以下、図面に従って本発明を適用したデジタルカメラを用いて好ましい実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係わるカメラ10の構成を示すブロック図である。カメラ10は、画像処理及び制御部1、撮像部2、顔検出部2a、記録部4、加速度検知部5、傾き検知7、操作判定部6、表示部8、タッチパネル8b、時計部9を有している。
撮像部2は、撮影レンズ2b(図5参照)によって形成された被写体像を光電変換する撮像素子を有し、画像データを画像処理及び制御部1等に出力する。顔検出部2aは、撮像部2から出力され画像処理および制御部1によって画像処理された画像データを入力し、画像の中に顔が含まれているか否かを判定し、顔が含まれていた場合にはその位置等を検知する。画像処理及び制御部1は、撮像部2から出力される画像データの画像処理を行う。また、画像処理及び制御部1は、予め記憶部(不図示)に格納されたプログラムに従って、カメラ10全体の制御を行う。なお、画像処理としては、静止画画像処理および動画画像処理が可能である。
画像処理および制御部1内には、第1電源制御部1a、第2電源制御部1b、第3電源制御部1c、重力判定部1dが設けられている。第1電源制御部1aは、バックライト等を有し消費電力の最も大きい表示部8や、次に消費電力の大きい撮像部2および顔検出部2a等を含む撮像系等への電源供給を制御する。第1電源制御部1aによって電源供給されると、カメラ10は通常の動作を実行することができる。
第2電源制御部1bは、加速度検知部5からの加速度検知信号のAD変換を行い、後述する重力判定部1d等への電源供給を制御する。第3電源制御部1cはタッチパネル8bへの電源供給を制御する。なお、加速度検知部5中のコンパレータ5aは、電源オフ状態でも微小電力(10μWレベル)で電源供給されており、3軸または1軸のいずれかの方向に所定値以上の振動を検出した場合には、コンパレータ5aから信号が出力する。また、第2電源制御部1bから重力判定部1dに電源供給が開始されると、加速度検知部5や重力判定部1dにも連続的にさらなる電源供給がなされ、細かい振動が検出可能である。
重力判定部1dは、カメラ10の構え方や動かし方による重力の変化、さらに詳細な加速度を判定する判定部であって、後述する加速度検知部5から加速度センサ50の検知出力を入力し、この検知出力をAD変換するAD変換器を有する。また、重力判定部1dは、AD変換された加速度センサ50の検知出力に基づいて、カメラ10に印加された加速度の大きさに基づいて重力を判定する。
加速度検知部5は、カメラ10に加えられた加速度を検出する。加速度検知部5は、カメラ10の長手方向、これと直交する方向等を検出するために、加速度センサ50が3か所に配置され、それぞれで加速度を検知する。加速度検知部5内には、加速度センサ50からの検知出力が所定値よりも大きいか否かを判定するコンパレータ5aと接続されている。このコンパレータ5aの消費電力は極めて小さく、10μAオーダーである。このコンパレータ5aの出力は画像処理および制御部1に接続され、割り込み処理を行うことができる。また、加速度センサ50の検知出力(アナログ)は、前述したように重力判定部1dのAD変換器に接続されている。
加速度検知部5で検知された加速度によってカメラ10の振動を検知し、図示しない防振機構によって撮像部2における手ぶれ防止を行う。また、加速度検知部5の検知結果を用いて、カメラ10の傾き状態を判定し、後述するように、電源制御の際に用いる。またカメラ10がしっかり保持されているか否かの判定の際に利用する。さらに、加速度検知部5は、加速度以外にも、重力の方向が検知可能であり、カメラ10が縦構図か横構図に位置しているかの判定に利用することができる。加速度検知部5の詳細については、図3を用いて後述する。
傾き検知部7は、カメラ10の傾き状態を検知する。この傾き検知部7の構造については、図2を用いて後述する。操作判定部6は、カメラ10に設けられたレリーズ釦、ズーム釦、再生釦、メニュー釦等の操作部材の操作状態を判定する。メニューモードにおいては、種々のモード、例えば、動画撮影モード、静止画撮影モード等を設定可能である。
時計部9は、日時情報を出力する。記録部4は、画像データを記録する記録媒体である。画像処理及び制御部1は、操作判定部6によって撮影指示の操作がなされたことを判定すると、画像データとこの画像データに関連付けて撮影日時情報を記録部4に記録する。撮影日時に基づいて画像管理を可能とするためである。
表示部8は、カメラ10の背面等に配置された、液晶モニタ等の表示装置で構成される。また、表示部8は、撮像部2からの画像データに基づいて、被写体像を動画でライブビュー表示したり、また記録部4に記録されている撮影画像を再生可能である。表示部8の表面には、タッチパネル8bが配置されており、撮影者の指等のタッチを検出可能である。メニューモードに設定されると、表示部8にはメニュー画面が表示され、表示されているメニュー、例えば、動画撮影、静止画撮影等をタッチすることにより設定可能である。また、再生モードが選択された場合には、一覧表示された撮影画像の中から、希望する画像をタッチすることにより、拡大して表示することも可能である。タッチパネル8bの詳細は、図4を用いて後述する。
次に、カメラ10の傾き状態を検知する傾き検知部7について、図2を用いて説明する。傾きを検知するセンサとしては、種々あるが、図2に示した一例は、永久磁石を常に重力方向を向くようにし、この磁石をホール素子によって検出するようにしたものである。すなわち、永久磁石7bは支持腕部7cによって支持されており、支持腕部7cは軸7dの周りを回動自在である。永久磁石7bは、重力方向に向くように軸7dの周りを回動する。永久磁石7bの回動経路中には、ホール素子7aが配置されており、このホール素子7aによって永久磁石7bの磁界の変化が検出される。
