JP5943607B2 - 細胞アッセイを行うための方法 - Google Patents

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Description

本発明は細胞アッセイまたは細胞に基づくアッセイに、そして特にこうしたアッセイで使用するための低温保存細胞の提供に関する。
現在、当該技術分野で実施されている薬剤発見は、長く多段階のプロセスである。まず、このプロセスには、特異的疾患ターゲットの同定、特異的ターゲットに基づくアッセイの開発、アッセイの検証、最適化、そして次いでスクリーンを産生するためのアッセイの自動化が伴う。次いで、アッセイを用いた化合物ライブラリーのハイスループットスクリーニング(HTS)を実行して、潜在的な薬剤としての見込みを示す候補化合物を同定してもよく;次いでこれらの化合物を検証し、そして化学的に最適化する。このプロセスのアウトプットは、前臨床試験に、そして検証されたならば、最終的に臨床試験に入る、リード化合物である。このプロセスにおいて、スクリーニング期はアッセイ開発期とは別個であり、そして生存している生物学的系における化合物有効性の試験を伴う。
歴史的に、薬剤発見は、何年にも渡り、そして生成される薬剤あたり数億ドルを費やす、緩慢で、そしてコストが掛かるプロセスである。ゲノミクスおよびHTSの分野における開発は、ターゲット同定および化合物スクリーニングの分野における能力および効率の増加を生じてきた。
HTS技術の適用によって、薬剤発見プロセスにおいて現在遭遇する障害に取り組み、そしてこれを軽減する潜在能力が提供される。HTSプロセスでは、生物学的系における可能な効果に関して、そして特定のターゲットに対する、選択したリード化合物の特異性に関して、薬剤候補をスクリーニングする。100,000試験/日を超えるスループットレベルを可能にしうる、96、384、1536またはそれより多い小型化ウェルを持つマイクロタイターウェルプレート形式を利用した、HTSアッセイプロセスの開発、およびアッセイ小型化によって、一次スクリーニングに取り組む。
反応産物を基質から分離することを必要としない検出系を適用することによって、元来は、ほとんどが酵素である精製タンパク質の生化学的活性を測定するために開発された、多くのタイプの細胞不含アッセイを、HTSに容易に変換可能である。例えば、蛍光に基づく技術によって、分離、分画または精製法の必要を伴わずに、酵素活性ならびに分子相互作用の検出が可能になる(Hertzbamerg R PおよびPope AJ. High−throughput screening: new technology for the 21st century. Curr. Opin. Chem. Biol. 4, pp445−451, 2000)。これらの自動化アッセイによって、いわゆる「ヒット」、すなわち、単離in vitro系において、特異的ターゲットの生化学的活性に対して望ましい効果を示す化合物を同定する、巨大な化合物ライブラリーの迅速なスクリーンが可能になる。次いで、ヒットを化学修飾およびHTS系を通じたさらなるスクリーニングに供して、「リード」化合物と呼ばれる、より特異的でそして強力な誘導体を選択する。古典的な薬剤発見プロセスにおいて、リード化合物は、続いて、臨床試験のための薬剤候補となりうるものを選択するため、細胞および動物モデルを用いた、多様なin vivoアッセイにおいて、試験される。
最近数年の間に、操作された細胞および微生物を用いた細胞に基づくアッセイは、薬剤発見プロセスの初期におけるHTSのため、ますます、in vitro生化学的アッセイに対する魅力的な代替法となりつつある。こうしたアッセイに関して必要なのは、定義されたターゲットによって誘発される特異的細胞プロセスを調べる能力、およびHTS系においてアウトプットを容易に測定する手段である。細胞および微生物を遺伝子修飾するバイオテクノロジー的ツールがますます多く利用可能になることによって、HTSにおける自動化系に容易に適用可能な、細胞プロセスに関する単純な読み取りアッセイの開発が可能になってきた。
細胞に基づくアッセイには、in vitroの伝統的な生化学アッセイに勝る、顕著な利点がある。まず、これらの細胞アッセイは、ターゲットタンパク質の精製を必要とせず、そしてしたがって、生化学的に活性であるターゲットを得るために必要な知識を得る資源の投資を除去する−天然基質が広く未知のままである何百もの新規タンパク質に関する特異的な生化学アッセイをセットアップするのが実際に困難であるため、潜在的な薬剤治療のためにターゲティングされうるタンパク質の数が増加するとともに、この利点が特に重要になってきている。第二に、ターゲットタンパク質のコンホメーションおよび活性、ならびに化合物の効果を監視する読み取りが、in vitroアッセイよりも天然生理学的状態により近い状態に相当する可能性が最も高い細胞背景において調べられる。第三に、細胞に基づくアッセイは、一般的に細胞傷害性であるか、または細胞膜に浸透して細胞内ターゲットに到達することが不可能な化合物に対して直ちに選択可能である。したがって、細胞に基づくアッセイを通じて同定されたヒットおよびリード化合物は、重要な検証工程を通過してきている。この情報が入手可能であることから、多くのin vitroアッセイに比較して有利なスタートが提供され、そして薬剤開発において、貴重な時間およびコストが節約可能となる。
しかし、薬剤発見のための、特にHTSのための細胞使用における最近の発展は、細胞提供者および使用者にいくつかの困難を課している;すなわちバッチごとの性能の相違、細胞産生スケジュール決定、ならびに能力および容量管理である。
細胞株は、通常、週2回継代培養され、そして各アッセイのためにスケールアップされる。この継代培養およびスケールアップは、通常、数ヶ月の期間に渡る周期で反復される。大規模な単一バッチで増殖させ、そしてフリーザー中で保存した凍結保存細胞を使用すると、大きな利点が提供される:(a)細胞に基づくアッセイの結果の一貫性が改善される−凍結されたら、同じ細胞バッチを長期間に渡って使用可能である、(b)柔軟性が増加する−試験する化合物が届いたらいつでも新規アッセイを開始可能である、そして(c)コストが減少する−薬剤スクリーニング活動と平行して、培養中の細胞株を維持するために費やされる時間が節約される。その結果、細胞培養試薬、廃棄物および細胞培養施設の使用が減少する。
凍結保存はそれ自体、一般的に、化合物の薬理に影響を持たず、そして多くの細胞種およびアッセイに適用可能である(Guido J.R. Zamanら Cryopreserved cells facilitate cell−based drug discovery. Drug Discovery Today. Volume 12, Numbers 13/14, July 2007)。例えば、プレグナンX受容体(PXR)トランス活性化アッセイで使用するため、凍結保存され、一過性にトランスフェクションされたHepG2細胞を、新鮮にトランスフェクションされたHepG2細胞に比較した。アッセイ性能はどちらの細胞調製に関しても類似であった;しかし、凍結保存細胞は、より少ないアッセイ間変動を示した。異なるPXR活性化強度および有効性の薬剤で検証すると、凍結保存細胞および新鮮細胞間で、優れた相関(r>0.95)が示された。凍結保存は、細胞浸透性が劣った、既知のCYP3A4誘導因子の効果を変化させず、このことから凍結保存が膜浸透性にほとんど影響を及ぼさないことが示された。さらに、凍結保存HepG2細胞は、一過性にトランスフェクションされた対照細胞に比較して、細胞傷害性化合物に対する感受性増進を示さなかった。凍結保存細胞を使用すると、このアッセイの効率を増進させて実行することが可能になる(Zhu, Z.ら Use of cryopreserved transiently transfected cells in high−throughput pregnane X receptor transactivation assay. Journal of Biomolecular Screening. 12, 248−254, 2007)。該文献に記載される実施例には、薬剤スクリーニングに広く用いられる細胞種、例えばCHOおよびHEK293、ならびに読み取り、例えばベータ−ラクタマーゼおよびFLIPRが含まれる。
