JP6908274B2 - 捕食性昆虫の誘引又は定着方法 - Google Patents

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Description

本発明は、捕食性昆虫を誘引又は定着させる方法、当該方法を用いた害虫の除去方法、及び捕食性昆虫の誘引用又は定着用の装置に関する。より詳細には、本発明は、特定の可視光線の照射を利用した捕食性昆虫の誘引又は定着方法、当該方法を用いた害虫の除去方法、及び前記可視光線の照射手段を備えた捕食性昆虫の誘引用又は定着用の装置に関する。
1950年代から増大した農薬使用に伴って、次々と新たな抵抗性を備えた害虫個体が現れている。ネオニコチノイド耐性のワタアブラムシAphis gossypii Gloveや、チャノキイロアザミウマScirtothrips dorsalis Hoodの突然変異によるフェンプロパトリン水和剤抵抗性の獲得などは、その具体的な例であり、対策が求められている。また抵抗性発達の他にも、化学農薬の多用による消費者と生産者の健康への悪影響が危惧されている。これらを解決する方法のひとつに天敵昆虫を用いた生物的防除があり、その地域に生息している土着天敵の利用が期待されている(非特許文献1)。
ヒメハナカメムシ類Orius spp.は、微小昆虫を捕食する体長2mm程の捕食性昆虫であり、世界的には熱帯から温帯域を中心に広く分布する。日本には、ナミヒメハナカメムシOrius sauteri(Poppius)、タイリクヒメハナカメムシO. strigicollis(Poppius)、コヒメハナカメムシO. minutus(Linnaeus)、ツヤヒメハナカメムシO. nagaii Yasunaga、ミナミヒメハナカメムシO. tantillus(Motschulsky)等が分布している(非特許文献2〜4)。タイリクヒメハナカメムシは生物農薬として既に製品化され、主に施設栽培圃場で使用されている。タイリクヒメハナカメムシの分布が日本の南西地域に偏っているのに対し、ナミヒメハナカメムシは全国に分布することから、タイリクヒメハナカメムシが生息していない地域での土着天敵として利用が期待される。ナミヒメハナカメムシは、果菜類の害虫であるミナミキイロアザミウマThrips palmi Karny(非特許文献5)やアブラムシ類(非特許文献6)を捕食し、生物農薬として販売されたこともあるが現在は市販されていない。ナミヒメハナカメムシの定着率を高め、効果を長続きさせるために、バンカープランツやインセクタリープランツの導入が試みられている(非特許文献7)。
また、ヤドリバエは、ハエ目ヤドリバエ科(Tachinidae)に分類され、捕食寄生性という生活史を有する。ヤドリバエは、生活史の大半を他種に寄生して過ごし、最終的には寄主を食い殺すという様式をとる。ヤドリバエの一種としてブランコヤドリバエExorista japonicaが知られており、本種の雌は交尾後、鱗翅目の幼虫(寄主)体表へ産卵し、ハエの幼虫は孵化後、寄主体内へ潜り込む。ハエの幼虫は、寄主の組織を摂食しながら成長し、蛹になる頃には、寄主を完全に殺してしまう。ブランコヤドリバエが寄主とする鱗翅目昆虫の範囲は広く、それ故に、天敵昆虫としての利用が期待されている。
一般に、昆虫は、光に集まったり、忌避したりする性質が知られている。この性質を利用することで光を用いて昆虫の移動又は拡散を制御することができる(非特許文献8、9)。例えば、ヌカカCulicoides属は紫外線を利用したライトトラップが(非特許文献10)、ミカンキジラミDiaphorina citri Kuwayamaは黄色の粘着トラップ(非特許文献11)が捕集に有効であるとされており、波長カットフィルムで近紫外線を遮断したハウスなどは、アザミウマが侵入及び拡散しにくいため(非特許文献12)、害虫制御の方法として既に実用化されている。
これらの前例はいずれも害虫自体の捕集又は防止を対象としているが、その一方で、害虫の天敵昆虫についても光を用いた行動制御法が期待されている。これまでには、例えば、ハダニの天敵であるカブリダニを誘引して防除する方法が報告されている(特許文献1)。しかしながら、現状では天敵昆虫の光反応性を調べた研究はあまり行われていない(非特許文献13)。上述したヒメハナカメムシやヤドリバエについても、その光反応性が調べられた報告は未だ行われていない。
特許第5294326号
野田隆志 (2003) 植物防疫57: 524-529. Yasunaga, T. (1997) Appl. Entomol. Zool. 32: 355-364. Yasunaga, T. (1997) Appl. Entomol. Zool. 32: 379-386. Yasunaga, T. (1997) Appl. Entomol. Zool. 32: 387-394. Nagai, K. et al. (2000) Appl. Entomol. Zool. 35: 565-574. Nakata, T (1994) Appl. Entomol. Zool. 29: 614-616. 永井一哉ら (2012) 応動昆56: 57-64. Johansen, N. S. et al., (2011) Ann. Appl. Biol. 159: 1-27. Shimoda, M. et al., (2013) Appl. Entomol. Zool. 48: 413-421. 梁瀬徹ら (2014) 応動昆58: 127-132. 上地奈美ら (2014) 応動昆58: 119-125. 太田泉ら (2014) 応動昆58: 303-312. Chen, Z. et al., (2012) Biocont. Sci. Technol. 22: 271-279.
