JP5943444B2 - 偏光膜および偏光膜の製造方法 - Google Patents

偏光膜および偏光膜の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、偏光膜および偏光膜の製造方法に関する。
代表的な画像表示装置である液晶表示装置には、その画像形成方式に起因して、液晶セルの両側に偏光膜が配置されている。偏光膜の製造方法としては、例えば、樹脂基材とポリビニルアルコール(PVA)系樹脂層とを有する積層体を延伸し、次に染色処理を施して、樹脂基材上に偏光膜を得る方法が提案されている(例えば、特許文献1)。このような方法によれば、厚みの薄い偏光膜が得られるため、近年の画像表示装置の薄型化に寄与し得るとして注目されている。しかし、このような方法により得られる薄型偏光膜の光学特性(例えば、偏光度)を高くしようとすると、加熱時にクラックが発生しやすいという耐久性の問題がある。
特開2000−338329号公報
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、光学特性に優れ、かつ、耐久性および耐水性に優れた偏光膜を提供することにある。
本発明の偏光膜は、厚みが10μm以下であるポリビニルアルコール系樹脂フィルムから構成され、該ポリビニルアルコール系樹脂フィルム中のヨウ素濃度が8.5重量%以上であり、下記で定義される架橋インデックスが150〜200であり、下記式における(フィルム中のホウ酸濃度)の単位が重量%である
(架橋インデックス)=(フィルム中のヨウ素濃度)×(フィルム中のホウ酸濃度)。
本発明の別の局面によれば、上記偏光膜の製造方法が提供される。この製造方法は、樹脂基材の片側にポリビニルアルコール系樹脂層を形成すること、および、該樹脂基材と該ポリビニルアルコール系樹脂層との積層体を延伸および染色して該ポリビニルアルコール系樹脂層を偏光膜とすること、を含む。該延伸は、該積層体をホウ酸水溶液中に浸漬させて延伸することを含み、該ホウ酸水溶液のホウ酸濃度は3.5重量%以下である。
1つの実施形態においては、上記ホウ酸水溶液の温度は60℃以上である。
本発明によれば、高濃度でヨウ素を含有する薄型の偏光膜において架橋インデックスを最適化することにより、光学特性に優れ、かつ、耐久性および耐水性に優れた偏光膜を得ることができる。
色抜け量の算出を説明するための模式図である。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
A.偏光膜
本発明の偏光膜は、ヨウ素を含むポリビニルアルコール系樹脂(以下、「PVA系樹脂」と称する)フィルムから構成される。
上記PVA系樹脂フィルムを形成するPVA系樹脂としては、任意の適切な樹脂が採用され得る。例えば、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体が挙げられる。ポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルをケン化することにより得られる。エチレン−ビニルアルコール共重合体は、エチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化することにより得られる。PVA系樹脂のケン化度は、通常85モル%〜100モル%であり、好ましくは95.0モル%〜99.95モル%、さらに好ましくは99.0モル%〜99.93モル%である。ケン化度は、JIS K 6726−1994に準じて求めることができる。このようなケン化度のPVA系樹脂を用いることによって、耐久性に優れた偏光膜が得られ得る。ケン化度が高すぎる場合には、ゲル化してしまうおそれがある。
PVA系樹脂の平均重合度は、目的に応じて適切に選択され得る。平均重合度は、通常1000〜10000であり、好ましくは1200〜5000、さらに好ましくは1500〜4500である。なお、平均重合度は、JIS K 6726−1994に準じて求めることができる。
上記のとおり、偏光膜はヨウ素を含む。偏光膜は、実質的には、ヨウ素が吸着配向されたPVA系樹脂フィルムである。PVA系樹脂フィルム中のヨウ素濃度は8.5重量%以上であり、好ましくは8.5重量%〜10.0重量%であり、より好ましくは8.7重量%〜9.5重量%である。本発明によれば、架橋インデックスを最適化することにより、このような高濃度でヨウ素を含む薄型の偏光膜の耐久性および耐水性を顕著に向上させることができ、特に加熱時のクラックの発生を防止することができる。より詳細には、薄型(例えば、厚みが10μm以下)の偏光膜において優れた光学特性(例えば、偏光度)を得ようとすると、PVA系樹脂フィルム(偏光膜)中のヨウ素濃度を非常に高くする必要がある。ヨウ素はPVAに対する架橋効果を有するので、ヨウ素濃度が高くなるとPVAの架橋度も大きくなる。その結果、偏光膜の伸縮性が低くなり、例えば加熱時にクラックが発生しやすくなる。本発明によれば、架橋インデックスを最適化することにより高いヨウ素濃度を維持しつつPVAの架橋度を適度な範囲とすることができるので、薄型偏光膜において優れた光学特性(例えば、偏光度)と優れた耐久性および耐水性とを両立することができる。なお、本明細書において「ヨウ素濃度」とは、偏光膜(PVA系樹脂フィルム)中に含まれるすべてのヨウ素の量を意味する。より具体的には、偏光膜中においてヨウ素はI、I、I 等の形態で存在するところ、本明細書におけるヨウ素濃度は、これらの形態をすべて包含したヨウ素の濃度を意味する。ヨウ素濃度は、後述するように、蛍光X線分析による蛍光X線強度とフィルム(偏光膜)厚みとから算出され得る。
