JP6105794B1 - 偏光子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】染色液中に溶解したPVAによる影響を回避しつつ、生産性の更なる向上を可能とした偏光子の製造方法を提供する。【解決手段】二色性色素(ヨウ素)を含む染色液にポリビニルアルコール(PVA)系樹脂フィルムを浸漬することによって、PVA系樹脂フィルムを染色する染色工程を含み、染色液は、架橋剤(ホウ酸)を含有する。【選択図】なし
Description
本発明は、偏光子の製造方法に関する。
従来より、液晶表示装置等の表示装置における偏光の供給素子として、また偏光の検出素子として、偏光板が広く用いられている。偏光板は、偏光フィルム(偏光子)の片面又は両面に、接着剤を用いて保護フィルムを貼合した構成のものが一般的である。
偏光子は、未延伸のポリビニルアルコール(PVA)系樹脂フィルム(原反フィルム)に、膨潤処理や、染色処理、延伸処理、架橋処理、洗浄処理などを施した後、乾燥することにより製造される。
近年では、液晶表示装置の高性能化や薄型化に伴って、偏光子に対しても薄型化が求められている。例えば、厚み10μm以下の偏光子は、熱可塑性樹脂基材上に、PVA系樹脂溶液を塗布し、乾燥させて、PVA系樹脂層を有する積層体を形成した後、この積層体を原反フィルムとして、上述した各処理を施すことにより製造される。
ところで、上述したPVA系樹脂フィルム(PVA系樹脂層)を染色する染色工程では、染色浴内のヨウ素(二色性色素)を含む染色液に原反フィルムを浸漬することが行われる。このとき、PVA系樹脂フィルムから染色液中にPVAの一部が溶解することがある。特に、厚み10μm以下に薄膜化された偏光子(PVA系樹脂フィルム)は溶解性が高い。
この場合、偏光子の連続生産を行うと、溶解したPVAが染色浴中に蓄積し、染色液中のPVA濃度が上昇することによって、析出したPVAがPVA系樹脂フィルムに付着し、偏光子の染色ムラ等の原因となる。また、染色浴内から原反フィルムを取り出す際に、染色液の液切れ(水切り)が悪くなる。その結果、偏光子の収率を低下させるといった問題が発生してしまう。さらに、上述した問題に加えて、染色液中のPVA濃度が上昇することによって、PVA系樹脂フィルムへのヨウ素の吸着速度(染色速度)が低下し、生産性を損ねるといった問題も発生してしまう。
この対策として、架橋浴で発生するPVAからなる異物を活性炭に接触させることにより、吸着除去する方法が開示されている(上記特許文献1を参照。)。しかしながら、活性炭は、ヨウ素も吸着してしまうため、ヨウ素濃度を一定に保つ必要のある染色浴においては好ましくない。
したがって、染色液中に溶解したPVAを除去することができないため、染色浴中におけるPVA濃度上昇への対策としては、上述した問題が発生する前に処理液を定期的に更新(交換)するが一般的である。しかしながら、従来の染色工程では、染色液としてヨウ素やヨウ化カリウム等が多く使用されている。このため、ハロゲンの排出による環境問題やコスト高などの問題からも、染色液の更新(交換)を頻繁に行うのは好ましくない。
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、染色液中に溶解したPVAによる影響を回避しつつ、生産性の更なる向上を可能とした偏光子の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段として、本発明の態様に従えば、二色性色素を含む染色液にポリビニルアルコール(PVA)系樹脂フィルムを浸漬することによって、前記PVA系樹脂フィルムを染色する染色工程を含み、前記染色液は、架橋剤を含有する偏光子の製造方法が提供される。
また、前記態様の偏光子の製造方法において、前記架橋剤は、ホウ素化合物である製造方法であってもよい。
また、前記態様の偏光子の製造方法において、前記ホウ素化合物は、ホウ酸である製造方法であってもよい。
また、前記態様の偏光子の製造方法において、前記PVA系樹脂フィルムは、その厚みが10μm以下であり、熱可塑性樹脂基材の上に形成されている製造方法であってもよい。
また、前記態様の偏光子の製造方法において、前記架橋剤の濃度は、0.01〜0.1重量部である製造方法であってもよい。
また、前記態様の偏光子の製造方法において、前記二色性色素は、ヨウ素である製造方法であってもよい。
また、前記態様の偏光子の製造方法において、前記二色性色素の濃度は、0.01〜10重量部である製造方法であってもよい。
また、前記態様の偏光子の製造方法において、前記染色液は、ヨウ化カリウムを含有する製造方法であってもよい。
以上のように、本発明の態様によれば、染色液中に溶解したPVAによる影響を回避しつつ、生産性の更なる向上を可能とした偏光子の製造方法を提供することが可能である。