上述したように、捕食性昆虫の農業現場への普及を図るためには、栽培施設や圃場への誘引又は定着技術の確立が不可欠であるが、現状ではバンカー法以外に有効な手段がない。しかしながら、バンカー法では害虫天敵を維持するためのバンカープランツ(バンカー植物)を農産物と同時に栽培させる必要があり、手間と栽培場所確保との観点から必ずしも効果的な害虫防除方法であるとは言えない。
本発明は、上記の問題点等に鑑みてなされたものであり、その目的は、効果的に捕食性昆虫を誘引又は定着させる技術を提供することであり、また、その上で捕食性昆虫が捕食可能な害虫を効果的に除去する手段を提供することである。
課題を解決しようとする手段
本発明者は、捕食性昆虫を誘引又は定着させる上で昆虫の走光性に着目し、試験用の装置開発等を行いながら捕食性昆虫の波長選好性を調査した。その結果、これまでには報告されていなかった特定の波長領域にピークを有する可視光線(具体的には、紫色光)の照射が捕食性昆虫の誘引又は定着に有効であることを見出した。かかる知見に基づき、本発明者は、本発明を完成するに至った。
本発明は、好ましくは以下に記載するような態様により行われるが、これに限定されるものではない。
[態様1]紫色光を照射する工程を含む、捕食性昆虫の誘引又は定着方法。
[態様2]紫色光が、385〜425nm又は405nmの波長の光である、態様1に記載の方法。
[態様3]紫色光が発光ダイオードによって照射される、態様1又は2に記載の方法。
[態様4]以下の(i)又は(ii)の態様で紫色光を照射する、態様1〜3のいずれかに記載の方法:
(i)紫色光を農産物に対して照射する、又は
(ii)紫色光を農産物の近傍から該農産物の外側に向けて照射する。
[態様5]紫色光の光源を用いて捕食性昆虫を誘引又は定着させる、態様1〜4のいずれかに記載の方法。
[態様6]捕食性昆虫を農産物に誘引又は定着させる、態様1〜5のいずれかに記載の方法。
[態様7]捕食性昆虫が捕食性カメムシ又はヤドリバエである、態様1〜6のいずれかに記載の方法。
[態様8]捕食性カメムシが、ナミヒメハナカメムシ、タイリクヒメハナカメムシ、コヒメハナカメムシ、ツヤヒメハナカメムシ又はミナミヒメハナカメムシである、態様7に記載の方法。
[態様9]ヤドリバエが、ブランコヤドリバエ(Exorista japonica)、ヨトウクロヤドリバエ、マメコガネヤドリバエ、マガタマハリバエ、エゾシロヤドリバエ、トガリハリバエ、ミノムシヤドリバエ又はカイコノウジバエである、態様7に記載の方法。
[態様10]紫外光を遮断して紫色光を照射する、態様1〜9のいずれかに記載の方法。
[態様11]紫外光が、365nm以下の波長の光である、態様10に記載の方法。
[態様12]態様1〜11のいずれかに記載の方法を用いて捕食性昆虫を誘引又は定着する工程を含む、害虫の除去方法。
[態様13]害虫が、農産物に対する害虫である、態様12に記載の方法。
[態様14]紫色光を照射する手段を備えた、捕食性昆虫の誘引用又は定着用装置。
[態様15]紫色光を照射する手段を備えた、害虫の除去用装置。
本発明によれば、効果的に捕食性昆虫を誘引又は定着させることができ、例えば、バンカー法にて必要とされるバンカープランツの栽培の手間や場所等を削減することができる。また、昆虫の多くは黄色光等の可視光線や紫外線に誘引されることから、本発明で提供する技術を利用することにより、捕食性カメムシやヤドリバエ等の捕食性昆虫を選択的に誘引又は定着させることが可能となる。
また、本発明では、捕食性昆虫の誘引又は定着により捕食性昆虫が捕食可能な害虫を効果的に防除することができる。さらに本発明では、これらの方法に基づいて、捕食性昆虫の誘引用又は定着用装置、及び捕食性昆虫が捕食可能な害虫の除去用装置を提供することもできる。
図1は、ナミヒメハナカメムシの波長選択性の調査において使用した12角形のアリーナを示す図である。アリーナは、2枚の透明なアクリル板(天井板・床板)と黒い半円形のスペーサー(仕切り板)で構成され、天上板と床板の2つの板に挟まれた空間に供試虫が放されている。床板には濾紙が敷かれている。床板中央の穴に連結されたプラスチックチューブ内に供試虫が置かれ、供試虫が自発的にアリーナ上に登るように設計されている。光源として発光ダイオード(LED)が用いられ、アリーナ側面に1辺おきにLEDが設置されている。 図2は、ナミヒメハナカメムシの光源への移動を示す図である。ナミヒメハナカメムシの移動はアリーナの中央から開始し、その移動の様子が実線で表されている。LEDのうち、UVは紫外光、Vは紫色光、Bは青色光、Gは緑色光、Oは橙色光、Rは赤色光を表している。 図3は、ナミヒメハナカメムシの未交尾個体に関して、各種LEDに誘引された虫の割合を示す図である。(A)は雄について(120個体のうち44個体がプラスチックチューブ内に残存)、(B)は雌について(130個体のうち59個体がプラスチックチューブ内に残存)の結果を示す。グラフの縦軸は誘引された虫の割合(%)を示し、グラフ中の棒は平均値と標準誤差(SE)とを示す。グラフ中の棒の上部に同一のアルファベット小文字が示されている場合は、ANOVA後のTukey−Kramer HSD testにおいて有意差(α=0.05)がないことを示す。 図4は、ナミヒメハナカメムシの交尾個体に関して、各種LEDに誘引された虫の割合を示す図である。(A)は雄について(70個体のうち19個体がプラスチックチューブ内に残存)、(B)は雌について(70個体のうち26個体がプラスチックチューブ内に残存)の結果を示す。グラフの縦軸は誘引された虫の割合(%)を示し、グラフ中の棒は平均値と標準誤差(SE)とを示す。グラフ中の棒の上部に同一のアルファベット小文字が示されている場合は、ANOVA後のTukey−Kramer HSD testにおいて有意差(α=0.05)がないことを示す。 図5は、ナミヒメハナカメムシの交尾個体に関して、紫外光を白色光に置き換えた(紫外光を遮断した)条件下で各種LEDに誘引された虫の割合を示す図である。(A)は雄について、(B)は雌についての結果を示す。グラフの縦軸は誘引された虫の割合(%)を示し、グラフ中の棒は平均値と標準誤差(SE)とを示す。 図6は、ナミヒメハナカメムシの各種LEDからの離脱率を示す図である。(A)は未交尾個体の雄について、(B)は未交尾個体の雌について、(C)は交尾個体の雄について、(D)は交尾個体の雌についての結果を示す。いずれのグラフも、横軸はナミヒメハナカメムシの離脱率(%)を示す。 図7は、図3、4で示された結果と図6で示された結果とをまとめた図である。(A)は未交尾個体の雄について、(B)は未交尾個体の雌について、(C)は交尾個体の雄について、(D)は交尾個体の雌についての結果を示す。棒グラフは、図3、4で示されている各種LEDに誘引されたナミヒメハナカメムシの割合(%)を示し、折れ線グラフは、図6で示されているナミヒメハナカメムシの各種LEDからの離脱率(%)を示す。