以下、本発明による媒体処理装置の実施例について、図面を用いて説明する。図1は実施例の媒体処理装置としての通帳伝票プリンター100の要部の概略構成をその搬送路と共に示す説明図である。図1に示す通帳伝票プリンター100は、例えば銀行窓口に設置されて伝票B1と通帳B2といった帳票類の二つの媒体に対して、入出金等の印字処理を行うよう、構成される。
通帳伝票プリンター100は、伝票B1と通帳B2を搬送した上でこれらに印字処理を行うべく、伝票B1の挿入を受ける伝票挿入口110と通帳B2の挿入を受ける通帳挿入口111、伝票B1の伝票搬送路120と通帳B2の通帳搬送路121、伝票挿入口センサ140と通帳挿入口センサ141、伝票引抜検知センサ150と通帳引抜検知センサ151、押込検知センサ160、伝票搬送ローラー対170と通帳搬送ローラー対171、伝票搬送用モータ180と通帳搬送用モータ181、共通搬送路190および印字ユニット191を備える。伝票搬送路120は、伝票挿入口110から延びて、入出金等の印字処理を行う印字ユニット191に到る搬送経路を、押込検知センサ160の手前までの上流側搬送路120uに共通搬送路190を繋げて形成する。通帳搬送路121は、通帳挿入口111から延びて印字ユニット191に到る搬送経路を、押込検知センサ160の手前までの上流側搬送路121uに共通搬送路190を繋げて形成する。
伝票挿入口センサ140は、伝票挿入口110からの伝票B1の挿入を検知し、通帳挿入口センサ141は、通帳挿入口111からの通帳B2の挿入を検知する。伝票引抜検知センサ150は、上流側搬送路120uに配設され、この上流側搬送路120uにおける後述の媒体初期停止位置より上流側で、伝票B1の有無を検知する。通帳引抜検知センサ151は、上流側搬送路121uに配設され、この上流側搬送路121uにおける後述の媒体初期停止位置より上流側で、通帳B2の有無を検知する。押込検知センサ160は、共通搬送路190の上流側に配設され、媒体初期停止位置より下流の後述の媒体待機位置より下流側で、伝票B1或いは通帳B2の有無を検知する。つまり、通帳伝票プリンター100は、伝票挿入口110と通帳挿入口111の二つの挿入口を備えた上で、それぞれの挿入口から延びて印字ユニット191に到る伝票搬送路120と通帳搬送路121の両搬送路を、詳しくはその上流側搬送路120uと上流側搬送路121uを、押込検知センサ160による媒体検知箇所より上流側で合流して備える。そして、伝票搬送路120と通帳搬送路121は、押込検知センサ160より下流において、共通搬送路190を共有する。上記した各センサは、光透過型のセンサ構造とされて各搬送路を挟んで対向配置され、その検知信号を後述の搬送制御部204に出力する。
伝票搬送ローラー対170は、後述の搬送制御部204の制御を受ける伝票搬送用モータ180にて正逆回転し、その回転駆動力を上流側搬送路120uにおける伝票B1に及ぼすことで、この伝票B1を上流側搬送路120u、延いては伝票搬送路120に沿って、吸引方向或いは排出方向に搬送する。通帳搬送ローラー対171は、後述の搬送制御部204の制御を受ける通帳搬送用モータ181にて正逆回転し、その回転駆動力を上流側搬送路121uにおける通帳B2に及ぼすことで、この通帳B2を上流側搬送路121u、延いては通帳搬送路121に沿って、吸引方向或いは排出方向に搬送する。本実施例では、伝票搬送用モータ180と通帳搬送用モータ181の両モータを、パルス制御を受けるステッピングモータとした。
この他、通帳伝票プリンター100は、共通搬送路190に、上流側搬送ローラー対192と下流側搬送ローラー対193とを備える。この両ローラー対は、搬送モータ194(図2参照)により正逆回転し、上流側搬送路120u或いは上流側搬送路121uから受け取った伝票B1と通帳B2を印字ユニット191まで搬送したり、印字ユニット191から排出した伝票B1と通帳B2を上流側搬送路120u或いは上流側搬送路121uに排出搬送して受け渡す。
上記した機器構成を備える通帳伝票プリンター100は、伝票B1を伝票搬送路120の上流側搬送路120uに、通帳B2を通帳搬送路121の上流側搬送路121uに、同時に取り込み(吸引)可能である。そして、この通帳伝票プリンター100は、排他的に伝票B1または通帳B2を共通搬送路190に搬送し、共通搬送路190に続く印字ユニット191にて、伝票B1と通帳B2のいずれか一方に印字処理を実行する。ここで伝票B1はさまざまな大きさの伝票であり、通帳B2は単票状の通帳、或いは冊子状の通帳でもよい。
次に、通帳伝票プリンター100の電気的な構成とその機能について説明する。図2は通帳伝票プリンター100の電気的な機器構成を制御ブロックで表した説明図である。図示するように、通帳伝票プリンター100は、例えば銀行のホストコンピューターといった上位装置201と、データ送受信が可能に接続され、主制御部202、印字制御部203、搬送制御部204、送受信制御部205を備える。これら制御部は、それぞれ論理演算の実行するCPUやRAM、ROMを有するコンピューターとして構成され、通帳伝票プリンター100に必要な各機能を実行する。この場合、主制御部202は、印字制御部203を含む各制御部と、高速データ通信が可能な信号線にて接続され、上位装置201から送信される制御信号を解析した上で、印字制御部203を含む各制御部を統括制御する。
印字制御部203は、印字ユニット191と接続され、主制御部202の制御下で、印字ユニット191を駆動制御して、伝票B1や通帳B2に所定の印字処理を実行する。搬送制御部204は、既述した各センサの出力状態をセンサ検知信号にて監視した上で、主制御部202の制御下で、伝票搬送用モータ180や通帳搬送用モータ181を駆動制御して、伝票B1と通帳B2の吸引搬送や排出搬送を実行する。具体的には、搬送制御部204は、伝票搬送用モータ180と通帳搬送用モータ181を正転駆動制御することで、伝票搬送ローラー対170或いは通帳搬送ローラー対171を正回転させ、伝票B1或いは通帳B2をそれぞれの伝票挿入口から伝票搬送路120或いは通帳搬送路121に吸引搬送する。その上で、搬送制御部204は、搬送モータ194についてもこれを正転駆動制御することで、上流側搬送ローラー対192と下流側搬送ローラー対193を正回転させ、伝票B1或いは通帳B2を共通搬送路190を経て印字ユニット191に搬送する。印字ユニット191からの排出の際は、搬送制御部204は、上記した各モータを逆回転制御する。
