JP2005133634A - 冷媒圧縮機 - Google Patents

冷媒圧縮機 Download PDF

Info

Publication number
JP2005133634A
JP2005133634A JP2003370414A JP2003370414A JP2005133634A JP 2005133634 A JP2005133634 A JP 2005133634A JP 2003370414 A JP2003370414 A JP 2003370414A JP 2003370414 A JP2003370414 A JP 2003370414A JP 2005133634 A JP2005133634 A JP 2005133634A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oil
sliding
refrigerant
refrigerant compressor
compression mechanism
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003370414A
Other languages
English (en)
Inventor
Junta Kawabata
淳太 川端
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Refrigeration Co
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Refrigeration Co filed Critical Matsushita Refrigeration Co
Priority to JP2003370414A priority Critical patent/JP2005133634A/ja
Publication of JP2005133634A publication Critical patent/JP2005133634A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Compressor (AREA)
  • Applications Or Details Of Rotary Compressors (AREA)

Abstract

【課題】信頼性を損なわず、低粘度オイルが使用可能な高効率冷媒圧縮機を提供することを目的としている。
【解決手段】冷媒圧縮機のシリンダボアー113やピストン115などの摺動部品の摺動面に、二硫化モリブデンを固着させた混合層123を形成することにより、二硫化モリブデンが低い摩擦係数でへき開することで固体潤滑作用を発揮するため異常摩耗の発生を防ぐので信頼性を維持しながら低粘度オイルが使用可能となり、摺動損失を低減して高効率の冷媒圧縮機を提供することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、冷蔵庫等に使用される冷媒圧縮機に関するものである。
近年、地球環境保護の観点から化石燃料の使用を少なくする高効率の冷媒圧縮機の開発が進められている。
従来の圧縮機としては、摺動部を構成する摺動部材は一方が窒化処理した鉄系材料にリン酸マンガン処理した摺動材料にて形成され、他方の摺動部材は陽極酸化処理したアルミニウムダイキャストにて形成されている(例えば特許文献1参照)。
以下図面を参照しながら上記従来の回転式圧縮機について説明する。
図9は従来技術の密閉型電動冷媒圧縮機の断面図である。密閉容器1は底部にオイル2を貯留するとともに、固定子3、および回転子4からなる電動要素5とこれによって駆動される往復式の圧縮機構6を収容している。
次に圧縮機構6の詳細を以下に説明する。
クランクシャフト7は回転子4を圧入固定した主軸部8および主軸部8に対し偏心して形成された偏心部9からなり、給油ポンプ10を設けている。シリンダーブロック11は略円筒形のボアー12からなる圧縮室13を有するとともに主軸部8を軸支する軸受け14を有している。
ボアー12に遊嵌されたピストン15は、ピストンピン16を介して偏心部9との間を連結手段であるコンロッド17によって連結されている。ボアー12の端面はバルブプレート18で封止されている。
ヘッド19は高圧室を形成し、バルブプレート18の反ボアー12側に固定される。サクションチューブ20は密閉容器1に固定されるとともに冷凍サイクルの低圧側(図示せず)に接続され、冷媒ガス(図示せず)を密閉容器1内に導く。サクションマフラー21は、バルブプレート18とヘッド19に挟持される。