グラフの縦軸はいずれも誘引されたナミヒメハナカメムシの割合(%)及びナミヒメハナカメムシの離脱率(%)を示す。また、グラフの横軸はいずれも各種LEDの波長(nm)を示し、左から順に紫外光、紫色光、青色光、緑色光、橙色光、赤色光を表している。 図8は、ナミヒメハナカメムシのマンネングサへの定着率を示す図である。左側のグラフは雌の結果を、右側のグラフは雄の結果をそれぞれ示す。グラフの縦軸はいずれも、マンネングサに定着したナミヒメハナカメムシの個体数を示す。また、グラフの横軸はいずれもLEDの種類を示し、UVは紫外光、VLは紫色光、BLは青色光、GRは緑色光を表す。 図9は、光受容遺伝子試験における電気泳動の結果を示す図である。各レーンに記載の数値は、各種プライマーを用いてPCR増幅した遺伝子のおおよその塩基長を示す。 図10は、ナミヒメハナカメムシから同定されたクリプトクロム(CRY)及びオプシンUV(opsin UV)の塩基配列を示す図である。上段がクリプトクロム(CRY)の塩基配列、下段がオプシンUV(opsin UV)の塩基配列を示す。 図11は、光受容遺伝子の解析に使用したプライマーを示す図である。 図12は、ブランコヤドリバエの波長選好性(各種LEDに誘引された虫の割合)を示す図である。(a)は未交尾個体の雄について、(b)は交尾個体の雄について、(c)は未交尾個体の雌について、(d)は交尾個体の雌についての結果を示す(各区n=50)。グラフの縦軸は誘引された虫の割合を示し、グラフ中の棒は平均値を示す。グラフの横軸はLEDの色の種類を示し、UVは紫外光、VLは紫色光、BLは青色光、GRは緑色光、ORは橙色光、Rは赤色光をそれぞれ表している。
(1)捕食性昆虫の誘引又は定着方法
本発明は、捕食性昆虫の誘引又は定着方法を提供するものであり、具体的には、紫色光を照射する工程を含む、捕食性昆虫の誘引又は定着方法を提供する。
本発明において捕食性昆虫の誘引とは、当初目的とする場所には存在していなかった捕食性昆虫を、その周囲から誘い寄せることを意味する。捕食性昆虫を誘引する時間や程度は特に限定されず、状況に応じて設定した時間内に最終的に目的とする場所に捕食性昆虫が存在していればよく、また捕食性昆虫は少なくとも一個体が当該目的の場所に存在していれば誘引された状態であるといえる。捕食性昆虫を誘引する時間としては、例えば、30分以内、45分以内、1時間以内、2時間以内、3時間以内、5時間以内、10時間以内、12時間以内、1日以内、2日以内、3日以内、5日以内、10日以内が挙げられる。
また、捕食性昆虫の定着とは、目的の場所に存在している捕食性昆虫を当該場所に一定時間滞在させることを意味する。捕食性昆虫を滞在させる時間は特に限定されないが、例えば、1分以上、2分以上、3分以上、5分以上、10分以上、15分以上、20分以上、30分以上、45分以上、1時間以上、2時間以上、3時間以上、5時間以上、10時間以上、12時間以上、1日以上、2日以上、3日以上、5日以上、10日以上がその滞在時間として挙げられる。
本発明において、紫色光は、可視光線の一部であって、ヒトの視覚において紫色に該当する範囲の可視光線をいう。紫色光は、380〜450nmの波長を有する可視光線であり、好ましくは385〜425nmの波長、より好ましくは395〜415nmの波長、最も好ましくは405nmの波長の光である。
紫色光の光強度は特に限定されるものでなく、捕食性昆虫を誘引又は定着させる状況に応じて適宜設定することができる。例えば、光強度を光量子束密度で表した場合、1×1014〜1×1019photons・m−2・s−1であり、好ましくは1×1015〜1×1018photons・m−2・s−1、より好ましくは1×1016〜1×1017photons・m−2・s−1である。光強度の設定は、光照射用装置を用いた場合であれば当該装置の発光出力を適宜調節することにより行うことができ、またその測定は、自体公知の光強度測定器(例えば、既に市販されている測定器)を用いて行うことができる。
紫色光を照射する手段は、紫色光を発光することができる限り特に限定されず、例えば、発光ダイオード、蛍光灯、白熱電球等が挙げられる。これらの中では、捕食性昆虫の誘引又は定着効率や省エネルギー等の観点から発光ダイオードを使用することが好ましい。また、発光ダイオードの使用は、少量の使用電力から発熱を抑えることができ、それによって誘引又は定着した捕食性昆虫の死滅を防ぐこともできる点で好ましい。発光ダイオードを用いる場合、複数個(例えば、数個〜数十個)の発光素子(LED素子)を照明装置に装着させて光照射を行うことができる。なお、紫色光を照射する手段において何らかの電源が必要な場合は、乾電池、リチウム電池、太陽電池等をその電源として利用することができる。
紫色光の照射は、直射光として照射してもよく、或いは散乱光(拡散光)として照射してもよい。直射光や散乱光には、レンズやリング等の自体公知の治具を用いて、例えばこれを光源近傍に取り付けることにより調整することができる。直射光は、所定の照射位置に集中照射させることができ、その照射範囲は特に限定されず、紫色光を照射する状況に応じて適宜設定することができる。散乱光に関しては、紫色光を広い範囲で照射することができるが、その照射範囲も特に限定されず、使用状況に応じて適宜設定することができる。
本発明において紫色光を照射する態様は特に限定されず、捕食性昆虫を誘引又は定着させることができる限り如何なる態様を取ることもできる。本発明では特に、害虫防除の観点から、本発明では捕食性昆虫を農産物に誘引又は定着させることが望ましく、その目的を達成するために紫色光の照射を行うことが好ましい。
本明細書において農産物とは、農業により得られる生産物を意味し、農作物の用語と互換可能に用いることができる。また、前記農産物には、果実等の食用に関する部分のみならず、葉、茎、枝、幹又は種子等の地上部に露出している部分全てが包含されることを意図する。
本発明で対象とされる農産物の種類は、例えば、野菜、穀物、果物、花、及び豆類等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。また、その具体例としては、ニンジン、キュウリ、ダイコン、カボチャ、ナス、トマト、キャベツ、ジャガイモ、ハクサイ、シュンギク、コマツナ、ピーマン、ネギ、タマネギ、レタス、ショウガ、ニンニク、キノコ類(シイタケなど)、タケノコ、コメ、ムギ、トウモロコシ、キク、チューリップ、バラ、ダイズ、ゴマ、ラッカセイ等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
