JP2006144549A - トイレ用床構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】 使用者が便器に接近するような床構造を提供することであり、同時に清掃の負担を軽減させることのできる床構造を提供する。
【解決手段】 トイレ用床面Fのうち、便器A向かって直交方向に連続する突起部12,13,111を設けたことを特徴とする。また、便器Aに向かって下り傾斜する傾斜面部11が該便器Aに向かって直交方向に連続するように設けたことを特徴とする。この場合、傾斜部には、少なくとも傾斜部の傾斜方向に沿って形成される溝部を設けることができる。また、傾斜部に汚垂部4を設け、汚垂部には、少なくとも汚垂部の表面が傾斜する方向に沿って形成される溝部を設けることができる。
【選択図】 図2
【解決手段】 トイレ用床面Fのうち、便器A向かって直交方向に連続する突起部12,13,111を設けたことを特徴とする。また、便器Aに向かって下り傾斜する傾斜面部11が該便器Aに向かって直交方向に連続するように設けたことを特徴とする。この場合、傾斜部には、少なくとも傾斜部の傾斜方向に沿って形成される溝部を設けることができる。また、傾斜部に汚垂部4を設け、汚垂部には、少なくとも汚垂部の表面が傾斜する方向に沿って形成される溝部を設けることができる。
【選択図】 図2
Description
本発明は、トイレの床構造に関し、便器または床面の汚れを抑制できる床構造に関するものである。
一般的に、公衆トイレにおいては、小便器の下に汚垂石が敷かれていることがあり、小水の飛散等による床面の汚れを抑制している。しかし、単なる汚垂石を設けただけでは、この汚垂石に飛散した小水等が靴裏に付着するなどによって、床面に汚れを移すことがあり、必ずしも衛生的ではなかった。また、汚垂石の汚れを除去するには、当該汚垂石を頻繁に清掃することが必要であった。
そこで、従来の汚垂石は、汚垂石を着脱可能にして、汚れた汚垂石を個別に清掃できるようにすることにより、特定の汚垂石のみを清掃することができ、トイレの床面を衛生的に維持させるものがあった(特許文献1参照)。また、汚垂石の表面に凹部を設けて、飛散した小水を一時的に溜めることができる構造とすることによって、靴裏への付着を防止するものがあった(特許文献2参照)。
特開平8−256951号公報
特開平8−266449号公報
上記の従来技術は、専ら汚垂石の構造に関するものであり、小水が小便器から飛散することを前提としているものである。しかし、小便器から小水が飛散し床面または汚垂石に滴下する原因は、使用者が便器に近付いて利用しないためであり、使用者が少しでも便器に接近すれば小水が飛散することを抑制できるものであった。そのため、最近では、小便器の設置される壁面に、一歩前で使用することを促す旨を表示するところもある。
しかしながら、公衆トイレを使用する者は、他人が使用していることを意識するためか、小便器に近付くことに躊躇する場合が多く、上記表示が効果的に作用することは稀であった。特に、コートなどを使用する機会の多い冬期においては、コートの裾部分が便器に触れることを嫌うあまり、便器との距離が一層遠くなる傾向にあった。その結果、汚垂石による構造によって床面を衛生的に維持させるほかに手段がなかった。従って、トイレの清掃には、汚垂石の清掃と床面の清掃の二種類が必要となり、清掃の負担も無視できないものとなっていた。なお、洋風便器(大便器)においても同様であって、いわゆる洗落し式の洋風便器において、便座に浅く座って使用する場合には、便器の溜水部に便が落下せず、便器の壁面が汚れることがあるが、便座に深く座って使用すれば、これを防止できるものであった。
本発明は、上記諸点にかんがみてなされたものであって、その目的とするところは、使用者が便器に接近するような床構造を提供することであり、同時に清掃の負担を軽減させることのできる床構造を提供することである。
そこで、本発明は、トイレ用床面のうち、便器に向かって直交方向に連続する突起部を設けたことを特徴とするトイレ用床構造を要旨とする。