クランクシャフト7の主軸部8と軸受け14、ピストン15とボアー12、ピストンピン16とコンロッド17、クランクシャフト7の偏心部9とコンロッド17は相互に摺動部を形成する。そして、摺動部を構成する摺動部材は一方が窒化処理した鉄系材料にリン酸マンガン処理した摺動材料にて形成され、他方の摺動部材は陽極酸化処理したアルミニウムダイキャストにて形成されている。
次に以上のような構成における一連の動作について説明する。
商用電源(図示せず)から供給される電力は電動要素5に供給され、電動要素5の回転子4を回転させる。回転子4はクランクシャフト7を回転させ、偏心部9の偏心運動が連結手段のコンロッド17からピストンピン16を介してピストン15を駆動することでピストン15はボアー12内を往復運動し、サクションチューブ20を通して密閉容器1内に導かれた前記冷媒ガスはサクションマフラー21から吸入され、圧縮室13内で連続して圧縮される。
オイル2はクランクシャフト7の回転に伴い、給油ポンプ10から各摺動部に給油され、摺動部を潤滑するとともに、ピストン15とボアー12の間においてはシールを司る。
特開平6−117371号公報
しかしながら、従来の摺動材料の仕様では、粘性抵抗を下げるため、オイル2の粘度を低くすると、摺動部同士の固体接触が増え、摺動部に硬度が低いリン酸マンガン処理を用いていることから、異常摩耗が発生する可能性があった。
加えて、従来の摺動材料の仕様では、オイル2の粘度を低くすると摺動部でのオイル2の保持性が悪くなり、冷媒圧縮機の停止時にオイル2が摺動部から流出してしまい、再起動時、摺動部に油膜が発生しない状態で運転を開始してしまい、異常摩耗のきっかけになりやすいという問題が有った。
さらに、ピストン15とボアー12間ではオイル2の粘度を低くすると圧縮した高圧の冷媒ガスがオイル2を吹き飛ばし、シール性が低下して冷媒ガスの漏れが増加し、ピストン15とボアー12の隙間からの冷媒ガスの漏れ量が大幅に増加することにより、かえって効率が低下することがあった。
本発明は、従来の問題を解決するもので、低粘度オイルを用いながら信頼性が高く、高い効率を備えた冷媒圧縮機を提供することを目的としている。
本発明の請求項1に記載の発明は、密閉容器内にオイルを貯留するとともに冷媒ガスを圧縮する圧縮機構を収容し、前記圧縮機構を構成する金属材料からなる摺動部品の摺動面に二硫化モリブデン(MoS2)を固着させた混合層を形成するとともに、前記オイルはVG10未満VG1以上の粘度としたものであり、二硫化モリブデン(MoS2)の組織が稠密六方晶であることから、二硫化モリブデン(MoS2)が低い摩擦係数でへき開することで固体潤滑作用を発揮することにより、異常摩耗の発生を防ぐという作用を有する。
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明においてさらに二硫化モリブデン(MoS2)を固着させた混合層の摺動部表面に微細くぼみをほぼ均一に形成したものであり、摺動部表面のくぼみにオイルが溜まり、摺動面にオイルを保持できるとともに摺動時に摺動部間の隙間が微小に変化することにより摺動部間に動圧が発生して油膜が保持されやすく、固体接触の頻度が少なくなるとともに、シール部においてはシール性を向上させるという作用を有する。
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、微細くぼみの大きさを直径2μm〜50μm、深さを0.5μm〜10μmとしたものであり、摺動部間の動圧が均一化されることで隙間が一定となり、さらに、微細くぼみの体積が小さいことにより、微細くぼみ部での体積変動が小さくなり、冷媒を含んだオイルが微細くぼみに供給される際に発生する隙間部での圧力低下が少なく、オイル中での発泡現象が抑えられ油膜が破断しにくいという作用を有する。
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明において、冷媒がR600a、R290のいずれかひとつ、またはこれらの混合物でオイルがアルキルベンゼン、鉱油、エステル、ポリビニルエーテル、ポリアルキレングリコールのいずれかひとつ、またはこれらの混合物としたものであり、オイルに溶け込みやすく、オイルの粘度を低下させやすい冷媒との組合せにおいても、二硫化モリブデン(MoS2)の持つ固体潤滑作用により摺動部の異常摩耗の発生を防ぐという作用を有する。
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記圧縮機構が往復式の圧縮機構であり、前記摺動部品がクランクシャフト、軸受け、ピストン、シリンダー、ピストンピンの少なくともいずれかひとつとしたものであり、往復式の圧縮機構において各摺動部で請求項1から請求項4の作用を得られるものである。