本発明においては、PVA系樹脂フィルム(偏光膜)の架橋インデックスは100〜200であり、好ましくは150〜190であり、より好ましくは160〜180である。架橋インデックスがこのような範囲であれば、上記のように、薄型偏光膜において優れた光学特性(例えば、偏光度)と優れた耐久性および耐水性とを両立することができる。架橋インデックスが100未満である場合には、偏光膜の耐水性が不十分である場合が多い。架橋インデックスが200を超えると、クラックが発生しやすくなり、加熱時の耐久性が不十分である場合が多い。架橋インデックスをこのような範囲に最適化することにより、以下のような利点が得られ得る。薄型の(例えば、厚みが10μm以下の)偏光膜は、分厚い(例えば、厚みが20μm以上の)偏光子に比べて、膜中のヨウ素濃度が顕著に高い。さらに、薄型の偏光膜は、光学特性に依存した膜中のヨウ素濃度変化が非常に大きくなる。ヨウ素はホウ酸の架橋を促進する効果があるので、薄型の偏光膜においては、設計した単体透過率を変えるとホウ酸の架橋度も変わってしまい、設計した光学特性から外れてしまう場合がある(分厚い偏光子では、このような問題はほとんど生じない)。より具体的には、単体透過率を低めに設定するためにヨウ素濃度を高くするとホウ酸架橋度も高くなり、その結果、偏光膜の伸縮性が低くなり、例えば加熱時にクラックが発生しやすくなる。このような問題に対し、架橋インデックスを最適化することにより、所定のヨウ素濃度における所望のホウ酸濃度を得ることができる。言い換えれば、設計した単体透過率(後述)に応じて所望のホウ酸濃度を決定することができる。その結果、所定の単体透過率(ヨウ素濃度)に応じて、ホウ酸架橋度を適切な範囲に制御することができる。最終的には、光学特性に優れ、かつ、耐久性(特に加熱時のクラック防止)および耐水性に優れた偏光膜を得ることができる。すなわち、架橋インデックスを最適化することにより、薄型の偏光膜に特有の問題を解決することができる。このような問題は、光学特性を広範囲に変化させながら薄型の偏光膜を実際に作製して初めて認識されたものであり、当該問題を解決したことは、工業的に非常に優れた効果である。
架橋インデックスは下記式から求められる。
(架橋インデックス)=(フィルム中のヨウ素濃度)×(フィルム中のホウ酸濃度)
フィルム中のヨウ素濃度(重量%)は、蛍光X線分析による蛍光X線強度(kcps)とフィルム厚み(μm)とから、以下の式により算出され得る。
(ヨウ素濃度)=18.2×(蛍光X線強度)/(フィルム厚み)
ここで、上記式の定数「18.2」は、厚み、ヨウ素濃度およびカリウム濃度が既知の試料(例えば、一定量のKIを添加したPVA系樹脂フィルム)の蛍光X線強度を測定し、検量線を作成することにより得られ得る。また、フィルム中のホウ酸濃度(重量%)は、全反射減衰分光(ATR)測定から算出されるホウ酸量指数を用いて決定することができる。
(ホウ酸量指数)=(ホウ酸ピーク665cm−1の強度)/(参照ピーク2941cm−1の強度)
(ホウ酸濃度)=(ホウ酸量指数)×5.54+4.1
ここで、「5.54」および「4.1」はいずれも、上記と同様にして既知試料から作成された検量線から得られる定数である。
PVA系樹脂フィルム中のホウ酸濃度は、好ましくは12重量%〜21重量%であり、より好ましくは15重量%〜20重量%であり、さらに好ましくは17重量%〜20重量%である。本発明によれば、上記のように架橋インデックスを最適化することにより、所定のヨウ素濃度における好ましいホウ酸濃度を決定することができる。
PVA系樹脂フィルム(偏光膜)の厚みは10μm以下であり、好ましくは7μm以下、より好ましくは6μm以下である。このような厚みのPVA系樹脂フィルムは、所定の光学特性(例えば、偏光度)を確保しようとするとヨウ素濃度が非常に高くなるので、架橋インデックスを最適化することによる効果が顕著なものとなる。一方、PVA系樹脂フィルムの厚みは、好ましくは1.0μm以上、より好ましくは2.0μm以上である。
上記偏光膜は、好ましくは、波長380nm〜780nmのいずれかの波長で吸収二色性を示す。偏光膜の単体透過率は、好ましくは40.0%〜42.5%であり、より好ましくは41.0%〜42.0%である。偏光膜の偏光度は、好ましくは99.9%以上であり、より好ましくは99.95%以上であり、さらに好ましくは99.98%以上である。単体透過率を低く設定し偏光度を高くすることにより、コントラストを高くすることができ、黒表示をより黒く表示できるので、優れた画質の画像表示装置を実現することができる。上記のとおり、架橋インデックスを最適化することにより、このような高い偏光度と優れた耐久性および耐水性とを両立することができる。