上記構成によれば、小便用トイレに使用する場合、使用者が小便器を使用する状態における踵の位置に突起部を設けることにより、使用する者は踵で突起部を踏んだ状態となる。このとき、当該使用者が前傾姿勢となることから、不安定な姿勢を安定させるために腹部から下腹部を前方に突き出すような姿勢をとることとなる。そのため、この状態でトイレを使用する場合には、使用者の立っている位置に比較して、使用者の下腹部が便器に接近するため、小水が便器から飛散するなどにより床面を汚すことを抑制できることとなる。
また、本発明は、トイレ用床面のうち、便器に向かって下り傾斜する傾斜面部が該便器に向かって直交方向に連続するように設けたことを特徴とするトイレ用床構造をも要旨としている。
上記構成によれば、小便用トイレに使用する場合、使用者が傾斜部に立つことにより、傾斜に応じて前傾姿勢となる。そこで、使用者は、小便をするに際して下腹部を突き出す姿勢により直立を維持することとなり、使用者の立ち位置に比較すると下腹部が小便器に接近することとなるのである。また、大便用(洋風便器用)トイレに利用する場合には、爪先側が傾斜の上側となるため、水平な床面での使用時に比較すると、足首および膝の関節を大きく屈折させることとなるため、使用者の姿勢が窮屈となり、無意識的に窮屈な姿勢を緩和させるために、使用者の立ち位置から後方に離れた位置に腰を下ろすこととなるから、結果的に、便座に対して深く座ることとなるのである。
さらに、本発明は、トイレの入り口付近から便器が設置される位置に向かって下り勾配の床面を構成してなることを特徴とするトイレ用床構造をも要旨としている。
上記構成により、上述の効果に加え、使用者は、トイレに入ったときから床面の傾斜に接することとなり、この傾斜に慣れることによって違和感なく小便または大便をすることができる。
また、本発明は、小便用公衆トイレの床面において、小便器が設置される壁面の下端縁から適宜間隔を維持しつつ、該小便器が設置される壁面に平行する方向に連続する突起部を床面に設けたことを特徴とするトイレ用床構造を要旨としている。
上記構成によれば、複数の小便器が連続して設置される公衆トイレにおいて、当該便器が設置される壁面と上記突起部との間に溝が形成されることとなる。そして、上述のとおり小水の飛散または滴下を抑制する一方で、飛散または滴下した小水は、上記溝が形成する範囲に集中することとなり、当該溝を集中的に清掃することにより衛生的な環境を維持させることができる。
さらに、本発明は、小便用公衆トイレの床面において、設置される小便器の下方に位置する床面の適宜範囲に該小便器に向かって下り傾斜しつつ、該小便器が設置される壁面に平行する方向に連続する傾斜部を設けたことを特徴とするトイレ用床構造を要旨としている。
上記構成により、上述のとおり、小水の飛散または滴下を抑制するとともに、飛散または滴下する小水は、上記傾斜部に集中することとなるが、その小水は傾斜部の傾斜に沿って流下することとなり、しかも、この傾斜部と便器が設置される壁面との間で溝が形成されるため、傾斜部を流下した小水は、結局のところ上記溝に集中することとなるのである。
そして、上記各発明のうち、傾斜部を設ける構成の発明において、前記傾斜部には、少なくとも該傾斜部の傾斜方向に沿って形成される溝部が設けられてなることが好ましい。このような構成にすれば、傾斜部に飛散または滴下した小水は、当該傾斜部において溝部に流れ込むこととなり、当該傾斜部の表面に小水が停滞することがないのである。また、溝部に流れ込んだ小水も当該溝部が傾斜部と同様に傾斜することにより、便器下方に向かって流下することとなるのである。
さらに、上記発明のうち、傾斜部を設ける構成の発明において、前記傾斜部には、該傾斜部に沿って傾斜する平面を有する汚垂部が設けられてなることが好ましい。このような構成にすれば、使用者は汚垂部の上で乗ることとなるため、使用する位置が安定し、小水が飛散または滴下する場所は汚垂部に限定されることとなる。
上記において、前記汚垂部には、少なくとも該汚垂部の表面が傾斜する方向に沿って形成された溝部が設けられてなることが好ましい。このような構成であれば、汚垂部に飛散または滴下した小水は、汚垂部の溝部に流れ込み、さらに、溝部に沿って流下することとなる。
