JP5950471B2 - 益虫捕集装置及び益虫捕集方法 - Google Patents

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本発明は、益虫を捕集するための益虫捕集装置及び益虫捕集方法に関し、例えばギフアブラバチ等の飛翔性天敵昆虫を捕集する益虫捕集装置及び益虫捕集方法に関する。
従来、農作物の育成に際して、病害虫を除去するために化学薬品である農薬(化学農薬)が散布されてきた。一方で化学農薬の散布に代えて、病害虫に対し天敵昆虫(益虫)を生物農薬として投入し、病害虫を駆除する方法も利用されている。この方法であれば、化学農薬を用いる方法に比べ、残留農薬の問題がなく、安全性が高いとされている。
例えば、なすやピーマン等の野菜の栽培においては、モモアカアブラムシやジャガイモヒゲナガアブラムシ等による食害が発生する。これらの病害虫であるアブラムシ類に対しては、飛翔性の天敵昆虫としてギフアブラバチが知られている。ギフアブラバチは、日本や台湾、中国、朝鮮半島等の東アジア地域に生息する寄生蜂である。本種は、主にモモアカアブラムシやジャガイモヒゲナガアブラムシに寄生することが知られている。土着種であり、国内で捕集できる。
しかしながら、害虫の捕獲については従来から種々の捕獲器が提案されているが(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)、益虫を簡便に捕集できる装置や捕集方法については殆ど開示されていないのが現状である。益虫の捕集や育成に手間やコストがかかりすぎると、化学農薬を代替することが困難となる。このような背景から、化学農薬を置き換える生物農薬を普及させるため、より低コストで簡便に益虫を捕集できる手法が求められていた。
特開2007−167009号公報 特開2006−025709号公報
本発明は、従来のこのような背景に鑑みてなされたものである。本発明の主な目的は、低コストで簡便に益虫の捕集を可能とした益虫捕集装置及び益虫捕集方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の益虫捕集装置は、害虫Yに対する益虫Xを捕集するための益虫捕集装置1であって、少なくとも側面2の一部を透光性とした中空状の本体部4と、前記本体部4の一方の端縁と連通され、前記益虫Xを前記本体部4内へ案内するために形成された開口捕集部8と、前記本体部4に内蔵され、前記益虫Xに対する誘引性を示す波長の光を、前記透光性の側面2を通じて外部に発することが可能な着色体10と、前記本体部4の他方の開口端12と連通され、捕集された前記益虫Xを前記本体部4外へ案内する排出部14と、を備えることを特徴とする。
また、本発明の益虫捕集装置において、前記着色体10のピーク波長を、450nm〜550nmとすることを特徴とする。
また、本発明の益虫捕集装置において、さらに、前記益虫Xの寄主の匂いを発生させる匂い発生部を備えることを特徴とする。
また、本発明の益虫捕集装置において、前記益虫Xの寄主となる、前記害虫Yとは異なる第二の虫Zが食する植物であって、かつ該害虫Yから保護したい農作物Pとは異なる寄主植物Qを前記排出部14の近傍に配置してなることを特徴とする。
また、本発明の益虫捕集装置において、前記寄主植物Qが、ムギ類であることを特徴とする。
また、本発明の益虫捕集装置において、前記益虫Xがギフアブラバチであることを特徴とする。
また、本発明の益虫捕集装置において、前記害虫Yがアブラムシ類であることを特徴とする。
また、本発明の益虫捕集装置において、前記透光性の側面2が、メッシュで構成されてなることを特徴とする。
また、本発明の益虫捕集装置において、前記透光性の側面2が、透明な樹脂で構成されてなることを特徴とする。
また、本発明の益虫捕集装置において、前記着色体10が半導体発光素子であることを特徴とする。
また、本発明の益虫捕集装置において、前記着色体10が発光ダイオードであることを特徴とする。
また、本発明の益虫捕集装置において、前記着色体10’が、前記益虫Xに対する誘引性を示す波長の色に着色された着色プレートであることを特徴とする。
また、本発明の益虫捕集装置において、前記着色体10’が、前記益虫Xに対する誘引性を示す波長の光を発する光源10”によって着色された着色プレートであることを特徴とする。
