JP5949475B2 - 車両の燃料貯蔵装置 - Google Patents
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Description
給油口から燃料を給油する際、燃料液面の上昇に伴って燃料タンクの内圧も上昇し、燃料タンクの上部空間の空気は開放状態のシャットオフバルブからブリーザパイプを経て給油口(外部)へ排出される。給油によって燃料液面が満水面まで上昇したとき、シャットオフバルブが閉塞状態になるため、燃料タンクの上部空間が閉塞されることにより燃料タンク内の燃料液面の上昇が制限され、これと同時にフィラーパイプ内の燃料液面の上昇が開始される。そして、フィラーパイプ内の燃料液面が給油ノズルに達したとき、給油ガンのオートストップ装置が作動して燃料の給油が停止される。
一方で、車両衝突時等の安全性を考慮して、燃料タンクは左右1対のリヤサイドフレームの間においてリヤフロアパネルの下方位置に配設され、これにより車両外部から保護されると共に、車室内部と仕切られている。その結果、リヤサイドフレーム下端よりも上方のタンク上部に燃料を送れなくなり、タンクスペースが有効に使えない。
それ故、リヤサイドフレーム下端よりも上方の燃料タンク上部のシャットオフバルブに連通されたブリーザパイプは、あえてその途中部で下方に湾曲した略U字状に形成され、リヤサイドフレームを迂回するように構成されたものが知られている。
燃料タンクの容量確保や燃料タンクと路面との離間距離確保を図る場合には、燃料タンクの上壁の高さ位置を高く設定するため、ブリーザパイプの湾曲部の高低差も更に大きく形成される。
蒸発燃料がトラップされた残りの空気は、吸着材の下流側に設けられたドレンパイプを介して外部へ放出され、吸着材に蓄えられた蒸発燃料は、キャニスタから延設されたパージパイプを介してエンジンが発生する負圧によってエンジンの吸気系に吸引される。
キャニスタのドレンパイプに、蒸発燃料トラップ後の空気を外部へ放出するキャニスタ用空気放出機能に加え、給油時において燃料タンク内の空気を外部へ排出する給油用空気排出機能を付加することによって、燃料タンクからブリーザパイプを省略した構造も知られている。
しかし、特許文献1の燃料タンクは、エンジンから還流する余剰燃料がジェットポンプを通過する際に発生する負圧を用いて凝結燃料を吸引しているため、ジェットポンプ、滞留燃料排出パイプ及びリターンパイプ等の専用部品を新たに設ける必要が生じ、製作コストが増加する虞がある。また、エンジン停止時には、エンジンから還流する余剰燃料が発生しないため、下方湾曲部の凝結燃料を吸引除去することが困難である。
また、キャニスタのドレンパイプにブリーザパイプの給油用空気排出機能を付加する場合、凝結燃料によるブリーザパイプの湾曲部の閉塞現象を回避することも可能性である。
しかし、燃料の給油速度に略等しい排気速度でキャニスタを介して燃料タンク内の空気を外部へ排出させるためには、燃料タンク内の空気が吸着材の内部を流れるときに生じる排気抵抗を低減する必要がある。それ故、キャニスタの大型化を招き、そのレイアウト性に大きな制約を生じる虞がある。
請求項5の発明は、請求項1〜4の何れか1項の発明において、前記バイパス通路が、気液分離可能な第2セパレータ部を介して前記給油口に接続されたことを特徴としている。
請求項6の発明は、請求項1〜5の何れか1項の発明において、前記給油口が、給油時、前記バイパス通路との接続部分よりも上流側に給油ノズルに液密状に当接可能なシール部を備えたことを特徴としている。
また、吸着材による給油口側通路で発生した凝結燃料の吸着を防止し、吸着材の吸着性能低下を防止できる。
請求項4の発明によれば、給油口側通路を小径化することができると共に、給油時、外部へ排出される燃料タンク内の空気から蒸発燃料を除去することができる。
請求項6の発明によれば、大気放出通路から燃料タンク内の空気を積極的に排出できるため、給油時において外部へ排出される燃料タンク内の空気から蒸発燃料を除去することができる。
尚、車両の進行方向に対して、前後方向を前後方向とし、左右方向を左右方向として説明する。
図1〜図3,図5に示すように、車両Vは、燃料を収容可能な燃料タンク1と、蒸発燃料を吸着可能なキャニスタ2と、車体前後方向に延びる左右1対のリヤサイドフレーム3(車体フレーム)と、車室床面を形成するリヤフロアパネル4と、左右1対のホイールハウス5と、左右1対のリヤフェンダ6等を備えている。この車両Vは、車体前部に駆動用のエンジン(図示略)が搭載されている。
左右1対のホイールハウス5は、その下端がリヤフロアパネル4の左右端と左右1対のリヤサイドフレーム3の車幅方向外側端との間に夫々連結され、上側程車幅方向外側へ移行するように夫々湾曲状に形成されている。
