JP5944428B2 - シュートガイドを備えたコイラー装置 - Google Patents

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Description

本発明は、シュートガイドを備えたコイラー装置に関するものである。
一般に、圧延設備の出側にはコイラー装置(巻取機)が設けられ、圧延機で圧延されロール間から連続して供給される金属板(ストリップ)をコイル状に巻き取るように構成されている。このコイラー装置は、金属板のパスラインにピンチロールを備え、そのピンチロールによって、パスラインから斜め下に曲がった巻取ラインに金属板を導き、その先端をマンドレルに噛み込ませ、金属板を巻き取るようになっている(特許文献1参照)。
下記特許文献1には、圧延されたストリップを、ピンチロールを介してマンドレルに巻き取るストリップの巻き取り方法及び装置が開示されている。このコイラー装置は、マンドレルとラッパーロールとによって形成される巻取口に金属板を導入するシュート及びオーバーガイド(シュートガイド)を有している。オーバーガイドは、巻取ラインに導入された金属板の上向き面側をガイドするガイド板として機能するようになっている。
特開2005−305452号公報
ところで、金属板はピンチロールを通過後、通板角度を斜め下方に変えてマンドレルに導かれるが、その金属板が高強度の厚み材の場合、曲げ剛性が高くあまり曲がらないため、巻取ラインにおいて金属板の上向き面側をガイドするシュートガイドに強く押し付けられてしまう。そうすると、金属板の表面が傷付き易くなると共に摩擦抵抗が増加し、大きな押力が必要となり消費エネルギーも増加してしまう。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、金属板が高強度厚み材の場合であっても表面の傷の発生を防止し、通板の安定化を図ることができるシュートガイドを備えたコイラー装置の提供を目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、パスラインに沿って搬送される金属板を該パスラインから曲がった巻取ラインに導くピンチロールと、前記巻取ラインの先に配置されて前記金属板を巻き取るマンドレルと、前記巻取ラインにおいて前記金属板の上向き面側をガイドし、前記金属板を前記マンドレルの巻取口に導入するシュートガイドと、を有する、シュートガイドを備えたコイラー装置であって、前記シュートガイドは、本体フレームと、前記本体フレームに取り付けられ、前記金属板をガイドするガイド面の少なくとも一部を形成し、前記本体フレームよりも摩擦係数が低く且つ前記金属板よりも硬度が低いライナーと、を有する、という構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、ガイド面の少なくとも一部を、シュートガイドを構成する本体フレームよりも低摩擦且つ金属板よりも低硬度のライナーによって形成する。ライナーの存在により、ガイド面における摩擦抵抗を低減できるため、金属板に押力をあまりかけずに済み、消費エネルギーを低減させることができる。また、ライナーは金属板よりも低硬度であるため、金属板が押し付けられたときにはライナー側が削れ、金属板の表面における傷の発生(削れ)が防止される。
また、本発明においては、前記ライナーは、前記巻取ラインにおいて、前記本体フレームの下流側に取り付けられている、という構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、巻取ラインにおいて、マンドレルの巻取口に近いシュートガイドの下流側の方が上流側よりも金属板と擦れる期間が長いため、本体フレームの下流側にライナーを取り付けることで、ガイド面における摩擦抵抗の増加及び金属板の表面における傷の発生を効果的に防止することができる。
また、本発明においては、前記ライナーを前記本体フレームに着脱自在に取り付ける取付部を有する、という構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、金属板と擦れて徐々に消耗していくライナーのみを交換することができるため、ライナーを本体フレームごと交換する場合と比べて、交換の作業性が良く、また、交換コストを低減できる。
