JP5294326B2 - 光を利用したハダニ防除方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光を利用したハダニ防除方法に関する。
イチゴ栽培において、複数の害虫が問題となるが、最も問題となるのがハダニ類である。ハダニ類を駆除する一般的な方法は、化学的に合成された殺ダニ剤(以下、単に殺ダニ剤という)を使用することであるが、ハダニ類は繁殖力が強く世代交代の期間が短いこともあり、殺ダニ剤に対する薬剤耐性がつきやすいので、殺ダニ剤のみによる防除は困難になっている。
近年、食の安全・安心に対するニーズから無農薬・減農薬に対するニーズが高まっていること、および、上記のごとく殺ダニ剤のみによる防除が困難となっていることもあり、ハダニ類を駆除する方法として、殺ダニ剤に代えて、ハダニ類の天敵昆虫を利用することが行われている。具体的には、生物農薬として販売されているハダニ類の天敵昆虫を圃場に散布し、天敵昆虫にハダニ類を捕食させることによって、ハダニ類を駆除する方法が試みられている。
しかるに、上記のごとき天敵昆虫を利用したハダニ類の駆除は、その効果を持続させることが難しいという問題がある。
多くの天敵昆虫は、餌となるハダニ類がいなくなると、圃場内で生存することができなくなる。つまり、散布した天敵昆虫は死滅してしまうか、餌となるハダニ類を求めて圃場の外に移動していってしまう。すると、圃場の作物に再びハダニ類が発生すると、前回散布した天敵昆虫によるハダニ防除効果は得られないので、天敵昆虫を再度圃場に散布しなければならない。しかも、生物農薬は高価であり、ハダニ類が発生する度に生物農薬を散布しなければならないとすると、作物の生産コストが高くなるという問題も生じる。
上記のごとき問題を解決する方法が、特許文献1に開示されている。
特許文献1には、天敵害虫を圃場内に留めておくために、ハダニ類の天敵害虫が生息可能な場所を圃場内に設ける技術が開示されている。具体的には、藁やフスマ塊などによって形成された天敵害虫の生息できる環境を圃場周囲の溝部などに設け、その藁等に天敵害虫の代替餌を生息させることによって、天敵害虫を圃場に留める技術である。かかる環境を設けておけば、作物からハダニ類がいなくなっても、代替餌が存在する藁等に天敵害虫を留めておくことができる。言い換えれば、作物からハダニ類がいなくなっても、天敵害虫が死滅したり圃場外に移動したりすることを防ぐことができるのである。
しかるに、特許文献1の技術を採用すれば、天敵害虫が圃場外に移動することは防ぐことができるものの、ハダニが存在しない期間も、天敵害虫が生息できる環境を整えておかなければならないので、非常に手間である。
また、天敵害虫を圃場内に留めておくことができたとしても、藁等に代替餌が生息していれば、作物にハダニが発生しても、天敵害虫が藁から作物に移動するとは限らない。また、藁等に代替餌がいれば、藁等から所望の場所(ハダニが生息している作物)に天敵害虫を誘引することも困難になる。
特開2006−158348号公報
本発明は上記事情に鑑み、天敵害虫であるカブリダニを効果的にハダニ駆除に使用することができる光を利用したハダニ防除方法を提供することを目的とする。
第1発明の光を利用したハダニ防除方法は、作物に生息するハダニを駆除する方法であって、青色光より長波長の光を作物に照射して、該作物にカブリダニを誘引することを特徴とする。
第2発明の光を利用したハダニ防除方法は、第1発明において、作物に照射する光は、青色光より長波長の光の光量子量が、10μmol/m2/s以上であることを特徴とする。
第3発明の光を利用したハダニ防除方法は、第1または第2発明において、作物に照射する光の波長が、470nm〜960nmであることを特徴とする。
第4発明の光を利用したハダニ防除方法は、第1、第2または第3発明において、作物に照射する光の波長が、ミヤコカブリダニの誘引に適した波長の光であることを特徴とする。
第5発明の光を利用したハダニ防除方法は、第1または第2発明において、作物に照射する光が、遠赤色光であることを特徴とする。
第1発明によれば、ハダニが生息している作物に青色光より長波長の光を照射すれば、その作物にハダニの天敵害虫であるカブリダニを誘引することができるから、カブリダニを効果的にハダニ駆除に使用することができる。しかも、作物に光を照射するだけよいので、設備の管理も容易である。そして、圃場の周囲には天然のカブリダニが存在しているから、必要なときにカブリダニを作物に集めることができる。すると、カブリダニを生息させるための特別な環境を圃場内に設けなくてもよいし、生物農薬を使用しなくてもよくなる。そして、生物農薬を使用する場合でも生物農薬の使用量を抑えることができるから、ハダニ駆除にかかるコストを抑えることができる。