捕食性昆虫を農産物に誘引又は定着させるために紫色光を照射する一つの態様としては、紫色光の光源を圃場に設置することが挙げられる。この場合、圃場に設置する光源の数は、例えば圃場の単位面積(例えば、10アール(1000m))当たりの数として調整することができる。圃場の単位面積当たりの光源の数は、特に限定されないが、例えば1〜100000個、好ましくは10〜50000個、より好ましくは100〜10000個である。
捕食性昆虫を農産物に誘引又は定着させるために紫色光を照射する一つの態様としては、紫色光を農産物に対して照射することが挙げられる。紫色光の農産物への照射は、光源から農産物に対して直接的に紫色光を照射してもよく、或いは反射鏡(平面鏡、凸面又は凹面を有する球面鏡、放物面鏡など)などを用いて間接的に紫色光を照射してもよい。紫色光を農産物に対して照射することにより、照射された農産物に直接的に捕食性昆虫を誘引又は定着させることができ、或いは紫色光の光源に近づいてきた捕食性昆虫を、紫色光が照射された農産物に間接的に誘引又は定着させることができる。
紫色光の農産物への照射距離は特に限定されない。その距離は、対象の農産物が栽培されている圃場の規模等に応じて適宜設定することができる。光源と農産物との距離が十分に離れている場合であっても、紫色光の出力強度を適宜調整することによって(具体的には、当該強度を上げることによって)捕食性昆虫を農産物に誘引又は定着させることは可能である。また逆に、光源と農産物との距離が近い場合であっても、紫色光の出力強度を適宜調整することによって(具体的には、当該強度を下げることによって)捕食性昆虫を農産物に誘引又は定着させることが可能である。
紫色光は、農産物に対し、それよりも上方の位置から下方に向けて、又は下方の位置から上方に向けて照射することができる。或いは、農産物と同程度の高さに光源を設置して、水平に紫色光を照射することもできる。紫色光の光源を設置する位置は、対象とする農産物の種類などに応じて適宜設定することができる。また、農産物の生育に応じて、その高さは適宜変更することもできる。
紫色光は、農産物全体を照射するものであってもよく、或いはその一部を照射するものであってもよい。農産物の一部を照射する場合は、害虫防除の観点から、防除対象とする害虫が出現又は集中する箇所に限定することが好ましい。紫色光を照射する部分は、農産物の種類又は害虫の種類等に応じて適宜設定することができる。
紫色光は、農産物に対し、一箇所から照射させてもよいし、複数個所(例えば、2箇所、3箇所、4箇所、5箇所、6箇所、7箇所、8箇所、9箇所、10箇所以上など)から照射させてもよい。紫色光を複数箇所から照射する場合は、農産物の一点を集中的に照射する態様であってもよく、或いは農産物の別個の箇所を点在的に照射する態様であってもよい。
紫色光を照射する別の一態様としては、紫色光を農産物の近傍から該農産物の外側に向けて照射することが挙げられる。当該態様により、紫色光の光源に近づいてきた捕食性昆虫を、光源近傍にある農産物に効果的に誘引又は定着させることができる。
本明細書において農産物の近傍とは、農産物から遠く離れることはなく、農産物に対して近い位置に存在することを意図する。その距離(紫色光の光源と農産物との距離)は、例えば農産物の茎(又は幹)からの距離で特定することができる。その場合、当該距離は、特に限定されないが、例えば5m以下、好ましくは1m以下、より好ましくは50cm以下とすることができる。
また、当該態様において「農産物の外側に向けて照射する」とは、対象とする農産物の中心部を向かない方向に照射することを意味する。紫色光の照射は、農産物の中心部を向かない限り、その向きや角度は限定されない。紫色光を発する光源の数も特に限定されず、一つであってもよいし、複数(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10以上など)であってもよい。
上記に例示した態様でも言及した通り、本発明では、紫色光を発する光源に近づいてきた捕食性昆虫を利用することができる。即ち、本発明は、紫色光の光源を用いて捕食性昆虫を誘引又は定着させることができる。
また、これまで述べた通り、本発明は、捕食性昆虫を農産物に誘引又は定着させることができる。これは、如何なる態様によるものであってよく、紫色光が照射された農産物に直接的に誘引又は定着された捕食性昆虫を利用するものであってもよいし、紫色光を発する光源に近づいてきた捕食性昆虫を利用するものであってもよい。
捕食性昆虫は、既にその土地において生息しているものを利用することができるし、天敵製剤として市販されているものを放飼して利用することもできる。或いは予め捕食性昆虫を捕集しておき、農産物を栽培する圃場にそれらを放出することができる。捕食性昆虫の人為的放出を行う場合は、即ち、本発明は、捕集した捕食性昆虫を放出する工程をさらに含む、とすることができる。
本発明における捕食性昆虫は、他の昆虫個体を捕食する昆虫であれば特に限定されない。成体となった昆虫が他の昆虫個体を捕食するものであってもよいし、幼虫が宿主昆虫に寄生しながら宿主昆虫の体を捕食するもの(即ち、捕食寄生性を示すもの)であってもよい。本発明における好適な捕食性昆虫としては、例えば、捕食性カメムシ(例えば、ヒメハナカメムシ等)やヤドリバエ等が挙げられる。
ヒメハナカメムシの種類は特に限定されず、防除すべき害虫の種類等から適宜選択することができる。ヒメハナカメムシの種類としては、例えば、ナミヒメハナカメムシ(Orius sauteri(Poppius))、タイリクヒメハナカメムシ(O. strigicollis(Poppius))、コヒメハナカメムシ(O. minutus(Linnaeus))、ツヤヒメハナカメムシ(O. nagaii Yasunaga)、ミナミヒメハナカメムシ(O. tantillus(Motschulsky))、タバコカスミカメ(Nesidiocoris tenuis(Reuter))等が挙げられる。これらの例示の中で、本発明では、ナミヒメハナカメムシを誘引又は定着の対象とすることが好ましい。
誘引又は定着させる捕食性カメムシは、雄であってもよいし、雌であってもよい。また、未交尾状態の捕食性カメムシであってもよいし、交尾済みの捕食性カメムシであってもよい。本発明では、特に限定されないが、未交尾状態の捕食性カメムシが好ましく、特に未交尾状態の捕食性カメムシの雌が好ましい。
ヤドリバエの種類は特に限定されず、防除すべき害虫の種類等から適宜選択することができる。ヤドリバエの種類としては、例えば、ブランコヤドリバエ(Exorista japonica)、ヨトウクロヤドリバエ、マメコガネヤドリバエ、マガタマハリバエ、エゾシロヤドリバエ、トガリハリバエ、ミノムシヤドリバエ、カイコノウジバエ等が挙げられる。これらの例示の中で、本発明では、ブランコヤドリバエを誘引又は定着の対象とすることが好ましい。
