JP5949451B2 - 軸ずれ判定装置 - Google Patents
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Description
具体的には、それぞれが互いに異なった照射領域を照射する複数のレーザビームを使用し、自車両が直線を走行している場合に、各レーザビームが、停止物を検出した時点における停止物までの距離と、停止物を検出できなくなった時点における停止物までの距離とを利用して、レーダ装置を基準とした座標系で停止物の位置座標を求め、これらの位置座標から求めた近似直線の傾きから軸ずれ量を求めている(例えば、特許文献1参照)。
但し、軌跡座標生成手段では、座標算出手段が、領域間移動判定手段または領域外移動判定手段により、停止物が領域間移動または領域外移動したと判定された時に、領域間移動または領域外移動に関与する分割領域の境界上に停止物が存在するものとして、軌跡座標を算出する。
<全体構成>
本実施形態の車載レーダ装置1は、図1に示すように、車両の前端に取り付けられ、その取付位置から前方に向けてレーザ光からなるレーダ波を照射し、その反射波を受信することにより、予め設定された探査範囲SF内に存在する物標を検知するものである。
そして、レーダ装置1は、探査範囲SFを構成する角度範囲の中心が示す方向が、水平面内では、車両の直進方向と一致し、垂直面内では俯角(下向きの角度)を持つように車両に取り付けられている。
レーダ装置1は、図2に示すように、発光制御信号SCに従ってパルス状のレーザ光(送信波)を、探査範囲SFに向けて照射する発光部10と、レーザ光を反射した物標からの反射光(反射波)を受光して受光強度に応じた電気信号(受光信号)R1〜R7に変換する受光部20と、発光部10に供給する発光制御信号SCを生成すると共に、受光部20から供給される受光信号R1〜R7に基づいて、探査チャンネルCH1〜CH7毎に、レーザ光を反射した物標(反射物標)までの距離を表す測距データ及び受光信号の強度を表す強度データを生成する測距部30と、車載LANを介して車両に搭載された各種車載装置と通信を行うと共に、測距部30から供給される測距データや強度データに基づく各種処理を実行する制御部40とを備えている。
発光部10は、図3(a)に示すように、発光制御信号SCに従って、レーザ光を発生させるレーザダイオード等からなる発光素子11、発光制御信号SCに従って発光素子を駆動する駆動回路12、レーザ光が探査範囲SFの全体を含む範囲に一括照射されるように発光素子11から放射されたレーザ光の探査範囲を調整するコリメートレンズ13等で構成されている。
受光部20は、図3(b)に示すように、探査範囲から到来する反射光を集光する集光レンズ21、集光レンズ21を介して受光した反射光の強度に応じた電圧値を有する電気信号を発生させる複数(分割領域の数と同数)の受光素子からなる受光素子群を中心に構成された受光回路22、受光回路22を構成する各受光素子から出力される受光信号R1〜R7を個別に増幅する増幅回路23等で構成されている。
測距部30は、予め設定された検出周期毎にレーダ波の送信タイミングを示す発光制御信号SCを発光部10に供給し、その後、受光部20から供給される受光信号R1〜R7の強度を計測すると共に、発光制御信号SCから特定されるレーダ波の送信タイミング及び受光信号R1〜R7から特定される受信タイミングに基づいて、レーダ波が物標との間を往復するのに要した時間を、探査チャンネルCH1〜CH7毎に計測する。そして、強度の計測結果を強度データ、時間の計測結果からレーダ波を反射した反射点までの距離を求めた結果を測距データとして、これら探査チャンネルCH1〜CH7毎に求められた強度データ及び測距データを制御部40に供給するように構成されている。
制御部40は、CPU,ROM,RAMを中心に構成され、測距部30から供給される測距データに基づいて物標を検出し、その検出された物標に関する物標データを、車載LANを介して提供する物標検出処理、測距データ,強度データ,車載LANを介して取得する各種センサからの情報に基づいてレーダ装置1の車幅方向への軸ずれを判定する横ずれ判定処理、車高方向への軸ずれを判定する縦ずれ判定処理等を実行する。更に、制御部40は、発光部10への電力供給などを制御するパワー制御信号PC、受光部20への電力供給や増幅回路23の増幅率などを制御する受光制御信号RC等を生成する処理も実行する。
