JP5946947B1 - 男子便所用小便器ユニット - Google Patents

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【課題】小水の小便器外への漏れや飛散を効果的に防止できること。【解決手段】男子便所用小便器ユニット1は、壁面Wに配設した小便器10と、小便器10の底面から離して垂直下方に配設した排水蓋21を有する排水溝20と、排水溝20の前記壁面の反対側に配設した汚垂石30とを具備し、汚垂石30は、御影石(花崗岩)等の石材の平滑面をブラスト加工することによりその表面にノンスリップ加工を施し、かつ、1〜15度の傾度で排水蓋21の壁面Wの反対側の上面に一致させて配設したものである。【選択図】図2

Description

本発明は、男子用小便器に使用者が近づきやすい構造であり、小水(小便)の跳ね返りのない男子便所用小便器ユニットに関するものであるある。
男子便所、特に、不特定多数の人が使用する、駅、乗り物、ホテル、レストラン等の商業施設、学校、病院、高齢者施設等の公衆便所においては、不特定多数の人が使用することから、それを意識するために、また、衣服等が小便器に触れるのを避けるために、小便器から離れた位置で用を足す傾向にある。その結果、小便器外の床面に小水が漏れ(垂れ)たり、飛散したりし、また、小便器外に漏れたり、飛散したりした汚水(小水)は、時間の経過と共に臭気を発生して不衛生であり、便所の利用者に不快感や不潔感を与えている。
特に、タイルやビニールクロス等の床材への小水の染み込みを防止して清掃を容易化するために、小便器外に漏れたり、飛散したりした小水を受ける受け皿として小便器の下部の床面上(下床)に御影石等の平滑な汚垂石が配設されている場合、小便器外に漏れたり、飛散したりした小水が汚垂石の表面に付着することで、それを避けて立とうとして、適切な位置で用を足すのが困難であったり、不安定な姿勢で用を足すことになったりして、小便器外に小水が多く漏れたり、飛散したりしやすい傾向にある。
そこで、使用者を小便器に接近させようとするものとして、特許文献1において、トイレ床面のうち、便器に向かって下り傾斜する傾斜面部が該便器に向かって直交方向に連続するように設けたトイレ用床面構造が開示されている。
また、特許文献2では、男子小便器の使用者が立つべき所定の使用位置に設けるトイレマットにおいて、履物を載せ置いた前記使用者の足裏を持ち上げる足載せ部を備え、前記足載せ部の上面形状において、前記使用者の踵の位置、土踏まずの位置、母趾球の位置、爪先の位置の順に低くなるように角度をつけたことが開示されている。更に、特許文献3においても、男子小便器の使用者が立つべき所定の使用位置に設ける床面構造であって前記男子小便器の使用者が立つべき前記使用位置の床面において、前記使用者の踵の位置、土踏まずの位置、母趾球の位置、爪先の位置の順に低くなるように角度をつけた傾斜を備えたことが開示されている。そして、特許文献4には、小便器の内側に所定の角度を形成した技術が開示されている。
特開2006−144549 特開2008−272498 特開2010−116765 特開2014−218800
しかしながら、特許文献1においては、傾きによって前傾姿勢となる不安定な姿勢を安定させようとし、また、特許文献2及び特許文献3においても、傾きによって使用者がバランスをとるとされており、特許文献1〜特許文献3の技術は、使用者に傾きを感じさせる構造、即ち、使用者が傾きを感じ取る構造となっている。このため、実際には、使用者は傾きによる不安定さを感じ取ってバランスをとり、姿勢を安定させために体重の重心を後方に移動させることで反身になることから、せっかくの傾きの角度が補正(補整)され、小便器との距離を傾きの分だけ縮めることはできない。そればかりか、傾きによる滑る可能性が不安感となり、却って小便器に近づくことを躊躇する恐れがある。したがって、小水の小便器外への漏れや飛散を防止する実用的な効果が得られ難くなっている。
そして、特許文献4は、使用者が小便器のボウル面に近づきやいように、便器洗浄装置が収納された収納室の前面をボウル面と連続し、後方に向かって傾斜して形成し、それによって小便器の内側に所定の角度が形成された技術であり、使用者が小便器に近づいていることが前提である。使用者が小便器に近づいていないと、小便器外への漏れや飛散の防止が効果的に発揮され難い。
そこで、本発明は、上記問題点を解消すべく、小水の小便器外への漏れや、小水の飛散を効果的に防止できる男子便所用小便器ユニットの提供を課題とするものである。
請求項1の発明の男子便所用小便器ユニットは、壁面に配設した男子用小便器の底面から離して垂直下方に配設した排水蓋を有する排水溝と、前記排水溝の前記壁面の反対側に配設した汚垂石とを具備し、前記汚垂石は、その表面にノンスリップ加工を施し、かつ、1〜15度の傾度で前記排水蓋の前記壁面の反対側の上面に一致させて配設したものである。
ここで、上記壁面に配設した男子用小便器は、壁面に沿って配設したものでもよいし、壁面に組み込んで配設したものでもよい。
また、上記男子用小便器の外側底面から離して垂直下方に配設した排水蓋を有する排水溝は、単に排水溝のみを形成したものではなく、前記排水溝の上面に排水蓋を有するもので、前記排水蓋としては、四面つば付桝蓋等のグレーチング蓋や、ステンレスまたは鋳鉄製の格子蓋等の使用が可能である。
そして、上記排水溝の前記壁面の反対側に配設した汚垂石は、その表面にノンスリップ加工を施し、かつ、1〜15度の傾度とし、前記壁面の反対側の前記排水蓋に一致させるように配設、即ち、前記排水溝の排水蓋の上面に向かって1〜15度の傾度の前下がりに傾斜させて配設したものである。特に、1〜15度の傾度では、ノンスリップ加工が施工されていなくても滑ることが少ない傾度である。
上記汚垂石のノンスリップ加工は、平行線や、井桁状の格子縞、斜め格子縞等の格子模様や、図形等をブラスト加工または切削加工等によって形成できる。
なお、上記汚垂石(おたち、ステップと呼ばれることもある)は、通常、アンモニアや酸に強く、汚水(小水)や臭いが染み込み難い材質で形成され、床材の変色を防止し小便器周りに漏れたり飛散したりした汚水の清掃の容易化を図るものである。
また、本発明の男子便所用小便器ユニットにおける前記汚垂石のノンスリップ加工は、石材または人工石材またはセラミックスの平滑面をブラスト加工することによって形成されているものであり、ノンスリップ加工を施す材料としては、石材または人工石材、セラミックスまたは合成樹脂が好ましい。石材または人工石材、セラミックスが水切りに好ましい。
請求項2の発明の男子便所用小便器ユニットは、壁面に配設した男子用小便器の外側底面から離して垂直下方に配設した排水蓋を有する排水溝と、前記排水溝の前記壁面の反対側に配設した汚垂石とを具備し、前記汚垂石は、その表面にノンスリップ加工を施し、かつ、1〜15度の傾度で前記排水蓋の前記壁面の反対側の上面に一致させて配設し、また、前記壁面に配設した前記男子用小便器の内面の立壁部に対して0〜15度の傾度で上方が前記男子用小便器を使用する男子側に、下方が前記男子から離反するように形成したものである。
ここで、上記壁面に配設した男子用小便器は、壁面に沿って配設したものでもよいし、壁面に組み込んで配設したものでもよい。
また、上記男子用小便器の外側底面から離して垂直下方に配設した排水蓋を有する排水溝は、単に排水溝のみを形成したものではなく、排水溝の上面に排水蓋を有するもので、排水蓋としては、四面つば付桝蓋等のグレーチング蓋や、ステンレスまたは鋳鉄製の格子蓋等の使用が可能である。
そして、上記排水溝の前記壁面の反対側に配設した汚垂石は、その表面にノンスリップ加工を施し、かつ、1〜15度の傾度とし、前記排水蓋の前記壁面の反対側上面に一致させるように配設したものである。
上記汚垂石のノンスリップ加工は、平行線や、井桁状の格子縞、斜め格子縞等の格子模様や、図形等をブラスト加工または切削加工等によって形成できる。
なお、上記汚垂石(おたち、ステップと呼ばれることもある)は、通常、アンモニアや酸に強く、小水や臭いが染み込み難い材質で形成され、床材の変色を防止し小便器周りに漏れたり飛散したりした汚水の清掃の容易化を図るものである。