次に、印字ユニット191での印字処理の実行を伝票B1について図る上で通帳伝票プリンター100が行う搬送処理について説明する。図3は伝票B1についての搬送処理の前半を示すフローチャート、図4は伝票B1についての搬送処理の後半を示すフローチャート、図5は伝票B1についての搬送処理における伝票B1の搬送の様子を媒体位置と合わせて示す説明図である。この搬送処理は、主制御部202の制御を受けて搬送制御部204にて実行され、搬送制御部204は、既述した各センサの状態を監視しつつ、伝票B1を所定の搬送規定に沿うよう搬送する。搬送制御部204は、図3および図4に示す伝票B1についての搬送処理を行うに当たり、まず、伝票挿入口センサ140からのセンサ信号に基づいて、伝票挿入口110からの伝票B1の挿入の有無、即ち媒体検知を待機する(ステップS301)。ここで伝票B1未検知の状態は、ユーザーが伝票B1を未だ伝票挿入口110に挿入していない、或いは伝票B1を伝票挿入口110の手前のステージに載置しているものの必要な差し込み(押し込み)操作をしていないことになり、伝票B1のセット待ちとなる。この様子は、図5において媒体位置区分400で示され、伝票B1は、伝票挿入口センサ140の検知位置Ps1に達しておらず、伝票挿入口センサ140にて媒体未検知である。
ユーザーにより所定の押し込み、即ち、伝票挿入口110に挿入された伝票B1の先端が伝票挿入口センサ140より下流側の伝票搬送ローラー対170に噛み込まれるまでの伝票B1の押し込みがユーザーによりなされると、伝票B1は、媒体位置区分401まで進んで検知位置Ps1に達し、伝票挿入口センサ140は伝票B1を検知する(ステップS301:肯定判定)。この場合、図においては、伝票挿入口センサ140は伝票搬送ローラー対170と離間しているが、実機での機器配置からは、伝票挿入口センサ140は、伝票搬送ローラー対170の媒体噛み込み位置の近傍であることから、伝票挿入口センサ140による伝票B1の検知と伝票搬送ローラー対170の媒体噛み込みは、実用上においてはタイム差を無視できるほど、ほぼ同時に起きる。
伝票挿入口センサ140での媒体検知を受けた搬送制御部204は、ステップS301の肯定判定を経て、伝票搬送用モータ180を媒体吸引方向に所定の駆動量だけ回転させ(ステップS302)、これに続いて伝票引抜検知センサ150での媒体検知を待機する(ステップS303)。ステップS302での伝票搬送用モータ180の回転駆動力は、伝票搬送ローラー対170に伝達され、伝票搬送ローラー対170は、媒体吸引側に正回転してその駆動力を伝票B1に及ぼし、伝票B1を、伝票搬送用モータ180の回転駆動量に合致した搬送量で、伝票搬送路120、詳しくは上流側搬送路120uに沿って吸引搬送する(初期吸引搬送)。この初期吸引搬送により、伝票B1は、伝票搬送用モータ180の回転駆動量に合致した搬送量に対応した初期停止位置で停止することになる。本実施例では、この初期停止位置を、伝票搬送路120の上流側搬送路120uにおいて、伝票引抜検知センサ150の検知位置Ps2より下流側とした。この様子は、図5に示されており、伝票B1は、ステップS302により、媒体位置区分401から媒体位置区分402〜403を経て媒体位置区分404と進み、初期停止位置に該当する第1規定位置Pvs1に到達して停止する。つまり、ステップS302では、伝票B1が伝票挿入口センサ140の検知位置Ps1から伝票引抜検知センサ150の検知位置Ps2を経て第1規定位置Pvs1まで搬送されるよう、伝票搬送ローラー対170の伝票搬送用モータ180が駆動制御される。
伝票B1が第1規定位置Pvs1に到達するよう吸引搬送されている間には、図5に示すように、伝票B1は後端側を伝票挿入口110から露出させている。よって、吸引搬送過程の伝票B1にユーザーが不注意により触れてしまうと、伝票B1の引き抜きや押し込みが起き得る。本実施例では、こうした事態に次のように対処する。まず、吸引搬送過程で引き抜きや押し込みがなく伝票B1が正常に吸引搬送された場合につき説明する。この正常搬送状態では、伝票B1は、既述したように媒体位置区分401から媒体位置区分404に進み、第1規定位置Pvs1に到達して停止する(ステップS301〜302)。この第1規定位置Pvs1への到達前に、伝票B1は伝票引抜検知センサ150の検知位置Ps2を通過するので、正常搬送状態では、ステップS303にて肯定判定され、後述のステップS308以降の処理(押し込み対処処理)に進む。
その一方、伝票B1の引き抜きが起きた搬送状態(引抜搬送異常)では、この引き抜きに相当する分だけ、伝票B1は、第1規定位置Pvs1より上流までしか吸引搬送されず(媒体位置区分404NG)、伝票引抜検知センサ150の検知位置Ps2に達しない。そうすると、引抜搬送異常では、ステップS302にて初期吸引搬送が実行された状況において、伝票B1を規定の第1規定位置Pvs1に停止できないばかりか、伝票引抜検知センサ150が媒体未検知となる。ところで、伝票B1の引き抜きの程度は様々であることが予想されるが、印字ユニット191による印字処理における印字位置精度に影響を及ぼさない程度であれば、引き抜きが起きてもさほど支障はない。本実施例では、こうした印字精度への影響を考慮して、第1規定位置Pvs1と検知位置Ps2との隔たりおよび伝票搬送用モータ180の回転駆動量(ステップS302)を決定した。このため、引抜搬送異常が印字位置精度に影響を及ぼす程の引き抜きが起きた搬送であれば、ステップS302にて初期吸引搬送が実行された状況において、伝票引抜検知センサ150が媒体未検知となる(ステップS303:否定判定)。
搬送制御部204は、ステップS303での否定判定を受けて、引抜搬送異常を復旧すべく、伝票搬送用モータ180の停止制御(ステップS304)に続いて、伝票搬送用モータ180を媒体排出方向に回転駆動(逆転駆動)し(ステップS305)、伝票挿入口センサ140での媒体検知を待機する(ステップS306)。これにより、伝票B1は、第1規定位置Pvs1より上流で伝票引抜検知センサ150にも未検知な媒体位置区分404NGから、伝票搬送路120の上流側搬送路120uに沿って伝票挿入口110の側に排出搬送される。この際、搬送制御部204は、吸引搬送の際よりも低速で伝票搬送用モータ180を回転制御するので、伝票B1は、低速で伝票挿入口110の側に、媒体位置区分404r1〜404reのように低速排出搬送される。
