように設定した場合について考える。
尚、上記第1のロールブラシ21aと第2のロールブラシ21bとの間の距離dは、感光体ドラム3の表面移動方向における帯電ニップ部Nc1、Nc2の中心間距離(以下「ニップ間距離」ともいう。)である。
第1、第2のロールブラシ21a、21bの角度差φとは、図11のように、第1のロールブラシ21aの巻き目35aが感光体ドラム3に対向しているときに、第1、第2のロールブラシ21a、21bの回転軸線方向に垂直な断面を見た場合の、次の角度である。即ち、第1のロールブラシ21aの回転中心に対するその回転方向における巻き目35aの位相位置と、第2のロールブラシ21bの回転中心に対するその回転方向における巻き目35bの位相位置との差分の角度(位相)である。換言すれば、第2のロールブラシ21bの巻き目35bから第2のロールブラシ21bの回転中心まで引いた直線と、第2のロールブラシ21bと感光体ドラム3との対向部から第2のロールブラシ21bの回転中心まで引いた基準線とがなす角度である。尚、この角度の符号は、上記基準線に対して、第2のロールブラシ21bの回転方向と逆方向をプラスとする。
図11(a)のように、第1、第2のロールブラシ21a、21bの巻き目35a、35bが同時に感光体ドラム3に対向しているときは、第1、第2のロールブラシ21a、21bの角度差φは0°である。この場合、上述のようにニップ間距離dが第1のロールブラシ21aの1周分の距離(πra/|αa|)の整数倍であると、第1のロールブラシ21aによる非帯電部40aと第2のロールブラシ21bの巻き隙間36bとが重なり、巻き目ムラが発生する。しかし、図11(b)のように、第1、第2のロールブラシ21a、21bに角度差φを設けることで、第1のロールブラシ21aによる非帯電部40aは、第2のロールブラシ21bによって帯電され、巻き目ムラは発生しない。
次に、第1、第2のロールブラシ21a、21bに角度差φが設けられている場合に、どのような条件になると、第1のロールブラシ21aによる非帯電部40aと第2のロールブラシ21bの巻き隙間36bとが重なり、巻き目ムラが発生するかについて考える。
ニップ間距離dが、0以上の整数Nに対して、
N(πra/|αa|)≦d<(N+1)(πra/|αa|)
を満たすとき、第1のロールブラシ21aの巻き目35a(即ち、巻き隙間36a)が感光体ドラム3に対向してから第1のロールブラシ21aがN回転するまでの間に、感光体ドラム3の表面は、
N(πra/|αa|)
だけ移動する。
N(πra/|αa|)≦d<(N+1)(πra/|αa|)
を満たすとき、第1のロールブラシ21aの巻き目35a(即ち、巻き隙間36a)が感光体ドラム3に対向してから第1のロールブラシ21aがN回転するまでの間に、感光体ドラム3の表面は、
N(πra/|αa|)
だけ移動する。
その後、第2のロールブラシ21bが角度φだけ回転すると、第2のロールブラシ21bの巻き目35b(即ち、巻き隙間36b)が感光体ドラム3に対向する。この間に、感光体ドラム3は、
πrbφ/(360|αb|)
だけ移動する。
πrbφ/(360|αb|)
だけ移動する。
即ち、ニップ間距離dが、
d=N(πra/|αa|)+πrbφ/(360|αb|)
を満たすと、巻き目ムラが発生してしまう。
d=N(πra/|αa|)+πrbφ/(360|αb|)
を満たすと、巻き目ムラが発生してしまう。
ここで、角度差φを固定するためには、例えば、駆動ギア23a、23bの歯数を等しくして、同一の駆動源から駆動を伝達する。本実施形態では、そのような構成とした。その他にも、センサーによって第1、第2のロールブラシ21a、21bの基準位置を検知することで、第1、第2のロールブラシ21a、21bの回転数を管理して、角度差φを固定する方法がある。