AstraZeneca(スウェーデン・モルンダル)のLouise Stjernborgおよび同僚らは、ルビジウム流出アッセイを用いてヒトERG(hERG)チャネルに対する化合物の副作用をスクリーニングするための凍結細胞の使用を記載する。彼らの機関では、hERGチャネルスクリーニングは毎日ではなく、十分な化合物が集まってから、毎月行われる。凍結細胞を使用した結果、細胞培養維持に費やされる時間が有意に節約される(Ding, M.ら Application of cryopreserved cells to hERG screening using a non−radioactive Rb+ efflux assay. Assay Drug Dev. Technol. 4, 83−88, 2006)。
したがって、薬剤発見において凍結保存細胞を使用すると3つの利点がある。まず、新規アッセイをいつでも開始可能であるため、柔軟性が増加する。第二に、特定のアッセイにおける特定の化合物に関するすべての試験結果を同じバッチの細胞で生じることが可能であるため、データ品質が改善される。第三に、凍結細胞で作業すると、細胞培養作業、特に細胞株の維持に費やされる時間が実質的に減少し、そしてその結果、細胞培養施設、材料および廃棄物の使用が減少する。
ポリリジンは、非特異的な細胞付着因子として用いられ、そして合成培養表面;ガラススライド電子顕微鏡グリッドなどの固体支持体への特定の細胞種の接着を促進するのにルーチンに用いられる(Jacobson, B.ら Plasma membrane: rapid isolation and exposure of the cytoplasmic surface by use of positively charged beads. Science 195: 302−304,1977)。ポリリジンは、一般的に、通常は固体表面に接着しない細胞に用いられる(Maziaら Adhesion of cells to surfaces coated with polylysine. Applications to electron microscopy. The Journal of Cell Biology, Vol 66, 198−200, 1975)。これは単に、固体表面(プラスチック、ガラス等)を陽イオン性ポリリジンの溶液でコーティングすることによって達成される。ポリリジン部分は、プラスチックおよびガラス表面中に存在する負荷電分子と静電相互作用を形成する。
しかし、ポリリジンはまた、伝統的な生存細胞に基づく分析から免疫組織化学に渡る技術において、多くの他の非哺乳動物細胞および組織の接着を増加させるのにも用いられる。哺乳動物/非哺乳動物細胞の付着を促進するためのポリリジンの使用の多くの例が科学的文献中に存在する。ポリリジンは、哺乳動物、昆虫、両生類、魚類、爬虫類および鳥類科を含む主要な生物学的種すべてに由来する細胞を付着させるのに用いられる。さらに、細菌、線虫および腹足類というほど広い種に由来する細胞を含む例が提供される。
ポリリジン上でルーチンに培養される細胞株のいくつかの例には−HEK293ヒト肺性腎細胞(Sugawara, T.ら A missense mutation of the Na+ channel alpha II subunit gene Na(v)1.2 in a patient with febrile and afebrile seizures causes channel dysfunction. Proc Natl Acad Sci U S A. 98(11), 6384−9, 2001)、MDA−231、乳癌細胞株(Yoneda, T.ら Inhibition of osteolytic bone metastasis of breast cancer by combined treatment with the bisphosphonate ibandronate and tissue inhibitor of the matrix metalloproteinase−2. J. Clin. Invest. 99(10), 2509−17, 1997)、下垂体前葉細胞(Hinuma, Sら A prolactin−releasing peptide in the brain. Nature, 393(6682), 272−6, 1998)、ミクログリアMG−7細胞(Szczepanik, AM.ら Amyloid−beta peptide fragments p3 and p4 induce pro−inflammatory cytokine and chemokine production in vitro and in vivo. J. Neurochemistry, 77(1), 304−17, 2001)、およびラット初代星状膠細胞(Little, EB.ら A short segment within the cytoplasmic domain of the neural cell adhesion molecule (N−CAM) is essential for N−CAM−induced NF−kappa B activity in astrocytes. PNAS USA, 98(5), 2238−43, 2001)が含まれる。
GB2427411Aは、アルギン酸塩/多糖ミクロカプセル/ヒドロゲルを用いた、組織由来の細胞のための凍結保存法に関する。ポリリジンは、多糖への細胞付着を促進するために用いられる。この文書には、アッセイ性能の改善のためにポリリジンを使用する記述はない。
米国特許第6657003号は、長期安定性および細胞接着特性を示すコーティング物質のための溶液を開示する。より詳細には、該文献は、細胞学的標本スライドに適用するための架橋されたアミノ酸ポリマーを含む溶液に言及する。本発明で使用するようなアミノ酸ポリマーは、中性または塩基性アミノ酸より選択され、例えばポリl−リジンまたはポリl−アルギニンである。
WO 2005/034625は、細胞接着耐性(CAR)物質が結合した支持体であって、そして該CAR物質に、コラーゲンVIまたはその生物学的活性断片または変異体、および場合によって、1以上の他のECMタンパク質、またはその生物学的断片または変異体、ならびに/あるいは1以上のポリカチオン性ポリマーが結合した、前記支持体を含む表面(例えば細胞培養表面)に関する。
米国特許第5512474号は、細胞生物学分野におけるバイオリアクターの細胞培養表面を記載し、そして特に、表面を改善して、より優れた細胞付着および細胞増殖を得る方法を記載する。マイクロキャリアーの形で支持体物質を含み、そして細胞付着のための支持表面を含む、細胞培養支持体を開示し、該表面は:正荷電分子およびアクリルアミドまたはメタクリルアミドから重合したアクリルを含む組み合わせを所持する。
米国特許第5932473号は、塩溶液中、細胞接着プロモーターを含有する組成物でコーティングされた細胞培養支持体を記載する。プラスチック、ガラスまたは微小孔性ファイバーなどの支持体が、0.005M〜約0.5Mクエン酸または硫酸塩溶液中、約5μg/ml〜約1000μg/mlのポリD−リジンを含有する組成物でコーティングされて、支持体1cmあたり、約50μl〜約500μlの組成物が提供される。
Ma, Mら, 2006(Neuroscience Lett., 403, 84−89)は、接着性哺乳動物ニューロンネットワークの凍結保存を記載した。解離脊髄細胞が、2つの接着因子ポリD−リジンおよびラミニンでコーティングされている35mmペトリ皿に付着された。次いで、ネットワークはコラーゲン中に包埋され、そしてDMSO、FBSおよび培地を含有する凍結培地に移される前に、凍結保護剤であるトレハロースとともに装填された。ネットワークは−196℃の液体窒素中に、最長2ヶ月間保存された。凍結保存後のネットワークの特徴付けは;蛍光プローブを用いた細胞生存度の決定(生存/細胞傷害性キット、Molecular Probes)、免疫細胞化学によるニューロンマーカーの発現、および蛍光プローブFM1−43(Molecular Probes)を用いたシナプス小胞リサイクリングの解明を伴った。