本発明の請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発明において、圧縮機構が回転式の圧縮機構であり、前記摺動部品がシャフト、軸受け、ローリングピストンの少なくともいずれかひとつとしたものであり、回転式の圧縮機構において各摺動部で請求項1から請求項4の作用を得られるものである。
以上説明したように請求項1に記載の発明は、二硫化モリブデン(MoS2)が固体潤滑作用を発揮することにより、異常摩耗の発生を防ぐことで低粘度オイルを用いながら信頼性が高く、高い効率を備えた冷媒圧縮機を提供することができる。
また、請求項2に記載の発明は、摺動部表面のくぼみにオイルが溜まり、摺動部間に動圧が発生して油膜が保持されやすく、低粘度オイルを用いながら信頼性が高く、高い効率を備えた冷媒圧縮機を提供することができる。
また、請求項3に記載の発明は、微細くぼみ部での体積変動が小さくなり、オイル中での発泡現象が抑えられ油膜が破断しにくく、低粘度オイルを用いながら信頼性が高く、高い効率を備えた冷媒圧縮機を提供することができる。
また、請求項4に記載の発明は、オイルの粘度を低下させやすい冷媒との組合せにおいても、二硫化モリブデン(MoS2)の持つ固体潤滑作用により摺動部の異常摩耗の発生を防ぐことで低粘度オイルを用いながら信頼性が高く、高い効率を備えた冷媒圧縮機を提供することができる。
また、請求項5に記載の発明は、往復式の圧縮機構において各摺動部で請求項1から請求項4の作用が得れることで低粘度オイルを用いながら信頼性が高く、高い効率を備えた冷媒圧縮機を提供することができる。
また、請求項6に記載の発明は、回転式の圧縮機構において各摺動部で請求項1から請求項4の作用を得られることで低粘度オイルを用いながら信頼性が高く、高い効率を備えた冷媒圧縮機を提供することができる。
本発明の請求項1に記載の発明は、密閉容器内にオイルを貯留するとともに冷媒ガスを圧縮する圧縮機構を収容し、前記圧縮機構を構成する金属材料からなる摺動部品の摺動面に二硫化モリブデン(MoS2)を固着させた混合層を形成するとともに、前記オイルはVG10未満VG1以上の粘度としたものであり、二硫化モリブデン(MoS2)の組織が稠密六方晶であることから、二硫化モリブデン(MoS2)が低い摩擦係数でへき開することで固体潤滑作用を発揮することにより異常摩耗の発生を防ぐことで、低粘度オイルを用いながら信頼性が高く、高い効率を備えた冷媒圧縮機を提供することができる。
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明においてさらに二硫化モリブデン(MoS2)を固着させた混合層の摺動部表面に微細くぼみをほぼ均一に形成したものであり、摺動部表面のくぼみにオイルが溜まり、摺動面にオイルを保持できるとともに摺動時に摺動部間の隙間が微小に変化することにより摺動部間に動圧が発生して油膜が保持されやすく、固体接触の頻度が少なくなるとともに、シール部においてはシール性を向上させることで、低粘度オイルを用いながら信頼性が高く、高い効率を備えた冷媒圧縮機を提供することができる
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、微細くぼみの大きさを直径2μm〜50μm、深さを0.5μm〜10μmとしたものであり、摺動部間の動圧が均一化されることで隙間が一定となり、さらに、微細くぼみの体積が小さいことにより、微細くぼみ部での体積変動が小さくなり、冷媒を含んだオイルが微細くぼみに供給される際に発生する隙間部での圧力低下が少なく、オイル中での発泡現象が抑えられ油膜が破断しにくいことで、低粘度オイルを用いながら信頼性が高く、高い効率を備えた冷媒圧縮機を提供することができる。
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明において、冷媒がR600a、R290のいずれかひとつ、またはこれらの混合物でオイルがアルキルベンゼン、鉱油、エステル、ポリビニルエーテル、ポリアルキレングリコールのいずれかひとつ、またはこれらの混合物としたものであり、オイルに溶け込みやすく、オイルの粘度を低下させやすい冷媒との組合せにおいても、二硫化モリブデン(MoS2)の持つ固体潤滑作用により摺動部の異常摩耗の発生を防ぐことで低粘度オイルを用いながら信頼性が高く、高い効率を備えた冷媒圧縮機を提供することができる。
