JP2018119593A - 摺動部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】例えば車両用エンジンの軸受に要求される特性、特に耐焼付性を維持しつつ、製造コストを抑制できる摺動部材を提供する。【解決手段】基材層、該基材層の上に物理気相成長法により形成される滑り層及び該滑り層の上に形成される樹脂層を備える摺動部材であって、樹脂層は熱可塑性樹脂と固体潤滑剤とを含み、その表面の算術平均粗さRaが1.5μm以上である、及び/又は最大粗さRzが5.0μm以上である摺動部材。【選択図】 図1
Description
本発明は摺動部材の改良に関する。この摺動部材は車両エンジン用の軸受として好適である。
この摺動部材は、例えば半割筒状の裏金層に軸受合金層を重ねて基材層とし、基材層の表面に比較的軟質なオーバーレイ層をコーティングして摺動面とする。
ここに、耐焼付性及び耐疲労性等を向上するために硫
化モリブデン等の固体潤滑剤を含んだ樹脂でオーバーレイ層を形成することが提案されている(特許文献1)。更に、耐疲労性を向上する見地から樹脂オーバーレイ層と基材層との間に滑り層をスパッタリングにより形成することが提案されている(特許文献2、特許文献3)。
一般的に、樹脂オーバーレイ層の表面は平滑とすべきと考えられていた。例えば、基材層に直接積層される樹脂オーバーレイ層を開示する特許文献4の段落0008には、その表面粗さが5μmRzを超えると、摩擦係数が高くなりまた流体潤滑が妨げられるので、5μmRz以下であることが必要であると記載されている。
ここに、耐焼付性及び耐疲労性等を向上するために硫
化モリブデン等の固体潤滑剤を含んだ樹脂でオーバーレイ層を形成することが提案されている(特許文献1)。更に、耐疲労性を向上する見地から樹脂オーバーレイ層と基材層との間に滑り層をスパッタリングにより形成することが提案されている(特許文献2、特許文献3)。
一般的に、樹脂オーバーレイ層の表面は平滑とすべきと考えられていた。例えば、基材層に直接積層される樹脂オーバーレイ層を開示する特許文献4の段落0008には、その表面粗さが5μmRzを超えると、摩擦係数が高くなりまた流体潤滑が妨げられるので、5μmRz以下であることが必要であると記載されている。
スパッタリング滑り層の上に形成される樹脂オーバーレイ層の表面粗さを特許文献3に示されるように比較的平滑にしておくと優れた耐焼付性が得られる。
しかしながら、かかる特性を維持するには、樹脂オーバーレイ層の表面粗さを厳密に制御する必要がある。そのため、工程管理に手間がかかり、スループット向上が制限される。このことが摺動部材の製造コストを引き上げる一因となる。
しかしながら、かかる特性を維持するには、樹脂オーバーレイ層の表面粗さを厳密に制御する必要がある。そのため、工程管理に手間がかかり、スループット向上が制限される。このことが摺動部材の製造コストを引き上げる一因となる。
この発明は、かかる課題を解決すべくなされたものであり、車両用エンジンの軸受に要求される特性、特に耐焼付性を維持しつつ、製造コストを抑制できる摺動部材を提供することを目的とする。
本発明者らはかかる目的を達成すべき鋭意検討を重ねてきた。その結果、樹脂層の表面を所定程度粗くしても耐焼付性が維持されることを見出した。これは、表面を粗くすると摺動抵抗が高くなるが、粗くした表面の凹部に潤滑油が保持されやすくなるため、結果として耐焼付性の低下が抑制されるものと考えられる。摺動面となる層の表面に大きめの粗さが許されることは、その製造工程管理が容易になることを指し、もって製造コストを抑制して安価な摺動部材の提供が可能となる。
本発明者らはかかる目的を達成すべき鋭意検討を重ねてきた。その結果、樹脂層の表面を所定程度粗くしても耐焼付性が維持されることを見出した。これは、表面を粗くすると摺動抵抗が高くなるが、粗くした表面の凹部に潤滑油が保持されやすくなるため、結果として耐焼付性の低下が抑制されるものと考えられる。摺動面となる層の表面に大きめの粗さが許されることは、その製造工程管理が容易になることを指し、もって製造コストを抑制して安価な摺動部材の提供が可能となる。
即ち、この発明の第1の局面は次のように規定される。
基材層、該基材層の上に物理気相成長法により形成される滑り層及び該滑り層の上に形成される樹脂層を備える摺動部材であって、
前記樹脂層は樹脂と固体潤滑剤とを含み、その表面の算術平均粗さRaが1.5μm以上である、及び/又は最大粗さRzが5.0μm以上である摺動部材。
