JP5938549B2 - 摺動部材及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、摺動部材に関し、特に冷凍サイクル用圧縮機などにおける装置に対し、主として金属材料からなる摺動部材の摺動面に好適なものに関する。
摺動部材の摩擦損失を低減させることは、装置の効率向上、及び信頼性向上のために必要である。例えば、冷凍冷蔵庫などに用いられるレシプロ圧縮機の場合、一般に使用される回転数である1500から3000rpmでは、摺動部材間に存在する油膜の厚さは1から2μm程度あるいはそれ以下とされている。
従来から摩擦損失を低減させるため、接触する摺動面の微細な凹凸を除去するべく可能な限り平滑にする努力がなされていたが、一方で比較的安価に摩擦損失を低減させるため、平滑化された摺動部材の摺動面に凹部を形成するための加工を施す技術や、平滑化された摺動部材の摺動面全面に固体潤滑被膜を設ける技術がある(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
図5(a),(b),(c)は、相互に摺動する摺動部材が対向している様子を示している。いずれの摺動部材、もしくは摺動部材を構成する基材の材質は、鉄系、あるいはアルミニウム系等の金属部材である。
これら摺動部材は図示省略の潤滑油による油膜を介して対向していて、図5(a)は摺動部材1と対向する摺動部材2の摺動面をともに平滑にした様子を示している。これに対し、図5(b)は、対向する摺動部材1の摺動面を平滑にし、もう一方の摺動部材2の摺動面に無数の凹部4を設けた様子を、一方、図5(c)は、対向する摺動材1の摺動面を平滑にし、もう一方の摺動部材2の基材5上に、樹脂をバインダーとし、固体潤滑剤を分散させた被膜6を全面に平滑に塗布している。
特許文献1によれば、接触摺動部34に潤滑油を給油すると、潤滑油は表面張力により無数に形成された凹部36にて油玉となり、荷重が加えられると、各凹部36の隣接する油玉が互いに連結し、摺動面全域に油膜が形成される。
また、特許文献2によれば、荷重が加えられて摺動面同志が接触すると、金属よりも軟らかい樹脂からなる被覆6が摩耗し、被覆6内に分散された固体潤滑剤が摺動表面に現出する。
特開平07−188738号公報 特開平10−246191号公報
しかしながら、上記従来の冷凍サイクル用圧縮機などでは、さらなる高出力化や、騒音や振動防止のための低回転化や、効率向上のために潤滑油の低粘度化や、摺動部分の削減による高効率化を図ることで、摺動部材の摺動状況が今後一層過酷になることが想定される。
摺動部材間の摺動面が互いに平滑な場合では、接触摺動部3に潤滑油を十分に保持する
ことができず、油膜が破断して摺動部材同士が接触することがある。このような摺動部材間で境界潤滑領域での摺動状態が長時間継続すると、凝着やアブレシブ摩耗が進行して、最終的に焼き付きによるロックや、異常摩耗に至ることがある。
また、特許文献1のように、無数の凹部4を摺動部材2の摺動面に設けた場合、摺動開始からしばらく経過すると摩擦係数が急増したり、摺動開始直後から摩擦係数が大きな変動を伴いながら高い値を推移することがあり、結果的に摺動部材の摺動面に激しい摩耗が生じることがある。加えて、摺動部材の基材よりも硬い粒子を高速で投射するショットピーニング手法にて凹部4を形成しているので、基材に微細なクラックや変質、残留応力が付与されて結果的に摺動部材2の摺動面の脆弱化の可能性がある。また、この手法では規則性を有する凹部4の配置は困難である。
一方、特許文献2のように、摺動部材の摺動面に平滑な固体潤滑被膜6を設けた場合では、摺動部材の摺動状況が過酷となって、摺動部材間の潤滑油が十分に確保できない状況になると、金属材からなる他方の摺動部材1との摺動において、比較的軟らかい固体潤滑被覆6の摩耗が一方的に進行し、最終的には完全に磨滅することで長期的な信頼性の確保が困難になる可能性がある。