制御部40が実行する物標検出処理の概要を、図4に示すフローチャートに沿って説明する。なお、本処理は、測距部30から測距データを取得する毎に起動する。
続くS120では、クラスタリング処理で生成されたクラスタのうち、受信強度が物標検出閾値以上のものを物標候補、受信強度が物標検出閾値未満のものを疑似物標候補として、今サイクルで検出された物標候補/疑似物標候補と、前サイクルで検出された物標候補/疑似物標候補との対応付けを行うトラッキング処理を実行する。
なお、物標候補に関するトラッキング処理の結果は、後述する横ずれ判定処理で使用され、また、疑似物標候補に関するトラッキング処理の結果は、後述する縦ずれ判定処理で使用される。
横ずれ判定処理は、上述した物標検出処理におけるトラッキング処理(S120)での処理結果が得られる毎に起動される。以下では、トラッキング処理によって追跡中の物標候補をプリ物標と呼ぶものとする。
この軌跡座標収集処理では、図6に示すように、まず、S310にて、全てのプリ物標について、レーダ装置1を基準とした座標系での位置座標を求める。具体的には、探査チャンネルCH1〜CH7毎に、その探査チャンネルCHiで検出された測距データに基づき、その探査チャンネルCHiに対応する分割領域Aiの中心を通る方位(方位角は既知)上にプリ物標が存在するものとして座標を算出する。また、レーダ装置1を基準とした座標系では、装置正面方向に沿った軸をX軸、水平面内でX軸と直交する軸をY軸とし、ここでは、レーダ装置1の取付位置(レーダ波を送受する地点)を座標の原点とする。
本処理では、まず、S410にて、対象プリ物標が検出された分割領域の中で、受信強度が最大となるものを最大強度領域として、この最大強度領域に対応する探査チャンネルをピークチャンネルPとして記憶する。以下では、今サイクルで記憶したピークチャンネルをPt 、前サイクルで記憶したピークチャンネルをPt-1 で表すものとする。
前サイクルから変化していれば、対象プリ物標が領域間移動をしたものとしてS430に移行し、対象プリ物標が跨いだ分割領域の境界を示す境界番号Nを、以下に示す(1)に従って算出してS490に進む。
一方、ピークチャンネルが前サイクルと同じであれば、S440にて、ピークチャンネルPt は領域端に対応するもの(即ち、チャンネルCH1またはCH7)であるか否かを判断し、領域端でなければそのまま本処理を終了する。
N=Pt +1 (3)
なお、レーダ装置1が分割領域Aiの領域幅を超えるような大きな軸ずれを生じていない限り、中心チャンネル(CH4)より左側に位置する停止物は、必ず、4→3→2→1のようにチャンネル番号が減少する方向に移動するように検出され、一方、中心チャンネルより右側にある停止物は、必ず、4→5→6→7のように、チャンネル番号が増大する方向に移動するように検出される。また、分割領域Ai(ひいては探査チャンネルCHi)と境界番号Nの関係は図1に示す通りである。これらの前提に従えば、(1)〜(3)式によって、停止物の軌跡が跨いだ境界を示す境界番号Nが特定されることは明らかである。
S500では、S490で取得した境界情報tanθと先のS310で求めた対象プリ物標の位置座標(Xp,Yp)に基づき、(5)(6)式に従って、軌跡座標(X、Y)を算出する。
Y=Yp (6)
S510では、この求めた軌跡座標(X,Y)を、対象プリ物標に対応付けて登録(記憶)し、続くS520では、対象プリ物標について登録されている軌跡座標の数が3個以上であるか否かを判断する。
つまり、対象停止物が、探査範囲SFを通過済みであることが確認され(消去フラグ:オン)、しかも、探査範囲SFの通過中に、3個以上の軌跡座標が登録された(許可フラグ:オン)場合に、S250に進む。
そして、必要値に達していなければS300に移行し、必要値に達していればS280に移行して、軌跡角度を評価して軸ずれの有無を判定する軌跡角度評価処理を実行し、続くS290では、軌跡角度のサンプル数をクリアして、S300に進む。
本処理では、まず、S610にて、必要量だけ記憶されている軌跡角度の平均値を算出し、その平均軌跡角度は、予め設定された角度閾値(例えば2°)以上であるか否かを判断する。つまり、軌跡角度を複数個単位で平均したものを、角度閾値と比較している。
