JP5942641B2 - 樹脂シート及びその製造方法、樹脂シート硬化物、並びに放熱用部材 - Google Patents

樹脂シート及びその製造方法、樹脂シート硬化物、並びに放熱用部材 Download PDF

Info

Publication number
JP5942641B2
JP5942641B2 JP2012148948A JP2012148948A JP5942641B2 JP 5942641 B2 JP5942641 B2 JP 5942641B2 JP 2012148948 A JP2012148948 A JP 2012148948A JP 2012148948 A JP2012148948 A JP 2012148948A JP 5942641 B2 JP5942641 B2 JP 5942641B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
filler
resin sheet
sheet
resin
composite
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2012148948A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014009343A (ja
Inventor
士輝 宋
士輝 宋
竹澤 由高
由高 竹澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Showa Denko Materials Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Chemical Co Ltd
Showa Denko Materials Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Chemical Co Ltd, Showa Denko Materials Co Ltd filed Critical Hitachi Chemical Co Ltd
Priority to JP2012148948A priority Critical patent/JP5942641B2/ja
Publication of JP2014009343A publication Critical patent/JP2014009343A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5942641B2 publication Critical patent/JP5942641B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

本発明は、樹脂シート及びその製造方法、樹脂シート硬化物、並びに放熱用部材に関する。
パワートランジスタ、サーミスタ、プリント配線板及びICチップなどの半導体の分野、並びにその他の電気及び電子部品の分野では、放熱用部材を構成する熱伝導性絶縁材料として、エポキシ樹脂と無機フィラとを含有する熱伝導性樹脂組成物が広く採用されている。
前記熱伝導性樹脂シートには、優れた熱伝導性が求められている。そのため、多くの場合、熱伝導性樹脂シートに高熱伝導率を有する無機フィラを高充填率で加える手法が用いられている。
例えば、特許文献1には、エポキシ樹脂中に窒化ホウ素フィラが55体積%〜60体積%もの高充填率で充填された熱伝導樹脂組成物が開示されており、4.4W/mK〜6.9W/mKの熱伝導率を有する成形物が得られるとされている。
特開2008−179720号公報
これまでの無機フィラの充填方法としては、樹脂成分とフィラとを単に混合する手法が一般的である。例えば特許文献1では、エポキシ樹脂と窒化ホウ素フィラとを含むスラリーをミキサーで混練したとされている。このような手法には、2つの課題があると考えられる。1つ目の課題は、より高いフィラの充填率を実現するのが非常に困難であることである。例えば、アルミナや窒化ホウ素を用いて前記手法を採った場合、70体積%程度に充填するのが限界となってしまう。これ以上にフィラ充填率を向上させると塗工が困難になり、樹脂シートとしての成形性が低下する傾向にある。
2つ目の課題は、樹脂成分とフィラとを混練していると、フィラの表面が徐々に樹脂で被覆されるため、充分な熱伝導性を得ることが難しくなる場合があることである。これは、フィラの表面が樹脂で被覆されるとフィラとフィラ同士が接近しにくく、すなわち、フィラ間の距離が遠くなってしまい、熱伝導性が充分に得られないためと考えられる。例えば特許文献1では、無機フィラが55体積%〜60体積%という高充填率で充填されているものの、4.4W/mK〜6.9W/mKの熱伝導率を有する成形物しか得られていない。
上述のように、樹脂とフィラを混練するという手法では前記2つの課題を解決することが困難であり、熱伝導率を大幅に向上させることに限界があった。このように、より高い熱伝導率が求められる放熱材料の分野では、その要望に充分に対応できるには至っていないのが現状であった。
従って本発明の課題は、前記課題を解決し、優れた熱伝導性を発現する樹脂シート、その製造方法及びそれを用いた放熱部材を提供することにある。
前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、製造工程を工夫することで、フィラとフィラとを密接に接近させ、そして接近したフィラ同士の隙間に溶融状態になった樹脂を浸透させることが可能になることを見出した。これによって、より高い熱伝導性を発現する樹脂シート、その製造方法及びそれを用いた放熱部材を実現するに至った。すなわち前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 硬化性成分及びフィラを含む第一のコンポジットシートの少なくとも一方の面上に、フィラを付与してフィラ層を形成する工程と、前記フィラ層上に、硬化性成分及びフィラを含む第二のコンポジットシートを積層して積層体を得る工程と、前記第一のコンポジットシートと前記第二のコンポジットシートとを接触させ、前記フィラ層を前記第一のコンポジットシート及び前記第二のコンポジットシートから選ばれる少なくとも一方に埋入させて、フィラの含有率が全固形分体積中に75体積%以上である樹脂シートを得る工程と、を有する樹脂シートの製造方法である。
<2> 前記樹脂シートを得る工程は、プレス処理を含む前記<1>に記載の樹脂シートの製造方法である。
<3> 前記第一のコンポジットシート及び第二のコンポジットシートの硬化成分はそれぞれ独立に、エポキシ樹脂及び硬化剤を含む前記<1>又は<2>に記載の樹脂シートの製造方法である。
> 硬化性成分とフィラとを含む第一のコンポジット層と、硬化性成分とフィラとを含む第二のコンポジット層と、前記第一のコンポジット層及び前記第二のコンポジット層の間に存在し、前記第一のコンポジット層及び前記第二のコンポジット層よりもフィラの充填率が高いフィラ高充填層とが積層されてなり、前記フィラの含有率が全固形分体積中に75体積%以上である樹脂シートである。
> 前記樹脂シートの表面が、接着性を有する前記<>に記載の樹脂シートである。
> 前記硬化性成分は、エポキシ樹脂及び硬化剤を含む前記<>又は<>に記載の樹脂シートである。
> 前記<>〜<>のいずれか1つに記載の樹脂シートの硬化物である樹脂シート硬化物である。
<8> 前記<4>〜<6>のいずれか1つに記載の樹脂シートの硬化物の少なくとも一方の面から前記硬化物の一部を除去する工程を有する樹脂シート硬化物の製造方法である。
> 金属ワークと、前記<>〜<>のいずれか1つに記載の樹脂シートとを備える放熱用部材である。
10> 金属ワークと、前記<>に記載の樹脂シート硬化物とを備える放熱用部材である。
