JP5941998B2 - 代表変位波形の補正方法及び建物の残余耐震性能を評価する方法 - Google Patents

代表変位波形の補正方法及び建物の残余耐震性能を評価する方法 Download PDF

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Description

本開示は、代表変位波形の補正方法及び建物の残余耐震性能を評価する方法に関し、更にこれに関連する耐震性能評価システム、コンピューター、プログラム、及び情報記録媒体に関する。
従来から地震後において建物の耐震性能を評価して建物の安全性を評価する試みが行われている。しかしながら、目視等の外観評価に依存する場合も依然として多く、このような場合、建物の耐震性を迅速に評価することが容易ではなく、建物の高層階化の進展により迅速及び正確な評価がより困難になっている。また、広域地震等により多数の建物の耐震性能を評価することが要求される場合には到底十分なものとは言えない。
特許文献1には、加速度センサの計測値から絶対変位を算出し、建物の振動モード形を仮定して各階の相対変位と絶対加速度を算出し、それらの値から代表変位と代表加速度を計算して建物の性能曲線を求め、また、基礎部での計測波形により加速度応答スペクトルと変位応答スペクトルを計算して建物の要求曲線を求め、性能曲線と要求曲線の比較から建物の残余耐震性能を評価することが開示されている(詳細及び正確には同文献参照)。
特許文献2には、加速度センサの計測値をウェーブレット変換して所定のランクにモード分解し、所定のランクを選択してこれを絶対加速度や絶対変位とすることが開示され、これにより、外乱の影響を効果的に分離し、高次モードの影響が大きい建物についても有意な性能曲線を得ることが開示されている(詳細及び正確には同文献参照)。
特開2003−344213号公報 特開2011−95237号公報
特許文献2の如く加速度計測波形に対して時間周波数解析を実行して不要なランク、換言すれば不要な周波数帯や不要な周波数成分を除くことはノイズ影響が少ない性能曲線を得ることや性能曲線の計算に要する計算コストの低減には有意である。しかしながら、本願発明者らの検討によれば、不要なものと考えて除いた周波数帯の中には建物の耐震性能を評価する上で有用な特性、本願開示の例においては建物の残留変位を示すものがあることが分かった。
上述の説明のように、より正確な性能曲線を求め、より正確な耐震性能の評価を可能にすることが求められている。
本発明の一態様に係る代表変位波形の補正方法は、地震波の計測加速度波形の周波数解析に応じて、前記計測加速度波形の所定周波数帯を反映し、前記所定周波数帯以外の周波数帯を反映しないように特徴づけられる性能曲線を求めるステップと、前記性能曲線の近似式を求めるステップと、地震波の計測加速度波形を前記近似式へ適用して仮想変位波形を求めるステップと、前記仮想変位波形を周波数解析し、前記所定周波数帯以外の前記周波数帯の少なくとも一部を反映する補正用変位波形を求めるステップと、前記性能曲線の基礎の代表変位波形を前記補正用変位波形に応じて補正するステップと、を含む。
前記性能曲線の基礎の代表加速度波形を算出するステップを更に含み、当該ステップが、地震波の計測加速度波形の周波数解析に基づいて前記所定周波数帯を反映し、前記所定周波数帯以外の前記周波数帯を反映しない絶対加速度波形を算出する処理を建物の各階に対応して実行する第1ステップと、前記建物の各階の前記絶対加速度波形を代表する前記代表加速度波形を算出する第2ステップと、を含む、と良い。
前記周波数解析がウェーブレット変換の実行及びランクの選択を含む上記の代表変位波形の補正方法であって、前記補正用変位波形を求める前記ステップに含まれる前記周波数解析の際に選択するランクには、前記代表加速度波形を算出する前記ステップの前記第1ステップの前記周波数解析の際に選択するランクが含まれない。
前記代表加速度波形を算出する前記ステップの前記第1ステップの前記周波数解析の際に選択するランクには、周波数毎の最大振幅値が最大の周波数が属するランクが含まれる、と良い。
前記代表加速度波形に含まれる加速度値は、等価質量比に応じて補正された値である、と良い。
前記性能曲線の基礎の前記代表変位波形を求めるステップを更に含み、当該ステップが、前記絶対加速度波形の加速度値を積分処理して絶対変位波形を算出する処理を建物の各階に対応して実行するステップと、建物の各階の絶対変位波形を基準点の絶対変位波形で減算して各階毎の相対変位波形を算出するステップと、前記各階の相対変位波形を代表する代表変位波形を算出するステップと、を含む、と良い。
上記の方法により補正された前記代表変位波形に基づいて建物の残余耐震性能を評価する方法も開示される。
上記の方法により補正された前記代表変位波形と前記代表加速度波形から定まる性能曲線を用いて建物の残余耐震性能を評価する方法も開示される。
本発明の別態様に係るコンピュータは、地震波の計測加速度波形の周波数解析に応じて、前記計測加速度波形の所定周波数帯を反映し、前記所定周波数帯以外の周波数帯を反映しないように特徴づけられる性能曲線を求め、前記性能曲線の近似式を求め、地震波の計測加速度波形を前記近似式へ適用して仮想変位波形を求め、前記仮想変位波形を周波数解析し、前記所定周波数帯以外の前記周波数帯の少なくとも一部を反映する補正用変位波形を求め、前記性能曲線の基礎の代表変位波形を前記補正用変位波形に応じて補正する各ステップを実行可能に構成される。
本発明の更なる別態様に係るプログラムは、地震波の計測加速度波形の周波数解析に応じて、前記計測加速度波形の所定周波数帯を反映し、前記所定周波数帯以外の周波数帯を反映しないように特徴づけられる性能曲線を求めさせ、前記性能曲線の近似式を求めさせ、地震波の計測加速度波形の前記近似式への適用により仮想変位波形を求めさせ、前記仮想変位波形を周波数解析させて、前記所定周波数帯以外の前記周波数帯の少なくとも一部を反映する補正用変位波形を求めさせ、前記性能曲線の基礎の代表変位波形を前記補正用変位波形に応じて補正させる各ステップをコンピューターに実行させる。
上記プログラムが読出し可能に記録された情報記録媒体も開示される。
本発明のまた更なる態様に係る建物の残余耐震性能を評価する方法は、地震波の計測加速度波形の周波数解析に基づいて所定周波数帯を反映し、前記所定周波数帯以外の周波数帯を反映しない絶対加速度波形を算出する処理を建物の階に対応して実行するステップと、1以上の前記建物の階の前記絶対加速度波形を代表する前記代表加速度波形を算出するステップと、前記絶対加速度波形の加速度値を積分処理して絶対変位波形を算出する処理を建物の各階に対応して実行するステップと、建物の各階の絶対変位波形を基準点の絶対変位波形で減算して各階毎の相対変位波形を算出するステップと、前記各階の相対変位波形を代表する代表変位波形を算出するステップと、前記代表変位波形と前記代表加速度波形に基づいて性能曲線を求めるステップと、前記性能曲線の近似式を求めるステップと、地震波の計測加速度波形を前記近似式へ適用して仮想変位波形を求めるステップと、前記仮想変位波形を周波数解析し、前記所定周波数帯以外の前記周波数帯の少なくとも一部を反映する補正用変位波形を求めるステップと、前記代表変位波形を前記補正用変位波形に応じて補正するステップと、前記補正用変位波形による補正後の前記代表変位波形、及び前記代表加速度波形に基づいて性能曲線を求め、この求めた性能曲線に基づいて建物の残余耐震性能を評価するステップと、を含む。