第2発明によれば、カブリダニを誘引する効果を高くすることできるので、ハダニ駆除効果を高くすることができる。
第3発明によれば、カブリダニを誘引する効果を高くすることできるので、ハダニ駆除効果を高くすることができる。
第4発明によれば、ミヤコカブリダニは定着性が高いので、ハダニ駆除効果をより高くすることができる。とくに、夏秋期作において、ハダニの駆除効果を高くすることができる。
第5発明によれば、可視光の照射が作物に与える影響を排除しつつ、ハダニの駆除効果を高く保つことができる。
実施例1の実験装置の概略説明図であり、(A)は断面図であり、(B)は(A)のB−B線矢視図である。 実施例2の実験装置の概略説明図であり、(A)は断面図であり、(B)は(A)のB−B線矢視図である。 赤、緑、青の光の誘引効果実験の結果である。 赤、緑、青の光の誘引効果実験の結果である。 黄色光、遠赤色光等による誘引効果実験の結果である。 誘引効果比較実験の結果である。 実施例において使用したLEDの波長別光エネルギー比率の測定結果である。
本発明は、作物に生息するハダニを駆除するハダニ防除方法であって、ハダニの天敵害虫であるカブリダニを利用してハダニを駆除する方法である。具体的には、ハダニの天敵害虫であるカブリダニをハダニが存在する場所に誘引して、ハダニを捕食させる方法である。
本発明のハダニ防除方法では、光を利用してカブリダニを誘引することに特徴を有している。具体的には、青色光より長波長の光(以下、誘引光という)を作物に対して照射することによって、誘引光が照射されている領域にカブリダニを誘引するのである。
カブリダニは、目を有しないため光に反応する性質を有しているとは考えられていなかったのであるが、本発明者らは、ハダニが上記のごとき誘引光に反応し誘引される性質を発見し、この性質を利用して本発明を完成したのである。
上記のごとき本発明のハダニ防除方法を採用して、ハダニが生息している作物、つまり、ハダニを駆除したい作物に誘引光を照射すれば、その作物にカブリダニを誘引することができるから、誘引されたカブリダニによってハダニを駆除することができる。
とくに、作物においてハダニが生息している領域に集中的に誘引光を照射すれば、かかる領域に効果的にカブリダニを誘引できるから、ハダニ駆除の効率を良くすることができる。
しかも、本発明のハダニ防除方法の場合、作物に誘引光を照射するだけであるから、ハダニ駆除のための設備を簡素化できるし、その設備の管理も容易になる。例えば、誘引光を作物に照射するためのLED光源や蛍光灯等を圃場に設けるだけでよいので、特別な設備を設ける必要がないし、既存の設備を利用することも可能である。
また、圃場の周囲には天然のカブリダニが存在しており、誘引光を照射すれば、誘引光が照射された作物に天然のカブリダニを集めることができる。すると、ハダニ駆除に十分な量の天然のカブリダニを作物に誘引できるのであれば、カブリダニを生息させるための特別な環境を圃場内に設けなくてもよいし、生物農薬を全く使用しなくてもよくなるので、駆除にかかるコストを抑えることができる。
たとえハダニ駆除に十分な量の天然のカブリダニが誘引できない場合でも、不足する量だけ生物農薬を散布すればよくなるし、散布したカブリダニを効果的にハダニが存在する場所に誘引できる。すると、生物農薬の使用量を少なくできるので、生物農薬を使用してもハダニ駆除にかかるコストを抑えることができる。
(誘引光について)
誘引光は、青色光より長波長の光(約470nm以上)であればよいが、誘引光に緑色光が含まれていれば、カブリダニ誘引によるハダニ駆除に加えて、ハダニ駆除以外の病原防除効果も得ることができるので、好適である。
とくに、誘引光は、その波長が470nm〜960nmがより好ましい。掛かる範囲であれば、青色光によるニカメイガ等の害虫の誘引を防止できかつイチゴ等の電照代替の効果を得ることができる。
しかも、上記波長(470nm〜960nm)の誘引光を作物に照射した場合には、ミヤコカブリダニを作物に効果的に誘引することができるから、ミヤコカブリダニによるハダニ防除を効果的に行うことができる。ミヤコカブリダニはカブリダニの中では定着性が高いので、ハダニの駆除効果をより高くすることができる。また、低温期のミヤコカブリダニの移動が緩慢な時期においても、誘引光を用いることでハダニの防除効果を高くすることができる。
また、誘引光の強度は、作物に照射する誘引光の光量子量が、10μmol/m2/s以上であることが好ましく、20μmol/m2/s以上がより好ましい。10μmol/m2/s以上であっても、カブリダニを誘引する効果を得ることはできるが、20μmol/m2/s以上とすると、誘引光が照射されている領域に誘引できるハダニの量を多くでき、また、迅速にハダニを誘引することができるので、好適である。
なお、誘引光の光量子量とは、誘引光の総光量子量、つまり、青色光より長波長の光の合計光量子量を意味しているが、470nm〜960nmの波長の合計光量子量が10μmol/m2/s以上、好ましくは20μmol/m2/s以上であることが、ハダニを誘引する効果を高める上では、より好ましい。さらに、緑色(470nm〜640nm)の光の合計光量子量、赤色(590〜720nm)の光の合計光量子量の両方、または、一方の光の合計光量子量が10μmol/m2/s以上、好ましくは20μmol/m2/s以上であれば、ハダニを誘引する効果をさらに高くすることができる。
以下の実施例では、上述した誘引光よるカブリダニ誘引効果を確認した。
(緑色光による誘引効果の実験)
ミヤコカブリダニが緑色光に対して誘引されるか否かを確認した。
(1)実験方法
実験では、図1に示すような実験装置を用いて、緑色光を照射した領域と、緑色光を照射しない領域とを設け、両領域間を自由にカブリダニが行き来できるようにした状態で、緑色光を2時間照射した後、両領域に存在するカブリダニ数を調査した。
具体的な実験方法は以下のとおりである。
まず、シャーレSに、湿らせた脱脂綿Cをしき、その上に2cm角の2枚のインゲンマメ葉片LF2,LF3を3cm間隔で設置し、その間に1cm角のインゲンマメ葉片LF1を1枚設置した。1cm角の葉片LF1上にミヤコカブリダニ成虫を5頭導入し、その後、1cm角の葉片LF1と、その両側の2cm角の葉片LF2,LF3にパラフィルムで作った橋B(15×5mm)をそれぞれ渡してミヤコカブリダニが移動できるようにして、片方の2cm角の葉片LF2にのみ光源LS(緑色LED)から緑色光(160μmol/m2/s)を照射した。そして、緑色光を2時間照射した後、双方の2cm角葉片LF2,LF3上にいるカブリダニ数を調査した。
本実施例では、上記実験を3回行っており、各実験につき6組(カブリダニ30頭)同時に実施した。
シャーレSには、光源LSからの緑色光が、他方の2cm角の葉片LF3に照射されないようについたてTを配置した。ついたてTにはその下端に切り欠きThを設けており、この切り欠き部分に1cm角葉片LF1が位置するように、ついたてTを配置している。このため、ついたてTの切り欠きThを通って、緑色光が照射されている2cm角の葉片LF2と緑色光が照射されていない2cm角の葉片LF3との間をカブリダニが自由に行き来できるのである。
なお、実験は実験室内(25℃)にて行っているが、室内の光強度は4.3μmol/m2/sであり、緑色光が照射されない側にも、この強度の蛍光灯の光は照射されていた。
(2)実験結果
つぎに、実験結果を説明する。
すべての結果を合計したところ、供試された90頭のハダニのうち、57頭が緑色光照射側の葉片LF2へ移動し、15頭は無照射側の葉片LF3へ移動し、残り19頭はどちらへも移動しなかった。
緑色光照射側の葉片LF2にいたハダニ数と、無照射側の葉片LF3にいたハダニ数を比較すると有意な差があった(二項検定; p<0.0001)ことから、カブリダニは葉片LF2に直接照射された緑色光に誘引されて、葉片LF2に移動したと考えられる。
以上の結果から、緑色光を照射することによってハダニの天敵であるカブリダニを誘引できるので、緑色光の作物への照射を、ハダニ防除に利用できることが確認できた。
(その他の光による誘引効果および誘引効果に与える光強度の影響の実験)
実施例1において、ミヤコカブリダニは緑色光に誘引され緑色光がハダニ防除に利用できる可能性が示されたので、実施例2では、緑色以外の光について、ミヤコカブリダニを誘引する効果を確認するとともに、各光について光強度が誘引効果に与える影響を確認した。
(1)赤、緑、青の光の誘引効果実験
この実験では、図2に示すような実験装置を用いて、光を照射した領域と、光を照射しない領域とを設け、両領域間を自由にカブリダニが行き来できるようにした状態で、光を2時間照射した後、両領域に存在するカブリダニ数を調査した。