カメラ10の姿勢が水平状態(横構図姿勢)にある場合には、永久磁石7bは図2(a)に示すような位置にあり、一方、傾くと図2(b)に示すように永久磁石7bは傾く。ホール素子7aによって、永久磁石7bの傾き状態を検出することにより、カメラ10の姿勢を検知し、カメラ10が縦構図の姿勢か横構図の姿勢か等について判定することができる。
次に、カメラ10に加えられた加速度を検出する加速度検知部5について図3を用いて説明する。加速度センサ50は、図3(a)に示すように、チップ表面の金属部52と、架橋された金属部51から構成されている。金属部51は、4つの基点51aとこの基点51aによって保持されるH形状をした架橋部51bと、金属部52と対向する検知部51cとから構成される。加速度センサ50は、検知部51cと金属部52で構成されるコンデンサの容量を検知する。図3中の矢印Aの方向に金属部51が移動すると、コンデンサの容量が変化することから、この変化量を求めることにより、矢印A方向の加速度を検知することができる。
また、加速度センサ50の検知出力は、図3(b)(c)に示すように、加えられた加速度の方向によって検知出力が異なる。すなわち、図3(b)に示すように、先にプラス出力が出た後にマイナス出力に変化する場合と、図3(c)に示すように、先にマイナス出力が出た後にプラス出力が変化する場合では、加速度の向きが異なる。このため、信号の変化を検知することにより加速度の向きも分かる。
前述の加速度センサ50は、図3(d)に示すように、カメラ10に3か所配置される。すなわち、カメラ10の長手方向(X方向)の加速度を検知する加速度センサ50X、カメラ10の長手方向と直交する(Y方向)の加速度を検知する加速度センサ50Y、カメラ10の左側であって光軸方向(Z方向)の加速度を検知する加速度センサ50Zが配置され、それぞれの方向に沿っての加速度を検知する。
次に、タッチパネル8bの構造を、図4に示す。このタッチパネル8bは、光電センサ型タッチパネルである。このタッチパネル8bは、図4(a)に示すように、液晶80内に光センサ80bが所定の間隔で2次元的に配列されており、液晶80の背面にはバックライト80aが設けられている。なお、この光電センサ型のタッチパネルは、液晶上に配置されるのではなく、液晶内に一体に組み込まれる。タッチパネルとしては、光電センサ型以外にも、抵抗膜方式等、他のタッチパネルを用いても良い。
ユーザの指81がタッチパネル8bに近づくと、図4(b)に示すように、バックライト80aからの光が、指81によって反射され、光センサ80bによって検出される。いずれの光センサ80bが指81からの反射光を検出したかによって、タッチ位置を検出することができる。
次に、本実施形態における撮影開始時における電源オンの仕方について、図5を用いて説明する。図5(a)は、撮影者15が撮影を行うべくカメラ10を構えた様子である。この場合には、カメラ10を水平に構え(横構図姿勢)、撮影レンズ2bを被写体側に向け、カメラ10の背面側は撮影者15を向いている。このときのX方向、Y方向、Z方向は、図に示すように、X方向はカメラ10の長手方向と同じ方向であり、Y方向は長手方向と直交し、また重心方向であり、Z方向は撮影レンズ2bの光軸方向である。
図5(a)に示したカメラ10を構えた状態で、撮影者15が、あたかもカメラ10にお辞儀をさせるように、前後動すると、本実施形態においては、カメラ10の電源がオンとなる。すなわち、カメラ10を、まず前側に倒し、続いて、カメラ10を元の位置戻すと、このときの動きを加速度検知部5によって検知し、この検知結果に基づいてカメラ10の電源をオンする。
図6に加速度検知部5の加速度センサ50X、50Y、50Zの検知出力の時間変化を示す。撮影者15がカメラ10を構えると、加速度センサ50Yは重力の影響を受け、ほぼ1G程度の検知信号を出力し、他の加速度センサ50X、50Zはほぼゼロの検知信号で、いずれの検知信号も手振れによる信号が重畳している。
時刻t1のタイミングにおいて、撮影者15がカメラ10を前側に倒すと、図6に示すように、加速度センサ50Zの検知出力は急激に増大し、ほぼ3G相当の値になる。また加速度センサ50Yの検知出力は、急激に低下する。そして、時刻t2のタイミングで、撮影者15がカメラ10の傾きを戻して構えると、加速度センサ50Zの検知出力は一旦マイナス側まで減少した後、元のレベルに戻る。また、加速度センサ50Yの検知出力は一旦ほぼ3G相当の値まで増加した後に、元のレベルである略1G相当の値に戻る。
このように、加速度センサ50Y、50Zの信号変化を検知することにより、カメラ10が構えられた状態から、前側に倒れ、その後、元の位置の構えた位置に戻ったか否かを判定することが可能となる。本実施形態においては、電源オフの状態においても、加速度検知部5のコンパレータ5aには電源供給し続ける。そして、カメラ10を傾けた際に発生する略3G相当の加速度信号が発生すると、コンパレータ5aから信号が画像処理および制御部1に出力され、第2電源制御部1bによって、重力判定部1dおよび加速度検知部5全体に電源を供給する。重力判定部1dは加速度の変化を細かく検出し、カメラ10の動きを判定し、電源をオンするか否かの判定を行うようにしている。
次に、本実施形態における電源オンの動作を図7に示したフローチャートを用いて説明する。図7に示すフローの内、ステップS101およびS102は、画像処理および制御部1によって実行されるのではなく、ハードウエア的に実行される。まず、加速度センサをコンパレータモードに設定し、センサを初期化する(S101)。このステップは、電源オフ状態となると、加速度検知部5内のコンパレータ5aに電源供給され、コンパレータ5aで加速度センサ50の検知信号と判定値との比較を行うコンパレータモードに設定する。
続いて、Zの重力振幅が大であるか否かの判定を行う(S102)。ここでは、コンパレータ5aによって、加速度センサ50Zから出力される加速度信号が略3Gを超えるレベルであるか否かを判定する。この判定の結果、振幅が大でなかった場合には、S101に戻る。