本発明によれば、本発明を小便用トイレに使用する場合、使用者は、立ち位置よりも下腹部を便器に接近させる姿勢をとるため、小水の飛散または滴下を抑制でき、また、突起部または傾斜部と壁面との間に溝が形成されることから、当該溝を清掃することにより小水による汚れを除去することができる。さらに、小水による汚れは、上記傾斜部および溝に集中することとなるから、これらを中心に清掃することにより、トイレを衛生的に維持することができることとなる。その結果、傾斜部および溝を除く他の床面の清掃回数を少なくすることができ、全体として清掃の負担を軽減することとなる。そして、上記のように形成される溝の適宜個所に排水口を設けることにより、傾斜部および溝を利用して小水を洗い流すことが可能となり、当該傾斜部および溝の清掃における負担をも軽減することとなる。
また、傾斜部を有する構成の発明においては、飛散または滴下した小水は傾斜部によって流下が促され、ある程度の量の小水が傾斜部に付着する状態となれば、当該傾斜部に沿って流下することとなり、傾斜部に小水が多量に溜まることなく清潔に維持することができる。そして、上記傾斜部に溝部を設けた構成では、飛散または滴下した小水が当該溝部に流れ込むこととなり、傾斜部の表面に小水が停滞する可能性を低くすることができる。このように、傾斜部に小水が停滞しない構成にすることにより、使用者の靴裏に小水が付着する可能性を低減することができるので、トイレの床面全体を清潔に維持させることとなり、結果的に清掃の負担を軽減することとなる。
さらに、汚垂石を設置する構成の発明によれば、公衆トイレのように数多くの便器が設置される場合において、使用者は、汚垂石の上に立って使用することとなるため、傾斜する表面による上記効果を確実なものとすることができる。
他方、上記発明を洋風便器(大便器)について用いる場合には、突起部または傾斜部の存在により、便座に深く座ることとなるため、便座に浅く座った場合に比較して便器を汚す可能性を低くすることができる。すなわち、いわゆる洗落とし式の洋風便器では、留水部の範囲が狭く便器表面の露出する範囲が広いため、便座に浅く座るときには、便が便器表面に落下する可能性があるものの、便座に深く座ることによって便を留水部に落下させることができ、流水による作用のみで十分に便を洗い流すことができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、第一の実施形態の床構造を使用したトイレの説明図である。この図に示すように、一般的な公衆トイレは、壁面2に小便器A,B,C・・・が並んで設置されている。そこで、本実施形態では、床面1の一部に傾斜部11を設けたものである。この傾斜部11は、使用者がちょうど使用時に立つ位置に設けられ、便器A,B,C・・・に向かって下り傾斜であるとともに、当該便器A,B,C・・・に向かって直交方向(壁面2に平行な方向)に連続して設けられている。また、傾斜部11の傾斜面は適度な幅を有しており、一般人の足の大きさであれば、靴裏全体が傾斜部11の傾斜面上に位置する状態で立つことができるようになっている。
傾斜部11の最下点は、壁面2の最下縁から適宜間隔を有しており、傾斜部11と壁面2との中間には、当該壁面2と平行に長尺な溝3が形成されることとなる。従って、傾斜面11に飛散または滴下した小水は、第一に、当該傾斜に沿って溝3に向かって流下し、上記溝3に集められることとなる。そして、この溝3に排水口31を構成するとともに、この排水口31に向かって当該溝3を僅かに傾斜させることにより、溝に集められた小水が徐々に排水口31に移動することとなるのである。また、当該傾斜部11を清掃する際に使用する水についても、上記傾斜部11により溝3に案内され、最終的には排水口31から排出されることとなる。
従って、公衆トイレにおいて最も汚れる個所である便器周辺を清掃するためには、傾斜部11に散水するとともにモップやブラシ等でブラッシングすることにより、汚れを流下させつつ傾斜部11を清掃することができるのである。特に、汚れた水を床面1に拡散することなく溝3を介して排水口31から排出すれば、床面を一層清潔にすることとなる。なお、床面1の清掃は、通常どおり(従来どおり)の方法で清掃することとなるが、一般的には、ブラッシングの後に水洗いするものであり、当該水洗いの際の排水を上記溝3に流下させ、排水口31から排水させることが可能である。