本実施形態では、本発明を適用した偏光子の製造方法として、熱可塑性樹脂基材上に、PVA系樹脂溶液を塗布し、乾燥させて、PVA系樹脂層(フィルム)を有する積層体を形成した後、この積層体を原反フィルムとして、各処理を施すことにより、厚み10μm以下の偏光子を製造する場合を例に挙げて説明する。
<熱可塑性樹脂基材>
先ず、本発明を適用した偏光子の製造方法で用いられる熱可塑性樹脂基材について説明する。熱可塑性樹脂基材としては、従来より偏光子の透明保護フィルムとして用いられていたものを用いることができる。
先ず、本発明を適用した偏光子の製造方法で用いられる熱可塑性樹脂基材について説明する。熱可塑性樹脂基材としては、従来より偏光子の透明保護フィルムとして用いられていたものを用いることができる。
熱可塑性樹脂基材を構成する材料としては、例えば、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性、延伸性などに優れる熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ナイロンや芳香族ポリアミド等のポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン樹脂、シクロ系乃至ノルボルネン構造を有する環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、(メタ)アクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、並びにこれらの混合物を挙げることができる。また、熱可塑性樹脂基材は、PVA系樹脂層との密着性を向上するため、表面処理(例えば、コロナ処理等)が施されていてもよく、プライマー層(下塗り層)等の薄層が形成されていてもよい。
熱可塑性樹脂は、高分子が規則正しく配列する結晶状態にあるものと、高分子が規則正しい配列を持たない、若しくは、ごく一部しか持たない無定形又は非晶状態にあるものとに大別できる。前者を結晶状態といい、後者を無定形又は非晶状態という。これに対応して、結晶状態をつくる性質の熱可塑性樹脂は結晶性樹脂と呼ばれ、そうした性質を持たない熱可塑性樹脂は非晶性樹脂と呼ばれる。
一方、結晶性樹脂であるか非晶性樹脂であるかを問わず、結晶状態にない樹脂又は結晶状態に至らない樹脂をアモルファス又は非晶質の樹脂という。ここでは、アモルファス又は非晶質の樹脂は、結晶状態をつくらない性質の非晶性樹脂と区別して用いられる。
結晶性樹脂としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)を含むオレフィン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を含むエステル系樹脂がある。結晶性樹脂の特徴の一つは、一般的に加熱や延伸配向によって高分子が配列して結晶化が進む性質を有することである。樹脂の物性は、結晶化の程度に応じて様々に変化する。
一方、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)のような結晶性樹脂でも、加熱処理や延伸配向によって起こる高分子の配列を阻害することによって、結晶化の抑制が可能である。結晶化が抑制されたこれらのポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)を非晶性ポリプロピレン、非晶性ポリエチレンテレフタレートといい、これらをそれぞれ総称して非晶性オレフィン系樹脂、非晶性エステル系樹脂という。
例えばポリプロピレン(PP)の場合、立体規則性のないアタクチック構造にすることによって、結晶化を抑制した非晶性ポリプロピレン(PP)を作製できる。また、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)の場合、重合モノマーとして、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジメタノールのような変性基を共重合すること、すなわち、ポリエチレンテレフタレート(PET)の結晶化を阻害する分子を共重合させることによって、結晶化を抑制した非晶性ポリエチレンテレフタレート(PET)を作製することができる。
熱可塑性樹脂基材(延伸前)の厚みは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄層性などの点より10〜500μmである。特に、20〜300μmが好ましく、30〜200μmがより好ましい。熱可塑性樹脂基材の厚みは、50〜150μmの場合に特に好適である。
<ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂層(フィルム)>
本発明を適用した偏光子の製造方法では、上記熱可塑性樹脂基材の上に、PVA系樹脂層(フィルム)を含む積層体を形成する。PVA系樹脂としては、可視光領域において透光性を有し、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を分散吸着するものを特に制限なく使用できる。