B.偏光膜の製造方法
本発明の1つの実施形態による偏光膜の製造方法は、代表的には、樹脂基材の片側にPVA系樹脂層を形成すること、および、該樹脂基材と該PVA系樹脂層との積層体を延伸および染色して該ポリビニルアルコール系樹脂層を偏光膜とすること、を含む。
B−1.PVA系樹脂層の形成
PVA系樹脂層の形成方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。好ましくは、樹脂基材上に、PVA系樹脂を含む塗布液を塗布し、乾燥することにより、PVA系樹脂層を形成する。
上記樹脂基材の形成材料としては、任意の適切な熱可塑性樹脂が採用され得る。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂等のエステル系樹脂、ノルボルネン系樹脂等のシクロオレフィン系樹脂、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、これらの共重体樹脂等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、ノルボルネン系樹脂、非晶質のポリエチレンテレフタレート系樹脂である。
1つの実施形態においては、非晶質の(結晶化していない)ポリエチレンテレフタレート系樹脂が好ましく用いられる。中でも、非晶性の(結晶化しにくい)ポリエチレンテレフタレート系樹脂が特に好ましく用いられる。非晶性のポリエチレンテレフタレート系樹脂の具体例としては、ジカルボン酸としてイソフタル酸をさらに含む共重合体や、グリコールとしてシクロヘキサンジメタノールをさらに含む共重合体が挙げられる。
後述する延伸において水中延伸方式を採用する場合、上記樹脂基材は水を吸収し、水が可塑剤的な働きをして可塑化し得る。その結果、延伸応力を大幅に低下させることができ、高倍率に延伸することが可能となり、空中延伸時よりも延伸性に優れ得る。その結果、優れた光学特性を有する偏光膜を作製することができる。1つの実施形態においては、樹脂基材は、好ましくは、その吸水率が0.2%以上であり、さらに好ましくは0.3%以上である。一方、樹脂基材の吸水率は、好ましくは3.0%以下、さらに好ましくは1.0%以下である。このような樹脂基材を用いることにより、製造時に寸法安定性が著しく低下して、得られる偏光膜の外観が悪化するなどの不具合を防止することができる。また、水中延伸時に基材が破断したり、樹脂基材からPVA系樹脂層が剥離したりするのを防止することができる。なお、樹脂基材の吸水率は、例えば、形成材料に変性基を導入することにより調整することができる。吸水率は、JIS K 7209に準じて求められる値である。
樹脂基材のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは170℃以下である。このような樹脂基材を用いることにより、PVA系樹脂層の結晶化を抑制しながら、積層体の延伸性を十分に確保することができる。さらに、水による樹脂基材の可塑化と、水中延伸を良好に行うことを考慮すると、120℃以下であることがより好ましい。1つの実施形態においては、樹脂基材のガラス転移温度は、好ましくは60℃以上である。このような樹脂基材を用いることにより、上記PVA系樹脂を含む塗布液を塗布・乾燥する際に、樹脂基材が変形(例えば、凹凸やタルミ、シワ等の発生)するなどの不具合を防止して、良好に積層体を作製することができる。また、PVA系樹脂層の延伸を、好適な温度(例えば、60℃程度)にて良好に行うことができる。別の実施形態においては、PVA系樹脂を含む塗布液を塗布・乾燥する際に、樹脂基材が変形しなければ、60℃より低いガラス転移温度であってもよい。なお、樹脂基材のガラス転移温度は、例えば、形成材料に変性基を導入する、結晶化材料を用いて加熱することにより調整することができる。ガラス転移温度(Tg)は、JIS K 7121に準じて求められる値である。
樹脂基材の延伸前の厚みは、好ましくは20μm〜300μm、より好ましくは50μm〜200μmである。20μm未満であると、PVA系樹脂層の形成が困難になるおそれがある。300μmを超えると、例えば、水中延伸において、樹脂基材が水を吸収するのに長時間を要するとともに、延伸に過大な負荷を要するおそれがある。
上記塗布液は、代表的には、上記PVA系樹脂を溶媒に溶解させた溶液である。溶媒としては、例えば、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、各種グリコール類、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等のアミン類が挙げられる。これらは単独で、または、二種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、好ましくは、水である。溶液のPVA系樹脂濃度は、溶媒100重量部に対して、好ましくは3重量部〜20重量部である。このような樹脂濃度であれば、樹脂基材に密着した均一な塗布膜を形成することができる。