誘引又は定着させるヤドリバエは、雄であってもよいし、雌であってもよい。また、未交尾状態のヤドリバエであってもよいし、交尾済みのヤドリバエであってもよい。本発明では、特に限定されないが、交尾済みのヤドリバエが好ましく、特に交尾済みのヤドリバエの雄が好ましい。
本発明はまた、一つの好ましい態様として、紫外光を遮断して紫色光を照射する工程を含む、捕食性昆虫の誘引又は定着方法を提供する。捕食性カメムシに関しては、紫外光を遮断することにより、交尾済みの捕食性カメムシ(特に、交尾済みの捕食性カメムシの雌)の紫色光への選好性が増強されるため、より効果的に捕食性カメムシを誘引又は定着させることが可能となる。
本発明において、紫外光は、波長が可視光線よりも短くX線よりも長い不可視光線をいう。紫外光は、380nm未満の波長を有する不可視光線であり、波長の上限としては好ましくは365nm以下の波長の光である。また、紫外光の波長の下限としては、通常10nm以上、好ましくは200nm以上、より好ましくは300nm以上である。本発明における紫外光には、UV−A(315nm以上380nm未満)、UV−B(280nm以上315nm未満)、UV−C(200nm以上280nm未満)及び遠紫外線(10nm以上200nm未満)が含まれる。
紫外光を遮断する方法としては、特に限定されないが、例えば、紫外光の透過が遮蔽可能な(いわゆるUVカットの)ツール(ガラス、フィルム、シート、ビニール、プラスチック、セロハン等)を用いることが挙げられる。捕食性昆虫の誘引又は定着を対象とする植物をそのようなツールで覆えば、太陽光からの紫外光を効果的に遮断することができる。当該ツールで植物を覆う形式は特に限定されず、植物の一個体を覆う形であってもよいし、或いはハウス等の施設を構成して、圃場の全体乃至はその一部の植物を覆う形であってもよい。また、植物は上記のツールで完全に覆われる必要はなく、その上方又は側方のみに当該ツールが配設されるものであってもよい。
紫外光を遮断する割合は、捕食性昆虫の誘引又は定着効率が高まる限り特に限定されないが、通常50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは100%である。
捕食性昆虫の誘引又は定着に関しては、特にその理論が拘束されるわけではないが、捕食性昆虫に存在する光受容遺伝子(又は当該遺伝子がコードするタンパク質)が関与するものと考えられる。かかる光受容遺伝子としては、特に限定されないが、クリプトクロム、オプシンUV(UVオプシンとも称する)等が挙げられる。クリプトクロムは青色光受容体であり、オプシンUVは紫外光受容体である。各種遺伝子の塩基配列及びそれがコードするアミノ酸配列は、捕食性昆虫の種類に応じて異なり得る。ナミヒメハナカメムシの場合、クリプトクロム遺伝子の塩基配列は配列番号1で表され、オプシンUV遺伝子の塩基配列は配列番号2で表される。これらの光受容遺伝子を含む捕食性昆虫は、本発明における捕食性昆虫の対象となり得る。
例えば、本発明の方法に用いることができる捕食性昆虫は、次の2種類の光受容遺伝子を有するものであってよい:配列番号1に対して少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%の塩基配列同一性を有し、かつ青色光受容体をコードする塩基配列;および、配列番号2に対して少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%の塩基配列同一性を有し、かつ紫外光受容体をコードする塩基配列。
本明細書において、2つの塩基配列の同一性%は、視覚的検査及び数学的計算によって決定することができる。また、コンピュータープログラムを用いて同一性%を決定することもできる。配列比較コンピュータープログラムとしては、例えば、米国国立医学ライブラリーのウェブサイト:http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgiから利用できるBLASTNプログラム(Altschul et al., (1990) J. Mol. Biol. 215: 403-10)、又はWU−BLAST2.0アルゴリズム等が挙げられる。WU−BLAST2.0についての標準的なデフォルトパラメーターの設定は、以下のインターネットサイト:http://blast.wustl.eduを参照して利用することができる。
捕食性昆虫を誘引又は定着させることにより防除する害虫は特に限定されないが、農産物を保護する観点から農産物に対する害虫(即ち、農産物に傷害を与える害虫)であることが好ましい。農産物における傷害は、果実等の食用に関する部分が直接的に傷害を受けるものであってもよいし、食用に関する部分が直接的に傷害を受けずとも、その他の部分が傷害を受けることにより農産物の生育自体が阻害されるものであってもよい。
防除の対象となる害虫は微小害虫であることが好ましいが、特にこれに限定されない。微小害虫の種類としては、捕食性昆虫が捕食可能であれば如何なる微小害虫であってもよい。捕食性カメムシが捕食可能な微小害虫としては、例えば、アザミウマ、アブラムシ、ハダニ等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。ヤドリバエが捕食(寄生)可能な害虫としては、特に限定されないが、鱗翅目(チョウ目)の昆虫(害虫)が挙げられる。鱗翅目の昆虫としては、例えば、アワヨトウ、オオタバコガ、シモフリスズメ、サザナミスズメ、モンクロシャチホコ等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。なお、ヤドリバエが捕食(寄生)可能な鱗翅目の昆虫は、幼虫の状態であることが好ましい。
(2)害虫の除去方法
本発明はまた、上記(1)に記載の捕食性昆虫の誘引又は定着方法を利用した害虫の除去方法も提供する。本発明の害虫の除去方法は、上記(1)で説明した方法を用いて捕食性昆虫を誘引又は定着する工程を含むことを特徴とする。上記(1)に記載の方法を利用することから、本発明の害虫の除去方法では、定義及び用語等のあらゆる関連事項は上記(1)で説明した内容に全て準じることができる。
(3)捕食性昆虫の誘引用又は定着用装置
本発明はまた、上述した内容に基づき、捕食性昆虫の誘引用又は定着用装置も提供する。捕食性昆虫を誘引又は定着には紫色光の照射が利用されることから、当該装置は、紫色光を照射する手段を備えていることを特徴とする。なお、本発明の捕食性昆虫の誘引用又は定着用装置においても、定義及び用語等のあらゆる関連事項は上記に説明した内容に全て準じることができる。