かかる状況下にあって、本発明は、上記従来の課題を解決するためになされたもので、本発明の構成によれば、摺動部材の摺動状況が過酷となって、摺動部材間の潤滑油が十分に確保できない状況であっても、運転初期に固体潤滑被膜の隆起部の頂部が磨滅して平坦化するものの、窪み部に貯留された潤滑油が、隆起部の磨滅により形成された平坦な面に滲みでることで、なじみを促進して起動不良を低減し、かつ固体潤滑被膜の磨滅を抑制して、長期的な耐久性を確保することが可能な摺動部材を提供することを目的とする。
本発明の摺動部材は、少なくとも一方の摺動面の全面あるいは一部に、摺動方向及び前記摺動面上で前記摺動方向と略直交する方向に、連続した隆起部と、前記隆起部の繋がりによって形成された窪み部を有する固体潤滑被膜を備えた摺動部材において、前記摺動方向における前記隆起部の最頂部から前記窪み部の最深部までの高さが、前記摺動方向と略直交する方向における前記隆起部の最頂部から前記窪み部の最深部までの高さより大きい。
また、本発明の摺動部材の製造方法は、少なくとも一方の摺動面の全面あるいは一部に、摺動方向及び前記摺動面上で前記摺動方向と略直交する方向に、連続した隆起部と、前記隆起部の繋がりによって形成された窪み部を有する固体潤滑被膜を備えた摺動部材の製造方法において、前記摺動方向及び前記摺動面上で前記摺動方向と略直交する方向に、それぞれ所定ピッチで基材を移動させながら、前記基材の表面にコーティング剤を投射塗布して固体潤滑被膜を形成した後、前記固体潤滑被膜を焼成して、前記基材に前記固体潤滑被膜を固着す
本発明によれば、摺動部材の摺動状況が過酷となって、摺動部材間の潤滑油が十分に確保できない状況であっても、運転初期に固体潤滑被膜の隆起部の頂部が磨滅して平坦化するものの、窪み部に貯留された潤滑油が、隆起部の磨滅により形成された平坦な面に滲み出ることで、なじみを促進して起動不良を低減し、かつ固体潤滑被膜の磨滅を抑制して、長期的な耐久性を確保できるという効果が得られる。
本発明の実施の形態における摺動部材の摺動面の断面図 同実施の形態における摺動部材の摺動面の拡大断面図 (a)固体潤滑被膜処理装置である空圧シリンジ方式ディスペンサー装置の基本構成を示す図(b)ノズル先端から投射されたコーティング剤を示す図 (a)コーティング剤が基材の表面に投射された直後の上面図(b)焼成が完了した段階での固体潤滑被膜が形成された部位の上面図(c)(b)のT1−T2での断面図、及び線分S1−S2での断面図(d)コーティング剤が基材の表面にオフセットして投射された場合の上面図(e)焼成が完了した段階での固体潤滑被膜が形成された部位の上面図(f)(e)のT1−T2での断面図、及び線分S1−S2での断面図 (a)従来の形態における摺動部材と対向する摺動部材の摺動面をともに平滑にした様子を示した図(b)従来の形態における対向する摺動部材の摺動面を平滑にし、もう一方の摺動部材の摺動面に無数の凹部を設けた様子を示した図(c)は、対向する摺動材の摺動面を平滑にし、もう一方の摺動部材の基材上に、固体潤滑剤を分散させた被膜6を全面に平滑に塗布している様子を示した図
請求項1に記載の発明は、少なくとも一方の摺動面の全面あるいは一部に、摺動方向及び前記摺動面上で前記摺動方向と略直交する方向に、連続した隆起部と、前記隆起部の繋がりによって形成された窪み部を有する固体潤滑被膜を備えた摺動部材において、前記摺動方向における前記隆起部の最頂部から前記窪み部の最深部までの高さが、前記摺動方向と略直交する方向における前記隆起部の最頂部から前記窪み部の最深部までの高さより大きい摺動部材である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の摺動部材において、前記摺動方向、及び/又は前記摺動方向と略直交する方向における前記隆起部の最頂部から前記窪み部の最深部までの高さが1から10μmである。