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記圧縮機構が往復式の圧縮機構であり、前記摺動部品がクランクシャフト、軸受け、ピストン、シリンダー、ピストンピンの少なくともいずれかひとつとしたものであり、往復式の圧縮機構において各摺動部で請求項1から請求項4の作用が得れることで低粘度オイルを用いながら信頼性が高く、高い効率を備えた冷媒圧縮機を提供することができる。
本発明の請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発明において、圧縮機構が回転式の圧縮機構であり、前記摺動部品がシャフト、軸受け、ローリングピストンの少なくともいずれかひとつとしたものであり、回転式の圧縮機構において各摺動部で請求項1から請求項4の作用を得られることで低粘度オイルを用いながら信頼性が高く、高い効率を備えた冷媒圧縮機を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1による、冷媒圧縮機の断面図である。図2は、同実施の形態のA部拡大図である。図3は、同実施の形態における摺動時のオイルの流れを示した図である。図4は、二硫化モリブデン(MoS2)を固着させて形成した混合層とリン酸マンガン層との摩擦係数の特性図である。図5は、二硫化モリブデン(MoS2)を固着させて形成した混合層とリン酸マンガン層とをほどこしたコンプレッサーにおける冷凍能力の特性図である。図6は、二硫化モリブデン(MoS2)を固着させて形成した混合層とリン酸マンガン層とをほどこしたコンプレッサーにおける効率の特性図である。
図1、図2、図3において、密閉容器101内にはR600aからなる冷媒ガス102を充填するとともに、底部には鉱油からなりVG10未満VG1以上の粘度のオイル103を貯留し、固定子104、および回転子105からなる電動要素106とこれによって駆動される往復式の圧縮機構107を収容している。
次に圧縮機構107の詳細を以下に説明する。
クランクシャフト108は回転子105を圧入固定した主軸部109および主軸部109に対し偏心して形成された偏心部110からなり、下端にはオイル103に連通する給油ポンプ111を設けている。鋳鉄からなるシリンダーブロック112は略円筒形のボアー113と主軸部109を軸支する軸受け114を形成している。
ボアー113に遊嵌されたピストン115は鉄系の材料からなり、ボアー113と共に圧縮室116を形成し、ピストンピン117を介して連結手段であるコンロッド118によって偏心部110と連結されている。ボアー113の端面はバルブプレート119で封止されている。
ヘッド120は高圧室を形成し、バルブプレート119の反ボアー113側に固定される。サクションチューブ121は密閉容器101に固定されるとともに冷凍サイクルの低圧側(図示せず)に接続され、冷媒ガス102を密閉容器101内に導く。サクションマフラー122は、バルブプレート119とヘッド120に挟持される。
主軸部109と軸受け114、ピストン115とボアー113、ピストンピン117とコンロッド118、偏心部110とコンロッド118は相互に摺動部を形成する。
そして上記摺動部表面は、母材である鉄系材料の表面に二硫化モリブデン(MoS2)を固着させた混合層123を形成している。そして更に、表面に直径2μm〜50μm、深さを0.5μm〜10μmの大きさの微細くぼみ124をほぼ均一に形成している。
一般に、二硫化モリブデン(MoS2)を摺動部表面に形成する方法としてはイミド基等の熱硬化性の機能をもつ樹脂をバインダーとして用い、ジメチルアセトアミド等の溶剤に上記バインダー溶け込ませた溶液に二硫化モリブデン(MoS2)の粒子いれた溶液を摺動部表面に塗布した後、数百度で焼き付ける方法等がある。
本実施の形態においては、二硫化モリブデン(MoS2)を固着させた混合層123を表面に形成する方法として、二硫化モリブデン(MoS2)の粒をある速度以上で摺動部品の母材である鉄(Fe)系ならびにアルミニウム系(Al)等の金属の摺動面に衝突させる方法を用い、衝突の際に生じる熱エネルギーにより二硫化モリブデン(MoS2)の一部が母材に溶け込み金属結合することにより固着させた混合層123ならびに衝突の際に衝撃力により微細くぼみ124を同時に形成している。
以上のように構成された冷媒圧縮機について、以下その動作を説明する。
