JP5949533B2 - 車両用シートのクッション体 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用シートのクッション体に関する。
車両の走行及びエンジンの運転などに起因する加振力が伝達されることによって車両用シートが振動すると、乗員に不快感を与えることとなる。そこで、近年では、ダイナミックダンパを有する車両用シートの開発が進められている。
特許文献1には、車両用シートを構成するヘッドレストにダイナミックダンパを内蔵させた一例が開示されている。このヘッドレストでは、その内部のクッション材に埋設した錘がダイナミックダンパのマス系として機能する一方、クッション材がダイナミックダンパのバネ系として機能する。そして、車両用シートに伝達された加振力が、シートバックに支持されるヘッドレストステーを介してヘッドレストに伝達されると、錘が揺動して加振力に起因する車両用シートの振動が減衰されるようになる。
特開2010−201848号公報
ところで、車両用シートには、ダイナミックダンパの共振周波数帯域よりも低い周波数の加振力が伝達されることがある。こうした加振力に起因する振動を減衰させるためには、ダイナミックダンパの共振周波数帯域を低下させることが好ましい。ダイナミックダンパの共振周波数帯域を低下させる方法としては、錘の重量を大きくしたり、クッション材の剛性を低くしたりする方法が考えられる。しかしながら、錘の重量を大きくした場合には車両用シートが重くなり、クッション材の剛性を低下させた場合には乗員に与える車両用シートの触感が変わることとなる。
なお、車両用シートのクッション体としては、ヘッドレスト以外に、シートクッションやシートバックなどが挙げられる。こうしたヘッドレスト以外のクッション体にダイナミックダンパを内蔵させる場合であっても同様の課題が存在する。
本発明の目的は、錘の重量及びクッション材の剛性を変更しなくても、ダイナミックダンパの共振周波数帯域を低くすることができる車両用シートのクッション体を提供することにある。
上記課題を解決する車両用シートのクッション体は、クッション材の内部に、フレームの少なくとも一部及び錘が設けられていることを前提としている。そして、このクッション体において、錘はクッション材により弾性支持されており、クッション材をフレーム側と錘側とに分離する分離部を設けるようにした。
錘が揺動する際、錘は、クッション材の各部位から付与される引張力によってその揺動が制限される。特に、クッション材においてフレームと錘との間に位置する部位は、フレームと錘とによって挟まれているため、他の部位と比較して大きな引張力を錘に付与する。すなわち、ダイナミックダンパのバネ系の剛性は、このフレームと錘との間に位置する部位の剛性に大きく依存することとなる。
この点、上記構成では、クッション材は、分離部によってフレーム側と錘側とに分離されているため、クッション材においてフレームと錘との間に位置する部位から錘に付与される引張力を低減することができる。その結果、クッション材自体の剛性を低下させなくてもダイナミックダンパのバネ系の剛性を小さくすることができる。したがって、錘の重量及びクッション材の剛性を変更しなくても、ダイナミックダンパの共振周波数帯域を低くすることができるようになる。
また、クッション材には、同クッション材の下面に開口する凹部を設けるとともに、同凹部の底壁から同凹部の開口に向けて延出する揺動可能な延出部を設け、この延出部に錘の少なくとも一部が埋設されており、凹部の内面と延出部との隙間により分離部が構成されるようにしてもよい。
上記構成によれば、錘は、クッション材の延出部によってのみ弾性支持されることとなるため、ダイナミックダンパのバネ系の剛性を小さくすることができる。したがって、錘の重量及びクッション材の剛性を変更しなくても、ダイナミックダンパの共振周波数帯域を低くすることができるようになる。
また、クッション材には、その内部に空間を設けるとともに、同空間の上部から同クッション材の下部に向けて延出する揺動可能な延出部を設け、この延出部に錘の少なくとも一部が埋設されており、空間の内面と延出部との隙間により分離部が構成されるようにしてもよい。
上記構成によれば、錘は、クッション材の延出部によってのみ弾性支持されることとなるため、ダイナミックダンパのバネ系の剛性を小さくすることができる。したがって、錘の重量及びクッション材の剛性を変更しなくても、ダイナミックダンパの共振周波数帯域を低くすることができるようになる。
また、クッション材は、表皮材によって被覆される。そのため、この表皮材からクッション材に付与される張力によって、クッション材に設けられている空間の内壁と延出部の外壁との間の隙間が狭くなり、延出部に少なくとも一部が埋設されている錘の揺動範囲が狭くなるおそれがある。この点、上記構成では、クッション材において延出部の下端に対向する下部によって、上記の隙間が狭くなることが規制される。その結果、錘の揺動範囲が狭くなりにくくなり、ダイナミックダンパによる振動減衰効率を向上させることができるようになる。
なお、延出部の下端とクッション材の下部との間には隙間を介在させるようにしてもよい。この場合、錘の揺動時に延出部と下部との間で摺動抵抗が発生しなくなる分、錘を揺動させやすくなり、ダイナミックダンパによる振動減衰効率を向上させることができるようになる。
また、クッション材に凹部を設ける構成を採用する場合にあっては、凹部内に軸方向が上下方向に沿うように筒を設けてもよい。この場合、筒の内周面と延出部の側面との間に隙間を介在させることが好ましい。この構成によれば、空間内に筒を設けることにより、クッション体の表皮材からクッション材に付与される張力によって筒の内周面と延出部の側壁との間の隙間が狭くなることが規制される。その結果、錘の揺動範囲が狭くなりにくくなり、ダイナミックダンパによる振動減衰効率を向上させることができるようになる。
また、クッション材には、フレームと錘との間を横切るようにスリットが形成されており、スリットが分離部として機能するようにしてもよい。
上記構成では、クッション材は、スリットによってフレーム側と錘側とに分離されているため、クッション材においてフレームと錘との間に位置する部位から錘に付与される引張力を低減することができ、ダイナミックダンパのバネ系の剛性を小さくすることができる。したがって、錘の重量及びクッション材の剛性を変更しなくても、ダイナミックダンパの共振周波数帯域を低くすることができるようになる。