また、上記壁面に配設した前記男子用小便器の内面の立壁部は、垂直に対して0〜15度の傾度で上方が前記男子用小便器を使用する男子側に、下方が前記男子から離反するように形成、即ち、鉛直線に対して0〜15度の傾度の範囲で内面上方を男子用小便器に向かって立つ男子寄りに、内面下方を壁面寄りに設けたものである。前記男子用小便器の内面の立壁部は、例えば、前記男子用小便器の高さの1/2の上部が鉛直線であっても、下から1/2の下部が0〜15度の傾度を有しておればよい。勿論、前記男子用小便器の全体が0〜15度の傾度を有していてもよい。
このように、男子用小便器の鉛直線に対し、内面上部から内面下部の直線に0〜15度の傾度の傾斜を持たせたことでも、前記汚垂石の傾斜角度を1〜15度の傾度としたときの同様の作用効果がある。
ここで、前記汚垂石の傾斜角度は前記男子用小便器の傾きから差し引くことも可能であるが、用を足す男子が前記汚垂石の傾斜角度、前記男子用小便器の傾きが感じられない程度の角度であれば、この角度は大きいことが望ましい。例えば、前記汚垂石の傾斜角度を5〜10度、前記男子用小便器の傾きを10〜15度とすることもできる。特に、前記男子用小便器の立壁部の傾きは20度以下であれば、通常の使用者である男子はその状態に気付くことがない。ここで、角度は大きいことが望ましいとは、前記男子用小便器の内面がベクトル的に表面張力の作用が大きくなり、小水を小便器の内面側に引付けるから、跳ね返りが少なくなる。また、前記汚垂石の傾斜角度と前記男子用小便器の傾きを加算すると、最大で30度となるが、両者の傾きの和の最小値の15度よりも好適であることを意味する。このときも、男子用小便器の傾きと前記汚垂石の傾斜角度とが30度以下であれば、用を足す人はそれに気付かず普段通りの使用ができる。
また、本発明の男子便所用小便器ユニットにおける前記汚垂石のノンスリップ加工は、石材または人工石材またはセラミックスの平滑面をブラスト加工することによって形成されているものであり、ノンスリップ加工を施す材料としては、石材または人工石材、セラミックスまたは合成樹脂が好ましい。石材または人工石材、セラミックスが水切りに好ましい。
請求項3の発明の男子便所用小便器ユニットにおける前記汚垂石のノンスリップ加工は、切削溝を形成してなるものであるから、切削溝の深さによって、汚水の流れる量を自由に設定できる。特に、前記壁面に垂直な切削溝を形成するのが好適である。
請求項1の発明の男子便所用小便器ユニットは、壁面に配設した男子用小便器の外側底面から離して垂直下方に配設した排水蓋を有する排水溝と、前記排水溝の前記壁面の反対側に配設した汚垂石とを具備し、前記汚垂石は、その表面にノンスリップ加工を施し、かつ、1〜15度の傾度で前記壁面の反対側の前記排水蓋の上面に一致させて配設したものである。
したがって、用を足す男子が前記汚垂石表面のノンスリップ加工の存在を確認するが、それが傾いていることを意識しないで男子用小便器に向かって立つから、男子の体が反身になることなく用を足すことができ、例えば、1mの高さからすれば、1.7〜26.8mm、好ましくは3〜10度では、5.2〜17.6mm、男子用小便器に近づくことになる。よって、小水が外に漏れる確率が低くなる。
そればかりか、小水の流れが1〜15度だけ小便器に近づき、小便器内の立壁部の沿面に沿って流れる沿面流の濡れ性が表面張力を増し、衝突の際の跳ね返りに相当する小水が少なくなる。したがって、使用者は経験則により、小便器に近づいて用を足すことができる。
特に、発明者らの実験によれば、構造を全く知らない人が3時間使用する状態のデータ取りを行った。従来の構造の前記汚垂石を固定し、水平(平面)構造である場合と、1〜15度の傾度の場合で実験したところ、水平構造で小便器外に漏らした水滴量は7.5gであったが、1〜15度の傾度の場合には、小便器外に漏らした水滴量は1g満たない量であった。このデータは前記汚垂石を3〜10度傾斜させた場合には、成績が良くなっているが、前記汚垂石の表面を平面とした場合や、傾斜面に立って用を足す位置が20度以上の斜面と認識される場合には成績は低下した。
即ち、前記汚垂石の表面を20度以上に傾けると、用を足そうとする男子は、その傾斜が安全であるか否かを無意識で判断して、男子用小便器から距離を離そうとし、また、前記汚垂石のノンスリップ加工を疑い、安全保った上で用を足そうとする。そのため、小水が外に漏れたり飛散したりする確率が高くなる。
逆に、前記汚垂石の表面を水平(平坦)にすると、前記汚垂石のノンスリップ加工の能力を疑う者がいなくなるが、通常の仕様となる。
前記汚垂石の表面を1〜15度の傾度とすることで、男子の体が反身になることなく男子用小便器に近づいて用を足すことができ、用を足している男子の小水は、男子用小便器内の壁面に対して表面張力と表面の濡れで、ベクトル的に反発力がなくなるから、跳ね返りの少ない状態で用足しができる。また、男子便所用小便器ユニットが新しいと綺麗に使用しようとする気構えがあり、汚れも少ない。
そして、前記汚垂石の表面のノンスリップ加工により、水分が表面に付着する確率が低くなると、誰が見てもスリップが生じない安心感が得られる。
したがって、小便器に近づきやすく、小水の小便器外への漏れや飛散を効果的に防止できる。
そして、本発明の男子便所用小便器ユニットによれば、前記汚垂石のノンスリップ加工は、石材または人工石材またはセラミックスの平滑面をブラスト加工することによって形成されているものであるから、石材または人工石材、セラミックスでは、防水性が良くて衛生状態を良好に保持することができ、また、平滑面をブラスト加工してなるノンスリップ加工が、石材または人工石材またはセラミックスに対して部分的にまたは全体的に行うのが容易にでき、更に、美観にも優れるものが製作できる。特に、セラミックスは焼成によって凹凸面を形成できるが、焼成後に平面を出し、その後にブラスト加工した方が見栄えが良くなる。
請求項2の発明の男子便所用小便器ユニットは、壁面に配設した男子用小便器の外側底面から離して垂直下方に配設した排水蓋を有する排水溝と、前記排水溝の前記壁面の反対側に配設した汚垂石とを具備し、前記汚垂石は、その表面にノンスリップ加工を施し、かつ、1〜15度の傾度で前記排水蓋の前記壁面の反対側の上面に一致させて配設し、また、前記壁面に配設した前記男子用小便器の内面の立壁部は、垂直に対して0〜15度の傾度で上方が前記男子用小便器を使用する男子側に、下方が前記男子から離反するように形成したものである。
したがって、用を足す男子が前記汚垂石表面のノンスリップ加工の存在を確認するが、汚垂石や男子用小便器が傾いていることを意識しないで男子用小便器に向かって立つから、男子の体が反身になることなく用を足すことができる。
ここで、汚垂石が1〜15度の傾度で傾いている場合、男子用小便器に向かって立つ男子は、例えば、1mの高さからすれば、1.7〜26.8mm、好ましくは3〜10度では、5.2〜17.6mm、男子用小便器に近づくことになる。よって、小水が外に漏れる確率が低くなる。そればかりか、小水の流れが1〜15度だけ小便器に近づき、小便器内の立壁部の沿面に沿って流れることになり、その沿面流の濡れ性が表面張力を増し、跳ね返りが少なくなる。発明者らの実験によれば、構造を全く知らない人が3時間使用する状態のデータ取りを行った。従来の構造の前記汚垂石を固定し、水平(平面)構造である場合と、1〜15度の傾度の場合で人に使用させたところ、水平(平面)構造で小便器外に漏らした水滴量は7.5gであったが、1〜15度の傾度の場合には、小便器外に漏らした水滴量は1g満たない量であった。このデータは前記汚垂石を3〜10度傾斜させた場合には、成績が良くなっているが、前記汚垂石の表面を平面とした場合や、傾斜面に立って用を足す位置が20度以上の斜面と認識される場合には成績は低下した。
即ち、前記汚垂石の表面を20度以上に傾けると、用を足そうとする男子は、その傾斜が安全であるか否かを無意識で判断し、男子用小便器から距離を離そうとし、また、前記汚垂石のノンスリップ加工を疑い、安全保った上で用を足そうとする。そのため、小水が外に漏れたり跳ねたりする確率が高くなる。逆に、前記汚垂石の表面を水平(平坦)にすると、前記汚垂石のノンスリップ加工の能力を疑う者がいなくなるが、通常の仕様となる。