搬送制御部204は、この排出搬送をステップS306による伝票挿入口センサ140の媒体未検知(否定判定)まで継続する。つまり、伝票B1は、媒体位置区分404r1から伝票挿入口110の側に搬送されるが、伝票B1の先端は、以前として伝票挿入口センサ140の下流に位置することから、伝票挿入口センサ140は、媒体検知信号を継続して出力する。ところが、伝票挿入口センサ140にて媒体未検知となれば、伝票B1は、その先端が検知位置Ps1より伝票挿入口110の側となるので、伝票挿入口110からほぼ完全に排出されることになり、引抜搬送異常が復旧される(媒体位置区分404re)。つまり、搬送制御部204は、ステップS306での伝票挿入口センサ140の媒体未検知(否定判定)を受けて、伝票搬送用モータ180を停止制御し(ステップS307)、ステップS301に移行してそれ以降の処理を繰り返す。こうなると、伝票B1は、当初の媒体位置区分400の状態に戻るので、搬送制御部204は、ユーザーによる改めての伝票B1の挿入を待機する。ユーザーは、一旦、伝票挿入口110に挿入した伝票B1が、一度は吸引搬送され、その後に伝票挿入口110に戻されつつあることを目にする。よって、ユーザーは、伝票B1の再挿入が必要だと認知し、この再挿入操作を行う。本実施例では、上記の排出搬送を低速で行うので、ユーザーへの再挿入認知を高めることが可能となる。この際、図示しない表示機器に、ユーザーに再挿入を促すメッセージを表したり、音声報知することもできる。そして、ユーザーによる再挿入後には、既述した正常搬送状態での伝票B1の初期吸引搬送がなされるので、ステップS303では肯定判定され、後述のステップS308に移行する。
搬送制御部204は、以上説明したステップS301〜307の処理により、仮にユーザーにより伝票B1の引き抜きがなされたとしても、ステップS303の否定判定に続くステップS304〜307と、その後のステップS301以降の処理の繰り返しにより、伝票B1を所定の第1規定位置Pvs1に停止させる。なお、上記した初期吸引搬送の際に、ユーザーによる伝票B1の押し込みも起き得るが、この押し込みによる搬送異常(押込搬送異常)は、以下のステップS311以降にて復旧される。
搬送制御部204は、ステップS303での肯定判定(伝票引抜検知センサ150での媒体検知)に続くステップS308において、改めて、伝票搬送用モータ180を媒体吸引方向に所定の駆動量だけ回転させ、これに続くモータの停止制御(ステップS309)を経て、押込検知センサ160での媒体検知を待機する(ステップS310)。ステップS308での伝票搬送用モータ180の回転駆動力は、伝票搬送ローラー対170に伝達され、伝票搬送ローラー対170は、媒体吸引側に正回転してその駆動力を伝票B1に及ぼし、伝票B1を、伝票搬送用モータ180の回転駆動量に合致した搬送量で、伝票搬送路120、詳しくは上流側搬送路120uに沿って第1規定位置Pvs1(媒体位置区分404)から吸引搬送する(2次吸引搬送)。この2次吸引搬送により、伝票B1は、伝票搬送用モータ180の回転駆動量に合致した搬送量に対応した媒体待機位置で停止することになる。本実施例では、この媒体待機位置を、伝票搬送路120の上流側搬送路120uにおいて、第1規定位置Pvs1より下流で押込検知センサ160の検知位置Ps3より上流側とした。この様子は、図5に示されており、伝票B1は、ステップS308〜309により、媒体位置区分404から媒体位置区分410に進み、媒体待機位置に該当する第2規定位置Pvs2に到達して停止する。つまり、ステップS303での肯定判定(伝票引抜検知センサ150での媒体検知)に続くステップS308における伝票搬送用モータ180の回転駆動量は、伝票B1が伝票引抜検知センサ150の検知位置Ps2から第2規定位置Pvs2まで搬送されるまでの搬送量に適合した駆動量に設定されている。
伝票B1が第1規定位置Pvs1から第2規定位置Pvs2に到達するよう吸引搬送(2次吸引搬送)されている間には、伝票B1は、ほぼ全域が上流側搬送路120uに入り込んで伝票挿入口110からの露出が僅かであるため、新たに上記の引き抜きや押し込みを受けがたい。引き抜きに伴う引抜搬送異常については、既述したステップS304〜307にて既に対処済みであるので、搬送制御部204は、ステップS310での押込検知センサ160の媒体検知状況を経て、押し込みに伴う搬送異常(押込搬送異常)に、次のように対処する。まず、伝票B1が正常に第2規定位置Pvs2まで吸引搬送された場合につき説明する。この正常搬送状態では、伝票B1は、既述したように媒体位置区分404から媒体位置区分410に進んで、第2規定位置Pvs2に到達して停止する(ステップS308〜309)。この第2規定位置Pvs2は、押込検知センサ160の検知位置Ps3より上流であることから、正常搬送状態では、ステップS310にて肯定判定され、後述のステップS330以降の処理(印字関連処理)に進む。
その一方、伝票B1の押し込みが起きた搬送状態(押込搬送異常)では、この押し込みに相当する分だけ、伝票B1は、第2規定位置Pvs2より下流側に吸引搬送され(媒体位置区分410NG)、押込検知センサ160の検知位置Ps3に到達する。そうすると、押込搬送異常では、ステップS308〜309にて2次吸引搬送が実行された状況において、伝票B1を規定の第2規定位置Pvs2に停止できないばかりか、第2規定位置Pvs2より下流側の押込検知センサ160が媒体検知となる(ステップS310:肯定判定)。ところで、伝票B1の押し込み程度は様々であることが予想されるが、印字ユニット191による印字処理における印字位置精度に影響を及ぼさない程度であれば、押し込みが起きてもさほど支障はない。本実施例では、こうした印字精度への影響を考慮して、第2規定位置Pvs2と検知位置Ps3との隔たりおよび伝票搬送用モータ180の回転駆動量(ステップS308)を決定した。このため、押込搬送異常が印字位置精度に影響を及ぼす程の押し込みが起きた搬送であれば、ステップS308〜309にて2次吸引搬送が実行された状況において、押込検知センサ160が媒体検知となる(ステップS310:肯定判定)。
搬送制御部204は、ステップS310での肯定判定を受けて、押込搬送異常を復旧すべく、伝票搬送用モータ180を媒体排出方向に回転駆動(逆転駆動)し(ステップS311)、伝票引抜検知センサ150での媒体検知を待機する(ステップS314)。本実施例では、ステップS311での伝票搬送用モータ180の逆転駆動を行うに当たり、伝票搬送用モータ180を間欠的に駆動制御して、つまり、総駆動量を分割した分割駆動量(搬送量a、b、c・・・)ごとの伝票搬送用モータ180の逆転駆動(ステップS312)とその停止制御(ステップS313)を繰り返すようにした。また、ステップS314での媒体検知は、一つの分割駆動量で伝票搬送用モータ180が逆転駆動して停止するごとに、行うようにした。これにより、伝票B1は、第2規定位置Pvs2より下流で押込検知センサ160で媒体検知な媒体位置区分410rb1(=媒体位置区分410NG)から、伝票搬送路120の上流側搬送路120uに沿って伝票挿入口110の側に、分割駆動量(搬送量a、b、c・・・)ごとに間欠的で媒体位置区分410rb1〜410rbeのように排出搬送される。また、こうした間欠的な駆動ごとに、ステップS314の媒体検知がなされる。この際、搬送制御部204は、分割駆動量(搬送量a、b、c・・・)を、その個々が等分の一定の駆動量として伝票搬送用モータ180を逆転駆動するようにしたり、この分割駆動量(搬送量a、b、c・・・)を、駆動制御を繰り返すにつれて分割駆動量(搬送量a、b、c・・・)または伝票搬送用モータ180の逆転駆動速度の少なくとも一方を低減するようにもできる。