本発明を適用した偏光子の製造方法では、上記熱可塑性樹脂基材の上に、PVA系樹脂層(フィルム)を含む積層体を形成する。PVA系樹脂としては、可視光領域において透光性を有し、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を分散吸着するものを特に制限なく使用できる。
PVA系樹脂としては、従来より偏光子として用いられているPVA系樹脂が好適に用いられる。PVA系樹脂としては、PVA又はその誘導体を挙げることができる。PVAの誘導体としては、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール等を挙げることができる。その他にも、エチレン、プロピレン等のオレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸及びそのアルキルエステル、アクリルアミド等で変性したものを挙げることができる。
PVAの重合度は、100〜10000が好ましく、1000〜10000がより好ましい。ケン化度は、80〜100モル%のものが一般に用いられる。
PVA系樹脂中には、可塑剤、界面活性剤等の添加剤を含有することもできる。可塑剤としては、ポリオール及びその縮合物等を挙げることができる。具体的には、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等を挙げることができる。可塑剤等の使用量は、特に制限されないが、PVA系樹脂100重量部あたり20重量部以下とすることが好適である。
<積層体(原反フィルム)>
原反フィルムとなる積層体は、熱可塑性樹脂基材に、PVA系樹脂を含有する水溶液を塗布した後に、乾燥して、PVA系樹脂層を形成することにより得ることができる。また、積層体は、熱可塑性樹脂基材とPVA系樹脂層とがプライマー層を介して積層された構造であってもよい。また、積層体は、熱可塑性樹脂基材とPVA系樹脂層とが直接積層された構造、若しくは基材層と親水性高分子層とが一体化した状態の積層体であってもよい。
原反フィルムとなる積層体は、熱可塑性樹脂基材に、PVA系樹脂を含有する水溶液を塗布した後に、乾燥して、PVA系樹脂層を形成することにより得ることができる。また、積層体は、熱可塑性樹脂基材とPVA系樹脂層とがプライマー層を介して積層された構造であってもよい。また、積層体は、熱可塑性樹脂基材とPVA系樹脂層とが直接積層された構造、若しくは基材層と親水性高分子層とが一体化した状態の積層体であってもよい。
水溶液は、例えば、PVA系樹脂の粉末又は粉砕物、切断物等を、適宜加熱した水(熱水)に溶解することにより調製することができる。水溶液の濃度は、水100重量部に対して2〜20重量部とすることが好ましく、より好ましくは4〜10重量部である。
水溶液の熱可塑性樹脂基材上への塗布は、例えば、ワイヤーバーコーティング法、リバースコーティング、グラビアコーティング等のロールコーティング法、スピンコーティング法、スクリーンコーティング法、ファウンテンコーティング法、ディッピング法、スプレー法、ダイコート法、カンマコート法、リップコート法などを適宜選択して用いることができる。
熱可塑性樹脂基材がプライマー層を有する場合には、当該プライマー層に直接、水溶液を塗布する。一方、熱可塑性樹脂基材がプライマー層を有しない場合には、基材層に直接、水溶液を塗布する。なお、乾燥温度は、50〜200℃とすることが好ましく、より好ましくは60〜150℃である。乾燥時間は、5〜30分間とすることが好ましい。
PVA系樹脂層は、積層体に施す延伸処理における延伸倍率を考慮して、得られる偏光子の厚みが10μm以下になるような厚みで形成する。未延伸のPVA系樹脂層の厚みは、3〜20μmとすることが好ましく、より好ましくは5〜15μmである。
<処理工程>
本発明を適用した偏光子の製造方法では、積層体(原反フィルム)に対して、染色処理及び延伸処理を少なくとも施す。また、本発明を適用した偏光子の製造方法では、架橋処理を施すことができる。染色処理、架橋処理及び延伸処理には、それぞれ、染色浴、架橋浴及び延伸浴の各処理浴を用いることができる。処理浴を用いる場合には、各処理に応じた処理液(水溶液等)が用いられる。
本発明を適用した偏光子の製造方法では、積層体(原反フィルム)に対して、染色処理及び延伸処理を少なくとも施す。また、本発明を適用した偏光子の製造方法では、架橋処理を施すことができる。染色処理、架橋処理及び延伸処理には、それぞれ、染色浴、架橋浴及び延伸浴の各処理浴を用いることができる。処理浴を用いる場合には、各処理に応じた処理液(水溶液等)が用いられる。
<染色工程>
染色工程では、積層体におけるPVA系樹脂層にヨウ素又は二色性染料を吸着・配向させることにより染色処理を行う。染色工程では、延伸処理と共に染色処理を行うことができる。