Son, J.H.ら, 2004(Biotechnology Letters, 26, 829−833)は、ラット肝細胞の凍結保存を容易にするための、1型コラーゲンをコーティングした6ウェルプレート、ならびにDMSO、ウシ胎児血清および培地を含有する凍結混合物の使用を記載した。細胞は、−70℃で短期間(24時間)しか凍結保存されなかった。凍結保存後の肝細胞の特徴付けは、単純な分光測定MTTアッセイを用いた細胞生存度、およびELISAに基づく系を用いたアルブミン分泌の決定を伴った。
Shoji R.ら, 2000(Cytotechnology, 32, 147−155)は、1型コラーゲン、プロネクチンFまたはフィブロネクチンのいずれかでコーティングされた96ウェルプレートを用いた、ヒト肝細胞腫細胞の凍結保存を記載した。細胞付着を促進するために、これらの試薬が用いられた。10%DMSOを補充した肝細胞培地を用いて、−85℃で凍結保存が達成された。これらの条件は、〜7日間、細胞を最適な状態に維持した。凍結保存後の肝細胞の特徴付けは、わずか7日間しか保存されていない細胞に限定され、そしてこれは、酸ホスファターゼ活性の測定による細胞生存度の決定およびin vitro細胞傷害性試験(毒性試薬への曝露に反応した生存/死亡用量反応曲線)を伴った。
技術的な問題
製薬産業内には、低温保存に使用することも、そして続いてスクリーニング目的に使用することもどちらも可能な容器中で細胞を凍結保存する必要がある;したがって、容器はゼロ未満の温度で保存され、そして単にフリーザーから取り出して、細胞が融解し、そしてHTSで直接用いられるのを可能にするであろう。現在、細胞は、一般的に、バイアル(例えばクライオバイアル)中で凍結保存され、そしてこれらのバイアル中、低温で、試験のために必要とされるまで保存される;次いで、細胞は次第に再構成され/融解され、緩衝液で洗浄され、そしてHTSでの試験/アッセイの準備が出来た形で、培養ディッシュまたはマイクロウェルプレートに移される。現時点では、細胞は、融解の際の死亡率が高いことおよびアッセイ反応における変動が大きいことの両方のために、培養ディッシュまたはマイクロウェルプレート中で凍結保存されることが不可能である。後者は、こうしたアッセイで得られるZ因子が低いことから明らかである。同じ容器または器の中で、細胞を凍結保存し、そして再構成された細胞に対してアッセイを行うことが可能であれば、製薬産業にとって役に立つ技術が提供されるであろう。
GB2427411A 米国特許第6657003号 WO 2005/034625 米国特許第5512474号 米国特許第5932473号
Hertzbamerg R PおよびPope AJ. High−throughput screening: new technology for the 21st century. Curr. Opin. Chem. Biol. 4, pp445−451, 2000 Guido J.R. Zamanら Cryopreserved cells facilitate cell−based drug discovery. Drug Discovery Today. Volume 12, Numbers 13/14, July 2007 Zhu, Z.ら Use of cryopreserved transiently transfected cells in high−throughput pregnane X receptor transactivation assay. Journal of Biomolecular Screening. 12, 248−254, 2007 Ding, M.ら Application of cryopreserved cells to hERG screening using a non−radioactive Rb+ efflux assay. Assay Drug Dev. Technol. 4, 83−88, 2006 Jacobson, B.ら Plasma membrane: rapid isolation and exposure of the cytoplasmic surface by use of positively charged beads. Science 195: 302−304,1977 Maziaら Adhesion of cells to surfaces coated with polylysine. Applications to electron microscopy. The Journal of Cell Biology, Vol 66, 198−200, 1975 Sugawara, T.ら A missense mutation of the Na+ channel alpha II subunit gene Na(v)1.2 in a patient with febrile and afebrile seizures causes channel dysfunction. Proc Natl Acad Sci U S A. 98(11), 6384−9, 2001 Yoneda, T.ら Inhibition of osteolytic bone metastasis of breast cancer by combined treatment with the bisphosphonate ibandronate and tissue inhibitor of the matrix metalloproteinase−2. J. Clin. Invest. 99(10), 2509−17, 1997 Hinuma, Sら A prolactin−releasing peptide in the brain. Nature, 393(6682), 272−6, 1998 Szczepanik, AM.ら Amyloid−beta peptide fragments p3 and p4 induce pro−inflammatory cytokine and chemokine production in vitro and in vivo. J. Neurochemistry, 77(1), 304−17, 2001 Little, EB.ら A short segment within the cytoplasmic domain of the neural cell adhesion molecule (N−CAM) is essential for N−CAM−induced NF−kappa B activity in astrocytes. PNAS USA, 98(5), 2238−43, 2001 Ma, Mら, 2006(Neuroscience Lett., 403, 84−89) Son, J.H.ら, 2004(Biotechnology Letters, 26, 829−833) Shoji R.ら, 2000(Cytotechnology, 32, 147−155)
したがって、バイアル/クライオバイアルから培養ディッシュ/マイクロウェルプレートに移すプロセスにおける1以上の工程を除去し、したがって、方法を単純化してコストおよび時間を減少させることによって、ワークフローを改善することが必要である。さらに、培養ディッシュまたはマイクロウェルプレート中で凍結保存された細胞の生存度および/または細胞のアッセイ性能を改善する必要がある。
本発明は、上記の問題に取り組み、そして凍結保存された細胞培養、および該細胞を産生するための方法であって、単一容器中で凍結保存および再構成された細胞のアッセイを可能にする、前記方法を提供する。
本発明の第一の側面にしたがって:少なくとも表面を有する容器、該表面上に支持された凍結細胞を含み、表面がポリリジンでコーティングされている、凍結保存細胞培養を提供する。
ポリリジンは、表面への特定の細胞種の付着を促進することが知られるが、また驚くべきことに、細胞付着とは独立のプロセスによって、アッセイ性能を改善する(長期凍結保存後でさえ)ことが見出されてきている。
ポリリジンは、細胞培養処理表面への哺乳動物細胞の接着を増加させる分子としてルーチンに用いられる。これは、単に、陽イオン性ポリリジンの溶液で固体支持体(プラスチック、ガラス等)をコーティングすることによって達成される。ポリリジン部分は、プラスチックおよび/またはガラス表面中に存在する負荷電分子と静電気引力を形成可能である。