また、上記のクッション体において、スリットを挟んで互いに対向するクッション材における錘側の分離面及びフレーム側の分離面を、互いに離すことが好ましい。これによれば、互いに対向する分離面同士の間に空間が形成されることとなる。そのため、錘の揺動時、クッション材において錘に押された部位は、上記の空間側に膨らみやすくなる、即ち撓み変形しやすくなる。したがって、錘側の分離面とフレーム側の分離面とが当接している場合と比較して、錘を弾性支持するダイナミックダンパのバネ系の剛性が低くなり、ダイナミックダンパの共振周波数帯域を低くすることができるようになる。
なお、スリットは、車両前後方向に沿うように形成してもよい。これにより、前後方向に揺動する錘に対してクッション材から作用する引張力を小さくできるため、前後方向への加振力が車両用シートに伝達されるに際し、より低周波の振動を減衰させることができるようになる。
また、スリットを、クッション材の下面で開放させるようにしてもよい。この構成によれば、クッション材にスリットを容易に形成することができるようになる。
また、クッション材の内部には軸方向がフレームと錘とを結ぶ方向と交差する態様で筒が埋設され、この筒内で錘がその軸方向においてクッション材に弾性支持されており、筒が分離部として機能するようにしてもよい。
上記構成では、クッション材は、筒の側壁によってフレーム側と錘側とに分離されているため、クッション材においてフレームと錘との間に位置する部位から錘に付与される引張力を低減することができ、ダイナミックダンパのバネ系の剛性を小さくすることができる。したがって、錘の重量及びクッション材の剛性を変更しなくても、ダイナミックダンパの共振周波数帯域を低くすることができるようになる。
なお、筒を、その軸方向が車両前後方向に沿うように配置してもよい。これにより、前後方向に揺動する錘に対してクッション材から作用する引張力を小さくできるため、前後方向への加振力が車両用シートに伝達されるに際し、より低周波の振動を減衰させることができるようになる。
また、筒の内側面には潤滑剤が塗布されていることが好ましい。これにより、筒の内側面に沿って錘が摺動する際に錘と内側面との間に発生する摺動抵抗が小さくなり、錘を軸方向に沿って揺動させやすくなる。その結果、錘の揺動範囲を拡大させることができ、ダイナミックダンパによる振動の減衰効率を向上させることができるようになる。
ところで、クッション体は、フレームとしてのヘッドレストステーを介してシートバックに支持されるヘッドレストであってもよい。この場合、車両用シートを車体に支持させる部分から最も離れている位置にダイナミックダンパが配置されることとなる。そのため、シートバックなどの他のクッション体にダイナミックダンパを内蔵させる場合と比較して、重量の小さい錘でも車両用シートの振動の減衰効率を向上させることができる。
第1の実施形態の車両用シートを模式的に示す側面図。 第1の実施形態のヘッドレストの内部構成を示す斜視図。 ヘッドレストの一部を模式的に示す断面図。 ヘッドレストの一部を模式的に示す断面図。 比較例のダイナミックダンパを模式的に示す作用図。 第1の実施形態のダイナミックダンパを模式的に示す作用図。 車両用シートに伝達される加振力の周波数と車両用シートの振動伝達率との関係を示すグラフ。 第2の実施形態のヘッドレストの内部構成を示す破断図。 第2の実施形態のダイナミックダンパを示す模式図。 第2の実施形態のダイナミックダンパにおいて、(a)は錘が前方に移動する際の様子を示す作用図、(b)は錘が後方に移動する際の様子を示す作用図。 第3の実施形態のヘッドレストを模式的に示す斜視図。 第3の実施形態のヘッドレストを模式的に示す側面図。 第3の実施形態のヘッドレストに内蔵されるダイナミックダンパを模式的に示す断面図。 第3の実施形態のダイナミックダンパにおいて、錘が前方に移動する際の様子を示す作用図。 第4の実施形態のヘッドレストを模式的に示す平面図。 図15における16−16線矢視断面図。 図15における17−17線矢視断面図。 第4の実施形態において、クッション材を成形する際に用いられる治具を模式的に示す斜視図。 治具の断面斜視図。 第4の実施形態において、クッション材を成形する型内の様子を模式的に示す断面図。 (a)はクッション材内に治具の本体部が埋まっている様子を示す断面図、(b)は治具がクッション材から引き抜かれる様子を示す断面図、(c)は治具がクッション材から引き抜かれた状態を示す断面図。 第4の実施形態のダイナミックダンパを示す模式図。 第5の実施形態のヘッドレストを模式的に示す断面斜視図。 別の実施形態のヘッドレストを模式的に示す側面図。 別の実施形態の筒を示す斜視図。 別の実施形態のヘッドレストを示す断面図。 別の実施形態の錘を示す断面図。 別の実施形態の錘を示す断面図。 別の実施形態のヘッドレストの一部を示す断面図。
(第1の実施形態)
以下、車両用シートの第1の実施形態を図1〜図7に従って説明する。
図1に示すように、車両用シート11は、着座する乗員の尻部を支持するシートクッション12と、乗員の背部を支持するシートバック13とを備えている。そして、このシートバック13の上部には、乗員の頭部を支持するクッション体の一例としてのヘッドレスト14が取り付けられている。
図1及び図2に示すように、ヘッドレスト14は、金属製のパイプで構成される略U字状のヘッドレストステー21と、このヘッドレストステー21に移動不能に取り付けられている合成樹脂製のインサート22とを備えている。このインサート22は、自車両への後突時などにおける乗員の頭部の揺れ幅を狭くするためのものである。そして、ヘッドレストステー21の一部及びインサート22が衝撃吸収用のクッション材23内に埋設されており、このクッション材23が表皮材24によって被覆されている。
なお、クッション材23は、着座する乗員の安定性を確保できる程度の剛性を有する弾性材料によって構成されている。こうした弾性材料としては、例えば、半硬質ウレタンフォームが挙げられる。
図2及び図3に示すように、ヘッドレストステー21は、ヘッドレスト14の骨格を形成するフレームとして機能しており、車両幅方向に延びる中間部と、この中間部の長手方向における両端、即ち車両幅方向における両端から下方に延びる一対の連結部212とを有している。これら連結部212の先端は、クッション材23から下方に突出している。そして、こうした連結部212の先端がシートバック13内でシートバックフレーム(図示略)に固定されることにより、ヘッドレスト14がシートバック13に支持される。
図3及び図4に示すように、クッション材23内における一対の連結部212の間の領域には、クッション材23よりも硬質な材質(例えば、鉄)などからなる球状の錘25が、クッション材23に弾性支持された状態で配設されている。本実施形態では、錘25と同一上下方向位置にあっては、錘25がヘッドレストステー21の各連結部212よりも前側に位置している。