染色工程では、積層体におけるPVA系樹脂層にヨウ素又は二色性染料を吸着・配向させることにより染色処理を行う。染色工程では、延伸処理と共に染色処理を行うことができる。
染色処理は、積層体を染色浴内の染色液に浸漬すること(染色浴)により行われる。染色液としては、ヨウ素溶液が一般的である。ヨウ素溶液として用いられるヨウ素水溶液は、ヨウ素及び溶解助剤であるヨウ化化合物によりヨウ素イオンを含有させた水溶液などが用いられる。
ヨウ化化合物としては、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等を用いることができる。ヨウ化化合物としては、ヨウ化カリウムが好適である。また、本実施形態で用いるヨウ化化合物は、他の工程で用いる場合についても、上記ヨウ化化合物と同様である。
ヨウ素溶液中のヨウ素濃度は、溶媒100重量部に対して0.01〜10重量部とすることが好ましく、より好ましくは0.02〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜1.0重量部である。ヨウ化化合物濃度は、溶媒100重量部に対して0.1〜10重量部とすることが好ましく、より好ましくは0.2〜8重量部である。ヨウ素染色にあたり、ヨウ素溶液の温度は、20〜50℃とすることが好ましく、より好ましくは25〜40℃である。浸漬時間は、10〜300秒間とすることが好ましく、より好ましくは20〜240秒である。なお、染色時間は、指定の偏光度又は透過率が達成できるように、任意の時間で浸漬することができる。
<延伸工程>
延伸工程では、乾式延伸処理と湿潤式延伸処理との何れも用いることができる。延伸工程では、積層体に一軸延伸を施すことにより延伸処理を行う。一軸延伸は、積層体の長手方向に対して行う縦延伸と、積層体の幅方向に対して行う横延伸との何れであってもよい。
延伸工程では、乾式延伸処理と湿潤式延伸処理との何れも用いることができる。延伸工程では、積層体に一軸延伸を施すことにより延伸処理を行う。一軸延伸は、積層体の長手方向に対して行う縦延伸と、積層体の幅方向に対して行う横延伸との何れであってもよい。
横延伸では、幅方向に延伸を行いながら、長手方向に収縮させることもできる。横延伸方式としては、例えば、テンターを介して一端を固定した固定端一軸延伸方法や、一端を固定しない自由端一軸延伸方法等を挙げることができる。
一方、縦延伸では、例えば、ロール間延伸方法、圧縮延伸方法、テンターを用いた延伸方法等を用いることができる。また、延伸処理は、多段で行うこともできる。さらに、延伸処理は、二軸延伸、斜め延伸などを施すことにより行うことができる。
乾式延伸処理は、積層体を延伸する際の温度範囲を広く設定することができる点で好ましい。乾式延伸処理では、積層体を50〜200℃に加熱することが好ましく、より好ましくは80〜180℃、さらに好ましくは100〜160℃に加熱した状態で、延伸処理を行う。延伸工程では、乾式延伸処理を含む場合、この乾式延伸処理を染色工程前に施すことが好ましい。
湿潤式延伸処理で用いる処理液には、ヨウ化化合物を含有させることができる。処理液にヨウ化化合物を含有させる場合、ヨウ化化合物濃度は、溶媒100重量部に対して0.1〜10重量部とすることが好ましく、より好ましくは0.2〜5重量部である。湿潤式延伸方法における処理温度は、25℃以上とすることが好ましく、より好ましくは30〜85℃、さらには50〜70℃である。浸漬時間は、10〜800秒とすることが好ましく、より好ましくは30〜500秒である。また、染色処理や架橋処理と共に、延伸処理を施すことができる。
延伸工程では、積層体の元の長さに対して、総延伸倍率で4〜8倍となるように延伸処理を行う。総延伸倍率は、好ましくは5〜7倍である。なお、総延伸倍率は、延伸工程以外の工程等において延伸を伴う場合には、それらの工程における延伸を含めた累積の延伸倍率をいう。総延伸倍率は、他の工程等における延伸倍率を考慮して適宜に決定される。総延伸倍率が低いと、配向が不足して、高い光学特性(偏光度)の偏光子が得られにくい。一方、総延伸倍率が高すぎると、延伸切れが生じ易くなる。また、偏光子が薄くなりすぎて、続く工程での加工性が低下するおそれがある。
延伸工程では、「特許第4751481号公報」に記載されているように、空中補助延伸処理の後に、湿潤式延伸処理を施すことができる。空中補助延伸処理における延伸温度は、60〜180℃、さらには95〜150℃の高い温度に設定しておくことが好ましい。また、空中補助延伸処理における延伸倍率は、1.3〜4倍とすることが好ましく、より好ましくは1.5〜3倍に設定する。また、空中補助延伸処理の後に施す湿潤式延伸処理における処理温度は、50〜80℃とすることが好ましく、より好ましくは60〜70℃である。浸漬時間は、5〜120秒とすることが好ましく、より好ましくは10〜60秒である。また、湿潤式延伸処理における延伸倍率は、総延伸倍率が4〜7倍とすることが好ましく、より好ましくは5〜6倍である。