請求項3に記載の発明は、少なくとも一方の摺動面の全面あるいは一部に、摺動方向及び前記摺動面上で前記摺動方向と略直交する方向に、連続した隆起部と、前記隆起部の繋がりによって形成された窪み部を有する固体潤滑被膜を備えた摺動部材の製造方法において、前記摺動方向及び前記摺動面上で前記摺動方向と略直交する方向に、それぞれ所定ピッチで基材を移動させながら、前記基材の表面にコーティング剤を投射塗布して固体潤滑被膜を形成した後、前記固体潤滑被膜を焼成して、前記基材に前記固体潤滑被膜を固着する摺動部材の製造方法である。
請求項4に記載の発明は、請求項に記載の摺動部材の製造方法において、前記コーティング剤は、固体潤滑剤を分散させた樹脂の液剤に有機溶剤からなる希釈剤を加えた液剤である。
請求項5に記載の発明は、請求項に記載の摺動部材の製造方法において、前記摺動部材の摺動方向のピッチ>前記摺動方向と略直交する方向のピッチとなる関係である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。尚、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態における摺動部材の摺動面の断面図、図2は同実施の形態における摺動部材の摺動面の拡大断面図、図3は固体潤滑被膜処理装置の概要を示す図、図4は同実施の形態における摺動部材の摺動面の上視図を示す。
本発明の摺動部材は、一方が他方に対して摺動するよう配置された2つの摺動部材10
1,102の一方に関するものであり、摺動部材102を構成する基材105の上面に固体潤滑被膜106が形成されている。尚、摺動部材102の基材の材質は共晶黒鉛鋳鉄(FCD)で、他方の摺動部材101は焼結材で形成され、表面処理は施していない。
摺動面にあたる固体潤滑被膜106には、連続した隆起部107と、隆起部107の繋がりによって形成された窪み部108が規則的に配列されており、隆起部107の最頂部から窪み部108の最深部までの高さtは1から3μmである。固体潤滑被膜106の膜厚は4から5μmである。また、固体潤滑被膜106には、ポリアミドイミド(PAI)樹脂をバインダーとして、固体潤滑剤である二硫化モリブデン(MoS2)粒子109を均一に分散している。尚、二硫化モリブデン粒子109の平均粒径は、3μm以下である。
この固体潤滑被膜106は、図3に示すような空圧シリンジ方式ディスペンサー装置208により基材105に投射塗布し、形成される。
空圧シリンジ方式ディスペンサー装置208の基本構成は、図3(a)に示すように、エアー源201と、レギュレータ202、吐出タイマー203、コントローラー204、電源205、シリンジ206、並びにノズル207である。ディスペンサーとは、いわゆる液体定量吐出システムのことで、ターゲット量のコーティング剤113を安定して供給し、ワーク(ここでは摺動部材に相当する)に向けてコーティング剤113の液玉を投射塗布することが可能である。
コーティング剤113は、二硫化モリブデン粒子109を分散させたポリアミドイミド(PAI)樹脂の液剤を有機溶剤からなる希釈剤により所定の中、あるいは高粘度に調整した液剤である。
以下に、固体潤滑被膜106の製造工程について説明する。
まず、摺動部材102を所定の温度にする予備加熱を行う。これは、コーティング剤113の基材105への固着促進のためである。
次に、所定の粘度に調整したコーティング剤113をシリンジ206に封入する。基材105を固定したステージを一定の速度でx方向、y方向に移動させながら、空圧シリンジ方式ディスペンサー装置208により、一定の速度、及び間隔で一定のターゲット量を摺動部材102へ向けて投射塗布を行う。図3(b)に示すように、ノズル207先端から投射された球状のコーティング剤113が基材105上に到達する。横から見ると、基材105上では、コーティング剤113の形態は円弧状になる。装置208やステージの条件設定により、各々の塗膜ピッチ(塗膜の中心間距離)を規則的に配列させることが可能である。この段階では、基材105上のコーティング剤113は固着にはまだ至っていない。