ポリリジンは、多くの供給業者より入手可能である(例えばSigma、P7405、>300kまたはP6407、70〜150k)。ポリリジンは、細胞膜の負荷電イオンおよび培養表面間の静電相互作用を増進させる。培養表面上に吸着された際、ポリリジンは、細胞結合に利用可能な正荷電部位の数を増加させる。ポリD−リジンおよびポリL−リジン両方のポリマー、ならびにその混合物を用いて、固体表面をコーティングしてもよい。しかし、特定の細胞は、タンパク質分解的にポリL−リジンを分解することが可能であり、この場合、一般的にポリD−リジンを用いて、過剰な分解および最終的なL−リジン取り込みを防止する。
より低分子量のポリリジン(Mr=30,000〜70,000kD)は、溶液中でより粘性が低いため使用しやすいが、より高分子量の>300,000kDのものは、分子あたり、より優れた細胞付着を提供する。細胞生物学において一般的に使用するためのポリリジンの分子量は、典型的には、70,000〜150,000kDの範囲である。
本発明の別の側面において、細胞培養容器は、器、バイアル、マイクロタイタープレートおよび細胞培養プレートからなる群より選択される。
本発明の別の側面において、細胞培養表面上で凍結される細胞は、哺乳動物細胞、昆虫細胞、両生類細胞、魚類細胞、爬虫類細胞および鳥類細胞からなる群より選択される。好ましくは細胞は哺乳動物細胞である。より好ましくは、細胞は、CHO細胞(供給源:ECACC−85050302)、HEK293細胞(供給源:ATCC−CRL1573)およびAD293細胞(供給源:Invitrogen R705−07)からなる群より選択される。
本発明の第二の側面にしたがって、細胞培養中の細胞を凍結保存する方法であって:
a)細胞を含有する培地を容器表面に添加して、該細胞が該表面に付着して、そして細胞培養を形成するのを可能にし、
b)凍結保存培地を添加し、そして
c)該細胞培養の温度を−20℃以下に下げる
工程を含み;
工程a)の前に表面をポリリジンでコーティングする、前記方法を提供する。
ポリリジンは、プラスチックおよびガラス表面への細胞付着を増進させるコーティングとして用いられる分子である。ポリリジンは、ニューロン、グリア細胞およびトランスフェクション細胞を含む、非常に多様な細胞種を培養するのに用いられてきている。ポリDリジンは、一般的に、多様なニューロンおよびトランスフェクション細胞株の接着、増殖、および分化を促進する培養基質として用いられている。ポリD、ポリLリジン両方およびその混合物を用いて、固体表面をコーティングしてもよく、そしてこれらは、細胞の非特異的付着因子として伝統的に機能する。ポリリジンの既知の機能の1つは、細胞膜と会合する負荷電イオンおよび細胞培養表面間の静電相互作用を増進させることである。培養表面上に吸収された際、ポリリジンは、細胞結合に利用可能な正荷電部位の数を増加させる。
本発明の別の側面において、細胞培養容器は、器、バイアル、マイクロタイタープレートおよび細胞培養プレートからなる群より選択される。
本発明のさらに別の側面において、細胞培養系の表面上で凍結される細胞は、哺乳動物細胞、昆虫細胞、両生類細胞、魚類細胞、爬虫類細胞および鳥類細胞からなる群より選択される。好ましくは細胞は哺乳動物細胞である。より好ましくは、細胞は、CHO細胞、HEK293細胞およびAD293細胞からなる群より選択される。
本発明の別の側面において、細胞を−80℃未満の温度で保存した。より好ましくは、細胞培養プレートを−80℃で16時間凍結し、その後、より長い保存のため−140℃に移した。
本発明の第三の側面において、細胞アッセイを行うための方法であって:a)細胞を含有する培地を容器表面に添加して、該細胞が該表面に付着して、そして細胞培養を形成するのを可能にし;b)凍結保存培地を添加し;c)該細胞培養の温度を下げて、該細胞を凍結させ;d)−20℃未満の温度で該細胞培養を保存し;e)該細胞培養の温度を上げることによって、該細胞を融解し;そしてf)細胞に対して細胞アッセイを行う工程を含み、工程a)の前に容器表面をポリリジンでコーティングする、前記方法を提供する。
1つの側面において、該方法は、細胞を含有する培地を容器表面に添加して、16時間の期間、表面に細胞を付着させ、そして細胞培養を形成し、増殖培地を凍結保存培地(90%ウシ胎児血清および10%のジメチルスルホキシド(DMSO))と交換し、細胞培養の温度を下げて細胞を凍結させ、−20℃未満の温度で細胞培養を保存し、次いで細胞培養の温度を上げることによって、細胞を融解し、そして細胞に対して細胞アッセイを行う工程を含む。
別の側面において、細胞培養を−80℃の温度で保存する。
さらなる側面において、ポリリジンは、ポリD−リジン、ポリL−リジンおよびその混合物からなる群より選択される。
さらにさらなる側面において、容器は、器、バイアル、マイクロタイタープレートおよび細胞培養プレートからなる群より選択される。好ましくは容器は細胞培養プレートである。
1つの側面において、細胞は接着細胞である。特に、細胞は、哺乳動物細胞、昆虫細胞、両生類細胞、魚類細胞、爬虫類細胞および鳥類細胞からなる群より選択される。好ましくは細胞は哺乳動物細胞である。より好ましくは、細胞は、CHO細胞、HEK293細胞およびAD293細胞からなる群より選択される。
別の側面において、工程a)で用いられる細胞は1以上のマイクロキャリアーに付着している。好ましくは、マイクロキャリアーはポリリジンでコーティングされている。
本発明のさらに別の側面において、細胞培養容器は、器、バイアル、マイクロタイタープレートおよび細胞培養プレートからなる群より選択される。
定義:
以下の用語は、本発明の背景で理解されるものとする:
細胞アッセイ・・・化合物の作用によって誘発される細胞プロセスを調べるための方法または試験、および細胞アウトプットを測定する手段。こうしたアッセイは,特に、薬剤スクリーニングにおいて役立つ。当業者には、細胞死または生存度はこの定義内には含まれないことが理解されるであろう。
凍結保存されている・・・凍結保存(低温、典型的には−20℃以下での、損なわれていない(intact)細胞および生存細胞を含む生物学的組織の保存)の使用によって保存されている。
凍結細胞・・・−20℃以下で維持された損なわれていない生物学的細胞および生存生物学的細胞。
凍結保存培地・・・ときに、「細胞凍結培地」と称され、凍結保存または凍結中の細胞損傷または傷害を減少させる試薬または組成物を含有する任意の培地である。こうした凍結保存培地の例には、限定されるわけではないが、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ウシ胎児血清、グリセロール、ダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM)、トレハロースおよびその混合物が含まれる。
シグナル:バックグラウンド(S:B)
これは本質的に、+アゴニスト(刺激)アッセイの平均を−アゴニスト(刺激)アッセイの平均で割ったものである。
シグナル:ノイズ(S:N)
この式は、シグナルおよびバックグラウンドアッセイ両方で観察された標準偏差を考慮に入れる。これはアッセイ性能の指標である。
Figure 0005943607
Z因子
これは、一般的に、アッセイ性能を評価するため製薬産業によって用いられる。統計において、Z因子は、ハイスループットスクリーニングアッセイの品質または強度の測定値である。式には、+および−アゴニストアッセイの平均および標準偏差が含まれる。値が1により近づくほど、性能がより優れている。細胞に基づくアッセイにおいて、>0.40が一般的に優れていると見なされ、一方、0.5以上の値は優秀であると見なされる(Zhangら(1999) A Simple Statistical Parameter for Use in Evaluation and Validation of High Throughput Screening Assays.(J Biomol Screen., 4 (2) 67−73)。
Figure 0005943607
本発明のさらなる特徴および利点は、付随する図への言及とともに、例として提供される、本発明の好ましい態様の以下の説明から明らかになるであろう。
例として提供される以下の説明は、本発明が、記載するいかなる特定の態様にも限定されることを意図しない。説明は、本明細書に援用される、付随する図と併せて理解されうる。