本発明のまた更なる態様に係る耐震性能評価システムは、地震波の計測加速度波形の周波数解析に基づいて所定周波数帯を反映し、前記所定周波数帯以外の周波数帯を反映しない絶対加速度波形を算出する処理を建物の階に対応して実行し、1以上の前記建物の階の前記絶対加速度波形を代表する代表加速度波形を算出し、前記代表加速度波形の加速度値を積分処理して絶対変位波形を算出する処理を建物の各階に対応して実行し、建物の各階の絶対変位波形を基準点の絶対変位波形で減算して各階毎の相対変位波形を算出し、前記各階の相対変位波形を代表する代表変位波形を算出し、前記代表変位波形と前記代表加速度波形に基づいて性能曲線を求め、前記性能曲線の近似式を求め、地震波の計測加速度波形を前記近似式へ適用して仮想変位波形を求め、前記仮想変位波形を周波数解析し、前記所定周波数帯以外の前記周波数帯の少なくとも一部を反映する補正用変位波形を求め、前記代表変位波形を前記補正用変位波形に応じて補正し、前記補正用変位波形による補正後の前記代表変位波形、及び前記代表加速度波形に基づいて性能曲線を求め、この求めた性能曲線に基づいて建物の残余耐震性能を評価する各ステップを実行可能に構成される。
本発明によれば、より正確な性能曲線を求め、より正確な耐震性能の評価を可能にすることができる。
本発明の第1実施形態に係る耐震性能評価システムの概略的なシステム構成図であり、建物への設置態様を概略的に示す。 本発明の第1実施形態に係る耐震性能評価システムの概略的なシステム構成図であり、各階に設けられた端末装置と建物に1つ設けられたサーバー装置の各システム構成を概略的に示す。 本発明の第1実施形態に係る耐震性能評価システムが建物の耐震性を評価するステップを示す概略的なフローチャートであり、当該フローチャートには代表変位波形の補正に係るフローチャートも含まれている。 ウェーブレット変換後のランク選択を説明するための説明図であり、周波数毎の最大振幅を示す。 ウェーブレット変換を経て生成されたモデル化用性能曲線のモデル化を示す図である。 ウェーブレット変換を経て生成されたモデル化用性能曲線のモデル化により生成された近似式に計測地震波を適用し、更にこれにより得られた変位波形を周波数解析して得られる残留変位に応じた変位波形を示す図である。 本実施形態の方法により残留変位補正された性能曲線と、実測加速度及び実測変位から定まる性能曲線を示す図であり、各性能曲線の比較を示す。 求めた性能曲線を活用して耐震性能を評価する評価方法の一例を示す説明図である。 実計測した時刻歴の変位振幅を示す変位波形図である。 図9に示した変位波形をウェーブレット変換して主要ランクを選択した後の波形図である。 図9に示した変位波形を反映した性能曲線L30とウェーブレット変換を経て生成された性能曲線L31を個別に示す性能曲線図であり、性能曲線L30の最大応答点と性能曲線L31の最大応答点の解離の程度を示す。 計測加速度値に地動加速度値が含まれることを示す模式図である。 第1試験における精度が高められた性能曲線を示す図である。 第2試験における精度が高められた性能曲線を示す図である。 第3試験における精度が高められた性能曲線を示す図である。 図13と同じ第1試験に関し、代表変位と等価質量比との関係を示す図である。 図14と同じ第2試験に関し、代表変位と等価質量比との関係を示す図である。 図15と同じ第3試験に関し、代表変位と等価質量比との関係を示す図である。 第4試験より算出される性能曲線を示し、性能曲線を画定し難い領域が含まれることを示す図である。 改良された手法により、第4試験より算出され、有意に画定された性能曲線を示す図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。実施形態における説明は、技術常識を踏まえて簡略化されている場合がある。図面も同様に技術常識を踏まえて簡略化されている場合がある。
<第1実施形態>
図1乃至図11を参照して第1実施形態について説明する。図1は、耐震性能評価システムの概略的なシステム構成図であり、建物への設置態様を概略的に示す。図2は、耐震性能評価システムの概略的なシステム構成図であり、各階に設けられた端末装置と建物に1つ設けられたサーバー装置の各システム構成を概略的に示す。図3は、耐震性能評価システムが建物の耐震性を評価するステップを示す概略的なフローチャートであり、当該フローチャートには代表変位波形の補正に係るフローチャートも含まれている。図4は、ウェーブレット変換後のランク選択を説明するための説明図であり、周波数毎の最大振幅を示す。図5は、ウェーブレット変換を経て生成されたモデル化用性能曲線のモデル化を示す図である。図6は、ウェーブレット変換を経て生成されたモデル化用性能曲線のモデル化により生成された近似式に計測地震波を適用し、更にこれにより得られた変位波形を周波数解析して得られる残留変位に応じた変位波形を示す図である。図7は、本実施形態の方法により残留変位補正された性能曲線と、実測加速度及び実測変位から定まる性能曲線を示す図であり、各性能曲線の比較を示す。図8は、求めた性能曲線を活用して耐震性能を評価する評価方法の一例を示す説明図である。図9は、実計測した時刻歴の変位振幅を示す変位波形図である。図10は、図9に示した変位波形をウェーブレット変換して主要ランクを選択した後の波形図である。図11は、図9に示した変位波形を反映した性能曲線L30とウェーブレット変換を経て生成された性能曲線L31を個別に示す性能曲線図であり、性能曲線L30の最大応答点と性能曲線L31の最大応答点の解離の程度を示す。
図1に示すように例示の耐震性能評価システム100は、単一のサーバー装置50と、複数の端末装置10nX(X=任意の整数)を含み、本例においては、例示的に9つの端末装置10n0〜10n8が設けられている。各端末装置10n0〜10n8が、有線又は無線によりサーバー装置50に通信可能に接続されており、各端末装置10n0〜10n8により収集された計測波形を示す計測データ若しくは計測データの演算処理後のデータがサーバー装置50に送信され、サーバー装置50により一括して演算処理が可能である。なお、端末装置とサーバー装置間における機能分担の具体的態様は任意であり、サーバー装置が行う処理を端末装置の1つ又は各々に負担させても良く、これとは逆に端末装置が行う処理をサーバー装置に負担させても良い。サーバー装置50を複数台のサーバーの連帯により構成しても良い。
建物200は、図1においてはビル等の建物が例示されているが、建物の意味内容は広義に解釈すべきであり、ビル、家屋、倉庫、橋、高架駅、高架道路等の任意の構造物を包含し、更に、複数階を含むものに限らず、一階建ての構造物であっても構わない。
図1に示すように、地上の基準点に基準用の端末装置10n0が配置され、1階〜8階に対応付けて各階用の端末装置10n1〜10n8が配置される。基準用の端末装置10n0は、建物200の基礎に設けても良いし、建物200が建てられた地盤上に設けても良い。基準用の端末装置10n0を省略し、建物200の近隣の基準観測地点で観測された情報を用いても良い。1階に設けられた端末装置10n1を基準用の端末装置として活用しても構わない。端末装置10n1〜10n8は、任意の態様及び方法で各階の床面上に設置される。なお、各階の全てに対して端末装置を設ける必要はなく、例えば、偶数階又は奇数階に限定して端末装置を設けても良い。
図1においては、サーバー装置50が1階に配置されているが、必ずしもこの限りではなく、任意の階に配置されても良く、また、場合によっては、建物とは地理的に離れた遠隔地に設けられていても良く、この場合、端末装置とサーバー装置間の通信を中継装置により中継すれば良いだろう。換言すれば、端末装置10とサーバー装置50の間に中継装置を設けることでサーバー装置50を建物200とは遠隔地に設けることが可能になる。
図1においては、各端末装置10n0〜10n8が有線によりサーバー装置50に接続されているが、理解の促進を図るために便宜上そのように図示したものであり、既存の無線通信技術を活用して無線通信接続しても構わない。端末装置10n0〜10n8とサーバー装置50間の無線通信方式も任意であり、典型的には、無線LAN等を活用すれば足りる。
図2に典型的な耐震性能評価システム100のシステム構成図を示す。図2に示すように、端末装置10n0は、加速度センサ11、A/D変換器12、時刻入力装置13、演算処理部15、記憶装置16、送受信装置18を含んで構成された一般的なコンピューターである。加速度センサ11の出力が、A/D変換器12に入力する。A/D変換器12の出力が、演算処理部15に入力する。時刻入力装置13の出力が、演算処理部15に入力する。演算処理部15と記憶装置16は入出力可能に接続する。演算処理部15と送受信装置18は入出力可能に接続する。なお、端末装置10n1〜10n8は、端末装置10n0と同様に構成可能である。