本発明によれば、優れた熱伝導性を発現する樹脂シート、その製造方法及びそれを用いた放熱部材を提供することができる。
本実施形態にかかる放熱部材の一例を示す模式的断面図である。 本実施形態にかかる樹脂シート硬化物の製造方法の一例を示す工程図である。
<樹脂シートの製造方法>
本発明の樹脂シートの製造方法は、硬化性成分及びフィラを含む第一のコンポジットシートの少なくとも一方の面上に、フィラを付与してフィラ層を形成する工程と、前記フィラ層上に、硬化性成分及びフィラを含む第二のコンポジットシートを積層して積層体を得る工程と、前記第一のコンポジットシートと前記第二のコンポジットシートとを接触させ、前記フィラ層を前記第一のコンポジットシート及び前記第二のコンポジットシートから選ばれる少なくとも一方に埋入させて樹脂シートを得る工程と、を有する。前記樹脂シートの製造方法は、必要に応じてその他の工程を更に有していてもよい。
予め準備した2枚のコンポジットシートの間にフィラを挟んだ状態で前記2枚のコンポジットシートを一体化して樹脂シートを製造することで、得られる樹脂シートにおけるフィラの充填率を飛躍的に向上させることができ、優れた熱伝導性を発現させることができる。またコンポジットシートが予め準備されたものであることで、製造される樹脂シートの成形性に優れ、更に樹脂シートの生産性に優れる。以下、本発明の樹脂シートの製造方法について詳細に説明する。なお、本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。また「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。さらに組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
[コンポジットシート準備工程]
本発明の樹脂シートの製造方法は、硬化性成分及びフィラを含む第一のコンポジットシートと、硬化性成分及びフィラを含む第二のコンポジットシートとを準備するコンポジットシート準備工程を更に有することが好ましい。コンポジットシートの準備工程は、前記第一のコンポジットシート及び第二のコンポジットシートをそれぞれ市販品から適宜選択する工程であってもよく、また所望の構成を有する前記第一のコンポジットシート及び第二のコンポジットシートをそれぞれ製造する工程であってもよい。また前記第一のコンポジットシート及び第二のコンポジットシートは同一のものであってもよく、互いに異なるものであってもよい。第一のコンポジットシートと第二のコンポジットシートが異なるものである場合、例えば平均厚み、フィラの種類、フィラの含有率、硬化性成分の種類、硬化性成分の含有率からなる群より選ばれる少なくとも1つの要素が互いに異なるものであればよい。前記第一のコンポジットシート及び第二のコンポジットシートは、互いに同様の構成を有するものであることが好ましい。
(硬化性成分)
前記第一のコンポジットシート及び第二のコンポジットシート(以下、併せて単に「コンポジットシート」ともいう)は、少なくとも1種の硬化性成分を含む。コンポジットシートを構成する硬化性成分は、熱又は光によって硬化可能であることが好ましい。硬化性成分としては例えば、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂などが挙げられる。より具体的には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂などの硬化性樹脂が挙げられる。接着性に優れる観点から、エポキシ樹脂及びポリウレタン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の硬化性樹脂が好ましく、接着性及び電気絶縁性の観点から、エポキシ樹脂の少なくとも1種であることがより好ましい。前記第一のコンポジットシート及び第二のコンポジットシートが含む硬化性成分は、互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。
前記エポキシ樹脂としては例えば、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、環式脂肪族エポキシ樹脂などが挙げられる。中でも、高熱伝導率化の観点からは、ビフェニル基のような自己配列しやすい構造であるメソゲン基を分子内に有するエポキシ樹脂を使用することが好ましい。そのようなメソゲン基を分子内に有するエポキシ樹脂は、例えば特開2005−206814号公報で開示されている。前記エポキシ樹脂の一例として、1−[(3−メチル−4−オキシラニルメトキシ)フェニル]−4−(4−オキシラニルメトキシフェニル)−1−シクロヘキセン、1−[(3−メチル−4−オキシラニルメトキシ)フェニル]−4−(4−オキシラニルメトキシフェニル)ベンゼン、1,4−ビス[4−(オキシラニルメトキシ)フェニル]シクロヘキサンが挙げられる。中でも、溶融温度が低い観点から、1−[(3−メチル−4−オキシラニルメトキシ)フェニル]−4−(4−オキシラニルメトキシフェニル)−1−シクロヘキセンが好ましい。
コンポジットシートがエポキシ樹脂を含む場合、エポキシ樹脂の含有率はコンポジットシートの非揮発性成分の総量中に、5質量%〜25質量%であることが好ましく、10質量%〜20質量%であることがより好ましい。
(硬化剤)
前記コンポジットシートは、硬化性成分として硬化性樹脂に加えて少なくとも1種の硬化剤を更に含むことが好ましい。前記硬化剤としては特に制限はなく、硬化性樹脂に応じて適宜選択できる。特に前記硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合、硬化剤としてはエポキシ樹脂用硬化剤として通常用いられる硬化剤から適宜選択して用いることができる。具体的には、ジシアンジアミド、芳香族ジアミン等のアミン系硬化剤;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、カテコールレゾルシノールノボラック樹脂等のフェノール系硬化剤を挙げることができる。中でも熱伝導率向上の観点から、フェノール系硬化剤であることが好ましく、カテコール、レゾルシノール、p−ハイドロキノン等の2官能フェノール化合物に由来する構造を含むフェノール系硬化剤であることが好ましい。
前記コンポジットシートにおける硬化剤の含有率は特に制限されない。例えば硬化剤の含有率は硬化性樹脂に対して、当量基準で0.1〜2とすることができ、0.5〜1.5であることが好ましい。硬化剤の含有率が前記範囲であることで、接着性及び熱伝導率をより向上することができる。
(フィラ)
前記コンポジットシートは、少なくとも1種のフィラを含有する。前記フィラとしては特に限定されず、当技術分野において周知のフィラから適宜選択することができる。フィラは導電性であっても、非導電性であってもよい。またフィラは有機フィラであっても、無機フィラであってもよい。中でも熱伝導性の観点から、無機フィラであることが好ましい。例えば導電性の無機フィラとして、金、銀、ニッケル、銅等が挙げられる。導電性の無機フィラを使用した場合、熱伝導性を向上することができる一方で、絶縁性が低下しやすい傾向がある。非導電性の無機フィラとして、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、酸化ケイ素等が挙げられる。前記無機フィラは、1種類を使用しても、又は2種類以上の混合フィラを使用してもよい。また異なる粒径を有するフィラを組み合わせて使用してもよい。高熱伝導性の観点からアルミナ及び窒化ホウ素からなる群より選ばれることが好ましく、柔らかくてプレスしやすい観点から窒化ホウ素がより好ましい。本発明の一実施形態では、フィラとして柔らかくて且つ熱伝導性の高い窒化ホウ素を使用することが好ましい。