図1aは、凍結保存前および凍結保存後の、ポリリジンでコーティングされたおよびコーティングされないプレート上で増殖させた、水疱性口内炎ウイルスエピトープタグ−β2アドレナリン受容体−増進緑色蛍光タンパク質からなる組換えタンパク質を安定して発現するチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO VSV−β2AR−EGFP安定細胞)の画像の比較を示す。図1bは、凍結保存前および凍結保存後の、ポリリジンでコーティングされたおよびコーティングされないプレート上で増殖させた、ヒト胚性腎293−水疱性口内炎ウイルスタグ−β2アドレナリン受容体−増進緑色蛍光タンパク質細胞(HEK293 VSV−β2AR−EGFP安定細胞)の画像の比較を示す。 図2は、Cell Titer−Glo発光細胞生存度アッセイ(Promega)を用いた、融解後に決定される、ポリリジンでコーティングされたおよびコーティングされないプレート上に植え付けられた細胞株(CHO VSV−β2AR−EGFP安定細胞およびHEK293 VSV−β2AR−EGFP安定細胞)の生存度の比較を示す。 図3は、ポリリジンでコーティングされたおよびコーティングされないプレート上に植え付けられた、凍結保存AD293細胞のアッセイ性能の比較を示す。 図4は、CHO VSV−β2AR−EGFP細胞に関するアゴニスト(a)およびアンタゴニスト(b)用量反応曲線を示す。 図5は、HEK293 VSV−β2AR−EGFP細胞に関するアゴニスト(a)およびアンタゴニスト(b)用量反応曲線を示す。
第一の側面において、本発明は、凍結細胞が支持される表面を少なくとも有する容器で構成され、そして細胞培養表面がポリリジンでコーティングされている、凍結保存細胞培養である。細胞培養系において、あらかじめ分配された凍結保存細胞が提供されると、細胞培養操作に費やされる時間の量が減少するであろう。細胞は、一過性または安定のいずれでトランスフェクションされていてもよい。「準備が出来た(ready to go)」前凍結細胞のプロセシングは、プレートの単純な解凍、凍結培地の除去、その後、単純なPBS洗浄およびアッセイ培地の添加を伴うであろう。
ポリリジン化合物は、驚くべきことに、プロセスによるアッセイ性能を改善する(長期凍結保存後であってさえ)ことが見出され、これは細胞付着とは独立である。この改善は、少なくとも2つの別個の機構によって機能する:
i)特に長期凍結保存後および多数回の洗浄工程を通じた、HEK293細胞接着の促進および維持。ポリリジンが仲介する細胞付着は、HEK293細胞に関してよく確立された現象であり;実際に、細胞接着の増加は、ポリリジンの主な細胞生物学的用法の1つである。
ii)ポリリジンは、CHO細胞株形態に影響を及ぼす(Sordelら Influence of glass and polymer coatings on CHO cell morphology and adhesion. Biomaterials Vol. 28, Issue 8, 1572−1584, 2007)。伝統的なCHO細胞培養において、CHO細胞は「細胞培養プラスチック」に非常に効率よく接着するため、ポリリジンは不要と見なされていることから、ルーチンには用いられない。しかし、細胞凍結保存前にポリリジンを使用すると、細胞接着に影響を及ぼすことなく、アッセイ性能が増進するようである。CHO細胞±ポリリジンをより詳しく調べると、隆起した形態を示す細胞の数およびアッセイ性能の改善の間には、相関が存在するようである(Z因子測定によって決定した際)。
ポリDおよびポリLリジンの両方が、固体表面をコーティングするのに使用可能であり、そして細胞の非特異的付着因子として伝統的に機能する。ポリリジンの既知の機能の1つは、細胞膜と会合する負荷電イオンおよび細胞培養表面間の静電相互作用を増進させることである。細胞培養表面に吸収された際、ポリリジンは、細胞結合に利用可能な正荷電部位の数を増加させる。ポリリジンは異なる分子量範囲で入手可能であり、例えば、Mr 30,000〜70,000は、溶液中でより粘性が低く、そしてしたがって分配がより容易であるが、>300,000のポリリジンは、分子あたり、より多くの付着部位を提供する。妥協案として、好ましいポリリジンMrは、70,000〜150,000である。
いくつかの例において、特定の細胞は、タンパク質分解的にポリL−リジンを分解することが可能であり、この状況においては、細胞は、L−リジンの過剰な取り込みによって乱される可能性もあり、そしてしたがって、ポリカチオンとしてポリD−リジンを用いるべきである。
細胞培養容器は、器、バイアル、マイクロタイタープレートおよび細胞培養プレートからなる群より選択される。
細胞培養表面上で凍結される細胞は、哺乳動物細胞、昆虫細胞、両生類細胞、魚類細胞、爬虫類細胞および鳥類細胞からなる群より選択される。好ましくは細胞は哺乳動物細胞であり;より好ましくは、CHO細胞、HEK293細胞およびAD293細胞からなる群より選択される哺乳動物細胞である。
以下のリストは、本発明で使用するのに適用可能である可能性が高いものの代表となる哺乳動物細胞からなる。リストは例として提供され、そして限定として見なされてはならない。さらに、異種遺伝子を安定して発現する細胞もまた、この態様の一部であり、例えば、先に記載するように、β2アドレナリン受容体を安定して発現する細胞株HEK293およびCHOがある。
a.代表的な細胞株
HeLa 黒人系子宮頸部腺癌(ヒト)
HEK 293 胚性腎臓(ヒト)
1321−N1 脳星状細胞腫(ヒト)
U−2 OS 骨骨肉腫細胞(ヒト)
Huh−7 肝細胞腫(ヒト)
K−562 リンパ芽球(慢性骨髄性白血病)(ヒト)
HepG2 肝細胞癌(ヒト)
Hep3B 肝細胞癌腫(ヒト)
BJ 包皮線維芽細胞(ヒト)
CACO2 結腸直腸腺癌(ヒト)
MCF7 ヒト乳腺癌(ヒト)
SwissおよびNIH 3T3 胚線維芽細胞(マウス)
COS−1および−7 SV40形質転換腎細胞株(アフリカミドリザル(African green monkey))
CHO(CHO−K1) チャイニーズハムスター卵巣細胞(ハムスター)
b.代表的な初代細胞
HUVEC 臍帯静脈内皮細胞(ヒト)
MHEpC 乳腺上皮細胞(ヒト)
HTEpC 気管上皮細胞(ヒト)
HAOEC 大動脈内皮細胞(ヒト)
PBMC 末梢血単核細胞(ヒト)
c.代表的な幹/前駆細胞
hESC−BG01V 胚性幹細胞株(ヒト)
ES−C57BL/6 胚性幹細胞株(マウス)
MLPC 臍帯血多細胞系譜前駆細胞(ヒト)
d.代表的な癌細胞
NTERA 1および2 精巣胚性癌細胞(ヒト)
低分子量ポリリジン(Mr=30,000〜70,000kD)は、溶液中でより粘性が低いため使用しやすいが、より高分子量の>300,000kDのものは、分子あたり、より優れた細胞付着を提供する。細胞生物学において一般的に使用するためのポリリジンの分子量は、典型的には、70,000〜150,000kDの範囲である。
ポリリジンで処理した固体表面は、神経突起伸長を支持し、そして中枢神経系由来の多くの細胞の生存を改善することが示されてきている。ポリ−α−リジンは合成化合物であるため、一般的に、培養細胞中の生物学的反応を刺激しない。ポリ−α−リジンは合成的に生成されるため、他の天然ポリマーに付随する問題となりうる、いかなる生物学的不純物も、ルーチンに含有しない。