加速度センサ11の種類や方式は任意である。加速度センサ11は、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を活用した小型な加速度センサである。静電容量検出方式、ピエゾ抵抗方式、熱検知方式等の様々な加速度検出方式が存在するが、いずれを採用しても構わない。
A/D変換器12は、半導体回路等から構成されるアナログ/デジタル変換器である。A/D変換器12を加速度センサ11と一体的に集積化しても構わない。時刻入力装置13は、各端末装置10間で共通の時刻を担保するべく設けられた時刻データ生成装置であり、典型的には、標準時刻の搬送波に同期した時刻データを生成する。これ以外の態様にて各端末装置10間の時刻同期を確保しても構わない。
演算処理部15は、CPU(Central Processing Unit)等に代表される回路装置であるが、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等にて構成しても良い。記憶装置16は、不揮発性メモリ装置、ハードディスク装置、光学メディアを内蔵する光学ドライブ装置等の任意の記憶手段である。
送受信装置18は、演算処理部15から供給される送信データを送信し、又は有線/無線ネットワークから受信する受信データを受信して演算処理部へ伝送するインターフェースである。端末装置10の構成を簡略化する場合、A/D変換器12の出力を送受信装置18に直接接続し、送受信装置18に演算機能を具備させても良いだろう。
端末装置10n0の記憶装置16には、端末装置10n0が実行すべきステップを記述するプログラムが保存されており、端末装置10n0の演算処理部15が同プログラムを読出及び実行可能である。演算処理部15は、プログラムの実行に伴い、他の機能部の活用も含めて様々な処理を実行可能である。プログラム言語等は任意であり、特定の言語に限定されるべきものではない。プログラムの構造については図3等を参照して後述する。
サーバー装置50も端末装置10n0の演算処理部15、記憶装置16、及び送受信装置18と同様、中央演算処理部55、記憶装置56、及び送受信装置58を有する。サーバー装置50には多くの演算処理が割り当てられるため、端末装置10と比較してより高性能なCPUやメモリーを用いることが望ましい。サーバー装置50の送受信装置58は、各端末装置10の各送受信装置18と無線又は有線ネットワークを介して通信可能に接続されている。
地震発生時、建物200の各階に設置された端末装置10が次のように作動する。加速度センサ11が加速度を計測し、加速度センサ11から出力される計測加速度波形がA/D変換器12によりデジタルの計測加速度波形データに変換される。また、時刻入力装置13から演算処理部15に時刻データのデジタル値が入力される。演算処理部15は、入力する計測加速度波形データと時刻データとを対応付けて時刻歴の計測加速度波形データを生成し、後述の説明のように演算処理及び周波数解析処理を実行し、これにより得られた絶対変位波形データ及び絶対加速度波形データの送信を送受信装置18に指示する。送受信装置18は、演算処理部15からの指令に応じて絶対変位波形データ及び絶対加速度波形データをサーバー装置50へ送信する。
なお、端末装置10を上述のように作動させるトリガーを設定しても良い。例えば、加速度センサ11に対してアナログ判定回路を設け、加速度センサ11の出力値が所定の閾値を超えた時、加速度センサ11の出力をA/D変換器12に供給させても良い。この場合、閾値を低く設定することが望ましいだろう。加速度センサ11及びA/D変換器12を常時作動状態とし、地震発生の判定を演算処理部15の判定により確保しても良い。
サーバー装置50は、各端末装置10から送信される絶対変位波形データ及び絶対加速度波形データに基づいて後述の各種演算処理を実行する。各端末装置10から伝送されるデータについてサーバー装置50によるデータ取得タイミングに時間差があったとしても、端末装置10間の出力データが基準時刻に関連付けられているため時間差が問題になることは無いだろう。端末装置10間の時刻同期を確保する具体的方法及び態様は任意であり、本願に開示の例に限定されるべきものではない。例えば、サーバー装置50又は別の時刻管理コンピューターが各端末装置10に必要に応じて送信タイムラグを考慮した条件で時刻データを送信し、この時刻データを各端末装置10にて用いることも可能である。
上述の例示的なシステム構成を前提としたうえで耐震性能評価システム100の動作について特に図3を参照して説明する。なお、耐震性能評価システム100のシステム構成の具体的な態様は任意であり、上述の例示に限定されるべきものではない。端末装置10を単に加速度取得装置及び送信装置としてワイヤードロジック的に構成し、CPUとメモリを必要的に具備するコンピューターとは異構成としても良い。
図3に示すように、まず計測に基づいて代表変位波形及び代表加速度波形を生成する(S10)。具体的には、各階の端末装置10の加速度センサ11が加速度を計測し、加速度センサ11からA/D変換器12にアナログ値の加速度値が伝送され、続いて、A/D変換器12が加速度センサ11からの入力に応じて加速度値をデジタル値に変換して出力し、演算処理部15を介して記憶装置16の所定のアドレス空間に加速度値が記憶され、これにより、時間軸に沿って加速度値が振幅した加速度波形を示す「計測加速度波形データ」が生成される(S11)。ステップS11と同時又はステップS11に続いて、各階の端末装置10の演算処理部15が、記憶装置16に記憶する又は記憶した加速度値を時刻入力装置13から入力する又は入力した時刻データに関連付け(S12)、これにより、「時刻歴の計測加速度波形データ」が生成され記憶される。
次に、各階の端末装置10の演算処理部15が、「時刻歴の計測加速度波形データ」に対して所定の演算処理を実行し、絶対加速度波形データを生成する(S13)。具体的には、演算処理部15が、「時刻歴の計測加速度波形データ」を周波数解析の一例のウェーブレット変換し、これにより複数のランクに周波数分解された周波数解析データを得る。なお、ランクとは、周知のように、周波数帯を意味する若しくは周波数帯に対応する技術用語である。
演算処理部15が、次に、周波数解析データに含まれる所定のランク、典型的には最大振幅値が他の周波数の最大振幅値と比較して最大の周波数が属するランク及び追加的に当該ランクに隣接するランク若しくはこれ以外のランクを選択し、選択したランクに応じた「絶対加速度波形データ」を生成する。ここで選択されるランクは、地震動を十分に反映した周波数成分が含まれる周波数帯であり、これにより、建物200の応答を除く外乱の影響を排除できる。
選択するランク数は任意であり、1つ、2つ、3つでも良く、換言すれば、選択する周波数帯幅は特に限定されるべきものではない。最大周波数が属するランクとこの前後のランクに限定されるべきではなく、これ以外のランクも選択可能である。なお、ウェーブレット変換ではなく、通常のフーリエ変換を実行しても構わない。ランクの選択は、周波数帯の選択に他ならない。ランクの周波数帯幅は用いられる計算式により変動しても良く、変動しなくても良い。
「時刻歴の計測加速度波形データ」は、時間軸に加速度値が振幅した加速度波形を示すデータであり、これに対して「ウェーブレット変換」を行うと、周波数軸と時間軸と振幅の3次元の要素に分解し、また、周波数帯がランク分けされたデータを得ることができる。最大振幅値が他の周波数の最大振幅値と比較して最大である周波数が含まれるランクの選択は、各周波数の各最大振幅値を比較することにより容易に達成可能である。最大振幅値が他の周波数の最大振幅値と比較して最大である周波数が含まれるランクに隣接するランクの選択は、選択されたランク番号に1加算又は1減算すれば算出可能である。これらの演算処理は、演算処理部15により達成可能であるが、当該処理を他の装置に割り当てても良い。