光の照射は、赤、緑、青の3色のLEDを用いて行い、それぞれについて光強度を、10,20,40μmol/m2/sの3段階に変化させて実験をおこなった。
なお、図7に示すように、各LEDが放射する光を波長別光エネルギー分析装置(Li-cor社製 LI-1800))を用いて測定したところ、赤色(590 nm〜720nm、ピーク波長 660nm)、緑色(470 nm〜640nm、ピーク波長 530nm)、青色(410 nm〜570nm、ピーク波長 470nm)であった。
(i)実験方法
具体的な実験方法は以下のとおりである。
まず、角形プラスチックシャーレS(14×10cm)に、湿らせた脱脂綿Cをしき、その上に5×90mmの細長いパラフィルム片Pを10本設置した。パラフィルム片Pには30mmごとに線を引き、3等分に区分けした。その上で、各パラフィルム片P上の中央の区画に1頭ずつ、計10頭のミヤコカブリダニ成虫を導入した。導入後、3区画のうち片側の端の区画(図2では左側の区画)の真上から光源LS(LED)にて光を照射した。そして、光を2時間照射した後、パラフィルム片P上の3つの区画(光照射区画LA、無照射区画DA、中央区画CA)のどこにカブリダニが存在するかを記録した。
本実施例では、すべての光の色、強度について、上記実験を2回行っており、各実験につき2組(カブリダニ20頭)同時に実施した。
実験では、3区画中、中央区画CSにて記録された個体数は、無反応個体として除外したうえで、光照射区画LA、無照射区画DAにて記録された個体に対して、二項検定を用いた統計的検定による評価も行っている。
なお、シャーレSには、光源LSからの光が、無照射区画DAに照射されないようについたてTを配置した。ついたてTにはその下端に切り欠きThを設けており、この切り欠きTh部分に中央区画CAが位置するように、ついたてTを配置している。このため、切り欠きThを通って、パラフィルム片P上をカブリダニが自由に行き来できるのである。
また、照射中はシャーレSと光源LSを箱CVで覆い、外からの光が入らないようにした。これにより、無照射側DAでの光強度は、すべての光の色、強度段階において0.1μmol/m2/s以下であった(ごくわずかに隙間を通って光源LSの光が入り込むため、全くの暗黒ではない)。
(ii)実験結果
(光照射時間の検証)
カブリダニは、パラフィルム片P上に導入されると活発に動き回り、10秒程で90mmの全長を端から端まで移動するほどであった。このため、パラフィルム片Pの中央区画CAにカブリダニを導入したが、実験開始時には中央区画CAにとどまっているとは限らなかった。2時間の照射実験中、照射開始30分では依然として多くの個体が活発に動いていたが、1時間後、1時間半後に観察すると徐々に動いている個体の割合は減り、2時間後にはほとんどの個体がパラフィルム片P上のある地点にて活動を休止していた。
よって、照射2時間後の調査は、カブリダニの光に対する選好性、あるいは忌避を検討するのに適当であったと考えられた。
(誘引効果実験結果)
結果を図3および図4に示す。
まず、図3に示すように、青色光を照射した実験では、3段階のすべてにおいて光照射区画LAと無照射区画DAの個体数に有意な差は見られなかった。
一方、緑色光を照射した実験では、10μmol/m2/sの場合、二項検定による評価では有意差が見られなかったが、光照射区画LAに集まる個体数が最も多かった。20,40μmol/m2/sの場合には、光照射区画LAに集まる個体数が最も多く、しかも、二項検定による評価においても有意に光照射区画LAの個体数が多かった。
また、赤色光を照射した実験においても緑色光と同様に、10μmol/m2/sでは二項検定による評価では有意差が見られないものの光照射区画LAに集まる個体数が最も多く、20,40μmol/m2/sでは有意に光照射区画LAの個体数が多かった。
以上より、青色光にはカブリダニの誘引効果が認められないが、緑色光と同様に赤色光でもカブリダニの誘引効果が認められることが確認できた。
また、緑色光および赤色光において、光量子量が増加するほど、カブリダニの誘引効果が向上することも確認できた。
(2)黄色光、遠赤色光等による誘引効果実験