搬送制御部204は、この排出搬送をステップS314による伝票引抜検知センサ150の媒体未検知(否定判定)まで継続する。つまり、伝票B1は、媒体位置区分410rb1から伝票挿入口110の側に搬送されるが、伝票B1の先端は、以前として伝票引抜検知センサ150の下流に位置することから、伝票引抜検知センサ150は、媒体検知信号を継続して出力する。ところが、伝票引抜検知センサ150にて媒体未検知となれば(媒体位置区分410rbe)、伝票B1は、その先端が検知位置Ps2より上流となるので、その後の後述の吸引搬送での伝票引抜検知センサ150による媒体検知を経て、第2規定位置Pvs2への伝票B1の再吸引搬送が可能となる。つまり、搬送制御部204は、ステップS314での伝票引抜検知センサ150の媒体未検知(否定判定)を受けて、第2規定位置Pvs2への伝票B1の再吸引搬送に転ずる。この再吸引搬送で、搬送制御部204は、ステップS314での伝票引抜検知センサ150の媒体未検知(否定判定)を受けて、改めて、伝票搬送用モータ180の媒体排出方向への一定量の回転駆動(逆転駆動)と(ステップS315)、その回転停止制御(ステップS316)を行う。これにより、伝票B1の再吸引搬送の開始位置(媒体位置区分410rf1)が定まる。
次いで、搬送制御部204は、伝票搬送用モータ180を媒体吸引方向に回転駆動制御しつつ(ステップS317)、伝票引抜検知センサ150での媒体検知を待機する(ステップS318)。これにより、伝票B1は、伝票引抜検知センサ150で検知されるまで吸引搬送(再吸引搬送)され(媒体位置区分410rf2)る。そして、搬送制御部204は、伝票引抜検知センサ150での媒体検知(ステップS318:肯定判定)の時点から、伝票搬送用モータ180を改めて媒体吸引方向に所定の駆動量だけ回転させ(ステップS319)、その後停止制御して(ステップS320)、後述のステップS330に移行する。このステップS319における伝票搬送用モータ180の回転駆動量は、既述した2次吸引搬送におけるステップS308での回転駆動量、即ち伝票B1が伝票引抜検知センサ150の検知位置Ps2(媒体位置区分410rf2)から第2規定位置Pvs2まで搬送されるまでの搬送量に適合した駆動量に設定されている。
搬送制御部204は、以上説明したステップS308〜320の処理により、仮にユーザーにより伝票B1の押し込みがなされたとしても、ステップS310の肯定判定に続くステップS311〜320の処理により、伝票B1を所定の第2規定位置Pvs2に停止させる。
搬送制御部204は、こうして伝票B1を所定の第2規定位置Pvs2に停止させた後、印字ユニット191での印字処理に伝票B1を処すべく、引き続き伝票搬送用モータ180の吸引回転制御を行って、伝票B1を共通搬送路190に受け渡す(ステップS330)。その後、搬送制御部204は、共通搬送路190の上流側搬送ローラー対192等を経て伝票B1を印字ユニット191にセットしてこれに印字し(ステップS332)、その後は、上流側搬送ローラー対192と下流側搬送ローラー対193の逆転駆動による伝票B1の上流側搬送路120uへの受け渡しと、伝票B1の伝票挿入口110への排出搬送を行い(ステップS334)、本ルーチンを終了する。
次に、印字ユニット191での印字処理の実行を通帳B2について図る上での通帳伝票プリンター100が行う搬送処理について説明する。図6は通帳B2についての搬送処理の前半を示すフローチャート、図7は通帳B2についての搬送処理の後半を示すフローチャート、図8は通帳B2についての搬送処理における伝票B1の搬送の様子を媒体位置と合わせて示す説明図である。通帳B2についての搬送処理は、既述した伝票B1についての搬送処理と変わるものではなく、その制御対象たるモータやセンサ信号の入力対象のセンサや通帳B2の規定の停止位置が異なるに過ぎない。よって、相違点を述べつつ、以下、通帳B2についての搬送処理について説明する。
搬送制御部204は、既述した各センサの状態を監視しつつ、通帳B2についての搬送処理を行うに当たり、まず、通帳挿入口センサ141からのセンサ信号に基づいた通帳B2の検知を待機する(ステップS501/媒体位置区分600)。そして、通帳B2が通帳挿入口センサ141で検知されると(ステップS501:肯定判定)、通帳搬送用モータ181を媒体吸引方向に所定の駆動量だけ回転させ(ステップS502)、これに続いて通帳引抜検知センサ151での媒体検知を待機する(ステップS503/媒体位置区分603)。ステップ502での通帳搬送用モータ181の回転駆動力は、通帳搬送ローラー対171に伝達され、通帳搬送ローラー対171は、媒体吸引側に正回転してその駆動力を通帳B2に及ぼし、通帳B2を、通帳搬送用モータ181の回転駆動量に合致した搬送量で、通帳搬送路121、詳しくは上流側搬送路121uに沿って吸引搬送する(初期吸引搬送)。この初期吸引搬送により、通帳B2は、通帳搬送用モータ181の回転駆動量に合致した搬送量に対応すると共に、通帳引抜検知センサ151の検知位置Ps2より下流の初期停止位置(第1規定位置Pvs1)で停止することになる(媒体位置区分604)。この場合、伝票B1についての伝票引抜検知センサ150の検知位置Ps2と、通帳B2についての通帳引抜検知センサ151の検知位置Ps2とは、それぞれの搬送路経路におけるセンサ位置が相違するため同一ではない。また、伝票B1についての検知位置Ps2から第1規定位置Pvs1までの隔たり(搬送量)と、通帳B2についての検知位置Ps2から第1規定位置Pvs1までの隔たり(搬送量)にあっても、同じである必要はなく、ステップS502では、通帳B2が通帳挿入口センサ141の検知位置Ps1から通帳引抜検知センサ151の検知位置Ps2を経て第1規定位置Pvs1まで搬送されるよう、通帳搬送ローラー対171の通帳搬送用モータ181が駆動制御される。