図4を参照して補足的に説明すれば、同図に示す場合、周波数が横軸にとられ、各周波数の最大振幅値が縦軸にとられ、最大振幅値が最も大きい周期数が属するランクのランク番号が「4」であることが分かる。このように各周期数の最大振幅値を求めたうえで、周波数間において最大振幅値を比較し、最も大きい最大振幅値の周期数が属するランクを選択可能である。なお、ランク2の周波数帯域幅は、ランク1のものと比較して倍増している。ランク3とランク2の関係についても同様に説明でき、他の一連のランクについても同様に説明できる。
なお、0.01秒単位で4分間に亘り加速度値を計測する場合、周波数帯域が14ランクの周波数帯に分解される。ランク4、追加的にランク3、5が相対的に外乱を含まない主要周波数帯であり、その他のランク1、2、6〜14が相対的に外乱を含む非主要周波数帯である場合がある。図4においては、図示の都合上、ランク1〜5に亘る波形が図示され、その他のランクの波形の図示が省略されている。
演算処理部15は、「絶対加速度波形」の加速度値を2階積分し、絶対変位波形を示す「絶対変位波形データ」を生成する(S13)。上述のウェーブレット変換に応じて、「絶対加速度波形」は、主要周波数帯を反映するが、ノイズ成分と考えられる非主要周波数帯を反映していない。従って、2階積分をしたとしてもノイズ成分が増大して利用不可能なデータとなってしまうことが抑制される。なお、図4に示す場合、主要周波数帯が、ランク4を少なくとも含み、場合によりランク4に隣接するランク3、5の少なくとも一方を更に含む。また、非主要周波数帯が、ランク4以外のランクの少なくとも1つを含み、場合により、ランク3〜5以外のランクの少なくとも1つを含む。
なお、周波数解析により求めた絶対加速度の2階積分により絶対変位を求めることが簡便であり、これにより、計算コストの増大も回避可能であるが、他の方法により計測加速度から絶対変位を求めても構わない。言うまでも無く絶対加速度や絶対変位は、計測加速度波形の所定周波数帯を反映し、所定周波数成分以外の周波数帯を反映していない。
上述の主要周波数帯や非主要周波数帯は、計測地震波の特徴に応じて変動するものであり、特定のランク番号に限定して解釈されるべきものではない。
なお、本例においては、「絶対加速度波形データ」と「絶対変位波形データ」の生成が建物200の各階に設置された装置、端的には端末装置10により実行されるように説明されているが、この処理をサーバー装置50により一括して行っても良い。この場合、サーバー装置50が、ステップS12、S13の各ステップの全部又は一部を実行するだろう。
次に、各階の端末装置10により生成された各「絶対加速度波形データ」と各「絶対変位波形データ」を無線又は有線ネットワークによる伝送を介してサーバー装置50に集約する(S14)。具体的には、各階の端末装置10の演算処理部15が、「絶対加速度波形データ」と「絶対変位波形データ」の送信を送受信装置18に指示し、送受信装置18が、これらの送信データを有線又は無線ネットワークに発信する。各階の端末装置10から送信されたデータは、有線又は無線ネットワークを介して送信先アドレスとして指定されたサーバー装置50の送受信装置58が受信し、中央演算処理部55等による転送制御により記憶装置56へ伝送され、記憶装置56の所定のメモリ空間に記憶される。
次に、サーバー装置50の中央演算処理部55は、各階の端末装置10から伝送された各「絶対変位波形データ」に基づいて、相対変位波形を示す「相対変位波形データ」を生成する(S15)。具体的には、サーバー装置50の中央演算処理部55は、1階の端末装置10n1が生成した「絶対変位波形」の変位値から基準用の端末装置10n0が生成した「絶対変位波形」の変位値を同時刻基準で減算し、これを1階の「相対変位波形」として生成及び記憶する。
上述と同様の減算処理を他の階の端末装置10n2〜10n8の「絶対変位波形データ」についても行う。このようにして建物自体に生じた各階の揺れに応じた「相対変位波形データ」を生成及び記憶する。なお、冒頭で述べたように基準用の加速度値や変位値は、必ずしも端末装置10n0で計測処理されたものに限らず、建物200の近隣の基準観測地点での値を用いても良く、また端末装置10n1のもので代用しても良い。言うまでも無く相対変位は、計測加速度波形の所定周波数帯を反映し、所定周波数成分以外の周波数帯を反映していない。
次に、サーバー装置50の中央演算処理部55は、各階の端末装置10から伝送された各「絶対加速度波形データ」に基づいて「代表加速度波形データ」を生成し(S16)、また、ステップS15において上述のように求めた各「相対変位波形データ」に基づいて「代表変位波形データ」を生成する(S16)。言うまでも無く代表加速度や代表変位は、計測加速度波形の所定周波数帯を反映し、所定周波数成分以外の周波数帯を反映していない。サーバー装置50の中央演算処理部55は、次の数1や数2に示す数式に基づいて時刻軸に沿って代表加速度値と代表変位値を算出し、これにより代表加速度波形と代表変位波形が生成及び記憶される。本明細書で繰り返し述べるが、代表加速度値や代表変位値の算出に用いられる数式は本明細書に開示の数式に限定されるべきものではなく、本明細書に不開示の他の数式も活用可能である。
代表変位Sdや代表加速度Saを数1や数2に示す次式により算出可能であるが、必ずしもこの計算式により算出する必要はなく、他のパラメーターを導入する等しても良い。miの値は、建物200の設計書等から入手可能である。従って、代表変位波形データ及び代表加速度波形データの算出よりも前段階において、サーバー装置50の記憶装置56にmi値を読出可能に記憶しておいても良い。サーバー装置50にインストールするプログラムに個別にmi値を記述しておいても良い。
Figure 0005941998
ここで、miが、地上階(日本では1階)の質量比に対するi階の質量比であり、(rg・xi)が、ウェーブレット変換を経て生成したi階における相対変位波形の変位値であり、ここで、iが、階数を示す1以上の自然数である。この式では使用しないが、i=0が基準点を示す。なお、質量比は、典型的には床面積の比較で足りる。
Figure 0005941998
ここで、miが、地上階(日本では1階)の質量比に対するi階の質量比であり、(rg・Xi’’)が、ウェーブレット変換を経て生成したi階における絶対加速度波形の加速度値であり、ここで、iが、階数を示す1以上の自然数である。この式では使用しないが、i=0が基準点を示す。なお、質量比は、典型的には床面積の比較で足りる。
このようにして計測に基づく代表変位波形データと代表加速度波形データがサーバー装置50により生成されて記憶される。
次に、復元モデルを生成する(S20)。例示的かつ具体的には、次のステップを実行する。
サーバー装置50の中央演算処理部55が、ステップS16にて求めた代表変位波形データと代表加速度波形データに基づいて、代表変位の変位値Sdを横軸(第1軸)とし、代表加速度の加速度値Saを縦軸(第2軸)とする系で性能曲線(Sa−Sd曲線)を生成する(S21)。本願においては、これを「復元モデル化用性能曲線」と呼ぶ。参考までに図5に本実施形態で生成及び記憶した性能曲線L40を示す。なお、代表変位波形と代表加速度波形は、時刻基準で対応している。従って、代表変位値の第1軸と代表加速度値の第2軸が直交する系内において同時刻の代表変位値と代表加速度値から定まる点をプロットすることで性能曲線を求めることができる。このような演算処理もコンピューターによるソフトウェア制御により実行可能である。
復元モデル化用性能曲線は、地震波の計測加速度波形の周波数解析に応じて、計測加速度波形の所定周波数帯(図4に示す場合は、ランク4や追加的にランク3及び5の少なくとも一方の周波数帯)を反映し、前記所定周波数帯以外の周波数帯(例えば、ランク1、2、5〜14)を反映しないように特徴づけられるものであることは上述の説明から明らかである。端的には、ステップS13〜S16及びS21で扱われる波形/波形データは、地震波の計測加速度波形の周波数解析に応じて、計測加速度波形の主要周波数帯を限定的に反映するものであると言え、非主要周波数帯を反映するものではない。
