JP5941331B2 - 磁気記録媒体および磁気記憶装置 - Google Patents

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Description

本発明は、磁気記録媒体およびそれを備えた磁気記憶装置に関する。
インタネット環境の進化、クラウドコンピューティングの浸透などによるデータセンタの増設などにより、生成される情報量が近年急増している。記録密度が最も高く、ビットコストに優れた磁気ディスク装置(HDD)などの磁気記憶装置が”ビッグデータ時代”のストレージの主役であることは間違いない。このためには、磁気記憶装置の大容量化、それを支える高密度化が必須である。現在、磁気記憶装置は、主磁極・シールド磁極型の磁気記録ヘッドと磁性層表面層(キャップ層とも呼ばれる)における結晶磁気異方性エネルギーを小さくして記録し易さを飛躍的に改善したECC(Exchange Coupled Composite)媒体と呼ばれる磁気記録媒体による垂直磁気記録方式の性能向上により、高密度化を達成してきた。高密度化の基本はスケーリング則で、磁気ヘッドのトラック幅、ヘッド・磁気記録媒体間のスペーシング、磁気記録媒体の結晶粒などを小さくすることが必須である。しかし磁気記録媒体の結晶粒を小さくすると、磁化状態を保とうとする上記異方性エネルギーが小さくなり、熱擾乱により、記録された磁化状態が乱されやすくなる。この現象は超常磁性効果と呼ばれ、非特許文献1に記載されているように、1 Tb/in程度の時代になると現状方式の単なる延長では実用限界の壁があるとされる。高密度化のためにはこれを越える技術を開発することが最大の課題となっている。
これに対して特許文献1では、外部に設けた高周波源を磁気ヘッドの動きに追従させることで、磁気共鳴条件を満たす高周波磁界を磁気記録媒体に供給し、磁気記録媒体のスピンが高周波磁界のエネルギーを吸収して保磁力が実効的に低下することを利用して、磁気記録媒体の温度を事実上上昇させることなく高保磁力磁気記録媒体にも低磁界で書き込みが行えるスピン加熱記録方法が提案されていた。
近年、スピントルクによって高速回転し高周波磁界を発生する、高周波磁界発生層FGL(Field Generation Layer)を利用した微小構造の実用的なスピントルク型高周波発振素子(STO:Spin Torque Oscillator)が非特許文献2で提案され、次いで非特許文献3では、同種の構造の高周波発振素子STOを垂直磁気ヘッドの主磁極に隣接して配置し、STOからのマイクロ波帯域の高周波磁界で媒体磁化の才差運動を励起しスウィッチング磁界を下げながら磁気異方性の大きな磁気記録媒体に情報を磁気記録し高密度化を図るマイクロ波アシスト記録方式(MAMR)が開示された。
さらに、非特許文献4並びに5には、マイクロ波アシスト記録方式の各種設計条件とその効果の関係について記載されている。これらにより、マイクロ波アシスト記録方式の実用化に向けた研究開発が近年急速に加速されるようになった。
一方、垂直磁気記録の記録密度を上げる方法として既に実用化されている方式として、ECC(Exchange Coupled Composite)媒体、CAP媒体等の多層媒体がある。多層媒体に関しては、例えば非特許文献6に記載されている。さらに、上記文献記載のECC効果とは別効果を狙った多層媒体に関して、例えば記録膜表面又は下地界面の局所的な低Ku領域から生成される逆磁区によるノイズを抑制するため記録膜表面又は下地界面に高Ku層を設けることが、特許文献2、3に記載されている。
特開平7−244801号公報 特開平11−296833号公報 特開2000−113442号公報
Y. Shiroishi,et al,"Future Options for HDD Storage", IEEE Trans. Magn., Vol.45, no.10, pp3816−3822 (2009). X.Zhu and J.−G.Zhu, "Bias−Field−Free Microwave Oscillator Driven by Perpendicularly Polarized Spin Current" IEEE Trans. Magn., vol.42, pp.2670−2672, 2006. J−G.Zhu, X.Zhu, and Y.Tang, "Microwave Assisted Magnetic Recording", IEEE Trans. Magn., Vol. 44, no.1, pp125−131 (2008). S.Batra and W.Scholz, "Role of Media Parameters in Switching Granular Perpendicular Media Using Microwave Assisted Magnetic Recording", IEEE Trans. Magn., Vol. 45, pp889−892 (2009). S.Batra and W.Scholz, "Micromagnetic modeling of ferromagnetic resonance assisted Switching", J. App. Phys., 103, 07F539(2008). R. H. Victora and X. Shen, "Composite Media for Perpendicular Magnetic Recording", IEEE. Trans. Magn. vol.41, pp.537−542 (2005).
高周波磁気発生素子(STO)を用いたマイクロ波アシスト記録方式(MAMR)は従来の熱アシスト方式に比べて磁気ヘッドの小型化が可能であり、高記録密度化に有望と思われる。そこで本発明者らは、高周波発生素子を搭載した磁気記憶装置を従来装置と同様の種々の環境条件で鋭意検討、試験をしたところ、実用化に向けて以下の大きな課題があることが判明した。
前述のように記録密度を上げるには磁気記録媒体の結晶粒を小さくする必要があるが、このとき長期間にわたって記録安定性を得るためには、結晶粒当たりの磁気異方性エネルギー(Ku×V)が熱擾乱エネルギー(k×T)より十分大きい必要がある。ここで、Kuは磁気記録媒体の磁気異方性エネルギー(単位体積当たりの磁化方向を反転させるためのエネルギー=飽和磁化Ms×異方性磁界Hk/2)、Vは結晶粒の体積、kはボルツマン定数、Tは絶対温度である。前記ECC媒体は、一定の(又はより小さな)ヘッド磁界により、より大きなKuを持つ磁気記録媒体の磁化を反転させることで記録密度を増大することを主眼とする。一方、MAMRもこれと同様の効果を目的とするものである。しかしながら、発明者等が検討した結果、従来ECC媒体にMAMRを適用しても両者の相乗効果を得ることは困難であることが明らかになった。即ち、前記MAMRの前記ECC媒体に対する優位性や両者の相乗効果により、MAMRが従来垂直磁気記録の密度限界をさらに向上する可能性があるかということは必ずしも自明ではない。
又、上記最適磁気記録媒体は単独で存在するものではなく、その性能を引き出すためには、記録装置全体の最適設計が必要であるが、その構成・条件は必ずしも明らかでなかった。特に、MAMRの特徴を活かすには、主磁極からの記録磁界だけでは磁気記録媒体に情報が記録されず、上記記録磁界に高周波磁界発生層FGLからの高周波磁界が加えられた領域でのみ磁気記録媒体の磁化が反転すること(マイクロ波による選択的反転)により情報が記録されることが望ましい。この場合、記録幅がFGLの幅により規定されるので、広い幅の主磁極を用いることにより磁極狭幅化により記録磁界を減少することなく、十分に大きな記録磁化が得られるからである。さらに、上記条件は入手可能な材料物性・構成において実現可能なものである必要がある。例えば、高周波発振素子の発振周波数はその構成(磁気物性、構造)に依存し、現実的な構成において発振可能な周波数が限定される。
しかしながら、上記先行技術文献にはこれら課題については何ら記載されておらず、特に、非特許文献2〜5では、スピン注入によるスピントルク効果を用いたマイクロ波アシスト記録方式によって実際に記録密度がどこまで向上するかについては、定量的に検討されておらず、問題点含め開示もされていない。
本発明の目的は、マイクロ波アシスト記録方式(MAMR)を用いる場合において、高記録密度の実現が可能な磁気記録媒体および磁気記憶装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、情報を記録する3層以上の記録膜を有する磁気記録媒体と、前記磁気記録媒体に情報を書き込むための記録磁界を発生する記録磁極と前記記録磁極に対向して設けられた対向磁極と前記記録磁極および前記対向磁極の間に設けられた高周波磁界発生素子と前記磁気記録媒体から情報を読み取る磁気再生素子とを備える磁気ヘッドを含み、前記磁気記録媒体の前記記録膜における前記磁気ヘッドに最も近い第1の層の異方性磁界は、20kOeより大きいことを特徴とする磁気記憶装置とする。
又、マイクロ波アシスト磁気記録方式の磁気記憶装置で用いる磁気記録媒体であって、情報を記録する3層以上の記録膜を有し、前記磁気記憶装置の磁気ヘッドに前記記録膜として最も近くに配置される前記記録膜の第1の層の異方性磁界は、20kOeより大きいことを特徴とする磁気記録媒体とする。
以上、本発明によれば、マイクロ波アシスト記録方式(MAMR)を用いる場合において、高記録密度の実現が可能な磁気記録媒体および磁気記憶装置を提供することができる。
本発明の実施の形態に係る磁気記録媒体(type−1、3層)の典型的な異方性磁界の構成を示す特性図である。 本発明の実施の形態に係る他の磁気記録媒体(type−2、3層)の典型的な異方性磁界の構成を示す特性図である。 本発明の原理を説明するための特性図で、磁気記録媒体を構成する磁性結晶粒の磁化反転指標と熱安定性指標の関係を示す図である。 本発明の原理を説明するための特性図で、ダンピング係数と異方性磁界の関係を示す図である。 本発明の原理を説明するための特性図(type−1)で、磁化反転前後におけるAC磁界及び媒体磁化の時間変化を示す図である。 本発明の原理を説明するための特性図(type−2)で、磁化反転前後におけるAC磁界及び媒体磁化の時間変化を示す図である。 本発明の実施の形態に係る磁気記憶装置の性能を示す特性図で、磁化反転指標と熱安定性指標の関係を示す図である。 本発明の実施の形態に係る磁気記録媒体(3層)の平均的な異方性磁界の構成を示す特性図である。 本発明の原理を説明するための特性図である。 本発明の実施の形態に係る磁気記憶装置の性能を示す特性図である。 本発明の第1の実施例に係る磁気記憶装置の主要部の構成を示す模式図である。 本発明の第1の実施例に係る磁気記憶装置の全体構成を示す模式図である。 本発明の第1の実施例に係る磁気記憶装置を用いた記録方法を説明するための模式図である。 本発明の第1の実施例に係る磁気記憶装置の動作原理を説明するための模式図であり、(a)は上向きの磁化を下向きに書き換える場合、(b)は下向きの磁化を上向きに書き換える場合を示す。
発明者等は、上記目的を達成するための手段について検討した結果、
磁気記録媒体やそれを備えた磁気記憶装置としては、多層記録媒体において、磁気ヘッドに最も近い第1層目の異方性磁界(Hk)が20kOeを超える層にすればよいこと、
特に、磁気記憶装置としては、磁気記録媒体(特に、多層記録層)に情報を記録する位置における、記録磁界の強度をHdc、記録磁界が媒体磁気異方性の容易軸と成す角度をφ、高周波磁界の強度をHac、その周波数をfac、磁気記録媒体(特に、多層記録層)の各層のダンピング係数をα、磁気記録媒体の異方性磁界の平均値をHkとした場合、

