JP2010025075A - 摺動部材および密閉型圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】硬質炭素被膜と摺動部材との密着性を高め、低摩擦係数の摺動部材を提供し、信頼性の高い高効率の密閉型圧縮機を提供する。
【解決手段】金属材料からなる基材の表面に、Ti被膜128を形成し、前記Ti被膜128の上層にさらに水素含有量が0原子%である非結晶硬質炭素被膜127を形成したもので、金属材料や非結晶硬質炭素被膜127との結合力が高いTi被膜128により密着性を高め、水素含有量を0原子%とすることにより非結晶硬質炭素被膜127中のダイヤモンド成分およびグラファイト成分の密度を上げ摩擦係数を低下させることができるため、高信頼性で高効率の摺動部材を提供することができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、ピストンやクランクシャフト、ピストンピン等の摺動面に、耐摩耗性の優れた非結晶硬質炭素被膜を形成した摺動部材と、冷蔵庫やエアーコンデンサー等に使用される密閉型圧縮機に関するものである。
近年、地球環境保護の観点から化石燃料の使用を減らすために高効率の密閉型圧縮機の開発が進められている。
従来、密閉型圧縮機のピストンやクランクシャフトの摺動面には、水素含有量の少ない硬質炭素被膜を形成することによって、摺動部位の摩擦係数を減少させ、摩擦抵抗を少なくした摺動部材および密閉型圧縮機についての記載がある(例えば、特許文献1参照)。
以下、図面を参照しながら上記従来の摺動部材および密閉型圧縮機を説明する。
図6は、特許文献1に記載された従来の密閉型圧縮機の縦断面図、図7は特許文献1に記載された従来の摺動部材の要部断面図である。
図6に示すように、密閉容器1は底部にオイル2を貯留するとともに、固定子3および回転子4からなる電動要素5と、電動要素5によって駆動される往復式の圧縮要素6を収容している。
次に圧縮要素6の詳細を以下に説明する。
クランクシャフト7は、回転子4を圧入固定した主軸部8および、主軸部8に対し偏心して形成された偏心軸9を備え、さらに給油ポンプ10を設けている。
また、シリンダーブロック11は略円筒形のボアー12からなる圧縮室13を形成するとともに、主軸部8を軸支する軸受部14を設けている。
ボアー12に遊嵌されたピストン15は、ピストンピン16を介して、偏心軸9との間を連結手段であるコンロッド17によって連結されている。
ボアー12の端面はバルブプレート18で封止されている。
また、ヘッド19は高圧室(図示せず)と低圧室(図示せず)を形成し、バルブプレート18の反ボアー12側に固定される。
サクションチューブ20は、密閉容器1に固定されるとともに冷凍サイクルの低圧側(図示せず)に接続され、冷媒ガス(図示せず)を密閉容器1内に導く。サクションマフラー21は、バルブプレート18とヘッド19に挟持される。
クランクシャフト7の主軸部8と軸受部14、ピストン15とボアー12、ピストンピン16とコンロッド17、クランクシャフト7の偏心軸9とコンロッド17とは、相互に摺動部を形成し、摺動部を構成する摺動部材は、どちらか一方の摺動部表面に水素含有量の少ない硬質炭素被膜22が施されている。
図7では、摺動部の一例として、ピストン15とボアー12で形成される摺動部を示しており、ピストン15の摺動部表面に水素含有量の少ない硬質炭素被膜22を形成している。
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下その動作を説明する。
商用電源(図示せず)から供給される電力は電動要素5に供給され、電動要素5の回転子4を回転させる。回転子4はクランクシャフト7を回転させ、偏心軸9の偏心運動が連結手段であるコンロッド17からピストンピン16を介してピストン15に伝達されてピストン15はボアー12内を往復運動し、サクションチューブ20を通じて密閉容器1内に導かれた冷媒ガス(図示せず)は、サクションマフラー21から吸入され、圧縮室13内で連続して圧縮される。
オイル2はクランクシャフト7の回転に伴い、給油ポンプ10から各摺動部に給油され、摺動部を潤滑するとともに、ピストン15とボアー12の摺動部においては、シールの役割を果たす。