塗布液に、添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、界面活性剤等が挙げられる。可塑剤としては、例えば、エチレングリコールやグリセリン等の多価アルコールが挙げられる。界面活性剤としては、例えば、非イオン界面活性剤が挙げられる。これらは、得られるPVA系樹脂層の均一性や染色性、延伸性をより一層向上させる目的で使用され得る。また、添加剤としては、例えば、易接着成分が挙げられる。易接着成分を用いることにより、樹脂基材とPVA系樹脂層との密着性を向上させ得る。その結果、例えば、基材からPVA系樹脂層が剥がれる等の不具合を抑制して、後述の染色、水中延伸を良好に行うことができる。易接着成分としては、例えば、アセトアセチル変性PVAなどの変性PVAが用いられる。
塗布液の塗布方法としては、任意の適切な方法を採用することができる。例えば、ロールコート法、スピンコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、ダイコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ナイフコート法(コンマコート法等)等が挙げられる。
上記塗布液の塗布・乾燥温度は、好ましくは50℃以上である。
PVA系樹脂層を形成する前に、樹脂基材に表面処理(例えば、コロナ処理等)を施してもよいし、樹脂基材上に易接着層を形成してもよい。このような処理を行うことにより、樹脂基材とPVA系樹脂層との密着性を向上させることができる。
上記PVA系樹脂層(延伸前)の厚みは、好ましくは3μm〜20μmである。
B−2.延伸
積層体の延伸方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。具体的には、固定端延伸でもよいし、自由端延伸(例えば、周速の異なるロール間に積層体を通して一軸延伸する方法)でもよい。好ましくは、自由端延伸である。
積層体の延伸方向は、適宜、設定され得る。1つの実施形態においては、長尺状の積層体の長手方向に延伸する。この場合、代表的には、周速の異なるロール間に積層体を通して延伸する方法が採用される。別の実施形態においては、長尺状の積層体の幅方向に延伸する。この場合、代表的には、テンター延伸機を用いて延伸する方法が採用される。
延伸方式は、特に限定されず、空中延伸方式でもよいし、水中延伸方式でもよい。好ましくは、水中延伸方式である。水中延伸方式によれば、上記樹脂基材やPVA系樹脂層のガラス転移温度(代表的には、80℃程度)よりも低い温度で延伸し得、PVA系樹脂層を、その結晶化を抑えながら、高倍率に延伸することができる。その結果、優れた光学特性を有する偏光膜を作製することができる。
積層体の延伸は、一段階で行ってもよいし、多段階で行ってもよい。多段階で行う場合、例えば、上記自由端延伸と固定端延伸とを組み合わせてもよいし、上記水中延伸方式と空中延伸方式とを組み合わせてもよい。また、多段階で行う場合、後述の積層体の延伸倍率(最大延伸倍率)は、各段階の延伸倍率の積である。
積層体の延伸温度は、樹脂基材の形成材料、延伸方式等に応じて、任意の適切な値に設定され得る。空中延伸方式を採用する場合、延伸温度は、好ましくは樹脂基材のガラス転移温度(Tg)以上であり、さらに好ましくは樹脂基材のガラス転移温度(Tg)+10℃以上、特に好ましくはTg+15℃以上である。一方、積層体の延伸温度は、好ましくは170℃以下である。このような温度で延伸することで、PVA系樹脂の結晶化が急速に進むのを抑制して、当該結晶化による不具合(例えば、延伸によるPVA系樹脂層の配向を妨げる)を抑制することができる。
水中延伸方式を採用する場合、延伸浴の液温は60℃以上であり、好ましくは65℃〜85℃であり、より好ましくは65℃〜75℃である。このような温度であれば、PVA系樹脂層の溶解を抑制しながら高倍率に延伸することができる。具体的には、上述のように、樹脂基材のガラス転移温度(Tg)は、PVA系樹脂層の形成との関係で、好ましくは60℃以上である。この場合、延伸温度が60℃を下回ると、水による樹脂基材の可塑化を考慮しても、良好に延伸できないおそれがある。一方、延伸浴の温度が高温になるほど、PVA系樹脂層の溶解性が高くなって、優れた光学特性が得られないおそれがある。延伸浴への積層体の浸漬時間は、好ましくは15秒〜5分である。
水中延伸方式を採用する場合、積層体をホウ酸水溶液中に浸漬させて延伸することが好ましい(ホウ酸水中延伸)。延伸浴としてホウ酸水溶液を用いることで、PVA系樹脂層に、延伸時にかかる張力に耐える剛性と、水に溶解しない耐水性とを付与することができる。具体的には、ホウ酸は、水溶液中でテトラヒドロキシホウ酸アニオンを生成してPVA系樹脂と水素結合により架橋し得る。その結果、PVA系樹脂層に剛性と耐水性とを付与して、良好に延伸することができ、優れた光学特性を有する偏光膜を作製することができる。