図4(a)は、コーティング剤113が基材105の表面に投射された直後の上面図である。塗布された個々のコーティング剤113の形状は、上方から見るとほぼ円状である。図4(a)に示すように、本実施の形態では、塗布されたコーティング剤113の塗膜直径Dは約0.9mmであり、摺動時を想定して、摺動方向に対し垂直方向の塗膜ピッチ(塗膜の中心間距離)摺動方向に対し平行な塗膜ピッチP1は約0.9mm、摺動方向に垂直な塗膜ピッチP2は約0.5mmとなるように設定している。
その後、予備加熱温度よりもやや高めの温度で仮乾燥を数分間行い、固体潤滑被膜106の表面のみを硬化させた段階で、バフ掛けを行う。固体潤滑被膜106表面の面粗度を
Ra0.2から0.4程度に調整するのが目的であるため、砥粒を内包しているナイロンバフや比較的硬いスチールバフよりも、馬毛バフの方が望ましい。
そして、最後に、200から250℃程度で、30分から2時間程度焼成を行い、コーティング剤113中の希釈剤を蒸発させ、基材105上に固体潤滑被膜106を完全に固着させる。
図4(b)は、焼成が完了した段階での固体潤滑被膜106が形成された部位の上面模式図、図4(c)は、図4(b)中の線分T1−T2での切断面、及び線分S1−S2での切断面の模式図を示している。
摺動方向に連続した隆起部107と、隆起部107の繋がりによって形成された窪み部108が構成されている。塗膜ピッチが塗膜直径Dに比べて顕著に小さい場合では、塗膜同士が合体して、線分S1−S2での切断面に示すように、隆起部107と窪み部108の高低差は比較的小さくなる。一方、塗膜ピッチが塗膜直径Dに近づくほど、即ち大きい場合では、焼成工程後でも、投射塗布されたコーティング剤113の円弧形状が残る傾向にあり、線分T1−T2での切断面に示すように、隆起部107と窪み部108の高低差は比較的大きくなる。このように、コーティング剤の粘性と塗膜ピッチの関係から、隆起部107と窪み部108の高低差をある程度調整することが可能である。
尚、図4(d),(e),(f)に示すように、投射塗膜を行うポイントにオフセット量Fを設けることで、摺動方向と交差する方向(交差角度α)に連続した隆起部107と、隆起部107の繋がりによって形成された窪み部108が構成することで、運転状況に対応させて形成が可能である。
このような製造工程で作成された本実施の形態を用いて、摺動部材の摺動状況が過酷で、摺動部材間の潤滑油が十分に確保できない状況下にて摩耗試験を行った結果、従来例と比べて長期にわたり良好な摩擦摩耗特性を示すことを確認した。
これについて、図2(b)を用いて以下のように考察する。
摺動部材の摺動状況が過酷となって、摺動部材間103の潤滑油が十分に確保できない状況になると、他方の摺動部材101の摺動面と、固体潤滑被膜106の隆起部107との摺動部間103が接触摺動して、運転初期に隆起部107の先端が磨滅する。しかしながら、固体潤滑剤の作用により凝着摩耗は防止されるので磨滅した面は平坦である。ここで、窪み部108に貯留された潤滑油113が接触摺動部の平坦面111に滲みでることで、固体潤滑剤による摩耗防止作用と相まって、固体潤滑被膜106の磨滅を効果的に抑制し、長期にわたり良好な耐摩耗性を確保することができたと考える。
また、固体潤滑被膜106を作成する工程で、基材105に基材に微細なクラックや変質、残留応力を付与しないので、基材105の表面近傍の脆弱化の可能性も少なく、窪み部108を形成することができる。
本実施の形態では、固体潤滑被膜106を作成する工程で、隆起部107と窪み部108を同時に形成し、かつ凹凸形状を規則的に配列させるように条件を制御することが可能である。このことから、生産性の観点からも効率的であると言える。