ステップS102における判定の結果、振幅が大であった場合には、次に、電力を微増し、加速度を細かく検出する(S103)。ここでは、第2電源制御部1bによって、加速度検知部5の全体および重力判定部1dに電源供給が開始される。すなわち、ステップS102では、略3Gを超える加速度が印加されたことが分かるだけであり、その加速度の値の変化については不明であることから、重力判定部1dのAD変換部において加速度を細かく検出する。
加速度を細かく検出すると、次に、前に掛かっていたZの重力が減少しているかを検出する(S104)。図6に示した信号変化のグラフから分かるように、タイミングt1において、カメラ10を前に倒すと加速度センサ50Zの信号出力は増大し、ピークを迎えると、減少に転ずる。このステップS104では、加速度センサ50Zの信号出力をAD変換し、ピークを越えたか否かを判定する。
ステップS104における判定の結果、減少していなかった場合には、所定時間が経過したか否かの判定を行う(S121)。ここでは、ステップS102において、Zの重力振幅大を検知してからの時間が所定時間を経過したか否かを判定する。この所定時間は、撮影者15がカメラ10を前に倒すにあたって十分な時間、例えば、1秒程度とする。所定時間が経過するのを待ち、その間、重力が減少しなかった場合には、撮影者15が電源オンのための動作を行わなかったとして、ステップS101に戻り、電源オフの状態に戻る。
ステップS104における判定の結果、重力が減少した場合には、次に、Yの重力が略1Gか否かの判定を行う(S105)。ここでは、加速度センサ50Yからの信号出力をAD変換し、その値が略1G相当か否かを判定する。図6に示すように、タイミングt2においてカメラ10を元の姿勢(構えた姿勢)に戻し、落ち着くと、加速度センサ50Yの値は略1G相当となる。このステップS105は、この構えた状態に戻ったか否かの判定である。
ステップS105における判定の結果、1G程度となっていなかった場合には、所定時間が経過したか否かの判定を行う(S105)。ここでは、ステップS104において、Zの重力減少となった時点から計時動作を開始し、所定時間が経過したかを判定する。この所定時間としては、前側に倒したカメラ10を戻すのに充分な時間、例えば、1秒程度とする。所定時間が経過するのを待ち、その間、重力が減少しなかった場合には、撮影者15が電源オンのための動作を行わなかったとして、ステップS101に戻り、電源オフの状態に戻る。
ステップS105における判定の結果、Yの重力が1G程度になると、次に、電力増1を行い、タッチパネルをオンにする(S111)。ここでは、第3電源制御部1cによって、タッチパネル8bに電源供給を行い、タッチパネル8bからのタッチ信号を検出する。また、第1電源制御部1cによって撮像系に電源供給を開始し、撮像動作を開始する。なお、本実施形態においては、焦点距離を変化させるにあたって、外形が変化するズームレンズのような可動部を有していないことを想定しており、また、ズーム位置はワイド側で画角が広く、ピントは常焦点位置に初期化されていることが望ましい。
続いて、カメラ10を正しく構えているか否かの判定を行う(S112)。ここでは、撮影者15がカメラ10を保持しているかを判定する。単にカメラ10が前後動しただけで、撮影者15がカメラ10を正しく構えていな場合には、電源オンしても無駄な消費電力となるからである。正しく構えているか否かの判定については、図8を用いて後述する。
ステップS112における判定の結果、正しく構えていなかった場合には、所定時間が経過したか否かの判定を行う(S113)。ここでは、ステップS105において、Yの重力が1G相当となった時点から計時動作を開始し、所定時間が経過したかを判定する。この所定時間としては、元に戻した状態からカメラ10を正しく構えるのに充分な時間、例えば、右手で構えてから、左手を添えるまでの5秒程度とする。所定時間が経過するのを待ち、所定時間経過しても、正しく構えなかった場合には、撮像オフする(S114)。ここでは、第1電源制御部1aによって撮像系への電源供給をオフする。撮像をオフすると、ステップS101に戻り、電源オフの状態に戻る。
ステップS112における判定の結果、正しく構えていた場合には、電力増2を行い、表示をオンし、電源オン状態とする(S115)。電力増2を行うことにより、カメラ10は電源オン状態となって、通常のカメラ動作を実行可能となる。
このように、本実施形態における電源オンのフローは、電源オフ状態においても、加速度検知部5のコンパレータ5aに電源供給しておき、撮影者15による意図的な動作、すなわち、前に倒したかを判定可能としている。コンパレータ5aから検知信号が出力されると、加速度検知部5の出力信号をAD変換し、その動きを細かく検知して、カメラ10の動きを判定し、撮影者15による意図的な動作、すなわち、カメラ10を前に倒し、その後、元の構えた位置に戻していることを判定した場合には電源オンを行うようにしている。
カメラ10を前に倒すような動きの後に、続けて元の位置に戻るような動作は、撮影者15が意図的に行わなければ日常生活の中では発生しない。したがって、本実施形態においては、電源オフ状態から電源オンとなる誤動作を防止することができる。
また、本実施形態においては、前に倒した後に元の位置に戻したことを検知した場合であっても、さらに、正しく構えているか否かを判定しているので(S112参照)、さらに誤動作を防止することができる。
なお、本実施形態においては、ステップS102においてZの重力振幅を検知しているが、コンパレータ5aが、Z方向のみを検出するタイプでなく、X・Y・Z方向の全ての方向を検出するタイプの場合でも良い。この場合には、X・Y・Zの全方向の振幅を検出することになるが、ステップS103において、各方向について、加速度を検知してステップS104において判定すれば良い。