次に、サーバー装置50の中央演算処理部55が、「復元モデル化用性能曲線」を復元モデル化し、端的には、「復元モデル化用性能曲線」を近似する近似式を生成する(S22)。参考までに算出及び記憶した近似式を図5に近似線L41として示す。近似式を求める具体的な方法は多数あるため、詳細な説明を割愛する。例えば、一般的な構造特性の関係を用いて近似しても良いし、変位値の縦軸に関して所定間隔で加速度の移動平均値を算出してプロットした線を近似線としても良い。直線近似して大まかに近似しても構わない。如何なる近似式を採用するかは描かれる性能曲線の態様に応じて適宜決定され、性能曲線の態様に応じて近似方法を変更しても構わない。
次に、シミュレーションに基づく残留変位の変位波形を生成する(S30)。具体的には、次のステップを実行する。
サーバー装置50の中央演算処理部55が、復元モデル、すなわち上述のように算出及び記憶した近似式に対して基準点の端末装置10n0が計測した地震波の加速度波形の加速度値を適用して時刻歴の変位値の振幅を示す変位波形を示すデータを生成及び記憶する。本願においては、これを「仮想変位波形データ」と呼ぶ。具体的には、サーバー装置50の中央演算処理部55が、端末装置10n0が計測した加速度波形データの加速度値を近似式を用いて数値積分することにより得た値に対応する変位値を求め、これにより時刻歴の変位値の振幅波形を生成及び記憶する。なお、基準点ではなく1階の端末装置10n1が計測した地震波の計測加速度波形を用いても良く、基準点での計測値に限定されるべきものではない。すなわち、「仮想変位波形データ」の生成に活用される計測地震波の計測地点の位置は任意である。
更に、モデルの近似式に適用される地震波の計測加速度波形は、本震に限定した地震波の計測加速度波形に限られるべきものではなく、本震に余震が追加された時間範囲の地震波の計測加速度波形であっても構わない。このように、場合によっては、時間範囲が異なる計測加速度波形を異なるステップ間において用いても良い。
次に、サーバー装置50の中央演算処理部55が、「仮想変位波形データ」の周波数解析を実行する(S32)。具体的には、サーバー装置50の中央演算処理部55が、「仮想変位波形データ」を周波数解析の一例のウェーブレット変換し、これにより複数のランクの周波数帯に周波数分解された周波数解析データを得る。次に、ステップS13において選択したランク以外のランク、つまり絶対加速度波形データの生成や絶対変位波形データの生成、ひいては性能曲線の生成に用いられなかったランクを選択し、選択したランクに応じた変位波形データを生成する(S33)。本願においては、これを「残留変位の変位波形データ」と呼ぶ。「残留変位の変位波形」は、上述の主要周波数帯を反映せず、上述の非主要周波数帯を反映したものである。
なお、ステップS13において選択しなかった全てのランクを「残留変位の変位波形」に反映させる必要はない。図4に示す場合、主要周波数帯としてランク4のみが選択されたとすれば、ランク4以外の全ランクを「残留変位の変位波形」に反映させても良いが、その一部であっても良い。特に限定を意図するものではないが、例えば、ランク4以外の全ランクの50%以上を反映させることが望ましく、80%以上を反映させることが望ましい。反映させる周波数帯の各周波数の変位値を同時刻基準で加算すれば「残留変位の変位波形」を生成可能である。
ステップS33により生成された変位波形の一例を図6に示す。
なお、「残留変位」の概念については後述する。
次に、サーバー装置50の中央演算処理部55が、ステップS16において求めた「代表変位波形」をステップS33において求めた「残留変位の変位波形」に応じて補正する(S40)。典型的には、サーバー装置50の中央演算処理部55が、ステップS16において求めた「代表変位波形」の変位値にステップS33において求めた「残留変位の変位波形」の波形値を同時刻基準で加算する。これにより、代表加速度波形や代表変位波形の生成時に除かれた計測加速度の周波数成分、典型的には低周波数成分が再現され、建物200に残留する残留変位を性能曲線に反映することが可能になる。
次に、サーバー装置50の中央演算処理部55が、ステップS40により補正された代表変位波形データとステップS16で求めた代表加速度変位波形に基づいて性能曲線を生成する(S50)。この点は、上述のステップS21と同様であり、詳細な説明は省略する。本願においては、ステップS50で算出した性能曲線を「判定用性能曲線」と呼ぶ。図7に判定用性能曲線を判定曲線L51として示す。なお、図7においては、実際の変位の計測に基づいて生成した性能曲線L50を示し、これは、当然、加速度の2階積分を踏まえたものではない。
次に、サーバー装置50の中央演算処理部55が、ステップS50により得られた判定用性能曲線に基づいて耐震性能を判定する(S60)。耐震性能の判定方法は、一般的に広く知られている方法を採用すれば良く、例えば、性能曲線と要求曲線の比較に基づいて判定しても良いし、性能曲線と限界変形点との相対比較に基づいて判定しても良い。限界変形点は、建物200の設計書等から入手可能である。判定よりも前段階において、サーバー装置50の記憶装置56に限界変形点の数値を読出可能に記憶しておいても良い。若しくは、サーバー装置50にインストールするプログラムに個別に限界変形点の数値を入力しておけば良い。
図8を参照して予備的に性能曲線と要求曲線の比較方法について説明する。「要求曲線」は、基準点における地震動の加速度応答スペクトルRaを縦軸にとり、基準点における地震動の変位応答スペクトルRdを横軸にとったものであり、Ra及びRdは、端末装置10n0で測定された加速度記録に基づいて求められ、また、一般的な建物の減衰定数5%として計算されたものである。「要求曲線」の算出は、基準点における計測地震波、つまり加速度波形データや変位波形データと予めサーバー装置50に入力及び記憶された数値に基づいて算出可能であり、これは、サーバー装置50の中央演算処理部55により実行可能である。
例えば、サーバー装置50の中央演算処理部55が、図8に示すように、原点と建物の限界点a−2を結ぶ線が余震に対する要求曲線と交差した点から限界点a−2に至るまでの拡大率γを求める。拡大率γは、被災した建物200が本震のγ倍の地震まで耐えうることを示す。例えば、γ<1.0の場合、本震レベルの地震に対して耐えられないことになり、中央演算処理部55が「危険」と判定する。γ≧1.0の場合、「安全」と判定する。これは本震よりも大きな余震が来ないという経験則を前提としている。なお、要求曲線と性能曲線が交差する点が余震の最大応答点である。
最後に図9乃至図11を参照して本願発明者が新たに着目した「残留変位」について説明する。図9は、変位の実測に基づく変位波形であり、加速度の2階積分や周波数解析を経ていない。図10は、図9に示す変位波形をウェーブレット変換したものであり、図9に示す約5cmの変位成分が周波数解析により除去されていることが分かる。図11は、図9に示した実測の変位波形と加速度波形から求めた性能曲線L30と、周波数解析の一例のウェーブレット変換を経て生成された性能曲線L31との比較を示す。図11に示すように、性能曲線L31の点線円で示す最大応答点での加速度の絶対値が、性能曲線L30の点線円で示す最大応答点での加速度の絶対値よりも小さく、結果として、判定の際に最大応答点が過小評価されてしまい、「危険」であるにも関わらず、「安全」と判定されてしまうおそれがある。
加速度センサ自体の計測誤差や地震振動時に加わる様々なノイズ成分があることに鑑みると、計測加速度波形に対する周波数解析によりノイズ成分を除去することは依然として有用である。しかしながら、図9乃至図11のデータを踏まえると、不要と考えられた周波数帯には有用な周波数成分が埋没されており、これを何とかして性能曲線に反映させることが有意である。