前記汚垂石の表面を1〜15度の傾度とした場合には、男子の体が反身になることなく男子用小便器に近づいて用を足すことができ、しかも、男子用小便器内の立壁部に対して表面張力と表面の濡れで、ベクトル的に反発力がなくなるから、跳ね返りの少ない状態で用足しができる。そればかりか、1〜15度だけ小便器に近づき、小便器内の立壁部の沿面に沿って流れる沿面流の濡れ性が表面張力を増し、衝突の際の跳ね返りに相当する小水が少なくなる。したがって、使用者は経験則により、小便器に近づいて用を足すことができる。
また、この汚垂石の傾斜角度を男子用小便器の内面上部から内面下部の直線に持たせ、壁面に配設した前記男子用小便器の内面を、垂直に対して0〜15度の傾度で上方が前記男子用小便器を使用する男子側に、下方が前記男子から離反するように形成することでも、同様の作用効果を得ることができる。
即ち、男子用小便器の内面を垂直に対して0〜15度の傾度とすることで、それが傾いていることを意識しないで男子用小便器に近づいて男子の体が反身になることなく用を足すことができ、用を足している男子の小水の立壁部に対する衝突は、ベクトル的に反発成分が少なくなり、前記男子用小便器の内面の立壁部の沿面流の濡れ性が表面張力を増し、跳ね返りが少なくなり、男子便所用小便器ユニットを清潔に使用できる。
ここで、前記汚垂石の表面の角度を1〜15度の傾度で、男子用小便器の内面を垂直に対して0〜15度の傾度で人に使用させたところ、両者の和の角度は大きいことが望ましいことが明確になった。即ち、男子用小便器の内面の立壁部に対してベクトル的に反発力が弱くなり、小水を小便器の内面側の立壁部に引付けるから、沿面流の濡れ性が表面張力を増し、それだけ跳ね返りが少なくなった。また、前記汚垂石の傾斜角度と前記男子用小便器の傾きを加算すると、最大で30度となるが、最小値の15度よりも好適である。このときも、男子用小便器の傾きが0〜15度であれば、用を足す人は普段通りの使用ができる。
また、男子便所用小便器ユニットが新しいと、使用者は綺麗に維持しようとする意識があり、そして、前記汚垂石の表面のノンスリップ加工により、水分が表面に付着する確率が低くなり、誰が見てもスリップが生じない安心感が得られる。したがって、小水の小便器外への漏れや飛散を効果的に防止できる。
なお、請求項1では、男子用小便器の傾きが0度(垂直)のもので実験して良好であったから、男子用小便器の傾きが0〜15度であれば用を足す人は普段通りの使用ができる。
そして、本発明の男子便所用小便器ユニットによれば、前記汚垂石のノンスリップ加工は、石材または人工石材またはセラミックスの平滑面をブラスト加工することによって形成されているものであるから、石材または人工石材、セラミックスでは、防水性が良くて衛生状態を良好に保持することができ、また、平滑面をブラスト加工してなるノンスリップ加工が、石材または人工石材またはセラミックスに対して部分的にまたは全体的に行うのが容易にでき、更に、美観にも優れるものが製作できる。特に、セラミックスは焼成によって凹凸面を形成できるが、焼成後に平面を出し、その後にブラスト加工した方が見栄えが良くなる。
請求項3の発明の男子便所用小便器ユニットにおける前記汚垂石のノンスリップ加工は、切削溝を形成してなるものであるから、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、前記切削溝の深さによって水分の吸収量が変化し、常に、水分が前記汚垂石の表面を覆うことがないようにすることができる。
図1は本発明の実施の形態1に係る男子便所用小便器ユニットの構成を示す全体斜視図である。 図2は本発明の実施の形態1に係る男子便所用小便器ユニットの構成を示す側面から見た断面図である。 図3は本発明の実施の形態1に係る男子便所用小便器ユニットの構成を示す上から見た平面図である。 図4は本発明の実施の形態1に係る男子便所用小便器ユニットの汚垂石の変形例1を説明する全体斜視図である。 図5は本発明の実施の形態1に係る男子便所用小便器ユニットの汚垂石の変形例2の説明図であり、図5(a)はブラスト加工で履物のシルエットを描いた汚垂石を説明する全体斜視図、図5(b)はブラスト加工で履物のシルエットラインを描いた要部斜視図である。 図6は本発明の実施の形態1に係る男子便所用小便器ユニットの汚垂石の変形例3を説明する全体斜視図である。 図7は本発明の実施の形態1に係る男子便所用小便器ユニットの汚垂石の変形例4を説明する全体斜視図である。 図8は本発明の実施の形態1に係る男子便所用小便器ユニットの汚垂石の変形例5を説明する全体斜視図である。 図9は本発明の実施の形態2に係る男子便所用小便器ユニットの男子用小便器を説明する側面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、各実施の形態において、同一の記号及び同一の符号は同一または相当する機能部分を意味し、各実施の形態相互の同一の記号及び同一の符号は、それら実施の形態に共通する機能部分であるから、ここでは重複する詳細な説明を省略する。
[実施の形態1]
まず、本実施の形態1に係る男子便所用小便器ユニット1について、図1乃至図8を参照して説明する。
本実施の形態1の男子便所用小便器ユニット1は、壁面Wに取り付けた男子用小便器(以下、単に「小便器」という)10と、小便器10の下部の床面に配設した排水溝20と、壁面Wの前、即ち、排水溝20の手前側で排水溝20の上表面に一致させて床面に配設した汚垂石30を有する。
図1及び図3においては、本実施の形態1の男子便所用小便器ユニット1が不特定多数の人が使用する駅、乗り物、ホテル、飲食店、学校、病院等の公共の便所に使用されるものとして、複数の小便器10を並行に設置されている。病院等の便所では、用足し中に倒れたり、気分や具合が悪くなったりしたときの非常ボタンBが設けられる。例えば、図1においては、小便器10の横で、床面から70cm〜100cmの高さの壁面Wに非常ボタンBを設けてある。気分や具合が悪くなったとき、転倒したときでも非常ボタンBが押せるようになっている。また、図1及び図3においては、用を足す際に体を支えるための手摺Hを設けている。更に、各小便器10の相互間に図示しない間仕切り板が設けられることもある。
小便器10は、例えば、陶器等によって形成されている。図1及び図2に示すように、小便器10は、鉛直方向に形成され使用者と対面する図2に示す正面で小水を直接浴びる立壁部11及び立壁部11から連続して壁面Wの反対側(使用者である男子M側)に突出し、小水や洗浄水を排水口12に案内するように形成された底部13からなる便鉢部(ボウル部)14を有している。図2では、便鉢部14の立壁部11は、内面上部から下部が壁面Wと平行する垂直線状に形成されている。
なお、通常、図1乃至図3に示すように、便鉢部14には、小水や小便器10の洗浄水を底部13の排水口12に案内する案内部15が形成されている。そして、用を足そうとする男子Mを検知するマイクロ波または遠赤外線式の検知センサ(図示せず)を設けて、この検知センサ(図示せず)により男子Mが用を足して小便器10から所定距離離れたことを検知した場合に、便鉢部14の上側に設けられる吐出部(図示せず)から便鉢部14の内面に洗浄水を供給(吐出)して、便鉢部14の内面を洗浄し、排水口12に案内された小水や洗浄水が排水口12から下方に延びる管路16を介して便鉢部14外に排出されるようにしている。
また、用を足そうとする男子Mを検知センサ(図示せず)が検出すると、便鉢部14の上側に設けられる吐出部(図示せず)から便鉢部14の内面に洗浄水を供給(吐出)して、便鉢部14の内面を洗浄し、排水口12に案内された小水や洗浄水が排水口12から下方に延びる管路16を介して便鉢部14外に排出されるようにし、小水を流す前に濃い小水が小便器10に付着し難くしている。
本実施の形態1において、この小便器10は、例えば、図示しない吊下げ金具で壁面Wに係止することにより、または、ネジやボルト締め等により、壁面Wに固定され、壁面Wに沿って設置されている。