上記構成の床構造を設けるためには、既存の床面Fに積層するように、上記床面1を構築すればよいものであり、また、トイレを新築する場合は、当初より床構造を上記のように形成すればよいのである。ここで、既存の床面Fに積層する場合、または新築する場合には、コンクリートの打設、または所望形状に構成してなるタイル等の成型品を使用し、これを床面Fの表面に並べて設置することによって構築することができる。具体的には、タイル等の成型品を使用する場合、直方体の成型品と三角柱状をはじめとする種々の形状の成型品とを組み合わせることにより、水平な床面1と傾斜部11とを構築することが可能となるのである。なお、傾斜部11の傾斜角度は状況に応じて決定すればよいものである。
次に、上記構成の床構造における使用者の状態について説明する。図2(a)に示すように、使用者Hが小便をするためには、小便器の近くに立つことが必要となり、このとき、使用者Hは必然的に傾斜部11に乗った状態となる。そのため、通常の使用者Hは、前傾姿勢になるのであるが、小便をするためには身体を直立させなければならず、その結果、腹部から下腹部に至る部分を前へ突き出すような姿勢をとることとなるのである。このことは、図2(a)中の左側に図示する直立状態の使用者Hと比較すれば顕著である。このように、腹部から下腹部に至る部分を前へ突き出すことにより、立ち位置に比較して下腹部を便器Aに接近させる姿勢となるのである。
ここで、一般的に、公衆トイレにおける使用者Hは、無意識的に便器Aから離れた位置に立って小便をすることが多く、その場合の立ち位置では、便器Aから離れた位置に立つこととなり、便器Aと使用者Hとの間に生ずる間隙から小水が滴下したり飛散することがあったのである。本実施形態の構造を有する床面によれば、上記のとおり、傾斜部11において下腹部を突き出す姿勢をとるため、便器Aと使用者Hの下腹部との間隙を短縮させる状態とすることができるのである。従って、使用者Hによる小水の滴下および飛散を抑制できるため、小水によって床面全体が汚れることを抑制できるのである。
さらに、図2(a)において示しているように、傾斜部11は、トイレの壁面に向かって傾斜していることから、当該傾斜部11に小水が滴下した場合であっても、壁面2に向かって流下させることが可能となる。また、頻度は少ないものの、大量の小水が傾斜部11に漏れ出た場合であっても、この傾斜部11を流下した小水は、壁面2との間で構成される溝3に集まることとなるため、結果として傾斜部11に小水が溜まることがなく、さらに床面1に小水が流れ出すこともないのである。そして、清掃時には、水で洗い流すことが容易となるものである。
上記と同様の効果を得るためには、図2(b)および(c)に示すように、山形の突起部12,13を設けることにより、使用者HがトイレAの手前で立つことが予想される範囲のみを傾斜させる構成とすることも可能である。この種の構成であれば、既存の床面Fを改造することが容易であり、既存の床面Fの一部を溝3として機能させることができるのである。
次に、第二の実施形態について説明する。本実施形態は、図3に示すように、上記第一の実施形態を簡易にしたものであって、小便器が設置される壁面102の最下縁から適宜間隔だけ離れた位置の床面101に比較的幅の狭い突起部111を便器に向かって直交方向(壁面102に平行な方向)に連続して設けたものである。この種の構成は、使用者Hは、踵を突起部111に爪先を床面101に位置させることにより、結果的に、身体が前傾姿勢となることから、上記第一実施形態と同様に、使用者Hは、腹部から下腹部に至る部分を突き出させて使用することとなるのである。
本実施形態によれば、床面上に比較的幅の狭い突起部111を設置することによって構築できるものであるから、トイレの床面を大きく改造することなく実施し得ることとなる。そして、突起部111と壁面102との間には溝103が構成されることとなるから、便器からの飛散または滴下した小水によって汚れた個所を清掃するためには、上記溝103を中心に行えばよいこととなり、当該清掃の負担が軽減されるものとなる。
第三の実施形態について説明する。本実施形態は、図4に示すように、汚垂石4を使用するものである。この汚垂石4は、通常は、飛散または滴下することを前提に設けられるため、汚垂石4が設けられているトイレを使用する者は、上記汚垂石4の上に乗って小便することが常識的であると判断することが予想される。そこで、使用者が必ず傾斜部11の上に乗って小便をするように、当該傾斜部11に汚垂石4を設ける構成としたものである。