商用電源(図示せず)から供給される電力は電動要素106に供給され、電動要素106の回転子105を回転させる。回転子105はクランクシャフト108を回転させ、偏心部110の偏心運動が連結手段のコンロッド118からピストンピン117を介してピストン115を駆動することでピストン115はボアー113内を往復運動し、サクションチューブ121を通して密閉容器101内に導かれた前記冷媒ガス102はサクションマフラー122から吸入され、圧縮室116内で連続して圧縮される。
オイル103はクランクシャフト108の回転に伴い、給油ポンプ111から各摺動部に給油され、摺動部を潤滑するとともに、ピストン115とボアー113の間においてはシールを司る。
ここで主軸部109と軸受け114、ピストン115とボアー113、ピストンピン117とコンロッド118、偏心部110とコンロッド118の各摺動部材間に形成された各摺動部における動作について説明する。
上記各摺動部間においてはオイル103の粘度がVG10未満VG1以上と低いため、摺動部品同士が固体接触を起こしやすく、さらには冷媒がR600aであることからオイル103に溶け込みやすく、オイル103の粘度は低下することで、さらに固体接触を起こしやすくなる。特に摺動部がピストン115とボアー113、ピストンピン117とコンロッド118である場合、1圧縮工程当たり2回、相互摺動速度が0m/sとなるため、油圧がゼロとなり、固体接触が生じる。
しかしながら、ピストン115の表面層に二硫化モリブデン(MoS2)を固着させた混合層123を形成することから二硫化モリブデン(MoS2)の持つ固体潤滑作用により異常摩耗を防ぐとともに、摩擦係数が低下して摺動損失が低下する。
加えて図3に示すように、摺動部が摺動する際に生じる油膜を発生させるオイル103の流れが微細くぼみ124の中でうず流を形成し易くなり、その結果油圧が発生することで固体接触を防止し、耐摩耗性が向上する。
ここで、図4を用いて本実施の形態による二硫化モリブデン(MoS2)とリン酸マンガン層とにおけるオイル粘度を変えた際の摩擦係数について説明する。
図4において本実施の形態による二硫化モリブデン(MoS2)は鉄(Fe)系材料に二硫化モリブデン(MoS2)を固着させた混合層123の表面に直径2μm〜50μm、深さを0.5μm〜10μmの大きさの微細くぼみ124をほぼ均一に形成したものである。この測定は、HFC134a冷媒の雰囲気圧力0.4MPaのもと、VG4からVG22のエステルオイル、VG1相当のエタノールを使用し、摺動速度を1.0m/s、面圧:0.5MPaという条件において試験した結果である。
この結果からはリン酸マンガン層はオイル粘度をVG10未満にすると摩擦係数が上昇するが、鉄(Fe)系材料に二硫化モリブデン(MoS2)を固着させた混合層123はVG1までオイル粘度を低下させても摩擦係数の上昇は認められず、リン酸マンガン処理に比べ摩擦係数が低下していることがわかる。
これは、混合層123を形成している二硫化モリブデン(MoS2)の分子の大きさが約6×10-4μmであることから、鉄(Fe)系材料、アルミニウム(Al)等の相手材に接触した場合、低い摩擦係数でへき開することにより、固体接触が生じている摺動部の摩擦係数が低下し、さらに鉄(Fe)系材料に二硫化モリブデン(MoS2)を固着させた混合層123に直径2μm〜50μm、深さを0.5μm〜10μmの大きさの微細くぼみ124を均一に設けることにより、形成されるくさび形油膜の油圧が増加することで、固体接触部にかかる荷重が低減され摩擦係数が低下したことによると考えられる。
さらに発明者らは、オイル粘度をパラメータに、往復式冷媒圧縮機の冷凍能力並びに冷媒圧縮機の成績係数(COP)の変化を測定した。
図5および6は鉄(Fe)系材料のピストン115に二硫化モリブデン(MoS2)を固着させた混合層123に直径2μm〜50μm、深さを0.5μm〜10μmの大きさの微細くぼみ124を均一に設け、R600a冷媒とVG5とVG10の鉱油を用い、凝縮温度/蒸発温度:54.4℃/−23.3℃、吸入ガス、膨張弁前温度:32.2℃の条件にて測定しその結果をリン酸マンガン処理と比較したものである。
この結果からは図5において、リン酸マンガン処理がオイル103の粘度をVG10からVG5に低下させた際大きく冷凍能力が低下しているのに較べ、本実施の形態では冷凍能力の低下が極めて少ないことが分かる。
このことは、ピストン115がボアー113内を往復運動して冷媒ガス102を圧縮する際、オイル103の粘度が非常に低いため、シール性が低下し、圧縮室116で圧縮された冷媒ガス102がピストン115とボアー113の隙間から密閉容器101内に漏出し冷凍能力が低下し易いにもかかわらず、ピストン115に設けた微細くぼみ124により、くさび形油膜形成され、ピストン115とボアー113の隙間から漏出する冷媒ガスの量が低減されたことによると推定できる。