このように規定される第1の局面の摺動部材によれば、樹脂層の摺動面の表面粗さが従来例のものに比べて粗くなっても、その耐焼付性が維持される。
また、樹脂層の表面粗さを従来より粗くすることにより、摺動部材の製造管理に手間がかからなくなり、これを容易にかつ高いスループットで製造可能となる。従って、摺動部材の製造コストが低下する。
ここに、算術平均粗さRaと最大粗さRzはともにISO4287に基づく値である。
算術平均粗さRaは3.0μm以下が摩擦抵抗の大きさの観点から好ましく、その範囲においても摺動部材の耐焼付性は従来品とほぼ同等の性能を示す。
耐焼付性を維持しつつ製造コスト低減を可能とする見地から、算術平均粗さRaの更に好ましい範囲は、1.5μmを超えて2.3μm以下である。
同様に、最大粗さRzは12.0μm以下が摩擦抵抗の大きさの観点から好ましく、その範囲で摺動部材の耐焼付性が従来品とほぼ同等の性能を示す。
耐焼付性を維持しつつ製造コスト低減を可能とする見地から、最大粗さRzの更に好ましい範囲は、5.0μmを超えて8.0μm以下である。
樹脂層の表面粗さは、算術平均粗さRaが1.5μm以上かつ最大粗さRzが5.0μm以上であることが好ましい。
基材層、該基材層の上に物理気相成長法により形成される滑り層及び該滑り層の上に形成される樹脂層を備える摺動部材であって、
前記樹脂層は樹脂と固体潤滑剤とを含み、その表面の算術平均粗さRaが1.5μm以上である、及び/又は最大粗さRzが5.0μm以上である摺動部材。
このように規定される第1の局面の摺動部材によれば、樹脂層の摺動面の表面粗さが従来例のものに比べて粗くなっても、その耐焼付性が維持される。
また、樹脂層の表面粗さを従来より粗くすることにより、摺動部材の製造管理に手間がかからなくなり、これを容易にかつ高いスループットで製造可能となる。従って、摺動部材の製造コストが低下する。
ここに、算術平均粗さRaと最大粗さRzはともにISO4287に基づく値である。
算術平均粗さRaは3.0μm以下が摩擦抵抗の大きさの観点から好ましく、その範囲においても摺動部材の耐焼付性は従来品とほぼ同等の性能を示す。
耐焼付性を維持しつつ製造コスト低減を可能とする見地から、算術平均粗さRaの更に好ましい範囲は、1.5μmを超えて2.3μm以下である。
同様に、最大粗さRzは12.0μm以下が摩擦抵抗の大きさの観点から好ましく、その範囲で摺動部材の耐焼付性が従来品とほぼ同等の性能を示す。
耐焼付性を維持しつつ製造コスト低減を可能とする見地から、最大粗さRzの更に好ましい範囲は、5.0μmを超えて8.0μm以下である。
樹脂層の表面粗さは、算術平均粗さRaが1.5μm以上かつ最大粗さRzが5.0μm以上であることが好ましい。
この発明の第2の局面は次のように規定される。即ち、第1の局面に記載の摺動部材において、前記基材層の表面に凹凸が形成され、この凹凸が前記滑り層及び前記樹脂層の表面形状に反映している。
スパッタ等物理気相成長法により形成される滑り層や塗布等により形成される樹脂層はその下地層の形状になじみやすく、下地層の凹凸を反映してその表面に凹凸を形成する。
ここに、樹脂層の表面に求められる算術平均粗さRaが1.5μm以上及び/又は最大粗さRzが5.0μm以上であるところ、この程度の表面粗さになるように凹凸を基材層の表面に形成することは容易である。例えば、ボーリング加工により基材層の表面を形成する場合、従来例に比べて切削速度を向上させられる。もって、スループットの向上、ひいては製造コストの削減を達成できる。
スパッタ等物理気相成長法により形成される滑り層や塗布等により形成される樹脂層はその下地層の形状になじみやすく、下地層の凹凸を反映してその表面に凹凸を形成する。
ここに、樹脂層の表面に求められる算術平均粗さRaが1.5μm以上及び/又は最大粗さRzが5.0μm以上であるところ、この程度の表面粗さになるように凹凸を基材層の表面に形成することは容易である。例えば、ボーリング加工により基材層の表面を形成する場合、従来例に比べて切削速度を向上させられる。もって、スループットの向上、ひいては製造コストの削減を達成できる。
この発明の第3の局面は次のように規定される。即ち、
第1の局面に規定の摺動部材において、前記基材層の表面は平滑である。
ここに平滑とは、従来例の摺動部材で利用した基材層であって意図的に凹凸を設けていないものの表面と同じ粗さをいう。例えば、その表面の算術平均粗さRaが1.5μm未満又は最大粗さRzが5.0μm未満である樹脂層を有する摺動部材に用いられた基材層の表面は平滑なものとする。ブローチ加工により基材層の表面を形成しても良い。