本実施形態では、傾斜部11の表面に従来から使用されている汚垂部4を設置したので、汚垂部4の表面41は傾斜部11に沿って傾斜することとなり、この汚垂部4の表面41に小水が飛散または滴下することがあっても、上記傾斜により汚垂部4の前端に向かって(溝3に向かって)流下することとなる。そして、この汚垂部4の清掃においても、敢えて着脱可能にすることなく、水で洗い流すことが可能となる。
次に、第四の実施形態として洋風便器(大便器)を設置するトイレにおける実施形態について説明する。本実施形態は、図5に示すように、洋風便器Dが設置されているトイレの床面全体のうちの2分の1程度、すなわち、入り口205の付近から便器Dの付近に至る範囲に傾斜部211を設けた構成としている。このように、床面の2分の1程度に傾斜部211を設けることにより、洋風便器Dを使用する際に使用者Hが移動する範囲の全体を傾斜させることができるのである。これにより、洋風便器Dの便座D1に浅く座ることがないようにするものである。すなわち、使用者Hは、便座D1に腰を下ろそうとするとき、水平な床面における場合と比較すれば、足首および膝の関節を大きく屈折させることとなり、その姿勢は使用者Hにとって窮屈なものとなるのであり、その窮屈な姿勢を緩和させるため、使用者Hは無意識のうちに、立ち位置から離れた位置に腰を下ろすように座ることとなるのである。立ち位置に接近した位置に座るときには、足首から腰までの距離が短く膝等の屈折角度は急激となるが、立ち位置から離れた位置に座るときには、足首から腰までの距離が長くなるため、膝等の屈折角度が緩やかとなるからである。このようにして、使用者Hが無意識的に便座D1に対して深く座ることとなるのである。
そして、上記のように、便座D1に対して深く座ることにより、いわゆる洗落とし式の便器においても、便は留水部に排出されることとなり、留水部よりも手前側において露出する便器表面に便が接触し難い状態となって、結果的に、便器を汚すことが回避できるのである。
また、洋風便器Dで大便をする場合には、便器Dの外側に便が漏れ出ることはないと考えられるが、男性が小便用として使用する場合には、小水が便器Dの外方に漏れる場合がある。そこで、本実施形態によれば、便器Dから漏れ出た小水は、少なくとも傾斜部211によって便器Dの奥方向に向かって流下することとなり、使用者Hの足元に小水が溜まるようなことがない。従って、使用者Hの靴裏に小水が付着することがないため、清潔な状態を維持し得ることとなる。さらに、トイレの床面のうち、入り口から遠い(奥の)壁面202と傾斜部211との間に溝203が形成されることとなり、この溝203を利用することによって清掃を簡便にすることも可能である。すなわち、当該溝203の一部に排水口を設けることにより、トイレの床面を水洗いした際に生ずる汚水を溝203に流下させ、さらに排水口から排出するのである。これにより、傾斜部211の表面を清掃するために使用した水が、当該傾斜部に長時間残留することがなく、比較的短時間で水気がなくなるため、外観上も実質上も衛生的な環境にすることができる。なお、一般的な洋風便器Dは、図示のように、便器Dの背後に水タンクD2が設置されており、この水タンクD2のフロート装置に不具合が発生する場合には、当該タンクD2から水が溢れ出るという可能性が皆無ではない。そこで、その際のオーバーフローをも考慮して、当該水タンクD2の下方に溝が形成されているのである。
本発明の実施形態は上記とおりであるが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様をとることができる。例えば、傾斜部11,211を設ける構成の実施形態、または、汚垂部4を使用する実施形態においては、傾斜する方向に沿った溝部を設けることができる。この溝部は、多数の筋状の溝によって構成されるものであり、傾斜部11,211または汚垂部4が傾斜する角度と同様に傾斜して設けられるものである。この種の溝部を設けることにより、傾斜部11,211または汚垂部4に飛散または滴下した小水は、これらの表面から溝部に侵入し(または流れ込み)、表面から小水を排除しつつ、当該傾斜に応じて流下することとなるから、傾斜部11,211または汚垂部4の各表面に小水が残留することがないのである。ここで、上記傾斜部11,211または汚垂部4の各表面には、上記溝部に直交する溝部を設けることによって、溝部を格子状にすることができる。このような格子状の溝部により、傾斜する傾斜部11,211または汚垂部4の各表面に滑り止め効果を与えることができる。上記格子状の溝部を構成する場合には、傾斜部11,211または汚垂部4の各表面は、各溝部から突出する四角錐台形状の先端によって形成されることとなり、当該先端の面積を小さくすることにより、使用者の足元が溝部の底から持ち上げられた状態とすることができる。この場合、飛散または滴下する小水は専ら溝部に落下もしくは流下し、四角錐台形先端平面に接する使用者の靴裏に小水が付着する可能性を僅少なものとすることができる。
また、第二の実施形態において、突起部111を便器に向かって直交方向に連続して設ける構成を示したが、この突起部111の幅寸法は、図示のような狭いもののみを意味するものではなく、広く構成されたものをも含むものである。従って、本願における突起部とは、便器の下方において適当な段差を生じさせることができるようにした上段部を意味するものである。そして、このような意味の突起部を構成することにより、当該段差が生じた部分に断面三角形部材を設置することにより傾斜部11,211を構成することが可能となる。
さらに、上記突起部111の使用態様については、傾斜部11,211と同様に使用者Hの足を傾斜させることのほか、図6に示すように、当該突起部111を境界として、それよりも便器側の床面(すなわち下段)において使用する場合が考えられる。この場合には、当該床面に足形模様を印刷するか、汚垂石を設置することにより、当該突起部111から一段下がった床面に乗って使用することを明確化させることができる。そして、このような使用態様においても、突起部111と壁面102とによって溝103は形成されることとなるから、清掃の負担軽減という機能は同様に発揮されるものである。
1,101,201 床面
2,102,202 壁面
3,103,203 溝
4 汚垂部
11,211 傾斜部
12,13 山形の突起部
31 排水口
111 突起部
205 入り口
A,B,C 小便器
D 大便器(洋風便器)
D1 便座
D2 水タンク
F 床
H 使用者
2,102,202 壁面
3,103,203 溝
4 汚垂部
11,211 傾斜部
12,13 山形の突起部
31 排水口
111 突起部
205 入り口
A,B,C 小便器
D 大便器(洋風便器)
D1 便座
D2 水タンク
F 床
H 使用者
Claims (8)
- トイレ用床面のうち、便器に向かって直交方向に連続する突起部を設けたことを特徴とするトイレ用床構造。
- トイレ用床面のうち、便器に向かって下り傾斜する傾斜面部が該便器に向かって直交方向に連続するように設けたことを特徴とするトイレ用床構造。
- トイレの入り口付近から便器が設置される位置に向かって下り勾配の床面を構成してなることを特徴とするトイレ用床構造。
- 小便用公衆トイレの床面において、小便器が設置される壁面の下端縁から適宜間隔を維持しつつ、該小便器が設置される壁面に平行する方向に連続する突起部を床面に設けたことを特徴とするトイレ用床構造。
- 小便用公衆トイレの床面において、設置される小便器の下方に位置する床面の適宜範囲に該小便器に向かって下り傾斜しつつ、該小便器が設置される壁面に平行する方向に連続する傾斜部を設けたことを特徴とするトイレ用床構造。
- 前記傾斜部には、少なくとも該傾斜部の傾斜方向に沿って形成される溝部が設けられてなることを特徴とする請求項2または5に記載のトイレ用床構造。
- 前記傾斜部には、該傾斜部に沿って傾斜する平面を有する汚垂部が設けられてなることを特徴とする請求項2または5に記載のトイレ用床構造。
- 前記汚垂部には、少なくとも該汚垂部の表面が傾斜する方向に沿って形成された溝部が設けられてなることを特徴とする請求項7記載のトイレ用床構造。
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