以上のことから、巻き目ムラを抑制するための条件として、次の条件が導かれる。即ち、第1のロールブラシ21aの芯金外径をRa、ブラシ外径をra、基布幅をWa、対感光体線速比をαaとする。又、第2のロールブラシ21bの芯金外径をRb、ブラシ外径をrb、基布幅をWb、対感光体線速比をαbとする。又、第1、第2のロールブラシ21a、21bの角度差をφとする。この場合に、ムラ角度ψが、
tanψ
=|αa|(Ra/ra)tan(sin-1Wa/(πRa))
=|αb|(Rb/rb)tan(sin-1Wb/(πRb))
の関係を満たし、ニップ間距離dが、
d≠Nπra/|αa|+πrbφ/(360|αb|)
の関係を満たす。この条件を満たすことで、巻き目ムラを抑制することが可能である。
tanψ
=|αa|(Ra/ra)tan(sin-1Wa/(πRa))
=|αb|(Rb/rb)tan(sin-1Wb/(πRb))
の関係を満たし、ニップ間距離dが、
d≠Nπra/|αa|+πrbφ/(360|αb|)
の関係を満たす。この条件を満たすことで、巻き目ムラを抑制することが可能である。
尚、Nは0以上の任意の整数で、角度差φは0≦φ<360°の範囲である。
このように、本実施形態の帯電装置2は、回転可能な円筒状又は円柱状の芯金30の外周面に繊維が植毛された帯状の基布31を巻き付けたロールブラシ21を感光体3の回転方向に複数有する。このロールブラシ21を感光体3に接触させ、ロールブラシに電圧を印加することで、感光体3の表面の帯電処理を行う。そして、複数のロールブラシ21は、基布31の巻き目35に対応する感光体3の表面の帯電処理されない領域(巻き目ムラ)40a、40bが重ならないように設定されている。ここで、この領域40a、40bは、少なくとも感光体3の回転軸線方向における画像形成領域において重ならなければよい。典型的には、感光体3の回転軸線方向における第1、第2のロールブラシ21a、21bと感光体3との接触部の全域で、上記領域40a、40bが重ならないように構成される。各ロールブラシ21の巻き目ムラ40a、40bが重ならないように複数のロールブラシ21を設定することで、感光体3の回転方向下流側に配置されたロールブラシ21が、上流側に配置されたロールブラシ21によって生じた巻き目ムラを消すか又は低減させる。これにより、帯電ムラ(巻き目ムラ)の影響が抑制された、良好な画像を出力することが可能となる。
5.評価
以下の実施例及び比較例では、各種設定のロールブラシ21を用い、図1に示す画像形成装置100で画像を出力して、巻き目ムラの抑制効果を目視で評価した。
以下の実施例及び比較例では、各種設定のロールブラシ21を用い、図1に示す画像形成装置100で画像を出力して、巻き目ムラの抑制効果を目視で評価した。
尚、以下の実施例及び比較例では、新品の第1、第2のロールブラシ21a、21bに交換して出力した1枚目の画像と、連続して画像出力を行い30000枚目に出力した画像と、50000枚目に出力した画像とを評価した。
又、目視評価は、少量の巻き目ムラでも目に付きやすいブラックトナーのハーフトーン画像で行った。
(実施例1)
本実施例では、感光体ドラム3の線速は285mm/sである。又、本実施例では、第1、第2のロールブラシ21a、21bは、実質的に同一の構成である。
本実施例では、感光体ドラム3の線速は285mm/sである。又、本実施例では、第1、第2のロールブラシ21a、21bは、実質的に同一の構成である。
第1、第2のロールブラシ21a、21bの各種設定は、次のとおりにした。芯金外径Ra、Rbは16mm、ブラシ外径ra、rbは24mm、基布幅Wa、Wbは15mmとした。又、斜毛処理を施した。ロールブラシ21の繊維34は、ナイロンにカーボンブラックを分散させたものであり、単繊維の繊度が0.6Texあった。この繊維34を密度が188本/mm2になるように植毛した基布31を使用した。このロールブラシ21をアルミのシリンダーに当接させて、10Vの電圧を印加して測定した電気抵抗値は3.0×106Ωであった。本実施例では、第1、第2のロールブラシ21a、21bのムラ角度ψは共に32.0°である。