これにより、基材層として従来品をそのまま利用することができるので、部品共通化の観点から製造コストの低減を達成できる。
なお、従来品の、即ち平滑な表面を持つ基材層を用いたときにはその上へスパッタリングにより形成される滑り層の表面が平滑になる。よって、ここでは、樹脂層の表面形状を所定の方法で形成してその算術平均粗さや最大粗さを所定のものとする。
滑り層の表面を平滑なものとしたり凹凸を形成しても良い。
第1の局面に規定の摺動部材において、前記基材層の表面は平滑である。
ここに平滑とは、従来例の摺動部材で利用した基材層であって意図的に凹凸を設けていないものの表面と同じ粗さをいう。例えば、その表面の算術平均粗さRaが1.5μm未満又は最大粗さRzが5.0μm未満である樹脂層を有する摺動部材に用いられた基材層の表面は平滑なものとする。ブローチ加工により基材層の表面を形成しても良い。
これにより、基材層として従来品をそのまま利用することができるので、部品共通化の観点から製造コストの低減を達成できる。
なお、従来品の、即ち平滑な表面を持つ基材層を用いたときにはその上へスパッタリングにより形成される滑り層の表面が平滑になる。よって、ここでは、樹脂層の表面形状を所定の方法で形成してその算術平均粗さや最大粗さを所定のものとする。
滑り層の表面を平滑なものとしたり凹凸を形成しても良い。
この発明の第4の局面は次のように規定される、即ち、第1〜第3の局面の何れかに記載の摺動部材において、前記樹脂はポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド若しくはこれらのポリマーアロイ等混合体を含み、前記固体潤滑剤は硫化モリブデンを含む。
この第4の局面で採用される材料の組合せは、本発明で採用する樹脂層を持つ摺動部材において、高い耐焼付性を確保する見地から好ましいものである。
この第4の局面で採用される材料の組合せは、本発明で採用する樹脂層を持つ摺動部材において、高い耐焼付性を確保する見地から好ましいものである。
この発明の第5の局面は次のように規定される、即ち、第1〜第4の局面の何れかに記載の摺動部材において、前記滑り層の材質はSn及びCuを含むAl合金である。
この第5の局面で採用される材料の組合せは、本発明で採用する樹脂層を持つ摺動部材において、高い耐焼付性を確保する見地から好ましいものである。
この第5の局面で採用される材料の組合せは、本発明で採用する樹脂層を持つ摺動部材において、高い耐焼付性を確保する見地から好ましいものである。
図1には、この発明の実施形態の摺動部材1の層構成を示す。
この摺動部材1は基材層4の摺動面側に滑り層5及び樹脂層6を順に積層した構成である。
軸受として使用される摺動部材1において、その基材層4は筒状又は半円筒状に附形された鋼板からなる裏金層2を備え、必要に応じて裏金層2の内周面上ににAl、Cu、Sn等を主とする合金からなる軸受合金層3が設けられる。
基材層4とその後に形成される滑り層5との接着性を向上させるため、基材層4の内周面を前処理することが好ましい。前処理の方法として、アルカリエッチングと酸洗との組み合わせのような化学的表面処理方法やショットブラスト等の機械的表面処理方法を採用できる。また、基材層4と滑り層5との間に中間層を設けても良い。
この基材層4の表面へ凹凸を設け、この凹凸がその後に形成される滑り層5と樹脂層6に反映されて、樹脂層6に所望の表面粗さを付与できるようにすることが好ましい。滑り層5及び樹脂層6はその下地に倣うので、基材層4の表面の凹凸は、実質的に算術平均粗さRaが1.5μm以上3.0μm以下、及び/又は最大粗さRzが5.0μm以上12.0μm以下とするのが良い。
この摺動部材1は基材層4の摺動面側に滑り層5及び樹脂層6を順に積層した構成である。
軸受として使用される摺動部材1において、その基材層4は筒状又は半円筒状に附形された鋼板からなる裏金層2を備え、必要に応じて裏金層2の内周面上ににAl、Cu、Sn等を主とする合金からなる軸受合金層3が設けられる。
基材層4とその後に形成される滑り層5との接着性を向上させるため、基材層4の内周面を前処理することが好ましい。前処理の方法として、アルカリエッチングと酸洗との組み合わせのような化学的表面処理方法やショットブラスト等の機械的表面処理方法を採用できる。また、基材層4と滑り層5との間に中間層を設けても良い。