また、車両幅方向において錘25とヘッドレストステー21の連結部212との間には、スリットの一例としての溝30がクッション材23の下面233に開口するようにそれぞれ形成されている。より具体的には、車両幅方向において連結部212よりも錘25に近い位置に、溝30が形成されている。
こうした各溝30は、車両前後方向に沿うようにそれぞれ形成されている。すなわち、溝30は錘25とヘッドレストステー21の連結部212との間を横切るように形成されており、クッション材23は、溝30によって錘25側とヘッドレストステー21の連結部212側とに分離されている。そして、溝30の後端は、錘25よりも後側であって且つヘッドレストステー21よりも後側に位置している。また、溝30の前端は、錘25よりも前側であって且つヘッドレストステー21よりも前側に位置している。また、溝30の幅寸法D1は「0(零)」よりも大きいため、クッション材23における錘25側の分離面31は、クッション材23におけるヘッドレストステー21の連結部212側の分離面32から離れている。したがって、本実施形態では、溝30が、「分離部」として機能する。
そして、錘25は、クッション材23において一対の溝30よりも内側に位置する部分、即ち錘25の前側に位置する前側部位23F及び錘25の後側に位置する後側部位23Rに弾性支持されている。そのため、前後方向への加振力がヘッドレストステー21を介してヘッドレスト14に伝達されると、錘25がダイナミックダンパのマス系として機能し、クッション材23の前側部位23F及び後側部位23Rがダイナミックダンパのバネ系として機能する。そして、錘25が前後方向に揺動することにより、加振力に起因する振動が減衰される。
次に、図5及び図6を参照して、車体から車両用シート11に前後方向への加振力が伝達される際の作用について説明する。なお、図5は、溝30などの分離部によってクッション材23を錘25側とヘッドレストステー21の連結部212側とに分離していない比較例のダイナミックダンパを模式的に示し、図6は、錘25の車両幅方向両側に溝30を設ける本実施形態のダイナミックダンパを模式的に示している。また、図5及び図6では、錘25を弾性支持する部位を「バネ」として図示している。
ヘッドレスト14は、ヘッドレストステー21を介してシートバック13に支持されているため、車両用シート11に伝達される加振力は、ヘッドレストステー21を介してヘッドレスト14に伝達される。すると、錘25が前後方向に揺動する。
ここで、図5を参照して比較例のダイナミックダンパについて説明する。図5に示すように、錘25は、その全方位でクッション材23に弾性支持されている。そのため、錘25が前後方向に揺動する際、クッション材23の前側部位23F及び後側部位23Rに加え、クッション材23においてヘッドレストステー21の連結部212と錘25との間に位置する部位である中途部位23Mもまたダイナミックダンパのバネ系として機能する。
すなわち、錘25が前方に移動すると、クッション材の前側部位23Fは、錘25に押されることで収縮し、錘25に対して後方への押圧力を付与する。この際、図5にて一点鎖線で示すように、錘25の前方への移動に伴ってクッション材23の前面が前方に多少変位する。その逆に、錘25が後方に移動する際には、クッション材23の前面は錘25の後方への移動に伴って後方に多少変位する。
なお、錘25がクッション材23によって弾性支持されるダイナミックダンパにおいては、クッション材の前側部位23Fを、その一端が錘25に支持されるとともに、その他端がクッション材23の前面に支持される「バネ」と見なすことができる。そして、錘25の前後方向への揺動時には、こうしたバネの他端を支持する前面が錘25の前方や後方への移動に応じて変位するため、錘25の前側に位置するバネ、即ち前側部位23Fの剛性をクッション材23の本来の剛性と比較して低いと見なすことができる。
また、錘25が前方に移動する際、クッション材23の後側部位23R及び中途部位23Mは、錘25の前方への移動に伴って伸張し、錘25に対して引張力をそれぞれ付与する。この際、図5にて一点鎖線で示すように、クッション材23の前面と同様に、錘25が前方に移動する際にはクッション材23の後面が前方に多少変位し、錘25が後方に移動する際にはクッション材23の後面が後方に多少変位する。
なお、錘25がクッション材23によって弾性支持されるダイナミックダンパにおいては、クッション材の後側部位23Rを、その一端が錘25に支持されるとともに、その他端がクッション材23の後面に支持される「バネ」と見なすことができる。そして、錘25の前後方向への揺動時には、こうしたバネの他端を支持する後面が錘25の前方や後方への移動に応じて変位するため、錘25の後側に位置するバネ、即ち後側部位23Rの剛性をクッション材23の本来の剛性と比較して低いと見なすことができる。
その一方で、比較例のダイナミックダンパでは、クッション材の中途部位23Mを、その一端が錘25に支持されるとともに、その他端がヘッドレストステー21の連結部212に支持された「バネ」と見なすことができる。ヘッドレストステー21の連結部212は、クッション材23の前面及び後面とは異なり、錘25が前後方向に揺動してもほとんど変位しない。そのため、連結部212に支持されるバネ、即ち中途部位23Mの剛性は、クッション材23の本来の剛性に近いものとなり、前側部位23F及び後側部位23Rの剛性よりも高くなる。その結果、錘25が前方に移動するに際しクッション材の各中途部位23Mから錘25に付与される引張力は、クッション材の後側部位23Rから錘25に付与される引張力よりも大きくなる。また、錘25が後方に移動するに際し中途部位23Mから錘25に付与される押圧力は、後側部位23Rから錘25に付与される押圧力よりも大きくなる。つまり、中途部位23Mの剛性によって、錘25の前後方向への揺動が制限される。
これに対し、図6に示すように、本実施形態のダイナミックダンパでは、溝30が錘25とヘッドレストステー21の連結部212との間を横切るように形成されている。そのため、クッション材の前側部位23F及び後側部位23Rがダイナミックダンパのバネ系として機能する一方で、クッション材の中途部位23Mはダイナミックダンパのバネ系としてほとんど機能しなくなる。
仮にクッション材の中途部位23Mがバネ系として機能したとしても、中途部位23Mはヘッドレストステー21の連結部212に支持されていないため、中途部位23Mの剛性は前側部位23F及び後側部位23Rの剛性よりも低くなる。すなわち、中途部位23Mから錘25に付与できる引張力は、後側部位23Rから錘25に付与できる引張力よりも小さくなる。その結果、前側部位23F及び後側部位23Rの剛性によって、錘25の前後方向への揺動が制限されることとなり、比較例の場合よりも錘25が前後方向に揺動しやすくなる。