通帳B2にあっても、第1規定位置Pvs1に到達するよう吸引搬送されている間において、図8に示すように後端側を通帳挿入口111から露出させているので、この間に、引き抜きや押し込みが起き得る。本実施例では、通帳B2についても、既述した伝票B1と同様の対処を図る。吸引搬送過程で引き抜きや押し込みがなく通帳B2が正常に吸引搬送(正常搬送状態)であれば、通帳B2は、既述したように媒体位置区分401から媒体位置区分404に進み、第1規定位置Pvs1に到達して停止する(ステップS501〜502)。この第1規定位置Pvs1への到達前に、通帳B2は通帳引抜検知センサ151の検知位置Ps2を通過するので、正常搬送状態では、ステップS503にて肯定判定され、後述のステップS508以降の処理(押し込み対処処理)に進む。
その一方、伝票B1の引き抜きが起きた搬送状態(引抜搬送異常)では、この引き抜きに相当する分だけ、通帳B2は、第1規定位置Pvs1より上流までしか吸引搬送されず(媒体位置区分604NG)、通帳引抜検知センサ151の検知位置Ps2に達しない。そうすると、引抜搬送異常では、ステップS502にて初期吸引搬送が実行された状況において、通帳B2を規定の第1規定位置Pvs1に停止できないばかりか、通帳引抜検知センサ151が媒体未検知となる。通帳B2についても、既述した伝票B1の場合と同様、種々の引き抜きの程度と印字精度への影響を考慮して、第1規定位置Pvs1と検知位置Ps2との隔たりおよび通帳搬送用モータ181の回転駆動量(ステップS302)を決定した。このため、引抜搬送異常が印字位置精度に影響を及ぼす程の引き抜きが起きた搬送であれば、ステップS502にて初期吸引搬送が実行された状況において、通帳引抜検知センサ151が媒体未検知となる(ステップS303:否定判定)。
搬送制御部204は、ステップS503での否定判定を受けて、引抜搬送異常を復旧すべく、通帳搬送用モータ181の停止制御(ステップS504)、通帳搬送用モータ181の媒体排出方向への回転駆動(逆転駆動)制御(ステップS505)、通帳挿入口センサ141での媒体検知待機(ステップS506)を実行する。これにより通帳B2にあっても、伝票B1について既述したように、第1規定位置Pvs1より上流で通帳引抜検知センサ151にも未検知な媒体位置区分604NGから、通帳搬送路121の上流側搬送路121uに沿って通帳挿入口111の側に低速で排出搬送される。
搬送制御部204は、この排出搬送をステップS506による通帳挿入口センサ141の媒体未検知(否定判定)まで継続する。これにより、通帳B2は、媒体位置区分604r1から通帳挿入口111の側に搬送されて、既述したように通帳挿入口111からほぼ完全に排出されて、引抜搬送異常が復旧される(媒体位置区分604re)。つまり、搬送制御部204は、ステップS506での通帳挿入口センサ141の媒体未検知(否定判定)を受けて、通帳搬送用モータ181を停止制御し(ステップS507)、ステップS501に移行してそれ以降の処理を繰り返す。こうなると、通帳B2にあっても、当初の媒体位置区分600の状態に戻るので、搬送制御部204は、ユーザーによる改めての通帳B2の挿入を待機する。そして、ユーザーによる通帳B2の再挿入後には、既述した正常搬送状態での通帳B2の初期吸引搬送がなされるので、ステップS503では肯定判定され、後述のステップS508に移行する。
搬送制御部204は、以上説明したステップS501〜507の処理により、仮にユーザーにより通帳B2の引き抜きがなされたとしても、ステップS503の否定判定に続くステップS504〜507と、その後のステップS501以降の処理の繰り返しにより、通帳B2を所定の第1規定位置Pvs1に停止させる。なお、上記した初期吸引搬送の際に、ユーザーによる通帳B2の押し込みも起き得るが、この押し込みによる搬送異常(押込搬送異常)は、以下のステップS511以降にて復旧される。
搬送制御部204は、ステップS503での肯定判定(通帳引抜検知センサ151での媒体検知)に続くステップS508において、改めて、通帳搬送用モータ181を媒体吸引方向に所定の駆動量だけ回転させ、これに続くモータの停止制御(ステップS509)を経て、押込検知センサ160での媒体検知を待機する(ステップS510)。この場合、押込検知センサ160は、伝票B1と通帳B2について、共通に用いられる。ステップS508での通帳搬送用モータ181の回転駆動力は、通帳搬送ローラー対171に伝達され、通帳搬送ローラー対171は、媒体吸引側に正回転してその駆動力を通帳B2に及ぼし、通帳B2を、通帳搬送用モータ181の回転駆動量に合致した搬送量で、通帳搬送路121、詳しくは上流側搬送路121uに沿って第1規定位置Pvs1(媒体位置区分604)から吸引搬送する(2次吸引搬送)。この2次吸引搬送により、通帳B2は、通帳搬送用モータ181の回転駆動量に合致した搬送量に対応した媒体待機位置で停止することになる。本実施例では、この媒体待機位置を、通帳搬送路121の上流側搬送路121uにおいて、第1規定位置Pvs1より下流で押込検知センサ160の検知位置Ps3より上流側とした。この様子は、図8に示されており、通帳B2は、ステップS508〜509により、媒体位置区分604から媒体位置区分610に進み、媒体待機位置に該当する第2規定位置Pvs2に到達して停止する。つまり、ステップS503での肯定判定(通帳引抜検知センサ151での媒体検知)に続くステップS508における通帳搬送用モータ181の回転駆動量は、通帳B2が通帳引抜検知センサ151の検知位置Ps2から第2規定位置Pvs2まで搬送されるまでの搬送量に適合した駆動量に設定されている。
通帳B2が第1規定位置Pvs1から第2規定位置Pvs2に到達するよう吸引搬送(2次吸引搬送)されている間には、通帳B2にあっても、そのほぼ全域が上流側搬送路121uに入り込んで通帳挿入口111からの露出が僅かであるため、新たに上記の引き抜きや押し込みを受けがたい。引き抜きに伴う引抜搬送異常については、既述したステップS504〜507にて既に対処済みであるので、搬送制御部204は、ステップS510での押込検知センサ160の媒体検知状況を経て、押し込みに伴う搬送異常(押込搬送異常)に、次のように対処する。この対処は、伝票B1についてのものと同じであり、通帳B2が正常に第2規定位置Pvs2まで吸引搬送(正常搬送状態)であれば、通帳B2は、既述したように媒体位置区分604から媒体位置区分610に進んで、第2規定位置Pvs2に到達して停止する(ステップS508〜509)。この第2規定位置Pvs2は、押込検知センサ160の検知位置Ps3より上流であることから、正常搬送状態では、ステップS510にて肯定判定され、後述のステップS330以降の処理(印字関連処理)に進む。