また、本形態に係る益虫捕集方法は、害虫Yに対する益虫Xを捕集する方法であって、該益虫Xに対する誘引性を示す、ピーク波長を450nm〜550nmとする光を照射して、該益虫Xを誘引する工程と、前記誘引された前記益虫Xを、栽培施設H内に誘導する工程と、を含むことを特徴とする。
本発明の益虫捕集装置によると、低コストで簡便に益虫を捕集することができる。特に、本発明の益虫捕集装置の構成によると、当該装置を農産物の栽培施設の壁面に設置することによって、栽培施設外に生息する益虫を捕集して、栽培施設内へ人手を要することなく誘導することができる。
また、本発明の益虫捕集装置に係る着色体のピーク波長を、450nm〜550nmとすることによって、ナスなどの農作物に発生するアブラムシ類(害虫)に対する益虫であるギフアブラバチを簡便に誘引することができ、ナスなどの栽培施設内において、アブラムシ類の密度抑制が図られる。
また、本発明の益虫捕集装置に係る排出部の近傍に、益虫の寄主となる、害虫とは異なる第二の虫が食する寄主植物を配置することによって、益虫の誘引性を更に高めることができる。特に、寄主植物をムギ類とした場合、当該寄主植物にはムギヒゲナガアブラムシが発生するため、アブラムシ類の益虫であるギフアブラバチの誘引性は更に高まることとなる。
また、本発明の益虫捕集装置に係る本体部が備える透光性の側面を、メッシュ又は透明な樹脂で構成することによって、着色体からの光を外部へ発することができる。
また、本発明の益虫捕集装置に係る着色体に、半導体発光素子や発光ダイオードを採用することによって、益虫の誘引性を高めることができると共に、エネルギー効率も高めることができる。
また、本形態に係る益虫捕集方法によると、害虫に対する益虫を低コストで簡便に捕集できると共に、益虫を栽培施設内に容易に誘導することができる。
本発明の実施形態1に係る益虫捕集装置を示す概略断面図である。 本発明の実施形態1に係る益虫捕集装置に作物トラップを設けた例を示す概略断面図である。 本発明の実施形態2に係る益虫捕集装置を示す概略断面図である。 本発明の実施形態3に係る益虫捕集装置を示す概略断面図である。 ギフアブラバチ雌成虫のLED光に対する応答反応の試験結果を示した図である。 飢餓状態のギフアブラバチ雌成虫のLED光に対する応答反応の試験結果を示した図である。 ギフアブラバチの色彩に対する応答反応の試験結果を示した図である。 各色物体色反射波長スペクトルを示した図である。 LEDトラップのギフアブラバチに対する捕獲効果の試験結果を示した図である。 ピーク波長525nmLEDトラップの光強度別のギフアブラバチに対する捕獲効果の試験結果を示した図である。 ギフアブラバチの各トラップに対する反応の結果を示した図である。 作物トラップの誘引に対する有効性を示した図である。 本発明の実施形態4に係る益虫捕集装置を示す概略断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための益虫捕集装置及び益虫捕集方法を例示するものであって、本発明は益虫捕集装置及び益虫捕集方法を以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
(実施形態1)
図1に本発明の実施形態1に係る益虫捕集装置1の概略断面図を示す。この図に示す益虫捕集装置1は、農産物Pに発生する害虫Yに対する益虫Xを簡便に捕集するための捕集装置であって、農産物Pの栽培施設20の壁面22の外側に取り付けられ、益虫捕集装置1を介して栽培施設20外に生息する益虫Xを捕集し、栽培施設20内へ誘導するように構成されている。より具体的には、少なくとも側面2の一部を透光性とした中空状の本体部4と、本体部4の一方の端縁と連通され、益虫Xを本体部4内へと案内するために形成された開口捕集部8と、本体部4に内蔵され、益虫Xに対する誘引性を示す波長の光を、透光性の側面2を通じて外部に発することが可能な着色体10と、本体部4の他方の開口端12と連通され、捕集された益虫Xを本体部4外へ案内する排出部14と、を備える。
本実施形態1の益虫捕集装置1に係る中空状の本体部4は、少なくとも側面2の一部が透光性を備えており、本体部4に内蔵された着色体10から本体部4の外部に向けて、益虫Xに対する誘引性を示す波長の光が発せられることとなる。