前記窒化ホウ素は、例えば鱗片状に形成されている窒化ホウ素の一次粒子であっても、このような一次粒子が凝集されて形成された二次粒子であってもよい。前記窒化ホウ素としては、六方晶窒化ホウ素(h−BN)、立方晶窒化ホウ素(c−BN)、ウルツ鉱型窒化ホウ素が挙げられる。中でも高熱伝導性で低熱膨張性の観点から、六方晶窒化ホウ素(h−BN)及び立方晶窒化ホウ素(c−BN)から選ばれる少なくとも一方であることが好ましく、成形加工性の観点から、軟質性の六方晶窒化ホウ素(h−BN)がより好ましい。
前記窒化ホウ素の体積平均粒子径には特に制限はない。中でも高熱伝導性の観点から、平均粒子径10μm〜200μmのものが好ましく、50μm〜150μmのものがより好ましい。10μm以上であると熱伝導率がより向上する傾向がある。200μm以下であると、粒子形状の異方性が大きくなりすぎることが抑制できる。窒化ホウ素の体積平均粒子径は、レーザー散乱回折法粒度分布測定装置等により測定することができる。
前記コンポジットシートに含まれるフィラの含有量は特に制限されない。中でもフィラの含有量は熱伝導性と樹脂シートとしての成形性の観点から、コンポジットシートの全固形分体積中に、50体積%以上であることが好ましく、50体積%〜70体積%であることがより好ましく、60体積%〜70体積%であることが更に好ましい。なお、全固形分体積は、非揮発性成分の総体積を意味する。
前記第一のコンポジットシート及び第二のコンポジットシートが含むフィラの種類はそれぞれ、互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また前記第一のコンポジットシート及び第二のコンポジットシートにおけるフィラの含有率はそれぞれ、互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。
(硬化触媒)
前記コンポジットシートは、少なくとも1種の硬化触媒を更に含有することが好ましい。硬化触媒としては特に制限はなく、硬化性樹脂の種類に応じて、通常用いられる硬化触媒から適宜選択して用いることができる。前記硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合、硬化触媒として具体的には、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン誘導体、2−エチル−4−メチルイミダゾール、三フッ化ホウ素アミン錯体、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール等を挙げることができる。中でも高熱伝導化の観点から、トリフェニルホスフィンを使用することが好ましい。
前記コンポジットシートが硬化触媒を更に含有する場合、硬化触媒の含有率は特に制限されない。例えば、硬化触媒の含有率は硬化性樹脂に対して、0.1質量%〜2.0質量%とすることができ、0.5質量%〜1.5質量%であることが好ましい。硬化触媒の含有率が前記範囲であることで、接着性及び熱伝導率をより向上することができる。
(溶剤)
前記コンポジットシートは、溶剤の少なくとも1種を更に含んでいてもよい。溶剤としては硬化性成分の硬化反応を阻害しないものであれば特に制限はなく、通常用いられる有機溶剤から適宜選択して用いることができる。具体的には、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤を挙げることができる。前記コンポジットシートにおける溶剤の含有量は特に制限されず、硬化性成分とフィラを含む組成物の塗布性等に応じて適宜選択することができる。
(添加剤)
前記コンポジットシートは、硬化性成分及びフィラに加えて、前記に示したような硬化触媒及び溶剤以外のその他の添加剤を必要に応じて更に含むことができる。その他の添加剤としては、カップリング剤、エラストマ、酸化防止剤、老化防止剤、安定剤、難燃剤、増粘剤等の樹脂組成物に一般に用いられる各種添加剤を挙げることができる。前記コンポジットシートが添加剤を更に含有する場合、これらの添加剤の含有量は本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限されない。
前記コンポジットシートの平均厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えばコンポジットシートの平均厚みは、100μm〜200μmであることが好ましく、150μm〜200μmであることがより好ましい。なお、コンポジットシートの平均厚みは、マイクロメーターを用いて5点の厚みを測定し、その算術平均値として求められる。
前記コンポジットシートは、半硬化状態(Bステージ状態)より、Aステージ状態のほうが好ましい。Aステージ状態のコンポジットシートを用いると、樹脂の溶融性、流動性がより良好なため、プレス処理の時、前記コンポジットシートの間に挟むフィラ同士の隙間に浸入しやすくなり、短時間で均一且つ充分に隙間を埋め込むことができる。なお、Aステージ状態とは、硬化性成分が未硬化の状態であることを意味する。具体的にはコンポジットシートを後述するように樹脂ワニスの塗布によって製造する場合、溶剤を除去するために所定温度で所定時間、乾燥した後の状態を意味する。
(コンポジットシートの製造方法)
前記コンポジットシートは、硬化性成分及びフィラを含む組成物をシート状に成形可能な方法であれば、一般的に用いられる方法によって製造することができる。例えば、硬化性樹脂、硬化剤、硬化触媒、溶剤、フィラ、添加剤等を含む樹脂ワニスを常法により調製し、これをPETフィルム等の離型フィルム上に塗布し、乾燥することで離型フィルム上にコンポジットシートを形成することができる。
前記樹脂ワニスを離型フィルム上に塗布する方法は特に制限されず、公知の方法により実施することができる。塗布方法として具体的には、コンマコート、ダイコート、リップコート、グラビアコート等の方法が挙げられる。所定の厚みに組成物層を形成するための塗布方法としては、ギャップ間に被塗工物を通過させるコンマコート法、ノズルから流量を調整した樹脂ワニスを塗布するダイコート法等を適用することができる。例えば、乾燥前の組成物層の厚みが50μm〜500μmである場合、コンマコート法を用いることが好ましい。樹脂ワニスの塗布によって形成された組成物層を乾燥する方法は、組成物層に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去できれば、特に制限されない。例えば、組成物層を乾燥する方法は100℃〜150℃で、10分〜30分間の加熱処理とすることができる。
[フィラ層形成工程]
本発明の樹脂シートの製造方法は、硬化性成分及びフィラを含む第一のコンポジットシートの少なくとも一方の面上に、フィラを付与してフィラ層を形成するフィラ層形成工程を有する。前記第一のコンポジットシートが離型フィルム上に形成されている場合には、コンポジットシートの離型フィルムに対向する面とは反対側の面上にフィラを付与してフィラ層を形成する。
第一のコンポジットシートの面上に付与するフィラとしては特に限定されず、当技術分野において周知のフィラから適宜選択することができる。フィラは導電性であっても、非導電性であってもよい。またフィラは有機フィラであっても、無機フィラであってもよい。中でも熱伝導性の観点から、無機フィラであることが好ましい。例えば導電性の無機フィラとして、金、銀、ニッケル、銅等が挙げられる。導電性の無機フィラを使用した場合、熱伝導性を向上することができる一方で、絶縁性が低下しやすい傾向がある。非導電性の無機フィラとして、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、酸化ケイ素等が挙げられる。前記無機フィラは、1種類を使用しても、又は2種類以上の混合フィラを使用してもよい。また異なる粒径を有するフィラを組み合わせて使用してもよい。高熱伝導性の観点からアルミナ及び窒化ホウ素からなる群より選ばれることが好ましく、柔らかくてプレスしやすい観点から窒化ホウ素がより好ましい。本発明の一実施形態では、フィラとして柔らかくて且つ熱伝導性の高い窒化ホウ素を使用することが好ましい。窒化ホウ素の詳細及び好ましい態様は、前記コンポジットシートにおける窒化ホウ素と同様である。