ここでピストン15とボアー12とは、漏れ損失を小さくするために非常に狭いクリアランスで遊嵌されている。その結果、ピストン15とボアー12の形状、精度のばらつきによっては、部分的に相互接触を起こす部位が生じることもある。
しかしながら、硬質炭素被膜22をピストン15の摺動面に形成することで、ピストン15が上死点ならびに下死点において速度が零となった場合においても、ピストン15の表面に形成した硬質炭素皮膜22により、ボアー12との摺動抵抗を低減することができる。
特開2005−98289号公報
しかしながら、上記従来の摺動部材をオイルの粘度が高い環境下で使用する場合は、摺動部材表面にオイルを保持することができ、摺動部材表面への負荷を低く抑えることができたが、近年の密閉型圧縮機の高効率化に伴うオイルの低粘度化により、摺動部材表面にオイルを保持する能力が低下し、その結果、摺動部材表面への負荷が増大し、硬質炭素被膜22が摺動部材の基材部より剥がれ、耐摩耗性の低下が生じるという課題を有していた。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、硬質炭素被膜と摺動部材との密着性を高め、低摩擦係数の摺動部材を提供し、信頼性の高い高効率の密閉型圧縮機を提供することを目的としている。
上記従来の課題を解決するために、本発明の摺動部材は、摺動部材の基材の表面に、Ti被膜を形成し、このTi被膜の上層に非結晶硬質炭素被膜を形成することで、基材と非結晶硬質炭素被膜との密着性を良化させるという作用を有する。
本発明の摺動部材および密閉型圧縮機は、金属材料からなる基材の表面に、Ti被膜を形成し、このTi被膜の上層にさらに水素含有量が0原子%である非結晶硬質炭素被膜を形成したもので、Ti被膜により基材と非結晶硬質炭素被膜との密着性を高めることにより、高信頼性の摺動部材および、高信頼性かつ高効率の密閉型圧縮機を提供することができる。
請求項1に記載の発明は、金属材料からなる基材の表面に、Ti被膜を形成し、前記Ti被膜の上層にさらに水素含有量が0原子%である非結晶硬質炭素被膜を形成したもので、金属材料や非結晶硬質炭素被膜との結合力が高いTi被膜により密着性を高め、水素含有量を0原子%とすることにより非結晶硬質炭素被膜中のダイヤモンド成分およびグラファイト成分の密度を上げ摩擦係数を低下させることができるため、高信頼性で高効率の摺動部材を提供することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、Ti被膜の膜厚を0.1から0.3μmの範囲内としたもので、非結晶硬質炭素被膜との結合力により密着性およびせん段力を高めることができるため、請求項1に記載の発明の効果に加えてさらに、高信頼性で高効率の摺動部材を提供することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、非結晶硬質炭素被膜の膜厚を1.0μm以上としたもので、膜厚を厚くすることにより高硬度および高密度の被膜を形成することができるため、請求項1または2に記載の発明に加えてさらに、高信頼性で高効率の摺動部材を提供することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、基材を鉄またはアルミニウムとしたもので、Ti被膜との高い密着性を得ることができるため、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明に加えてさらに、高信頼性で高効率の摺動部材を提供することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明において、鉄またはアルミニウムからなる摺動部材を相手材として摺動するもので、非結晶硬質炭素被膜の平滑性と低凝着性により、鉄またはアルミニウムへの攻撃性を低く抑えることができるため、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明に加えてさらに、高信頼性で高効率の摺動部材を提供することができる。