上記ホウ酸水溶液は、好ましくは、溶媒である水にホウ酸および/またはホウ酸塩を溶解させることにより得られる。本発明においては、ホウ酸濃度は3.5重量%以下であり、好ましくは2.0重量%〜3.5重量%であり、より好ましくは2.5重量%〜3.5重量%である。本発明によれば、架橋インデックスを最適化することにより、このような所望の範囲にホウ酸濃度を設定することができる。結果として、ホウ酸架橋度を適切な範囲に制御することができる。上記のとおり、薄型の偏光膜においては、設計した単体透過率を変えるとホウ酸の架橋度も変わってしまい、設計した光学特性から外れてしまう場合がある。本発明によれば、上記のとおり、架橋インデックスを最適化することにより、所定のヨウ素濃度における所望のホウ酸濃度を得ることができる。言い換えれば、設計した単体透過率に応じて所望のホウ酸濃度を決定することができるので、当該所望のホウ酸濃度に対応して水中延伸のホウ酸濃度を決定することができる。その結果、所定の単体透過率(ヨウ素濃度)に応じて、ホウ酸架橋度を適切な範囲に制御することができ、光学特性にばらつきのない薄型の偏光膜を得ることができる。しかも、このようにして得られる偏光膜は、優れた光学特性と優れた耐久性および耐水性とを両立し得る。なお、ホウ酸またはホウ酸塩以外に、ホウ砂等のホウ素化合物、グリオキザール、グルタルアルデヒド等を溶媒に溶解して得られた水溶液も用いることができる。
後述の染色により、予め、PVA系樹脂層に二色性物質(代表的には、ヨウ素)が吸着されている場合、好ましくは、上記延伸浴(ホウ酸水溶液)にヨウ化物を配合する。ヨウ化物を配合することにより、PVA系樹脂層に吸着させたヨウ素の溶出を抑制することができる。ヨウ化物としては、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、ヨウ化カリウムである。ヨウ化物の濃度は、水100重量部に対して、好ましくは0.05重量部〜15重量部、より好ましくは0.5重量部〜8重量部である。
積層体の延伸倍率(最大延伸倍率)は、積層体の元長に対して、好ましくは5.0倍以上である。このような高い延伸倍率は、例えば、水中延伸方式(ホウ酸水中延伸)を採用することにより、達成し得る。なお、本明細書において「最大延伸倍率」とは、積層体が破断する直前の延伸倍率をいい、別途、積層体が破断する延伸倍率を確認し、その値よりも0.2低い値をいう。
1つの実施形態においては、上記積層体を高温(例えば、95℃以上)で空中延伸した後、上記ホウ酸水中延伸および後述の染色を行う。このような空中延伸は、ホウ酸水中延伸に対する予備的または補助的な延伸として位置付けることができるため、以下「空中補助延伸」という。
空中補助延伸を組み合わせることで、積層体をより高倍率に延伸することができる場合がある。その結果、より優れた光学特性(例えば、偏光度)を有する偏光膜を作製することができる。例えば、上記樹脂基材としてポリエチレンテレフタレート系樹脂を用いた場合、ホウ酸水中延伸のみで延伸するよりも、空中補助延伸とホウ酸水中延伸とを組み合せる方が、樹脂基材の配向を抑制しながら延伸することができる。当該樹脂基材は、その配向性が向上するにつれて延伸張力が大きくなり、安定的な延伸が困難となったり、破断したりする。そのため、樹脂基材の配向を抑制しながら延伸することで、積層体をより高倍率に延伸することができる。
また、空中補助延伸を組み合わせることで、PVA系樹脂の配向性を向上させ、そのことにより、ホウ酸水中延伸後においてもPVA系樹脂の配向性を向上させ得る。具体的には、予め、空中補助延伸によりPVA系樹脂の配向性を向上させておくことで、ホウ酸水中延伸の際にPVA系樹脂がホウ酸と架橋し易くなり、ホウ酸が結節点となった状態で延伸されることで、ホウ酸水中延伸後もPVA系樹脂の配向性が高くなるものと推定される。その結果、優れた光学特性(例えば、偏光度)を有する偏光膜を作製することができる。
空中補助延伸における延伸倍率は、好ましくは3.5倍以下である。空中補助延伸の延伸温度は、PVA系樹脂のガラス転移温度以上であることが好ましい。延伸温度は、好ましくは95℃〜150℃である。なお、空中補助延伸と上記ホウ酸水中延伸とを組み合わせた場合の最大延伸倍率は、積層体の元長に対して、好ましくは5.0倍以上、より好ましくは5.5倍以上、さらに好ましくは6.0倍以上である。
B−3.染色
PVA系樹脂層の染色は、代表的には、PVA系樹脂層にヨウ素を吸着させることにより行う。当該吸着方法としては、例えば、ヨウ素を含む染色液にPVA系樹脂層(積層体)を浸漬させる方法、PVA系樹脂層に当該染色液を塗工する方法、当該染色液をPVA系樹脂層に噴霧する方法等が挙げられる。好ましくは、染色液にPVA系樹脂層(積層体)を浸漬させる方法である。ヨウ素が良好に吸着し得るからである。
上記染色液は、好ましくは、ヨウ素水溶液である。ヨウ素の配合量は、水100重量部に対して、好ましくは0.1重量部〜0.5重量部である。ヨウ素の水に対する溶解度を高めるため、ヨウ素水溶液にヨウ化物を配合することが好ましい。ヨウ化物の具体例は、上述のとおりである。ヨウ化物の配合量は、水100重量部に対して、好ましくは0.02重量部〜20重量部、より好ましくは0.1重量部〜10重量部である。染色液の染色時の液温は、PVA系樹脂の溶解を抑制するため、好ましくは20℃〜50℃である。染色液にPVA系樹脂層を浸漬させる場合、浸漬時間は、PVA系樹脂層の透過率を確保するため、好ましくは5秒〜5分である。また、染色条件(濃度、液温、浸漬時間)は、最終的に得られる偏光膜の偏光度もしくは単体透過率が所定の範囲となるように、設定することができる。1つの実施形態においては、得られる偏光膜の偏光度が99.98%以上となるように、浸漬時間を設定する。別の実施形態においては、得られる偏光膜の単体透過率が40.0%〜42.5%となるように、浸漬時間を設定する。