図1〜図3,図5に示すように、燃料タンク1は、平面視にて左右1対のリヤサイドフレーム3の間に配設され、側面視にてキックアップ部3aの近傍においてリヤフロアパネル4の下方に配設されている。燃料タンク1は、車幅方向に延びる略扁平状に形成され、燃料ポンプ11と、気液分離バルブとしてのシャットオフバルブ12(バルブ手段)と、フィラーパイプ13等を備えている。
燃料ポンプ11は、燃料タンク1の車幅方向右側内部に挿入され、燃料タンク1に収容された燃料をエンジンに対して供給可能に構成されている。
シャットオフバルブ12は、燃料の液面レベルが満水面レベルのとき、弁体12bが弁座12cに着座するように燃料タンク1の上壁1aに対して位置決めされている。
図3,図5に示すように、燃料タンク1の上壁1aの高さ位置はリヤサイドフレーム3の下端3bの高さ位置よりも高く設定されているため、リヤサイドフレーム3の下端3bの高さ位置よりも燃料通過孔12dの高さ位置が高く、燃料通過孔12dの高さ位置よりも燃料タンク1の満水面レベルLが高く設定されている。
フィラーパイプ13は、給油口14と、燃料タンク1方向へ向かうの流れのみを許容する逆止弁19とを備えている。
図5に示すように、給油口14は、筒状に形成され、大径筒部14aと、この大径筒部14aの下側に段差部14cを介して連なる小径筒部14bと、環状のシール部15と、ガイド体16と、シール部15とガイド体16を段差部14cに挟持するストッパ17等を備えている。
シール部15は弾性材料によって形成され、給油時、給油ガンのノズルNの先端側部分外周に液密状に当節可能に構成されている。ガイド体16は、給油時、給油ガンを案内するガイド機能を備えている。
図1〜図3,図5に示すように、キャニスタ2は、平面視にて燃料タンク1と左側リヤサイドフレーム3との間に配設され、側面視にてキックアップ部3aの近傍においてリヤフロアパネル4の下方に配設されている。
キャニスタ2は、吸着部21と、セパレータ部22等を備え、トラップパイプ23(タンク側通路)と、ドレンパイプ24(大気放出通路)と、パージパイプ25(蒸発燃料パイプ)と、バイパスパイプ26(給油口側通路)等が接続されている。
セパレータ部22は、吸着部21よりも下方部分に所定容量の容積室を形成し、気液分離可能且つ燃料貯留可能に構成されている。このセパレータ部22は、上壁に相当する仕切壁2aに設けられた連通口2bを介して吸着部21の内部と連通可能に構成されている。
即ち、トラップパイプ23は、給油用空気排出機能を備え、給油時にバイパス通路の上流部を構成する。
これにより、セパレータ部22へ流動した蒸発燃料は、吸着材27を通過するとき、吸着材27によってトラップされ、吸着材27内部に蓄えられる。蒸発燃料がトラップされた残りの空気は、ドレンパイプ24を流れて大気開放口5aから外部へ放出される。
蒸発燃料トラップ後の空気中に多少燃料が残留している場合でも、大気放出前にフィルタ28によって除去されるため、蒸発燃料の大気放出を回避できる。
パージコントロールバルブが開作動されたとき、エンジンの負圧によってパージパイプ25及びセパレータ部22が負圧になるため、大気開放口5aからドレンパイプ24を介して吸着部21内へ外気が導入され、この外気が吸着材27に蓄えられた蒸発燃料を吸着材27から離脱させてパージ混合気を生成し、このパージ混合気がパージパイプ25を介してエンジンの吸気管へ供給される。
湾曲部26aは、リヤサイドフレーム3の下方を車幅方向へ横切るために車幅方向内側程下方に移行するように湾曲状に形成され、その下端が中段開口22cに接続されている。この湾曲部26aの車幅方向外側部分は上方へ延びるように構成され、第2セパレータ部29を介して小径筒部14bに連通される。従って、このバイパスパイプ26は、その途中に液が溜まるような下方にU字状に湾曲した湾曲部を形成しないように、バイパス通路の下流部を構成している。
第2セパレータ部29は、小径筒部14bの側方に所定容量の容積室を形成し、気液分離可能且つ燃料貯留可能に構成されている。
この車両Vの燃料貯蔵装置によれば、バイパス通路上流部を構成するトラップパイプ23の下端をセパレータ部22の上部開口22aに接続し、バイパス通路下流部を構成するバイパスパイプ26の湾曲部26aの下端をバイパスパイプ26よりも流路面積が大きく且つ凝結燃料を貯留可能なキャニスタ2によって構成したため、凝結して液化した凝結燃料が発生しても、凝結燃料をキャニスタ2内へ取り込むことができるから、車両Vの運転状態に拘らずに燃料タンク1内の空気を外部へ排出して凝結燃料によるバイパスパイプ26の閉塞を防止することができる。しかも、バイパスパイプ26の湾曲部26aの下端に接続されたキャニスタ2は燃料タンクが装備している既存装置であり、部品点数の増加がないため、製作コストの増加を抑制することができる。