また、本発明においては、前記取付部は、前記本体フレームに設けられた枠体と、前記ライナーに設けられたスライド溝と、前記スライド溝に係合し、前記ライナーと協働して前記枠体を挟み込むスライド片と、前記スライド片を前記ライナーに締結固定するネジ部材と、を有する、という構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、ネジ部材による締結固定を解除し、さらに、スライド片をライナーのスライド溝に沿って移動させてライナーとの係合を解除することで、本体フレームに設けられた枠体からライナーを取り外すことができる。したがって、例えばネジ部材による締結固定が解除されても、スライド片とライナーとの係合が解除されない限り、ライナーは本体フレームに支持されるため、ライナーが予期せず脱落して金属板に巻き込まれるといった事態を確実に回避することができる。
また、本発明においては、前記スライド片は、前記スライド溝に係合する係合突起を有し、前記スライド溝は、前記係合突起の幅より大きな幅で開口する第1開口部と、前記係合突起の幅よりも小さな幅で開口する第2開口部と、を有する、という構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、スライド片の係合突起を第1開口部からスライド溝に導入し、第2開口部までスライドさせることで、スライド片とライナーとを容易に係合させることができる。
また、本発明においては、前記ライナーは、前記巻取ラインにおいて幅方向に並んだ複数のピースからなり、前記複数のピースは、前記本体フレームにそれぞれ独立して着脱自在に取り付けられている、という構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、金属板が圧延機から延出されてくる場合、金属板の先端の形状が揃っていないことが多く、ライナーが幅方向において偏摩耗することがあるため、複数のピースでライナーを形成し、幅方向において部分的に交換可能とすることで、交換コストをより低減できる。
本発明によれば、金属板が高強度厚み材の場合であっても表面の傷の発生を防止し、通板の安定化を図ることができるシュートガイドを備えたコイラー装置が得られる。
本発明の実施形態におけるコイラー装置を示す全体構成図である。 本発明の実施形態におけるシュートガイドを裏側から視た斜視図である。 図2における矢視I−I断面図である。 本発明の実施形態における取付部を示す分解斜視図である。 本発明の実施形態におけるライナーを示す斜視図である。 本発明の実施形態におけるスライド片を示す斜視図である。 本発明の実施形態におけるコイラー装置の巻き取り動作及びシュートガイドによる作用を説明するための図である。 本発明の別実施形態におけるコイラー装置を示す全体構成図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の本実施形態におけるコイラー装置1を示す全体構成図である。
図1に示すように、コイラー装置1は、不図示の圧延機の下流側に配置され、圧延機を通過しパスラインL1に沿って搬送される金属板2を巻取ラインL2に導入して巻き取るものである。パスラインL1は、水平に並んだ複数の搬送ロール3によって形成されている。
コイラー装置1は、ピンチロール10a,10bを備える。ピンチロール10a,10bは、パスラインL1に沿って搬送される金属板2を、パスラインL1から曲がった巻取ラインL2に導くものである。巻取ラインL2は、パスラインL1から斜め下方に延在している。上側のピンチロール10aは、下側のピンチロール10bに対して近接離間可能に構成されている。上側のピンチロール10aは、後述するマンドレル20に金属板2を巻き取る場合を除き、下側のピンチロール10bから離間するようになっている。
コイラー装置1は、マンドレル20を備える。マンドレル20は、巻取ラインL2の先に配置されて金属板2を巻き取るものである。マンドレル20の周りには、ラッパーロール21及びラッパーエプロン22が複数設けられている。ラッパーロール21は、金属板2をマンドレル20に巻き付けるものである。ラッパーロール21は、マンドレル20の周方向において間隔をあけて配置されている。ラッパーロール21は、マンドレル20に対して近接離間可能に構成されている。ラッパーロール21は、マンドレル20に巻き付いた金属板2の径に応じて移動するようになっている。
ラッパーエプロン22は、金属板2がマンドレル20に巻き付くときにその先端をリードするものである。ラッパーエプロン22は、マンドレル20の周面に対向し、金属板2の先端が接触するガイド面22aを有する。ガイド面22aは、マンドレル20の周面に沿って湾曲している。ラッパーエプロン22は、マンドレル20の周方向において隣り合うラッパーロール21の間に配置されている。ラッパーエプロン22は、マンドレル20に対して近接離間可能に構成されている。ラッパーエプロン22は、金属板2がマンドレル20に巻き付いたら離間するようになっている。