また、錘25が前方に移動する際、クッション材の前側部位23Fは、収縮する際に車両幅方向に広がろうとする。このとき、前側部位23Fの収縮に伴う車両幅方向への拡大は、錘25の車両幅方向両側に形成された一対の溝30によって許容される。これにより、互いに対向する分離面31,32同士が密着している場合と比較して前側部位23Fが収縮しやすく、前側部位23Fから錘25に作用する押圧力が小さくなる。なお、この点については、錘25が後方に移動する際でも同様に、クッション材の後側部位23Rが収縮しやすくなる。
その結果、本実施形態のダイナミックダンパでは、比較例のダイナミックダンパよりもバネ系の剛性が低くなる。したがって、より低周波の振動をダイナミックダンパによって減衰させることが可能となるとともに、錘25の前後方向への揺動範囲の拡大によって振動の減衰効率が向上することとなる。
以上説明したように、本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(1)クッション材23は、溝30によって錘25側とヘッドレストステー21の連結部212側とに分離されている。そのため、クッション材23において連結部212と錘25との間に位置する中途部位23Mがダイナミックダンパのバネ系としてほとんど機能しなくなり、錘25が前後方向に揺動する際に中途部位23Mから錘25に付与される引張力や押圧力を小さくすることができる。その結果、錘25の重量及びクッション材23の剛性を変更しなくても、バネ系の剛性が低くなってダイナミックダンパの共振周波数帯域を低くすることができるようになる。また、バネ系の剛性の低下に伴って錘25の揺動範囲を拡大させることができ、振動の減衰効率を向上させることができるようになる。
(2)本実施形態では、クッション材23に形成された錘25側の分離面31とヘッドレストステー21の連結部212側の分離面32とは互いに離れている。これにより、錘25が前方に移動するときにはクッション材の前側部位23Fが撓みやすくなるとともに、錘25が後方に移動するときにはクッション材の後側部位23Rが撓みやすくなる。すなわち、ダイナミックダンパのバネ系の剛性が低くなる。そのため、ダイナミックダンパの共振周波数帯域を低くすることができるとともに、錘25の前後方向への揺動範囲を拡大させることができるようになる。
また、分離面31,32同士が当接していると、錘25の揺動時におけるクッション材の前側部位23F及び後側部位23Rの変形によって各分離面31,32の間で摩擦力が発生して錘25を前方や後方に移動させる力が減衰され、錘25の揺動範囲が狭くなるおそれがある。この点、本実施形態では、分離面31,32同士が互いに離れているため、錘25の揺動によってクッション材の前側部位23F及び後側部位23Rが変形する際に各分離面31,32の間で摩擦力が発生しない。そのため、錘25が前後方向に揺動しやすくなり、振動の減衰効率を向上させることができるようになる。
(3)上記構成のダイナミックダンパにおいては、溝30に対する錘25の前後方向における位置関係を調整することにより、クッション材23の前側部位23Fの剛性と後側部位23Rの剛性とを適宜設定することが可能となる。すると、図7に示すように、ダイナミックダンパの共振周波数を2つの周波数に分割することができ、車両用シート11に車体から伝達される加振力に対する振動の大きさを示す振動伝達率を低下させることができる。なお、こうしたダイナミックダンパの2つの共振周波数は、クッション材23の剛性や錘25の重量を変更することなく、溝30に対する錘25の前後方向における位置関係を調整することで適宜設定することができる。
(4)また、本実施形態では、車両用シート11を車体に支持させる部分から最も離れているヘッドレスト14にダイナミックダンパが内蔵されている。そのため、シートバック13などの他のクッション体にダイナミックダンパを内蔵させる場合と比較して、車両用シート11の重量の増大を抑制しつつ車両用シート11の振動の減衰効率を向上させることができる。
(第2の実施形態)
次に、ダイナミックダンパを内蔵するヘッドレスト14の第2の実施形態を図8〜図10に従って説明する。なお、第2の実施形態は、クッション材23に形成される溝の形状が第1の実施形態と異なっている。したがって、以下の説明においては、第1の実施形態と相違する部分について主に説明するものとし、第1の実施形態と同一の部材構成には同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
図8に示すように、錘25の車両幅方向両側に位置する一対の溝(スリット)30Aは、車両幅方向に延びる第1の溝部301をそれぞれ有している。そして、これら第1の溝部301の前後方向における両側には、車両幅方向内側に延出する第2の溝部302がそれぞれ連結されている。すなわち、本実施形態におけるクッション材の前側部位23F及び後側部位23Rには、車両幅方向における幅が狭くなる幅狭部35がそれぞれ形成されている。
なお、本実施形態では、第1の溝部301の前端に連結される第2の溝部302の幅寸法D2F(≠0(零))は、第1の溝部301の後端に連結される第2の溝部302の幅寸法D2R(≠0(零))と略同等となっている。
次に、図9及び図10を参照して本実施形態のダイナミックダンパの作用を説明する。
図9及び図10(a)に示すように、錘25が前方に移動する際、クッション材23の前側部位23Fが錘25に押されることにより収縮する。このとき、前側部位23Fの幅狭部35は、他の部位よりも剛性が低いため、同他の部位よりも優先的に収縮する。その結果、第1の溝部301の前端に連結される第2の溝部302の幅寸法D2Fが狭くなる。また、この際、後側部位23Rにおいては、その幅狭部35が、他の部位よりも剛性が低いため、同他の部位よりも優先的に伸張する。
また、図10(b)に示すように、錘25が後方に移動する際には、後側部位23Rの幅狭部35が、他の部位よりも優先的に収縮し、第1の溝部301の後端に連結される第2の溝部302の幅寸法D2Rが狭くなる。また、前側部位23Fにおいては、その幅狭部35が他の部位よりも優先的に伸張する。
すなわち、前側部位23F及び後側部位23Rに幅狭部35をそれぞれ設けることにより、錘25の前側に位置するバネの剛性(即ち、前側部位23Fの剛性)、及び錘25の後側に位置するバネの剛性(即ち、後側部位23Rの剛性)が、幅狭部35を設けない上記第1の実施形態の場合よりも低くなる。すなわち、ダイナミックダンパのバネ系の剛性が低くなる。これにより、錘25が前後方向に揺動し易くなるとともに、より低周波の振動が減衰されるようになる。