透光性を備える側面2としては、例えば、金属製のメッシュや透明な樹脂などが挙げられるが、着色体10からの光を本体部4の外部に向けて発することができれば、側面2の材質等は特に限定されない。例えば樹脂製の透明なメッシュも利用できる。
また、着色体10としては、益虫Xに対する誘引性を示す波長の光を発することができれば特に限定されないが、例えば、半導体発光素子や発光ダイオードなどが挙げられる。
本実施形態1の益虫捕集装置1に係る本体部4の一方には、開口端6と連通された開口捕集部8が形成されている。着色体10から本体部4の外部に向けて発せられた光によって、栽培施設20外に生息する益虫Xが誘引されて開口端6から進入し、開口捕集部8を介して本体部4内へ案内されることとなる。
本体部4内へ案内された益虫Xは、本体部4の他方の開口端12と連通された排出部14へと進んでいき、最終的に他方の開口端12から栽培施設20内へ誘導されることとなる。
ここで、例えば栽培施設20内で栽培される農産物Pがナスやピーマンなどの場合、これらの農産物Pにはモモアカアブラムシやジャガイモヒゲナガアブラムシなどの害虫Yによる食害が発生する。これらアブラムシ類の害虫Yに対しては、益虫Xとして飛翔性のギフアブラバチが好適である。ギフアブラバチ(益虫X)は、モモアカアブラムシやジャガイモヒゲナガアブラムシなどのアブラムシ類(害虫Y)に寄生することが知られており、ギフアブラバチをアブラムシ類に寄生させることによって、アブラムシ類の密度抑制が可能となる。
そこで、アブラムシ類(害虫Y)の益虫Xであるギフアブラバチを本実施形態1の益虫捕集装置1によって積極的に誘引するためには、着色体10のピーク波長を、350nm〜600nmとすることが好ましく、より好ましいのは450nm〜550nmである。着色体10のピーク波長の好ましい範囲については後述の実験例にて説明するが、少なくとも着色体10のピーク波長が350nm〜600nmの範囲外の場合、ギフアブラバチの誘引率が低下し、捕集効率が悪い。
以上の構成を含んでなる本実施形態1の益虫捕集装置1によると、ナスやピーマンなどの農産物Pに発生するアブラムシ類(害虫Y)の益虫Xであるギフアブラバチを、栽培施設20の外部から低コストで簡便に捕集すると共に、栽培施設20内へ人手に頼ることなく誘導することができる。従って、益虫Xによる害虫Yの密度抑制が可能となり、化学農薬を用いる方法に比べ、残留農薬の問題がなく、安全性の高い農産物Pを得ることができる。
以上、本実施形態1に係る益虫捕集装置1について説明したが、このような益虫捕集装置1は、栽培施設20に複数設けることもできる。特に栽培施設20が大きい場合は、所定の距離を開けて複数の益虫捕集装置1を設けることで、生物農薬の機能を高めることができる。益虫捕集装置1の数や配置する間隔は、栽培施設20の大きさや発生する害虫Yの程度、要求される農薬作用等に応じて適宜決定される。
(作物トラップ)
また、本実施形態1の益虫捕集装置1において、さらに、排出部12の出口側(栽培施設20内)に、益虫Xの寄主となるが、害虫Yとは異なる第二の虫Zが食する寄主植物Qを配置することもできる。この寄主植物Qは、害虫Yから保護したい農作物Pとは異なる植物とする。さらに寄主植物Qを食する第二の虫Zは、害虫Yから保護したい農作物Pにとっては害虫とならない。このようにすることで、第二の虫Zによる食害を生じさせることなく、第二の虫Zに寄生する益虫Xを排出部14の出口側に誘引することで、より益虫Xの移行、すなわち栽培施設20内への誘導を促進することが可能となる。
このような例を図2に示す。この例では、栽培施設20であるビニールハウス内でナス、ピーマン等を栽培しており、寄主植物Qとしてムギ類、例えばコムギを、ダクト状の排出部14の出口付近に植え付けておく。このようにすることで、コムギ(寄主植物Q)を食する第二の虫Zであるムギヒゲナガアブラムシがコムギに集まり、このムギヒゲナガアブラムシ(第二の虫Z)を寄主とするギフアブラバチ(益虫X)を誘引する作用が生じる。この結果、寄主植物Qを用いた作物トラップとして機能させることができる。
(実施形態2)
図3に、本発明の実施形態2に係る益虫捕集装置1aの概略断面図を示す。同図に示す本実施形態2に係る益虫捕集装置1aは、さらに開口捕集部8にファン24を備える。開口捕集部8にファン24を配設し、本体部4の一方の開口端6から他方の開口端12の方向に空気の流れを発生させる。当該構成によって、着色体10から発せられる光によって誘引された益虫Xを、本体部4の開口端6から積極的に本体部4内へ誘導し、さらに他方の開口端12側へスムーズに誘導することができる。
(実施形態3)
上記の本発明の実施形態2に係る益虫捕集装置1aでは、ファン24を、吸引側である開口捕集部8側に設けているが、ファン24を設ける位置は必ずしも吸引側に限らず、排出側に設けることもできる。このような例を本発明の実施形態3として図4に示す。同図に示す本実施形態3に係る益虫捕集装置1bでは、排出部14における他方の開口端12近傍にファン24が配設されている。当該構成によっても、本体部4の一方の開口端6から他方の開口端12の方向に空気の流れを発生させることができる。従って、着色体10から発せられる光によって誘引された益虫Xを、本体部4の開口端6から積極的に本体部4内へ誘導し、さらに他方の開口端12側へスムーズに誘導することができる。
またファンを設けなくとも、自然対流によって益虫を益虫捕集装置や栽培施設に誘導することもできる。特に栽培施設内を外部環境に比して減圧状態としておくことで、栽培施設内部と連通された益虫捕集装置の開口捕集部に自然対流が生じて、益虫の益虫捕集装置を通じた栽培施設内への案内、侵入が促進される。
さらに開口捕集部を設ける位置も、以上の例では筒状の本体部の端面側としたが、この位置に限られず、側面に設けたメッシュの目を大きくして、益虫がメッシュを介して本体部内に侵入できるようにしてもよい。この場合は、本体部の側面が、開口捕集部となり、本体部の上面側の端縁を閉塞すると共に、下面側の端縁と連通させる。あるいは、上面側の端縁にファンを設けて、ファンによって強制的に空気を本体部の下方側に送風させるように付勢することで、側面に開口されたメッシュ状の開口捕集部及び上面側からファンを通じて、益虫を本体部内から栽培施設内に案内することもできる。
(実施形態4)
上記の実施形態では、益虫の誘引媒体となる着色体に、LED等のカラー発光可能な発光体を用いる例を説明したが、これに限らず色紙を利用することもできる。このような例を実施形態4として、図13の斜視図に示す。この例では、円筒状の本体部4’と、本体部4’の内部に配置された複数枚の着色プレート10’と、着色プレート10’に対して照明光を照射する光源10”を備える。この本体部4’は透光性の樹脂製として、側面をメッシュ状に樹脂で一体に形成している。またこのメッシュを、益虫Xを取り込む開口捕集部8’としている。
(着色プレート10’)
また着色プレート10’は、予め所定の色に着色したプレートであり、この着色プレート10’に対して、光源10”から照明光を照射してこれを目立たせると共に、夜間でも着色プレート10’の色を視認できるようにしている。これにより、上記と同様の特定の波長光を用いて益虫の誘引効果を発揮できる。図13の例では、6枚の矩形状の着色プレート10’を6角柱状に直立させて、かつ互いを離間させて配置しているが、着色プレートの形状や数、配置については、益虫が視認し易い態様に適宜変更できる。また光源10”も1個に限らず、着色プレートの数や配置に応じて、これらを効率よく照明できるように複数用意したり、照射角度を調整できる。さらに、この例では予め着色プレートを、益虫を誘引する効果の高い色に予め着色する例を説明したが、例えば光源の発光色自体を、誘引効果の高い波長の光とし、一方着色プレートを白色として、このような波長の照明光を白色の着色光に照射することで、着色プレートの表示色を変化させる構成としてもよい。この場合は、光源の光を変化させることで、着色プレートの色を可変とでき、様々な益虫に対応できる利点が得られる。また光源は、LED等の半導体発光素子が好適に利用できる。特に、RGBの3色のLEDを組み合わせた光源を使用すれば、発光色を可変でき、着色プレートの可変色に対応できる。
以上、本発明の益虫捕集装置の種々の実施形態について詳述したが、本発明の益虫捕集装置の実施形態は上記のものに限定されない。例えば、本発明の実施形態1に係る益虫捕集装置1において、さらに益虫Xの寄主の匂いを発生させる匂い発生部が配設されてもよい。益虫Xの寄主の匂いを発生させる匂い発生部を配設することによって、益虫捕集装置1による益虫Xの誘引性を更に高めることができる。なお、匂い発生部を配設する位置は特に限定されず、例えば開口捕集部8や本体部4内、排出部14の他、排出部14の出口側などに匂い発生部が配設されてもよい。