続くS650では、異常カウンタ及び正常カウンタの両カウント値の合計値が、予め設定された判定開始閾値(例えば30)以上であるか否かを判断し、判定開始閾値以上であれば、S660にて、正常カウンタのカウント値に対する異常カウンタのカウント値の比(=[異常カウンタのカウント値]/[正常カウンタのカウント値])が、予め設定された横ずれ判定閾値(例えば、2)以上であるか否かを判断する。この場合、両者の比を直接求める代わりに、例えば、異常カウンタのカウント値が、正常カウンタのカウント値を2倍した値より大きいか否かによって判定してもよい。
次に縦ずれ判定処理の詳細を図9に示すフローチャートに沿って説明する。なお、本処理は、横ずれ判定処理と同様に、物標検出処理におけるトラッキング処理(S120)での処理結果が得られる毎に起動される。以下では、トラッキング処理によって追跡中の疑似物標候補を仮プリ物標と呼ぶものとする。
以上説明したように、レーダ装置1では、直進走行中に、デリニエータ等の反射率の大きい停止物を対象として、その停止物が分割領域Aiの境界を跨いで移動する領域間移動や探査範囲SFの境界を跨いで探査範囲SF外に移動する領域外移動を検出し、これら領域間移動や領域外移動の検出時に停止物が領域の境界に存在するものとして軌跡座標を求めている。そして、停止物が探査範囲SFを通過して領域外に移動するまでに、3個以上の軌跡座標が求められている場合に、停止物の軌跡を表す近似曲線を繰り求め、装置正面方向に対する近似曲線の傾きである軌跡角度を統計的に評価することによって、車幅方向への軸ずれ(横ずれ)の有無を判定している。
更に、レーダ装置1よれば、傾斜角度や対路面距離の検出結果を統計的に処理して結果に従って横ずれや縦ずれを判定しているため、検出結果に含まれる様々なノイズを抑制することができ、判定精度を向上させることができる。
以上本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において様々な態様にて実施することが可能である。
上記実施形態では、探査範囲SFに対してレーダ波を一括照射し、反射波の受信を分割領域毎に行うように構成されているが、レーダ波の照射を分割領域毎に行い、反射波の受信を一括して行うように構成したり、レーダ波の照射及び反射波の受信をいずれも分割領域毎に行うように構成したりしてもよい。
Claims (11)
- 互いに異なる方向を指向し、各々の検知可能範囲が隣接するもの同士で互いの一部が重なり合うように設定された複数の探査チャンネルを有し、前記検知可能範囲で覆われた探査範囲を分割することで構成され且つ各々が前記探査チャンネルのいずれかに対応付けられた各領域を分割領域として、前記探査範囲内に存在する物標からの反射波の受信強度及び前記物標との距離を前記分割領域毎に検出する検出部(10,20,30)を備えた車載レーダ装置の軸ずれを判定する軸ずれ判定装置であって、
前記検出部での検出結果に基づいて、前記探査範囲内に存在し予め設定された物標検出閾値以上の受信強度を有する物標を追跡する物標追跡手段(40,S120)と、
前記物標追跡手段により追跡されている物標が、継続的に停止しているか否かを判定する停止判定手段(40,S340)と、
前記停止判定手段により停止していると判定された物標である停止物の前記探査範囲内での軌跡を示す位置座標である軌跡座標を生成する軌跡座標生成手段(40,S410〜S510)と、
自車両が直進走行中であるか否かを判定する直進判定手段(40,S320)と、
前記直進判定手段により直進走行中であると判定されている期間に前記軌跡座標生成手段で生成される前記軌跡座標に基づき、前記停止物の水平面内での軌跡を直線で近似した近似直線を求め、前記検出部の正面方向に対する前記近似直線の傾斜角度を求める傾斜角度算出手段(40,S250)と、
前記傾斜角度算出手段にて算出された傾斜角度を統計的に処理した結果に従って、前記検出部の車幅方向への軸ずれの有無を判定する横ずれ判定手段(40,S610〜S670)と、
を備え、
前記軌跡座標生成手段は、
個々の前記停止物について最大の受信強度が得られる前記分割領域を最大強度領域、該最大強度領域が前回の検出時から隣接する分割領域に移動することを領域間移動として、前記停止物が領域間移動したか否かを判定する領域間移動判定手段(40,S410〜S430)と、