本願発明者は、この点に鑑みて、計測波形の周波数解析の主要ランクを反映した代表変位と代表加速度から性能曲線を生成し、この性能曲線をモデル化により単純化し、基準点での加速度変動を示す計測地震波を単純化されたモデルに適用し、単純化された変位波形を生成したうえで、モデル化用性能曲線のための代表変位と代表加速度の決定時に除かれた前記主要ランク以外のランクを反映した変位波形を求め、これにより代表変位波形を補正し、より正確な判定用性能曲線を生成可能にする。
図7に示したように、変位の実測に基づく性能曲線L50に対して、本実施形態の方法により残留変位分が補正された性能曲線L51は略合致しており、最大応答点の位置も大きくずれていない。これにより、より高精度な判定を実行することが可能になる。
<第2実施形態>
図12乃至図20を参照して第2実施形態について説明する。図12は、計測加速度値に地動加速度値が含まれることを示す模式図である。図13は、第1試験における精度が高められた性能曲線を示す図である。図14は、第2試験における精度が高められた性能曲線を示す図である。図15は、第3試験における精度が高められた性能曲線を示す図である。図16は、図13と同じ第1試験に関し、代表変位と等価質量比との関係を示す図である。図17は、図14と同じ第2試験に関し、代表変位と等価質量比との関係を示す図である。図18は、図15と同じ第3試験に関し、代表変位と等価質量比との関係を示す図である。図19は、第4試験より算出される性能曲線を示し、性能曲線を画定し難い領域が含まれることを示す図である。図20は、改良された手法により、第4試験より算出され、有意に画定された性能曲線を示す図である。
第1実施形態においては、数1に示す数式により代表変位Sdを算出可能であり、数2に示す数式により代表加速度Saを算出可能であることを一例として示した。本実施形態においては、第1実施形態の数式とは別の数式を用いて代表加速度Saや代表変位Sdが算出可能であることを示す。繰り返しとなるが、代表変位Sdや代表加速度Saの算出に用いられる数式は絶対的なものではなく、それ自体が改良や変更の余地があるものである。なお、本実施形態によれば、第1実施形態の場合よりも精度が高い性能曲線を描くことができると見込まれる。
数2に示す数式から明らかなように、性能曲線を基礎づける代表加速度Saは、各階の絶対加速度値を数式に代入して算出される。しかしながら、図12から理解できるように、計測した建物のi階の絶対加速度値Xi’’には地動の絶対加速度値x0’’も含まれる。例えば、1階の絶対加速度値X1’’には地動の絶対加速度値x0’’も含まれる。本願発明者は、これが性能曲線の精度低下に繋がる可能性があると考え、代表加速度Saや代表変位Sdの算出に等価質量比を導入した。これにより、性能曲線をより高い精度で描くことができることが見込まれる。なお、図12においては、X1’’=x1’’+x0’’が成立しており、同様、X2’’=x2’’+x0’’が成立し、X3’’=x3’’+x0’’が成立している。つまり、i階において、Xi’’=xi’’+x0’’が成立している。
等価質量は、1質点系における建物の質量の代表値であり、一例においては数3の数式により与えられる。
Figure 0005941998
等価質量比は、等価質量に対するN階の建物の各階の質量の合計値の比率であり、一例においては数4の数式により与えられる。
Figure 0005941998
代表加速度Saを等価質量比に応じて補正することにより建物が低層であるか高層であるかに応じて適切な補正を施すことができ、例えば、次の数5や7の数式に示すように等価質量比の逆数を導入する場合、高層の建物に関しては大きな補正を代表加速度Saに与え、低層の建物に関しては小さな補正を代表加速度Saに与えることができる。低層から高層の様々な建物に対して一様に精度高くその代表加速度Saを求めることができる。代表変位Sdについても同様である。
本実施形態では、一例として、次の数5に示す数式により代表変位Sdを算出可能である。端的には、第1実施形態で示した数1の数式に対して等価質量比の逆数を乗算して得られた数式を利用する。
Figure 0005941998
ここで、miが、地上階(日本では1階)の質量比に対するi階の質量比である。iは、1以上の自然数である。xiは、i階の変位値であり、rg・xiは、ウェーブレット変換による算出値である。
数5に示した数式の関係は、数6に示す数式から理解できる。
Figure 0005941998
本実施形態では、一例として、次の数7に示す数式により代表加速度Saを算出可能である。この数式は、第1実施形態で示した数2の数式の地動成分以外の成分に対して等価質量比の逆数を乗算して得られる。端的には、数8〜数10に示すとおりである。
Figure 0005941998
ここで、miが、地上階(日本では1階)の質量比に対するi階の質量比である。iは、1以上の自然数である。x0’’は、地動加速度値であり、xi’’は、i階の計測加速度値である。rg・x0’’やrg・xi’’は、ウェーブレット変換による算出値である。xiは、i階の変位値であり、rg・xiは、ウェーブレット変換による算出値である。
図12に関連して説明し、また数8の数式に端的に示すように、i階の相対加速度値xi’’は、i階の絶対加速度値Xi’’から地動の絶対加速度値x0’’を減算して得られる値に等しい。i階の絶対加速度値Xi’’は、i階の相対加速度値xi’’と地動の絶対加速度値x0’’の加算値である。従って、第1実施形態の数2に示した数式は、数9の数式により表すことができる。数10の数式に示すように、地動成分以外に対して等価質量比の逆数を乗算し、これにより数7に示した数式を求めることができる。
Figure 0005941998
Figure 0005941998
Figure 0005941998
本実施形態においては、サーバー装置50の中央演算処理部55は、数5や数7に示す数式により代表加速度波形や代表変位波形を算出することができる。
図13乃至図15は、一点鎖線にて本実施形態により精度が向上した性能曲線を示し、破線により参考実施例の性能曲線を示す。参考実施例の性能曲線は、第1実施形態で説明した数1、数2を採用するものの、正負最大応答点(図16〜図18参照)の等価質量比に応じて性能曲線の各点を除算した改良された性能曲線である。つまり、参考実施例は、第1実施形態に対して本実施形態で説明する等価質量比に基づく補正の概念を導入したものである。但し、参考実施例の場合、計算の簡素化の観点から数1や数2の数式に導入する等価質量比の逆数の値を一定値としている。他方、本実施形態に係る数5や数7の数式の場合、時間軸にて変動する等価質量比の逆数が数1や数2の数式に導入されたものである。参考実施例のように採用する数式を簡素化しても良く、これにより計算コストの低下を図ることができる。このように等価質量比の導入態様は様々であり、本明細書に開示のものに限られるべきではない。図16は、図13の場合の代表変位と等価質量比との関係を示す。図17は、図14の場合の代表変位と等価質量比との関係を示す。図18は、図15の場合の代表変位と等価質量比との関係を示す。なお、図13の性能曲線は、主要ランク4〜6を反映したものである。図14の性能曲線は、主要ランク6〜7を反映したものである。図15は、主要ランク6〜9を反映したものである。試験状態に応じ、有意な性能曲線を算出するために選択されるランクが異なるものである。
図15で用いた試験体は、平成5年に科学技術庁防災科学技術研究所が実施した実大3層鉄筋コンクリート構造物の振動台実験記録の試験体に等しい。
なお、数5や数7の数式を用いたとしても正確な性能曲線を求めることができない場合もあることが確認されている。本願発明者による多層鉄筋コンクリート造試験体を用いた実試験では、図19に示すように代表変位の絶対値が小さい範囲で代表加速度の値が非常に大きくなってしまい、有意な性能曲線を描くことができない。これは、実計測において応答変位の小さい範囲で各層の相対変位が1次モード系に比例した分布形にならず、1次の等価質量が極めて小さな値になることが原因と考えられる。