請求項6に記載の発明は、密閉容器内にオイルを貯留するとともに、圧縮要素を収容し、前記圧縮要素は主軸および偏心軸を備えたクランクシャフトと、前記主軸を回転自在に軸支する軸受部と、一方が前記クランクシャフトに一体に形成され、他方が前記軸受部に一体に形成されたスラスト部と、圧縮室を形成するシリンダーブロックと、前記圧縮室内を往復運動するピストンと、前記偏心軸と平行に配置され前記ピストンに固定されたピストンピンと、前記偏心軸と前記ピストンとを連結するコンロッドとを備えレシプロ型の圧縮要素を形成し、前記クランクシャフト、前記スラスト部、前記シリンダーブロック、前記ピストン、前記ピストンピン、前記コンロッドの少なくともひとつに、請求項1から5に記載の発明の摺動部材を用いた密閉型圧縮機としたもので、摺動部材との密着性が高い非結晶硬質炭素被膜で、低摩擦、低摩耗特性を得ることができるため、高信頼性かつ高効率のレシプロ型の密閉型圧縮機を提供することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、粘度グレードがVG10以下のオイルを用いたもので、低粘度オイルにおいても非結晶硬質炭素被膜の平滑性の高い表面および低摩擦係数により、十分な耐摩耗性を得ることができるため、請求項6に記載の発明の効果に加えてさらに、高信頼性かつ高効率の密閉型圧縮機を提供することができる。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、圧縮機構を駆動する電動要素を備え、前記電動要素は少なくとも電源周波数以下の運転周波数を含む複数の運転周波数でインバーター駆動するもので、摺動部表面の非結晶硬質炭素被膜の平滑性と低凝着性により、駆動スピードが遅い場合においても低摩耗、低摩擦特性を得ることができるため、請求項7に記載の発明の効果に加えてさらに、高信頼性かつ高効率の密閉型圧縮機を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における密閉型圧縮機の縦断面図、図2は図1におけるA部拡大図、図3は図2におけるB部拡大図、図4は同実施の形態におけるTi被膜の膜厚と臨界荷重の関係図であり、Ti被膜の膜厚と非結晶硬質炭素被膜との密着性の関係を示している。
また、図5は同実施の形態における非結晶硬質炭素被膜の膜厚と臨界荷重の関係図であり、非結晶硬質炭素被膜の膜厚と非結晶硬質炭素被膜の臨界荷重との関係を示している。
図1から図3において、密閉容器101内にはR134aからなる冷媒ガス102を充填するとともに、底部にはVG10のエステル系からなるオイル103を貯留し、固定子104および回転子105からなる電動要素106と、これによって駆動される往復式の圧縮要素107を収容している。
次に圧縮要素107の詳細を以下に説明する。
クランクシャフト108は、回転子105を圧入固定した主軸109および主軸109に対し偏心して形成された偏心軸110からなり、下端にはオイル103に連通する給油ポンプ111を設けている。鋳鉄からなるシリンダーブロック112は、略円筒形のボアー113と主軸109を軸支する軸受部114とを形成している。
また、回転子105にはフランジ面115が形成され、軸受部114の上端面はスラスト部116になっている。フランジ面115と軸受部114のスラスト部116の間にはスラストワッシャ117が挿入されている。そして、フランジ面115、スラスト部116およびスラストワッシャ117でスラスト軸受部118を構成している。
漏れ損失を小さくするために、ある一定のクリアランスを保ってボアー113に遊嵌されたピストン119は、鋳鉄または鉄系の材料からなり、ボアー113とともに圧縮室120を形成し、ピストンピン121を介して連結手段であるコンロッド122によって偏心軸110と連結されている。ピストン119とボアー113は、例えば直径の差で5μmから15μm程度のクリアランス寸法で遊嵌されている。
ボアー113の端面はバルブプレート123で封止されている。また、ヘッド124は高圧室(図示せず)と低圧室(図示せず)を形成し、バルブプレート123の反ボアー113側に固定される。サクションチューブ125は、密閉容器101に固定されるとともに冷凍サイクルの低圧側(図示せず)に接続され、冷媒ガス102を密閉容器101内に導く。サクションマフラー126は、バルブプレート123とヘッド124に挟持される。