以上説明したように、本実施形態では、第1の実施形態における効果(1)〜(4)に示す効果と同等の効果に加え、以下に示す効果をさらに得ることができる。
(5)溝30Aの前後方向における両端に第2の溝部302をそれぞれ形成したことにより、ダイナミックダンパのバネ系の剛性をさらに低くすることができる。その結果、錘25の重量及びクッション材23自体の剛性を変更することなく、ダイナミックダンパの共振周波数帯域をさらに低くすることができるようになる。
(6)また、第1の溝部301の前端に接続される第2の溝部302の幅寸法D2F及び長さと、第1の溝部301の後端に接続される第2の溝部302の幅寸法D2R及び長さをそれぞれ調整することにより、ダイナミックダンパの共振周波数を自在に調整することができるようになる。
(第3の実施形態)
次に、ダイナミックダンパを内蔵するヘッドレスト14の第3の実施形態を図11〜図14に従って説明する。なお、第3の実施形態は、クッション材23を錘25側とヘッドレストステー21の連結部212側とに分離させる方法が第1及び第2の各実施形態と異なっている。したがって、以下の説明においては、第1及び第2の各実施形態と相違する部分について主に説明するものとし、第1及び第2の各実施形態と同一の部材構成には同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
図11及び図12に示すように、クッション材23においてヘッドレストステー21の各連結部212よりも車両幅方向内側の領域には、合成樹脂によって形成される円筒状の筒50が埋設されている。そして、この筒50内で、錘25がその軸方向においてクッション材23に弾性支持された状態で配設されている。筒50は、その軸方向が車両前後方向と一致するように配置されており、その後端がヘッドレストステー21の後部と略同一前後方向位置に位置するとともに、その前端がヘッドレストステー21の前部と略同一前後方向位置に位置している。なお、図11では、インサートの図示を割愛している。
そして、図12及び図13に示すように、筒50内では、その軸方向における略中央に錘25が位置している。こうした錘25の直径D31は、筒50の内径D32よりも僅かに小さい。なお、筒50の内周面51には、潤滑剤としての潤滑油が塗布されている。
また、筒50内には、その前側の開口52F及び後側の開口52Rからクッション材23が侵入している。すなわち、クッション材23は、筒50の側壁によって、錘25側と連結部212側とに分離されている。そして、錘25は、筒50内において同錘25の前側に位置する前側部位23F及び錘25の後側に位置する後側部位23Rに弾性支持されている。したがって、本実施形態では、筒50が、「分離部」として機能する。
ちなみに、筒50の内周面51と錘25との間には、その間に介在する隙間が非常に狭く、クッション材23が介在していない。そのため、錘25は、クッション材の前側部位23F及び後側部位23Rに弾性支持されつつ、潤滑油の塗布された内周面51に沿って前後方向に摺動可能となっている。また、筒50内に位置するクッション材23は、筒50の内周面51に融着されていない。
次に、図14を参照して本実施形態のダイナミックダンパの作用を説明する。
図14にて一点鎖線で示すように、錘25が前後方向に揺動するに際し、錘25が前方に移動すると、クッション材23の前面は錘25に押されて前方に多少変位する。また、クッション材23の後面は、クッション材の後側部位23Rが錘25に前側に引張られるようにして前方に多少変位する。その逆に、錘25が後方に移動すると、クッション材23の後面は錘25に押されて後方に多少変位する。また、クッション材23の前面は、クッション材の前側部位23Fが錘25に後側に引張られるようにして後方に多少変位する。そのため、錘25の前側に位置するバネ、即ち前側部位23Fと、錘25の後側に位置するバネ、即ち後側部位23Rの剛性の各々は、クッション材23の本来の剛性よりも低い。
しかも、錘25を筒50内に配置することにより、錘25とヘッドレストステー21の連結部212との間の中途部位が、ダイナミックダンパのバネ系としてほとんど機能しなくなる。これにより、錘25の前後方向への揺動範囲は、クッション材23の本来の剛性よりも低い前側部位23F及び後側部位23Rの剛性によって決定されるようになる。その結果、本実施形態のダイナミックダンパでは、図5に示す上記の比較例のダイナミックダンパよりもバネ系の剛性が低くなっている分、より低周波の振動を減衰させることが可能となるとともに、錘25の前後方向への揺動範囲の拡大によって振動の減衰効率が向上することとなる。
以上説明したように、本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(7)クッション材23は、筒50によって錘25側とヘッドレストステー21の連結部212側とに分離されている。そして、筒50内では、錘25は筒50の軸方向においてクッション材23に錘25が弾性支持される。すなわち、クッション材23において錘25と連結部212との間に位置する中途部位23Mから引張力がほとんど付与されなくなるため、錘25が前後方向に揺動しやすくなる。したがって、錘25の重量及びクッション材23の剛性を変更しなくても、ダイナミックダンパの共振周波数帯域を低くすることができるようになる。
(8)上記構成のダイナミックダンパにおいては、筒50内における錘25の前後方向位置を調整することにより、クッション材23の前側部位23Fの剛性と後側部位23Rの剛性とを適宜設定することができる。すると、ダイナミックダンパの共振周波数を2つの周波数に分割することができ(図7参照)、車両用シート11に車体から伝達される加振力に対する振動の大きさを示す振動伝達率を低下させることができる。
(9)また、筒50の内周面51には潤滑油が塗布されている。そのため、錘25が内周面51にガイドされつつ前後方向に移動する際における錘25と内周面51との間の摺動抵抗を小さくすることができる。その結果、錘25を前後方向に揺動させやすくすることができ、振動の減衰効率を向上させることができるようになる。
(10)内部に錘25を収容した筒50をクッション材23に埋め込むという構成であるため、形状の異なる種々のヘッドレストに適用することができる。
(11)また、本実施形態では、車両用シート11を車体に支持させる部分から最も離れているヘッドレスト14にダイナミックダンパが内蔵されている。そのため、シートバック13などの他のクッション体にダイナミックダンパを内蔵させる場合と比較して、車両用シート11の重量の増大を抑制しつつ車両用シート11の振動の減衰効率を向上させることができる。