コイラー装置1は、ゲート30を備える。ゲート30は、巻取ラインL2を開閉するものである(図1では開状態を示す)。ゲート30は、ピンチロール10a,10bの出側に配置されている。ゲート30は、パスラインL1を形成する第1ガイド面31と、巻取ラインL2を形成する第2ガイド面32と、を有する。第1ガイド面31は、パスラインL1に沿う水平面となっている。第2ガイド面32は、巻取ラインL2に沿う傾斜面となっている。ゲート30は、略V字形状の先端を、パスラインL1の上流側に向けた構成となっている。
ゲート30は、シュートガイド40a,40bと協働して、巻取ラインL2を形成している。シュートガイド40a,40bは、マンドレル20とラッパーロール21との間の巻取口23に金属板2の先端を導くものである。シュートガイド40a,40bは、マンドレル20とラッパーロール21との間の噛み込み口に向かうに従って間隔が狭くなるような逆ハの字状に設けられている。シュートガイド40a,40bは、巻取ラインL2において、ゲート30よりも下流側に配置されている。本実施形態では、下側のシュートガイド40bが、ラッパーエプロン22の一つと一体的に設けられている。また、上側のシュートガイド40aが、回転軸41を中心に回動可能に設けられている。
コイラー装置1は、シュートロール50を備える。シュートロール50は、金属板2の先端がマンドレル20に巻き付くときに、金属板2のその上向き面側に湾曲する変形を抑制するものである。シュートロール50は、巻取ラインL2において、ゲート30よりも下流側であって、ゲート30と上側のシュートガイド40aとの繋ぎ目の位置に配置されている。シュートロール50は、回転自在に設けられており、その周面は、第2ガイド面32よりも突出している。
コイラー装置1は、ベンディングロール60を備える。ベンディングロール60は、ピンチロール10a,10bよりも上流側に配置され、ベンディングロール駆動装置61によってパスラインL1に対して近接離間可能な構成となっている。ベンディングロール60は、金属板2が巻き終わるときにその後端の跳ね上がりを防止するために、パスラインL1に近接するものである。ベンディングロール駆動装置61は、例えばシリンダー装置から構成されている。
次に、図2〜図6を追加参照しつつ、シュートガイド40aの構成について詳しく説明する。
図2は、本発明の実施形態におけるシュートガイド40aを裏側から視た斜視図である。図3は、図2における矢視I−I断面図である。図4は、本発明の実施形態における取付部73を示す分解斜視図である。図5は、本発明の実施形態におけるライナー72を示す斜視図である。図6は、本発明の実施形態におけるスライド片76を示す斜視図である。
シュートガイド40aは、巻取ラインL2(図1参照)に導入された金属板2の上向き面側をガイドし、金属板2をマンドレル20の巻取口23に導入するものである。シュートガイド40aは、本体フレーム70を有する。本体フレーム70の表側は、金属板2の上向き面側をガイドするガイド面42を形成している。本体フレーム70の裏側には、図2に示すように、複数の補強リブ71が設けられている。
シュートガイド40aは、ライナー72を有する。ライナー72は、図1に示すように、本体フレーム70に取り付けられ、金属板2をガイドするガイド面42の少なくとも一部を形成するものである。ライナー72は、本体フレーム70よりも摩擦係数が低い低摩擦材であると共に、金属板2よりも硬度が低い低硬度材から形成されている。本実施形態のライナー72は、例えば、FCD(ダクタイル鋳鉄)材から形成されている。
ライナー72は、図1に示すように、巻取ラインL2において、本体フレーム70の下流側に取り付けられている。本実施形態のライナー72は、本体フレーム70の下流端から約1/5程度のガイド面42を形成している。このライナー72の下流端は、本体フレーム70の下流端よりも突出し、1番目のラッパーロール21の周面に近接して配置されている。また、ライナー72は、図2に示すように、巻取ラインL2において幅方向に並んだ複数のピース72aからなる。本実施形態のライナー72は、4つのピース72aからなり、4分割で取り付け可能な構成となっている。
シュートガイド40aは、図3に示すように、取付部73を有する。取付部73は、ライナー72を本体フレーム70に着脱自在に取り付けるものである。本実施形態の取付部73は、ライナー72をピース72a毎に、本体フレーム70に対しそれぞれ独立して着脱自在に取り付けるようになっている(図2及び図4参照)。取付部73は、枠体74と、スライド溝75と、スライド片76と、ネジ部材77と、を有する。