このような場合においても有意な性能曲線を描くため、例示であるが好適には、次のステップを取ることができる。まず数1や数2を用いて代表変位Sdや代表加速度Saを求め、これにより性能曲線を算出する。この点は、第1実施形態の場合と同様であり、算出した性能曲線を「仮の性能曲線」とする。次に、算出した「仮の性能曲線」から「骨格曲線」を求める。「骨格曲線」は、振動中にそれまでの最大変形を更新する点のみを逐次抽出して結んだ応答曲線であり、このアルゴリズムが組み込まれたプログラムの活用によりサーバー装置50の中央演算処理部55が実行可能である。次に、「骨格曲線」上の各点について等価質量比を算出し、この算出値で「仮の性能曲線」の代表加速度値の地動成分以外を除算し、また代表変位値を除算する。この演算処理もサーバー装置50の中央演算処理部55が実行可能である。このように数5や数7の数式を直接用いることが妥当ではない場合、上述の迂回措置を取ることにより精度が高い性能曲線を描くことができる。数5や数7の数式を使用する場合も使用しない場合も、性能曲線を基礎づける代表加速度波形の加速度値は、等価質量比に応じて補正された値であるものと言える。
図20は、上述のステップにより算出した「仮の性能曲線」、「骨格曲線」、及び「性能曲線」を示す。なお、図20の性能曲線は、第1実施形態と同様にWavelet変換により非主要ランクの周波数帯の影響を除いたものである。図20の性能曲線の算出に際しては、中央演算処理部55は、第1実施形態で説明したステップS40を実行しても良いし、場合によってはステップS40を実行しない。つまり、図20の性能曲線の算出に際し、代表変位を残留変位で補正しない形態も考えられる。この意味において、残留変位による代表変位の補正とは独立して本実施形態で述べた特徴(代表加速度値の地動成分以外や代表変位値に対しての等価質量比による除算処理)を理解することができる。
すなわち、本願明細書には次のように例示的に特定できる発明も包含されている。
地震波の計測加速度波形の周波数解析に基づいて所定周波数帯を反映し、前記所定周波数帯以外の周波数帯を反映しない絶対加速度波形を算出する処理を建物の階に対応して実行するステップと、
1以上の前記建物の階の前記絶対加速度波形を代表する前記代表加速度波形を算出するステップと、
前記絶対加速度波形の加速度値を積分処理して絶対変位波形を算出する処理を建物の各階に対応して実行するステップと、
建物の各階の絶対変位波形を基準点の絶対変位波形で減算して各階毎の相対変位波形を算出するステップと、
前記各階の相対変位波形を代表する代表変位波形を算出するステップと、
前記代表変位波形と前記代表加速度波形に基づいて性能曲線を求めるステップを含み、
前記代表加速度波形の算出には、前記代表加速度波形に含まれる加速度値が等価質量比に応じて補正される演算が含まれ、
前記代表変位波形の算出には、前記代表変位波形に含まれる変位値が等価質量比に応じて補正される演算が含まれる、性能曲線の算出方法。
地震波の計測加速度波形の周波数解析に基づいて所定周波数帯を反映し、前記所定周波数帯以外の周波数帯を反映しない絶対加速度波形を算出する処理を建物の階に対応して実行するステップと、
1以上の前記建物の階の前記絶対加速度波形を代表する前記代表加速度波形を算出するステップと、
前記絶対加速度波形の加速度値を積分処理して絶対変位波形を算出する処理を建物の各階に対応して実行するステップと、
建物の各階の絶対変位波形を基準点の絶対変位波形で減算して各階毎の相対変位波形を算出するステップと、
前記各階の相対変位波形を代表する代表変位波形を算出するステップと、
前記代表変位波形と前記代表加速度波形に基づいて性能曲線を求めるステップを実行可能に構成されたコンピューターであって、
前記代表加速度波形の算出には、前記代表加速度波形に含まれる加速度値が等価質量比に応じて補正される演算が含まれ、
前記代表変位波形の算出には、前記代表変位波形に含まれる変位値が等価質量比に応じて補正される演算が含まれる、コンピューター。
地震波の計測加速度波形の周波数解析に基づいて所定周波数帯を反映し、前記所定周波数帯以外の周波数帯を反映しない絶対加速度波形を算出する処理を建物の階に対応して実行するステップと、
1以上の前記建物の階の前記絶対加速度波形を代表する前記代表加速度波形を算出するステップと、
前記絶対加速度波形の加速度値を積分処理して絶対変位波形を算出する処理を建物の各階に対応して実行するステップと、
建物の各階の絶対変位波形を基準点の絶対変位波形で減算して各階毎の相対変位波形を算出するステップと、
前記各階の相対変位波形を代表する代表変位波形を算出するステップと、
前記代表変位波形と前記代表加速度波形に基づいて性能曲線を求めるステップをコンピューターに実行させるプログラムであって、
前記代表加速度波形の算出には、前記代表加速度波形に含まれる加速度値が等価質量比に応じて補正される演算が含まれ、
前記代表変位波形の算出には、前記代表変位波形に含まれる変位値が等価質量比に応じて補正される演算が含まれる、プログラム。
なお、上述の説明から明らかなように、端末装置10やサーバー装置50には、図3に示すステップをCPU等の演算処理部に実行させるためのプログラムがインストールされている。このプログラムは、任意の非一過性(non-transitory)の情報記録媒体に記録可能であり、例えば、CDやDVD等の光学記録媒体、MD等の磁気記録媒体、ハードディスク、メモリ等の任意の種類の情報記録媒体に記録可能である。
何らかのシステム障害が発生することを想定し、各階の計測値又は演算値を端末装置10で記憶可能とし、リアルタイムではなくとも事後的な評価を可能にすることが望ましい。但し、演算処理負担をサーバーに一極集中させ、端末装置には演算処理負担を集中させない又は皆無とするシステム構成ポリシーを採用しても構わない。この場合には、図2に示したものとは異なるシステム構成を採用することになるだろう。
実施形態により端末装置10に等しいクライアントコンピューターやサーバー装置50として機能するコンピューターは、メモリ等の記憶装置とCPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置を含み、各種演算処理を実行可能なものである。従って、端末装置10やサーバー装置50に他の機能を付加する、若しくは本願に開示の機能を既存のコンピューターに付加的に付与する態様が想定される。端末装置は、集約的に演算処理するサーバーとの関係において便宜的に命名したものである。
上述の教示を踏まえると、当業者をすれば、各実施形態に対して様々な変更を加えることができる。判定の具体的な方法は任意である。本願においては、コンピューターによる処理を考慮して「データ」なる用語を用いている場合があるが、単純方法という観点からすれば、このような用語を無視して「加速度波形」や「変位波形」に関連する文意を理解するほうが簡便であるかもしれない。本願においては、振幅や波形という用語が、時間軸に沿った値の変動を意味するものとして用いられている場合があるが、情報という観点からすれば、多数の値が時間軸に沿って秩序付けられた集合若しくはデータであるものと把握できるだろう。
請求項で特定されたステップは、請求項において明示的に特定される場合を除き、順不同であるものと理解される。コンピューターが実行するステップを、ヒトによる実行により部分的に置換しても構わない。ある形態においては、ヒトによる実行を導入したとしても、全体として考えればコンピューターに依存した処理であることに変わりは無い。生成されたデータはシステムの任意の場所に記憶可能であり、同一のチップや同一のコンピューター内に記憶される必要はない。特許請求の範囲に記載された事項は「広義」に解釈されるべきであり、本願明細書の具体的な説明に照らして「狭義」に解釈することは許されない。
100 耐震性能評価システム
10 端末装置
50 サーバー装置

Claims (13)