すなわち、ピストン115とボアー113の隙間の前記漏出した冷媒ガス102が微細くぼみ124に達すると、微細くぼみ124においてピストン115とボアー113の隙間の体積が増加することからラビリンスシールと同様の作用が生じ、漏出した冷媒ガス102の流速は急速に低下することで冷媒ガス102の漏れ量が減少し、その結果冷媒圧縮機の冷凍能力の低下を極めて少さく抑えることができたものと考える。
同様に図6においてはリン酸マンガン処理に較べて圧縮機の効率を示す成績係数(COP)が上昇しているが、これは図5に示したとおり、冷媒圧縮機の冷凍能力の低下を極めて小さく抑えることができたことによる体積効率の維持に加えて、図4に示したように摺動部における摩擦係数の上昇が無いことでの入力の低減、またVG10からVG5へのオイル粘度の低下に伴う粘性抵抗の低減が冷媒圧縮機の入力の低減に大きく寄与した結果であると考えられる。
以上、本実施の形態においては一定速度の圧縮機についてのべたが、インバーター化に伴い冷媒圧縮機の低速化が進む中、特に20Hzを切るような超低速運転に於いてはさらにオイル103の低粘度化における課題が大きくなり、本発明の効果が顕著になることはいうまでもない。
また、今回R600aと鉱油の組合せを例に挙げて説明をしたが、使用する冷媒を同じハイドロカーボン系冷媒であるR290した場合においても、また、使用するオイル103をアルキルベンゼン、エステル、ポリビニルエーテル、ポリアルキレングリコール等のオイル103にした場合においてもオイル103中に冷媒が溶け込み更に粘度を低下させることから同様の効果が得られる。
なお本実施の形態においては摺動部の双方に二硫化モリブデン(MoS2)を固着させた混合層123を設けたが、摺動部のいずれか一方に施してもよく、同様の作用効果が得られる。
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2による、冷媒圧縮機の断面図である。図8は、同実施の形態のB部拡大図である。
図7、図8において、密閉容器201には固定子202と回転子203からなる電動要素204と、電動要素204によって駆動されるローリングピストン型の圧縮機構205が収納されており,VG10未満VG1以上の粘度のオイル206とR600aからなる冷媒ガス(図示せず)が封入されている。
圧縮機構205は偏心部207、主軸部208、副軸部209を有するシャフト210と、圧縮室211を形成するシリンダー212と、シリンダー212の両端面を封止するとともに各々主軸部208と副軸部209を軸支する主軸受213と副軸受214と、偏心部207に遊嵌され圧縮室211内を転動するローリングピストン215と、ローリングピストン215に挿圧され、圧縮室211を高圧側と低圧側に仕切る板状のベーン216とを備えており、主軸部208には回転子203が固定されている。偏心部207とローリングピストン215、主軸部208と主軸受213、副軸部209と副軸受214は相互に摺動部を形成する。
副軸受214に固定されたオイルポンプ217は一端がオイル206に、他端が記各摺動部に連通している。
そして上記各摺動部の表面は、母材である鉄系材料の表面に二硫化モリブデン(MoS2)を固着させた混合層218を形成し、表面に直径2μm〜50μm、深さを0.5μm〜10μmの大きさの微細くぼみ219をほぼ均一に形成している。
以上のように構成された冷媒圧縮機について、以下その動作を説明する。
商用電源(図示せず)から供給される電力は電動要素204に供給され回転子203を回転させることでシャフト210は回転し、偏心部207に遊嵌されたローリングピストン215が圧縮室211内を転動し、ベーン216が圧縮室211を高圧側と低圧側に仕切ることで、冷媒ガスは圧縮室211内で連続して圧縮される。
また、シャフト210の回転に伴ってオイルポンプ217はオイル206を連続的に、上記各摺動部へ給油する。そして微細くぼみ219をほぼ均一に形成することにより各摺動部の隙間にオイル206が引き込まれ、くさび形油膜が形成される。
ここで、ローリングピストン型の冷媒圧縮機はローリングピストン215が偏心部207に回転自在に遊嵌されていることから、ローリングピストン215と偏心部207間の相対速度は主軸部208と主軸受213、副軸部209と副軸受214間の相対速度に比較して小さくなる。このことは軸受半径Rと半径すきまCと速度Nとオイル粘度μと面圧Pから求められるジャーナル軸受の特性を示すゾンマーフェルト数S(数1)が小さくなることであり、摺動潤滑上固体接触が発生しやすい不利な条件である。