枠体74は、図4に示すように、本体フレーム70に設けられている。具体的に、枠体74は、巻取ラインL2において、本体フレーム70の下流側に設けられ、本体フレーム70と一体構造となっている。枠体74の内側には、巻取ラインL2の下流側に先端を向けた凸状の嵌合穴74aが形成されている。嵌合穴74aは、隣り合う補強リブ71の間に形成されるようになっている。
スライド溝75は、図4に示すように、ライナー72に設けられている。ライナー72は、枠体74の嵌合穴74aに嵌合する凸状の突出部78を有する。スライド溝75は、この突出部78に形成されている。突出部78には、ネジ部材77が螺合するネジ穴79が形成されている。ネジ穴79は、スライド溝75を挟んで2箇所ずつ、計4箇所に形成されている。ネジ穴79は、図3に示すように、ガイド面42まで貫通しないようになっている。
スライド片76は、図3に示すように、スライド溝75に係合し、ライナー72と協働して枠体74を挟み込むものである。本実施形態では、図4に示すように、一つのスライド溝75に二つのスライド片76が係合する構成となっている。スライド片76は、スライド溝75に係合する係合突起80を有する。係合突起80は、図3に示すように、断面視でT字状に形成されている。具体的には、図6に示すように、係合突起80は、幅が大きいヘッド部80aと、幅が小さいネック部80bと、によって構成されている。このスライド片76には、係合突起80を挟んで1箇所ずつ、計2箇所にネジ部材77が挿通する挿通穴81が形成されている。
スライド溝75は、図5に示すように、大きな幅で開口する第1開口部82と、小さな幅で開口する第2開口部83と、を有する。第1開口部82は、スライド片76の係合突起80を導入可能とするものであり、係合突起80(ヘッド部80a)の幅よりも大きな幅で開口している。一方、第2開口部83は、スライド片76の係合突起80と係合可能とするものであり、係合突起80(ヘッド部80a)の幅よりも小さい幅で開口している。なお、図5に示す穴84には、ライナー72を吊り上げるときにフックが取り付けられる。
第1開口部82は、スライド溝75の中央部に配置され、第2開口部83は、スライド溝75の両端部に配置されている。第2開口部83は、スライド溝75の開口幅を、係合突起80のネック部80bの幅まで絞るようになっている。スライド溝75の両端部は、図3に示すように、断面視で、係合突起80に対応したT字状に形成されており、スライド片76が係合可能となっている。ライナー72及びスライド片76は、嵌合穴74aよりも大きく形成されており、ライナー72とスライド片76とが係合することで、枠体74を裏表で挟み込むことができるようになっている。
ネジ部材77は、スライド片76をライナー72に締結固定するものである。ネジ部材77は、挿通穴81を通ってネジ穴79と螺合し、スライド片76のスライド溝75に沿った移動を規制して係合解除を防止すると共に、ライナー72とスライド片76との間で枠体74を締め付けさせる。このネジ部材77は、図2に示すように、スライド片76を二箇所で締結固定するが、本実施形態では、それらをワイヤリング85で連結して回り止めし、緩まないようにしている。
次に、上記構成のコイラー装置1による金属板2の巻き取り動作及びシュートガイド40aによる作用について、図7を参照して説明する。なお、以下では、金属板2が高強度厚み材である場合について説明する。
図7は、本発明の本実施形態におけるコイラー装置1の巻き取り動作及びシュートガイド40aによる作用を説明するための図である。
図7に示すように、不図示の圧延機を通過した金属板2は、パスラインL1に沿って搬送され、ピンチロール10a,10bに至る。金属板2は、ピンチロール10a,10bを通過した後、通板角度を斜め下方に変えて、パスラインL1から曲がった巻取ラインL2に導かれる。ここで、金属板2が高強度厚み材の場合、その先端が極端に曲がらずに、弧を描くように湾曲する。このため、金属板2は、巻取ラインL2において、シュートガイド40aに押し付けられる。
シュートガイド40aは、巻取ラインL2に導入された金属板2の上向き面側をガイドするガイド面42を有する。このガイド面42の少なくとも一部は、ライナー72によって形成されている。ライナー72は、シュートガイド40aを構成する本体フレーム70よりも摩擦係数が低い低摩擦材からなり、金属板2との摩擦抵抗を低減する。このように、本体フレーム70にライナー72を貼り付けて、ガイド面42における摩擦抵抗を低減させることで、金属板2に押力をあまりかけずに済み、消費エネルギーを低減させることができる。