(第4の実施形態)
次に、ダイナミックダンパを内蔵するヘッドレスト14の第4の実施形態を図15〜図22に従って説明する。なお、第4の実施形態は、クッション材23を錘25側とヘッドレストステー21の連結部212側とに分離させる方法が第1〜第3の各実施形態と異なっている。したがって、以下の説明においては、第1〜第3の各実施形態と相違する部分について主に説明するものとし、第1〜第3の各実施形態と同一の部材構成には同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
図15、図16及び図17に示すように、クッション材23においてヘッドレストステー21の各連結部212よりも車両幅方向内側の中央領域には、空間70が形成されている。また、クッション材23において空間70の下側に位置する下部231には、車両幅方向に沿って延びる切込み232が形成されており、この切込み232を介して空間70は外部と連通している。
また、クッション材23は、空間70の上部から下方に向けて延出する延出部71を備えており、この延出部71の外壁711は空間70の内壁701から離れている。そのため、延出部71は、その基端(上端)を中心に前後方向及び車両幅方向に揺動可能となっている。また、延出部71の下端712とクッション材23の下部231との間には隙間703が介在している。そして、こうした延出部71の長手方向における先端側に錘25が埋設されている。したがって、本実施形態では、空間70及び延出部71により、「分離部」が構成される。
次に、図18〜図21を参照して、本実施形態のヘッドレスト14の製造方法について説明する。
クッション材23の内部に形成された空間70内に延出部71を設けるために、図18及び図19に示す治具80が用いられる。
図18及び図19に示すように、治具80は、有底略円筒形状をなす本体部81と、この本体部81の底壁811から突出する被支持部82とを備えている。本実施形態では、本体部81の筒状部812の側壁の厚みは、底壁811から離れるに連れて次第に薄くなっている。
そして、図20に示すように、第1の成形型851と第2の成形型852とにより構成される型85内に、クッション材23の原液が注入部86を介して注入される。このとき、型85内に治具80の本体部81が配置されている。なお、錘25は、図示しない専用の治具(例えば、線材)などによって治具80の本体部81内に配置される。
そして、型85内に原材が充填されると、注入部86からの原材の注入が終了される。すると、この型85内では、原材は発泡された後に硬化される。このように成形が完了すると、第1の成形型851から第2の成形型852を相対的に離すことにより、クッション材23が型85から取り外される。
すると、図21(a),(b)に示すように、クッション材23から治具80が引き抜かれる。このとき、クッション材23の下部231に形成された切込み232を介して治具80が引き抜かれる。この際、クッション材23の下部231において切込み232を挟んだ両側の部位が撓むことにより、治具80が、クッション材23から円滑に引き抜かれる。そして、治具80の引き抜きが完了すると、図21(c)に示すように、クッション材23の内部に空間70が形成されるとともに、この空間70内に配置され且つ内部に錘25が埋設される円柱形状の延出部71がクッション材23に設けられる。なお、錘25の一部が延出部71外に露出することもある。
次に、図22を参照して、本実施形態のダイナミックダンパの作用を説明する。
図22に示すように、本実施形態では、錘25が、クッション材23内に形成された空間70内に配置される延出部71に埋設されている。すなわち、本実施形態のダイナミックダンパを、空間70内で、同空間70の上部に上端が支持されているバネで錘25を弾性支持していると見なすことができる。そのため、ヘッドレストステー21を介して伝達された加振力によってヘッドレスト14が前後方向に振動する場合、錘25は、バネ(即ち、延出部71)に弾性支持された状態で前後方向に揺動することとなる。このようにクッション材23に対して錘25が前後方向に相対的に揺動することにより、伝達された加振力に起因するヘッドレスト14の振動が好適に減衰される。
しかも、本実施形態では、前後方向に揺動する錘25には、クッション材23において錘25とヘッドレストステー21の連結部212との間に位置する中途部位23Mから引張力が付与されないだけではなく、錘25の前側に位置する前側部位23F及び錘25の後側に位置する後側部位23Rからも押圧力や引張力が付与されない。そのため、錘25を弾性支持するバネ系の剛性は、クッション材23の剛性自体を変更することなく低くなる。これにより、錘25の揺動範囲が拡大される。
以上説明したように、本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(12)錘25は、クッション材23の延出部71によってのみ弾性支持されることとなるため、ダイナミックダンパのバネ系の剛性を小さくすることができる。したがって、錘25の重量及びクッション材23の剛性を変更しなくても、ダイナミックダンパの共振周波数帯域を低くすることができるようになる。また、バネ系の剛性の低下に伴って錘25の揺動範囲を拡大させることができ、振動の減衰効率を向上させることができるようになる。
(13)クッション材23は、表皮材24によって被覆される。そのため、この表皮材24からクッション材23に付与される張力によって、クッション材23に設けられている空間70の内壁701と延出部71の外壁711との間の隙間702が狭くなり、延出部71に埋設されている錘25の揺動範囲が狭くなるおそれがある。この点、本実施形態では、クッション材23の下部231によって、上記の隙間702が狭くなることが規制される。その結果、錘25の揺動範囲が狭くなりにくくなり、ダイナミックダンパによる振動減衰効率を向上させることができるようになる。
(14)また、クッション材23において延出部71の下端712と下部231との間には隙間703が介在している。そのため、錘25を揺動させる際に、延出部71の下端712と下部231との間で摺動抵抗が発生しない分、錘25を揺動させやすくなり、ダイナミックダンパによる振動減衰効率を向上させることができるようになる。
(15)本実施形態では、延出部71に埋設されている錘25は、前後方向だけではなく車両幅方向にも揺動可能である。そのため、ヘッドレスト14を車両幅方向に振動させるような加振力がヘッドレスト14に伝達される場合であっても、この加振力に起因する振動を減衰させることができるようになる。