染色処理は、任意の適切なタイミングで行い得る。上記水中延伸を行う場合、好ましくは、水中延伸の前に行う。
B−4.その他の処理
上記PVA系樹脂層(積層体)は、延伸および染色以外に、偏光膜とするための処理が、適宜施され得る。偏光膜とするための処理としては、例えば、不溶化処理、架橋処理、洗浄処理、乾燥処理等が挙げられる。なお、これらの処理の回数、順序等は、特に限定されない。
上記不溶化処理は、代表的には、ホウ酸水溶液にPVA系樹脂層(積層体)を浸漬することにより行う。不溶化処理を施すことにより、PVA系樹脂層に耐水性を付与することができる。当該ホウ酸水溶液の濃度は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部〜4重量部である。不溶化浴(ホウ酸水溶液)の液温は、好ましくは20℃〜50℃である。好ましくは、不溶化処理は、上記水中延伸や上記染色処理の前に行う。
上記架橋処理は、代表的には、ホウ酸水溶液にPVA系樹脂層(積層体)を浸漬することにより行う。架橋処理を施すことにより、PVA系樹脂層に耐水性を付与することができる。当該ホウ酸水溶液の濃度は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部〜5重量部である。また、上記染色処理後に架橋処理を行う場合、さらに、ヨウ化物を配合することが好ましい。ヨウ化物を配合することにより、PVA系樹脂層に吸着させたヨウ素の溶出を抑制することができる。ヨウ化物の配合量は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部〜5重量部である。ヨウ化物の具体例は、上述のとおりである。架橋浴(ホウ酸水溶液)の液温は、好ましくは20℃〜60℃である。好ましくは、架橋処理は上記水中延伸の前に行う。好ましい実施形態においては、空中延伸、染色処理および架橋処理をこの順で行う。
上記洗浄処理は、代表的には、ヨウ化カリウム水溶液にPVA系樹脂層(積層体)を浸漬することにより行う。上記乾燥処理における乾燥温度は、好ましくは30℃〜100℃である。
以上のようにして、樹脂基材上に偏光膜が形成される。
代表的には、偏光膜は、その片側または両側に光学機能フィルムが積層された状態で(すなわち、偏光板として)使用される。光学機能フィルムの積層には、任意の適切な接着剤または粘着剤が用いられる。光学機能フィルムは、例えば、偏光膜の保護フィルム、位相差フィルム等として機能し得る。上記樹脂基材を用いる場合、樹脂基材を剥離せずにそのまま保護フィルムとして用いてもよい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各特性の測定方法は以下の通りである。
1.PVA系樹脂フィルム中のヨウ素濃度
実施例および比較例で得られた偏光膜について、蛍光X線分析装置(リガク社製、商品名「ZSX100E」、測定径:ψ10mm)を用いて蛍光X線強度(kcps)を測定した。一方、当該偏光膜の厚み(μm)を、分光膜厚計(大塚電子社製、商品名「MCPD−3000」)を用いて測定した。得られた蛍光X線強度と厚みから下記式を用いてヨウ素濃度(重量%)を求めた。
(ヨウ素濃度)=18.2×(蛍光X線強度)/(フィルム厚み)
2.PVA系樹脂フィルム中のホウ酸濃度
実施例および比較例で得られた偏光膜について、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)(Perkin Elmer社製、商品名「SPECTRUM2000」)を用いて、偏光を測定光とする全反射減衰分光(ATR)測定によりホウ酸ピーク(665cm−1)の強度および参照ピーク(2941cm−1)の強度を測定した。得られたホウ酸ピーク強度および参照ピーク強度からホウ酸量指数を下記式により算出し、さらに、算出したホウ酸量指数から下記式によりホウ酸濃度を決定した。
(ホウ酸量指数)=(ホウ酸ピーク665cm−1の強度)/(参照ピーク2941cm−1の強度)
(ホウ酸濃度)=(ホウ酸量指数)×5.54+4.1
3.クラック(耐久性)
実施例および比較例で得られた偏光膜から、延伸方向に直交する方向を短辺とする試験片(200mm×100mm)を切り出した。粘着剤で試験片をガラス板に貼り合わせ、これを100℃のオーブン内で120時間放置して加熱し、加熱後の偏光膜のクラック発生状態を目視により調べた。クラック(耐久性)の評価基準は以下のとおりである。
○:偏光膜にクラック(目視で確認できる1mm以上の割れ)が全く無い
×:偏光膜にクラックが1か所以上認められる
4.加湿時の色抜け