ピストン119とボアー113、主軸109と軸受部114、スラスト部116とスラストワッシャ117、ピストンピン121とコンロッド122、偏心軸110とコンロッド122は相互に摺動部を形成するとともに、それぞれの摺動部材130の少なくとも一方に、水素含有量が0原子%である非結晶硬質炭素被膜127を形成している。
ここではピストン119を例にとって詳しく述べることにする。
ピストン119とボアー113が相互に形成する摺動部のうち、ピストン119の摺動面表面に、Ti被膜128を形成し、このTi被膜128の上層にさらに水素含有量が0原子%である非結晶硬質炭素被膜127を形成している。こうして形成されたTi被膜128が、非結晶硬質炭素被膜127と摺動部材130との密着力を安定して高めることができ、その結果、極めて密着力の強い非結晶硬質炭素被膜127を形成することができる。
この非結晶硬質炭素被膜127は、炭素同士の結合形態がダイヤモンド構造(SP3結合)とグラファイト結合(SP2結合)の両方から成る四面体アモルファスカーボン膜である。
以上のピストン119を組み込んだレシプロ型の密閉型圧縮機について、以下その動作を説明する。
商用電源(図示せず)から供給される電力は電動要素106に供給され、電動要素106の回転子105を回転させる。回転子105はクランクシャフト108を回転させ、偏心軸110の偏心運動が連結手段であるコンロッド122からピストンピン121を介してピストン119を駆動することで、ピストン119はボアー113内を往復運動し、サクションチューブ125を通じて密閉容器101内に導かれた冷媒ガス102は、サクションマフラー126から吸入され、圧縮室120内で圧縮される。
オイル103はクランクシャフト108の回転に伴い、給油ポンプ111から各摺動部に給油され、摺動部を潤滑するとともに、ピストン119とボアー113の間においてはシールの役割を果たす。
圧縮室120内で圧縮された冷媒ガス102は、ディスチャージチューブ(図示せず)を通って冷凍サイクル内(図示せず)に排出され、冷凍サイクル(図示せず)内を潤滑して、再びサクションチューブ125より密閉容器101内に導かれる。
ピストン119がボアー113内で往復圧縮運動をする際、ピストン119とボアー113のクリアランスが非常に狭いため、ピストン119とボアー113の形状、精度のばらつきによっては、部分的に相互接触を起こす部位が生ずることもある。
こういった場合においても、Ti被膜128により、非結晶硬質炭素被膜127とピストン119の摺動表面との密着性が高いため、ピストン119の摺動部表面から非結晶硬質炭素被膜127が剥離することを抑制することができる。
また、非結晶硬質炭素被膜127は水素が含有されず炭素のみで構成され、緻密な膜で硬度が高いため、摺動部の摩擦係数が低くなり、摺動損失が低下するため、高信頼性かつ高効率の密閉型圧縮機を提供することができる。
また、非結晶硬質炭素被膜127が剥離しないため、摩耗が発生しにくいので、ピストン119とボアー113のクリアランスが大きくなりにくく、圧縮した冷媒ガス102がピストン119とボアー113のクリアランスから漏れることがないため、高効率の密閉型圧縮機を提供することができる。
次に非結晶硬質炭素被膜127の密着性について、3.7mmの距離を16mm/minのスピードで0.01Nから25Nまで負荷をかけるスクラッチ試験機にて評価をおこなった。Ti被膜128および非結晶硬質炭素被膜127の膜厚と密着性の関係を図4および図5を参照しながら説明する。
図4において、横軸にTi被膜128の膜厚を示し、縦軸にスクラッチ試験における臨界荷重を示している。この試験における非結晶硬質炭素被膜127の膜厚を1.0μmとした。
図4より、Ti被膜128の膜厚が0.3μmを超えることによって、臨界荷重が急激に低下していることがわかる。
図5において、横軸に非結晶硬質炭素被膜127の膜厚を示し、縦軸にスクラッチ試験における臨界荷重を示している。この試験におけるTi被膜128の膜厚を0.2μmとした。
図5より、非結晶硬質炭素被膜127の膜厚が厚くなることによって、臨界荷重値が高くなることがわかり、非結晶硬質炭素被膜127の膜厚が1.0μm以上になると一定の臨界荷重値を示すことがわかる。