その一方、通帳B2の押し込みが起きた搬送状態(押込搬送異常)では、この押し込みに相当する分だけ、通帳B2は、第2規定位置Pvs2より下流側に吸引搬送され(媒体位置区分610NG)、押込検知センサ160の検知位置Ps3に到達する。そうすると、押込搬送異常では、ステップS508〜509にて2次吸引搬送が実行された状況において、通帳B2を規定の第2規定位置Pvs2に停止できないばかりか、第2規定位置Pvs2より下流側の押込検知センサ160が媒体検知となる(ステップS510:肯定判定)。通帳B2についても、既述した伝票B1の場合と同様、種々の押し込み程度と印字精度への影響を考慮して、第2規定位置Pvs2と検知位置Ps3との隔たりおよび通帳搬送用モータ181の回転駆動量(ステップS508)を決定した。このため、押込搬送異常が印字位置精度に影響を及ぼす程の押し込みが起きた搬送であれば、ステップS508〜509にて2次吸引搬送が実行された状況において、押込検知センサ160が媒体検知となる(ステップS510:肯定判定)。
搬送制御部204は、ステップS510での肯定判定を受けて、押込搬送異常を復旧すべく、通帳搬送用モータ181を媒体排出方向に回転駆動(逆転駆動)し(ステップS511)、通帳引抜検知センサ151での媒体検知を待機する(ステップS514)。本実施例では、通帳B2についての間欠的な排出を図るべく、ステップS511での通帳搬送用モータ181の逆転駆動の際に、分割駆動量(搬送量a、b、c・・・)ごとの通帳搬送用モータ181の逆転駆動(ステップS512)とその停止制御(ステップS513)を繰り返すようにした。これにより、通帳B2は、第2規定位置Pvs2より下流で押込検知センサ160で媒体検知な媒体位置区分610rb1(=媒体位置区分610NG)から、通帳搬送路121の上流側搬送路121uに沿って通帳挿入口111の側に、分割駆動量(搬送量a、b、c・・・)ごとに間欠的で媒体位置区分610rb1〜610rbeのように排出搬送される。この際、分割駆動量(搬送量a、b、c・・・)をその個々が等分の一定の駆動量としたり、駆動制御を繰り返すにつれて分割駆動量(搬送量a、b、c・・・)または通帳搬送用モータ181の逆転駆動速度の少なくとも一方を低減するようにもできる。
搬送制御部204は、この排出搬送をステップS514による通帳引抜検知センサ151の媒体未検知(否定判定)まで継続する。つまり、通帳B2は、媒体位置区分610rb1から伝票挿入口110の側に搬送されるが、通帳B2の先端は、以前として通帳引抜検知センサ151の下流に位置することから、通帳引抜検知センサ151は、媒体検知信号を継続して出力する。ところが、通帳引抜検知センサ151にて媒体未検知となれば(媒体位置区分610rbe)、通帳B2は、その先端が検知位置Ps2より上流となるので、その後の後述の吸引搬送での通帳引抜検知センサ151による媒体検知を経て、第2規定位置Pvs2への通帳B2の再吸引搬送が可能となる。つまり、搬送制御部204は、ステップS514での通帳引抜検知センサ151の媒体未検知(否定判定)を受けて、第2規定位置Pvs2への通帳B2の再吸引搬送に転ずる。この再吸引搬送で、搬送制御部204は、ステップS514での通帳引抜検知センサ151の媒体未検知(否定判定)を受けて、改めて、通帳搬送用モータ181の媒体排出方向への一定量の回転駆動(逆転駆動)と(ステップS515)、その回転停止制御(ステップS516)を行う。これにより、通帳B2の再吸引搬送の開始位置(媒体位置区分610rf1)が定まる。
次いで、搬送制御部204は、通帳搬送用モータ181を媒体吸引方向に回転駆動制御しつつ(ステップS517)、通帳引抜検知センサ151での媒体検知を待機する(ステップS518)。これにより、通帳B2は、通帳引抜検知センサ151で検知されるまで吸引搬送(再吸引搬送)され(媒体位置区分610rf2)る。そして、搬送制御部204は、通帳引抜検知センサ151での媒体検知(ステップS518:肯定判定)の時点から、通帳搬送用モータ181を改めて媒体吸引方向に所定の駆動量だけ回転させ(ステップS519)、その後停止制御して(ステップS520)、後述のステップS330に移行する。このステップS519における通帳搬送用モータ181の回転駆動量は、既述した2次吸引搬送におけるステップS508での回転駆動量、即ち通帳B2が通帳引抜検知センサ151の検知位置Ps2(媒体位置区分610rf2)から第2規定位置Pvs2まで搬送されるまでの搬送量に適合した駆動量に設定されている。
搬送制御部204は、以上説明したステップS508〜520の処理により、仮にユーザーにより通帳B2の押し込みがなされたとしても、ステップS510の肯定判定に続くステップS511〜520の処理により、通帳B2を所定の第2規定位置Pvs2に停止させる。
搬送制御部204は、こうして通帳B2を所定の第2規定位置Pvs2に停止させた後、既述したステップS330〜334に進んで、印字ユニット191での印字処理に通帳B2を処して、本ルーチンを終了する。
本実施例の通帳伝票プリンター100は、伝票B1と通帳B2という異なる媒体への印字処理を行うよう、既述したように伝票挿入口110と通帳挿入口111とを備える。そして、各挿入口からの伝票B1の搬送用の伝票搬送路120と通帳B2の搬送用の通帳搬送路121とを、押込検知センサ160の検知位置Ps3より上流側で合流させ、その上流をそれぞれの上流側搬送路120u、上流側搬送路121uとする。こうした上で、図3〜図5を用いて説明したように、伝票B1を単独で搬送して印字ユニット191にて、これに印字でき、通帳B2についても、図6〜図8を用いて説明したように、単独で印字できる。そして、通帳伝票プリンター100は、伝票B1を押込検知センサ160の検知位置Ps3より上流の第1規定位置Pvs1に停止させる図3の初期吸引搬送、および通帳B2を同じく押込検知センサ160の検知位置Ps3より上流の第1規定位置Pvs1に停止させる図6の初期吸引搬送を行うことから、伝票B1を搬送して印字ユニット191にて印字している最中に、通帳B2については、第1規定位置Pvs1に停止させて、伝票B1の印字終了後の通帳B2の印字に備えることができる。この逆についても同様である。以下、この点について説明する。図9は伝票B1への印字処理実行中における伝票B1と通帳B2の関係を示す説明図、図10は伝票B1への印字処理実行中における通帳B2の搬送状況を示す説明図である。