なお、本発明を実施する場合、小便器10は、その一部または全部を壁面Wに組み込んで設置してもよい。
そして、本実施の形態1の男子便所用小便器ユニット1においては、この小便器10の外側底面から離して垂直下方に、排水蓋21を有する排水溝20が配設されている。
図1乃至図3において、排水溝20は、並設した複数の小便器10の垂直下方において、壁面Wに沿って並行する方向に連続して設けられている。
なお、図示しないが、排水溝20には排水が図の右側または左側に流れ易いように僅かな傾斜が形成されている。
本実施の形態1の排水溝20は、図2に示すように、所定容積を有する凹部(U字溝)の開口上部に排水蓋21が取り付けられたものであり、排水蓋21により、小水や、小便器10内の洗浄水や、便所の床面や小便器10等を洗浄する際の洗浄水以外のゴミ等の異物の侵入を阻止している。排水蓋21としては、例えば、グレーチング蓋、ステンレスまたは鋳鉄製の格子蓋等が使用され、グレーチング蓋としては、公知の金属板材を桟状に溶接してなるものや、天然石または合成石等を分布させ所定の外枠内に収容したもの等が挙げられる。
図1乃至図3においては、排水蓋21は、例えば、小便器10の並設方向に長い棒鋼からなる横浅に対して、それに直交して複数の所定幅の縦浅を平行に配置して溶接し、その端部を外枠体で溶接することで、上平面が略四角形状に形成されている。
この排水溝20は、通常、壁面Wと床面との境界部の角部及び幅木部分の汚れを防止するために、壁面Wの下端縁に接して排水蓋21が設けられている。勿論、排水蓋21と壁面Wの下端縁との間をいくらか離してもよいが、清掃によって、常に清潔さを保つことができる構造であればよい。そのためには、排水蓋21と壁面Wの下端縁との間を設けない方がよい。
なお、図1乃至図3においては、床面に排水溝20の本体部を埋設し、更に本体内に排水蓋21を被せる開口側に幅を広くする端部に、蓋の厚み分だけ落ち込む受部22を形成し、その受部22に排水蓋21を載せる(落とし込む)ことで排水溝20を形成している。排水蓋21は、排水溝20内(凹部)の清掃等のために取り付け、取り外しが容易にできるよう受部22に対して開閉可能に取り付けられている。
図2に示すように、本実施の形態1では、排水溝20の排水蓋21の上面から小便器10の底面下端までの距離Lを50〜150mmの範囲内とした。即ち、小便器10の下端を排水溝20の排水蓋21の上面から50〜150mm離して設置した。
小便器10を床面に直接置いた場合には、小便器10から垂れたたり、飛散したりした小水が床面との境界線に染み込んで汚れとなり、その部分の清掃が困難であることで、小水が付着してそれが臭いの発生源ともなり、不衛生な状態となりやすいので、それを防止している。
このように小便器10を排水蓋21の上面から所定の距離離して壁面Wに取付けることで、床面と小便器10の下縁との接触線が生じないから、常に清潔さを感じ取ることができる。特に、小便器10の底面下端が排水溝20の排水蓋21から50mm以上離れることで、小便器10の清掃の際には、小便器10の下端と床面との間を掃除道具等で処理ができて清掃処理がしやすく清潔な衛生状態を保つことができる。一方、小便器10の底面下端と排水溝20の排水蓋21との離間距離Lを150mm以下とすることで、小便器10の下に配設した排水溝20が視覚に入り難く、見た目に外観性が低下することもない。
そして、本実施の形態1の男子便所用小便器ユニット1においては、小便器10の下底面から離れた排水溝20の上面に、下端の辺を一致させて汚垂石30が配設されている。図1乃至図3において、汚垂石30は、排水溝20の排水蓋21と連続して面を形成している。
具体的には、本実施の形態1の汚垂石30は、排水溝20の壁面Wの反対側において、1〜15度の傾度(図2の角度θ=1〜15°)で排水溝20の排水蓋21の上面に一致させて配設されたものである。即ち、1〜15度に傾く傾斜の下端が排水蓋21の上面に壁面Wの反対側で一致して配設されている。
図2においては、汚垂石30を組み込む床において、1〜15度の傾斜を形成し、その傾斜上に、上面及び下面が平行面の直方体状の成形品である汚垂石30を組み込むことにより、排水溝20及び汚垂石30以外の、例えば、タイル材等から形成される床面40と殆ど段差なく、汚垂石30を1〜15度の傾度θで排水溝20の排水蓋21に合致させて施工している。
即ち、汚垂石30を1〜15度の傾度の傾きで組み込むことにより、1〜15度の傾度θで排水溝20の排水蓋21に一致させている。また、汚垂石30の上面の全面が傾斜した構成とすることもできる。しかし、本発明を実施する場合には、予測される男子Mの立ち位置、例えば、排水溝21から少なくとも150〜400mmの幅にて、1〜15度の傾度θで汚垂石30を排水溝20の排水蓋21に一致させるように形成しておき、それを組み込んでもよい。このとき、排水蓋21から遠ざかる方向の床面40側に近い汚垂石30の上面を一部水平面とすることも可能である。即ち、上面において所定の距離幅で1〜15度の傾斜を有しそれ以外は水平面とした断面が、用を足す男子Mの立ち位置から前方を1〜15度の傾斜としてもよい。つまり、1〜15度の傾度θの汚垂石30の面と、床面40との境界は、汚垂石30の面に立ち位置の一部以上が形成されるものであればよい。なお、床面40は傾度ゼロの平坦な面である。
なお、ここでは、排水溝20及び汚垂石30以外の、例えば、タイル材等から形成される床面40と殆ど段差なく汚垂石30を配設している。段差がないことで、段差の境界部に汚水が染み込んで付着したり臭いが発生したりすることもなく、清掃が容易となり、衛生を保つことができる。また、段差への引掛りによる躓きを防止できる。また、汚垂石30と床面40との間の目地を、排水用の溝として形成することもできる。
即ち、本発明を実施する場合には、小便器10に近づくように促す立ち位置として、排水溝20及び汚垂石30以外の、例えば、タイル材等から形成される床面40との間に溝を設けるように汚垂石30を設置することも可能である。この場合には、溝での躓きを防止するには、例えば、床面40との幅を5mm以下とし、段差側の汚垂石30の端部を溝側に向かって緩やかな下り傾斜に形成するのが望ましい。
なお、この汚垂石30は、小便器10に対する男子Mの立ち位置を考慮し、例えば、壁面Wから10〜20cm離れた位置から壁面Wの反対側に向かって30cm〜70cmの幅で設けられる。図3においては、小便器10の垂直方向の立壁部11(図2参照)から壁面Wの反対側に向けて突き出す底部13の突き出し位置から使用者である男子M側に向かって、少なくとも男子Mの履物の長さである爪先から踵までが汚垂石30の面となるように全体を定めている。
ここで、本実施の形態1の汚垂石30は、御影石(花崗岩)等の石材によって形成され、その露出表面においてブラスト加工を施すことによりノンスリップ(滑り止め)加工している。図1乃至図3において、ブラスト加工は、汚垂石30の表面において、壁面Wに平行する方向に連続する所定間隔の平行線状に施されており、壁面Wに平行する方向にブラスト加工部31とそれ以外の非加工部32とが所定幅で交互に形成されている。
このように表面が平滑な御影石(花崗岩)等の石材をブラスト加工することにより微細な凹凸が形成されて、男子Mの履物との摩擦係数が高まり、かつ、水分が表面の凹部に溜まっても、凸部に水分が保持されないから、凸部の接触により滑り難くなり、スリップが生じ難い構造となる。特に、汚垂石30の表面を壁面Wに対して平行方向に複数列の平行線状にブラスト加工することで、男子Mの履物の長さに対して前後方向及び横方向に滑り止めが作用することで、小便器10を使用する男子Mの進行方向及び進行方向に対して直角に効果的に滑り止めが効き、小便器10に近寄りやすい構造となる。また、ブラスト加工により凹凸が形成されることでブラスト加工部31は乱反射する艶消し状態となり、そのようなブラスト加工部31と、ブラスト加工が施されておらず表面が平滑な艶状態の非加工部32とで横縞状のデザインが付与される。