α>0.1、fac<40GHz、でかつ
φ<30°又はφ>60°のとき、Hk<3・Hdc、
30°<φ<60°のとき、2・Hdc<Hk<3・Hdc

とすればよいことを見出した。本発明はこの新たな知見に基づいて生まれたものである。
一実施形態を以下に示す。情報を記録する3層以上の磁性体膜を有する磁気記録媒体と、上記磁気記録媒体に情報を書き込むための記録磁界を発生する記録磁極と、上記記録磁極と対向して設けられた対向磁極と、前記記録磁極と上記対向磁極との間に設けられた高周波磁界発生素子と、前記磁気記録媒体から情報を読み取る磁気再生素子を少なくとも備える磁気ヘッドを含み、前記3層以上の磁性体膜の上記ヘッドに最も近い第1層の異方性磁界は、20kOeより大きいことを特徴とする。ここで、前記磁気記録媒体は、前記記録磁極からの記録磁界だけでは十分な記録ができないことが望ましい。又、上記3層以上の磁性体膜の上記第1層の異方性磁界が、上記第1層と隣接して前記ヘッド側と反対側にある第2層の異方性磁界よりも大きいことが望ましい。
後に説明するように、MAMRではまずAC磁界が磁気記録媒体の磁化を強制振動させることにより、磁化方向を磁気記録媒体面内方向に近付け、しかる後に、磁化がこれと直交する有効磁界の磁気記録媒体面内成分より磁化反転方向のトルクを受けて反転する。これにより、比較的異方性磁界Hkの大きな(即ち熱安定性の高い)磁気記録媒体でも磁化反転が可能となる。AC磁界は磁気記録媒体膜厚方向に比較的速やかに減衰するので、これにより反転可能なHkも膜厚方向に減少する。従って、磁気記録媒体膜厚方向のAC磁界減衰に伴い膜厚方向にHkを下げることにより、異方性の高い(即ち熱安定性の高い)磁気記録媒体を磁化反転させるためにAC磁界の作用を最大限に活用することができる。即ち、ヘッド側にHkの大きな第1層を、磁気記録媒体基板側にHkの小さな第2層を配置することが望ましい。
さらに、上記磁気記録媒体の上記第2の層と隣接して前記ヘッド側と反対側にある第3の層の異方性磁界を上記第2の層の異方性磁界より大きくすることが望ましい。又、上記第2の層の異方性磁界が比較的大きい場合には、上記第3の層の異方性磁界を上記第2の層の異方性磁界より小さくしてもよい。
これは、前記第1層の異方性磁界Hkが第2層の異方性磁界Hkより大きな構造に、公知のECC媒体もしくはCAP媒体構造と組み合わせることが有効であり、この場合、上記MAMRメカニズムを最大限活用するためには、AC磁界の大きな磁気記録媒体の表面側構造に関して、第1層のHkが第2層のHkより大きな構造を用い、ECC又はCAP媒体構造は磁気記録媒体基板側に適用することが望ましいためである。即ち、前記第2層のさらに基板側に、上記第2層と異なるHkを持つ第3層を設ける。このとき、第2層のHkが比較的小さい場合には第3層のHkを第2層より大きく設定し、第2層のHkが比較的大きい場合には第3層のHkを第2層より小さく設定する。いずれにせよ、膜全体の熱安定性(層毎のKu×粒子体積/(kT)の和、Ku:磁気異方性エネルギー、k:ボルツマン定数、T温度)が大きくなるように設定することが望ましい。
なお、特許文献2、3には、第1層の磁気異方性が2.5〜5x10erg/cc、第2層の磁気異方性が1〜2.5x10erg/ccの多層媒体の記載があるが、これらはMAMRを前提にしたものでなく、マイクロ波によるアシストなしで磁化反転可能なものであり、本発明と異なる。又、通常の多層媒体において、第1層及び第2層の飽和磁化Msはおよそ500emu/cc程度であり、上記第1層の磁気異方性2.5〜5x10erg/ccを与える異方性磁界は10〜20kOeとなるため、本発明における第1層の異方性磁界の好ましい範囲と異なる。
次に、記録磁極からの記録磁界と高周波磁界発生素子からの高周波磁界により磁気記録媒体(特に、多層記録層)に情報を記録する位置における、上記記録磁界の強度をHdc、記録磁界が媒体磁気異方性の容易軸と成す角度をφ、上記高周波磁界の強度をHac、その周波数をfac、上記磁気記録媒体(特に、多層記録層)の各層のダンピング係数をα、異方性磁界の平均値をHkとした場合、

α>0.1、fac<40GHz、でかつ
φ<30°又はφ>60°のとき、Hk<3・Hdc、
30°<φ<60°のとき、2・Hdc<Hk<3・Hdc

とする理由について説明する。
これは、AC磁界が磁気記録媒体の磁化を強制振動するためには、磁気記録媒体のダンピング係数が比較的大きいことが望ましく、より具体的にはダンピング係数が0.1又は0.15以上であることが望ましいからである。また、反転の過程において、磁気記録媒体に作用する上記AC磁界以外のDC成分(有効磁界)が媒体磁化に及ぼすトルクが十分に小さいことが望ましい。これらの条件が満たされた時、媒体磁化は外部磁界に追随する。さらに、MAMRにより選択的反転が生じるためには、AC磁界が存在せずDC成分のみの時、媒体磁化が略上向きの状態と下向きの状態の間に磁気的なエネルギー障壁が存在することが望ましい。このような、エネルギー障壁が存在して、かつDC成分(有効磁界)が磁化に及ぼすトルクが十分に小さい条件は、磁気記録媒体のHkに応じて、外部ヘッド磁界の大きさと角度を上記の範囲に設定することにより達成されるからである。
以下、若干詳細に説明する。
まず、第1層の異方性磁界Hkを20kOe以上と大きくすること、さらに、第1層の異方性磁界Hkを第2層の異方性磁界Hkより大きくすることの有効性について述べる。まず、AC磁界と媒体磁化の相互作用についてわかり易く説明するため、単層媒体を例に説明する。図3に様々な設計の磁気記録媒体において、磁気記録媒体を構成する磁性結晶粒に選択的反転が生じる場合の磁化反転指標と熱安定性指標の関係を調べたシミュレーション結果を示す。ここで、磁化反転指標は、規格化した記録信号磁界の時間変化H(t)と、規格化した媒体磁化mのz成分の時間変化mz(t)の差の絶対値の時間平均で定義されるもので、小さいほど良好な記録ができることを示す。又、熱安定性指標は前述の磁気異方性エネルギー(Ku×V)と熱擾乱エネルギー(k×T)の比(多層媒体の場合は各層に対するKuV/kTの和)で定義され、大きいほど熱安定性、熱擾乱に対する耐力が高いことを示す。磁化反転性能と熱安定性はトレードオフの関係にある。ここで、磁化反転性能が高く熱安定性が低い解(type−1、図3の黒丸)と磁化反転性能が低く熱安定性高い解(type−2、図3の白丸)に対して、磁化反転前後におけるAC磁界及び媒体磁化の時間変化の様子(シミュレーション結果)を各々図5A及び図5Bに示す。又、図4に上記type−1及びtype−2に対してダンピング係数αと異方性磁界Hkの関係を示す。
磁化反転性能が高く熱安定性が低いtype−1の反転解はαが大きく、比較的ダンピングの大きいため磁化は外部磁界の変化に追随するとともに、強制振動によりAC周波数で振動し、磁化が磁気記録媒体面と略平行となり、運動周波数がAC周波数とほぼ整合して反転する。そこで、磁化反転が、(1)z方向を向いた磁化mが、主磁極からのDC磁界に追随すると同時にAC磁界のy成分(Hac)からトルクを受けて、(AC周期の半分以下の)時間Δt内に角度θまで変化するステップIと、(2)面内磁界からのトルクにより反転するステップII、からなると考える。DC磁界とz軸の成す角をθ1、AC磁界による角度変化分をθ2とすると、θ=θ1+θ2。
一方、磁化反転性能が低く熱安定性は高いtype−2の反転解はαが小さく、磁化は磁気記録媒体面と略平行状態で才差運動を行うが、AC磁界により才差運動の周波数がシフトしてAC周波数とほぼ整合し、かつ両者の位相差が反転促進方向にマッチングすると反転する。即ち、磁化反転は、z方向を軸にある角度で才差運動する磁化mが、AC磁界のy成分及びx成分(Hac)からトルクを受けて、時間Δt内に角度θまで変化するステップIと、上記同様のステップIIからなると考える。このとき、才差運動による磁化とz軸のなす角をθ1、AC磁界による角度変化分をθ2とすると、上記と同様にθ=θ1+θ2。
ここで、θが有効磁界のz成分がほぼ0となる角度とすると、このとき面内方向回転トルクがほぼ0となるため反転時間が十分に確保されてステップIIがほぼ自動的に進むと考えられる。以上より、

Δm=γ・Hac・m・Δt>m sinθ2、
かつ、
Heff=−Hk・cosθ+Hext_z+Hd_z+Hexch_z=0、

従って、反転可能な異方性磁界Hkの最大値は、以下の式で表される。なお、Hext_zは外部磁界、Hd_zは反磁界、Hexch_zは交換磁界の各々のz成分を示す。

Hk〜(Hext_z+Hd_z+Hexch_z)/cos(θ1+θ2)。

ここで簡単のため、θ1を公知のStoner−Wohlfarthモデルにおける有効磁界が最大となる45度と仮定すると、

Hk〜20.5・(Hext_z+Hd_z+Hexch_z)/(cosθ2−sinθ2)
=20.5・(Hext_z+Hd_z+Hexch_z)/{(1−(γ・Hac・Δt)0.5−γ・Hac・Δt}。

上式から、AC磁界(Hac)の存在により、反転可能なHkの最大値は、
1/{(1−(γ・Hac・Δt)0.5−γ・Hac・Δt}
倍に増大する。発明者等の検討によれば、Hacが1000kOe、AC周波数が30GHz程度のとき、効率的なアシスト効果が得られ、このとき、反転可能なHkは、上式より、約1.5倍程度増大する。従って、従来垂直磁気記録媒体の上層部のHk、10kOe〜20kOeに対して、MAMRにおいては多層媒体の上層部の異方性磁界Hkが20kOeを超え、更に30kOe以上とすることにより効率的なアシスト効果が得られる。
ここで、主磁極の寸法は高周波磁界発生層FGLの寸法より大きいので、主磁極の作る記録磁界の分布はFGLの作る高周波磁界の分布より均一である。即ち、Hac_yはHext_zに比べて膜厚方向に速やかに減衰する。そこで、反磁界Hd_zと交換磁界Hexch_zが膜厚方向に大きく変化しないとすると、マイクロ波によって反転可能なHkも膜厚方向に速やかに減少する。従って、膜厚方向のHkの分布を、膜厚方向の各位置でマイクロ波によって反転可能な最大のHkに設定することにより、マイクロ波による反転選択性と熱安定性を最大化することができる。
そこで次に、様々な層構成の多層媒体に対してアシスト効果による選択的反転の可能性を調べた。図6の各点は、選択的反転が可能な場合の磁化反転指標と熱安定性指標の関係で、単層媒体の場合と同様に両者はトレードオフ関係にある。これらのうち、磁化反転性能が高く熱安定性が低いグループ(type−1、図6の黒丸)と、磁化反転性能が低く熱安定性が高いグループ(type−2、図6の白丸)の各々に属する各種磁気記録媒体のHk及びαの膜厚方向分布の平均を図7の実線と破線に示す。比較のためにアシストを用いない場合の同様の結果を図7中点線で示す。
アシストを用いない場合、熱安定性を最大化する反転解は、第1層の異方性磁界Hkが20kOe以下で、膜厚方向に増大するHk分布を持つ。これに対して、アシスト効果を用いる場合、第1層のHkを、20kOeを超え30kOe以上とすることにより、熱安定性を最大化しつつ選択的反転が可能となる。又、アシスト効果による磁化反転性能を重視する場合(type−1)、第2層のHkを第1層のHkより小さくすることが効果的である。Type−2においても、AC磁界強度やヘッド磁界強度を強くしてアシスト効果を強めた場合、熱安定性を最大化するには、第2層のHkを第1層のHkより小さくすることが有効である。図1に、type−1に属しアシスト効果により高い選択反転性能が得られる典型的なHk分布を示す。図2に、type−2に属しアシスト効果により高い熱安定性が得られる典型的なHk分布を示す。
なお、多層膜の製造工程においては必ずしも材料組成を不連続的に切り替えるとは限らず連続的に変化させることもありうる。この場合、磁気記録媒体膜表面付近及び膜内部各々の異方性磁界Hkの平均値を上記第1層及び第2層のHkと考える。又、膜厚方向に局所的に表面側のHkと内部側のHkの大小関係が逆転しても、本発明作用の趣旨を逸脱しない限りにおいて、膜表面側の平均値と内部側の平均値の間に上記関係が満たされればよい。例えば、図1及び図2において、第1層Hkより第2層Hkが大きい分布が存在するが、両者の平均値は第3層のHkより大きい。このため、実質的に上記本発明の作用が生じる。
以上、アシスト効果を最大限効率的に活用して熱安定性、記録密度を向上できる磁気記録媒体特性の分布について述べた。一方、アシスト効果はAC磁界、ヘッド磁界等に依存する。例えば、上式では簡単のため省略したが、通常ヘッド磁界は媒体磁気異方性容易軸から傾いているので、AC磁界による強制振動で必要な上記θの値は減少すると期待される。又、上式より最適な異方性磁界Hkの構成は反磁界や交換磁界、従って各層の飽和磁化や層間の結合に依存する。そこで次に、ヘッド磁界の強度と角度、AC磁界の強度と周波数、磁気記録媒体のダンピング係数、異方性磁界、飽和磁化を前記所定の範囲に設定することの有効性について述べる。媒体磁化の運動は、磁気記録媒体に作用する有効磁界のAC磁界以外のDC成分を軸とする才差運動と、AC磁界による強制振動の組み合わせで近似される。磁化は、媒体磁化の磁気記録媒体面内方向回転運動の周波数と位相がAC磁界の周波数と位相とほぼ整合したとき反転する。ここで、AC磁界は高周波磁界発生層FGLの磁化の才差運動により発生されるが、実際のFGLの材料物性及び構成上の制約から、40GHz以上の周波数を発生することは現実的に困難と考えられる。一方、上記DC成分が磁化に及ぼすトルクが増大すると、これによる才差運動の周波数が増大する。従って、媒体磁化の運動をAC磁界と整合させるには、上記DC成分が磁化に及ぼすトルクを抑えることが望ましい。また、一般に、MAMRでは高周波磁界による磁気記録媒体の回転運動を促進するためにダンピングは小さいほうが好ましいとされているが、低ダンピングは上記DC成分による才差運動を促進するためAC磁界による強制振動が困難になる。このため、比較的長期間にわたってAC磁界と才差運動の正確な同期を取ることが必要となり、磁化反転に時間を要する等の問題が生じる。発明者の検討によれば、AC磁界による強制振動は磁気記録媒体のダンピング係数が0.1以上のとき効率よく生じ、このとき速やかに磁化反転が達成される。
磁化反転の過程において、上記有効磁界のDC成分は、まず磁気記録媒体にかかるヘッド磁界が反転し、これに引き続き媒体磁化の方向が変化して有効磁界の磁気異方性起因成分が変化するのに伴って変化する。これに伴い媒体磁化の才差運動周波数も変化する。そこで、磁化反転の過程を通じて、系の磁気的エネルギーと磁化がDC成分から受けるトルクがどのように変化するかを、公知のStorner−Wohlfarthのモデルにより説明する。磁気記録媒体の磁気異方性容易軸と磁化mの成す角をθ、容易軸とヘッド磁界Hdcの成す角をφ、ヘッド磁界とHkの比をhとすると、無次元化した系のエネルギーEと磁化の受けるトルクTは、θ、φ、hの関数として以下のように表わされる。

E=−cos(2θ)/4−h・cos(φ−θ)
T=|m×Heff|、

ここで、第1に、選択的反転が生じるためには、あるφとhに対して、θが180度から0度に変化する過程でエネルギー障壁が存在する必要がある。第2に、AC磁界によるアシストが生じるためには、AC磁界による強制振動により磁化の運動周波数がAC磁界と整合する必要がある。このためには、あるφとhに対して、θが180度から0度に変化する過程で上記エネルギー障壁を上る過程に対応するθの範囲で、上記DC成分による才差運動トルクが十分に小さい必要がある。
ここでh=0.65、0.45及び0.25のときのE(θ,φ)とT(θ,φ)の分布を図8に示す。まず、h=0.65の場合、φの値によらずエネルギー障壁が存在しないのでACアシスト無しでも磁化反転が生じてしまう。即ち、選択的反転条件は得られない。次に、h=0.45のとき、φが45度近辺の場合には、エネルギー障壁が存在しないのでACアシスト無しでも磁化反転が生じてしまう。一方、φが0度又は90度に近い場合、エネルギー障壁が存在し、さらに、180度側から0度側へ向けてエネルギー障壁を上る過程に対応するθの範囲で対応するトルクの値が小さい。従って、才差運動が抑制されるため、ACアシスト効果による選択的反転が生じうる。h=0.25のとき、φの値によらずエネルギー障壁が存在する。しかし、180度側から0度側へ向けてエネルギー障壁を上る過程に対応する範囲のθに対するトルクの値がh=0.5の場合と比べて大きい。このため、磁化は才差運動を行う。従って、AC磁界はその周波数と位相をこれと整合させる必要がある。この場合でも、αが比較的大きく、外部AC磁界の周波数が有効磁界による才差運動周波数に近くかつその磁界強度が十分であれば、才差運動周波数がシフトしてAC磁界周波数に同期して磁化反転することが可能である。
ここで、記録磁界の強度Hdcと角度φ、高周波磁界の強度Hacと周波数fac、記録媒体の各層のダンピング係数α、異方性磁界の平均値Hk、飽和磁化の平均値Msを様々に変えて、媒体磁化反転に対するACアシストの有効性を計算した。まず、ヘッド磁界を立ち上がり時間0.1nsecで下向き(負)から上向き(正)に変化させた場合、アシストがある場合/ない場合の各々に対する媒体磁化(最大値で規格化)mz_on、mz_off(それぞれ最大値、最小値は1、−1)に対して、

(1−mz_off)*(1+mz_on)/4;

を一定時間積分した値をアシスト効果指標と定義する。アシスト効果指標は1以下の正の値を持つが、1に近いほどアシスト効果が高いことを示す。アシストなしでも磁化反転してしまう場合やアシストしても磁化反転しない場合上記指標は小さく、アシスト無では反転せずアシストにより反転する場合のみ1に近づく。図9は、アシスト効果指標のAC磁界周波数fac、媒体ダンピング係数α依存性の2次元マップを、異なるヘッド磁界強度Hdc及び角度φに対して2次元的に並べたマトリクスについて、さらに様々な媒体異方性磁界Hkに対して計算した結果である。図9は、色が薄くなるほど(白い領域)アシスト効果が高いことを表わしている。この結果から、40GHz以下のAC周波数に対して所望のアシスト効果が得られるのは

α>0.1、fac<40GHz、でかつ
φ<30°又はφ>60°のとき、Hk<3・Hdc、
30°<φ<60°のとき、2・Hdc<Hk<3・Hdc
である。
以上示したように、マイクロ波アシスト磁気記録方式(MAMR)において、磁気記録媒体の表面側(ヘッド側)におけるマイクロ波アシスト効果と、磁気記録媒体の基板側におけるECC効果の両方により、小さなヘッド磁界でマイクロ波アシスト効果なしでは反転困難なよりKuの大きな磁気記録媒体の磁化を反転させることが可能となる。又、主磁極からの記録磁界だけでは磁気記録媒体に情報が記録されず、上記記録磁界に高周波磁界発生層FGLからの高周波磁界が加えられた領域でのみ磁気記録媒体の磁化が反転するので、記録幅を比較的微細加工の容易なFGLの幅により規定することができるとともに、広い幅の主磁極を用いることにより磁極狭幅化により記録磁界を減少することなく、十分に大きな記録磁化が得られる。これによっても、よりKuの大きな磁気記録媒体の磁化を反転させることが可能となる。又、比較的低い周波数の高周波磁界によりマイクロ波アシスト効果なしでは反転困難なよりKuの大きな磁気記録媒体の磁化を反転させることが可能となる。以上により、本実施の形態における磁気記憶装置および磁気記録媒体により、従来垂直磁気記録方式の超常磁性限界の壁を越えて記録密度を増大することができる。
以下、実施例について図面を用いて説明する。
第1の実施例について図10〜図13を用いて説明する。図10に本実施例に係る磁気記憶装置(磁気記録再生装置)の構成例の一部である磁気記録再生ヘッドの概略図を示す。なお、各図において同一符号は同一構成要素を示す。磁気記録再生ヘッドは、磁気記録媒体130上をクリアランス101をもって相対的に100方向に走行するスライダ150上に形成された、再生ヘッド部110、記録ヘッド部120を有する。符号151はCVD−C、FCAC(Filtered Cathodic Arc Carbon)などからなるヘッド保護層で、符号152は磁気記録再生ヘッドの浮上面(ABS:Air Bearing Surface)である。スライダ150は、磁気ヘッド磁極部の浮上量が磁気記録媒体全周に亘って10nm程度になるように、Al−TiCセラミックスのABS面を負圧が発生するようにエッチング加工を施したもので、大きさはフェムト型で0.85×0.7×0.23mm程度である。本実施例では、磁気記録再生ヘッドは再生ヘッド部110が先頭で記録ヘッド部120が後方になる向きに磁気記録媒体130が相対的に移動する構成としているが、逆構成であったとしても良く、またヘッド保護層151はなくても良い。
再生ヘッド部110は、シールド層111、再生センサ素子(磁気再生素子)112、上部磁気シールド113と下部磁気シールド114を有する。再生センサ素子112は磁気記録媒体からの信号を再生する役割を担うもので、その構成としては、TMR(Tunneling Magneto−Resistive)効果、CPP(Current Perpendicular to Plane)−GMR効果、ないしはEMR(Extraordinary Magneto−Resistive)効果を有するもの、更にはSTO(Spin Torque Oscillator)効果を応用したものや、いわゆる差動型であっても良い。その素子幅Trwは、目標とする記録磁界、記録密度に応じて設計、加工され、その大きさは80nmないし5nm程度である。なお同図で出力の取り出し端子は省略して記載してある。
記録ヘッド部120は高周波磁界145を発生するための高周波磁界発生素子140、記録ヘッド磁界121を発生するための第1の記録磁極122、高周波磁界発生素子140の磁化回転方向などを制御するための第2の記録磁極124、記録磁極を励磁するためのCuなどからなるコイル123で構成される。第1の記録磁極と第2の記録磁極の役割を変えても良い。なお、図面上ではコイル123が第1の記録磁極122の左右に分かれて記載されているが、実際は第1の記録磁極122を取り巻くように配置されている。符号125は、記録磁極(第1の記録磁極)122と補助磁極(第2の記録磁極)124との間の磁気ギャップ部を示す。ここで記録磁極122は、FeCoNi、CoFe合金などの高飽和磁束軟磁性膜をメッキ法もしくはスパッタ法などで製膜、ベベル角が10ないし20度の台形状で、ABS面に近づくにつれその断面積が小さくなるように形成される。なお台形状の記録磁極122の広い側の記録素子の幅Twwは、目標とする記録磁界、記録密度に応じて設計、加工され、その大きさは160nmないし10nm程度である。また本記録磁極122は、補助磁極124も兼ねてCoNiFe合金、NiFe合金などの軟磁性合金薄膜で非磁性層を介してその周囲を囲った、いわゆるWAS構造(Wrap Around Structure)としても良い。
高周波磁界発生素子140は、FeCo、NiFeなどの軟磁性合金、CoPt、CoCrなどの硬磁性合金、Fe0.4Co0.6、Fe0.01Co0.99、Co0.8Ir0.2などの負の垂直磁気異方性を有する磁性合金、またCoFeGe、CoMnGe、CoFeAl、CoFeSi、CoMnSiなどのホイスラー合金、TbFeCoなどのRe−TM系アルモファス系合金、Co/Fe、Co/Irなどの磁性人工格子などからなる高周波磁界発生層(FGL)141、Au、Ag、Pt、Ta、Ir、Al、Si、Ge、Ti、Cuなどの非磁性伝導材料などからなる中間層142、更に高周波磁界発生層FGLにスピントルクを与えるためのスピン注入固定層143などから構成される。ここでFGL141の幅WFGLは、目標とする記録磁界、記録密度に応じて設計、加工され、その大きさは150nmないし5nm程度である。また非磁性中間層142の膜厚は、高いスピン注入効率を得るために、その膜厚を0.2ないし4nmの程度とすることが好ましく、スピン注入固定層143としては、垂直異方性を持った材料を用いることによりFGL141の発振を安定させることが出来るので、Co/Pt、Co/Ni、Co/Pd、CoCrTa/Pdなどの人工磁性材料を用いることが好ましい。更にFGLの高周波磁化回転を安定化させるため、スピン注入固定層143と同様の構成の回転ガイド強磁性層をFGL141に隣接して設けても良い。またスピン注入固定層143とFGL141の積層順は逆にしても良い。なお、スピンは直流電源144からFGL141などに供給されるが、図10ではその構造を示す為に電流の供給端子は省略して簡略化して記載してある。
本実施例の磁気記録媒体130は、ガラスやNiPメッキAlなどから構成される非磁性基板136上に、FeCoTaZrなどからなる軟磁性下地層135、Ruなどからなる非磁性中間層134、多層構造を有する記録層133、Cなどからなる保護層132、及び潤滑層131を順次積層することにより構成する。また軟磁性下地層135と基板136との間に少なくとも一層の非磁性層を、また軟磁性下地層135と磁性層(記録層133)との間に非磁性中間層134に加えて磁性中間層を設けても良い。更に軟磁性下地層135を、Ruなどを介した2層構造としてもよい。ここで、上記記録層133は、CoCrPt、L1−CoPt基合金、L1−(CoCr)Pt基合金、L1−Co50Pt50基合金、CoCrB/Pt、CoB/Pd磁性人工格子、L1型FePt、などを主な構成要素とする磁性膜の組み合わせからなり、上記非磁性中間層134を最適化することにより各磁性膜が垂直磁気異方性を有する平均粒径5nm程度の結晶構造を持たせた。例えば、ここでは、記録層133を組成比の異なる3種のL1−CoNiPt100−x−yの積層膜(表面側から順に第1層、第2層、第3層とする)とし、組成x、yを調節することにより、第1層、第2層、第3層のHkが、各々、35kOe、25kOe、45kOe程度となるようにした。上記結晶粒の平均粒径は必要記録密度に応じて変更することが望ましい。また、さらに、上記記録層133はターゲット材料にTi、Nb、Zr、Ag、Si、Alなどの適切な酸化物、炭化物、窒化物、硼化物もしくはそれらの混合物などを混入し、製膜条件を調整することで、非磁性材料を結晶粒界に0.5ないし2nm適宜偏析させることにより結晶粒間の磁気交換相互作用を制御した。なお本実施例では、基板136の片面に磁性層(記録層133)などを設けた例を示したが、これらを非磁性基板136の両面に設けても良い。本実施例では磁気記録媒体130は各ビットが連続して存在する連続媒体の例を示したが、基板上に10nm程度の磁性パターンを設けたパターン媒体でもよい。