また、ライナー72は、金属板2よりも硬度が低い低硬度材であるため、金属板2が押し付けられたときにはライナー72側が削れる。これにより、金属板2の表面における傷の発生(削れ)が防止される。したがって、本実施形態では、ガイド面42の少なくとも一部を、シュートガイド40aを構成する本体フレーム70よりも低摩擦且つ金属板2よりも低硬度のライナー72によって形成することによって、摩擦抵抗を低減し、金属板2に押力をあまりかけずに通板の安定化を図り、また、ライナー72側を摩耗させることで、金属板2の表面の傷の発生を防止することができる。
図7に示すように、巻取ラインL2に導入された金属板2の先端は、本体フレーム70に押し当てられる。その後、金属板2は、巻取ラインL2において下流側に配置されたライナー72に押し当てられ、巻取口23の間を通り、マンドレル20に巻き取られる。金属板2が高強度厚み材の場合、マンドレル20に一巻されると、下側に潜り込むその先端により下流側が持ち上がり、マンドレル20に巻き取られている間しばらくは、金属板2がシュートガイド40aの下流側に押し付けられることとなる。
このように、金属板2は、巻取ラインL2において、シュートガイド40aの上流側よりも下流側の方が、押し付けられる期間が長い。本実施形態のライナー72は、巻取ラインL2において、本体フレーム70の下流側に取り付けられている。この構成によれば、マンドレル20の巻取口23に近く、金属板2と擦れる期間が長い下流側のガイド面42における摩擦抵抗の増加及び金属板2の表面における傷の発生を効果的に防止することができる。
また、本実施形態のライナー72は、本体フレーム70に取付部73によって着脱自在に取り付けられているため、金属板2と擦れて徐々に消耗していくライナー72のみを、本体フレーム70と分離して交換することができる。このため、ライナー72を本体フレーム70ごと交換する場合と比べて、交換の作業性が良く、また、交換コストを低減できる。また、ライナー72は、図2に示すように、巻取ラインL2において幅方向に並んだ複数のピース72aからなり、複数のピース72aは、本体フレーム70にそれぞれ独立して着脱自在に取り付けられている。ピース72aの一つ当たりの重量は、ライナー72全体の重量よりも明らかに軽く、交換作業は容易である。
また、金属板2が不図示の圧延機から延出されてくる場合、金属板2の先端の形状が一直線に揃っていないことが多い。したがって、金属板2の先端が、シュートガイド40aに押し付けられたときに、ライナー72が幅方向において偏摩耗することがある。本実施形態では、複数のピース72aでライナー72を形成し、幅方向において部分的に交換可能とすることで、例えば偏摩耗した部分だけを交換することができる。したがって、ライナー72の交換コストをより低減することができるようになる。
本実施形態のライナー72の取り付けは、図4に示すようにして行う。先ず、ライナー72をワイヤーで吊り上げ、枠体74の表側から嵌合穴74aに突出部78を嵌め込む。次に、枠体74の裏側からスライド片76をスライド溝75に係合させる。具体的には、スライド片76の係合突起80を第1開口部82からスライド溝75に導入し、第2開口部83までスライドさせることで、スライド片76とライナー72とを係合させる。スライド溝75の両端部にスライド片76をそれぞれ係合させたら、ネジ部材77によってスライド片76をライナー72に締結固定する。以上により、ライナー72の取り付けが完了する。
ライナー72の取り外しは、上記取り付けと逆の手順で行う。すなわち、ネジ部材77による締結固定を解除し、さらに、スライド片76をライナー72のスライド溝75に沿って移動させてライナー72との係合を解除することで、本体フレーム70に設けられた枠体74からライナー72を取り外すことができる。
この取付部73の構成によれば、図3に示すように、例えばネジ部材77による締結固定が解除されても、スライド片76とライナー72との係合が解除されない限り、ライナー72が本体フレーム70に支持されたままの状態となる。したがって、交換の際に、ライナー72が予期せず脱落して金属板2に巻き込まれてしまう、あるいは、周辺装置に衝突してしまうといった不測の事態を確実に回避することができ、交換作業を安全且つ確実に行うことができるようになる。