前記第一のコンポジットシート上に付与するフィラの種類は、前記第一又は第二のコンポジットシートを構成するフィラと異なってもよく、同種であってもよい。同種のフィラを使用することが好ましい。
前記第一のコンポジットシート上に付与するフィラの量は特に制限されない。前記第一のコンポジットシート及び第二のコンポジットシートのそれぞれに含まれるフィラと、第一のコンポジットシート上に付与するフィラとの総量が、樹脂シートの全固形分体積中に、75体積%以上であることが好ましく、75体積%〜95体積%であることがより好ましく、75体積%〜90体積%であることがさらに好ましい。樹脂シートに含まれるフィラの総量が75体積%以上となるように、第一のコンポジットシート上に付与するフィラの量を調整することで、フィラがより高充填になり、より優れた熱伝導性が発現する傾向がある。一方、樹脂シートに含まれるフィラの総量が95体積%以下となるように、第一のコンポジットシート上に付与するフィラの量を調整することで、付与したフィラが、コンポジットシートに充分に埋め込まれて、樹脂シートの成形性がより向上する傾向がある。なお、全固形分体積とは、前記2枚のコンポジットシートを構成する成分及び前記コンポジットシートの間に挟むフィラに含まれる非揮発性成分の総体積を意味する。
前記第一のコンポジットシート上にフィラを付与する方法は特に制限されない。中でもフィラを付与する方法は、フィラ分布の均一性が高くなる方法であることが好ましい。また付与されるフィラの状態は、粉体状態であっても、媒体に分散された状態であってもよい。フィラの付与方法として具体的には、粉体状態のフィラを、篩いを通して分布が均等になるように付与する方法を挙げることができる。フィラを付与する際に用いる篩いは特に制限されず、付与するフィラの平均粒子径等に応じて適宜選択することができる。
[積層体を得る工程]
前記第一のコンポジットシート上に形成されたフィラ層には、第二のコンポジットシートが積層されて、第一のコンポジットシート、フィラ層及び第二のコンポジットシートがこの順に積層された積層体が得られる。第二のコンポジットシートが離型フィルム上に形成されている場合には、第二のコンポジットシートの離型フィルムに対向する面とは反対側の面がフィラ層に対向するように第二のコンポジットシートを積層する。積層される第二のコンポジットシートの面方向の大きさは、第一のコンポジットシートの面方向の大きさと同一であることが好ましく、第一のコンポジットシートと第二のコンポジットシートとがフィラ層を介して非重なり部分が発生しない状態で積層されることがより好ましい。
[樹脂シートを得る工程]
次いで、前記第一のコンポジットシートと前記第二のコンポジットシートとを接触させて、前記で得られた積層体のフィラ層を前記第一のコンポジットシート及び第二のコンポジットシートの少なくとも一方に埋入させることで樹脂シートが得られる。得られた樹脂シートは、第一のコンポジットシートに由来し、第一のコンポジット層の同じフィラ充填率を有する第一のコンポジット層と、第一のコンポジットシート及び第二のコンポジットシートの少なくとも一方にフィラ層が埋入されて形成されるフィラ高充填層と、第二のコンポジットシートに由来し、第二のコンポジット層の同じフィラ充填率を有する第二のコンポジット層とがこの順に積層されてなる。得られた樹脂シートは、シート表面には硬化性成分が存在するため、接着性が良好な樹脂シートとすることができる。すなわち、樹脂シートの表面に存在する硬化性成分によりフィラ高充填層と被着体とを優れた接着性で貼り付けることができる。
前記第一のコンポジットシートと前記第二のコンポジットシートとを接触させる方法は、前記積層体をプレス処理する方法であることが好ましい。
前記プレス処理の温度は特に制限されない。中でもプレス処理の温度は、前記コンポジットシートに含まれる硬化性成分を溶融状態にできる温度が好ましい。すなわちプレス処理の温度はコンポジットシートに含まれる硬化性成分に応じて選択されることが好ましい。これによって硬化性成分が前記コンポジットシートの間に挟まれるフィラ層中に充分に充填される。
前記プレス処理の時間は特に制限されない。プレス処理の時間は1分〜10分間が好ましく、5分〜10分間がより好ましい。プレス処理の時間が1分以上であると、前記コンポジットシートに含まれる硬化性成分が前記コンポジットシートの間に挟まれるフィラ層中に充分に充填される。
前記プレス処理の圧力は特に制限されない。プレス処理の圧力は30MPa〜60MPaであることが好ましい。この範囲の圧力でプレスすることによって、前記コンポジットシートの間に挟まれるフィラ同士が密接に接触することができ、熱伝導率が高くなる。
前記プレス処理は、減圧下で行われることが好ましい。減圧条件は特に制限されない。例えば、減圧条件は1kPa以下であることが好ましい。
<樹脂シート>
本発明の樹脂シートは、前記樹脂シートの製造方法によって得られる。前記樹脂シートは、前記第一のコンポジット層と、前記フィラ高充填層と、前記第二のコンポジット層がこの順に積層されてなる。前記樹脂シートは、シート表面に硬化性成分が存在するため、接着性が良好な樹脂シートとすることができる。すなわち、樹脂シートの表面に存在する硬化性成分によりフィラ高充填層と被着体とを優れた接着性で貼り付けることができる。また前記樹脂シートはCステージ状態にまで硬化させることで、熱伝導性に優れた樹脂シート硬化物を形成できる。更に得られた樹脂シート硬化物の少なくとも一方の表面を削ることにより、熱伝導性をより高めた樹脂シート硬化物を得ることができる。この場合、フィラ高充填層に由来する硬化層が残るように樹脂シート硬化物の表面を削ることで、得られる樹脂シート硬化物は、より優れた熱伝導性を有することができる。
前記樹脂シートの平均厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば樹脂シートの平均厚みは、100μm〜500μmであることが好ましく、100μm〜300μmであることがより好ましい。なお、樹脂シートの平均厚みは、マイクロメーターを用いて5点の厚みを測定し、その算術平均値として求められる。
<樹脂シート硬化物>
本発明の樹脂シート硬化物は、前記樹脂シートの硬化物であり、前記樹脂シートをCステージ状態にまで硬化させて得られる。硬化温度と硬化時間は、樹脂シートを構成するコンポジットシートの構成等に応じて適宜選択することができる。例えば、160℃〜190℃で2〜4時間とすることができる。さらに複数の加熱温度条件で、硬化処理を行ってもよい。
また硬化過程における硬化性成分の酸化を防止するために、硬化を行う前のプレス段階で両面に金属板又は金属箔を貼付することが好ましい。硬化後、金属板又は金属箔はエッチング処理等で除去できる。尚、前記金属板及び金属箔としては特に制限されない。例えば、銅板、銅箔等が挙げられる。
得られる樹脂シート硬化物はサンドイッチ構造になっている。すなわち、樹脂シート硬化物の両面は、それぞれ前記第一のコンポジット層に由来する硬化層及び第二のコンポジット層に由来する硬化層であり、前記第一及び第二のコンポジット層に由来する硬化層の間の部分はフィラ高充填層に由来する硬化層となる。前記樹脂シート硬化物は、フィラがより高充填された状態となるように、樹脂シート硬化物の両面のコンポジット層に由来する硬化層の少なくとも一部を除去した高熱伝導性の樹脂シート硬化物であってもよい。コンポジット層に由来する硬化層を除去する方法としては特に制限されない。例えば、ダイヤモンド研磨装置を使用することができる。また所定の粗さを有する研磨紙を使用することもできる。