ポリリジン上でルーチンに培養される細胞株のいくつかの例には−HEK293ヒト肺性腎細胞(Sugawara, T.ら A missense mutation of the Na+ channel alpha II subunit gene Na(v)1.2 in a patient with febrile and afebrile seizures causes channel dysfunction. Proc Natl Acad Sci U S A. 98(11), 6384−9, 2001)、MDA−231、乳癌細胞株(Yoneda, T.ら Inhibition of osteolytic bone metastasis of breast cancer by combined treatment with the bisphosphonate ibandronate and tissue inhibitor of the matrix metalloproteinase−2. J. Clin. Invest. 99(10), 2509−17, 1997)、下垂体前葉細胞(Hinuma, Sら A prolactin−releasing peptide in the brain. Nature, 393(6682), 272−6, 1998)、ミクログリアMG−7細胞(Szczepanik, AM.ら Amyloid−beta peptide fragments p3 and p4 induce pro−inflammatory cytokine and chemokine production in vitro and in vivo. J. Neurochemistry, 77(1), 304−17, 2001)、およびラット初代星状膠細胞(Little, EB.ら A short segment within the cytoplasmic domain of the neural cell adhesion molecule (N−CAM) is essential for N−CAM−induced NF−kappa B activity in astrocytes. PNAS USA, 98(5), 2238−43, 2001)が含まれる。
ポリL−リジンはまた、パターン化された共培養として2つの異なる細胞を培養するのにも用いられてきている。最初の細胞をガラス支持体上に固定するには、ヒアルロン酸が用いられた。続いて、ポリL−リジンをヒアルロン酸上に別個のパターンで吸収させて、それによって培養表面特性を改変して、そしてこうして第二の細胞種の接着を促進した。線維芽細胞と胚性幹細胞を共培養するためのこのアプローチの有用性が立証されてきている(Khademhosseinin, A.ら Layer−by−layer deposition of hyaluronic acid and poly−L−lysine for patterned cell co−cultures. Biomaterials, 25, 3583−92, 2004)。
二本鎖および一本鎖DNA分子を視覚化するのに、ポリリジンでコーティングした電子顕微鏡標本フィルムが用いられてきている(Williams, RC. Use of polylysine for adsorption of nuclei acids and enzymes to electron microscope specimen films. PNAS, 74(6), 2311−2315, 1977)。
ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)は、ヒト腸フロラに存在するグラム陽性非運動性嫌気性細菌である。これらの細菌は、凍結保存を容易にするため、微小カプセル調製中、アルギン酸ポリL−リジン微小カプセル内に取り込まれてきている。細菌が装填された微小カプセルを凍結乾燥し、そして長期凍結保存に供する。この例では、ポリリジンは、実際には凍結保護剤として機能せず、塩基性アルギン酸塩構造を安定化させる手段として用いられた(Cui, JH.ら Effect of Additives on the Viability of Bifidobacteria Loaded in Alginate Poly−l−lysine Microparticles during the Freeze−drying Process. Arch Pharm. Res., 29(8), 707−711, 2006)。
ポリL−リジンでコーティングされたプラスチックおよびガラスディッシュはまた、魚の胚の発生と関連するプロセスを研究するのにも用いられてきている。魚の卵は一般的に、多くの細胞培養処理表面に接着しない。しかし、卵は、ポリリジンでコーティングされているプラスチックおよびガラスディッシュには付着する。次いで、精子を導入し、そして卵を受精させ、そして生じた発生プロセスを監視する(Andoh, T.ら The use of poly−L−lysine to facilitate examination of sperm entry into pelagic, non−adhesive fish eggs. Int. J. Dev. Biol. 52, 753−7, 2008)。
本実施例は、例示目的のみのために提供され、そして付随する請求項に定義されるような本発明の範囲を限定すると見なしてはならない。以下に、そして本明細書の別の箇所に提供されるすべての参考文献は、本明細書に援用される。
1.細胞培養プレートのポリD−リジンでのコーティング
ポリD−リジン臭化水素酸塩(Sigma、P7405、>300kまたはP6407、70〜150k)−ポリD−リジンを滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中、1mlあたり100ngの濃度に溶解する。アリコット(50μl)を細胞培養96ウェルプレートのウェルに分配する。これを室温(典型的には25℃)で30分間インキュベーションする。この時間の後、いかなる過剰なポリD−リジン溶液もデカントし、そしてウェルを無菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)(200μl)で3回洗浄する。
100μlのPBSを最後に添加して、乾燥を防止するよう保持する。ポリリジンでコーティングしたプレートを冷蔵庫に数日間保存することも可能であるが、ルーチンには、48時間以内に用いる。
ポリD−リジンの使用は、例として提供され、そしていかなる意味でも限定はしない。
2.凍結保存
“Cells − A laboratory Manual”, Spector D.L., Goldman R.D.およびLeinwand L.A., Cold Spring Harbor laboratory press(1998)に記載されるようなルーチンの細胞培養技術を用いて、細胞を細胞培養容器中で増殖させた。適切な増殖期に、商業的に入手可能なx1トリプシン/EDTA(エチレンジアミン四酢酸)を用いて、細胞培養容器表面から細胞を取り除き、そして適切な細胞培地に再懸濁する。製造者の指示にしたがって、Chemotec Nucleocounterを用いて、細胞数を決定する。
20,000または5,000の細胞を、それぞれ100μlおよび20μlの体積中、96ウェルまたは384ウェルのポリリジンコーティングCostar組織培養処理ホワイトポリスチレン細胞培養アッセイプレート(カタログ番号3917および3712)のいずれかにそれぞれ分配し、そして付着させ、そして16時間回復させた。翌日、培地を除去し、そして商業的に入手可能なPBSで細胞を2回洗浄した。90%ウシ胎児血清および10%DMSOで構成される凍結保存培地を、付着細胞の上部に分配した。次いで、細胞培養プレートの縁をパラフィルム(Pechiney Plastic Packages)またはWhatman Laboratory Sealingフィルムで密封し、そしてプレート全体をSaran Barrier Wrap(Dow Chemical Company)でラッピングした。細胞培養プレートを−80℃で16時間凍結し、その後、より長い保存のため、−140℃に移した。
3.アッセイ性能
再生(resurrection)に際して、凍結細胞培養プレートを−140℃から取り出し、そして解凍させた。凍結保存培地を取り除き、そして細胞をあらかじめ温めたPBSで2回洗浄した。次いで、適切なアゴニストを補充したアッセイ培地を添加した。使用するレポーター系に関して、最も適切な方法および/または商業的に入手可能なキットを用いて、細胞に基づくアッセイを行った。
(i)細胞付着および形態に対するポリリジンの影響
細胞付着および形態に対するポリリジンの影響を理解するプロセスにおいて、凍結保存前および保存後、ポリリジンでコーティングされたおよびコーティングされないプレート上で増殖させた細胞の画像を比較した(図1)。
CHO VSV−β2AR−EGFP安定細胞株の場合(図1a)、ポリリジンの存在下で、隆起した細胞形態が観察される。この形態は、細胞をポリリジンの非存在下で増殖させた場合には存在しない。