また、本実施形態においては、ステップS105においてYの重力が1G程度になったことを検出した場合には、さらにステップS112において正しく構えているか否かの判定を行っている。しかし、Yの重力が1G程度になった場合には、撮影者15はカメラ10を前に倒し、元の位置、すなわち構えた状態としたことから、この時点で直ちに電力増2を行って、表示をオンとし、撮影状態にしても良い。
次に、ステップS112におけるカメラを構えたか否かの判定について、図8を用いて説明する。図8(a)に示すフローに入ると、まず、横構図か否かを判定し(S201)、横構図でなかった場合には、縦構図か否かの判定を行う(S202)。横構図か縦構図かは、加速度検知部5の出力に基づいて判定する。なお、加速度検知部5以外にも、例えば、重力検知器等を設けて、この出力を用いて判定するようにしても良い。
ステップS201またはステップS202において、Yesと判定された場合、すなわち、横構図か縦構図であった場合には、次に、1秒間振動なしか否かの判定を行う(S203)。このステップでは、加速度検知部5の検知出力に基づいて、1秒間の間、振動がなかったか否かを判定する。なお、1秒間は例示であり、この時間は、これよりも長くても、短くても良く、カメラを正しく構えたといえる程度の時間の間、振動がなければ良い。
ステップS203における判定の結果、1秒間の間、振動がなければ、次に、所定位置をタッチしているか否かの判定を行う(S204)。このステップでは、タッチパネル8bよりの検知出力に基づいて判定する。横構図の場合には、図8(b)に示すように、右上を保持されることから、この部分に対応する検知出力があるか否かを判定する。また、縦構図の場合にも、この部分を保持されるので、同様にタッチパネル8bの検知出力に基づいて判定する。
ステップS204における判定の結果、所定位置がタッチされていた場合には、Yes判定とする。すなわち、この場合には、横構図または縦構図で所定時間の間、振動がなく、撮影者が所定位置を把持していることから、カメラを正しく構えたと判定される。一方、ステップS202における判定の結果、横構図でも縦構図でなかった場合、またはステップS203において、振動があった場合、またはステップS204における判定の結果、所定位置をタッチしていなかった場合には、No判定とする。この場合は、カメラを正しく構えている状態でない。
このように、図8(a)に示すフローでは、カメラをしっかりと保持して構えているか否かを判定することができる。前述したように、電源オンのフローでは、カメラを構えていた場合には、表示をオンし、通常のカメラ動作モードを開始する。
以上、説明したように、本発明の第1実施形態においては、加速度検知部によって重力以上の出力を常時判定しており、重力以上の出力を検出した場合には(S102→Yes)、カメラの表示部8を見ながら構えた場合の天地方向の姿勢変化を検出すると(S104→Yes、S105→Yes)、電源オンとしている(電力増1)。このため、構えたときの動作だけで電源がオンとなり、その他の状態では誤動作で電源オンとなってしまうことがない。つまり、構えたときのカメラの天地方向の姿勢変化を行うだけで電源オンとすることができ、この姿勢変化は通常の日常動作では起こることがない。また、これらの動作は所定時間内に行われることから、撮影者の意図を反映していると考えられる。このような動作を検出していることから、誤動作で電源オンとなることがない。なお、本実施形態においては、所定時間内か否かを判定していたが、これに限らず、所定時間より速い動きを不自然とする判断を追加しても良い。
次に、本発明の第2実施形態について、図9ないし図12を用いて説明する。第1実施形態においては、カメラ10を構えた位置から、前に倒し、続けて元の位置に戻したことを検知した場合に、電源オンを行っていた。第2実施形態においては、カメラ10を構えた位置から、前ではなく横にカメラ10を傾け、続けて元の位置に戻したことを検知した場合に、電源オンを行うようにしている。第2実施形態における構成は第1実施形態の図1と同様であり、図7に示したフローを図11に示すフローチャートに置き換えることだけである。相違点を中心に説明する。
図9は、第2実施形態において、カメラ10を電源オンする仕方を示す。図9(a)は、図5(a)と同様であり、撮影者15が撮影を行うべくカメラ10を構えた様子である。図9(a)に示したカメラ10を構えた状態で、撮影者15が、カメラ10を左右に1往復すると、カメラ10の電源がオンとなる。すなわち、カメラ10を、まず左右のいずれかに傾け、続いて、カメラ10を元の位置戻すと、このときの動きを加速度検知部5によって検知し、この検知結果に基づいてカメラ10の電源をオンする。
図10に加速度検知部5の加速度センサ50X、50Y、50Zの検知出力の時間変化を示す。撮影者15がカメラ10を構えると、第1実施形態の場合と同様に、加速度センサ50Yは重力の影響を受け、ほぼ1G程度の検知信号を出力し、他の加速度センサ50X、50Zはほぼゼロの検知信号で、いずれの検知信号も手振れによる信号が重畳している。
時刻t11のタイミングにおいて、撮影者15がカメラ10を左側または右側に傾けると、図10に示すように、加速度センサ50Xの検知出力は急激に増大し、ほぼ3G相当の値になる。また加速度センサ50Yの検知出力は、急激に低下する。そして、時刻t13のタイミングで、撮影者15がカメラ10の傾きを戻して構えると、加速度センサ50Xの検知出力は一旦マイナス側まで減少した後、元のレベルに戻る。また、加速度センサ50Yの検知出力は一旦ほぼ3G相当の値まで増加した後に、元のレベルである略1G相当の値に戻る。
このように、加速度センサ50X、50Yの信号変化を検知することにより、カメラ10が構えられた状態から、左側または右側に傾き、その後、元の位置の構えた位置に戻ったか否かを判定することが可能となる。