  1. 地震波の計測加速度波形の周波数解析に応じて、前記計測加速度波形の所定周波数帯を反映し、前記所定周波数帯以外の周波数帯を反映しないように特徴づけられる性能曲線にして、代表変位を第1軸とし、代表加速度を第1軸に直交する第2軸とする座標において、時刻基準で対応する代表変位波形の値と代表加速度波形の値から定まる点の軌跡を示す性能曲線を求めるステップと、
    前記性能曲線の近似式を求めるステップと、
    地震波の計測加速度波形を前記近似式へ適用して仮想変位波形を求めるステップと、
    前記仮想変位波形を周波数解析し、前記所定周波数帯以外の前記周波数帯の少なくとも一部を反映する補正用変位波形を求めるステップと、
    前記性能曲線の基礎の前記代表変位波形を前記補正用変位波形に応じて補正するステップと、
    を含む、代表変位波形の補正方法。
  2. 前記性能曲線の基礎の前記代表加速度波形を算出するステップを更に含み、当該ステップが、
    地震波の計測加速度波形の周波数解析に基づいて前記所定周波数帯を反映し、前記所定周波数帯以外の前記周波数帯を反映しない絶対加速度波形を算出する処理を建物の階毎に実行する第1ステップと、
    前記建物の階毎の前記絶対加速度波形を代表する前記代表加速度波形を算出する第2ステップと、
    を含む、請求項1に記載の代表変位波形の補正方法。
  3. 前記周波数解析がウェーブレット変換の実行及びランクの選択を含む請求項2に記載の代表変位波形の補正方法であって、
    前記補正用変位波形を求める前記ステップに含まれる前記周波数解析の際に選択するランクには、前記代表加速度波形を算出する前記ステップの前記第1ステップの前記周波数解析の際に選択するランクが含まれない、代表変位波形の補正方法。
  4. 前記代表加速度波形を算出する前記ステップの前記第1ステップの前記周波数解析の際に選択するランクには、周波数毎の最大振幅値が最大の周波数が属するランクが含まれる、請求項3に記載の代表変位波形の補正方法。
  5. 前記代表加速度波形に含まれる加速度値は、等価質量比に応じて補正された値である、請求項2乃至4のいずれか一項に記載の代表変位波形の補正方法。
  6. 前記性能曲線の基礎の前記代表変位波形を求めるステップを更に含み、当該ステップが、
    前記絶対加速度波形の加速度値を積分処理して絶対変位波形を算出する処理を建物の階毎に実行するステップと、
    前記建物の階毎の絶対変位波形を基準点の絶対変位波形で減算して階毎の相対変位波形を算出するステップと、
    前記階毎の相対変位波形を代表する代表変位波形を算出するステップと、を含む、請求項2乃至5のいずれか一項に記載の代表変位波形の補正方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法により補正された前記代表変位波形に基づいて建物の残余耐震性能を評価する方法。
  8. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法により補正された前記代表変位波形と前記代表加速度波形から定まる性能曲線を用いて建物の残余耐震性能を評価する方法。
  9. 地震波の計測加速度波形の周波数解析に応じて、前記計測加速度波形の所定周波数帯を反映し、前記所定周波数帯以外の周波数帯を反映しないように特徴づけられる性能曲線にして、代表変位を第1軸とし、代表加速度を第1軸に直交する第2軸とする座標において、時刻基準で対応する代表変位波形の値と代表加速度波形の値から定まる点の軌跡を示す性能曲線を求める手段と
    前記性能曲線の近似式を求める手段と
    地震波の計測加速度波形を前記近似式へ適用して仮想変位波形を求める手段と
    前記仮想変位波形を周波数解析し、前記所定周波数帯以外の前記周波数帯の少なくとも一部を反映する補正用変位波形を求める手段と
    前記性能曲線の基礎の前記代表変位波形を前記補正用変位波形に応じて補正する手段を備える、代表変位波形を補正するための装置
  10. 地震波の計測加速度波形の周波数解析に応じて、前記計測加速度波形の所定周波数帯を反映し、前記所定周波数帯以外の周波数帯を反映しないように特徴づけられる性能曲線にして、代表変位を第1軸とし、代表加速度を第1軸に直交する第2軸とする座標において、時刻基準で対応する代表変位波形の値と代表加速度波形の値から定まる点の軌跡を示す性能曲線を求めさせ、
    前記性能曲線の近似式を求めさせ、
    地震波の計測加速度波形の前記近似式への適用により仮想変位波形を求めさせ、
    前記仮想変位波形を周波数解析させて、前記所定周波数帯以外の前記周波数帯の少なくとも一部を反映する補正用変位波形を求めさせ、
    前記性能曲線の基礎の前記代表変位波形を前記補正用変位波形に応じて補正させる各ステップをコンピューターに実行させるプログラム。
  11. 請求項10に記載のプログラムが読出し可能に記録された情報記録媒体。
  12. 地震波の計測加速度波形の周波数解析に基づいて所定周波数帯を反映し、前記所定周波数帯以外の周波数帯を反映しない絶対加速度波形を算出する処理を建物の階毎に実行するステップと、
    記建物の階の前記絶対加速度波形を代表する代表加速度波形を算出するステップと、
    前記絶対加速度波形の加速度値を積分処理して絶対変位波形を算出する処理を前記建物の階毎に実行するステップと、
    前記建物の階毎の絶対変位波形を基準点の絶対変位波形で減算して階毎の相対変位波形を算出するステップと、
    前記階毎の相対変位波形を代表する代表変位波形を算出するステップと、
    代表変位を第1軸とし、代表加速度を第1軸に直交する第2軸とする座標において、時刻基準で対応する前記代表変位波形の値と前記代表加速度波形の値から定まる点の軌跡を示す性能曲線を求めるステップと、
    前記性能曲線の近似式を求めるステップと、
    地震波の計測加速度波形を前記近似式へ適用して仮想変位波形を求めるステップと、
    前記仮想変位波形を周波数解析し、前記所定周波数帯以外の前記周波数帯の少なくとも一部を反映する補正用変位波形を求めるステップと、
    前記代表変位波形を前記補正用変位波形に応じて補正するステップと、
    前記補正用変位波形による補正後の前記代表変位波形、及び前記代表加速度波形に基づいて性能曲線を求め、この求めた性能曲線に基づいて前記建物の残余耐震性能を評価するステップと、
    を含む、建物の残余耐震性能を評価する方法。
  13. 地震波の計測加速度波形の周波数解析に基づいて所定周波数帯を反映し、前記所定周波数帯以外の周波数帯を反映しない絶対加速度波形を算出する処理を建物の階毎に実行する手段と
    記建物の階の前記絶対加速度波形を代表する代表加速度波形を算出する手段と
    前記代表加速度波形の加速度値を積分処理して絶対変位波形を算出する処理を前記建物の階毎に実行する手段と
    前記建物の階毎の絶対変位波形を基準点の絶対変位波形で減算して階毎の相対変位波形を算出する手段と
    前記階毎の相対変位波形を代表する代表変位波形を算出する手段と
    代表変位を第1軸とし、代表加速度を第1軸に直交する第2軸とする座標において、時刻基準で対応する前記代表変位波形の値と前記代表加速度波形の値から定まる点の軌跡を示す性能曲線を求める手段と
    前記性能曲線の近似式を求める手段と
    地震波の計測加速度波形を前記近似式へ適用して仮想変位波形を求める手段と
    前記仮想変位波形を周波数解析し、前記所定周波数帯以外の前記周波数帯の少なくとも一部を反映する補正用変位波形を求める手段と
    前記代表変位波形を前記補正用変位波形に応じて補正する手段と
    前記補正用変位波形による補正後の前記代表変位波形、及び前記代表加速度波形に基づいて性能曲線を求め、この求めた性能曲線に基づいて前記建物の残余耐震性能を評価する手段を備える、耐震性能評価システム。
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