HEK293 VSV−β2AR−EGFP安定細胞の場合(図1b)、ポリリジンは明らかに、細胞付着を促進し、そして維持することによって機能する。ポリリジンの非存在下では、細胞はおそらく、凍結保存および洗浄工程中に脱離する。
ii)細胞株の生存度に対するポリリジンの影響
Cell Titer−Glo発光細胞生存度アッセイ(Promega)を用いて、融解後に、ポリリジンコーティングプレート上に植え付けられた細胞株の生存度を決定した。
細胞を96ウェルプレート(±ポリリジン)内に植え付け、凍結保存し、そして次いで再生させた。
図2からわかるように、CHO VSV−β2AR−EGFP安定細胞株の場合、CHO細胞をポリリジンとともにまたはポリリジンを含まずにプレーティングした場合、細胞生存度には有意な相違は見られず、ポリリジンが細胞付着を促進せず、または凍結保存を改善しないことが示された。
しかし、HEK293 VSV−β2AR−EGFP安定細胞株の場合、ポリリジンの存在は、生成される発光シグナルを有意に改善する。これらのデータは、細胞画像データとともに、ポリリジンが、凍結保存および洗浄過程中のHEK293細胞付着を支持し、そして維持することを示す。
iii)細胞アッセイ性能に対するポリリジンの影響
ポリリジンを含み(+)および含まず(−)、96ウェルプレート中、ウェルあたり20,000細胞で細胞を植え付け、そして一晩付着させ、増殖培地を取り除き、そして凍結培地(90%ウシ胎児血清および10%DMSO)を添加した。プレートを密封し、そして凍結保存した。対照として、伝統的な「クライオバイアル」保存系(Cells − A laboratory Manual, Spector D.L., Goldman R.D.およびLeinwand L.A., Cold Spring Harbor laboratory press(1998))を用いてもまた、細胞を凍結保存した。
クライオバイアル内に含有される細胞を融解するため、凍結保存培地を細胞特異的増殖培地で希釈し、そして懸濁物を遠心分離(1,000xgで5分間)した。生じた細胞ペレットを新鮮増殖培地中に再懸濁し、そして細胞を96ウェルプレート((+)および(−)ポリリジンコーティング)のウェル内に、ウェルあたり20,000細胞で分配した。細胞を37℃、5%COで16時間インキュベーションして、アッセイ前に細胞付着を促進した。
アッセイに際して、プレートをフリーザーから取り出し、そして解凍した。凍結培地を取り除き、そして細胞をPBSで洗浄し、そしてβ2ARアゴニスト・イソプロテレノールを含有する培地を添加した。DiscoverXのHithunter cAMP IIおよびLeadseeker装置(GE Healthcare)を用いて、GPCR活性化に際するcAMPレベルの増加を監視した。フォルスコリンを用いたアデニル酸シクラーゼ測定を対照として用いた(未提示)。
記載する実験において、β2ARで安定してトランスフェクションされたHEK293およびCHO細胞両方を、β2ARアゴニスト・イソプロテレノールまたはアンタゴニスト・イソプロプラノロールのいずれかに曝露した。アゴニストに曝露すると、細胞内cAMP濃度が上昇し、そしてこれらは、Leadseeker装置プラットホーム(GE Healthcare)と組み合わされた、HitHunter cAMPIIキット(DiscoveRx)などの、ある範囲の商業的に入手可能な発光キットによって、監視可能である。
対照として、偏在性に発現されるアデニル酸シクラーゼ活性をそれぞれのアゴニスト、フォルスコリンに曝露した際の、細胞内cAMP濃度の上昇もまた、別個に監視した。AD293細胞株において、アデニル酸シクラーゼ活性のみを監視した。
DiscoveRxアッセイ系は、細胞内cAMP濃度を監視するよう設計されているため、アッセイ培地に、最終濃度1mMの一般的なホスホジエステラーゼ阻害剤イソブチルメチルキサンチン(IBMX)を補充した。
イソプロテレノールアッセイ−イソプロテレノール(Sigma I2760)を100mMのストック濃度まで水に溶解した。次いでアッセイ培地中でこれを希釈して、200μM〜1pMの範囲の最終イソプロテレノール濃度範囲を生じた。
フォルスコリンアッセイ−フォルスコリン(Sigma F6886− 10mg)を10mMのストック濃度までDMSO中に溶解した。次いで、半対数希釈を用いて、これをアッセイ培地中で連続希釈して、316μM〜3.16nMの範囲の最終フォルスコリン濃度範囲を生じた。
プロプラノロールアッセイ−プロプラノロール(Sigma P8688)を100mMのストック濃度まで水に溶解した。次いでアッセイ培地中でこれを希釈して、200μM〜1pMの範囲の最終プロプラノロール濃度範囲を生じた。20nMイソプロテレノールの存在下で、プロプラノロール用量反応曲線を実行した。
アゴニストまたはアンタゴニストを除いて、アッセイ培地を細胞に添加する、アゴニスト不含対照もまた行った。
DiscoveRx HitHunter cAMP IIアッセイ−製造者の支持にしたがって、これを行い、そして簡潔には、該アッセイには以下を伴った。−140℃での保存からの再生に際して、細胞培養処理96ウェルプレート上で凍結した細胞を融解させた。解凍したら、凍結保存培地を取り除き、そして細胞をPBSで2回洗浄した。次いで、1mM IBMXおよび適切なアゴニストおよび/またはアンタゴニストを補充したアッセイ培地を添加した。
典型的には、96ウェル細胞培養処理プレート中で行うアッセイのため、20,000細胞を用いた。アッセイ培地を細胞に添加して、アッセイプレートを37℃で30分間インキュベーションし、その後、40μlのDiscoveRx cAMP II ED/基質混合物を添加した。これは、1部分のcAMP II ED試薬と、1部分の基質作業溶液(基質作業溶液は、1部分のGalacton−Star、5部分のEmerald IIおよび19部分の基質希釈剤からなった)からなる。アッセイプレートを旋回させて、十分な細胞被覆を確実にした。次いで、等体積のEA−Ab/溶解混合物(40μl)を添加した。これは、1部分のcAMP II EA−Ab試薬および1部分のcAMP II溶解緩衝液からなる。アッセイプレートを室温で4時間インキュベーションし、そしてLeadseeker装置プラットホームを用いて、発光シグナルの生成を監視することによって、cAMP濃度を決定した。
384ウェル細胞培養処理プレート中で行うアッセイは、5,000細胞のみをウェルあたりに分配し、そしてDiscoveRx cAMP II ED/基質混合物およびEA−AB/溶解混合物体積の50%の減少を用いる(すなわち20μlに減少させる)ことを除いて、上述の通りである。
CHO VSV−β2AR−EGFP細胞の場合、ポリリジンでコーティングされたクライオバイアルおよびプレートに比較して、ポリリジンの非存在下で、4週間より長く凍結させたプレートのアッセイ性能は、特にS/B、S/Nおよび特にZ因子に関して減少する。(i)ポリリジンでコーティングされたおよびコーティングされていないプレート上でアッセイされた際のクライオバイアル保存細胞、ならびに(ii)ポリリジンでコーティングされたプレート上で直接凍結保存されて、そしてアッセイされた細胞の両方によって、匹敵するアッセイ性能が示される。表1から見られうるように、クライオバイアル中で保存され、そして続いて再生され、そしてアッセイのため、マイクロタイタープレートに移された細胞に関して、ポリリジンは、アッセイ性能に対してほとんど影響がないようである。
表1
Figure 0005943607
HEK293 VSV−β2AR−EGFP細胞株の場合、アッセイ性能に対するポリリジンの陽性効果が、凍結保存およびアッセイ系、すなわち(i)凍結プレート上で凍結保存されそしてアッセイされた、ならびに(ii)クライオバイアル中で凍結保存され、そしてアッセイのためプレートに移されたものの両方で観察された(表2)。ポリリジンの非存在下では、再生細胞のアッセイ性能は劣っている。
表2
Figure 0005943607
iv)ポリリジンは、凍結保存されたAD293細胞のアッセイ性能に対して有益な影響を有する(図3および表3)。これらは、改善された接着特性を示すように操作されているHEK293細胞である。
表3:
Figure 0005943607