これらのことから、Ti被膜128の膜厚が0.1から0.3μmとし、非結晶硬質炭素被膜127の膜厚を1.0μm以上とすることにより、Ti被膜128を介しての基材と非結晶硬質炭素被膜127との結合力を高めることができ、密着性の高い被膜を形成することができる。
以上のTi被膜128および非結晶硬質炭素被膜127を備えたピストン119を組み込んだレシプロ型の密閉型圧縮機について、以下その動作をさらに詳細に説明する。
ピストン119が上死点ならびに下死点に位置したときには速度が零となり理論的に油圧が発生せず油膜が形成されなくなるため、この上死点ならびに下死点において金属接触が生じることが多い。
また、密閉型圧縮機129においては、ピストン119が上死点付近にあるときは、ピストン119が圧縮された高圧冷媒により大きな圧縮荷重を受ける。この圧縮荷重はピストンピン121、コンロッド122を介してクランクシャフト108に伝わり、クランクシャフト108が反ピストン119方向へ押され、傾斜する。
この傾斜はボアー113の中でピストン119を傾斜させる力となり、この結果ピストン119のトップ面側の上端と反トップ面側の下端にボアー113とのこじりが発生する。そしてこのこじりによってピストン119がボアー113と接触し摩耗が生ずる。
特に本実施の形態1に示す片持ち軸受の密閉式圧縮機129の場合は、クランクシャフト108の傾斜が大きくなるため、このこじれが顕著に表れる。その結果、非結晶硬質炭素被膜127が剥離しやすくなることがある。
しかしながら、本実施の形態においては、非結晶硬質炭素被膜127がTi被膜128により基材であるピストン119との密着性が高いため、非結晶硬質炭素被膜127が剥離し難く、非結晶硬質炭素被膜127は高硬度であるため低いせん断力で容易に滑りやすいため、摺動部の摩擦係数が低くなり、摺動損失が低下するため、高信頼性かつ高効率の密閉型圧縮機129を提供することができる。
なお、本発明の実施の形態においては、一定速度の密閉型圧縮機129について述べたが、インバーター化に伴い密閉型圧縮機129の低速化が進む中、特に20Hzを切るような超低速運動に於いてはさらに流体潤滑を成立させにくくなり、金属接触を起こし易くなるので、同様に実施可能であり、本発明の効果がより顕著に得られる。
なお、本発明の実施の形態においては、ピストン119の摺動部表面にTi被膜128を形成し、このTi被膜128の上層にさらに非結晶硬質炭素被膜127を形成させたものを例にとって詳しく述べたが、相互に摺動部を形成しているクランクシャフト108の主軸109と軸受部114、回転子105のフランジ面115とスラストワッシャ117、軸受部114の上端面のスラスト部116とスラストワッシャ117、ピストンピン121とコンロッド122、偏心軸110とコンロッド122の摺動部においても、相当の作用効果が得られるものである。
また、本発明の実施の形態において、R134aの冷媒ガス102とVG10のエステル系からなるオイル103との組み合わせで説明したが、他の冷媒とVG10以下のエステル系および鉱油の組み合わせについても、同等の効果が得られる。他の冷媒としてはR600a、R290及びこれらを含んだ混合冷媒、R134a、R152、R407C、R404A、R410が挙げられる。
さらに、本発明の実施の形態において、鋳鉄または鉄系の摺動部材130について説明をおこなったが、アルミニウムからなる摺動部材130についても同等の効果が得られる。
また、本発明の実施の形態において、電動要素106が圧縮要素107の上方に配置された例で説明したが、電動要素106が圧縮要素107の下方に配置された密閉型圧縮機においても同様に実施可能である。
以上のように本実施の形態によれば高い信頼性を持った摺動部材130とすることが可能で有り、その摺動部材130を組み込んだ高信頼性かつ高効率の密閉型圧縮機を提供することができる。
以上のように、本発明にかかる密閉型圧縮機は、摺動部材の摺動表面にTi被膜を形成し、このTi被膜の上層にさらに水素含有量が0原子%である非結晶硬質炭素被膜を形成することにより、密着性が高く、摩擦係数の低減が図れ、高信頼性かつ高効率の密閉型圧縮機を提供することが可能となるので、冷凍サイクルを用いた機器に幅広く適用できる。