次に、本発明の第2実施形態における電源オンの動作を図11に示したフローチャートを用いて説明する。この電源オンのフローチャートは、図7に示した第1実施形態における電源オンのフローチャートと比較すると、ステップS102をS102bに、ステップS104をS104bに、ステップS111をS111bに、ステップS112をS112bに置き換える以外は、同じであるので、この相違点を中心に説明する。
電源オンのフローに入り、加速度センサをコンパレータモードに設定すると(S101)、次に、Xの重力振幅が大か否かの判定を行う(S102b)。ここでは、加速度センサ50Xの出力が、略3G相当の値を超えたか否かの判定を行う。図10を用いて説明したように、カメラ10を右側または左側に傾けると、X方向の加速度が大きくなることから、ここでの判定は、撮影者15が電源オンするためにカメラを傾けたか否かである。
ステップS102bにおける判定の結果、Xの重力振幅が大であった場合には、次に、加速度を細かく検出し(S103)、Xの重力が減少しているか否かの判定を行う(S104b)。このステップでは、加速度センサ50Xの信号出力をAD変換し、この値が減少傾向にあるか否かを判定する。右側または左側にカメラ10を傾け、再び、元の位置に戻すときに加速度センサ50Xの信号出力はピークとなり、その後、減少することから、このステップでは、ピークを過ぎたか否かの判定を行う。
ステップS104bにおける判定の結果、Xの重力が減少した場合には、次に、Yの重力が略1G程度になったか否かの判定を行う(S105)。この判定の結果、略1G程度であれば、次に、撮像系をオンとする(S111b)。略1G程度であれば、元の位置、すなわち、カメラ10を構えた位置に戻っていることから、このステップでは、第1電源制御部1aによって、撮像系に電源を供給する。
撮影系をオンとすると、次に、撮影に適当か否かの判定を行う(S112b)。撮影が適当か否かの判定としては、例えば、撮像部2からの画像データに基づいて、周囲が暗いか否かの判定を行う。鞄やケースの中に入ったままの状態の場合には、周囲が暗く、このような場合には、撮影に適さないと判定される。
ステップS112bにおける判定の結果、撮影に適当であれば、電力増2を行い、表示をオンする(S115)。電力増2を行うことにより、カメラ10は電源オン状態となって、通常のカメラ動作を実行可能となる。
このように、本実施形態における電源オンのフローは、第1実施形態と同様に、電源オフ状態においても、加速度検知部5のコンパレータ5aに電源供給しておき、撮影者15による意図的な動作、本実施形態においては、左右のいずれかに傾けたかを判定可能としている。コンパレータ5aから検知信号が出力されると、加速度検知部5の出力信号をAD変換し、その動きを細かく検知して、カメラ10の動きを判定し、撮影者15による意図的な動作、すなわち、カメラ10を傾け、その後、元の構えた位置に戻していることを判定した場合には電源オンを行うようにしている。
カメラ10を傾けるような動きの後に、続けて元の位置に戻るような動作は、撮影者15が意図的に行わなければ日常生活の中では発生しない。したがって、本実施形態においては、電源オフ状態から電源オンとなる誤動作を防止することができる。
また、本実施形態においては、傾けた後に元の位置に戻したことを検知した場合であっても、さらに、撮影に適当か否かを判定しているので(S112b参照)、さらに誤動作を防止することができる。
次に、本実施形態における電源オフについて、図12に示すフローチャートを用いて説明する。撮影者15がカメラ10を傾ける動作を行うと電源オフするようにしている。すなわち、電源オフも電源オンと同様、カメラ10を傾ける動作によって行うことができる。
まず、撮影モードを実行する(S501)。ここでは、被写体像を表示部8で観察し、構図を決めると、レリーズ操作により画像データを記録部4に記録する。撮影モードを実行すると所定のタイミングで、Xの重力振幅が大であるか否かの判定を行う(S502)。ここでは、加速度センサ50Xの信号出力をAD変換し、重力判定部1dにおいて、振幅が大きくなったか否かを判定する。この判定の結果、大きくなっていなければ、ステップS501に戻り、撮影モードを続行する。
一方、ステップS502における判定の結果、Xの重力振幅が大となった場合には、次に、Xの重力が減少したか否かの判定を行う(S503)。前述したように、カメラ10を構えた位置から左右のいずれかに傾け、元の位置に戻すと、加速度センサ50Xの信号出力が増大した後、減少する。このステップS502およびS503において、左右のいずれかに傾け、元の位置に戻ったかを判定する。
ステップS503における判定の結果、Xの重力が減少しなかった場合には、次に、所定時間が経過したかを判定する(S504)。ここでは、ステップS502においてXの重力振幅が大になってからの時間が所定時間経過したかを判定する。所定時間としては左右のいずれかにカメラ10を傾けるに十分な時間とする。所定時間が経過するのを待ち、その間、重力が減少しなかった場合には、撮影者15が電源オフのための動作を行わなかったとして、ステップS501に戻り、撮影モードを続行する。
ステップS503における判定の結果、Xの重力が減少した場合には、次に、Yの重力が略1G程度になったか否かの判定を行う(S505)。この判定の結果、略1G程度になっていなかった場合には、所定時間が経過したか否かの判定を行う(S506)。ここでは、ステップS503において、Xの重力が減少した時点から計時する。所定時間としては、一旦、左又は右に傾いてから元の位置に戻るのに充分な時間とする。所定時間が経過するまでYの重力が略1Gになったか否かを判定し、略1Gになることなく、所定時間が経過すると、ステップS501に戻り、撮影モードを続行する。撮影者15が電源オフのための動作を行わなかったと判断されるためである。
ステップS505における判定の結果、Yの重力が略1G程度になると、撮像と表示をオフし、電源オフ状態とする(S507)。電源オフ状態となると、コンパレータ5a等を除いて電源供給が停止され、電源電池の消耗が防止される。