前記樹脂シート硬化物及び高熱伝導性の樹脂シート硬化物は、表面に残ったコンポジット層に由来する硬化層を介して被着体に貼り合わせて用いてもよく、またグリース等を介して被着体を貼り合わせて用いてもよい。
前記樹脂シート硬化物の製造方法の一例について図面を参照しながら説明する。図2では、硬化性成分である樹脂と溶剤とフィラとを混合して樹脂ワニスを得る。得られた樹脂ワニスをバーコータ等でポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)上に塗工して樹脂組成物層を形成する。得られた樹脂組成物層を乾燥処理により溶剤を除去してAステージシートとして第一のコンポジットシートを得る。得られたAステージシートからPETフィルムを剥がし、一方の面上には銅箔を貼り付け、他方の面上にはフィラを散布してフィラ層を形成する。フィラ層上に第二のコンポジットシートであるAステージシートと銅箔とを積層し、プレス処理することで樹脂シートが得られる。得られた樹脂シートを硬化処理して、両面に銅箔を有する樹脂シート硬化物を得る。次いで両面の銅箔をエッチング処理により除去することで樹脂シート硬化物を製造することができる。
<放熱用部材>
本発明の放熱用部材の第一の態様は、金属ワークと、前記金属ワークに接触して配置された前記樹脂シートとを備える。また本発明の放熱用部材の第二の態様は、金属ワークと、前記金属ワークに接触して配置された前記樹脂シート硬化物とを備える。前記放熱用部材は必要に応じてその他の要素を更に備えていてもよい。ここで「金属ワーク」とは、金属箔、基板、フィン等を含む、放熱部材として機能することができる金属材料からなる成形品を意味する。例えば、AlとCu等の各種金属から構成される基板であることが好ましい。本発明の樹脂シートを用いた放熱用部材の一例の概略断面図を図1に示す。
図1において、樹脂シート20は、例えばCuから構成される第一の金属ワーク10と、例えばAlから構成される第二の金属ワーク30との間に配置され、その片面は金属ワーク10表面に接着し、他面は金属ワーク30表面に接着している。樹脂シート20は優れた熱伝導性を有するため、例えば、Cuから構成される第一の金属ワーク10から発生した熱を、樹脂シート20を介してAlから構成される第二の金属ワーク30側へ効率良く伝導し、外部へ放熱することが可能となる。図1には樹脂シートを備える放熱用部材を例示したが、樹脂シートに代えて樹脂シート硬化物を備えて放熱用部材を構成してもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(カテコールレゾルシノールノボラック(CRN)樹脂の調製)
撹拌機、冷却器、温度計を備えた3Lのセパラブルフラスコにレゾルシノール594g、カテコール66g、37質量%ホルマリン316.2g、シュウ酸15g、水100gを入れ、オイルバスで加温しながら100℃に昇温し、還流温度で4時間反応を続けた。
その後水を留去しながら、フラスコ内の温度を170℃に昇温した。170℃を保持しながら8時間反応を続けた。その後減圧下、20分間濃縮を行い系内の水等を除去して、カテコールレゾルシノールノボラック(CRN)樹脂を取り出した。得られたカテコールレゾルシノールノボラック(CRN)樹脂の数平均分子量は530、重量平均分子量は930であった。またフェノール樹脂のフェノール当量は65g/eq.であった。
<実施例1>
(1)コンポジットシートの作製
ポリ瓶中に、硬化剤として予め調製したカテコールレゾルシノールノボラック(CRN)樹脂のシクロヘキサノン溶解品4.119質量部(固形分50質量%)と、エポキシ樹脂として1−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセンとエピクロルヒドリンとから常法により合成された1−{(3−メチル−4−オキシラニルメトキシ)フェニル}−4−(4−オキシラニルメトキシフェニル)−1−シクロヘキセン6.6775質量部と、トリフェニルホスフィン0.0707質量部(和光純薬製)、及びシクロヘキサノン25.90質量部(和光純薬製)を加えて混合した。その後、フィラとして窒化ホウ素粒子37.38質量部(体積平均粒子径40μm、水島合金鉄株式会社製、商品名「HP−40MF100」)を加えて更に混合しコンポジットシート塗工液(樹脂ワニス)を得た。
なお、樹脂ワニスの全固形分体積中のフィラの含有率は、70体積%であった。
得られたコンポジットシート塗工液を、アプリケーターでポリエチレンテレフタレートフィルム(藤森工業株式会社製、75E−0010CTR−4、以下、単に「PETフィルム」と略称することがある)の離型面上に厚みが約200μmになるように塗布し、100℃のボックス型オーブンで10分乾燥させて、PETフィルム上に、Aステージ状態のコンポジットシートを形成した。得られたコンポジットシートの平均厚みは150μmであった。なお、コンポジットシートの平均厚みは、マイクロメーターを用いて5点の厚みを測定し、その算術平均値として求めた。
(2)樹脂シート及び樹脂シート硬化物の作製
厚さ85μmの銅箔(5cm×5cm、古河電工株式会社製、GTS箔)の粗化面に、上述の方法によって得たコンポジットシート(Aステージ、5cm×5cm)を、銅箔とコンポジットシートが丁度重なるように位置合わせをして重ねた後、PETフィルムを剥がした。前記コンポジットシート上に、フィラとして上記と同じ窒化ホウ素粒子0.5質量部を、均等に分布するようにふるいを用いて直接散布してフィラ層を形成した。次いでフィラ層上に、もう1枚の前記コンポジットシートを、銅箔上のコンポジットシートと丁度重なるように位置合わせをして重ねた後にPETフィルムを剥がし、さらに上記と同じ銅箔を重ねて積層体を得た。得られた積層体を温度180℃、真空度≦1kPa、圧力60MPa、時間10分の条件で高温真空プレスにより、プレス処理して、両面に銅箔を有する樹脂シートを得た。プレス処理後の樹脂シートをオーブンに入れて160℃で30分、次いで190℃で2時間のステップキュアにより両面に銅箔を有する樹脂シート硬化物を得た。得られた両面に銅箔を有する樹脂シート硬化物から、過硫酸ナトリウム溶液を用いて銅箔をエッチング除去し、サンドイッチ構造の樹脂シート硬化物を得た。得られた樹脂シート硬化物の平均厚みは300μmであった。なお、樹脂シート硬化物の平均厚みは、マイクロメーターを用いて5点の厚みを測定し、その算術平均値として求めた
<評価>
上記で得られた樹脂シート硬化物について、以下のような評価を行った。結果を表1に示す。表1中の「−」は未評価であることを示す。
(熱伝導率)
得られた樹脂シート硬化物について、ヤマヨ試験器有限会社製(YST−901S)熱抵抗評価装置を用いて、樹脂シート硬化物の熱抵抗値を測定した。得られた熱抵抗値を逆算することによって、熱伝導率(W/m・K)を算出した。
樹脂シート硬化物の熱伝導率は20.0W/mKであった。
(絶縁破壊電圧)
得られた樹脂シート硬化物について、絶縁破壊試験装置(SOKEN絶縁材料試験システムDAC−6032C)を用いて絶縁破壊電圧を測定した。測定は、直径10mmの円筒電極ではさみ、昇圧速度500V/s、交流50Hz、カットオフ電流10mA、室温、油中で行った。
樹脂シート硬化物の絶縁破壊電圧(BDV)は、60kV/mm以上であった。
(せん断強度)