上記(1)と同様の方法にて、黄色光(波長域530 nm〜650nm、ピーク波長 595nm(図7参照))、遠赤色光(波長域650 nm〜960nm、ピーク波長 740nm(図7参照))についてもカブリダニ誘引実験をおこなった。ただし、黄色LED、遠赤色LEDは出力が弱く、10μmol/m2/s間での強度しか得られなかったため、光強度は10μmol/m2/sの1段階のみおこなった。
結果を図5に示す。
図5に示すように、黄色光、遠赤外光の場合、光量子量が10μmol/m2/sであるにもかかわらず、カブリダニが光照射区画LAに有意に誘引され、黄色光、遠赤外光にもカブリダニの誘引効果が認められることが確認できた。
(3)誘引効果比較実験
カブリダニに対し、緑色光とその他の光が近距離にて同時に存在する場合、カブリダニがどちらを選択するかについて、上記(1)の実験と同様の方法で実験をおこなった。
上記(1)の実験からの変更点は、光の照射法のみである。上記(1)の実験では、片側にのみ光源LSから光を照射し、もう片側は暗黒条件であったが、本実験においては、片側には光源LSから緑色光を光強度40μmol/m2/sにて照射し、もう片側には、図示しない光源(LED)から赤色光または青色光を光強度40μmol/m2/sにて照射した。
結果を図6に示す。
図6に示すように、カブリダニは、緑色光と赤色光を選択させた場合、緑色光に15頭、赤色光に16頭誘引され、両者に差は見られなかった。このとき、中央区画CAにて観察された無反応個体は9頭であった。
一方、緑色光と青色光を選択させた場合は、緑色光に24頭、青色光に3頭誘引され、緑色光照射区にて有意に多い個体数が観察された。このとき、中央区画CAにて観察された無反応個体は12頭であった。
以上のごとく、緑色光と赤色光とではカブリダニの誘引効果に差はないが、緑色光は青色光よりもカブリダニの誘引効果が強いことが確認できるから、カブリダニは、青色光より長波長の光に誘引されることが確認できる。
(まとめ)
以上の(1)〜(3)の実験結果より、カブリダニは、青色光には誘引もされず忌避もしないが、青色光より長波長である、緑色光や赤色光、黄色光、遠赤色光には誘引されることが確認できる。
しかも、(1)〜(3)の実験では、植物を使用していないため、カブリダニが直接的に光自体に誘引されたと考えられる。したがって、青色光より長波長の光には、光自体にカブリダニを誘引する効果があることが確認できる。
なお、上記実験では、黄色光、遠赤外光では、緑色光や赤色光よりも低強度の光に対してもカブリダニが反応しているので、光量子量を多くすることにより障害が生じる可能性がある場合などには、黄色光、遠赤外光を使用することが好ましいと考えられる。
また、イチゴやキクなどのように夜間の可視光(青色〜赤色)照射が開花反応に影響を与える作物の場合、開花時期において、夜間に緑色光や赤色光を使用すると、カブリダニの誘引はできるものの、イチゴやキクなどの開花反応に悪影響を与える可能性がある。しかし、開花時期における夜間の誘引光として遠赤色光を使用すれば、開花反応に影響を与えないので、好適である。そして、各作物について、可視光の照射が作物に与える影響を排除したい場合には、カブリダニの誘引に遠赤外光を照射することが有効な方策となり得る。
本発明の光を利用したハダニ防除方法は、イチゴやきゅうり、インゲンなどにおけるハダニ駆除に適している。
S シャーレ
C 脱脂綿
LS 光源
LF 葉片
P フィルム片
LA 照射区
CA 中央区
DA 無照射区
B 橋
T ついたて
CV 箱

Claims (5)

  1. 作物に生息するハダニを駆除する方法であって、
    青色光より長波長の光を作物に照射して、該作物にカブリダニを誘引する
    ことを特徴とする光を利用したハダニ防除方法。
  2. 作物に照射する光は、
    青色光より長波長の光の光量子量が、10μmol/m2/s以上である
    ことを特徴とする請求項1記載の光を利用したハダニ防除方法。
  3. 作物に照射する光の波長が、470nm〜960nmである
    ことを特徴とする請求項1または2記載の光を利用したハダニ防除方法。
  4. 作物に照射する光の波長が、ミヤコカブリダニの誘引に適した波長の光である
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載の光を利用したハダニ防除方法。
  5. 作物に照射する光が、遠赤色光である
    ことを特徴とする請求項1または2記載の光を利用したハダニ防除方法。
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