延伸工程では、空中補助延伸処理と湿潤式延伸処理とを含む場合、染色処理の前に空中補助延伸処理を施して、染色処理後に湿潤式延伸処理を施すことが好ましい。この場合、湿潤式延伸処理に用いる処理浴は、架橋浴を兼ねており、湿潤式延伸処理と共に、架橋処理を施すことが好ましい。
<架橋工程>
架橋工程では、架橋剤として、ホウ素化合物を用いて架橋処理を行う。架橋処理は、染色処理や延伸処理と共に行うことができる。また、架橋処理は、複数回に分けて行うことができる。ホウ素化合物としては、例えば、ホウ酸、ホウ砂等を用いることができる。ホウ素化合物は、水溶液又は水−有機溶媒混合溶液の形態で一般に用いられる。
架橋工程では、架橋剤として、ホウ素化合物を用いて架橋処理を行う。架橋処理は、染色処理や延伸処理と共に行うことができる。また、架橋処理は、複数回に分けて行うことができる。ホウ素化合物としては、例えば、ホウ酸、ホウ砂等を用いることができる。ホウ素化合物は、水溶液又は水−有機溶媒混合溶液の形態で一般に用いられる。
ホウ酸水溶液を用いる場合、架橋度により耐熱性を付与するため、ホウ酸水溶液のホウ酸濃度は、溶媒100重量部に対して1〜10重量部とすることが好ましく、より好ましくは2〜7重量部である。ホウ酸水溶液等には、ヨウ化カリウム等のヨウ化化合物を含有させることができる。ホウ酸水溶液にヨウ化化合物を含有させる場合、ヨウ化化合物濃度は、溶媒100重量部に対して0.1〜10重量部とすることが好ましく、より好ましくは0.5〜8重量部である。
架橋処理は、積層体をホウ酸水溶液等へ浸漬することにより行うことができる。架橋処理における処理温度は、25℃以上とすることが好ましく、より好ましくは30〜85℃、さらには30〜60℃である。処理時間は、5〜800秒とすることが好ましく、より好ましくは8〜500秒である。
<不溶化工程>
本発明を適用した偏光子の製造方法では、積層体に染色処理又は架橋処理を施す前に、不溶化処理を施すことができる。不溶化工程は、PVA系樹脂層を溶解させないための不溶化処理を施すことを目的とする。
本発明を適用した偏光子の製造方法では、積層体に染色処理又は架橋処理を施す前に、不溶化処理を施すことができる。不溶化工程は、PVA系樹脂層を溶解させないための不溶化処理を施すことを目的とする。
不溶化工程では、積層体におけるPVA系樹脂層を、例えばホウ酸やホウ砂等のホウ素化合物を含有する溶液に浸漬させることにより、不溶化処理を行うことができる。溶液は、水溶液又は水−有機溶媒混合溶液の形態で一般に用いられる。
ホウ酸水溶液を用いる場合、ホウ酸水溶液のホウ酸濃度は、溶媒100重量部に対して1〜4重量部とすることが好ましい。不溶化工程における処理温度は、25℃以上とすることが好ましく、より好ましくは30〜85℃、さらには30〜60℃である。処理時間は、5〜800秒間とすることが好ましく、より好ましくは8〜500秒である。
<洗浄工程>
本発明を適用した偏光子の製造方法では、積層体に染色処理や延伸処理を施し、さらに架橋処理を施すことができるが、これらの処理を施した後に、洗浄処理を施すことができる。
本発明を適用した偏光子の製造方法では、積層体に染色処理や延伸処理を施し、さらに架橋処理を施すことができるが、これらの処理を施した後に、洗浄処理を施すことができる。
洗浄工程では、ヨウ化カリウム溶液を用いて洗浄処理を行うことができる。ヨウ化カリウム溶液におけるヨウ化カリウム濃度は、溶媒100重量部に対して0.5〜10重量部とすることが好ましく、より好ましくは0.5〜8重量部、さらに好ましくは1〜6重量部である。
ヨウ化カリウム溶液による洗浄処理において、その処理温度は、5〜60℃とすることが好ましく、より好ましくは10〜40℃である。浸漬時間は、1〜120秒とすることが好ましく、より好ましくは3〜90秒である。ヨウ化カリウム溶液による洗浄処理の段階では、乾燥処理前であれば特に制限はない。
また、洗浄処理としては、水洗浄処理を施すことができる。水洗浄処理は、イオン交換水、蒸留水などの純水にPVA系樹脂を浸漬することにより行う。水洗浄温度は、5〜50℃とすることが好ましく、より好ましくは10〜45℃、さらに好ましくは15〜40℃である。浸漬時間は、5〜300秒とすることが好ましく、より好ましくは10〜240秒である。
洗浄工程では、ヨウ化カリウム溶液による洗浄処理と水洗浄処理とを組み合わせてもよく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、プロパノール等の液体アルコールを適宜配合した溶液を用いることもできる。
<乾燥工程>