S=μ×N/P×(R/C)2 …(数1)
しかしながら偏心部207の摺動部表面を二硫化モリブデン(MoS2)を固着させた混合層218とすることにより、固体接触が発生しても二硫化モリブデン(MoS2)の組織が稠密六方晶で、分子の大きさが約6×10-4μmと小さくことから低い摩擦係数でへき開することにより、摺動部の摩擦係数が低くなり、摺動損失が低下する。
さらにローリングピストン型の冷媒圧縮機は一般に密閉容器201内が凝縮圧力となるため、内圧が高く、オイル206の冷媒が溶け込みやすい。このことはオイル206の粘度を低下させることであり、上述したジャーナル軸受の特性を示すゾンマーフェルト数S(数1)が小さくなることであり、摺動潤滑上不利な条件である。
しかしながら、微細くぼみ219が微細であることから冷媒が溶け込んだオイル206が微細くぼみ219内に供給されてもくぼみでの体積変化が小さく雰囲気圧力の低下が少なくなり、圧縮された冷媒ガスの圧力が高圧のまま保たれることから、オイル206中に溶け込み可能な冷媒量の低下が抑えられ、オイル206中の冷媒の発泡現象が少なくなり、発泡により摺動部に形成された油膜の破断により生じる固体接触の発生が減少し、摩擦係数の上昇が防止できる。
さらに、インバーター等により摺動速度を変化させた場合、特に20Hzを切るような低速運転に於いて大きな効果が得られることは容易に推定できる。
また、今回R600aと鉱油の組合せを例に挙げて説明をしたが、使用する冷媒を同じハイドロカーボン系冷媒であるR290した場合においても、また、使用するオイル206をアルキルベンゼン、エステル、ポリビニルエーテル、ポリアルキレングリコール等のオイル206にした場合においてもオイル206中に冷媒が溶け込み更に粘度を低下させることから同様の効果が得られる。
以上のように、本発明にかかる冷媒圧縮機は、信頼性が高く、高い効率を備えた圧縮機を提供することが可能となるので、冷凍サイクルを用いた機器に幅広く適用できる。
本発明の実施の形態1の冷媒圧縮機の断面図 図1におけるA部拡大図 本発明の実施の形態1における摺動時のオイルの流れを示した図 本発明の実施の形態1における摩擦係数の特性図 本発明の実施の形態1における冷凍能力の特性図 本発明の実施の形態1における効率の特性図 本発明の実施の形態2の冷媒圧縮機の断面図 図8におけるB部拡大図 従来の冷媒圧縮機の断面図
符号の説明
101,201 密閉容器
102 冷媒ガス
103,206 オイル
107,205 圧縮機構
108 クランクシャフト
113 ボアー
114 軸受け
115 ピストン
116 ピストンピン
123,218 混合層
124,219 微細くぼみ
210 シャフト
213 主軸受
214 副軸受
215 ローリングピストン

Claims (6)

  1. 密閉容器内にオイルを貯留するとともに冷媒ガスを圧縮する圧縮機構を収容し、前記圧縮機構を構成する金属材料からなる摺動部品の摺動面に二硫化モリブデン(MoS2)を固着させた混合層を形成するとともに、前記オイルはVG10未満VG1以上の粘度とした冷媒圧縮機。
  2. 混合層の摺動部表面に微細くぼみをほぼ均一に形成した請求項1に記載の冷媒圧縮機。
  3. 微細くぼみの大きさを直径2μm〜50μm、深さを0.5μm〜10μmとする請求項1または請求項2に記載の冷媒圧縮機。
  4. 冷媒がR600a、R290のいずれかひとつ、またはこれらの混合物でオイルがアルキルベンゼン、鉱油、エステル、ポリビニルエーテル、ポリアルキレングリコールのいずれかひとつ、またはこれらの混合物である請求項1から3のいずれか一項に記載の冷媒圧縮機。
  5. 前記圧縮機構が往復式の圧縮機構であり、前記摺動部品がクランクシャフト、軸受け、ピストン、ボアー、ピストンピンの少なくともいずれかひとつである請求項1から4のいずれか一項に記載の冷媒圧縮機。
  6. 前記圧縮機構が回転式の圧縮機構であり、前記摺動部品がシャフト、主軸受、副軸受、ローリングピストンの少なくともいずれかひとつである請求項1から4のいずれか一項に記載の冷媒圧縮機。
JP2003370414A 2003-10-30 2003-10-30 冷媒圧縮機 Pending JP2005133634A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003370414A JP2005133634A (ja) 2003-10-30 2003-10-30 冷媒圧縮機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003370414A JP2005133634A (ja) 2003-10-30 2003-10-30 冷媒圧縮機