このように、電源オフのフローにおいては、電源オン時と同様に、カメラ10を左右のいずれか傾けることにより、カメラ10の電源をオフすることができる。このため、わざわざ、電源スイッチをオフすることを省くことができ、即座に電源オフとすることができる。
以上、説明したように、本発明の第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、加速度検知部によって重力以上の出力を常時判定しており、重力以上の出力を検出した場合には(S102b→Yes)、カメラの表示部8を見ながら構えた場合の天地方向の姿勢変化を検出すると(S104b→Yes、S105→Yes)、電源オンとしている(電力増1)。このため、構えたときの動作(左右のいずれかに傾ける)だけで電源がオンとなり、その他の状態では誤動作で電源オンとなってしまうことがない。つまり、構えたときのカメラの天地方向の姿勢変化を行うだけで電源オンとすることができ、この姿勢変化は通常の日常動作では起こることがなく、また、これらの動作は所定時間内に行われることから、撮影者の意図を反映していると考えられ、誤動作で電源オンとなることがない。なお、本実施形態においても、第1、第2実施形態と同様に、所定時間内か否かを判定していたが、これに限らず、所定時間より速い動きを不自然とする判断を追加しても良い。
次に、本発明の第3実施形態について、図13ないし図17を用いて説明する。本発明の第1および第2実施形態においては、前に倒したり、左右に傾ける等、特定の動きを行った場合には、撮像系をオンとし、撮影者がレリーズ釦を操作することにより撮影を行うことができた。本実施形態においては、左右に傾け、元の位置に戻る際に、連写または連続撮影を開始するようにしている。本実施形態の構成は、第1実施形態の図1と同様であり、図7に示したフローを図13に置き換えるだけである。そこで相違点を中心に説明する。
本実施形態において、電源をオンするための動作は、図9に示した第2実施形態での動作において、左右のいずれかに傾け、戻すタイミングで電源をオンとしている。すなわち、図10に示した加速度検知信号の波形において、加速度センサ50Xが増加から減少に転ずるタイミングt12を検知すると、この時点で電源をオンとし(電力増2)、撮像系に電源を供給する。また、このタイミングt12から撮像を開始する。
図13に示すフローチャートを用いて、本実施形態のカメラ10の動作を説明する。本実施形態における電源オンのフローに入ると、第2実施形態と同様に、まず、加速度センサ50X〜50Zをコンパレータモードに設定し、センサの初期化を行う(S101)。続いて、加速度センサ50Xの重力振幅が大であるか否かの判定を行う(S102b)。この判定の結果、重力振幅が大でなければ、ステップS101に戻る。ステップS101、S102bは、第1および第2実施形態と同様、ハードウエア的に実行される。
ステップS102bにおける判定の結果、加速度センサ50Xの重力振幅が大であれば、次に、加速度を細かく検出する(S103)。ここでは、第1および第2実施形態と同様、加速度センサ50Xから信号出力に基づいて重力判定部1dによって検出する。続いて、Xの重力が減少開始したか否かの判定を行う(S107)。ここでは、加速度センサ50Xの信号出力が減少し出すかを判定する。この減少開始する位置は、左右のいずれかに傾け、最傾角度から戻り出す位置に対応する。
ステップS107における判定の結果、Xの重力が減少していなかった場合には、次に、所定時間が経過したか否かの判定を行う(S121)。ここでは、ステップS102bにおいてXの重力振幅が大と判定されたタイミングから、所定時間が経過したか否かの判定を行う。所定時間としては、通常、カメラ10を左右のいずれかに傾けた際に、最傾角度となるまでに十分な時間とする。このステップS121における判定の結果、所定時間が経過していなかった場合には、ステップS107に戻り、一方、所定時間が経過すると、ステップS101に戻り、電源オフ状態となる。
ステップS107における判定の結果、Xの重力が減少開始となると、次に、撮像系をオンし、連写を開始、傾補正情報を記録する(S108)。ここでは、第1電源制御部1aによって撮像系に電源を供給する(電力増2)と共に、撮像部2によって連写を開始し、連写の画像データと共に、加速度検知部5から取得した傾きに関する傾補正情報を記録する。
連写等を開始すると、次に、Xに所定時間重力があるか否かの判定を行う(S109)。ここでは、カメラ10を左右いずれかに傾け、最傾角度となっていから、所定時間経過しても加速度センサ50Xからの重力相当の信号出力があるか否かを判定する。この判定の結果、Xに所定時間経過しても重力があった場合には、次に、撮像をオフする(S110)。この場合は、カメラ10を左右いずれかに傾けただけであって、撮影者が意図的に電源オンとした状態でないことから、撮像をオフしている。撮像をオフすると、ステップS101に戻り、電源オフ状態となる。
一方、ステップS109における判定の結果、所定時間経過後にXに重力がなければ、次に、Z方向に重力なしか否かの判定を行う(S116)。ここでは、加速度センサ50Zの信号出力に基づいて判定する。この判定の結果、Z方向に重力があった場合には、連写を継続し、古い画像は消去する(S117)。ステップS109においてX方向に重力相当の加速度がなくなり、またステップS116においてZ方向にも重力相当の加速度がないことを検出していることから、この場合には、カメラ10は元の構えた位置に戻っている。この場合には、ステップS108において開始した連写を継続し、メモリ容量がオーバーした場合には古い画像から消去する。続いて、第1および第2実施形態と同様に、表示オンとする。
一方、ステップS116における判定の結果、Z方向に重力相当の加速度があった場合には、再生モードに切り替え、連写結果を消去する(S118)。Z方向に重力があるのは、撮影者がカメラ10を前側に倒し、表示部8を見ている状態である。そこで、再生モードに切り替えると共に、連写結果の消去を行い、ステップS109に戻る。