また、本発明を適用した偏光子の製造方法では、上述した各処理を施した後に、最終的に、乾燥処理を施して、偏光子を製造する。乾燥処理では、得られる偏光子(フィルム)に必要とされる水分率に応じて、最適な乾燥時間及び乾燥温度が設定される。具体的に、乾燥温度は、20〜150℃とすることが好ましく、より好ましくは40〜100℃である。乾燥温度が低すぎると、乾燥時間が長くなり、効率的な製造ができないため好ましくない。一方、乾燥温度が高すぎると、得られる偏光子が劣化し、光学特性及び色相の点で悪化する。加熱乾燥時間は、1〜10分とすることが好ましい。
また、本発明を適用した偏光子の製造方法では、上述した各処理を施した後に、最終的に、乾燥処理を施して、偏光子を製造する。乾燥処理では、得られる偏光子(フィルム)に必要とされる水分率に応じて、最適な乾燥時間及び乾燥温度が設定される。具体的に、乾燥温度は、20〜150℃とすることが好ましく、より好ましくは40〜100℃である。乾燥温度が低すぎると、乾燥時間が長くなり、効率的な製造ができないため好ましくない。一方、乾燥温度が高すぎると、得られる偏光子が劣化し、光学特性及び色相の点で悪化する。加熱乾燥時間は、1〜10分とすることが好ましい。
<水溶性酸化防止剤>
本発明を適用した偏光子の製造方法では、上述した染色工程以降の少なくとも1つの工程において、少なくとも一つの水溶性酸化防止剤を含有する処理液による処理を行ってもよい。
本発明を適用した偏光子の製造方法では、上述した染色工程以降の少なくとも1つの工程において、少なくとも一つの水溶性酸化防止剤を含有する処理液による処理を行ってもよい。
水溶性酸化防止剤を含有する処理液による処理では、積層体に対して染色処理以降に施される各処理に用いられる各浴の何れか少なくとも1つに水溶性酸化防止剤を含有させる。又は、水溶性酸化防止剤を含有する処理液による処理を別途施す。水溶性酸化防止剤を含有する処理液による処理は、架橋処理及び/又は延伸処理と共に行うことが好ましい。
なお、架橋処理や延伸処理は、複数の処理を同時に行う一括処理により行うことができる。複数の処理が同時に行なわれる一括処理では、当該一括処理に用いる浴に、水溶性酸化防止剤を含有させる。また、架橋処理と延伸処理とが別途行われる多段処理では、架橋処理と延伸処理との何れか少なくとも1つの処理において、水溶性酸化防止剤を含有させる。
水溶性酸化防止剤としては、例えば、アスコルビン酸(ビタミンC)、エリソルビン酸、チオ硫酸、亜硫酸、クロロゲン酸、クエン酸、ロスマリン酸及びこれらの塩等が挙げることができる。
塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩等を挙げることができる。これらの中でも、アスコルビン酸、エリソルビン酸塩、チオ硫酸塩、亜硫酸塩を用いることが好ましい。これら水溶性酸化防止剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
水溶性酸化防止剤の添加量は、染色工程以降の各処理液が含有する二色性物質(ヨウ素又は二色性染料)の汚染濃度によって決定される。汚染された処理液中の二色性物質による汚染濃度が高ければ、添加する水溶性酸化防止剤の添加量も多くなる。
各処理液には、水溶性酸化防止剤の濃度が溶媒100重量部に対して0.005〜1重量部となるように、水溶性酸化防止剤を添加することが好ましく、より好ましくは0.005〜0.5重量部である。水溶性酸化防止剤の濃度が0.005重量部未満の場合には、汚染された処理液中での水溶性酸化防止剤の割合が少なくなり、得られる偏光子の特性(単体透過率、偏光度)の低下を十分に抑えることができなくなる。一方、水溶性酸化防止剤の濃度が1重量部を超える場合には、浴での水溶性酸化防止剤の割合が多くなるため、得られる偏光子が脱色され透過率が高くなる。それに伴い、染色浴のヨウ素濃度が高くする必要性が懸念されるが、光学特性においては、低下などの問題はない。
<偏光子>
本発明を適用した偏光子の製造方法により製造される偏光子は、熱可塑性樹脂基材上に形成されるが、上記熱可塑性樹脂基材を用いずに、未延伸のPVA系樹脂層フィルムを原反フィルムとして、上述した各処理を施すことにより製造することもできる。この場合、偏光子の厚みは、10μm以上であってもよく、好ましくは5〜50μmである。
本発明を適用した偏光子の製造方法により製造される偏光子は、熱可塑性樹脂基材上に形成されるが、上記熱可塑性樹脂基材を用いずに、未延伸のPVA系樹脂層フィルムを原反フィルムとして、上述した各処理を施すことにより製造することもできる。この場合、偏光子の厚みは、10μm以上であってもよく、好ましくは5〜50μmである。
熱可塑性樹脂基材は、後述する偏光板の透明保護フィルムとして、そのまま用いることができる。また、偏光子の熱可塑性樹脂基材とは反対側の面に、透明保護フィルムを貼り合わせることができる。一方、熱可塑性樹脂基材を用いていない場合は、偏光子の両側に透明保護フィルムを貼り合わせることができる。また、熱可塑性樹脂基材を偏光子から剥離した後に、当該偏光子の両側に透明保護フィルムを貼り合わせることができる。