紫色光を照射する手段は、上述した通り、紫色光を発光することができる限り特に限定されず、例えば、発光ダイオード、蛍光灯、白熱電球等が挙げられる。これらの中では、捕食性昆虫の誘引又は定着効率や省エネルギー等の観点から発光ダイオードを使用することが好ましい。また、発光ダイオードの使用は、少量の使用電力から発熱を抑えることができ、それによって誘引又は定着した捕食性昆虫の死滅を防ぐこともできる点で好ましい。発光ダイオードを用いる場合、複数個(例えば、数個〜数十個)の発光素子(LED素子)を照明装置に装着させて光照射を行うことができる。なお、紫色光を照射する手段において何らかの電源が必要な場合は、乾電池、リチウム電池、太陽電池等をその電源として利用することができる。
本発明の捕食性昆虫の誘引用又は定着用装置について、その態様は特に限定されず、種々の態様を取り得る。その一態様として、例えば、平板状の装置が挙げられる。平板上の装置では、例えば、当該装置の内部に紫色光を照射する手段を設け、平板状装置の光透過部を通じて紫色光を照射することができる。或いは、平板それ自体の表面に紫色光を照射する手段を設け、平板状装置の表面から紫色光を照射することができる。当該装置の部品や材質等は自体公知の物質を利用することができ、光透過部に関しては、プラスチック、ガラス、セロハン等の光透過が可能な物質を用いることができる。
また、別の一態様として、例えば、電球型の装置が挙げられる。かかる電球としては、効果的に捕食性昆虫を誘引又は定着させるために、比較的大型の電球であることが好ましい。また、照射部位を集中させるために、笠の付いたランプ状の照明装置が好ましい。電球型の装置では、例えば、電球内部に紫色光を照射する手段を設け、電球表面から紫色光を照射することができる。当該装置の部品や材質等についても、自体公知の物質を利用することができる。
電球型の装置では、さらに別の一態様として、例えば、ロープ状の電球型装置が挙げられる。かかるロープ状の装置は、ロープライトやチューブライト等と称されることもある。ロープ状の電球型装置においては、例えば、柔軟性のあるロープ状の部品(ロープ部)の内部に紫色光を照射する手段を設け、ロープ部が存在する位置において紫色光を照射することができる。或いは、ロープ部の表面に紫色光を照射する手段を設けることもできる。紫色光を照射する手段は、ロープ部において等間隔に存在することが好ましいが、特にこれに限定されない。当該装置の部品や材質等についても、自体公知の物質を利用することができ、ロープ部に関しては、ポリ塩化ビニル等の高分子(ポリマー)を用いることができる。
また、捕食性昆虫の誘引又は定着に用いる照明装置としては、蛍光管を利用したものであっても良い。紫色光のみを発する蛍光管を用いて、蛍光灯様の装置とすることもできる。
また本発明では、発光装置を用いずとも紫色光を照射することのできる装置を利用することができる。例えば、反射板型又は透過板型の装置を用いて、太陽光やキセノン光源等の紫外光から赤外光までを幅広く含んだ光源から紫色光のみを反射又は透過させることによって、捕食性昆虫を誘引又は定着させる植物に紫色光を照射することができる。透過型の装置に関しては、ハウス等の施設材が例示される。紫色光のみが透過可能なツール(ガラス、フィルム、シート、ビニール、プラスチック、セロハン等)を用い、対象の植物を当該ツールで覆うことにより紫色光の照射を効果的に行うことができる。なお、対象の植物は上記のツールで完全に覆われる必要はなく、その上方又は側方のみに当該ツールが配設されるものであってもよい。また、紫色光のみが透過可能なツールのみならず、紫外光を遮蔽可能なツール(即ち、紫外光を遮断する手段)(例えば、ガラス、フィルム、シート、ビニール、プラスチック、セロハン等)も、本発明の装置は含むことができる。紫外光を遮断できるツールを用いることにより、捕食性昆虫を効果的に誘引又は定着させることができる。紫外光の遮断に関しては、上記に説明した通りである。
(4)害虫の除去用装置
本発明はまた、上述した内容に基づき、捕食性昆虫の誘引又は定着を利用した害虫の除去用装置も提供する。本発明の害虫の除去用装置は、紫色光を照射する手段を備えていることを特徴とする。また、本発明の害虫の除去用装置は、上記(3)に記載の装置を利用することができる。そのため、当該装置は、上記(3)で説明した内容に全て準じることができる。また、本発明の害虫の除去用装置においても、定義及び用語等のあらゆる関連事項は上記に説明した内容に全て準じることができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の技術的範囲を限定するためのものではない。当業者は本明細書の記載に基づいて容易に本発明に修飾及び変更を加えることができ、それらも本発明の技術的範囲に含まれる。
実施例1.ヒメハナカメムシの波長選好性
供試虫としてナミヒメハナカメムシOrius sauteriを使用した。ナミヒメハナカメムシは、幅45mm、奥行き235mm、高さ170mmのプラスチック製飼育ケースに入れ、餌としてスジコナマダラメイガEphestia kuehniellaの卵を、水分補給および産卵基質としてメキシコマンネングサSedum mexicanumを入れ、25℃、16時間明:8時間暗の条件で集団飼育した。未交尾成虫を得るために、飼育ケースから4.5齢幼虫を採取し、直径10mm、高さ75mmの試験管に入れて、餌を週2回の頻度で交換して個別飼育を行った。羽化した成虫を雌雄判別し、羽化3日目から1週間の個体を未交尾個体として実験に供した。また、1つの試験管に羽化2日目の成虫を雌雄1対入れ、交尾させるために3日間置き、その日のうちに雌雄に分別して交尾個体として実験に供した。
ナミヒメハナカメムシの行動は、12角形のアリーナ内で観察した(図1)。アリーナは、2枚の透明なアクリル板(天井板・床板)と黒い半円形のスペーサー(仕切り板)で構成され、天上板と床板の2つの板に挟まれた空間に供試虫を放した。また、供試虫の位置が識別しやすいように、床板に濾紙を敷いた。成虫を10頭ずつプラスチックチューブ(CELLSTAR、greiner bio−one、Germany)に入れ、それを床板中央の穴に連結させ、供試虫が自発的にアリーナ上に登るようにした。光源として発光ダイオード(LED)(LDF 26series、CCS Inc.、Japan)を使用し、紫外光(最大波長365nm)、紫色光(同405nm)、青色光(同450nm)、緑色光(同525nm)、橙色光(同590nm)、赤色光(同660nm)をそれぞれ照射した。LEDは、アリーナ側面に1辺おきに設置した。光強度は、光学ベンチを用いて光源から35cmの位置で、光量子束密度6×1016photons・m−2・s−1になるように直流電源(P4K36−0.1、松定プレシジョン株式会社、Japan)で制御した。
観察は、ナミヒメハナカメムシ飼育における明期開始時刻から9〜12時間後に、木製の暗箱内(0.6m×0.6m×1m)で行った。赤外線照射器(ピーク波長840nm)でアリーナ全体を照らし、赤外線カメラ(Himawari GE60、Library Co.,LTD.、Japan)でナミヒメハナカメムシの歩行行動を録画した。ナミヒメハナカメムシの入ったプラスチック管を設置して1分後にLEDを点灯し、すべての個体がいずれかの波長を選好するまで観察を行った。波長選好の基準として、各LEDから33mmまでの距離(図1のLED発光面から点線までの範囲)に到達した個体をその波長を選好したと判断した。