また、本実施の形態では、固体潤滑被膜106のバインダーとして、ポリアミドイミド樹脂110を用いたが、熱硬化型の樹脂が好ましく、他にエポキシ樹脂やフェノール樹脂を使用しても同様の効果が得られる。
尚、固体潤滑被膜106に均一に分散される固体潤滑剤として、二硫化モリブデン(MoS2)を用いたが、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、グラファイト(C)を単独、あるいは混合させて使用しても同様の効果が得られる。
更に、固体潤滑剤として二硫化モリブデン、グラファイトを用いた場合、更に三酸化アンチモン(Sb2O3)を併用することで、三酸化アンチモンが侵入してきた空気や酸素を選択的に捕捉し先に酸化されることで、固体潤滑被膜106中の二硫化モリブデン、グラファイトの酸化を抑制し、摩耗抑制効果を十分に発揮させることができる。
また、本実施の形態では、固体潤滑被膜106の膜厚を4から5μm、隆起部107の最頂部から窪み部108の最深部までの高さtを1から3μmとしている。固体潤滑被膜106の膜厚に関しては、1から10μm以内にするのが望ましい。膜厚が1μm未満では、十分な長期耐久性を確保することが困難であり、一方膜厚を10μm以上とすると、寸法精度の確保が困難になる。一方、隆起部107の最頂部から窪み部108の最深部までの高さtに関しては、1から10μm以内にするのが望ましい。1μm未満では実質平坦な面との違いがないためで、一方、10μmよりも大きくすると、逆に窪み部108が油膜切れの起点になる可能性がある。
以上のことから、本実施の形態のように、摺動部材の摺動状況が過酷となって、摺動部材間の潤滑油が十分に確保できない状況であっても、運転初期に固体潤滑被膜の隆起部の頂部が磨滅して平坦化するものの、窪み部に貯留された潤滑油が、隆起部の磨滅により形成された平坦な面に滲みでることで、なじみを促進して起動不良を低減し、かつ固体潤滑被膜の磨滅を抑制して、長期的な耐久性を確保できるという効果が得られる。
本発明は摺動部材が用いられている様々な装置、すなわち冷凍サイクル用圧縮機を含む様々な技術分野の各種装置に利用可能である。
101,102 摺動部材
106 固体潤滑被膜
107 隆起部
108 窪み部

Claims (5)

  1. 少なくとも一方の摺動面の全面あるいは一部に、摺動方向及び前記摺動面上で前記摺動方向と略直交する方向に、連続した隆起部と、前記隆起部の繋がりによって形成された窪み部を有する固体潤滑被膜を備えた摺動部材において、
    前記摺動方向における前記隆起部の最頂部から前記窪み部の最深部までの高さが、前記摺動方向と略直交する方向における前記隆起部の最頂部から前記窪み部の最深部までの高さより大きい摺動部材。
  2. 前記摺動方向、及び/又は前記摺動方向と略直交する方向における前記隆起部の最頂部から前記窪み部の最深部までの高さが1から10μmである請求項1に記載の摺動部材。
  3. 少なくとも一方の摺動面の全面あるいは一部に、摺動方向及び前記摺動面上で前記摺動方向と略直交する方向に、連続した隆起部と、前記隆起部の繋がりによって形成された窪み部を有する固体潤滑被膜を備えた摺動部材の製造方法において、
    前記摺動方向及び前記摺動面上で前記摺動方向と略直交する方向に、それぞれ所定ピッチで基材を移動させながら、前記基材の表面にコーティング剤を投射塗布して固体潤滑被膜を形成した後、前記固体潤滑被膜を焼成して、前記基材に前記固体潤滑被膜を固着する摺動部材の製造方法。
  4. 前記コーティング剤は、固体潤滑剤を分散させた樹脂の液剤に有機溶剤からなる希釈剤を加えた液剤である請求項に記載の摺動部材の製造方法。
  5. 前記摺動部材の摺動方向のピッチ>前記摺動方向と略直交する方向のピッチとなる関係である請求項に記載の摺動部材の製造方法。
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