この基材層4の表面へ凹凸を設け、この凹凸がその後に形成される滑り層5と樹脂層6に反映されて、樹脂層6に所望の表面粗さを付与できるようにすることが好ましい。滑り層5及び樹脂層6はその下地に倣うので、基材層4の表面の凹凸は、実質的に算術平均粗さRaが1.5μm以上3.0μm以下、及び/又は最大粗さRzが5.0μm以上12.0μm以下とするのが良い。
滑り層5は周知のスパッタリング法により形成される。
滑り層5の成形材料となるターゲット合金の材料やスパッタ条件(スパッタ時間、電位、不活性ガスの種類、成膜時の基材温度等)は摺動部材の使用目的や要求される性能に応じて任意に選択できる。
なお、この滑り層5の成形材料として、Al−Sn−Cu系やAl−Sn系(特許文献2参照)のものを用いることができる。この発明のように樹脂層の表面を粗くしたものは、比較的軟質な前者Al−Sn−Cu系を用いることが好ましい。この滑り層5を構成する金属にSb,Pb,Bi,Siの一種又は複数種を添加することができる。
スパッタリングによる滑り層5の厚さは1〜50μmとすることが好ましい。
滑り層5の成形材料となるターゲット合金の材料やスパッタ条件(スパッタ時間、電位、不活性ガスの種類、成膜時の基材温度等)は摺動部材の使用目的や要求される性能に応じて任意に選択できる。
なお、この滑り層5の成形材料として、Al−Sn−Cu系やAl−Sn系(特許文献2参照)のものを用いることができる。この発明のように樹脂層の表面を粗くしたものは、比較的軟質な前者Al−Sn−Cu系を用いることが好ましい。この滑り層5を構成する金属にSb,Pb,Bi,Siの一種又は複数種を添加することができる。
スパッタリングによる滑り層5の厚さは1〜50μmとすることが好ましい。
樹脂層6は樹脂と固体潤滑剤とを含む。
樹脂は摺動部材の用途に応じて任意に選択可能であるが、例えばポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、およびエラストマーの一種以上を採用でき、ポリマーアロイであっても良い。
固体潤滑剤の材質も摺動部材の用途に応じて適宜選択できる。例えば、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、h−BN(h−窒化ホウ素)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、メラミンシアヌレート、フッ化カーボン、フタロシアニン、グラフェンナノプレートレット、フラーレン、超高分子量ポリエチレン(三井化学製、商標名「ミペロン」)、Nε−ラウロイル−L−リジン(味の素製、商標名「アミホープ」)等の1種以上を選択できる。
樹脂は摺動部材の用途に応じて任意に選択可能であるが、例えばポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、およびエラストマーの一種以上を採用でき、ポリマーアロイであっても良い。
固体潤滑剤の材質も摺動部材の用途に応じて適宜選択できる。例えば、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、h−BN(h−窒化ホウ素)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、メラミンシアヌレート、フッ化カーボン、フタロシアニン、グラフェンナノプレートレット、フラーレン、超高分子量ポリエチレン(三井化学製、商標名「ミペロン」)、Nε−ラウロイル−L−リジン(味の素製、商標名「アミホープ」)等の1種以上を選択できる。
固体潤滑剤の配合量も摺動部材の用途に応じて任意に選択できるが、例えば、樹脂層6を構成する樹脂組成物全体を100vol. %としたとき、この固体潤滑剤11を20vol.%以上70vol.%以下とすることができる。
樹脂層6の膜厚も摺動部材の用途に応じて任意に選択できる。例えば、1μm以上20μm以下とする。
樹脂層6には固体潤滑剤の他に耐摩耗剤を添加できる。耐摩耗剤には、平均粒径が小さく(平均粒径:10nm〜100nm)、樹脂中で凝集する金、銀、酸化シリコン(シリカ)、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム等からなる保護強化粒子がある。この保護強化粒子の配合量は配合は1vol.%以上20vol.%以下とする。かかる保護強化粒子の他、比較的粒径が大きく(100nm〜)それ自体凝集しない硬質粒子を耐摩耗剤として用いることもできる。かかる硬質粒子として、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化シリコン、及び酸化マグネシウムのような酸化物、窒化ケイ素、及び立方窒化ホウ素のような窒化物、及び炭化ケイ素のような炭化物、並びにダイヤモンド等が挙げられる。この硬質粒子の配合量は1vol.%以上5vol.%以下とする。