前記最大強度領域での受信強度が前記領域間移動を伴うことなく予め設定された消失判定閾値以上から該消失判定閾値未満に変化することを領域外移動として、前記停止物が領域外移動したか否かを判定する領域外移動判定手段(40,S420,S440〜S480)と、
前記領域間移動判定手段または前記領域外移動判定手段により、前記停止物が前記領域間移動または前記領域外移動したと判定された時に、前記領域間移動または領域外移動に関与する前記分割領域の境界上に前記停止物が存在するものとして、前記軌跡座標を算出する座標算出手段(40,S490〜S510)と、
を有することを特徴とする軸ずれ判定装置。 - 前記傾斜角度算出手段は、前記軌跡座標が3個以上存在する場合に前記近似直線を求めることを特徴とする請求項1に記載の軸ずれ判定装置。
- 前記横ずれ判定手段は、
前記傾斜角度が予め設定された角度閾値以上となる頻度を求める頻度算出手段(40,S610〜S640)と、
前記頻度算出手段にて算出される頻度が予め設定された判定閾値以上である場合に、軸ずれありと判定する頻度判定手段(40,S660〜S670)と、
を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の軸ずれ判定装置。 - 前記頻度算出手段は、前記傾斜角度算出手段にて算出された傾斜角度を、複数個単位で
平均した値を前記角度閾値との比較に用いることを特徴とする請求項3に記載の軸ずれ判定装置。 - 前記頻度算出手段は、前記傾斜角度が前記角度閾値を以上である回数をカウントする異常カウンタ、及び前記傾斜角度が前記角度閾値未満である回数をカウントする正常カウンタを備え、
前記異常カウンタのカウント値及び正常カウンタのカウント値から前記頻度を求めることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の軸ずれ判定装置。 - 前記頻度判定手段は、前記正常カウンタのカウント値と前記異常カウンタのカウント値の合計値が予め設定された下限値以上である場合に判定を開始することを特徴とする請求項5に記載の軸ずれ判定装置。
- 予め設定されたクリア条件に従って、前記異常カウンタ及び前記正常カウンタのカウント値を定期的にリセットするリセットするカウンタ初期化手段(40,S680〜S690)を備えることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の軸ずれ判定装置。
- 前記軌跡座標生成手段は、前記停止物のうち、予め設定された大きさを有するデリニエータの検出に適したデリ検出閾値以上の受信強度を有するものについて、前記軌跡座標を生成することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の軸ずれ判定装置。
- 予め設定された近距離閾値以下の距離に位置し、且つ反射波の受信強度が前記物標検出閾値未満となる疑似物標を追跡する疑似物標追跡手段(40,S120)と、
自車両が走行中の路面が勾配を有するか否かを判定する路面勾配判定手段(40,S710)と、
前記疑似物標が路面であるか否かを判定する路面判定手段(40,S730)と、
前記路面勾配判定手段及び前記直進判定手段(40,S710)により、自車両が平坦な道路を直進走行中であると判定された場合に、前記路面判定手段にて路面であると判定された疑似物標までの距離である対路面距離を統計的に処理した結果に従って、前記検出部の車高方向への軸ずれの有無を判定する縦ずれ判定手段(40,S740〜S780)と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の軸ずれ判定装置。 - 前記路面判定手段は、
単一のものとして認識される前記疑似物標が複数の分割領域に渡って検出され、且つ、前記疑似物標の奥行き幅が予め設定された奥行き閾値以下であり、且つ、前記疑似物標の移動速度が予め設定された停止判定閾値以下である場合に、前記疑似物標が路面であると判定することを特徴とする請求項9に記載の軸ずれ判定装置。 - 前記縦ずれ判定手段は、
前記対路面距離が予め設定された下限距離未満である回数から前記対路面距離が前記下限距離以上である回数を減じた差が予め設定された縦ずれ判定閾値以上である場合に軸ずれありと判定することを特徴とする請求項9または請求項10に記載の軸ずれ判定装置。
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