以上の電源オンの動作を、図14ないし図16を用いて説明する。図14は運動会等において、走っている姿を見て、カメラ10を左右のいずれかに傾け電源オンにし、連写している様子を示す。図14(a)は、カメラ10を一番傾けた状態から元に戻し始めた様子であり、図14(b)(c)と順次、元の位置に戻っていく様子であり、図14(d)は横構図の位置に戻ったところである。
前述したように、ステップS108において連写を開始し、そのときのカメラ画角21において図14(a)〜(d)に示すように、連写を行う。傾ける等、特定の動作によってカメラの電源をオンさせる方式では、傾け等の動作を開始する際には、既に被写体に向けられている可能性が高い。そこで、図10のタイミングt12において、すなわち、傾け等の動作の転回位置で撮像を開始、撮像結果と傾きとを共に記録するようにしている。
できるだけ早く記録を開始するために、ステップS107において、Xの重力減少開始を検知した時点で撮像を開始している。このとき、被写体像が表示されるように、表示部8にも電源供給を開始するようにしても良い。また、直ぐに撮影して画面に主被写体が入るように、撮影レンズ2bの焦点距離はワイド端に、焦点位置は2〜3m程度に初期設定されていることが望ましい。
また、無駄なエネルギロスを避けるために、ストロボ発光等は行わないようにする。但し、ステップS116において、Z方向に重力があると判定された場合には、図16に示すように、カメラ10を前側に傾け、表示部8で撮影画像を撮影者が見ようとしていることから、この場合には、再生モードに切り替えるようにしている(S118参照)。
レリーズ釦等の操作により撮像を終わらせると、カメラ10は、同じ顔の部分を揃え、その部分をトリミングし、一連の連続画像を生成する。すなわち、カメラ画角21の画像の中から、同じ顔が含まれる部分(トリミング23の部分)を抽出する。抽出にあたっては、撮影時に画像データと一緒に記録された傾き補正情報を用いて、画像の傾きを補正する。
図15は、このようにして生成された一連の連続画像である。図15(a)は図14(a)のトリミング23に対応し、ここで画像のない部分は黒塗りとしている。同様に、図15(b)は図14(b)のトリミング23、図15(c)は図14(c)のトリミング23、図15(d)は図14(d)のトリミング23に対応する。この一連連続画像を動画再生しても良く、また静止画として再生しても良い。
このように、本発明の第3実施形態においても、第1および第2実施形態と同様に、加速度検知部によって重力以上の出力を常時判定しており、重力以上の出力を検出した場合には(S102b→Yes)、カメラの表示部8を見ながら構えた場合の天地方向の姿勢変化を検出すると(S107→Yes)、電源オンとしている(電力増2)。また、これらの動作は所定時間内(S121→Y)に行われることから、撮影者の意図を反映していると考えられる。このため、構えたときの動作(左右のいずれかに傾ける)だけで電源がオンとなる。なお、本実施形態においても、第1、第2実施形態と同様に、所定時間内か否かを判定していたが、これに限らず、所定時間より速い動きを不自然とする判断を追加しても良い。
また、第3実施形態においては、カメラ10を構えて傾けるだけで電源オンとなるだけでなく、撮影も開始しているので、被写体を撮り逃すことがない。また、本実施形態においては、傾けた状態から戻す際に撮影しているので、そのままでは、画像が傾いており見苦しいが、撮影時に傾き補正情報を記録し、この傾き補正情報を用いて補正しているので、このような不具合を解消することができる。
次に、本発明の第4実施形態について、図17および図18を用いて説明する。第1および第2実施形態においては、カメラ10を構えた位置から、通常起こり得ない動作を撮影者15が行うと、電源オンを行っていた。第4実施形態においては、カメラ10を構えた位置から、通常起こり得ない動作を撮影者15が行い、さらに表示画面において、動作モードを選択すると、電源オンを行うようにしている。第4実施形態における構成は第1実施形態の図1と同様であり、図7に示したフローを図18に示すフローチャートに置き換えることだけである。相違点を中心に説明する。
図17は、第4実施形態において、カメラ10を電源オンする仕方を示す。図17(a)は、撮影者15が撮影を行うべくカメラ10を構えた状態において、カメラ10を左右に振っている様子である。第2実施形態においては、左右に一往復振っているだけであったが、第4実施形態においては1回または複数回、振っても良い。図17(b)に示すように、カメラ10を構えた位置に戻ると、カメラ10の表示部8には、図17(c)(d)に示すように、動画撮影モード、再生モード、静止画撮影モードと、3つの動作モードが表示される。
3つの動作モードが表示されると、撮影者15は指で、いずれかの動作モードをタッチし、これをタッチパネル8bによって検知する。図17(c)は右手の指で静止画撮影をタッチしたところを示し、図17(d)は動画撮影をタッチしたところを示す。動画は両手でしっかりカメラ10を保持することが多く、また静止画片手でカメラ10を保持することが多いことから、動画撮影と静止撮影の位置を図17(c)(d)のように配置した。
次に、本発明の第4実施形態における電源オンの動作を図18に示したフローチャートを用いて説明する。この電源オンのフローチャートは、図7に示した第1実施形態における電源オンのフローチャートと比較すると、ステップS102をS102bに、ステップS104をS104cに、ステップS111をS111cに、ステップS112をS112cに置き換え、ステップS104とステップS111の間を図示の如く変更する以外は、同じであるので、この相違点を中心に説明する。