(16)また、本実施形態では、車両用シート11を車体に支持させる部分から最も離れているヘッドレスト14にダイナミックダンパが内蔵されている。そのため、シートバック13などの他のクッション体にダイナミックダンパを内蔵させる場合と比較して、車両用シート11の重量の増大を抑制しつつ車両用シート11の振動の減衰効率を向上させることができる。
(第5の実施形態)
次に、ダイナミックダンパを内蔵するヘッドレスト14の第5の実施形態を図23に従って説明する。なお、第5の実施形態は、クッション材23を錘25側とヘッドレストステー21の連結部212側とに分離させる方法が第1〜第3の各実施形態と異なっている。したがって、以下の説明においては、第1〜第3の各実施形態と相違する部分について主に説明するものとし、第1〜第3の各実施形態と同一の部材構成には同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
図23に示すように、クッション材23においてヘッドレストステー21の各連結部212よりも車両幅方向内側の中央領域には、クッション材23の下面233に開口する凹部90が形成されている。また、クッション材23は、凹部90の底壁901から凹部90の開口902、即ち下方に向けて延出する延出部91を備えており、この延出部91の外壁は凹部90の内壁から離れている。そのため、延出部91は、前後方向及び車両幅方向に揺動可能となっている。そして、こうした延出部91の長手方向における先端側に錘25が埋設されている。したがって、本実施形態では、凹部90及び延出部91により、「分離部」が構成される。
本実施形態では、錘25が埋設されている延出部91がダイナミックダンパのバネ系として機能することとなる。すなわち、本実施形態のダイナミックダンパは、一端が凹部90の底壁901に支持されているバネに錘25が弾性支持されたものと見なすことができる。したがって、本実施形態のダイナミックダンパを内蔵するヘッドレスト14では、上記第4の実施形態と同等の作用を発揮するようになる。
以上説明したように、本実施形態では、上記第4の実施形態の効果(12),(15),(16)と同等の効果に加え、以下に示す効果をさらに得ることができる。
(17)クッション材23の下面233に開口する凹部90を設け、この凹部90内に延出部91が収容されるようにクッション材23を構成した。そのため、クッション材23の製造時に、凹部90及び延出部91を形成するための治具を容易に型内に配置できるとともに、同治具を容易にクッション材23から取り外すことが可能となる。したがって、クッション材23の製造の容易性を向上させることができるようになる。
なお、上記各実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・第1の実施形態において、溝30を、錘25とヘッドレストステー21の連結部212との間を横切るのであれば前後方向と交差する方向に延びるように形成してもよい。
同様に、第2の実施形態において、第1の溝部301を、錘25とヘッドレストステー21の連結部212との間を横切るのであれば前後方向と交差する方向に延びるように形成してもよい。
・第2の実施形態において、第1の溝部301の前端に接続される第2の溝部302の幅寸法D2Fと、第1の溝部301の後端に接続される第2の溝部302の幅寸法D2Rとを異ならせてもよい。
・第2の実施形態において、第1の溝部301の前端に接続される第2の溝部302の長さと、第1の溝部301の後端に接続される第2の溝部302の長さとを異ならせてもよい。
・第2の実施形態において、溝30Aは、第1の溝部301の前端及び後端の一方に第2の溝部302を設けた構成であってもよい。
・第2の実施形態において、錘25よりも前側に位置する第2の溝部302を、第1の溝部301に接続されるのであれば第1の溝部301の前端以外の位置に接続させてもよい。同様に、錘25よりも後側に位置する第2の溝部302を、第1の溝部301に接続されるのであれば第1の溝部301の後端以外の位置に接続させてもよい。
・第1の実施形態において、錘25とヘッドレストステー21の連結部212との間を横切るスリットは、錘25側の分離面31と連結部212側の分離面32とが当接するように形成したものであってもよい。
・第3の実施形態において、筒50を、クッション材23を錘25側とヘッドレストステー21の連結部212側とに分離することができるのであれば、その軸方向が前後方向と交差するように配置してもよい。
・第3の実施形態において、筒は、円筒形状以外の他の任意の形状をなすものであってもよい。例えば、図24に示すように、四角筒状をなす筒50Aを、クッション材23に埋設させてもよい。この場合、筒50A内には、直方体状をなす錘25Aを収容してもよい。
・第3の実施形態において、錘25を、筒50の前後方向中央よりも前側に配置してもよいし、筒50の前後方向中央よりも後側に配置してもよい。
・第3の実施形態において、図25に示すように、筒50Bは、軸方向における中央から外側に向けて通路断面積が次第に広くなるように形成されたものであってもよい。こうした形状の筒を採用する場合においては、通路断面積が最も狭くなる領域に錘25を配置することが好ましい。この場合、錘25を前後方向だけではなく、上下方向や車両幅方向にも多少ではあるが揺動させることが可能となる。すなわち、車両用シート11の上下方向の振動や車両幅方向への振動も減衰させることが可能となる。
また、筒は、軸方向における一端から他端に向けて次第に通路断面積が広くなるように形成されたものであってもよい。
・第3の実施形態において、筒50として、内周面51と錘25との間にクッション材23を介在させることができるような大きさのものを採用してもよい。
・第3の実施形態において、筒50の内周面51に潤滑油を塗布しなくてもよい。
・クッション材23において錘25とヘッドレストステー21の連結部212との間には、図26に示すように、クッション材23を錘25側と連結部212側とに区切る板状の分離部材60を設けてもよい。このように構成しても、クッション材の中途部位23Mはダイナミックダンパのバネ系としてほとんど機能しなくなる。そのため、クッション材23の自体の剛性を低くすることなく、バネ系の支持剛性を低くすることができる。したがって、錘25の重量及びクッション材23の剛性を変更しなくても、ダイナミックダンパの共振周波数帯域を低くすることができるようになる。
・第4の実施形態において、延出部71は、その下端712がクッション材23の下部231に当接していてもよい。