透明保護フィルムを構成する材料としては、例えば、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れる熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロール等のセルロール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、及びこれらの混合物を挙げることができる。
<架橋剤を含有する染色液>
ところで、本発明を適用した偏光子の製造方法において、上記染色工程で用いられる染色液は、架橋剤を含有する。架橋剤としては、例えば、ホウ酸、ホウ砂等のホウ素化合物や、グリオキザール、グルタルアルデヒド等の中から、少なくとも1種を用いる又は2種類以上を併用して用いることができる。その中でも、ホウ素化合物を用いることが好ましく、ホウ酸を用いることがさらに好ましい。
ところで、本発明を適用した偏光子の製造方法において、上記染色工程で用いられる染色液は、架橋剤を含有する。架橋剤としては、例えば、ホウ酸、ホウ砂等のホウ素化合物や、グリオキザール、グルタルアルデヒド等の中から、少なくとも1種を用いる又は2種類以上を併用して用いることができる。その中でも、ホウ素化合物を用いることが好ましく、ホウ酸を用いることがさらに好ましい。
上記染色工程では、染色液が微量のホウ酸(架橋剤)を含有することによって、このホウ酸がPVA系樹脂層から染色液中に溶解したPVAを架橋(錯体化)する。これにより、染色液中に溶解したPVAと染色液中のヨウ素及びホウ酸とが結合したゲル状のヨウ素/PVA/ホウ酸錯体(以下、錯体化合物という。)が生成される。
染色液中に溶解したPVAを架橋(錯体化)するため、染色液中におけるホウ酸(架橋剤)の濃度は、溶媒100重量部に対して0.01〜0.1重量部とすることが好ましく、より好ましくは0.02 〜 0.1重量部である。ホウ酸の濃度が0.01重量部以上であれば、染色液中に溶解したPVAを架橋(錯体化)することができる。一方、ホウ酸の濃度が0.2重量部を超えると、積層体(原反フィルム)の表面や、積層体(原反フィルム)を搬送するロールの表面等にホウ酸が析出し、偏光子の欠陥等の原因となることがある。
染色液中のホウ酸の濃度を調整する方法としては、染色液中に所定量のホウ酸を加える方法であってもよい。また、染色処理の直前にホウ酸を含有する処理浴が存在する場合は、その処理浴から積層体と共に持ち込まれるホウ酸を用いることができる。
本発明を適用した偏光子の製造方法では、上述した染色液が微量のホウ酸(架橋剤)を含有し、このホウ酸が染色液中に溶解したPVAを架橋(錯体化)することで、従来のようなPVAの付着や染色速度の低下などの問題を回避することができる。すなわち、染色液中に溶解したPVAは、架橋(錯体化)されることによって、PVA系樹脂層(原反フィルム)に付着し難くなる。また、染色浴内から原反フィルムを取り出す際の染色液の液切れ(水切り)性が向上する。これにより、染色ムラのない偏光子を得ることが可能である。
以上のように、本発明を適用した偏光子の製造方法では、染色液中に溶解したPVAによる影響を回避しつつ、染色液の更新(交換)時期も延ばすことができるため、偏光子の生産性を更に向上させることが可能である。
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
(実施例1)
実施例1では、本発明を適用した偏光子の製造方法を用いて、熱可塑性樹脂基材上に偏光子が形成された偏光性積層フィルムを作製した。
実施例1では、本発明を適用した偏光子の製造方法を用いて、熱可塑性樹脂基材上に偏光子が形成された偏光性積層フィルムを作製した。
具体的には、先ず、熱可塑性樹脂基材として、非晶質ポリエチレンテレフタレート(A−PET)フィルム(三菱化学株式会社製、商品名「ノバクリアー(登録商標)」、厚み:200μm)を用意した。
次に、この熱可塑性樹脂基材の片面に、コロナ処理(処理条件:90W・min/m2)を施し、このコロナ処理が施された面に、重合度4000、ケン化度99.0モル%以上のPVAの水溶液を65℃で塗布した後、乾燥させた。これにより、原反フィルムとして、熱可塑性樹脂基材の片面に、厚み8.3μmのPVA系樹脂層が形成された積層体を得た。
次に、得られた原反フィルムを、90℃のオーブン内で1.8倍に一軸延伸した(延伸処理)。
次に、延伸後の原反フィルムを、液温30℃の不溶化浴(水100重量部に対して、ホウ酸3重量部を溶解させたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬した(不溶化処理)。
次に、偏光子の透過率が約42.0%となるように、ヨウ素濃度、浸漬時間を調整しながら、染色浴に原反フィルムを浸漬した(染色処理)。
実施例1では、水100重量部に対して、ヨウ素0.18重量部、ヨウ化カリウム1.26重量部、ホウ酸0.02重量部を溶解させた染色液を調製した。そして、この染色液の液温を30℃とし、原反フィルムを13秒間浸漬した。