実施例および比較例で得られた偏光膜から、延伸方向に直交する方向および延伸方向をそれぞれ対向する二辺とする試験片(50mm×50mm)を切り出した。粘着剤で試験片をガラス板に貼り合わせ、これを60℃湿度95%のオーブン内で120時間放置して加湿し、標準偏光板とクロスニコルの状態に配置した時の、加湿後の偏光膜の端部の色抜け状態を顕微鏡により調べた。具体的には、偏光膜端部からの色抜けの大きさ(色抜け量:μm)を測定した。顕微鏡としてOlympus社製、MX61Lを用い、倍率10倍で撮影した画像から色抜け量を測定した。図1に示すように、延伸方向の端部からの色抜け量aおよび延伸方向と直交する方向の端部からの色抜け量bのうち、大きいほうを色抜け量とした。なお、色抜けした領域は偏光特性が著しく低く、偏光板としての機能を実質的に果たさないので、色抜け量は好ましくは300μm以下であり、より好ましくは200μmであり、さらに好ましくは100μm以下である。したがって、色抜け量が300μm以下である場合を○、300μmを超える場合を×として評価した。
[実施例1]
樹脂基材として、長尺状で、吸水率0.60%、Tg80℃、弾性率2.5GPaの非晶質ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:100μm)を用いた。
樹脂基材の片面に、コロナ処理(処理条件:55W・min/m)を施し、このコロナ処理面に、ポリビニルアルコール(重合度4200、ケン化度99.2モル%)90重量部およびアセトアセチル変性PVA(重合度1200、アセトアセチル変性度4.6%、ケン化度99.0モル%以上、日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマーZ200」)10重量部を含む水溶液を60℃で塗布および乾燥して、厚み11μmのPVA系樹脂層を形成し、積層体を作製した。
得られた積層体を、120℃のオーブン内で周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に1.8倍に自由端一軸延伸した(空中補助延伸)。
次いで、積層体を、液温30℃の不溶化浴(水100重量部に対して、ホウ酸を4重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(不溶化処理)。
次いで、液温30℃の染色浴(水100重量部に対して、ヨウ素を0.4重量部配合し、ヨウ化カリウムを3.0重量部配合して得られたヨウ素水溶液)に60秒間浸漬させた(染色処理)。
次いで、液温30℃の架橋浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを3重量部配合し、ホウ酸を3重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(架橋処理)。
その後、積層体を、液温70℃のホウ酸水溶液(ホウ酸濃度3.0重量%)に浸漬させながら、周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に総延伸倍率が5.5倍となるように一軸延伸を行った(水中延伸)。
その後、積層体を液温30℃の洗浄浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを4重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させた(洗浄処理)。
このようにして、樹脂基材上に厚み5μmの偏光膜を形成した。
続いて、積層体のPVA系樹脂層表面に、PVA系樹脂水溶液(日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマー(登録商標)Z−200」、樹脂濃度:3重量%)を塗布し、シクロオレフィン系フィルム(日本ゼオン社製、Zeonor ZB12、厚さ:50μm)を貼り合わせ、60℃に維持したオーブンで5分間加熱し、厚み5μmの偏光膜を有する光学機能フィルム積層体を作製した。偏光膜の単体透過率を常法により測定したところ41.0%であった。この後、樹脂基材を剥離し、片面に保護フィルムを有する構成の偏光板を得た。
得られた偏光膜について、上記のようにしてヨウ素濃度およびホウ酸濃度を求め、当該ヨウ素濃度およびホウ酸濃度から架橋インデックスを算出した。さらに、得られた偏光膜の表面(保護フィルムと反対側の表面)に粘着剤およびガラスを積層し、上記クラックおよび加湿時の色抜けの評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例2]
水中延伸におけるホウ酸水溶液のホウ酸濃度を3.5重量%としたこと、および、染色浴として水100重量部に対してヨウ素を0.3重量部およびヨウ化カリウムを2.0重量部配合して得られたヨウ素水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして厚み5μmの偏光膜を有する光学機能フィルム積層体を得た。偏光膜の単体透過率は42.0%であった。得られた偏光膜を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[比較例1]