次に、本発明の益虫捕集装置による益虫Xの誘引性について、実験例に基づいて説明する。なお、以下の各実験例では、ナスやピーマンなどの農産物Pに発生するアブラムシ類(害虫Y)の益虫Xであるギフアブラバチの誘引性について調べた。
(実験例1)
ギフアブラバチ(益虫X)のLED光に対する応答反応を調べた。当該応答反応試験には、透明プラスチック製の円筒(直径約10cm×長さ約100cm)を用いた。その中央よりギフアブラバチ雌成虫を20頭投入し、片端に設置したLED単色光の点灯60分後に、光源から10cm以内の雌成虫の移動数を調査した。また、飢餓状態の雌成虫も同様に調査した。試験は、恒温室(室温20℃、湿度約70%、暗条件)内で5種類のLED単色光(ピーク波長が375nm(紫外)、470nm(青)、525nm(緑)、570nm(黄)、660nm(赤)、いずれも日亜化学社製)ごとに3反復実施した。
その結果、各雌成虫の各LED単色光に対する応答反応を図5と図6に示した。各図において、誘引率(%)=光源から10cm内定位数/放虫数×100、光強度の計測には、高速分光ユニット(HSU−100S、朝日分光社製)を使用した。ギフアブラバチ雌成虫は、ピーク波長375nm、525nmと570nmの光が他光に比べて強く誘引された。応答反応は各LED単色光とも餌の有無により、有意な差は認められなかった。
(実験例2)
ギフアブラバチ(益虫X)の色彩に対する応答反応を調べた。当該応答反応試験には、6色の色紙(標準色紙(JIS規格)20色、9×6.5cm)を供試した。それぞれの色紙にOHPフィルムをかぶせ、粘着剤(商品名:金竜)を吹きつけ、プラスチックケージ(60×60×60cm)内に並べた。そのケージに雌雄成虫をケージ中央に30頭投入し、6時間後に捕獲数を調査した。試験は恒温室(室温約20℃、湿度約70%)内で6反復実施した。
その結果、各成虫の各色紙に対する反応を図7に示した。なお、Tukeyの多重比較で同じアルファベットは、有意水準5%で有意差がないことを示す。雌雄共に10Y8/12(黄)、5GY7/12(黄緑)、10GY6/10(黄緑)、5Y8/14(黄)の順に高い反応性を示した。
また、各色紙の反射波長を図8に示した。測定には、朝日分光社製、高速分光ユニット(HSU−100S)拡散反射ユニットを使用した。各色紙の反射波長ピークは10Y8/12は551nm、5GY7/12は543nm、10GY6/10は533nm、5Y8/14は580nmであった。
(実験例3)
LEDトラップ(光源10)によるギフアブラバチ(益虫X)の捕獲効果を調べた。当該捕獲効果試験では、上記実験例1で誘引性の高かったピーク波長375nm、525nmと570nmのLED及びその3種類のLEDより2つのLEDを選択し、それぞれ同数取り付けたトラップを用い、施設内で調査した。また、ピーク波長525nmのLEDを用いて光強度による影響を調査した。試験は、成虫を発生させた施設内にLEDトラップを1mの高さに設置し、3日毎に捕獲数を調査した。なお、LEDトラップは基盤に砲弾型LEDを30個取り付け、スチロール角形ケース(194×104×26mm)をかぶせ、前面に粘着剤を吹き付けたOHPフィルムで覆った。拡散板には、ポリカーボネイト素材(拡散角度60°)を用いた。
その結果を図9、図10に示した。単色光ではピーク波長525nmが375nmや570nmより誘引性が強く、またそれは375nmと570nm、あるいは525nmと570nmそれぞれの混合波長よりも強かった。525nmのLEDでは光強度を3段階に調節したトラップで調査した結果、光強度が強くなるほど誘引性が高く、特に雌が顕著であった。
(実験例4)
LEDトラップとトラップ作物の併用によるギフアブラバチ(益虫X)の捕獲効果を調べた。当該捕獲効果試験では、プランターに育成したムギ(品種・あやひかり)(寄主植物Q)にムギヒゲナガアブラムシ(第二の虫Z)を発生させ(以下、作物トラップ)、以下の各トラップをその30cmの高さに各方向に設置し、7日おきに捕獲されたギフアブラバチ成虫数を調査した。トラップには、ピーク波長525nmLEDの直射光、同525nmLEDの色紙トラップ(黄緑(5GY7/12))に対する反射光、色紙トラップ(黄緑(5GY7/12))を用い、無処理は粘着剤を吹き付けたOHPフィルムのみとした。また、ピーク波長525nmのLEDの直射光のみの試験区を設け、作物トラップの有効性も調査した。