各実験において、ある波長を選択したナミヒメハナカメムシの比率を算出し、比率の平均値を各波長間で比較した。比率は、アークサイン変換した後、ANOVAで分析し、Tukey HSD法にて多重比較を行った。なお、統計検定はR3.0.1(R Core Team、2013)で行った。
中央部の穴からアリーナ内に入ったすべてのナミヒメカメムシは、歩行によりLED光源に近づいた。中央の穴から出てすぐに直線的に光源に向かう個体は少なく、方向転換や円周状の軌跡を描いて特定の光源を選好した(図2)。すべての個体がいずれかの波長を選好するまでにかかった時間は最大7分であった。
未交尾雄は、供試した120頭(10頭×12試行)のうち76頭がアリーナ内に移動した。アリーナに移動した個体の選好性は波長によって有意に異なり(p<0.05、ANOVA)、紫色光に対する選好性が最も高かった(46.7%;12試行の平均、Tukey HSD test)(図3A)。未交尾雌は、供試した130頭のうち71頭がアリーナ内に移動し、13回の試行の選好性の平均は、紫色光が最も高かった(50.6%、Tukey HSD test)(図3B)。また、3日間の交尾期間を経た雄は、供試した70頭のうち51頭がアリーナ内に移動し、紫色光への選好性が有意に高かった(55.3%;7試行の平均、Tukey HSD test)(図4A)。
一方、雌は、供試した70頭(10頭×7試行)のうち44頭がアリーナ内に移動し、紫外光に最も強く誘引されたが(55.7%;7試行の平均、Tukey HSD test)、紫色光にも多くの個体が誘引された(図4B)。各実験区でチューブ内に留まった個体の割合は、死亡個体を除き未交尾雄23.8%、未交尾雌13.1%、交尾雄26.5%、交尾雌30.5%であった。
以上の結果から、ナミヒメハナカメムシは紫色光に強く誘引されることが明らかになった。雌の交尾個体は紫外光に誘引される結果も得られたが、紫色光にも十分に誘引されており、他の多くの昆虫が紫外光に誘引されることを考慮すれば、紫色光の照射がナミヒメハナカメムシの誘引に対して十分に有用であることが理解できる。
実施例2.紫外光を遮断した条件下でのヒメハナカメムシの波長選好性
上記実施例1と同様の実験において、紫外光を白色光に置き換えて、紫外光を遮断した条件下でヒメハナカメムシの波長選択性を調査した。本条件下では、既交尾雌であっても約55%の個体が紫光を選択した。また、既交尾雄も約70%の個体が紫光を選択し、6色のLEDを照射した条件と比べ約1割程度増加した(図5)。以上の結果から、紫光の照射は紫外光の遮断との併用により、既交尾雌にも効果的であるほか、既交尾雄の誘引活性を飛躍的に増強させる効果があることが示された。
実施例3.ヒメハナカメムシの定着性
上述した正十二角形アリーナにおいて、紫外光(最大波長365nm)、紫色光(同405nm)、青色光(同450nm)、緑色光(同525nm)、橙色光(同590nm)、赤色光(同660nm)の6種類のLEDをそれぞれ照射し、ナミヒメハナカメムシの走光性を観察した。ナミヒメハナカメムシの定着性を調べるため、それぞれのLEDにナミヒメハナカメムシが到達した後、そのLEDから離脱する個体の割合を求めた。なお、ナミヒメハナカメムシが離脱する割合は、次式:離脱率(%)=離脱個体/到達個体×100にて算出した。
離脱率を調べた結果を図6に示す。未交尾の個体は、雄、雌共に紫色光において離脱率が低いことがわかった(図6A、B)。ここで、赤色光では離脱率が0%となっているが、もともとLEDに到達した個体が極めて少なかったことから計算上そのようになったものであり、ナミヒメハナカメムシの定着性を評価するには至らなかった。交尾個体に関しては、その雄が紫色光において離脱率が最も低いことがわかった(図6C)。一方、交尾個体の雌では、紫外光において離脱率が最も低かったが、紫色光でも十分に離脱率は低かった(図6D)。上述したように、多くの昆虫が紫外光に誘引及び定着されることを考慮すれば、紫色光の照射がナミヒメハナカメムシの定着に対して十分に有用であることが理解できる。なお、交尾個体では橙色光での離脱率が0%であったが、これは、未交尾個体での赤色光と同様に、もともとLEDに到達した個体が極めて少なかったことから計算上そのようになったものである。
図3、4及び6で示された結果をまとめて図7に示す。図7において明らかに示されるように、ナミヒメハナカメムシの誘引及び定着の観点から、紫色光の照射が最も良いことが理解できる。
実施例4.光照射したマンネングサへの定着率
屋外温室に於いて、マンネングサ鉢植えを4箇所に設置し、それぞれに紫外光(最大波長365nm)、紫色光(同405nm)、青色光(同450nm)、緑色光(同530nm)のLEDを照射した。夕方、実験施設の中央にマンネングサに定着したヒメハナカメムシ(交尾個体)を放飼し、夜間LEDを点灯して、翌日、午前中にそれぞれの試験区に移動、定着した個体数を数えた。試験は2回実施した。
その結果、雄、雌共に紫外光において最も定着したが、紫色光においても十分に定着する結果が得られた(図8)。雌では緑色光でも定着性が観察されたが、雄では同様の結果は得られなかった。以上の結果から、雄、雌を問わずにヒメハナカメムシを選択的に定着させるためには紫色光の照射が最も良いことが明らかとなった。
実施例5.光受容遺伝子の解析
1.5 mlチューブにナミヒメハナカメムシ20匹を入れて、−20℃で冷凍保存した。このチューブに抽出用TRIzol(Eppendorf社)を100μl添加し、ホモジネートし、RNAをエタノール沈殿させた。エタノールを揮発させた後、30μlの超純水を加えて5分間静置し、ボルテックスで混合してRNAを溶解させた。次に、PrimeScript(登録商標) RT reagent Kit(Perfect Real Time, TAKARA社, RR037A)を用いてcDNA合成を行った。合成には、図11に示したプライマーを用いた。
合成したcDNAをtemplateとし、TaKaRa Ex-Taq(TAKARA社)を用いてPCRを行った。PCR反応で得たPCR産物を電気泳動で分離した。電気泳動後、泳動漕内のアガロースゲルを水平なトレーに移し、染色剤としてエチジウムブロマイドを加えて約15分間静置した。その後、UVライトを照射してDNAバンドがあることを確認した。
次に、Wizard(登録商標) SV Gel and PCR Clean-UP System(promega社)を使用し、DNAバンドから直接DNAを抽出した。抽出したPCR産物を鋳型として、BigDye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems社)を使用し、Big Dye法によりDNAシークエンシング(塩基配列解析)した。