7cm×7cmのアルミ板(厚み3mm)の上に、上述の方法によって得られたコンポジットシート(Aステージ、5cm×5cm)を重ねてPETフィルムを剥がした。更にコンポジットシートの上から、フィラとして上記と同じ窒化ホウ素粒子0.5質量部を、均等に分布するようにふるいを用いて直接散布してフィラ層を形成した。もう1枚の前記コンポジットシート(Aステージ、5cm×5cm)を、アルミ板上のコンポジットシートと丁度重なるように位置合わせをして重ねた。さらに3.4cm×3.0cmの銅板を重ねて、積層体を得た。得られた積層体を温度180℃、真空度≦1kPa、圧力60MPa、時間10分の条件で高温真空プレスにより、圧着処理した。圧着処理後のサンプルをオーブンに入れて160℃で30分、190℃で2時間のステップキュアにより後硬化処理して、樹脂シート硬化物を貼り付けた金属基板を作製した。
このようにして得た樹脂シート硬化物を貼り付けた金属基板のせん断接着強度を、株式会社オリエンテック製のテンシロン万能試験機「RTC−1350A」を使用して測定した。測定は、試験速度1mm/分、室温で、アルミ板と銅板とを剥離することで行った。
得られた樹脂シート硬化物のせん断接着強度は、1.5MPaであった。
(フィラ含有率)
上述の方法によって得たサンドイッチ構造の樹脂シート硬化物におけるフィラ含有率を、真空理工(株)製の示差熱重量分析装置(TG/DTA6300)を用いて、樹脂成分の熱分解の質量を測定することによって算出した。測定は、窒素中で、昇温速度を10℃/min一定とし、30℃から700℃まで加熱することで行った。
得られた樹脂シート硬化物のフィラ含有率は75体積%であった。
(成形性)
取り扱いが良好で成形時における支障が生じないと見なされる樹脂シートを「○」、ぼそぼそとして慎重な取り扱いを要する、又は樹脂シートに成形できないものを「×」として判定した。
<実施例2>
(1)コンポジットシートの作製
ポリ瓶中に、硬化剤として予め調製したカテコールレゾルシノールノボラック(CRN)樹脂のシクロヘキサノン溶解品2.2142質量部(固形分50質量%)と、汎用エポキシ樹脂EPPN−502Hを3.0000質量部(日本化薬製)と、トリフェニルホスフィン0.0329質量部(和光純薬製)、及びシクロヘキサノン12.03質量部(和光純薬製)を加えて混合した。その後、フィラとして窒化ホウ素粒子17.57質量部(体積平均粒子径40μm、水島合金鉄株式会社製、商品名「HP−40MF100」)を加えて更に混合してコンポジットシート塗工液(樹脂ワニス)を得た。
なお、樹脂ワニスの全固形分体積中のフィラの含有率は、70体積%であった。
得られたコンポジットシート塗工液を、アプリケーターでPETフィルムの離型面上に厚みが約200μmになるように塗布し、100℃のボックス型オーブンで10分乾燥させて、PETフィルム上に、Aステージ状態のコンポジットシートを形成した。得られたコンポジットシートの平均厚みは150μmであった。
(2)樹脂シート及び樹脂シート硬化物の作製
厚さ85μmの銅箔(5cm×5cm、古河電工株式会社製、GTS箔)の粗化面に、上述の方法によって得たコンポジットシート(Aステージ、5cm×5cm)を、銅箔とコンポジットシートが丁度重なるように位置合わせをして重ねた後、PETフィルムを剥がした。前記コンポジットシート上に、フィラとして上記と同じ窒化ホウ素粒子0.5質量部を、均等に分布するようにふるいを用いて直接散布してフィラ層を形成した。次いでフィラ層上に、もう1枚の前記コンポジットシートを、銅箔上のコンポジットシートと丁度重なるように位置合わせをして重ねた後にPETフィルムを剥がし、さらに上記と同じ銅箔を重ねて積層体を得た。得られた積層体を温度180℃、真空度≦1kPa、圧力60MPa、時間10分の条件で高温真空プレスにより、プレス処理して、両面に銅箔を有する樹脂シートを得た。プレス処理後の樹脂シートをオーブンに入れて160℃で30分、次いで190℃で2時間のステップキュアにより両面に銅箔を有する樹脂シート硬化物を得た。得られた両面に銅箔を有する樹脂シート硬化物から、過硫酸ナトリウム溶液を用いて銅箔をエッチング除去し、サンドイッチ構造の樹脂シート硬化物を得た。得られた樹脂シート硬化物の平均厚みは300μmであった。
得られた樹脂シート硬化物について、実施例1と同様にして評価した。上記で得られたサンドイッチ構造の樹脂シート硬化物の熱伝導率は、13.0W/mKであった。また絶縁破壊電圧(BDV)は、60kV/mm以上であった。
また得られた樹脂シート硬化物のせん断接着強度は、1.3MPaであった。
また得られた樹脂シート硬化物のフィラ含有率は75体積%であった。
<比較例1>
(コンポジットシートの作製)
ポリ瓶中に、硬化剤として予め調製したカテコールレゾルシノールノボラック(CRN)樹脂のシクロヘキサノン溶解品4.119質量部(固形分50質量%)と、1−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセンとエピクロルヒドリンとから常法により合成された1−{(3−メチル−4−オキシラニルメトキシ)フェニル}−4−(4−オキシラニルメトキシフェニル)−1−シクロヘキセン6.6775質量部(エポキシ樹脂)と、トリフェニルホスフィン0.0707質量部(和光純薬製)、及びシクロヘキサノン33.98質量部(和光純薬製)を加えて混合した。その後、フィラとして窒化ホウ素粒子48.05質量部(体積平均粒子径40μm、水島合金鉄株式会社製、商品名「HP−40MF100」)を加えて更に混合してコンポジットシート塗工液(樹脂ワニス)を得た。
なお、樹脂ワニスの全固形分体積中のフィラの含有率は75体積%であった。
得られたコンポジットシート塗工液を、アプリケーターでPETフィルムの離型面上に厚みが約200μmになるように塗布を試みたところ、フィラ含有率が高いため樹脂ワニスの粘度が高くなりすぎて、均一に塗布することができなかった。塗布面を観察するとフィラの凝集物が認められた。次いで、100℃のボックス型オーブンで10分乾燥させたが、シートの成形性に乏しく、脆弱なコンポジットシートが得られた。
得られたコンポジットシートは取扱性が低く、その後の工程及び評価に耐えられなかった。
<比較例2>
(コンポジットシートの作製)
ポリ瓶中に、予め調製したカテコールレゾルシノールノボラック(CRN)樹脂のシクロヘキサノン溶解品2.2142質量部(固形分50質量%)と、汎用エポキシ樹脂EPPN−502Hを3.0000質量部(日本化薬製)と、トリフェニルホスフィン0.0329質量部(和光純薬製)、及びシクロヘキサノン15.84質量部(和光純薬製)を加えて混合した。その後、フィラとして窒化ホウ素粒子22.59質量部(体積平均粒子径40μm、水島合金鉄株式会社製、商品名「HP−40MF100」)を加えて更に混合してコンポジットシート塗工液(樹脂ワニス)を得た。
なお、樹脂ワニスの全固形分体積中のフィラの含有率は75体積%であった。
得られたコンポジットシート塗工液を、アプリケーターでPETフィルムの離型面上に厚みが約200μmになるように塗布を試みたところ、フィラ含有率が高いため樹脂ワニスの粘度が高くなりすぎて、均一に塗布することができなかった。塗布面を観察するとフィラの凝集物が認められた。次いで、100℃のボックス型オーブンで10分乾燥させたが、シートの成形性に乏しく、脆弱なコンポジットシートが得られた。
得られたコンポジットシートは取扱性が低く、その後の工程及び評価に耐えられなかった。
<比較例3>
実施例1において、2枚のコンポジットシートを重ねる際に、フィラを付与しなかったこと以外は実施例1と同様にして、樹脂シート硬化物を作製して評価を行った。
樹脂シート硬化物の熱伝導率は、10.1W/mKであった。また絶縁破壊電圧(BDV)は、30kV/mm以上であった。
また得られた樹脂シート硬化物のせん断接着強度は、1.7MPaであった。
また得られた樹脂シート硬化物のフィラ含有率は70体積%であった。