図9に示すように、伝票B1への印字処理が実行されている間は、押込検知センサ160は伝票B1を検知している。よって、通帳B2についての図7のステップS510では、媒体検知の肯定判定となり、ステップS511〜S520の既述した2次吸引搬送に移行する。この2次吸引搬送では、通帳B2は、押込検知センサ160の検知位置Ps3より上流の第2規定位置Pvs2まで搬送され、通帳B2の先端は、印字実行中の伝票B1に近づく。仮に、伝票B1への印字処理実行中における通帳B2の挿入に際して押し込みが起きていると、通帳B2は、その先端が押込検知センサ160の検知位置Ps3より下流に位置することが有り得るので、通帳B2の先端が印字実行中の伝票B1に干渉することが危惧される。こうした事態を回避しつつ、伝票B1への印字処理実行中における通帳B2の通帳挿入口111への挿入を受け入れた上で、通帳B2を押込検知センサ160の検知位置Ps3より上流の第1規定位置Pvs1に停止させる。この処理では、搬送制御部204は、図6に示したステップS501〜502に続くステップS503の否定判定を受けたステップS504〜S507の処理を実行して、通帳B2を既述した初期吸引搬送により第1規定位置Pvs1に停止させる。この様子は、図10に示されており、通帳挿入口111に挿入された通帳B2は、通帳挿入口センサ141の検知位置Ps1の媒体位置区分800から、通帳引抜検知センサ151の検知位置Ps2より下流で押込検知センサ160の検知位置Ps3よりも上流の第1規定位置Pvs1の媒体位置区分808で停止する。こうした第1規定位置Pvs1での通帳B2の停止は、既述したように正常搬送の他、伝票B1への印字処理実行中における通帳B2の引き抜きに伴う引抜搬送異常が起きた場合でもなされる。
その一方、伝票B1への印字処理実行中における通帳B2の押し込みに伴う押込搬送異常については、次のように対処する。ステップS503の肯定判定後のステップS508では、既述したように通帳搬送用モータ181の回転駆動量を、通帳B2が通帳引抜検知センサ151の検知位置Ps2から第2規定位置Pvs2まで搬送されるまでの搬送量に適合した駆動量とした。この駆動量で通帳搬送用モータ181を駆動すると、伝票B1への印字処理実行中における通帳B2の押し込みにより、通帳B2の先端が押込検知センサ160の検知位置Ps3より下流に位置することが有り得る。よって、伝票B1への印字処理実行中における通帳B2についてのステップS508〜510をスキップして、ステップS511の通帳搬送用モータ181の媒体排出方向への回転駆動(逆転駆動)に進み、このステップS511〜S520の処理を行い、ステップS520にて処理を終了する。こうすれば、通帳B2は、図10に示す媒体位置区分811から通帳引抜検知センサ151に検知されなくなるまで通帳挿入口111の側に搬送され(媒体位置区分815)、その後に改めて吸引搬送されて、第1規定位置Pvs1に停止する(媒体位置区分820=媒体位置区分808)。この場合のステップS519における通帳搬送用モータ181の回転駆動量は、既述した初期吸引搬送におけるステップS502での回転駆動量、即ち通帳B2が通帳引抜検知センサ151の検知位置Ps2から第1規定位置Pvs1まで搬送されるまでの搬送量に適合した駆動量に設定されている。つまり、伝票B1への印字処理実行中における通帳B2の挿入受入に当たっては、初期吸引搬送を行った上で、通帳B2を押込検知センサ160の検知位置Ps3より上流の第2規定位置Pvs2まで搬送する2次吸引搬送を控え、通帳B2を、初期吸引搬送と同じ第1規定位置Pvs1まで吸入搬送して当該位置に停止させる。
通帳B2への印字処理実行中における伝票B1の挿入受入も同様であり、この場合には、図3に示したステップS301〜302に続くステップS303の否定判定を受けたステップS304〜S307の処理を実行して、伝票B1を既述した初期吸引搬送により第1規定位置Pvs1に停止させる。次いで、伝票B1についてのステップS308〜310をスキップして、ステップS311〜S320の処理を行い、ステップS320にて処理を終了する。そして、ステップS319における伝票搬送用モータ180の回転駆動量を、既述した初期吸引搬送におけるステップS302での回転駆動量、即ち伝票B1が伝票引抜検知センサ150の検知位置Ps2から第1規定位置Pvs1まで搬送されるまでの搬送量に適合した駆動量に設定する。こうすることで、伝票B1を押込検知センサ160の検知位置Ps3より上流の第2規定位置Pvs2まで搬送する2次吸引搬送を控え、伝票B1を、初期吸引搬送と同じ第1規定位置Pvs1まで吸入搬送して当該位置に停止させる。
以上説明したように、本実施例の通帳伝票プリンター100は、伝票B1と通帳B2という異なる媒体への印字処理を個別に行うに当たり、各媒体ごとの挿入口(伝票挿入口110、通帳挿入口111)からの媒体挿入を挿入口センサ(伝票挿入口センサ140、通帳挿入口センサ141)で検知すると(ステップS301、S501)、その挿入された媒体(伝票B1、通帳B2)を、引抜検知センサ(伝票引抜検知センサ150、通帳引抜検知センサ151)の検知位置Ps1(図5、図8参照)より下流の媒体初期停止位置(第1規定位置Pvs1)まで搬送路(伝票搬送路120の上流側搬送路120u、通帳搬送路121の上流側搬送路121u)に沿って初期吸引搬送する。媒体挿入後のこうした初期吸引搬送の過程において、媒体の引き抜きといった異常がなければ、媒体は、引抜検知センサの検知位置Ps1より下流の媒体初期停止位置(第1規定位置Pvs1)に停止する。仮に、媒体の引き抜きがあれば、初期吸引搬送の実行済みの状況において引抜検知センサが媒体未検知(ステップS303、S503:否定判定)の引抜搬送異常となる。本実施例の通帳伝票プリンター100は、初期吸引搬送の実行済みの状況において引抜検知センサが媒体未検知であると、挿入口センサによる媒体検知がなされなくなるまで媒体を搬送路に沿って挿入口の側に排出搬送して(ステップS304〜307、S504〜507)、媒体(伝票B1、通帳B2)を装置内から完全に排出し再挿入待ちとできる。そして、媒体再挿入がなされると、その再挿入された媒体を媒体初期停止位置(第1規定位置Pvs1)まで搬送路に沿って搬送して停止させる。よって、本実施例の通帳伝票プリンター100によれば、挿入口から挿入された媒体の吸引搬送過程における媒体搬送や停止位置確保の信頼性を高めることができる。