電源オンのフローに入り、加速度センサをコンパレータモードに設定すると(S101)、次に、第2実施形態と同様に、Xの重力振幅が大か否かの判定を行う(S102b)。ここでは、加速度センサ50Xの出力が、略3G相当の値を超えたか否かの判定を行う。カメラ10を振ると、X方向の加速度が大きくなることから、ここでの判定は、撮影者15が電源オンするためにカメラを振ったか否かである。
ステップS102bにおける判定の結果、Xの重力振幅が大であった場合には、次に、加速度を細かく検出し(S103)、Yに略1Gの重力がかかっているか否かの判定を行う(S104c)。このステップでは、加速度センサ50Yの信号出力をAD変換し、この値が略1Gになったか否かを判定する。カメラ10を振っている間は、加速度センサ50Yの信号出力は大きく変化し、略1G程度で安定することがない。このステップS104cにおける判定の結果、Yが略1G程度でなかった場合には、ステップS101に戻り、電源オフ状態にする。
ステップS104cにおける判定の結果、Yの重力が略1G程度となった場合には、次に、所定時間が経過したかを判定する(S121)。ここでは、ステップS104cにおいて、Yが1Gとなった時点から計時を開始した時間が所定時間を経過したかを判定する。なお、所定時間としては、振っていた状態から構えた状態が安定したとみなせる程度の時間である。
ステップS121における判定の結果、所定時間が経過していなければ、ステップS104cに戻る。一方、所定時間が経過すると、電力増1を行い、表示系とタッチパネルをオンする(S111c)。ここでは、カメラ10が構えた状態で安定したといえことから、表示部8に前述したような動作撮影等の3つの動作モードを表示し、タッチパネル8bによってタッチ状態の検知を開始する。
続いて、タッチされたか否かの判定を行う(S112c)。ここでは、タッチパネル8bによって表示部8がタッチされたかを判定する。この判定の結果、タッチされていなかった場合には、次に、所定時間が経過したか否かの判定を行う(S113)。ここでは、ステップS111cにおいて、電力増1を行った時点から計時を行い、所定時間が経過したか否かを判定する。この判定の結果、所定時間が経過していなかった場合には、ステップS112cに戻る。この判定の結果、所定時間が経過すると、ステップS101に戻り、電源オフにする。
ステップS112cにおける判定の結果、タッチしていた場合には、電力増2を行い、タッチされたモードで起動する(S116)。すなわち、電源オン状態となる。電力増2を行うことにより、カメラ10は電源オン状態となって、通常のカメラ動作を実行可能となる。
このように、本発明の第4実施形態においても、第1、第2実施形態と同様に、加速度検知部によって重力以上の出力を常時判定しており、コンパレータ5aから検知信号が出力されると、加速度検知部5の出力信号をAD変換し、その動きを細かく検知する。そして、カメラ10が安定した状態となったことを検知すると、動作モードを表示し、撮影者が動作モードを選択すると電源オンにしている。本実施形態においては、第1および第2実施形態のように、前後への倒し動作や左右への傾き動作の検証を念入りには行っていないが、電源オンにする前に、撮影者による動作モードの選択を行うようにしているので、誤動作で電源オンとなるおそれはない。なお、本実施形態においても、第1〜第3実施形態と同様に、所定時間内か否かを判定していたが(S121→Yes)、これに限らず、所定時間より速い動きを不自然とする判断を追加しても良い。
以上説明したように、本発明の各実施形態においては、重力以上の出力を検出し、かつカメラが特定の動きを行ったことを検出した際に、カメラの電源をオンとしている。このため、構えたときの動作だけで電源がオンとなり、その他の状態では誤動作で電源オンとなってしまうことがない。
すなわち、重力以上の振動があったか否かを判定するだけでは電源消費は極めて微小であり、実質的に電源オフ状態といえる。これに対して従来のスリープモードでは、電源消費がこれより大きく電源が消耗していまい、場合によってはシャッタチャンスを逃すことがあった。このように極めて低消費電力の状態において、カメラを構えて特定の動きを行うだけで、直ちに、電源オン状態にすることができる。また、電源オンするにあたって、カメラの動きを判定し、通常、行われることのない特定の動きを行った場合にのみ、電源がオンとなるようにしている。
なお、本発明の各実施形態においては、特定の動きとして、カメラを前側に倒し、続いて元の位置に戻した場合や(第1実施形態)、カメラを左右いずれかに傾けた場合(第3実施形態)、左右にいずれかに傾けてから続いて元の位置に戻した場合(第2実施形態)、カメラを振った場合(第4実施形態)の4つの例を説明した。しかし、これに限らず、通常の日常動作の中では起こらないような動きであれば、これ以外でも良い。
また、本発明の各実施形態においては、カメラの動きを検出するセンサとして、加速度センサを例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、角加速度センサやジャイロ等、カメラの動きを検知できるセンサであれば、適用することができる。
さらに、本発明の各実施形態においては、電源オンとなる前に、加速度検知部5、重力判定部1d、タッチパネル8b等、一部の回路等に電源供給していた。電源オフ状態から電源オンとなるまでの間に電源供給する回路は、上述の回路に限らず、電源オンするか否かの判定条件に応じて適宜選択すれば良い。
さらに、本発明の各実施形態においては、撮影のための機器として、デジタルカメラを用いて説明したが、カメラとしては、デジタル一眼レフカメラでもコンパクトデジタルカメラでもよく、ビデオカメラ、ムービーカメラのような動画用のカメラでもよく、さらに、携帯電話や携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assist)、ゲーム機器等に内蔵されるカメラでも構わない。
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。