ここで、斜毛処理は、具体的には、次のような方法で行った。即ち、第1、第2のロールブラシ21a、21bの外径よりも小さい内径のパイプ内に、帯電動作時の回転方向と同一方向となるように回転しつつ差し込んで、繊維34の曲げ方向を揃える。その後、その第1、第2のロールブラシ21a、21bとパイプとを同軸に保持し、所定時間放置した後に取出す。
又、帯電装置2の各種設定は、次のとおりにした。第1、第2のロールブラシ21a、21bの対感光対線速比αa、αbは−3.0、ニップ間距離dは30mm、第1、第2のロールブラシ21a、21bの角度差φは0°とした。又、第1、第2のロールブラシ21a、21bに印加した帯電バイアスは共に−1050VのDC電圧である。これによって−600Vの感光体ドラム1の帯電電位が得られた。
その結果、新品の第1、第2のロールブラシ21a、21bに交換した後の1枚目の画像、30000枚目に出力した画像、50000枚目に出力した画像のいずれにも、巻き目ムラは発生しなかった。
本実施例では、実質的に同一の構成の第1、第2のロールブラシ21a、21bを用い、各ロールブラシのムラ角度ψが同一になるように設定し、ニップ間距離dが上述の条件式をみたすことで、巻き目ムラの発生を抑制することができた。
尚、結果は、後述の各実施例、各比較例とともに表1にまとめた。
(比較例1)
本比較例では、実施例1から次の点を変更した。
本比較例では、実施例1から次の点を変更した。
第1のロールブラシ21aの対感光体線速比αaを−2.0にして、それ以外は実施例1で使用した帯電装置2と実質的に同一の構成とした。
即ち、第1、第2のロールブラシ21a、21bのムラ角度ψを、それぞれ22.6°、32.0°として、第1、第2のロールブラシ21a、21bによる巻き目ムラ40a、40bが交わるように設定した。
その結果、新品の第1、第2のロールブラシ21a、21bで出力した画像では、巻き目ムラは発生しなかった。しかし、画像出力を繰り返すことによって、巻き隙間の部分から繊維の束が割れてきたり、斜毛加工が崩れてしまったりした。そのため、30000枚目ではうっすらと図9(a)のようなドット状の巻き目ムラが現れ、50000枚目では巻き目ムラははっきりと目立つようになった。
(比較例2)
本比較例では、実施例1から次の点を変更した。
本比較例では、実施例1から次の点を変更した。
第1、第2のロールブラシ21a、21bの角度差φを69.7°にして、それ以外は実施例1で使用した帯電装置2と実質的に同一の構成とした。
即ち、第1、第2のロールブラシ21a、21bによる巻き目ムラ40a、40bが重なるように設定した。
その結果、新品の第1、第2のロールブラシ21a、21bで出力した画像では、巻き目ムラは発生しなかった。しかし、画像出力を繰り返すことによって、巻き隙間の部分から繊維の束が割れてきたり、斜毛加工が崩れてしまったりした。そのため、30000枚目ではうっすらと図9(b)のような帯状の巻き目ムラが現れ、50000枚目では巻き目ムラははっきりと目立つようになった。このときのムラ角度ψは32.0°である。
(実施例2)
本実施例では、実施例1から次の点を変更した。
本実施例では、実施例1から次の点を変更した。
図12のように、巻き目35が芯金30の母線(回転軸線)に平行になるように基布31を巻き付けた第1、第2のロールブラシ21a、21bを使用した。従って、本実施例では、基布幅Wa、Wbが実施例1とは異なり、50.3mm(第1、第2のロールブラシ21a、21bの芯金30の周長)である。本実施例では、第1、第2のロールブラシ21a、21bのムラ角度ψは共に90.0°である。それ以外は実施例1で使用した帯電装置2と実質的に同一の構成とした。