このように、上述の本実施形態によれば、パスラインL1に沿って搬送される金属板2を該パスラインL1から曲がった巻取ラインL2に導くピンチロール10a,10bと、巻取ラインL2の先に配置されて金属板2を巻き取るマンドレル20と、巻取ラインL2において金属板2の上向き面側をガイドし、金属板2をマンドレル20の巻取口23に導入するシュートガイド40aと、を有する、シュートガイド40aを備えたコイラー装置1であって、シュートガイド40aは、本体フレーム70と、本体フレーム70に取り付けられ、金属板2をガイドするガイド面42の少なくとも一部を形成し、本体フレーム70よりも摩擦係数が低く且つ金属板2よりも硬度が低いライナー72と、を有する、という構成を採用することによって、金属板2が高強度厚み材の場合であっても表面の傷の発生を防止し、通板の安定化を図ることができるシュートガイド40aを備えたコイラー装置1が得られる。
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、本発明は、以下の図8に示す形態を採用し得る。なお、以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図8は、本発明の別実施形態におけるコイラー装置1を示す全体構成図である。
図8に示すように、別実施形態のライナー72は、シュートガイド40aの下流端を構成している。このライナー72は、ネジ部材86によって構成される取付部73によって、本体フレーム70に着脱自在に取り付けられている。この構成によれば、ライナー72の厚みを確保して、削り代を大きくとることができるため、ライナー72の交換頻度を低減することができる。但し、上記実施形態よりもライナー72の重量は大きくなる。
また、例えば、上記実施形態では、ライナーが複数のピースからなる構成について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、例えばライナーが一枚ものであってもよい。
1 コイラー装置
2 金属板
10a,10b ピンチロール
20 マンドレル
23 巻取口
40a シュートガイド
42 ガイド面
70 本体フレーム
72 ライナー
72a ピース
73 取付部
74 枠体
75 スライド溝
76 スライド片
77 ネジ部材
80 係合突起
82 第1開口部
83 第2開口部
L1 パスライン
L2 巻取ライン

Claims (6)

  1. パスラインに沿って搬送される金属板を該パスラインから曲がった巻取ラインに導くピンチロールと、前記巻取ラインの先に配置されて前記金属板を巻き取るマンドレルと、前記巻取ラインにおいて前記金属板の上向き面側をガイドし、前記金属板を前記マンドレルの巻取口に導入するシュートガイドと、を有する、シュートガイドを備えたコイラー装置であって、
    前記シュートガイドは、
    本体フレームと、
    前記本体フレームに取り付けられ、前記金属板をガイドするガイド面の少なくとも一部を形成し、前記本体フレームよりも摩擦係数が低く且つ前記金属板よりも硬度が低いライナーと、を有する、ことを特徴とするシュートガイドを備えたコイラー装置。
  2. 前記ライナーは、前記巻取ラインにおいて、前記本体フレームの下流側に取り付けられている、ことを特徴とする請求項1に記載のシュートガイドを備えたコイラー装置。
  3. 前記ライナーを前記本体フレームに着脱自在に取り付ける取付部を有する、ことを特徴とする請求項1または2に記載のシュートガイドを備えたコイラー装置。
  4. 前記取付部は、
    前記本体フレームに設けられた枠体と、
    前記ライナーに設けられたスライド溝と、
    前記スライド溝に係合し、前記ライナーと協働して前記枠体を挟み込むスライド片と、
    前記スライド片を前記ライナーに締結固定するネジ部材と、を有する、ことを特徴とする請求項3に記載のシュートガイドを備えたコイラー装置。
  5. 前記スライド片は、前記スライド溝に係合する係合突起を有し、
    前記スライド溝は、前記係合突起の幅より大きな幅で開口する第1開口部と、前記係合突起の幅よりも小さな幅で開口する第2開口部と、を有する、ことを特徴とする請求項4に記載のシュートガイドを備えたコイラー装置。
  6. 前記ライナーは、前記巻取ラインにおいて幅方向に並んだ複数のピースからなり、
    前記複数のピースは、前記本体フレームにそれぞれ独立して着脱自在に取り付けられている、ことを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載のシュートガイドを備えたコイラー装置。
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