実施例6.複眼分光感度の測定
ナミヒメハナカメムシの未交尾個体又は交尾個体の網膜に電極を刺し、各種波長の光を照射してナミヒメハナカメムシ視細胞の興奮を電位差として測定した。視細胞の電位差は、微小電極用増幅器(MEZ-7200、日本光電社)を用いて測定した。供試したヒメハナカメムシは5個体であり、その平均値及び標準偏差を求めた。
複眼分光感度の測定結果から、ナミヒメハナカメムシの未交尾個体も交尾個体も、365nm(紫外光)付近の波長と530nm(緑色光)付近の波長とにおいて感度が高くなることが判明した。これは、光受容体のUV opsinとLW opsinに依存した感度分布であると推定される。
また、上記の結果から、紫色光(380〜450nm)ではナミヒメハナカメムシの感度は低いことがわかった。それにも関わらず、ナミヒメハナカメムシが紫色光に誘引又は定着されるということは、実施例5で特定できたオプシンUVとクリプトクロムとの両方の光受容遺伝子による影響があるものと考えられた。即ち、オプシンUVは紫外光に対応し、クリプトクロムは青色光に対応しており、これらが反応するピーク波長の間である紫色光にナミヒメハナカメムシが誘引又は定着されることが考えられた。
実施例7.ブランコヤドリバエの波長選好性
本試験では供試虫としてブランコヤドリバエExorista japonicaを使用した。ブランコヤドリバエは、茨城県つくば市で採集され、室内で累代飼育されたものを用いた。寄主には、人工飼料(シルクメイト2M)で飼育したアワヨトウMythimna separataを用いた。ブランコヤドリバエの幼虫は、アワヨトウの組織を捕食し成長したのち、表皮を破って脱出し囲蛹を形成する。この囲蛹が50mg以上の個体を選抜し、羽化後1週間以内に実験に用いた。ブランコヤドリバエの成虫は、プラスチック容器(100mmφ×40mmH)内にて、角砂糖および水を含ませた脱脂綿を与えて飼育した。飼育および実験はすべて気温25℃、明暗周期16時間(明期8時間、暗期8時間)の条件で行った。
ブランコヤドリバエの行動は、実施例1と同様に12角形のアリーナ内で観察した。アリーナは、2枚の透明なアクリル板(天井板・床板)と黒い半円形のスペーサー(仕切り板)で構成され、天上板と床板の2つの板に挟まれた空間に供試虫を放した。また、供試虫の位置が識別しやすいように、床板に濾紙を敷いた。成虫を1頭ずつプラスチックチューブ(CELLSTAR、greiner bio−one、Germany)に入れ、それを床板中央の穴に連結させ、供試虫が自発的にアリーナ上に登るようにした。光源として発光ダイオード(LED)(LDF 26series、CCS Inc.、Japan)を使用し、紫外光(最大波長365nm)、紫色光(同405nm)、青色光(同450nm)、緑色光(同525nm)、橙色光(同590nm)、赤色光(同660nm)をそれぞれ照射した。LEDは、アリーナ側面に1辺おきに設置した。光強度は、光学ベンチを用いて光源から35cmの位置で、光量子束密度6×1016photons・m−2・s−1になるように直流電源(P4K36−0.1、松定プレシジョン株式会社、Japan)で制御した。
観察は、木製の暗箱内(0.6m×0.6m×1m)で行った。赤外線照射器(ピーク波長840nm)でアリーナ全体を照らし、赤外線カメラ(Himawari GE60、Library Co.,LTD.、Japan)でブランコヤドリバエの歩行行動を録画した。ブランコヤドリバエの入ったプラスチック管を設置してからLEDを点灯し、ハエがアリーナ上へ自発的に登ってきたところから計測を開始した。波長選好の基準として、各個体がLEDに到達するという行動をもって、その波長を選好したと判断した。
すべての処理区において50頭の個体を供試した。各実験において、ある波長を選択したブランコヤドリバエの比率を算出し、比率を各波長間で比較した。
未交尾の雌雄は、それぞれ48%が紫色光を選択した。交尾経験のある雌は、56%の個体が紫色光を選択した。また、交尾経験のあるオスでは、74%の個体が紫色光を選択した。性差や交尾の有無に関わらず、いずれの処理区においても、供試した個体の大多数が紫色光を選択した。
以上の結果から、ブランコヤドリバエは紫色光に強く誘引されることが示された。さらに、交尾済みの個体では紫色光選好性がより雌の交尾個体は紫外光に誘引されることが明らかになった。
本発明は、害虫防除を通じて農産物を効果的に保護できる観点から、農業分野において特に有用である。本発明により提供される技術を利用することにより、効果的且つ選択的に捕食性昆虫を誘引又は定着させることができ、捕食性昆虫が捕食可能な害虫を効果的に防除することができる。

Claims (7)

  1. 紫色光を照射する工程を含む、捕食性昆虫の誘引又は定着方法であって、
    該紫色光が、385〜425nmにピークを有する波長の光であり、該捕食性昆虫が、ナミヒメハナカメムシ、タバコカスミカメ、又はブランコヤドリバエであり、
    以下の(i)又は(ii)の態様:
    (i)紫色光を農産物に対して照射する、又は
    (ii)紫色光を農産物の近傍から該農産物の外側に向けて照射する、
    で紫色光を照射し、捕食性昆虫を農産物に誘引又は定着させる、上記方法。
  2. 紫色光が発光ダイオードによって照射される、請求項1に記載の方法。
  3. 紫色光の光源を用いて捕食性昆虫を誘引又は定着させる、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 紫外光を遮断して紫色光を照射する、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  5. 紫外光が、365nm以下の波長の光である、請求項に記載の方法。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の方法を用いて捕食性昆虫を誘引又は定着する工程を含む、害虫の除去方法。
  7. 紫色光を照射する手段を備えた、捕食性昆虫の誘引用又は定着用装置であって、
    該紫色光が、385〜425nmにピークを有する波長の光であり、該捕食性昆虫が、ナミヒメハナカメムシ、タバコカスミカメ、又はブランコヤドリバエであり、
    以下の(i)又は(ii)の態様:
    (i)紫色光を農産物に対して照射する、又は
    (ii)紫色光を農産物の近傍から該農産物の外側に向けて照射する、
    で紫色光を照射し、捕食性昆虫を農産物に誘引又は定着させる、上記装置。
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