なお、ブラスト加工は、鋼球等で表面を荒らす加工であるから、凸部分でも最初の加工前からすれば、加工前よりも低くなっている。
ブラスト加工は、具体的には、例えば、亜鉛、ニッケル等の粒子、鋼球、鉄砂の金属粒子や、アルミナ、ジルコン等のセラミック・鉱物粒子や、ガラス粒子、木材チップ等の植物片、ナイロン樹脂等の硬質で微細な投射材を高圧で加速して表面に噴きつけることによって行われ、例えば、表面粗さを50μmRz(S)以上とする。このときの投射方法は、特に限定されるものではなく、ビーズブラスト処理、サンドブラスト処理、ショットブラスト処理等の何れでもよい。
特に、汚垂石30が、石材で形成されていることで、それらの平滑面をブラスト加工するのは容易であり、また、石材または人工石材の平滑面をブラスト加工してなるノンスリップ加工では、優れた美観の意匠性を表出できる。更に、汚垂石30が石材または人工石材であることで、撥水性が良く、また、硬度が高くて傷付きや擦れが少ないため小水等の汚れが付着し難く、衛生状態を良好に保持することができる。
しかし、本発明を実施する場合には、汚垂石30を人工石材、セラミックス、合成樹脂、合成ゴム等で形成することも可能である。特に、セラミックスは、撥水性が良くて衛生状態を良好に保持することができ、また、平滑面をブラスト加工するノンスリップ加工も比較的容易にできる。セラミックスは焼成によっても凹凸面を形成できるが、例えば、釉薬を釉掛けしてから焼成することで焼成後に平滑面を出し、その後にブラスト加工した方が見栄えが良くなる。また、釉薬を釉掛けすることで撥水性も増す。なお、セラミックスの材料としては、例えば、カオリナイト、モンモリロナイト、絹雲母、滑石、パイロフィライト、ジプサイト質系のセラミック材料などの粘土系材料が使用できる。
また、図1乃至図3の汚垂石30には、男子Mが用足しする際の好適な用足し位置として石材や合成樹脂によって他の床面とは異なる配色とした着色ライン33が各小便器10に対応させ、壁面Wに対して平行に形成されている。この着色ライン33によって、男子Mの視覚に男子Mが用足しする際の爪先の立ち位置を訴えてそれを認識させるようにしており、男子Mが小便器10の表面を伝って小水を漏らしたり、跳ね返ったりすることが少ない角度位置で用が足せるように導いている。なお、他の床面とは異なる材料を埋め込む他後述するようなブラスト加工を施すことにより同様の効果を持たせてもよい。
このような構成の本実施の形態1の男子便所用小便器ユニット1によれば、汚垂石30が1〜15度の傾度θで排水溝20に向かって前下がりに傾斜していることから、水平であるときよりも、用を足す男子Mが小便器10側に傾いて小便器10に近づくことになる。
ここで、汚垂石30の1〜15度の傾度θは、発明者らの実験において、構造を全く知らない人が30人使用する状態のデータ取りを行ったところ、従来の汚垂石30を水平に設置した水平(平面)構造では、小便器10外に洩れた水滴量が7.5gであったのに対し、汚垂石30を1〜15度の傾度θで傾けた構造では、小便器10外に洩れた水滴量は1g満たない量であり、特に、汚垂石30を3〜10度傾斜させた場合には、成績が良くなるが、汚垂石30の表面を20度以上にすると成績は低下したことから、これに基づいて設定したものである。汚垂石30を10〜15度の傾度θとなると、用を足そうとする男子Mが傾斜を認識していない者、していても無視する者があり、この角度に境界がある。
即ち、汚垂石30が20度以上に傾斜している場合、用を足そうとする男子Mは、傾斜を感じ取り、その傾斜の安全性を考慮して、小便器10から距離を離そうとし、また、汚垂石30のブラスト加工によるノンスリップ加工による安全性を疑い、安全を保った上で用を足そうとする。つまり、安全を保とうと体の重心を後方に移動させ反身になって用を足そうとする。そのため、小便器10からの距離が遠くなり、小水が外に跳ねる確率も高くなる。
逆に、汚垂石30の傾きが0度で水平に配設されていると、汚垂石30のノンスリップ加工の能力を疑う者がいなくなるが、通常の仕様となり、小便器10との距離が近づかない。
汚垂石30を1〜15度の傾度θに傾斜させることで、汚垂石30表面のノンスリップ加工の存在を確認するが、それが傾いていることを意識しないで小便器10に向かって立つから、男子Mの体が反身になることなく用を足すことができ、傾斜によって小便器10に近づくことで、小水がベクトル的に小便器10の立壁部11から跳ね返りが生じそうだが、現実には、小水の流れが1〜15度だけ小便器10内の立壁部11の沿面に沿って流れる沿面流となり、小便器10の立壁部11の濡れ性が表面張力を増し、衝突の際の跳ね返りに相当する小水が少なくなる。したがって、使用者は経験則により、小便器10に近づいて用を足すことができる。このように、小水が小便器10から外に跳ねたり漏れたりする確率が低くなる。
例えば、1mの高さからすれば、水平面に立って用を足すときよりも1.7〜26.8mm、好ましくは3〜10度では、5.2〜17.6mm、小便器10に近づくことになる。そればかりか、小便器10の立壁部11に向けて放たれた小水は、小水の流れが1〜15度だけ小便器10の立壁部11に近づくが、小便器10の立壁部11の濡れ性が小便器10の立壁部11の表面張力を増し、衝突の際の跳ね返りに相当する小水が少なくなる。したがって、小便器10の外部に落下したり、表面を伝って下方に流れたりすることがない。即ち、用を足している男子Mの小水は、小便器10の立壁部11に沿って並行移動し、跳ね返りの少ない状態で用足しができる。
殊に、小便器10の内面側の立壁部11は、洗浄水によって釉薬の表面が濡れており、または前に使用した男子Mの小水により釉薬の表面が濡れているから、その濡れ性により表面張力が大きくなり、小水の跳ね返り等がなくなる。特に、小水の軌跡からして、小便器10の立壁部11に接触するときには、小水の衝突角度が立壁部11の面に対して平行に近くなるから、ベクトル的に反射成分が少なくなり、男子Mの方への跳ね返りが少なくなり、下方の底部12に落下したり、立壁部11に沿って下方に流れたりする。
加えて、汚垂石30の表面のブラスト加工、即ち、ノンスリップ加工(滑り止め)によって、小便器10から外に跳ねたり、漏れたりした小水がノンスリップ加工の表面に付着する確率が低いことで、誰が見てもスリップが生じない安心感が得られ、清潔さを感じ取る。更に、男子便所用小便器ユニット1が新しいときには、綺麗に使用しようとする精神作用が働く。また、汚垂石30を排水溝20の排水蓋21に一致させていることで、排水溝20の深さを疑うこともない。したがって、小便器10に近寄りやすい構造となり、小水が小便器10外に跳ねたり漏れたりする確率を低くできる。
特に、図1乃至図3に示したように、汚垂石30の表面を壁面Wに対して平行する方向に複数列の平行線状にブラスト加工することで、小便器10で用を足そうとする男子Mの進行方向及び進行方向に対して直角方向に効果的に滑り止めが効き、男子Mの履物の長さ方向及びその直角方向に滑り止めが作用することで、小便器10により一層近寄りやすい構造となる。
更に、汚垂石30の上面が排水溝20に向かって所定の傾度θで下り傾斜であることで、汚垂石30上に飛散したり、垂れたりした小水(以下、汚水ともいう)及び便鉢部14を洗浄した洗浄水や、小便器10や床面の洗浄に使用した洗浄水等の水分が傾斜によって排水溝20に向かって流下しやすく汚垂石30に溜まり難いため、汚垂石30の衛生を保つことができ、臭気の発生も少なく、清掃作業の負担も軽減できる。そして、汚垂石30の表面のブラスト加工により水分が表面に付着する確率が低いうえに、傾斜によって汚垂石30上に水分が溜まり難いことで、用を足す男子Mに与える不快感を軽減できる。更に、汚垂石30上の水分が他の床面40に流下したり、或いは、小便器10に用を足す男子Mの履物の裏に付着して他の床面40を汚したりすることが少なくなり、男子便所用小便器ユニット1を使用する便所全体を衛生的で清潔に維持できる。なお、汚垂石30の壁面Wに対して垂直な方向に2〜5mm幅の切削溝(図5を参照して「切削溝34」のこと)を形成し、水はけを更に良くすることもできる。
このようにして、小水の小便器10外への漏れや飛散が効果的に防止される。