これらのデータからわかるように、ポリリジンは、フォルスコリン刺激に対するAD293細胞の反応の度合いを有意に増加させるだけでなく(図3および表3)、より優れたアッセイ性能の指標である、改善されたZ因子を生じる。
CHO VSV−β2AR−EGFP−アゴニストおよびアンタゴニスト用量反応曲線
イソプロテレノール Ec50値−i)伝統的なクライオバイアル系を用いて凍結保存されている(そして続いて、±ポリリジンコーティング・アッセイマイクロタイタープレートに移され、そしてアッセイされている)か、またはii)ポリリジンでコーティングされたマイクロタイタープレート上で直接凍結保存され、そしてアッセイされているかいずれかの細胞を用いて行ったアッセイに関して、匹敵するアッセイ性能が示される(図4a)。
ポリリジンの非存在下で、マイクロタイター形式を用いて細胞を凍結保存すると、より劣ったアッセイ性能が観察される。アゴニスト刺激に反応したシグナル変動の増加が明らかであり、そしてアゴニストが誘導する反応の度合いが減少する。
興味深いことに、すべてのアッセイは、アゴニスト・イソプロテレノールに反応して、匹敵したEc50値を示す。したがって、すべての細胞は、適切なアゴニスト誘導性反応を生じるようである;が、反応の度合いは、細胞をポリリジンの非存在下のプレート上で凍結保存した際、より低い。
プロプラノロールIc50値−β2ARアンタゴニスト・プロプラノロールを用いて行ったアッセイに関して、類似の傾向が観察される(20nMイソプロテレノール(ISPL)の存在下で行う)。CHO VSV−β2AR−EGFP細胞を、ポリリジンの非存在下で、マイクロタイタープレート内で直接凍結保存したアッセイにおいてのみ、性能減少が観察される。再び(on again)、匹敵するIc50結果が観察される(図4b)。
先に示すように、ポリリジンは、CHO細胞生存度または付着に影響を及ぼさない。したがって、これらのデータは、ポリリジンが存在すると、96ウェルマイクロタイタープレート内で直接凍結保存された細胞のアッセイ性能のみが改善されることを示す。これらの細胞の性能は、クライオバイアル中で凍結保存され、そして続いてアッセイプレートに移された細胞によって示されるものと同等である。したがって、アッセイプレートとして使用するのにも適したポリリジンコーティングプレート中で細胞を直接凍結保存すると、必要な時間および手動操作の量が減少する。
HEK293 VSV−β2AR−EGFP−アゴニストおよびアンタゴニスト用量反応曲線(図5)
イソプロテレノールEc50値−細胞がポリリジンでコーティングされたマイクロタイタープレート上に植え付けられているアッセイに関してのみ、匹敵するアッセイ性能が示される。これには、i)クライオバイアル中で凍結保存され、そして続いてアッセイのために、ポリリジンでコーティングされたプレートに移された細胞、およびii)ポリリジンでコーティングされたプレート中で直接凍結保存された細胞が含まれる(図5a)。
HEK293細胞は、伝統的に、マイクロタイタープレートにおける細胞付着を促進するために、ポリリジンを必要とする。コーティングされていないプレート上に植え付けられ、そして続いて凍結保存されたHEK293細胞は、ポリリジンでコーティングされたプレート上で凍結保存された同じ細胞に比較して、数の減少を示した。したがって、HEK293細胞アッセイ性能を改善するポリリジンの特性の1つは、細胞付着増進に関する。
ポリリジンの非存在下、マイクロタイター形式を用いて、細胞を凍結保存した場合(そしてクライオバイアル中で凍結保存され、そしてコーティングされていないプレートに移された場合であってさえ)、より劣ったアッセイ性能が観察される。再び、アゴニスト刺激に反応したシグナル変動の増加が明らかであり、そしてアゴニストが誘導する反応の度合いが減少する。
条件とは関わりなく、すべてのアッセイによって、アゴニスト・イソプロテレノールに反応して、匹敵するEc50値が示され、そしてしたがって、すべての細胞が適切な反応を示す;が、細胞が、ポリリジンの非存在下で凍結保存される(そしてプレート上でアッセイされる)場合に、反応の度合いがより低い。
プロプラノロールIc50値−β2ARアンタゴニスト・プロプラノロールを用いて行われるアッセイに関して、類似の傾向が観察される(20nM ISPLの存在下で行われる)。凍結保存培地に関わりなく、ポリリジンの非存在下、マイクロタイタープレート中でHEK293細胞をアッセイするアッセイにおいてのみ、性能減少が観察される。再び、すべてのアッセイに関して匹敵するIc50結果が観察され、そして±ポリリジンコーティングプレートにおいてのみ、度合いおよび変動が異なる(図5b)。
これらのデータは、ポリリジンが存在すると、96ウェルマイクロタイタープレート中で直接凍結保存された細胞だけでなく、クライオバイアル中で保存され、そして続いてポリリジンでコーティングされたアッセイプレートに移されたもののアッセイ性能も改善されることを示す。ポリリジンでコーティングされたプレート内で直接凍結保存されたHEK293細胞の性能は、クライオバイアル中で凍結保存され、そして続いてアッセイプレート内に移された細胞によって示されるものと同等である。アッセイで続いて使用可能なプレート上で細胞を直接凍結保存すると、必要な時間および手動操作の量がどちらも減少する。
これらのデータは、凍結保存前にポリリジンで96ウェルマイクロタイタープレートをプレコーティングすると、融解に際して細胞アッセイ性能が改善されることをさらに立証する。さらなる利点はまた、必要な時間および手動操作の量が減少することである。

Claims (11)

  1. 少なくとも表面を有する容器、
    前記表面上に支持された凍結接着細胞、
    凍結保存培地
    を含む凍結保存細胞培養であって、そして
    表面がポリリジンのみでコーティングされていることで特徴付けられ、
    細胞はCHO細胞またはHEK293細胞である、前記細胞培養
  2. 前記容器が、器、バイアル、マイクロタイタープレートおよび細胞培養プレートからなる群より選択される、請求項1記載の細胞培養
  3. 細胞培養中の細胞を凍結保存する方法であって:
    a)接着細胞を含有する培地を容器表面に添加して、前記細胞が前記表面に付着して、そして細胞培養を形成するのを可能にし、
    b)凍結保存培地を添加し、そして
    c)前記細胞培養の温度を−20℃以下に下げる
    工程を含み;
    工程a)の前に表面をポリリジンのみでコーティングすることによって特徴付けられ、
    細胞はCHO細胞またはHEK293細胞である、前記方法。
  4. 表面をポリリジン溶液で洗浄することによって、表面をコーティングする、請求項3記載の方法。
  5. 容器が、器、バイアル、マイクロタイタープレートおよび細胞培養プレートからなる群より選択される、請求項3または4記載の方法。
  6. 細胞培養を−80℃未満の温度で保存する工程をさらに含む、請求項3〜5のいずれか記載の方法。
  7. 細胞アッセイを行うための方法であって:
    a)接着細胞を含有する培地を容器表面に添加して、前記細胞が前記表面に付着して、そして細胞培養を形成するのを可能にし、
    b)凍結保存培地を添加し
    c)前記培地の温度を下げて、前記細胞培養を凍結させ、
    d)−20℃未満の温度で細胞培養を保存し、
    e)細胞培養の温度を上げることによって、前記細胞を融解し、
    f)細胞に対して細胞アッセイを行う
    工程を含み;
    工程a)の前に前記容器表面をポリリジンのみでコーティングすることによって特徴付けられ、
    細胞はCHO細胞またはHEK293細胞であり、
    細胞アッセイは、化合物の作用によって誘発される細胞プロセスを調べるための方法または試験、および細胞アウトプットを測定する手段である、前記方法。
  8. 細胞培養を−80℃未満の温度で保存する、請求項7記載の方法。
  9. 容器が、器、バイアル、マイクロタイタープレートおよび細胞培養プレートからなる群より選択される、請求項7または8記載の方法。
  10. 工程a)の細胞が1以上のマイクロキャリアーに付着している、請求項7〜9のいずれか記載の方法。
  11. 前記の1以上のマイクロキャリアーがポリリジンでコーティングされている、請求項10記載の方法。
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