以上から、本発明の製造方法を用いることで、フィラが高充填(例えば75体積%以上)された樹脂シートを成形性よく製造可能であることが分かる。また本発明の製造方法を用いて形成した樹脂シート硬化物は、フィラが高充填され、優れた熱伝導性を有することが分かる。
また、通常の方法ではフィラ含有率が75体積%以上の樹脂シートの作製は困難であることが分かる。
10 第一の金属ワーク
20 樹脂シート
30 第二の金属ワーク

Claims (10)

  1. 硬化性成分及びフィラを含む第一のコンポジットシートの少なくとも一方の面上に、フィラを付与してフィラ層を形成する工程と、
    前記フィラ層上に、硬化性成分及びフィラを含む第二のコンポジットシートを積層して積層体を得る工程と、
    前記第一のコンポジットシートと前記第二のコンポジットシートとを接触させ、前記フィラ層を前記第一のコンポジットシート及び前記第二のコンポジットシートから選ばれる少なくとも一方に埋入させて、フィラの含有率が全固形分体積中に75体積%以上である樹脂シートを得る工程と、
    を有する樹脂シートの製造方法。
  2. 前記樹脂シートを得る工程は、プレス処理を含む請求項1に記載の樹脂シートの製造方法。
  3. 前記第一のコンポジットシート及び第二のコンポジットシートの硬化性成分はそれぞれ独立に、エポキシ樹脂及び硬化剤を含む請求項1又は請求項2に記載の樹脂シートの製造方法。
  4. 硬化性成分とフィラとを含む第一のコンポジット層と、硬化性成分とフィラとを含む第二のコンポジット層と、前記第一のコンポジット層及び前記第二のコンポジット層の間に存在し、前記第一のコンポジット層及び前記第二のコンポジット層よりもフィラの充填率が高いフィラ高充填層とが積層されてなり
    前記フィラの含有率が全固形分体積中に75体積%以上である樹脂シート。
  5. 前記樹脂シートの表面が、接着性を有する請求項に記載の樹脂シート。
  6. 前記硬化性成分は、エポキシ樹脂及び硬化剤を含む請求項又は請求項に記載の樹脂シート。
  7. 請求項〜請求項のいずれか1項に記載の樹脂シートの硬化物である樹脂シート硬化物。
  8. 請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載の樹脂シートの硬化物の少なくとも一方の面から前記硬化物の一部を除去する工程を有する樹脂シート硬化物の製造方法。
  9. 金属ワークと、前記金属ワークに接触して配置された請求項〜請求項のいずれか1項に記載の樹脂シートとを備える放熱用部材。
  10. 金属ワークと、前記金属ワークに接触して配置された請求項に記載の樹脂シート硬化物とを備える放熱用部材。
JP2012148948A 2012-07-02 2012-07-02 樹脂シート及びその製造方法、樹脂シート硬化物、並びに放熱用部材 Expired - Fee Related JP5942641B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012148948A JP5942641B2 (ja) 2012-07-02 2012-07-02 樹脂シート及びその製造方法、樹脂シート硬化物、並びに放熱用部材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012148948A JP5942641B2 (ja) 2012-07-02 2012-07-02 樹脂シート及びその製造方法、樹脂シート硬化物、並びに放熱用部材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014009343A JP2014009343A (ja) 2014-01-20
JP5942641B2 true JP5942641B2 (ja) 2016-06-29