次に、液温40℃の架橋浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウム3重量部、ホウ酸3重量部を溶解させたホウ酸水溶液)に、原反フィルムを30秒間浸漬した(架橋処理)。
次に、原反フィルムを、液温70℃のホウ酸水溶液(水100重量部に対して、ホウ酸4重量部、ヨウ化カリウム5重量部を溶解させた水溶液)に浸漬しながら、縦方向(長手方向)に一軸延伸を行った(液中縦延伸)。このとき、積層体の最大延伸倍率は、5.94倍であった。
次に、原反フィルムを液温30℃の洗浄浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウム4重量部を溶解させた水溶液)に5秒間浸漬した後、60℃の温風で乾燥した(洗浄処理及び乾燥処理)。
以上の工程を経ることによって、熱可塑性樹脂基材上に、厚み4.5μmの偏光子が形成された偏光性積層フィルムを作製した。
(実施例2)
実施例2では、ホウ酸を0.05重量部とした以外は、実施例1と同様の染色液を調製した。そして、この染色液を用いて、実施例1と同様の方法により偏光子を作製した。
実施例2では、ホウ酸を0.05重量部とした以外は、実施例1と同様の染色液を調製した。そして、この染色液を用いて、実施例1と同様の方法により偏光子を作製した。
(実施例3)
実施例3では、ホウ酸を0.1重量部とした以外は、実施例1と同様の染色液を調製した。そして、この染色液を用いて、実施例1と同様の方法により偏光子を作製した。
実施例3では、ホウ酸を0.1重量部とした以外は、実施例1と同様の染色液を調製した。そして、この染色液を用いて、実施例1と同様の方法により偏光子を作製した。
(実施例4)
実施例4では、ホウ酸を0.2重量部とした以外は、実施例1と同様の染色液を調製した。そして、この染色液を用いて、実施例1と同様の方法により偏光子を作製した。
実施例4では、ホウ酸を0.2重量部とした以外は、実施例1と同様の染色液を調製した。そして、この染色液を用いて、実施例1と同様の方法により偏光子を作製した。
(実施例5)
実施例5では、ホウ酸を0.01重量部とした以外は、実施例1と同様の染色液を調製した。そして、この染色液を用いて、実施例1と同様の方法により染色処理までを行った。
実施例5では、ホウ酸を0.01重量部とした以外は、実施例1と同様の染色液を調製した。そして、この染色液を用いて、実施例1と同様の方法により染色処理までを行った。
(比較例1)
比較例1では、ホウ酸を含有しなかった以外は、実施例1と同様の染色液を調製した。そして、この染色液を用いて、実施例1と同様の方法により偏光子を作製した。
比較例1では、ホウ酸を含有しなかった以外は、実施例1と同様の染色液を調製した。そして、この染色液を用いて、実施例1と同様の方法により偏光子を作製した。
そして、これら実施例1〜5及び比較例1により作製された各偏光子について、「染色ムラ」の発生の有無を目視により観察した。また、染色浴内から原反フィルムを取り出す際の染色液の「液切れ性」を評価した。このうち、非常に良好を「◎」とし、良好を「○」とし、悪いを「×」とした。さらに、染色処理の際に装置等に付着した「ホウ酸による汚れ」の有無を目視により観察した。それらをまとめたものを下記表1に示す。
表1に示すように、染色液にホウ酸を含有しなかった比較例1では、染色液にホウ酸を含有した実施例1〜5に比べて、液切れ性が悪く、染色ムラが発生していることがわかる。
一方、実施例4では、実施例1〜3,5に比べて、染色液に含有されたホウ酸の量が過剰であり、ホウ酸の析出による汚れが観察された。
これに対して、実施例1〜3,5では、液切れ性が良好であり、染色ムラが無く、ホウ酸による汚れも観察されなかった。
Claims (7)
- 二色性色素を含む染色液に、未染色のポリビニルアルコール(PVA)系樹脂フィルムを浸漬することによって、前記PVA系樹脂フィルムを染色する染色工程を含み、
前記染色液は、架橋剤を含有し、
前記架橋剤の濃度は、前記染色液に含まれる溶媒100重量部に対して0.01〜0.1重量部である偏光子の製造方法。 - 前記架橋剤は、ホウ素化合物である請求項1に記載の偏光子の製造方法。
- 前記ホウ素化合物は、ホウ酸である請求項2に記載の偏光子の製造方法。
- 前記PVA系樹脂フィルムは、その厚みが10μm以下であり、熱可塑性樹脂基材の上に形成されている請求項1〜3の何れか一項に記載の偏光子の製造方法。
- 前記二色性色素は、ヨウ素である請求項1〜4の何れか一項に記載の偏光子の製造方法。
- 前記二色性色素の濃度は、前記溶媒100重量部に対して0.01〜10重量部である請求項1〜5の何れか一項に記載の偏光子の製造方法。
- 前記染色液は、ヨウ化カリウムを含有する請求項1〜6の何れか一項に記載の偏光子の製造方法。
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