その結果、新品の第1、第2のロールブラシ21a、21bに交換した後の1枚目の画像、30000枚目に出力した画像、50000枚目に出力した画像のいずれにも、巻き目ムラは発生しなかった。
本実施例では、実質的に同一の構成の第1、第2のロールブラシ21a、21bを用い、各ロールブラシのムラ角度ψが同一になるように設定し、ニップ間距離dが上述の条件式をみたすことで、巻き目ムラの発生を抑制することができた。
(比較例3)
本比較例では、実施例2から次の点を変更した。
本比較例では、実施例2から次の点を変更した。
第1、第2のロールブラシ21a、21bの角度差φを69.7°にして、それ以外は実施例2で使用した帯電装置2と実質的に同一の構成とした。
即ち、第1、第2のロールブラシ21a、21bによる巻き目ムラ40a、40bが重なるように設定した。
その結果、新品の第1、第2のロールブラシ21a、21bで出力した画像では、巻き目ムラは発生しなかった。しかし、画像出力を繰り返すことによって、巻き隙間の部分から繊維の束が割れてきたり、斜毛加工が崩れてしまったりした。そのため、30000枚目ではうっすらと帯状の巻き目ムラが現れ、50000枚目では巻き目ムラははっきりと目立つようになった。このときのムラ角度ψは90.0°である。
(実施例3)
本実施例では、実施例1から次の点を変更した。
本実施例では、実施例1から次の点を変更した。
第2のロールブラシ21bのブラシ外径rb、対感光体線速比αbを変えて、それ以外は実施例1で使用した帯電装置2と実質的に同一の構成とした。
即ち、第2のロールブラシ21bの各種設定は、次のとおりにした。芯金外径Rbは16mm、ブラシ外径rbは28mm、基布幅Wbは15mmとした。又、斜毛処理を施した。基布31の巻き付け方向は第1のロールブラシ21aと同じとした。本実施例では、第1、第2のロールブラシ21a、21bのムラ角度ψは共に32.0°である。
又、帯電装置2の各種設定は、次のとおりにした。第2のロールブラシ21bの対感光対線速比αbは−3.5、ニップ間距離dは30mm、第1、第2のロールブラシ21a、21bの角度差φは0°とした。
その結果、新品の第1、第2のロールブラシ21a、21bに交換した後の1枚目の画像、30000枚目に出力した画像、50000枚目に出力した画像のいずれにも、巻き目ムラは発生しなかった。
本実施例では、ブラシ外径が異なる第2のロールブラシ21bを使用した。しかし、各ロールブラシのムラ角度ψが同一になるように対感光体線速比αを設定し、ニップ間距離dが上述の条件式をみたすことで、巻き目ムラの発生を抑制することができた。
(比較例4)
本比較例では、実施例3から次の点を変更した。
本比較例では、実施例3から次の点を変更した。
第1、第2のロールブラシ21a、21bの角度差φを69.7°にして、それ以外は実施例3で使用した帯電装置2と実質的に同一の構成にした。
即ち、第1、第2のロールブラシ21a、21bの巻き目ムラ40a、40bが重なるように設定した。
その結果、新品の第1、第2のロールブラシ21a、21bで出力した画像では、巻き目ムラは発生しなかった。しかし、画像出力を繰り返すことによって、巻き隙間の部分から繊維の束が割れてきたり、斜毛加工が崩れてしまったりした。そのため、30000枚目ではうっすらと図9(b)のような帯状の巻き目ムラが現れ、50000枚目では巻き目ムラははっきりと目立つようになった。このときのムラ角度ψは32.0°である。
(実施例4)
本実施例では、実施例1から次の点を変更した。
本実施例では、実施例1から次の点を変更した。
第1のロールブラシ21aの芯金外径Ra、ブラシ外径ra、基布幅Waを変えて、それ以外は実施例1で使用した帯電装置2と実質的に同一の構成とした。
即ち、第1のロールブラシ21aの各種設定は、次のとおりにした。芯金外径Raは12.0mm、ブラシ外径raは18.0mm、基布幅Waは11.25mmとした。又、斜毛処理を施した。基布31の巻き付け方向は第2のロールブラシ21bと同じとした。本実施例では、第1、第2のロールブラシ21a、21bのムラ角度ψは共に32.0°である。
又、帯電装置2の各種設定は、次のとおりにした。第1のロールブラシ21aの対感光体線速比αaは−3.0、ニップ間距離dは30mm、第1、第2のロールブラシ21a、21bの角度差φは0°とした。
本実施例では、第1のロールブラシ21aが4周する毎に、第2のロールブラシ21bは3周回転するため、第1のロールブラシ21aが回転する毎に、角度差φが90°増加するが、巻き目ムラが重なることはない。
その結果、新品の第1、第2のロールブラシ21a、21bに交換した後の1枚目の画像、30000枚目に出力した画像、50000枚目に出力した画像のいずれにも、巻き目ムラは発生しなかった。
本実施例では、芯金外径、ブラシ外径、基布の幅が異なる第1のロールブラシ21aを使用した。しかし、各ロールブラシのムラ角度ψが同一になるように設定し、ニップ間距離dが上述の条件式をみたすことで、巻き目ムラの発生を抑制することができた。
(比較例5)
本比較例では、実施例4から次の点を変更した。
本比較例では、実施例4から次の点を変更した。
第1、第2のロールブラシ21a、21bの角度差φを69.7°にして、それ以外は実施例4で使用した帯電装置2と実質的に同一の構成とした。
これは、第1のロールブラシ21aが4周すると、第2のロールブラシ21bが3周し、巻き目ムラが重なる設定である。
その結果、新品の第1、第2のロールブラシ21a、21bで出力した画像では、巻き目ムラは発生しなかった。しかし、画像出力を繰り返すことによって、巻き隙間の部分から繊維の束が割れてきたり、斜毛加工が崩れてしまったりした。そのため、30000枚目ではうっすらと図9(b)のような帯状の巻き目ムラが現れ、50000枚目では巻き目ムラははっきりと目立つようになった。このときのムラ角度ψは32.0°である。本比較例では、第1のロールブラシ21aが4周する毎に巻き目ムラが発生した。
(実施例5)
本実施例では、実施例1から次の点を変更した。
本実施例では、実施例1から次の点を変更した。
本実施例では、感光体ドラム3としてアモルファスシリコン感光体を用いた。本実施例で使用する感光体ドラム1は、負帯電のアモルファスシリコン系感光体である。この感光体ドラム1は、直径φ84mmのアルミニウム製のドラム基体上に、正電荷注入防止層、光導電層、負電荷阻止層、表面保護層を下から順に設けたものである。
又、本実施例では、第1、第2のロールブラシ21a、21bの繊維の電気抵抗と、第1、第2のロールブラシ21a、21bに印加する帯電バイアスを変えて、感光体ドラム1の帯電処理を行った。その他の条件は実施例1と同じである。
即ち、本実施例では、ロールブラシ21の繊維34は、実施例1と同様にナイロンにカーボンブラックを分散させたものであるが、カーボンブラックの量を増やし、実施例1よりも電気抵抗が低いものを使用した。この繊維34の単繊維の繊度は0.6Texであった。この繊維34を密度が188本/mm2になるように植毛した基布31を使用した。このロールブラシ21をアルミのシリンダーに当接させて、10Vの電圧を印加して測定した電気抵抗値は2.5×105Ωであった。本実施例では、第1、第2のロールブラシ21a、21bのムラ角度ψは共に32.0°である。
又、第1、第2のロールブラシ21a、21bに印加した帯電バイアスは共に−700VのDC電圧である。これによって−650Vの感光体ドラム1の帯電電位が得られた。
本実施例では、注入帯電方式で感光体ドラム3を帯電処理したため、実施例1よりも第1、第2のロールブラシ21a、21bに印加する帯電バイアスの絶対値を小さくすることができた。
その結果、新品の第1、第2のロールブラシ21a、21bに交換した後の1枚目の画像、30000枚目に出力した画像、50000枚目に出力した画像のいずれにも、巻き目ムラは発生しなかった。
本実施例では、実質的に同一の構成の第1、第2のロールブラシ21a、21bを用い、各ロールブラシのムラ角度ψが同一になるように設定し、ニップ間距離dが上述の条件式をみたすことで、巻き目ムラの発生を抑制することができた。
(比較例6)
本比較例では、実施例5から次の点を変更した。
本比較例では、実施例5から次の点を変更した。
第1、第2のロールブラシ21a、21bの角度差φを69.7°にして、それ以外は実施例5で使用した帯電装置2と実質的に同一の構成とした。
即ち、第1、第2のロールブラシ21a、21bの巻き目ムラ40a、40bが重なるように設定した。
その結果、新品の第1、第2のロールブラシ21a、21bで出力した画像では、巻き目ムラは発生しなかった。しかし、画像出力を繰り返すことによって、巻き隙間の部分から繊維の束が割れてきたり、斜毛加工が崩れてしまったりした。そのため、30000枚目でははっきりと図9(b)のような帯状の巻き目ムラが現れ、50000枚目では巻き目ムラは更に目立つようになった。このときのムラ角度ψは32.0°である。
本比較例では注入帯電方式によって感光体ドラム3を帯電させるため、第1、第2のロールブラシ21a、21bの繊維が触れていない感光体ドラム1の部分はまったく帯電されない。そのため、比較例1〜5よりも巻き目ムラが発生しやすくなった。
実施例1〜5では、上流側のロールブラシの巻き隙間によって発生した非帯電部に下流側のロールブラシの巻き隙間が重ならないように、芯金外径R、ブラシ外径r、基布幅W、巻き付け方向、対感光体線速比α、角度差φ、ニップ間距離dを調整した。これにより、巻き目ムラの発生を抑制することができた。
尚、実施例1〜5では、2本のロールブラシを用いたが、3本以上のロールブラシを用いた場合でも、巻き目ムラを抑制することは可能である。その際には、少なくとも2本のロールブラシの間、好ましくは全ロールブラシの間で、前述の各条件を満たし、巻き隙間による無繊維部によって帯電されない領域が重ならないようにすることが重要である。
又、実施例5では、注入帯電方式を用いているが、感光体ドラムはアモルファスシリコンに限定したものではない。OPCでも表面保護層の変わりに、導電性微粒子を分散した注入層を設けることで注入帯電することが可能である。
以上、本実施形態によれば、回転可能な感光体3を帯電処理する帯電装置2は、繊維34が設けられた帯状の基布31を円筒状又は円柱状の芯材30の外周面に巻き付けて構成され、感光体3に接触して回転可能な第1の帯電部材21aを有する。又、この帯電装置2は、繊維34が設けられた帯状の基布31を円筒状又は円柱状の芯材30の外周面に巻き付けて構成され、第1の帯電部材21aよりも感光体3の回転方向下流側において感光体3に接触して回転可能な第2の帯電部材21bを有する。そして、この帯電装置2は、回転する感光体3を回転する第1、第2の帯電部材21a、21bにより帯電処理する際に、感光体3の表面の次の各領域40a、40bが重ならないように構成されている。即ち、第1の領域40aは、感光体3の回転方向における第1の帯電部材21aと感光体3との接触部Nc1において第1の帯電部材21aの基布31の巻き目35aに対向した感光体3の表面の領域である。又、第2の領域40bは、感光体3の回転方向における第2の帯電部材21bと感光体3との接触部Nc2において第2の帯電部材21bの基布31の巻き目35bに対向する感光体3の表面の領域である。
これにより、第2のロールブラシ21bの巻き隙間36bが画像形成方向上流側で発生した電位ムラ40aと重ならないため、感光体3を帯電ムラなく帯電させることができる。従って、長期にわたって高品位な画像を得ることができる。即ち、本実施形態によれば、ロールブラシ21を用いた帯電装置2において、ロールブラシ21の基布31の巻き目に対応して感光体3の表面が帯電されない巻き目ムラを抑制することができ、長期にわたって高品位な画像が得られる。
2 帯電装置
3 感光体ドラム
21 ロールブラシ
30 芯金(芯材)
31 基布
34 繊維
35 巻き目
36 巻き隙間
3 感光体ドラム
21 ロールブラシ
30 芯金(芯材)
31 基布
34 繊維
35 巻き目
36 巻き隙間
Claims (5)
- 回転可能な感光体を帯電処理する帯電装置において、
繊維が設けられた帯状の基布を円筒状又は円柱状の芯材の外周面に巻き付けて構成され、前記感光体に接触して回転可能な第1の帯電部材と、
繊維が設けられた帯状の基布を円筒状又は円柱状の芯材の外周面に巻き付けて構成され、前記第1の帯電部材よりも前記感光体の回転方向下流側において前記感光体に接触して回転可能な第2の帯電部材と、
を有し、
回転する前記感光体を回転する前記第1、第2の帯電部材により帯電処理する際に、前記感光体の回転方向における前記第1の帯電部材と前記感光体との接触部において前記第1の帯電部材の前記基布の巻き目に対向した前記感光体の表面の領域と、前記感光体の回転方向における前記第2の帯電部材と前記感光体との接触部において前記第2の帯電部材の前記基布の巻き目に対向する前記感光体の表面の領域とが重ならないことを特徴とする帯電装置。 - 前記第1、第2の帯電部材のそれぞれの前記芯材の外径をRa、Rb、前記第1、第2の帯電部材のそれぞれの外径をra、rb、前記第1、第2の帯電部材のそれぞれの前記基布の幅をWa、Wb、前記第1、第2の帯電部材のそれぞれの対感光体線速比をαa、αb、前記感光体の表面移動方向における前記第1の帯電部材と前記感光体の接触部と前記第2の帯電部材と前記感光体との接触部との間の距離をd、前記第1の帯電部材の前記巻き目と前記第2の帯電部材の前記巻き目との角度差をφとしたとき、次式、
|αa|(Ra/ra)tan(sin-1Wa/(πRa))=|αb|(Rb/rb)tan(sin-1Wb/(πRb))、及び、
d≠Nπra/|αa|+πrbφ/(360|αb|)
[但し、
Nは、0以上の任意の整数であり、
前記対感光体線速比αa、αbは、前記感光体の線速をV1、前記第1、第2の帯電部材の線速をそれぞれV2a、V2b(前記感光体との接触部で前記感光体と同方向に移動する場合はプラスの値、逆方向に移動する場合はマイナスの値)としたとき、それぞれV2a/V1、V2b/V1で表され、
前記角度差φは、前記第1の帯電部材の前記巻き目が前記感光体に対向しているときに、前記第1、第2の帯電部材の回転軸線方向に垂直な断面を見た場合の、前記第2の帯電部材の前記巻き目から前記第2の帯電部材の回転中心まで引いた直線と、前記第2の帯電部材と前記感光体との対向部から前記第2の帯電部材の回転中心まで引いた直線とのなす角度(0≦φ<360°)である。]
を満たすことを特徴とする請求項1に記載の帯電装置。 - 前記第1、第2の帯電部材は、電圧が印加されて前記感光体に電荷を注入することを特徴とする請求項1又は2に記載の帯電装置。
- 前記感光体は、アモルファスシリコン感光体であることを特徴とする請求項3に記載の帯電装置。
- 回転可能な感光体と、請求項1〜4のいずれか一項に記載の帯電装置と、を有することを特徴とする画像形成装置。
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