その結果を図11、図12に示した。ピーク波長525nmの直射光と反射光ともに色紙より多く捕獲され、両者には有意な差はなかった。また、LEDのみの試験区は捕獲数が少なかったことから、誘引にはLEDと作物トラップの併用が好ましいことが示された。
本発明の益虫捕集装置及び益虫捕集方法は、ギフアブラバチの他に、アブラムシ類の寄生蜂であるダイコンアブラバチ、ワタアブラバチ、ニホンアブラバチ、ナケルクロアブラバチ等にも適用できる。
1,1a,1b:益虫捕集装置
2:透光性の側面
4,4’:本体部
6:一方の開口端
8,8’:開口捕集部
10:着色体
10’:着色プレート
10”:光源
12:他方の開口端
14:排出部
20:栽培施設
22:壁面
24:ファン
P:農産物
Q:寄主植物
X:益虫
Y:害虫
Z:第二の虫

Claims (13)

  1. 害虫(Y)に対する益虫(X)を捕集するための益虫捕集装置(1)であって、
    少なくとも側面(2)の一部を透光性とした中空状の本体部(4)と、
    前記本体部(4)の一方の端縁(6)と連通され、前記益虫(X)を前記本体部(4)内へ案内するために形成された開口捕集部(8)と、
    前記本体部(4)に内蔵され、前記益虫(X)に対する誘引性を示す波長の光を、前記透光性の側面(2)を通じて外部に発することが可能な着色体(10)と、
    前記本体部(4)の他方の開口端(12)と連通され、捕集された前記益虫(X)を前記本体部(4)外へ案内する排出部(14)と
    を備えることを特徴とする益虫捕集装置。
  2. 請求項1に記載の益虫捕集装置であって、
    前記着色体(10)のピーク波長を、450nm〜550nmとすることを特徴とする益虫捕集装置。
  3. 請求項1又は2に記載の益虫捕集装置であって、さらに、
    前記益虫(X)の寄主の匂いを発生させる匂い発生部(26)を備えることを特徴とする益虫捕集装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一に記載の益虫捕集装置であって、
    前記益虫(X)の寄主となる、前記害虫(Y)とは異なる第二の虫(Z)が食する植物であって、かつ該害虫(Y)から保護したい農作物(P)とは異なる寄主植物(Q)を前記排出部(14)の近傍に配置してなることを特徴とする益虫捕集装置。
  5. 請求項4に記載の益虫捕集装置であって、
    前記寄主植物(Q)が、ムギ類であることを特徴とする益虫捕集装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか一に記載の益虫捕集装置であって、
    前記益虫(X)がギフアブラバチであることを特徴とする益虫捕集装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか一に記載の益虫捕集装置であって、
    前記害虫(Y)がアブラムシ類であることを特徴とする益虫捕集装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか一に記載の益虫捕集装置であって、
    前記透光性の側面(2)が、メッシュで構成されてなることを特徴とする益虫捕集装置。
  9. 請求項1〜7のいずれか一に記載の益虫捕集装置であって、
    前記透光性の側面(2)が、透明な樹脂で構成されてなることを特徴とする益虫捕集装置。
  10. 請求項1〜9のいずれか一に記載の益虫捕集装置であって、
    前記着色体(10)が半導体発光素子であることを特徴とする益虫捕集装置。
  11. 請求項1〜10のいずれか一に記載の益虫捕集装置であって、
    前記着色体(10)が発光ダイオードであることを特徴とする益虫捕集装置。
  12. 請求項1〜9のいずれか一に記載の益虫捕集装置であって、
    前記着色体(10')が、前記益虫(X)に対する誘引性を示す波長の色に着色された着色プレートであることを特徴とする益虫捕集装置。
  13. 請求項1〜9のいずれか一に記載の益虫捕集装置であって、
    前記着色体(10')が、前記益虫(X)に対する誘引性を示す波長の光を発する光源(10")によって着色された着色プレートであることを特徴とする益虫捕集装置。
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