・第4及び第5の実施形態において、延出部71,91は、円柱形状以外の任意の形状であってもよい。例えば、延出部71,91は、例えば、四角柱形状であってもよいし、上端から下端に向かうに連れて次第に太くなったり細くなったりする形状であってもよい。
・第4及び第5の実施形態において、延出部71,91内に埋設される錘は、球状以外の任意の形状であってもよい。例えば、図27に示すように、延出部71(91)内には、円柱形状の錘25Bを埋設させてもよい。
また、図28に示すように、錘25Cは、一部が延出部71(91)に埋設されるものであってもよい。この場合、錘25Cは、延出部71に支持された態様となる。
・第5の実施形態において、凹部90内には、図29に示すように、軸方向が上下方向と一致するように配置される筒100を設けてもよい。この場合、筒100の内周面101と延出部91の側壁との間には隙間102が介在されることが好ましい。また、筒100の外周面が凹部90の側壁に密接していることが好ましい。
また、筒100の内周面101と延出部91の側壁との間に隙間102が介在しているのであれば、筒100の外周面は、凹部90の側壁に必ずしも当接していなくてもよい。
このように凹部90内に筒100を設けることにより、表皮材24からクッション材23に付与される張力によって上記の隙間102が狭くなることが規制される。その結果、錘25の揺動範囲が狭くなりにくくなり、ダイナミックダンパによる振動減衰効率を向上させることができるようになる。
・第5の実施形態において、延出部91の下端は、クッション材23の下面233よりも上方に位置していてもよいし、下面233と上下方向において一致していてもよい。
・ダイナミックダンパが内蔵されるクッション体は、シートバック13であってもよいし、シートクッション12であってもよい。ただし、この場合、車両用シート11が車体に支持される位置に近い位置に錘を設けることとなるため、ヘッドレスト14内に錘25を設ける場合と比較して重い錘を用いることが好ましい。
11…車両用シート、12…クッション体の一例としてのシートクッション、13…クッション体の一例としてのシートバック、14…クッション体の一例としてのヘッドレスト、21…フレームの一例としてのヘッドレストステー、212…ヘッドレストステーの連結部、23…クッション材、231…クッション材の下部、233…クッション材の下面、25,25A〜25C…錘、30,30A…分離部の一例としての溝(スリット)、31,32…分離面、50,50A,50B…分離部の一例としての筒、60…分離部の一例としての分離部材、70…空間、703…隙間、71,91…延出部、712…延出部の下端、90…凹部、901…底壁、902…開口、100…筒。

Claims (12)

  1. クッション材の内部に、フレームの少なくとも一部及び錘が設けられてなる車両用シートのクッション体において、
    前記錘は前記クッション材により弾性支持されており、
    前記クッション材を前記フレーム側と前記錘側とに分離する分離部を設けており、
    前記クッション材には、同クッション材の下面に開口する凹部が設けられるとともに、同凹部の底壁から同凹部の開口に向けて延出する揺動可能な延出部が設けられ、
    同延出部に前記錘の少なくとも一部が埋設されており、
    前記凹部の内面と前記延出部との隙間により前記分離部が構成されてなる
    ことを特徴とする車両用シートのクッション体。
  2. クッション材の内部に、フレームの少なくとも一部及び錘が設けられてなる車両用シートのクッション体において、
    前記錘は前記クッション材により弾性支持されており、
    前記クッション材を前記フレーム側と前記錘側とに分離する分離部を設けており、
    前記クッション材には、その内部に空間が設けられるとともに、同空間の上部から同クッション材の下部に向けて延出する揺動可能な延出部が設けられ、
    同延出部に前記錘の少なくとも一部が埋設されており、
    前記空間の内面と前記延出部との隙間により前記分離部が構成されてなる
    ことを特徴とする車両用シートのクッション体。
  3. 前記延出部の下端と前記クッション材の下部との間には隙間が介在してなる
    請求項2に記載の車両用シートのクッション体。
  4. 前記凹部内には軸方向が上下方向に沿うように筒が設けられ、同筒の内周面と前記延出部の側面との間には隙間が介在してなる
    請求項1に記載の車両用シートのクッション体。
  5. クッション材の内部に、フレームの少なくとも一部及び錘が設けられてなる車両用シートのクッション体において、
    前記錘は前記クッション材により弾性支持されており、
    前記クッション材を前記フレーム側と前記錘側とに分離する分離部を設けており、
    前記クッション材には、前記フレームと前記錘との間を横切るようにスリットが形成されており、
    前記スリットが前記分離部として機能する
    ことを特徴とする車両用シートのクッション体。
  6. 前記スリットを挟んで互いに対向する前記クッション材における前記錘側の分離面及び前記フレーム側の分離面は、互いに離れている
    請求項5に記載の車両用シートのクッション体。
  7. 前記スリットは、車両前後方向に沿うように形成されてなる
    請求項5又は請求項6に記載の車両用シートのクッション体。
  8. 前記スリットは、前記クッション材の下面で開放されてなる
    請求項5〜請求項7のうち何れか一項に記載の車両用シートのクッション体。
  9. クッション材の内部に、フレームの少なくとも一部及び錘が設けられてなる車両用シートのクッション体において、
    前記錘は前記クッション材により弾性支持されており、
    前記クッション材を前記フレーム側と前記錘側とに分離する分離部を設けており、
    前記クッション材の内部には軸方向が前記フレームと前記錘とを結ぶ方向と交差する態様で筒が埋設され、同筒内で前記錘がその軸方向において前記クッション材に弾性支持されており、
    前記筒が前記分離部として機能する
    ことを特徴とする車両用シートのクッション体。
  10. 前記筒は、その軸方向が車両前後方向に沿うように配置されてなる
    請求項9に記載の車両用シートのクッション体。
  11. 前記筒の内側面には潤滑剤が塗布されてなる
    請求項9又は請求項10に記載の車両用シートのクッション体。
  12. 前記クッション体は、前記フレームとしてのヘッドレストステーを介してシートバックに支持されるヘッドレストである
    請求項1〜請求項11のうち何れか一項に記載の車両用シートのクッション体。
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