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005133634A true JP2005133634A (ja) 2005-05-26

Family

ID=34647433

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003370414A Pending JP2005133634A (ja) 2003-10-30 2003-10-30 冷媒圧縮機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005133634A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007009862A (ja) * 2005-07-04 2007-01-18 Matsushita Electric Ind Co Ltd 冷媒圧縮機
JP2007016671A (ja) * 2005-07-07 2007-01-25 Matsushita Electric Ind Co Ltd 冷媒圧縮機
CN101949378A (zh) * 2010-09-17 2011-01-19 上海交通大学 用于g-m制冷机的迷宫密封式活塞
JP2013133422A (ja) * 2011-12-27 2013-07-08 Panasonic Corp 摺動部材

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007009862A (ja) * 2005-07-04 2007-01-18 Matsushita Electric Ind Co Ltd 冷媒圧縮機
JP2007016671A (ja) * 2005-07-07 2007-01-25 Matsushita Electric Ind Co Ltd 冷媒圧縮機
CN101949378A (zh) * 2010-09-17 2011-01-19 上海交通大学 用于g-m制冷机的迷宫密封式活塞
JP2013133422A (ja) * 2011-12-27 2013-07-08 Panasonic Corp 摺動部材

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5012847B2 (ja) 冷媒圧縮機とそれを用いた冷凍機
JP5477455B2 (ja) 密閉型圧縮機
JP2009508029A (ja) 冷媒圧縮機、冷却装置および冷蔵庫
JP2005133634A (ja) 冷媒圧縮機
JP2005113865A (ja) 冷媒圧縮機
JP2013217302A (ja) 摺動部材および圧縮機
JP2010025075A (ja) 摺動部材および密閉型圧縮機
US20200270541A1 (en) Oxide film formed on surface of base material that is iron-based sintered body, sliding member on which oxide film is formed, and apparatus including sliding member
JP2007120342A (ja) 摺動部材及び圧縮機及び冷凍サイクル装置
JP6041177B1 (ja) 冷媒圧縮機およびそれを用いた冷凍装置
JPWO2020095903A1 (ja) 冷媒圧縮機及びこれを用いた冷凍装置
JP2010077863A (ja) 冷媒圧縮機および冷凍サイクル装置
WO2017043036A1 (ja) 冷媒圧縮機およびそれを用いた冷凍装置
JP2010185286A (ja) 摺動部材および圧縮機
JP4905464B2 (ja) 冷媒圧縮機
JP2010249391A (ja) 摺動部材と密閉型圧縮機および冷凍サイクル装置
JP2013024066A (ja) 摺動部材および圧縮機
JP2010185344A (ja) 摺動部材および圧縮機
JP2009138585A (ja) 摺動部材および圧縮機
JP2010185287A (ja) 摺動部材および圧縮機
JP2010185288A (ja) 摺動部材および圧縮機
JP2007255247A (ja) 摺動部材及び圧縮機及び冷凍サイクル装置
JP2015001214A (ja) 冷媒圧縮機
JP2010084583A (ja) 摺動部材および圧縮機
JP2020012374A (ja) 冷媒圧縮機およびそれを用いた冷凍装置