Family

ID=50106318

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012148948A Expired - Fee Related JP5942641B2 (ja) 2012-07-02 2012-07-02 樹脂シート及びその製造方法、樹脂シート硬化物、並びに放熱用部材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5942641B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015189609A (ja) * 2014-03-27 2015-11-02 三菱化学株式会社 窒化ホウ素シートの製造方法
KR101722069B1 (ko) * 2016-06-17 2017-03-31 주식회사 이노폴이 열전도성 박막 시트 및 이의 제조방법
JP6786047B2 (ja) * 2016-08-24 2020-11-18 三菱瓦斯化学株式会社 熱伝導シートの製造方法
JP6739478B2 (ja) * 2018-07-18 2020-08-12 デクセリアルズ株式会社 熱伝導性シートの製造方法
JPWO2020070863A1 (ja) * 2018-10-04 2021-09-02 昭和電工マテリアルズ株式会社 放熱材、放熱材の製造方法、組成物及び発熱体
JP7532861B2 (ja) 2020-04-08 2024-08-14 住友ベークライト株式会社 熱伝導性シート

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2728607B2 (ja) * 1992-11-17 1998-03-18 信越化学工業株式会社 熱伝導性複合シートの製造方法
JPH0873621A (ja) * 1994-09-07 1996-03-19 Toshiba Corp 樹脂シート
JP2000129215A (ja) * 1998-10-21 2000-05-09 Sekisui Chem Co Ltd 熱伝導性粘接着シート及びその製造方法
US6657297B1 (en) * 2002-08-15 2003-12-02 The Bergquist Company Flexible surface layer film for delivery of highly filled or low cross-linked thermally conductive interface pads
JP5010112B2 (ja) * 2004-07-26 2012-08-29 新神戸電機株式会社 プリプレグの製造法、積層板およびプリント配線板の製造法
JP2006036869A (ja) * 2004-07-26 2006-02-09 Shin Kobe Electric Mach Co Ltd プリプレグ、積層板およびプリント配線板
JP4922220B2 (ja) * 2007-12-14 2012-04-25 積水化学工業株式会社 絶縁シート及び積層構造体
JP5133673B2 (ja) * 2007-12-12 2013-01-30 株式会社巴川製紙所 接着フィルム及びその製造方法
JP2010103269A (ja) * 2008-10-23 2010-05-06 Kuraray Co Ltd 多層回路基板およびその製造方法
JP5703542B2 (ja) * 2009-03-26 2015-04-22 三菱樹脂株式会社 炭素繊維強化樹脂シート及びそのロール巻回体
JP5471868B2 (ja) * 2009-06-29 2014-04-16 信越化学工業株式会社 熱伝導性シリコーンゴム複合シート
JP5513840B2 (ja) * 2009-10-22 2014-06-04 電気化学工業株式会社 絶縁シート、回路基板及び絶縁シートの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014009343A (ja) 2014-01-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6402763B2 (ja) 多層樹脂シート、樹脂シート積層体、多層樹脂シート硬化物及びその製造方法、金属箔付き多層樹脂シート、並びに半導体装置
TWI577720B (zh) 樹脂組成物、以及使用該樹脂組成物而成之樹脂薄片、預浸體、積層板、金屬基板、印刷線路板及功率半導體裝置
JP5971067B2 (ja) 半導体装置
JP6005309B2 (ja) 高熱伝導性フィルム状接着剤を用いた半導体パッケージ及びその製造方法
JP6161864B2 (ja) 樹脂組成物、樹脂シート、プリプレグ、積層板、金属基板、及びプリント配線板
TWI526311B (zh) 多層樹脂薄片及其製造方法,多層樹脂薄片硬化物之製造方法及高熱傳導樹脂薄片層合體及其製造方法
JP5942641B2 (ja) 樹脂シート及びその製造方法、樹脂シート硬化物、並びに放熱用部材
TWI835762B (zh) 積層體及電子裝置
TWI455657B (zh) 多層樹脂薄片及樹脂薄片層合體
JP5424984B2 (ja) 半導体モジュールの製造方法
JPWO2012039324A1 (ja) 熱伝導性樹脂組成物、樹脂シート、樹脂付金属箔、樹脂シート硬化物及び放熱部材
JP6829998B2 (ja) 基材付接着シート及び半導体モジュール
JP5910731B2 (ja) 熱伝導シートの製造方法、熱伝導シート、金属箔付き熱伝導シート及び半導体装置
JP2013071991A (ja) 樹脂組成物、bステージシート、樹脂付金属箔、金属基板、及びled基板
JP2023048546A (ja) 熱伝導性接着シート

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150619

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160204

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160209

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160404

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160426

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160509

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5942641

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees