JP5938718B2 - 誘導加熱調理器とその制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複数個のインバータを備え、各インバータを個々に切り替えて駆動する制御機能を備えた誘導加熱調理器とその制御方法に関する。
従来技術に係る誘導加熱調理器について図面を用いて説明する。
図3は、従来技術に係る誘導加熱調理器の回路構成を示す図である。図3に示すように、誘導加熱調理器は、交流電源21、整流回路22、平滑回路23、第1及び第2の発振回路27a,27b、第1及び第2のインバータ回路31a,31b、入力電流検知回路28、ゼロポイント検知回路29、及びマイクロコンピュータ30を備えて構成される。
整流回路22は、例えば商用電源である交流電源21から供給される交流電力を整流する。平滑回路23は、整流後の整流回路22の出力を平滑し、直流電源を発生させる。第1のインバータ回路31aは、第1の加熱コイル24a、第1の共振コンデンサ25a、第1のスイッチング素子26aを備えて構成される。第2のインバータ回路31bは、第2の加熱コイル24b、第2の共振コンデンサ25b、第2のスイッチング素子26bを備えて構成される。第1の発振回路27a及び第2の発振回路27bは、夫々第1のインバータ回路31a及び第2のインバータ回路31bの第1のスイッチング素子26a及び第2のスイッチング素子26bを駆動する。入力電流検知回路28は、入力電流の値を検出して、マイクロコンピュータ30に出力する。ゼロポイント検知回路29は、交流電源21の電圧を検出し、マイクロコンピュータ30に出力する。マイクロコンピュータ30は、入力電流検知回路28、電源電圧検知回路29により検知した入力値に基き、第1のインバータ回路31a及び第2のインバータ回路31bが発振するように制御する。
上記構成において、マイクロコンピュータ30は、第1及び第2の発振回路27a,27bの駆動を交互に行うように制御する。また、マイクロコンピュータ30は、入力電流検知回路28により入力された電流値及び電源電圧検知回路29により入力された電圧値から電力値を演算する。演算された電力値は、第1の発振回路27aを制御している間に、第1のインバータ回路31aの電力補正などに利用される。同様に、マイクロコンピュータ30により演算された電力値は、第2の発振回路27bを制御している間に、第2のインバータ回路31bの電力補正などに利用される(例えば、特許文献1)。
特開2001−196156号公報
しかしながら、上記従来技術の構成では、第1のインバータ回路31aを2kW、第2のインバータ回路31bを1kWで発振回路27a,27bによって前述のように間欠的に、例えば半周期ごと交互に運転しようとすると、第1のインバータ回路31aは、平均2kWの出力を得るために半周期で4kWの出力を出す必要がある。同様に、第2のインバータ回路31bは、平均1kWの出力を得るために半周期で2kWの出力を出す必要がある。このことは、発振回路27a,27bが半周期ごと交互に駆動する毎に、誘導加熱調理器の入力電力が、4kW、2kWと大きく変わることを意味する。このような制御による交互加熱では、第1の発振回路27aの出力がオンの場合、第2の発振回路27bは完全にオフである。そのため、オフからオンへの切り替わり時に突入電流が大きく発生し、平滑コンデンサ23の充電電圧が上昇し、本体振動から鍋鳴りやコツ音の異音が起こる恐れがあった。
本発明の目的は上記従来の課題を解決し、2つのインバータ回路の交互駆動によって発生する入力電力の変化を原因とした、鍋鳴り、コツ音等の異音を防止することができる誘導加熱調理器とその制御方法を提供することにある。
上記従来の課題を解決するために、本発明の一態様に係る誘導加熱調理器は、交流電源から供給される電力を整流する整流回路と、整流後の前記整流回路の出力を平滑して直流電源を得る平滑コンデンサと、前記平滑コンデンサに並列に接続され、前記直流電源を第1のスイッチング素子により交流に変換して第1の加熱コイルに高周波電力を供給する第1のインバータと、前記平滑コンデンサに並列に接続され、前記直流電源を第2のスイッチング素子により交流に変換して第2の加熱コイルに高周波電力を供給する第2のインバータと、前記第1及び第2のインバータの夫々の前記第1及び第2スイッチング素子に駆動信号を供給する第1及び第2の発振回路と、前記第1及び第2の発振回路の駆動を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1及び第2の発振回路を交互に駆動させて制御するとともに、前記第1及び第2の発振回路の駆動の切り替え毎にオフ側の前記第1又は第2の加熱コイルの加熱を停止させることなく低電力加熱を継続させる。
上記構成によれば、2つのインバータ回路の交互駆動によって発生する電力変化量を制限して制御することができる。そのため、鍋鳴りやコツ音の異音の発生を防止、あるいは使用者が違和感を与えないレベルに改善することができ、高品質な誘導加熱調理器とその制御方法を提供することが可能となる。
本発明の実施の形態に係る誘導加熱調理器の回路構成を示すブロック図。 図1の2つの発振回路7a,7bの制御タイミングを示すタイミングチャート。 従来技術に係る誘導加熱調理器の回路構成を示すブロック図。 図3の発振回路27a,27bの制御タイミングを示すタイミングチャート。
本発明は、交流電源から供給される電力を整流する整流回路と、整流後の前記整流回路の出力を平滑して直流電源を得る平滑コンデンサと、前記平滑コンデンサに並列に接続され、前記直流電源を第1のスイッチング素子により交流に変換して第1の加熱コイルに高周波電力を供給する第1のインバータと、前記平滑コンデンサに並列に接続され、前記直流電源を第2のスイッチング素子により交流に変換して第2の加熱コイルに高周波電力を供給する第2のインバータと、前記第1及び第2のインバータの夫々の前記第1及び第2スイッチング素子に駆動信号を供給する第1及び第2の発振回路と、前記第1及び第2の発振回路の駆動を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1及び第2の発振回路を交互に駆動させて制御するとともに、前記第1及び第2の発振回路の駆動の切り替え毎にオフ側の前記第1又は第2の加熱コイルの加熱を停止させることなく低電力加熱を継続させる。そのため、第1及び第2の発振回路のオフからオンへの切り替わり時の突入電流を抑制でき、鍋鳴りやコツ音の異音の発生を防止でき、使用者に違和感を与えないレベルに改善することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る誘導加熱調理器の回路構成を示すブロック図である。
図1に示すように、実施の形態に係る誘導加熱調理器は、交流電源1、整流回路2、平滑回路3、第1及び第2の発振回路7a,7b、第1及び第2のインバータ回路11a,11b、入力電流検知回路8、ゼロポイント検知回路9、制御部10、及び操作部12を備えて構成される。
整流回路2は、例えば商用電源である交流電源1から供給される交流電力を整流する。平滑コンデンサ3は、整流後の整流回路2の出力を平滑し、直流電源を発生させる。第1及び第2のインバータ回路11a,11bは、第1及び第2の加熱コイル4a,4b、共振コンデンサ5a,5b、第1のスイッチング素子6a,6c及び第2のスイッチング素子6b,6dを備えて構成される。第1及び第2のインバータ回路11a,11bは、平滑コンデンサ3にそれぞれ並列に接続され、それぞれ直流電源を交流に変換する。第1及び第2の発振回路7a,7bは、インバータ回路11a,11bの夫々のスイッチング素子6a,6c及び6b,6dを駆動する。入力電流検知回路8は、整流回路2の入力電流の値を検出し、制御部10にその検出値を出力する。ゼロボルト検知回路9は、交流電源1の電圧の正負電圧反転のタイミング(零点)を検出し、検出したタイミングを制御部に出力する。操作部12を用い、使用者が被加熱物(調理物)への加熱の選択やパワー調整等を操作する。制御部10は、マイクロコンピュータ等を備え、入力電流検知回路8、及びゼロボルト検知回路9により検知された入力値、及び操作部12で選択された加熱設定に基づき、インバータ回路11a,11bが発振するように制御する。制御部10は、第1及び第2の発振回路7a,7bの駆動切り替え毎に発生する電力変化量が所定量以上である否かを判定する。制御部10は、上記電力変化量が所定量以上である場合、オフ側の第1又は第2の加熱コイル4a,4bの加熱を停止させることなく低電力加熱継続させる。詳細については、後述する。
以上の構成により、実施の形態に係る誘導加熱調理器は、第1及び第2加熱コイル4a,4bの上に夫々天板(図示せず)を介して載置された鍋等の被加熱物を、第1及び第2加熱コイル4a,4bの磁気結合で発生する渦電流により誘導加熱する。
図2は、図1の2つの発振回路7a,7bの制御タイミングを示すタイミングチャートである。図2において、図2(A)は交流電源1の電圧レベル、図2(B)はゼロボルト検知回路9の検出信号、図2(C)及び図2(D)は夫々発振回路7a,7bの動作状態、図2(E)は誘導加熱調理器の入力電力を表す。
なお、スイッチング素子6a,6c,6b,6dは、インバータ回路11a,11bの設定電力に係わらず、所定のスイッチング周期、例えば16kHz以上の人間の耳には聞こえない高周波の周期で駆動している。スイッチング素子6a,6bのオン時間は、上記スイッチング周期の半分の時間を最大オン時間になるよう制限している。また、スイッチング素子6c,6dは、夫々スイッチング素子6a,6bとは排他的に駆動するため、上記スイッチング周期の半分の時間を最小オン時間になるよう制限している。すなわち、スイッチング素子6a,6c及び6b,6dのオン時間が、夫々スイッチング周期の半分のときに最大出力電力となる。
以上のように構成された本実施の形態に係る誘導加熱調理器について、以下、その動作及び作用を説明する。
まず、操作部12によりインバータ回路11a,11bの加熱動作が選択されると、操作部12からの信号を受信した制御部10は、発振回路7a,7bに夫々制御信号の送信を開始して、スイッチング素子6a,6c及び6b,6dを駆動させる。
制御部10による第1の発振回路7aの制御タイミングは、図2(C)に示すように、期間T1で動作するように制御する。第1のスイッチング素子6a,6cは、第1の発振回路7aの動作により期間T1で高周波のスイッチング周期で、設定電力加熱で駆動する。第2のスイッチング素子6b、6dも同様に期間T1で、低電力加熱で駆動を行う。また、第2の発振回路7bの制御タイミングは、図2(D)に示すように、期間T2で動作するように制御する。第2のスイッチング素子6b,6dは、第2の発振回路7bの動作により期間T2で高周波のスイッチング周期で、設定電力加熱で駆動する。第1のスイッチング素子6a、6cも同様に期間T2で、低電力加熱で駆動する。すなわち、第1及び第2の発振回路7a,7bは、夫々期間T1及びT2で間欠的に且つ所定の周期で交互に設定電力加熱動作と低電力加熱とで動作する。そのため、第1のスイッチング素子6a,6c及び第2のスイッチング素子6b,6dも同様に、夫々期間T1及びT2で間欠的に且つ所定の周期で、所定の電力加熱を交互に高周波のスイッチング周期で駆動する。
次に、制御部10による発振回路7a,7bの動作の切り替えタイミングについて説明する。まず、ゼロボルト検知回路9は、図2(A)及び図2(B)に示すように、交流電源1の電圧レベルが正側でハイレベル信号を、負側でローレベル信号を検出し、且つハイレベルからローレベルへの立ち下がり及びローレベルからハイレベルへの立ち上がりエッジを電圧レベルが零点近傍で夫々検出する。そのため、検出信号は交流電源1の周期でのパルス信号となる。以下、この検出信号を、ZVP(ゼロボルトパルス)という。
制御部10は、ゼロボルト検知回路9の入力信号により交流電源1の零点を検知して、第1及び第2発振回路7a,7bの動作の切り替えを交流電源1の零点近傍で行う。また、第1及び第2発振回路7a,7bの駆動切り替え毎に発生する電力変化量が所定の電力以上になった場合(例えば2.4kw程度以上、但し、この電力によって本発明が限定されるものではない)、図2(C)及び図2(D)のように、第1の発振回路7aの動作が設定電力加熱を行っているときは、第2の発振回路7bは低電力動作を開始する。この動作により、0Wからの急激な電力変化を抑制し、突入電流による立ち上がり電圧を低減させている。すなわち、交流電源1の零点を挟んで第1の発振回路7aの動作を低電力動作(例えば300W程度、但し、この電力によって本発明が限定されるものではない)により、零点を通過後に第2の発振回路7bの設定電力動作を開始させている。第2の発振回路7bから第1の発振回路7aに動作を切り替える場合も同様である。また、前述のように第1及び第2の発振回路7a,7bの動作の切り替えは零点近傍で行うため、第1の発振回路7aの動作する期間T1及び第2の発振回路7bの動作する期間T2は、交流電源周期の半周期単位(半周期の整数倍)となる。図2(B)乃至図2(D)に示すように、期間T1は、ZVPが3パルス、期間T2はZVPが2パルスであるため、第1及び第2発振回路7a,7bは5ZVPの1周期により交互に動作している。ここで、低電力加熱とは、設定電力加熱よりも電力が低い加熱をいう。例えば、低電力加熱時の電力は、一方を低電力加熱しているときの、発振回路7a、7bの合計電力が、回路(例えば整流回路2)を構成する素子の最大定格を超えないような値に設定すれば良い。また、各インバータ11a、11bは、低電力加熱時の電力を含めた平均出力が設定電力となるように制御すればよい。
一方、図4は従来技術に係る誘導加熱調理器における発振回路の制御タイミングを示すタイミングチャートである。図4(A)の交流電源21の電圧、及び図4(B)のゼロボルト検知回路29の検出信号は、本実施の形態と同様である。しかし、図4(C)及び図4(D)に示す発振回路27a,27bの動作状態は、第1のスイッチング素子6aがオンの時、第2の発振回路7bは完全にオフとなる。そのため、従来技術に係る誘導加熱調理器では、第2の発振回路7bがオフからオン移行時に突入電流が発生し、鍋鳴りやコツ音が発生する。これに対して、本実施の形態によれば、上記のように鍋鳴りやコツ音の発生を防止でき、あるいは使用者が違和感を与えないレベルに改善することが可能となった。
以上のように、実施の形態に係る誘導加熱調理器は、交流電源1からの電源を整流する整流回路2と、整流後の整流回路の出力を平滑して直流電源を得る平滑コンデンサ3と、平滑コンデンサに並列に接続され直流電源を第1のスイッチング素子により交流に変換して第1の加熱コイル4aに高周波電力を供給する第1のインバータ11aと、平滑コンデンサに並列に接続され直流電源を第2のスイッチング素子により交流に変換して第2の加熱コイル4bに高周波電力を供給する第2のインバータ11bと、第1及び第2のインバータの夫々の第1及び第2スイッチング素子に駆動信号を供給する第1及び第2の発振回路7a,7bと、第1及び第2の発振回路の駆動を制御する制御部10とを備える。制御部10は、第1及び第2の発振回路7a,7bを交互に駆動させて制御するとともに、第1及び第2の発振回路7a,7bの駆動の切り替え毎にオフ側の第1又は第2の加熱コイル4a,4bの加熱を停止させることなく低電力加熱を継続させる。上記構成及び動作によれば、2つのインバータ回路11a,11bの交互駆動による、オフからオン移行時に発生する突入電流を制限して平滑コンデンサ3への充電電圧を低く制御することができる。そのため、鍋鳴りやコツ音の発生を防止でき、使用者が違和感を与えないレベルに改善することが可能となる。
以上詳述したように、本発明に係る誘導加熱調理器とその制御方法によれば、2つのインバータ回路の交互駆動により発生する電力変化を原因とした鍋鳴りやコツ音の防止することができる。そのため、一般家庭用あるいは業務用に係わらず、交互駆動により動作する誘導加熱調理器の全般に適用することが可能である。
1 交流電源
2 整流回路
3 平滑コンデンサ
4a 第1の加熱コイル
4b 第2の加熱コイル
6a,6c 第1のスイッチング素子
6b,6d 第2のスイッチング素子
7a 第1の発振回路
7b 第2の発振回路
10 制御部
11a 第1のインバータ回路
11b 第2のインバータ回路

Claims (2)

  1. 交流電源から供給される電力を整流する整流回路と、
    整流後の前記整流回路の出力を平滑して直流電源を得る平滑コンデンサと、
    前記平滑コンデンサに並列に接続され、前記直流電源を第1のスイッチング素子により交流に変換して第1の加熱コイルに高周波電力を供給する第1のインバータと、
    前記平滑コンデンサに並列に接続され、前記直流電源を第2のスイッチング素子により交流に変換して第2の加熱コイルに高周波電力を供給する第2のインバータと、
    前記第1及び第2のインバータの夫々の前記第1及び第2スイッチング素子に駆動信号を供給する第1及び第2の発振回路と、
    前記第1及び第2の発振回路の駆動を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記第1及び第2の発振回路を交互に駆動させて制御するとともに、前記第1及び第2の発振回路の駆動の切り替え毎に発生する電力変化量が所定量以上の場合、オフ側の前記第1又は第2の加熱コイルの加熱を停止させることなく低電力加熱を継続させる、
    ことを特徴とする誘導加熱調理器。
  2. 平滑コンデンサに並列に接続され直流電源を第1のスイッチング素子により交流に変換して第1の加熱コイルに高周波電力を供給する第1のインバータと、前記平滑コンデンサに並列に接続され前記直流電源を第2のスイッチング素子により交流に変換して第2の加熱コイルに高周波電力を供給する第2のインバータと、前記第1及び第2のインバータの夫々の前記第1及び第2スイッチング素子に駆動信号を供給する第1及び第2の発振回路とを備える誘導加熱調理器の制御方法であって、
    前記第1及び第2の発振回路を交互に駆動させて制御するとともに、前記第1及び第2の発振回路の駆動の切り替え毎に発生する電力変化量が所定量以上の場合、オフ側の前記第1又は第2の加熱コイルの加熱を停止させることなく低電力加熱を継続させる制御ステップを、
    含むことを特徴とする誘導加熱調理器の制御方法。
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