ところで、本発明を実施する場合には、汚垂石30の表面をブラスト加工する加工形態は、壁面Wに対して平行線状に施すことに限定されるものではなく、例えば、汚垂石30の表面全体をブラスト加工してもよいし、壁面Wに対して垂直な方向に平行線状に加工してもよい。また、図1において、男子Mが用足しする最適な用足し位置を石材料、合成樹脂、合成ゴムを使用した着色ライン33によって表現したが、ブラスト加工によって好適な用足し位置を表現してもよい。特に、ブラスト加工では、ノンスリップ(滑り止め)加工を容易に施すことができ、かつ、図形等の複雑な形状を描く表現も容易にできる。
図4は、汚垂石30の変形例1を示したものである。
図4に示した変形例1に係る汚垂石30には、その表面において壁面Wに対して垂直な方向に連続するブラスト加工を所定間隔で複数列の平行線状に施すことによりノンスリップ(滑り止め)加工がなされており、壁面Wに対して垂直なブラスト加工部31とそれ以外の非加工部32と所定幅が交互に形成されている。
このように汚垂石30の壁面Wに対して垂直な面を並列状にブラスト加工することでも、小便器10を使用する男子Mが、所定間隔の並列状のブラスト加工部31の所定幅に乗ることで滑り止めを意識し、男子Mの履物の長さ、即ち、進行方向に対して滑り止めが効くイメージを受けることで滑り難さを感じ取り、小便器10に近寄りやすい構造となる。更に、壁面Wに対して垂直な方向に並列状にブラスト加工されていることで、ブラスト加工部31が連続しており、汚垂石30上の汚水を壁面Wの垂直方向の下部に配設する排水溝20に導きやすい構造となる。
即ち、本実施の形態の汚垂石30の変形例1では、ブラスト加工部31から排水溝20の排水蓋21の上面に直接連結されているから、漏れた小水、床面40の洗浄水等は排水蓋21から排水溝20を通り、排出可能であるから、図1乃至図3に示した上記実施の形態の汚垂石30よりも水を使用して清掃する場合には好適となる。
よって、汚垂石30の表面に水分が現れ難くなり、汚垂石30の表面の清潔感を維持でき清潔性が向上する。
加えて、ブラスト加工により凹凸が形成されることでブラスト加工部31は乱反射する艶消し状態となり、そのようなブラスト加工部31と、ブラスト加工が施されておらず表面が平滑な艶状態の非加工部32とで縦縞状のデザインとなる。
また、この変形例1においても、ブラスト加工部31の両側に切削溝(図5を参照して「切削溝34」のこと)を形成し、水はけを良くすることもできる。
図5は、汚垂石30の変形例2を示したものである。
図5に示した変形例2に係る汚垂石30では、図5(a)に示すように、その表面において各小便器10に対向して男子Mが用足しする際の好適な立ち位置に履物のシルエットを所定の粒度のブラスト加工で描いたブラスト加工部31と非加工部32との境界、即ち、ブラスト加工の限界により履物のシルエットラインを表現している。この履物型形状により、小便器10で用を足そうとする男子Mの視覚に立ち位置を訴えてそれを認識させ、履物を置く位置へ導いて、小便器10に対して小水が漏れたり跳ね返ったりすることが少ない角度位置で用が足せるように促している。なお、ここでは、ブラスト加工部31の汚水を排水溝20に導くための流路を溝からなる切削溝34により設けている。
また、図5(b)に示すように、汚垂石30の略全面をブラスト加工し、更に、履物のシルエットライン内を大粒の凹凸になるブラスト加工部31Bを形成し、他の全面を小粒の凹凸になるブラスト加工部31Aを形成している。ブラスト加工部31Aとブラスト加工部31Bとの間は、非加工部32としている。
ブラスト加工部31A,31Bと非加工部32の境界の履物型形状により、小便器10で用を足そうとする男子Mの視覚に好適な立ち位置を訴え、それを認識させ、履物を置く好適立ち位置へ導いて、小便器10に対して小水が漏れたり、跳ね返ったりすることが少ない角度位置で用が足せるようにしている。また、ブラスト加工部31の汚水を排水溝20に導くための流路を切削溝34で形成している。
このように男子Mの履物を置く位置にブラスト加工により微細な凹凸が形成されることで、男子Mの履物との摩擦係数が高まり、かつ、水分が表面の凹部に溜まっても、凸部に水分が保持されないから、凸部の接触により滑り難くなり、スリップが生じない構造となる。
そして、ブラスト加工が、好適な立ち位置に履物のシルエットラインを表現していることで、男子Mの立ち位置が決定され、男子Mは小水が小便器10から漏れたり、跳ね返ったりすることのない角度位置で用が足せる。
図6は、汚垂石30の変形例3を示したものである。
図6に示した変形例3に係る汚垂石30では、その表面において各小便器10に対向して男子Mが用足しする際の好適の立ち位置に壁面Wに平行する所定幅の直線を非加工部32として合成ゴムで形成し、それ以外をブラスト加工でブラスト加工部31として形成している。
この直線状の合成ゴムの非加工部32、換言すると、ブラスト加工の限界によって、小便器10で用を足そうとする男子Mの視覚に男子Mが用足しする際の好適な爪先の立ち位置を表示し、それを認識させるようになっており、小水が漏れたり、跳ね返ったりすることが少ない角度位置で用が足せるように促している。なお、ここでも、合成ゴムの非加工部32とブラスト加工部31の汚水を排水溝20に流す流路を切削溝34によって設けている。
この壁面Wに平行する所定幅の直線状の合成ゴムの非加工部32に男子Mの履物の爪先が乗り、ブラスト加工部31に履物の爪先以下が置かれることで、非加工部32の合成ゴム、及びブラスト加工により形成されたブラスト加工部31の微細な凹凸によって、男子Mの履物との摩擦係数が高まり、かつ、水分がブラスト加工部31表面の凹部に溜まっても、凸部に水分が保持されないから、凸部の接触により滑り難くなり、スリップが生じない構造となる。特に、壁面Wに平行する直線状の非加工部32の合成ゴムとブラスト加工部31の境界により、小便器10で用を足そうとする男子Mの進行方向及び進行方向に対して直角に効果的に滑り止めが効き、小便器10により一層近寄りやすい構造となる。
そして、所定幅の直線状の合成ゴムの非加工部32によって、好適な立ち位置を表現していることで、男子Mの立ち位置が決定され、男子Mは小水が小便器10から漏れたり跳ね返ったりすることのない角度位置で用が足せる。
図7は、汚垂石30の変形例4を示したものである。
図7に示した変形例4に係る汚垂石30では、排水溝20から所定間隔あけてその全面をブラスト加工することにより、ブラスト加工部31と非加工部32との境界35、即ち、床面40側に寄って施されたブラスト加工の境界35を、小便器10で用足しする際の男子Mの好適な爪先の立ち位置として表現することにより、男子Mの視覚に男子Mが用足しする際の立ち位置を訴えてそれを認識させるようになっており、小水が漏れたり跳ね返ったりすることが少ない角度位置で用が足せるように促している。なお、ここでも、ブラスト加工部31の汚水を排水溝20に流すための流路を切削溝34により設けている。
このように男子Mの履物を置く位置にブラスト加工により微細な凹凸が形成されることで、男子Mの履物との摩擦係数が高まり、かつ、水分が表面の凹部に溜まっても、凸部に水分が保持されないから、凸部の接触により滑り難くなり、スリップが生じない構造となる。
そして、ブラスト加工部31と非加工部32との境界35が好適な爪先の立ち位置を表現していることで、男子Mの好適な立ち位置が決定され、男子Mは小水が小便器10から漏れたり、跳ね返ったりすることのない角度位置で用が足せる。
ここで、ブラスト加工では容易にノンスリップ加工を施すことができ、かつ、図形等の複雑な形状を描く表現も容易にできるが、本発明を実施する場合には、ノンスリップ加工は、ブラスト加工に限定されるものではなく、例えば、汚垂石30の表面を切削して切削溝を形成する加工とすることもできる。
汚垂石30の表面を切削して切削溝を形成することによっても、表面が凹凸形状となることから、男子Mの履物との摩擦係数が高まり、かつ、切削溝に水分が落ちることで水分が汚垂石30の表面を覆うことが少なくなり、スリップが生じない構造となる。特に、切削溝の深さによって、汚垂石30の汚水が表面に露出する確率を自由に設定でき、常に、水分が汚垂石30の表面を覆うことがないようにすることもでき、清潔さを向上させることができる。