本発明の実施の形態1における密閉型圧縮機の縦断面図 図1におけるA部拡大図 図2におけるB部拡大図 同実施の形態におけるTi被膜の膜厚と臨界荷重の関係図 同実施の形態における非結晶硬質炭素被膜の膜厚と臨界荷重の関係図 従来の密閉型圧縮機の縦断面図 従来の摺動部材の要部断面図
符号の説明
101 密閉容器
103 オイル
106 電動要素
107 圧縮要素
108 クランクシャフト
109 主軸
110 偏心軸
112 シリンダーブロック
114 軸受部
116 スラスト部
119 ピストン(基材)
120 圧縮室
121 ピストンピン
122 コンロッド
127 非結晶硬質炭素被膜
128 Ti被膜
130 摺動部材

Claims (8)

  1. 金属材料からなる基材の表面に、Ti被膜を形成し、前記Ti被膜の上層にさらに水素含有量が0原子%である非結晶硬質炭素被膜を形成したことを特徴とする摺動部材。
  2. Ti被膜の膜厚は、0.1から0.3μmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の摺動部材。
  3. 非結晶硬質炭素被膜の膜厚が、1.0μm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の摺動部材。
  4. 基材は、鉄またはアルミニウムである請求項1から3のいずれか一項に記載の摺動部材。
  5. 鉄またはアルミニウムからなる摺動部材を相手材として摺動する請求項1から4のいずれか一項に記載の摺動部材。
  6. 密閉容器内にオイルを貯留するとともに圧縮要素を収容し、前記圧縮要素は主軸および偏心軸を備えたクランクシャフトと、前記主軸を回転自在に軸支する軸受部と、一方が前記クランクシャフトに一体に形成され、他方が前記軸受部に一体に形成されたスラスト部と、圧縮室を形成するシリンダーブロックと、前記圧縮室内を往復動するピストンと、前記偏心軸と平行に配置され前記ピストンに固定されたピストンピンと、前記偏心軸と前記ピストンとを連結するコンロッドとを備えレシプロ型の圧縮要素を形成し、前記クランクシャフト、前記スラスト部、前記シリンダーブロック、前記ピストン、前記ピストンピン、前記コンロッドの少なくともひとつに請求項1から5のいずれか一項に記載の摺動部材を用いた密閉型圧縮機。
  7. 粘度グレードがVG10以下のオイルを用いた請求項6に記載の密閉型圧縮機。
  8. 圧縮要素を駆動する電動要素を備え、前記電動要素は少なくとも電源周波数以下の運転周波数を含む複数の運転周波数でインバーター駆動される請求項7に記載の密閉型圧縮機。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014502691A (ja) * 2010-12-27 2014-02-03 ワールプール・エシ・ア オルターナティブ圧縮機用ピストンアセンブリ
WO2018101246A1 (ja) 2016-11-29 2018-06-07 パナソニック アプライアンシズ リフリジレーション デヴァイシズ シンガポール 冷媒圧縮機およびそれを用いた冷凍・冷蔵装置
JP2020186444A (ja) * 2019-05-15 2020-11-19 パナソニック株式会社 鉄系焼結体の基材の表面に形成される酸化被膜、およびこの酸化被膜を形成した摺動部材、並びに、この摺動部材を備える機器

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014502691A (ja) * 2010-12-27 2014-02-03 ワールプール・エシ・ア オルターナティブ圧縮機用ピストンアセンブリ
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JP2020186444A (ja) * 2019-05-15 2020-11-19 パナソニック株式会社 鉄系焼結体の基材の表面に形成される酸化被膜、およびこの酸化被膜を形成した摺動部材、並びに、この摺動部材を備える機器

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