水中延伸におけるホウ酸水溶液のホウ酸濃度を4.0重量%としたこと以外は実施例1と同様にして厚み5μmの偏光膜を有する光学機能フィルム積層体を得た。偏光膜の単体透過率は41.0%であった。得られた偏光膜を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[比較例2]
水中延伸におけるホウ酸水溶液のホウ酸濃度を4.0重量%としたこと、および、染色浴として水100重量部に対してヨウ素を0.3重量部およびヨウ化カリウムを2.0重量部配合して得られたヨウ素水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして厚み5μmの偏光膜を有する光学機能フィルム積層体を得た。偏光膜の単体透過率は42.0%であった。得られた偏光膜を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[参考例1]
PVA系樹脂フィルム(クラレ社製、商品名「PS−7500」、厚み:75μm、平均重合度:2,400、ケン化度:99.9モル%)を30℃水浴中に1分間浸漬させつつ搬送方向に1.2倍に延伸した後、ヨウ素濃度0.04重量%、カリウム濃度0.3重量%の30℃水溶液中に浸漬して染色しながら、全く延伸していないフィルム(元長)を基準として2倍に延伸した。次いで、この延伸フィルムを、ホウ酸濃度4重量%、ヨウ化カリウム濃度5重量%の30℃の水溶液中に浸漬しながら、元長基準で3倍までさらに延伸し、続いて、ホウ酸濃度4重量%、ヨウ化カリウム濃度5重量%の60℃水溶液中に浸漬しながら、元長基準で6倍までさらに延伸し、70℃で2分間乾燥することにより、厚み27μmの偏光子を得た。偏光子の単体透過率は41.0%であった。得られた偏光子について、実施例1と同様にしてヨウ素濃度およびホウ酸濃度の測定を行った。続いて、偏光子の両面に、PVA系樹脂水溶液(日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマー(登録商標)Z−200」、樹脂濃度:3重量%)を塗布し、シクロオレフィン系フィルム(日本ゼオン社製、Zeonor ZB12、厚さ:50μm)を両面に貼り合わせ、60℃に維持したオーブンで5分間加熱して、偏光板を得た。得られた偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[参考例2]
染色浴のヨウ素濃度を0.03重量%とし、カリウム濃度を0.2重量%としたこと以外は参考例1と同様にして、厚み27μmの偏光子を得た。偏光子の単体透過率は42.0%であった。得られた偏光子を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[参考例3]
染色浴のヨウ素濃度を0.025重量%とし、カリウム濃度を0.18重量%としたこと以外は参考例1と同様にして、厚み27μmの偏光子を得た。偏光子の単体透過率は43.0%であった。得られた偏光子を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、架橋インデックスが本発明の範囲から外れる比較例の偏光膜は、特に架橋インデックスが高い場合には、加熱時のクラックが発生しており、加熱耐久性が不十分であることがわかる。さらに、実施例と参考例を比較すると明らかなように、実施例の薄型偏光膜は、同じ単体透過率におけるヨウ素濃度が格段に高いこと、および、単体透過率の変化に応じたヨウ素濃度の変化が格段に大きいことがわかる。さらに、参考例から明らかなように、従来の分厚い偏光子は、架橋インデックスが小さくても耐久性の問題は生じず、このような問題は薄型の偏光膜に特有の問題であることがわかる。
本発明の偏光膜を含む光学機能フィルム積層体(代表的には偏光板)は、液晶テレビ、液晶ディスプレイ、携帯電話、デジタルカメラ、ビデオカメラ、携帯ゲーム機、カーナビゲーション、コピー機、プリンター、ファックス、時計、電子レンジ等の液晶パネル、有機ELパネルの反射防止膜として好適に用いられる。

Claims (1)

  1. 厚みが10μm以下であるポリビニルアルコール系樹脂フィルムから構成される偏光膜であって
    該ポリビニルアルコール系樹脂フィルム中のヨウ素濃度が8.5重量%以上であり、
    単体透過率が40.0%〜42.0%であり、
    下記で定義される架橋インデックスが150〜200である、偏光膜:
    (架橋インデックス)=(フィルム中のヨウ素濃度)×(フィルム中のホウ酸濃度)
    上記式における(フィルム中のホウ酸濃度)の単位が重量%であり、
    フィルム中のヨウ素濃度が、蛍光X線分析により得られる蛍光X線強度とフィルム厚みから下記式により求められ、
    フィルム中のホウ酸濃度が、全反射減衰分光法により下記式から得られるホウ酸量指数を用いて下記式により求められる:
    (ヨウ素濃度)=18.2×(蛍光X線強度)/(フィルム厚み)
    (ホウ酸量指数)=(ホウ酸ピーク665cm−1の強度)/(参照ピーク2941cm−1の強度)
    (ホウ酸濃度)=(ホウ酸量指数)×5.54+4.1。

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