例えば、変形例5に係る汚垂石30として、図8に示したように、汚垂石30の表面において、壁面Wに垂直な方向に連続して切削して所定幅かつ所定間隔で複数列の平行線状に切削溝34を形成することによりノンスリップ加工を施してもよい。
このように汚垂石30の壁面Wに対して垂直な面を切削して並列状に切削溝34を形成することでも、小便器10を使用する男子Mが、所定間隔の並列状の切削溝34に乗ることで滑り止めを意識し、また、男子Mの履物の長さ、即ち、進行方向に対して滑り止めが効くイメージを受けることで、小便器10に近寄りやすい構造となる。更に、壁面Wに対して垂直な方向に並列状にブラスト加工されていることで、切削溝34が汚水を壁面Wの垂直方向の下部に配設する排水溝20に導きやすい構造となる。加えて、切削溝34とそれ以外の非加工部32とで縦縞状のデザインとなる。
また、壁面Wに対して垂直な面を切削して並列状に形成した切削溝34は、図面の左右方向にはスリップしないが、切削溝34に平行な前後方向にはスリップする可能性がある。そこで、通常、壁面Wに対して並行な面を切削して並列状に形成した切削溝として使用される。
本発明を実施する場合、ノンスリップ機能を有しておれば、汚垂石30のブラスト加工や切削加工の加工形態は、上記に限定されるものではなく、その他にも、上記加工形態を適宜組み合わせて井桁状の格子縞や斜め格子縞等の格子模様としたり、それらに足型の図形等を組み合わせたりすることも可能である。
このように、本実施の形態1に係る男子便所用小便器ユニット1は、壁面Wに配設した小便器10と、小便器10の外側の底面下端から離して垂直下方に配設した排水蓋21を有する排水溝20と、排水溝20の壁面Wの反対側に配設した汚垂石30とを具備し、汚垂石30は、御影石(花崗岩)等の石材の平滑面をブラスト加工することによりその表面にノンスリップ加工を施し、かつ、1〜15度の傾度θで壁面Wの反対側の排水蓋21の上面に一致させて配設したものである。
したがって、本実施の形態1に係る男子便所用小便器ユニット1によれば、用を足そうとする男子Mは、汚垂石30表面のノンスリップ加工の存在を確認するが、汚垂石30の1〜15度の傾度θの傾斜を気付かずに小便器10に向かって立つから、男子Mの体が反身になることなく用を足すことができ、1〜15度の傾度θの傾斜によって小便器10に近づくことで、小水が小便器10から外に漏れる確率が低くなる。更に、小水の流れが1〜15度だけ小便器10に近づき、小便器10の立壁部11に向けて放たれた小水は小便器10内の立壁部11に対して表面張力と表面の濡れで、ベクトル的に反発力がなくなるから、跳ね返りの少ない状態で用足しができる。そればかりか、小便器10内の立壁部11の沿面に沿って流れる沿面流の濡れ性が表面張力を増し、衝突の際の跳ね返りに相当する小水が少なくなる。したがって、使用者は経験則により、小便器10に近づいて用を足すことができる。
加えて、汚垂石30の表面のブラスト加工によって、小便器10から外に跳ねたり、漏れたりした小水が表面に付着する確率が低いことで、誰が見てもスリップが生じない安心感が得られ、また、清潔さを感じ取る。更に、男子便所用小便器ユニット1が新しいと綺麗に使用しようという意識が作用する。汚垂石30を排水溝20の排水蓋21に一致させていることで、排水溝20の存在感も軽減される。したがって、小便器10に近寄りやすい構造となり、小水が小便器10外に跳ねたり、漏れたりする確率を低くできる。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2に係る男子便所用小便器ユニット100について、図9を参照して説明する。
本実施の形態2に係る男子便所用小便器ユニット100は、実施の形態1において1〜15度の傾度θで排水蓋21の壁面Wの反対側の上面に一致させて配設した汚垂石30の傾斜角度を、図9に示したように、小便器10を構成する便鉢部14の鉛直方向に形成され用を足す男子Mと対面する立壁部11の内面において持たせて、垂直に対して0〜15度の傾度(図9において角度β=0〜15°)で上方が小便器10を使用する男子M側に、下方が男子Mから離反するように形成したものである。
このように、壁面Wに配設した小便器10における便鉢部14の立壁部11内面を、垂直に対して0〜15度の傾度βで上方が小便器10を使用する男子M側に、下方が男子から離反するように形成することでも、同様に小水の小便器10外への漏れや、飛散を効果的に防止できる。
即ち、小便器10を構成する便鉢部14の立壁部11において、その内面上部から内面下部にかけて0〜15度の傾度βで傾斜させることで、図2のように便鉢部14の立壁部11の内面上部から内面下部が垂直線状である場合よりも、小便器10で用を足す男子Mから放たれた小水の立壁部11に対する入射角度が立壁部11側に近づき、立壁部11に対して表面張力と表面の濡れで、ベクトル的に反発力がなくなるから、跳ね返りの少ない状態で用足しができる。そればかりか、小便器10内の立壁部11の沿面に沿って流れる沿面流の濡れ性が表面張力を増し、衝突の際の跳ね返りに相当する小水が少なくなる。したがって、使用者は経験則により、小便器10に近づいて用を足すことができる。
よって、小水の小便器10外への漏れや飛散を効果的に防止できる。
ここで、小便器10を構成する便鉢部14の立壁部11において、その内面上部から内面下部にかけて1〜15度の傾度βで傾斜させる場合、汚垂石30の傾斜角度θを小便器10の立壁部11の傾きから差し引くことも考えられるが、用を足す男子Mが汚垂石30の傾斜角度θ及び小便器10の傾きβが感じられない程度の角度であれば、この角度が大きいほど、小便器10で用を足す男子Mと小便器10との距離が近づき、また、小便器10の内面側の立壁部11に対してベクトル的に反発力が弱くなり、小水を小便器10の内面側の立壁部11に引付けるから、沿面流の濡れ性が表面張力を増し、それだけ跳ね返りが少なくなり、小水の小便器10外への漏れや飛散をより効果的に防止できる。特に、小便器10の立壁部11の傾きは20度以下であれば、通常の使用者である男子Mは、その状態に敏感に反応することがない。
例えば、汚垂石30の傾斜角度θを5〜10度、小便器10の傾きβを10〜15度とすることもできる。汚垂石30の傾斜角度θを5〜10度とした場合、使用者である男子Mの1mの高さからすれば、小便器10に8.7〜17.6mm近づく。また、男子Mから放たれた小水が汚垂石30の傾斜角度θ分だけ小水を受ける小便器10の立壁部11に近づく。それに加え、小便器10の立壁部11の傾きβを10〜15度とすることで、更にその分だけ、男子Mから放たれた小水とその小水を受ける小便器10の立壁部11との角度が近づいて小さくなる。
即ち、汚垂石30の傾斜に加え小便器10が傾いていることで、汚垂石30の傾斜によって小便器10で用を足す男子Mと小便器10との距離が近づくのみならず、汚垂石30及び小便器10の傾きによって、男子Mから放たれた小水の立壁部11に対する入斜角度が小さくなり、小水が立壁部11の壁面に沿って下降するから、跳ね返りの少ない状態で用足しができる。
そして、本発明の実施の形態2に係る男子便所用小便器ユニット100においても、汚垂石30の表面のブラスト加工によるノンスリップ加工によって、水分が表面に付着する確率が低くなることで、誰が見てもスリップが生じない安心感が得られ、また、清潔さを感じ取り、更に、男子便所用小便器ユニット100が新しいと、綺麗に使用しようとし、また、汚垂石30を排水溝20の排水蓋21の上面に一致させていることで、排水溝20の深さを疑うこともなく、小便器10に近づきやすい構造となっている。
よって、小水が小便器10外に跳ねたり漏れたりする確率を更に低くでき、小便器10外への漏れや飛散をより効果的に防止でき、男子便所用小便器ユニット100を一層清潔に保つことができる。