また、本実施例の通帳伝票プリンター100は、媒体初期停止位置(第1規定位置Pvs1)より下流の媒体待機位置(図5、図8:第2規定位置Pvs2)より下流側の搬送路の経路において、媒体の有無を検知する押込検知センサ160を備える。その上で、本実施例の通帳伝票プリンター100は、初期吸引搬送を実行した状況において引抜検知センサが媒体を検知すると(ステップS303、S503)、媒体を媒体待機位置(第2規定位置Pvs2)まで搬送路に沿って2次吸引搬送する(ステップS308〜309、S508〜509)。媒体挿入後の初期吸引搬送或いは2次吸引搬送の過程において、媒体の押し込み異常がなければ、媒体は、押込検知センサ160の検知位置Ps3より上流の媒体待機位置(第2規定位置Pvs2)に停止する。仮に、媒体の押し込みがあれば、媒体は媒体待機位置(第2規定位置Pvs2)より下流に進むため、2次吸引搬送の実行済みの状況において押込検知センサ160が媒体を検知し(ステップS310、S510:肯定判定)、押込搬送異常となる。本実施例の通帳伝票プリンター100は、2次吸引搬送の実行済みの状況において押込検知センサ160が媒体を検知すると、媒体待機位置(第2規定位置Pvs2)より上流側の引抜検知センサによる媒体検知がなされなくなるまで媒体を搬送路に沿って挿入口の側に排出搬送して(ステップS311〜316、S511〜516)、改めて、媒体を媒体待機位置(第2規定位置Pvs2)まで搬送して停止させることができる(ステップS317〜320、S517〜520)。よって、本実施例の通帳伝票プリンター100によれば、媒体が押し込められた場合であっても、媒体の吸引搬送過程における媒体搬送や停止位置確保の信頼性を高めることができる。
また、本実施例の通帳伝票プリンター100では、押込搬送異常に対処すべく媒体(伝票B1、通帳B2)を搬送路に沿って挿入口の側に排出搬送するに当たり、当該搬送をもたらす搬送用モータ(伝票搬送用モータ180、通帳搬送用モータ181)を間欠的に駆動して(ステップS312〜313、S512〜513)、媒体の排出搬送を間欠的に行う(図5:媒体位置区分410rb1〜410rbe/図8:媒体位置区分610rb1〜610rbe)。よって、本実施例の通帳伝票プリンター100によれば、押込搬送異常に対処した媒体(伝票B1、通帳B2)の排出搬送に際して、媒体排出が間欠的であることから、不用意に媒体が挿入口から飛び出すような事態を招かないようにできる。また、媒体排出が間欠的であることから、媒体が排出と停止が繰り返して排出されてくる様子をユーザーに視認させるので、ユーザーに媒体に触れないようにすることを促して、ユーザーによる新たな媒体押し込みや引き抜きを抑制することも可能となる。
加えて、本実施例の通帳伝票プリンター100では、押込搬送異常に対処した媒体(伝票B1、通帳B2)の間欠的な排出搬送に際して、媒体の停止の都度に、引抜検知センサによる媒体検知を行う。このため、引抜検知センサは停止状態の媒体に対してその有無を検知することになるので、検知精度の信頼性の向上から好ましい。なお、引抜検知センサが反射型の光センサであると、信頼性がより高まる。
この他、本実施例の通帳伝票プリンター100では、押込搬送異常に対処した媒体(伝票B1、通帳B2)の間欠的な排出搬送に際して、各排出動作における排出量を、分割駆動量(搬送量a>b>c>…)のように設定して、媒体の間欠的な排出搬送の当初の搬送量を大きくし、排出搬送が進んで媒体が挿入口付近まで来たときの搬送量を小さくした。このため、本実施例の通帳伝票プリンター100によれば、不用意に排出の繰返し回数を増やさないので、押込搬送異常に対処した媒体(伝票B1、通帳B2)の排出搬送に要する時間を短くできる。この場合、分割駆動量(搬送量a、b、c・・・)をほぼ等分とした上で、媒体の間欠的な排出搬送の当初では搬送速度を大きくし、排出搬送が進んで媒体が挿入口付近まで来ると搬送速度を小さくしても、同様の効果を奏することができる。
また、本実施例の通帳伝票プリンター100では、引抜搬送異常の復旧に際しての搬送用モータ(伝票搬送用モータ180、通帳搬送用モータ181)を媒体排出方向に回転駆動(逆転駆動)するに当たり(ステップS305、S505)、吸引搬送の際よりも低速でモータを回転制御して、媒体(伝票B1、通帳B2)をその挿入口の側に低速で排出搬送する。引抜搬送異常の復旧に際しての媒体(伝票B1、通帳B2)の排出搬送は、媒体の後端側が挿入口の外で広く露出した状態でなされる。よって、本実施例の通帳伝票プリンター100によれば、引抜搬送異常の復旧に際しての媒体排出を低速とすることで、不用意に媒体が挿入口から飛び出すような事態を招かないようにできる。また、低速での媒体排出であることから、ユーザーに違和感を与えにくく、ユーザーによる新たな媒体押し込みや引き抜きを抑制することも可能となる。
また、本実施例の通帳伝票プリンター100では、伝票B1と通帳B2という異なる媒体ごとに伝票挿入口110と通帳挿入口111とを備え、各挿入口からの伝票B1の搬送用の伝票搬送路120と通帳B2の搬送用の通帳搬送路121とを、押込検知センサ160の検知位置Ps3より上流側で合流させる。そして、伝票B1と通帳B2のいずれか一方の媒体を搬送して印字ユニット191にて印字している間においては、他方の媒体については、これを、引抜搬送異常に対処を図った上での初期吸引搬送にて第1規定位置Pvs1に停止させる。これに加え、押込搬送異常については、押込検知センサ160の検知位置Ps3より上流の第2規定位置Pvs2まで搬送する2次吸引搬送を控えて、他方の媒体を、初期吸引搬送と同じ第1規定位置Pvs1まで吸入搬送して当該位置に停止させる。よって、本実施例の通帳伝票プリンター100によれば、一方の媒体(例えば、伝票B1)を搬送して印字ユニット191にて印字している間に他方の媒体(通帳B2)の挿入に際して押し込みが起きても、この通帳B2を、初期吸引搬送と同じ第1規定位置Pvs1で停止させることで、印字実行中の伝票B1に干渉しないようにして、この通帳B2の通帳挿入口111への挿入の受け入れと、印字に備えた第1規定位置Pvs1での媒体停止を実行できる。
以上、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記実施例では、印字ユニット191にて媒体に印字処理を行う通帳伝票プリンター100としたが、印字処理に代わる何らかの処理を伝票B1或いは通帳B2に実行する構成とすることもできる。この他、単独の媒体を処理対象とする構成とすることもできる。
また、上記した実施例は、本発明を分かり易く説明するために詳細にその構成等につき説明したのであり、必ずしも実施例に記した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
更に、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計等することによりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テープ、ファイル等の情報は、メモリーや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体におくことができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上、必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。