図11には、本実施例に係る磁気記憶装置(磁気記録再生装置)の構成例を示す。上位システムからの記録、再生の命令に従い、磁気記録媒体201は所定の回転数でスピンドルモータ200により回転、再生ヘッドにより、予め装置製造工程で磁気記録媒体201に記録されたサーボ情報からの信号を用いて磁気記録媒体上の位置を検出し、再生ヘッド部と記録ヘッド部とを含むヘッドスライダ203及びサスペンション204とからなる、磁気ヘッドHGA(Head Gimbal Assembly)205を、アーム202を介してアクチュエータ206で制御することで磁気記録媒体201の所定の記録トラック上に移動(シーク動作)、その位置でフォローイング動作をする。次いでそのトラック上で、情報記録時には、記録信号は、サスペンション204に予め設けられた配線を通じて、R/W−IC、信号処理系などを含む回路系207によって制御されつつ、記録ヘッド部によって磁気記録媒体上の該記録トラックにマイクロ波アシスト方式(MAMR)で記録される。また情報再生時には、再生ヘッド部により信号が再生され、信号処理系での再生、復調信号処理などを経て情報が読み出される。アクチュエータ206がロータリー型のアクチュエータであれば、装置の小型軽量化の点で好ましい。本実施例では、磁気記録媒体201が1個、磁気ヘッドスライダが2個の場合を示したが、磁気記録媒体1個に対し磁気ヘッドスライダが1個でも良く、また磁気記録媒体、磁気ヘッドを目的に応じて複数個に適宜増やしても良い。
図12を用いて、本実施例に係る磁気記憶装置における第1の記録磁極122からの磁界で磁化反転が決まる場合の情報記録動作を模式的に説明する。両極性の記録信号電流をコイル123に流すことにより、第1の記録磁極122、磁気記録媒体130の軟磁性下地層135、第2の記録磁極124を含む磁気回路に磁束を発生する。これにより、媒体記録層133及び高周波磁界発生素子140の位置に、記録信号電流の向きに応じた磁界が生じる。また同時に、高周波磁界発生素子140に直流のSTO通電電流149を流す。これにより高周波磁界発生層(FGL)141の磁化が才差運動を行い、高周波磁界145が発生する。磁気記録媒体内において一定強度以上の記録ヘッド磁界(記録磁界)121と高周波磁界145が重畳した記録領域で、上記高周波磁界のアシスト効果により上記記録磁界方向に応じて記録層133が磁化される。記録層133内の矢印は磁化方向を示す。磁気記録媒体130を、第1の記録磁極等を含む記録ヘッド部120に対してトラック方向100に移動させることにより、記録情報に応じた磁化情報がトラック方向に順次記録される。ここで、上記第1の記録磁極122、第2の記録磁極124、軟磁性下地層135の形状と磁気特性を最適設計することにより、上記記録領域における記録ヘッド磁界(記録磁界)121の絶対強度と磁気記録媒体面法線と成す角度が各々、10kOe以上、20度〜70度となるようにした。又、高周波磁界発生素子140を最適設計することにより、上記マイクロ波の磁界強度(振幅)と発振周波数が各々、1kOe以上、20〜40GHzとなるようにした。
図13に、磁気記録媒体130に図12で示した記録を行う時の高周波磁界発生素子140の各層の磁化状態を模式的に示す。ここで符号146はスピン注入固定層143の磁化、符号147は高周波磁界発生層(FGL)141の磁化、符号148は高周波磁界発生層(FGL)の磁化147の回転方向、符号149は高周波発生素子に電源144から供給される直流のSTO通電電流である。磁気記録媒体130の記録層133に記録された上向きの磁化137を下向きに書き換える場合の概念図を図13(a)に示す。この場合には、第1の記録磁極122から、図で下向きの記録磁界121が発生するように記録ヘッドのコイル123に記録信号電流を通電する。このとき、第1の記録磁極122からの磁界の一部が第2の記録磁極124に向けてギャップ部125にも発生する。同図に示すように、スピン注入固定層143、高周波磁界発生層(FGL)141の磁化を図11上で右向きに配向させるのに十分強い発振制御磁界126が発生するように、予め第1の記録磁極122、第2の記録磁極124、磁気ギャップ部125などの構造、材料、更には高周波磁界発生素子140の構造、材料などを設計しておく。同時に、STO通電電流149により、電子がFGL141から中間層を経てスピン注入固定層143へ流れるが、スピン注入固定層内において同固定層磁化と同じ向きのスピンを持った電子の伝導度が、これと逆向きのスピンを持った電子の伝導度より大きいため、固定層磁化と逆向きのスピンを持った電子が中間層で反射され、中間層/FGL界面付近に蓄積する。FGL磁化147は、発振制御磁界126からFGL層面内方向に、上記電子スピンより磁化をFGL面に近付ける方向に、又、FGL141の異方性磁界の符号に応じてFGL面と垂直な方向に、各々トルクを受けることにより、減衰することなく発振制御磁界126を回転軸として才差運動を行う。これにより、磁気記録媒体位置に媒体面内で回転もしくは直線振動する高周波磁界を発生し、この高周波磁界145が下向きの記録磁界121をアシストすることにより磁気記録媒体の上向き磁化137は下向き磁化138に反転、情報の書き換えが行われることになる。なおここで、上記の発振周波数は発振制御磁界とFGLの異方性磁界の和によって決まる。このため例えば軟磁性材料や負の垂直磁気異方性材料でFGLを構成した場合には、その異方性磁界は小さいので、FGLの発振周波数は発振制御磁界126の強さに応じて決まることになる。
次に上記と反対に、記録層133に記録された下向きの磁化138を上向きに書き換える場合について、図13(b)の概念図を用いて説明する。まずスピン注入固定層143及びFGL141に、図13(a)と逆向き(左向き)の強い発振制御磁界126を印加し、スピン注入固定層143及びFGL141の磁化の向きを、図中左向きになるように高速でスウィッチさせる。STO通電電流149の方向は変わらず、先ほどとは逆向きのスピンを持つ電子が中間層/FGL界面付近に蓄積するので、FGL141における発振制御磁界、電子スピン、磁気異方性による実効磁界の向きが図13(a)の場合と全て反対向きとなり、逆方向に才差運動を行う。これにより発生する高周波磁界145が上向きの記録磁界121をアシストすることにより磁気記録媒体の下向き磁化137は上向きに反転、情報の書き換えが行われることになる。なお上記で適正な調整を行えば、第1の磁極と第2の磁極の役割を変えることもできる。
公知のLLGシミュレーションによれば、FGLは、その膜厚を1ないし100nm、より好ましくは5ないし30nmとし、その幅と高さを40〜20nm程度以下の範囲で最適化して、強い磁界を印加することにより、軟磁性材料、硬磁性材料、負の垂直磁気異方性材料のいずれの材料でも、磁区構造をつくることなく、安定して発振することが確認された。このことから、マイクロ波アシスト記録方式は特に高密度記録に適しているといえる。
以上、本実施例によれば、マイクロ波アシスト記録方式(MAMR)を用いる場合において、高記録密度の実現が可能な磁気記録媒体および磁気記憶装置を提供することができる。
本発明の第2の実施例について説明する。なお、実施例1に記載され本実施例に未記載の事項は特段の事情が無い限り本実施例にも適用することができる。