セパレータ部22にエンジンの吸気系に連通するパージパイプ25が連通接続され、吸着部21に蒸発燃料トラップ後の空気を大気放出するためのドレンパイプ24が連通接続されたため、パージパイプ25によってキャニスタ2に取り込まれた凝結燃料をエンジンの吸気系に供給することができる。
バイパスパイプ26が、気液分離可能な第2セパレータ部29を介して給油口14に接続されたため、給油時や旋回時等にバイパスパイプ26を流れてキャニスタ2内部へ流入する燃料を防ぐことができる。
1〕前記実施例においては、キャニスタが平面視にて燃料タンクと左側リヤサイドフレームとの間且つ側面視にてリヤフロアパネルの下方に配設された例を説明したが、少なくともバイパス通路の下方にU字状に湾曲した湾曲部下端から凝縮燃料が流れ込むように接続すれば良く、各車両のレイアウト条件に応じて任意に配設場所を設定しても良い。
また、バイパスパイプの湾曲部下端とキャニスタを直接接続せず、連結パイプを介して接続しても良い。
4〕前記実施例においては、バイパス通路の上流側のパイプがトラップパイプで兼用されているが、1本のバイパスパイプをシャットオフバルブと給油口との間に延設し、その途中の下方に湾曲した湾曲部の下端にキャニスタを直接または連結パイプを介して接続しても良い。
5〕前記実施例においては、キャニスタのセパレート部が吸着材よりも下方に配設されているが、これに限られるものではなく、セパレート部から吸着材に凝縮燃料が流入することを防ぐ隔壁を設けたものでもよい。
6〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
2 キャニスタ
3 リヤサイドフレーム
3b (リヤサイドフレーム)下端
12 シャットオフバルブ
13 フィラーパイプ
14 給油口
15 シール部
21 吸着部
22 セパレータ部
24 ドレンパイプ
25 パージパイプ
26 バイパスパイプ
26a 湾曲部
27 吸着材
28 第2セパレータ部
V 車両
Claims (6)
- 給油口からフィラーパイプを介して供給された燃料を収容可能な燃料タンクと、この燃料タンク内の蒸発燃料を吸着する吸着材を収容したキャニスタとを備えた車両の燃料貯蔵装置において、
前記燃料タンクに収容した燃料が所定の液面レベルに上昇する間において開放し且つ前記所定の液面レベルに上昇したときに閉塞するバルブ手段であって、前記キャニスタに連通されたバルブ手段と、
前記バルブ手段と前記キャニスタとを連通するタンク側通路と前記キャニスタと前記給油口とを連通する給油口側通路とを有するバイパス通路とを備え、
前記キャニスタに前記吸着材を収容する吸着部と気液分離可能で且つ前記バルブ手段よりも下方に位置するセパレータ部を設け、
前記タンク側通路は前記セパレータ部に連通するように接続され、
前記給油口側通路は前記バルブ手段よりも下方に湾曲する湾曲部を有し、この湾曲部の下端が前記セパレータ部に連通するように接続されたことを特徴とする車両の燃料貯蔵装置。 - 前記燃料タンクが平面視にて車体前後方向に延びる左右1対の車体フレームの間に配設され、前記給油口が前記左右1対の車体フレームのうちの一方の車体フレームよりも車幅方向外側に配設され、前記バイパス通路が前記一方の車体フレームよりも下方を車幅方向外側から内側へ延びるように配設されると共に、
前記所定の液面レベルが前記一方の車体フレームの下端よりも上方に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の車両の燃料貯蔵装置。 - 前記セパレータ部にエンジンの吸気系に連通する蒸発燃料パイプが連通接続され、前記吸着部に蒸発燃料離脱後の空気を大気放出するための大気放出通路が連通接続されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の燃料貯蔵装置。
- 前記大気放出通路が、給油時、前記燃料タンク内の空気を前記吸着部を経由して放出可能に構成されたことを特徴とする請求項3に記載の車両の燃料貯蔵装置。
- 前記給油口側通路が、気液分離可能な第2セパレータ部を介して前記給油口に接続されたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の車両の燃料貯蔵装置。
- 前記給油口が、給油時、前記給油口側通路との接続部分よりも上流側に給油ノズルに液密状に当接可能なシール部を備えたことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の車両の燃料貯蔵装置。
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