このように本実施の形態2に係る男子便所用小便器ユニット100は、壁面Wに配設した小便器10と、小便器10の外側の底面下端から離して垂直下方に配設した排水蓋21を有する排水溝20と、排水溝20の壁面Wの反対側に配設した汚垂石30とを具備し、汚垂石30は、御影石(花崗岩)等の石材の平滑面をブラスト加工等することによりその表面にノンスリップ加工を施し、かつ、1〜15度の傾度θで壁面Wの反対側の排水蓋21の上面に一致させて配設し、小便器10の内面の立壁部11は、垂直に対して0〜15度の傾度βで上方が小便器10を使用する男子M側に、下方が男子から離反するように形成したものである。
したがって、用を足そうとする男子Mは、汚垂石30表面のノンスリップ加工の存在を確認するが、汚垂石30や小便器10の内面が傾いていることを知らないで、小便器10に向かって立つから、男子Mの体が反身になることなく用を足すことができる。このとき、汚垂石30の傾斜によって、用を足そうとする男子Mと小便器10の距離が近くなり、更に、汚垂石30や小便器10の内面の傾きによって、男子Mから放たれた小水がその小水を受ける小便器10の立壁部11にその傾きの分だけ近づくことで、立壁部11に対して表面張力と表面の濡れで、ベクトル的に反発力がなくなるから、跳ね返りの少ない状態で用足しができる。そればかりか、小便器10内の立壁部11の沿面に沿って流れる沿面流の濡れ性が表面張力を増し、衝突の際の跳ね返りに相当する小水が少なくなる。したがって、使用者は経験則により、小便器10に近づいて用を足すことができる。よって、小水が小便器10外に跳ねたり、漏れたりする確率が低くなる。
加えて、汚垂石30の表面のブラスト加工によるノンスリップ加工によって、水分が表面に付着する確率が低くなることで、誰が見てもスリップが生じない安心感が得られ、また、清潔さを感じ取り、更に、男子便所用小便器ユニット100が新しいと、綺麗に使用しようとし、また、汚垂石30を排水溝20の排水蓋21の上面に一致させていることで、排水溝20の深さを疑うこともない。したがって、小便器10に近寄りやすい構造となり、小便器10外への漏れや飛散が効果的に防止される。
即ち、本発明の実施の形態2に係る男子便所用小便器ユニット100によれば、汚垂石30の表面のブラスト加工等によるノンスリップ加工によって、水分が表面の凹部に溜まっても、凸部に水分が保持されないから、誰が見てもスリップが生じない安心感が得られ、また、清潔さを感じ取り、小便器10に近づきやすい構造としているうえ、汚垂石30の傾斜によって小便器10で用を足す男子Mと小便器10との距離が更に近づくから、小便器10外へ小水が漏れる確率が低くなる。そして、汚垂石30及び小便器10の傾きによって、男子Mから放たれた小水の立壁部11に対する入斜角度が小さくなり、立壁部11に対して表面張力と表面の濡れで、ベクトル的に反発力がなくなるから、跳ね返りの少ない状態で用足しができる。特に、用を足す男子Mと小便器10との距離を近づけることができることで、小便器10内の立壁部11の沿面に沿って流れる沿面流の濡れ性が表面張力を増し、衝突の際の跳ね返りに相当する小水が少なくなり、小便器10外への漏れや飛散が効果的に防止される。
なお、図9においては、壁面Wに配設した小便器10の内面の立壁部11は、垂直に対して0〜15度の傾度βで上方が小便器10を使用する男子M側に、下方が男子Mから離反するように形成、即ち、鉛直線に対して0〜15度の傾度βの範囲で内面上方を小便器10に向かって立つ男子M寄りに、内面下方を壁面W寄りに設けたものである。小便器10の内面の立壁部11は、例えば、小便器10の高さの1/2の上部が鉛直線であっても、下から1/2の下部が0〜15度の傾度を有しておればよい。勿論、小便器10の全体が0〜15度の傾度を有していてもよい。
このように、小便器10の鉛直線に対し、内面上部から内面下部の直線に0〜15度の傾度βの傾斜を持たせたことでも、汚垂石30の傾斜角度θを1〜15度の傾度としたときの同様の作用効果がある。
また、図9では、図2の小便器10の立壁部11と比較してその下方の厚みは殆ど変えずに上方に向かって徐々に厚みを増すことで、小便器10の内面を、垂直に対して1〜15度の傾度βで上方が小便器10を使用する男子M側に、下方が男子Mから離反するように形成している。この場合、図2の小便器10よりも、男子Mと男子Mから放たれた小水を受ける小便器10の立壁部11との距離がより近づくことになるが、小便器10の立壁部11の傾きは20度以下であれば、通常の使用者である男子Mはその状態がデザインに影響を及ぼす可能性がない。例えば、小水を受ける小便器10の立壁部11の内面下部から50cm離れた高さからすれば、立壁部11の内面上部から内面下部が垂直線状である図2の小便器10よりも、男子Mと小水を受ける立壁部11との距離が更に13.4〜18.8mm近づくことになる。よって、小水が小便器10外に漏れたり跳ねたりする確率を低くできる。本発明を実施する場合には、図2の小便器10の立壁部11と比較して、その下方の厚みを薄くし、上方の厚みを厚くすることで、小便器10の内面を、垂直に対して1〜15度の傾度βで上方が小便器10を使用する男子M側に、下方が男子から離反するように形成することも可能である。
また、上記実施の形態2では、小便器10の鉛直方向に形成され使用者と対面する立壁部11において、その内面を、垂直に対して0〜15度の傾度βで上方が小便器10を使用する男子M側に、下方が男子から離反するように形成したが、本発明を実施する場合には、内面上部から下部は鉛直線状の立壁部11を有する小便器10をその上部に対して、下部が、その鉛直線に対して0〜15度の傾度βの範囲に壁面W寄りに傾けて壁面Wに対して取り付けることで、小便器10の内面を、垂直に対して0〜15度の傾度βで上方が小便器10を使用する男子M側に、下方が男子から離反するように設けたものとすることができる。これによっても、上記と全く同様の効果を得ることができる。このときの取り付けは、例えば、小便器10の背面に係止フック等を設けておき、この係止フック等を壁面Wに設けた係止具に係止することによって行うことができる。
上記実施の形態1及び実施の形態2では、複数の小便器10を壁面Wと並行に設置したものについて説明し、排水溝20及び汚垂石30を壁面Wに平行して連続して設けているが、本発明を実施する場合には、連続させることなく、各小便器10の個々に対応して個別に排水溝20及び汚垂石30を配設してもよい。
1,100 男子便所用小便器ユニット
10 男子用小便器
11 立壁部
20 排水溝
21 排水蓋
30 汚垂石
31 ブラスト加工部
32 非加工部
34 切削溝
W 壁面

Claims (3)

  1. 壁面に配設した男子用小便器と、
    前記男子用小便器から離して垂直下方に配設した排水蓋を有する排水溝と、
    前記排水溝の前記壁面の反対側に配設した汚垂石と
    を具備する男子便所用小便器ユニットにおいて、
    前記汚垂石は、石材または人工石材またはセラミックスの平滑表面にノンスリップ加工を施し、かつ、1〜15度の傾度で前記排水蓋の前記壁面の反対側の上面に一致させて配設したことを特徴とする男子便所用小便器ユニット。
  2. 壁面に配設した男子用小便器と、
    前記男子用小便器から離して垂直下方に配設した排水蓋を有する排水溝と、
    前記排水溝の前記壁面の反対側に配設した汚垂石と
    を具備する男子便所用小便器ユニットにおいて、
    前記汚垂石は、石材または人工石材またはセラミックスの平滑表面にノンスリップ加工を施し、かつ、1〜15度の傾度で前記排水蓋の前記壁面の反対側の上面に一致させて配設し、また、前記壁面に配設した前記男子用小便器の内面の立壁部は、垂直に対して0〜15度の傾度で上方が前記男子用小便器を使用する男子側に、下方が前記男子から離反するように傾斜を形成したことを特徴とする男子便所用小便器ユニット。
  3. 前記汚垂石の前記ノンスリップ加工は、所定の深さの切削溝を形成してなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の男子便所用小便器ユニット。
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