本実施例では、MAMR方式において、熱安定性に優れるだけでなく、磁気記録再生過程におけるSN比も向上できる磁気記憶装置、および磁気記録媒体の例を説明する。
本実施例では、磁気記録媒体の構造を除いて実施例1とほぼ同様の装置構成を用いるので、以下、磁気記録媒体の構造についてのみ説明する。実施例1では、記録層の各層の結晶粒界に酸化物を偏析させることにより結晶粒間の磁気交換相互作用を抑制した。これに対して、本実施例では、上記記録層の第1層については、結晶粒界偏析による磁気記録媒体表面の面荒れを抑制するために上記酸化物の導入を抑制した。このため、第1層では磁気交換相互作用が優勢となるため、第1層、第2層、第3層のHkを、各々、30kOe、20kOe、40kOe程度となるように調整すると同時に、各層の飽和磁化を増大することにより、熱安定性を確保した。これらは従来の製造プロセスで実現可能である。
以上、本実施例によれば、マイクロ波アシスト記録方式(MAMR)を用いる場合において、高記録密度の実現が可能な磁気記録媒体および磁気記憶装置を提供することができる。また、磁気記憶媒体の第1層における結晶粒界への酸化物の偏析を抑制することにより、表面の面荒れが抑制され飽和磁化が増大し熱安定性が向上した。
本発明の第3の実施例について説明する。なお、実施例1又は2に記載され本実施例に未記載の事項は特段の事情が無い限り本実施例にも適用することができる。
本実施例では、さらに熱安定性を向上した磁気記録媒体および磁気記憶装置の例を説明する。本実施例の装置構成は実施例1とほぼ同様のものを用いるので、装置構成については説明を省略する。以下、本実施例の磁気記録媒体の構造について説明する。
本実施例3において、記録層を組成比の異なる3種のL1−FeNiPt100−x−yの積層膜(表面側から順に第1層、第2層、第3層とする)とし、x、yを調節することにより、第1層、第2層、第3層のHkが、各々、60kOe、50kOe、30kOe程度となるようにした。また、上記記録層はターゲット材料にTiO、SiO2、ZrO、NbO,AgOなどを含む酸化物、TiC、SiCなど含む炭化物を適宜混入し、製膜プロセスを最適化してこれらの酸化成分、炭化成分、もしくはそれらの混合成分を結晶粒界に0.8ないし1.2nm偏析させることにより結晶粒間の磁気交換相互作用を制御した。これらは従来の製造プロセスで実現可能である。
又、上記結晶粒の粒径が平均4nm程度磁気となるように磁気記録媒体の中間層を設計した。さらに、上記第1の記録磁極122、第2の記録磁極124、軟磁性下地層135の形状と磁気特性を最適設計した。特に、第1の記録磁極の幅を100nm以上とすることにより、上記記録領域における記録ヘッド磁界121の絶対強度と磁気記録媒体面法線と成す角度が各々、12kOe以上、約40度となるようにした。又、高周波磁界発生素子140は、高周波発生層の幅を20nmとし、形状と材料構成を最適設計することにより、上記マイクロ波の磁界強度(振幅)と発振周波数が各々、1kOe以上、約60GHzとなるようにした。本実施例では、4nm程度の微細粒径を持つ磁気記録媒体においても十分な熱安定性が得られ、また記録ビットの幅が、幅20nmのFGLからのAC磁界による選択的反転で決まるため20−25nm程度となった。
従って、本実施例によれば、4Tb/in程度の記録密度を得ることができる見通しが得られた。
以上、本実施例によれば、マイクロ波アシスト記録方式(MAMR)を用いる場合において、高記録密度の実現が可能な磁気記録媒体および磁気記憶装置を提供することができる。
本発明の第4の実施例について説明する。なお、実施例1乃至3の何れかに記載され本実施例に未記載の事項は特段の事情が無い限り本実施例にも適用することができる。
本実施例では、さらに従来垂直磁気記録用媒体との連続性を重視した磁気記録媒体および磁気記憶装置の例を説明する。本実施例の装置構成は実施例1とほぼ同様のものを用いるので、装置構成については説明を省略する。以下、本実施例の磁気記録媒体の構造について説明する。
磁気記録媒体の記録層133をhcp構造を有し組成比の異なる3種のCoPt系の積層膜(表面側から順に第1層、第2層、第3層とする)とし、第1層、第2層、第3層のHkを、各々、およそ25kOe、15kOe、20kOe程度、膜厚を各々約5nmとなるようにした。また、上記記録層はターゲット材料にTiO、SiO2、ZrO、NbO,AgOなどを含む酸化物、TiC、SiCなど含む炭化物を適宜混入し、製膜プロセスを最適化してこれらの酸化成分、炭化成分、もしくはそれらの混合成分を結晶粒界に0.8ないし1.2nm偏析させることにより結晶粒間の磁気交換相互作用を制御した。又、上記結晶粒の粒径が平均6nm程度となるように磁気記録媒体の中間層を設計した。さらに、上記第1層の上に、Hkが10kOeで膜厚が2nm以下のCAP(キャップ)層を設けた。CAP層の結晶粒間では上記偏析を極力抑制し、その表面を平滑化した。上記CAP層はHkが記録層を構成するどの層よりも小さく、記録層として情報を保持することを目的とするものではなく、記録表面平滑化のためのものであり、マイクロ波アシスト効果を得るためにはその膜厚は極力薄くすることが望ましい。即ち、CAP層Hkと第1層Hkの各層膜厚で重みをつけた平均値は、第2層と第3層の膜厚平均Hkより大きいことが望ましい。これらは従来の製造プロセスで実現可能である。
上記第1の記録磁極122、第2の記録磁極124、軟磁性下地層135の形状と磁気特性を最適設計した。特に、第1の磁極の幅を100nm以上とすることにより、上記記録領域における記録ヘッド磁界121の絶対強度と磁気記録媒体面法線と成す角度が各々、12kOe以上、約40度となるようにした。又、高周波磁界発生素子140は、高周波発生層の幅を30nmとし、形状と材料構成を最適設計することにより、上記マイクロ波の磁界強度(振幅)と発振周波数が各々、1kOe以上、約30GHzとなるようにした。本実施例では、6nm程度の微細粒径を持つ磁気記録媒体においても十分な熱安定性が得られ、また記録ビットの幅が、幅30nmのFGLからのAC磁界による選択的反転で決まるため30−40nm程度となった。従って、本実施例によれば、2 Tb/in程度の記録密度を得ることができる見通しが得られた。
以上、本実施例によれば、マイクロ波アシスト記録方式(MAMR)を用いる場合において、高記録密度の実現が可能な磁気記録媒体および磁気記憶装置を提供することができる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
100:磁気ヘッドの走行方向、
101:磁気ヘッドと磁気記録媒体のクリアランス、
110:再生ヘッド部、
111:シールド層、
112:再生センサ素子(磁気再生素子)、
113:上部磁気シールド、
114:下部磁気シールド、
120:記録ヘッド部、
121:記録ヘッド磁界、
122:第1の記録磁極、
123:コイル、
124:第2の記録磁極、
125:磁気ギャップ部、
126:発振制御磁界、
130:磁気記録媒体、
131:潤滑層、
132:保護層、
133:多層構造を有する記録層、
134:非磁性中間層、
135:軟磁性下地層、
136:非磁性基板、
137:上向きの磁化、
138:下向きの磁化、
140:高周波磁界発生素子、
141:高周波磁界発生層(FGL)、
142:非磁性中間層、
143:スピン注入固定層、
144:直流電源、
145:高周波磁界、
146:スピン注入固定層の磁化、
147:高周波磁界発生層(FGL)の磁化、
148:高周波磁界発生層(FGL)の磁化の回転方向、
149:STO通電電流、
150:スライダ、
151:ヘッド保護層
152:磁気記録再生ヘッド浮上面(ABS)、
200:スピンドルモータ、
201:磁気記録媒体、
202:アーム、
203:磁気記録再生素子搭載スライダ(ヘッドスライダ)、
204:サスペンション、
205:HGA(磁気ヘッド)、
206:アクチュエータ、
207:回路系。

Claims (8)

  1. 情報を記録する第1、第2及び第3の3層以上の層を含む記録膜を有する磁気記録媒体と、
    前記磁気記録媒体に情報を書き込むための記録磁界を発生する記録磁極と、前記記録磁極に対向して設けられた対向磁極と、前記記録磁極および前記対向磁極の間に設けられた高周波磁界発生素子と、前記磁気記録媒体から情報を読み取る磁気再生素子とを備える磁気ヘッドを含み、
    前記磁気記録媒体の前記記録膜における前記磁気ヘッドに最も近い第1の層の異方性磁界は、20kOeより大きく、
    前記記録膜における膜内部の平均の異方性磁界は、前記第1の層の表面付近の平均の異方性磁界よりも小さく、
    前記記録磁極から生じる記録磁界の強度は、前記磁気記録媒体に記録するには不十分であり、
    前記記録膜の前記第1の層の異方性磁界は、前記第1の層と隣接して前記磁気ヘッド側と反対側にある前記第2の層の異方性磁界よりも大きく、
    前記記録膜の前記第2の層と隣接して前記磁気ヘッド側と反対側にある前記記録膜の第3の層の異方性磁界は、前記第2の層の異方性磁界より小さいことを特徴とする磁気記憶装置。
  2. 情報を記録する第1、第2及び第3の3層以上の層を含む記録膜を有する磁気記録媒体と、
    前記磁気記録媒体に情報を書き込むための記録磁界を発生する記録磁極と、前記記録磁極に対向して設けられた対向磁極と、前記記録磁極および前記対向磁極の間に設けられた高周波磁界発生素子と、前記磁気記録媒体から情報を読み取る磁気再生素子とを備える磁気ヘッドを含み、
    前記磁気記録媒体の前記記録膜における前記磁気ヘッドに最も近い第1の層の異方性磁界は、20kOeより大きく、
    前記記録膜における膜内部の平均の異方性磁界は、前記第1の層の表面付近の平均の異方性磁界よりも小さく、
    前記記録磁極から生じる記録磁界の強度は、前記磁気記録媒体に記録するには不十分であり、
    前記記録磁極から生じる記録磁界と前記高周波磁界発生素子から生じる高周波磁界により前記磁気記録媒体に情報を記録する位置における、前記記録磁界の強度Hdcと、前記記録磁界が前記磁気記録媒体の磁気異方性の容易軸と成す角度φ、前記高周波磁界の周波数fac、前記磁気記録媒体の各層のダンピング係数α、前記磁気記録媒体の異方性磁界の平均値Hkが
    α>0.1、fac<40GHz、でかつ
    φ<30°又はφ>60°のとき、Hk<3・Hdc、
    30°<φ<60°のとき、2・Hdc<Hk<3・Hdc
    であることを特徴とする磁気記憶装置。
  3. 前記記録膜の前記第1の層の前記磁気ヘッド側に前記記録膜の表面を平滑化するためのキャップ層が形成されていることを特徴とする請求項1記載の磁気記憶装置。
  4. マイクロ波アシスト磁気記録方式の磁気記憶装置で用いる磁気記録媒体であって、情報を記録する第1、第2、および第3の3層以上の層を含む記録膜を有し、
    前記磁気記憶装置の記録磁極を備えた磁気ヘッドに、前記記録膜として最も近くに配置される前記記録膜の第1の層の異方性磁界は、20kOeより大きく、
    前記記録膜における膜内部の平均の異方性磁界は、前記第1の層の表面付近の平均の異方性磁界よりも小さく、
    前記記録磁極から生じる記録磁界の強度だけでは記録できない記録媒体であり、
    前記記録膜の前記第1の層の異方性磁界が、前記第1の層と隣接して前記磁気ヘッド側と反対側にある前記記録膜の第2の層の異方性磁界よりも大きく、
    前記記録膜の前記第2の層と隣接し、前記第1の層と反対側にある前記記録膜の第3の層の異方性磁界は、前記第2の層の異方性磁界より小さいことを特徴とする磁気記録媒体。
  5. 前記記録膜は、前記磁気記憶装置の記録磁極からの記録磁界とマイクロ波アシスト磁界の両者を用いて記録されることを特徴とする請求項4記載の磁気記録媒体。
  6. マイクロ波アシスト磁気記録方式の磁気記憶装置で用いる磁気記録媒体であって、情報を記録する第1、第2、および第3の3層以上の層を含む記録膜を有し、
    前記磁気記憶装置の記録磁極を備えた磁気ヘッドに、前記記録膜として最も近くに配置される前記記録膜の第1の層の異方性磁界は、20kOeより大きく、
    前記記録膜における膜内部の平均の異方性磁界は、前記第1の層の表面付近の平均の異方性磁界よりも小さく、
    前記記録磁極から生じる記録磁界の強度だけでは記録できない記録媒体であり、
    前記磁気記憶装置のマイクロ波磁気記録方式の記録磁極から生じる記録磁界と高周波磁界発生素子から生じる高周波磁界により前記記録膜に情報を記録する位置における、前記記録磁界の強度をHdc、前記記録磁界が前記記録膜の磁気異方性の容易軸と成す角度をφ、前記高周波磁界の周波数をfac、前記記録膜の各層のダンピング係数をα、前記記録膜の異方性磁界の平均値をHkとした場合、
    α>0.1、fac<40GHz、でかつ
    φ<30°又はφ>60°のとき、Hk<3・Hdc、
    30°<φ<60°のとき、2・Hdc<Hk<3・Hdc
    で使用されるものであることを特徴とする磁気記録媒体。
  7. 前記記録膜の前記第1の層の前記磁気ヘッド側に前記記録膜表面を平滑化するためのキャップ層が形成されていることを特徴とする請求項4記載の磁気記録媒体。
  8. マイクロ波アシスト磁気記録方式の磁気記憶装置で用いる磁気記録媒体であって、情報を記録する第1、第2、および第3の3層以上の層を含む記録膜を有し、
    前記磁気記憶装置の記録磁極を備えた磁気ヘッドに、前記記録膜として最も近くに配置される前記記録膜の第1の層の異方性磁界は、20kOeより大きく、
    前記記録膜における膜内部の平均の異方性磁界は、前記第1の層の表面付近の平均の異方性磁界よりも小さく、
    前記記録磁極から生じる記録磁界の強度だけでは記録できない記録媒体であり、
    前記記録膜の前記第1の層の前記磁気ヘッド側に前記記録膜表面を平滑化するためのキャップ層が形成され、
    前記第1の層と隣接して前記磁気ヘッド側と反対側にある前記記録膜の第2の層と、
    前記第2の層と隣接し、前記第1の層と反対側にある前記記録膜の第3の層を備え、
    前記キャップ層の異方性磁界は前記第2の層及び前記第3の層の何れの異方性磁界よりも小さく、
    前記キャップ層と前記第1の層の膜厚で重みを付けた異方性磁界の平均値は、前記第2の層と前記第3の層の膜厚で重みを付けた異方性磁界の平均値よりも大きいことを特徴とする磁気記録媒体。
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