樹脂層6の膜厚も摺動部材の用途に応じて任意に選択できる。例えば、1μm以上20μm以下とする。
樹脂層6には固体潤滑剤の他に耐摩耗剤を添加できる。耐摩耗剤には、平均粒径が小さく(平均粒径:10nm〜100nm)、樹脂中で凝集する金、銀、酸化シリコン(シリカ)、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム等からなる保護強化粒子がある。この保護強化粒子の配合量は配合は1vol.%以上20vol.%以下とする。かかる保護強化粒子の他、比較的粒径が大きく(100nm〜)それ自体凝集しない硬質粒子を耐摩耗剤として用いることもできる。かかる硬質粒子として、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化シリコン、及び酸化マグネシウムのような酸化物、窒化ケイ素、及び立方窒化ホウ素のような窒化物、及び炭化ケイ素のような炭化物、並びにダイヤモンド等が挙げられる。この硬質粒子の配合量は1vol.%以上5vol.%以下とする。
樹脂層6は次のようにして形成される。
先ずは、溶剤に溶かしたポリアミドイミド等の熱可塑性樹脂へ固体潤滑剤及び必要に応じてその他の助剤を混合して塗液とする。
この塗液を周知の方法で滑り層5の表面に塗布し、その後乾燥、加熱して樹脂層6とする。
塗布の方法として、パッド印刷法、スクリーン印刷法、エアスプレー法、エアレススプレー法、静電塗装法、タンブリング法、スクイズ法、ロール法、ロールコート法等を採用できる。
乾燥は自然乾燥若しくは熱風乾燥を採用できる。焼成の加熱条件としては150〜350℃(空気中)を採用して、塗液を滑り層5に焼き付ける。
先ずは、溶剤に溶かしたポリアミドイミド等の熱可塑性樹脂へ固体潤滑剤及び必要に応じてその他の助剤を混合して塗液とする。
この塗液を周知の方法で滑り層5の表面に塗布し、その後乾燥、加熱して樹脂層6とする。
塗布の方法として、パッド印刷法、スクリーン印刷法、エアスプレー法、エアレススプレー法、静電塗装法、タンブリング法、スクイズ法、ロール法、ロールコート法等を採用できる。
乾燥は自然乾燥若しくは熱風乾燥を採用できる。焼成の加熱条件としては150〜350℃(空気中)を採用して、塗液を滑り層5に焼き付ける。
下地である滑り層5に凹凸があるとその凹凸が樹脂層6の表面に反映する。滑り層5の表面の算術平均粗さRaを1.5μm以上3.0μm以下とすると、この粗さが樹脂層6に反映してその表面の算術平均粗さRaが1.5μm以上3.0μm以下となる。換言すれば、滑り層5にかかる凹凸を形成するには、基材層4に予め同等の表面粗さの凹凸を形成しておく。最大粗さRzで制御する場合も同様である。
その他、樹脂層6の下地の層が平滑なとき、樹脂層6の表面へバイトの形状や送りピッチ等を調整したボーリング加工等の機械加工を施して、樹脂層6の表面を上記所望の粗さにする。
当該固体潤滑剤の配合割合、特に樹脂層6に表出する割合を調節し、比較的多くの固体潤滑剤が表出したりまた表面近くに存在させるたりすることで、所望の表面粗さが得られる。
当該固体潤滑剤の配合割合、特に樹脂層6に表出する割合を調節し、比較的多くの固体潤滑剤が表出したりまた表面近くに存在させるたりすることで、所望の表面粗さが得られる。
以下、この発明の実施例について説明する。
裏金層2としての鋼材へ軸受合金層3となるアルミニウム合金を圧接した基材4を半円筒形状に曲げ加工し、この軸受合金層3の内面仕上げとしてボーリング加工を行った。従来の工程では、平滑化を目指す加工を実施するところ、この実施例では軸受合金層3の内周面にバイトの切削跡を積極的に残して、表面粗さRaを2.0μmとなるようにした。
その後、脱脂及び不純物除去を行い、更に、ショットブラストにより軸受合金層3の表面処理を行った。
裏金層2としての鋼材へ軸受合金層3となるアルミニウム合金を圧接した基材4を半円筒形状に曲げ加工し、この軸受合金層3の内面仕上げとしてボーリング加工を行った。従来の工程では、平滑化を目指す加工を実施するところ、この実施例では軸受合金層3の内周面にバイトの切削跡を積極的に残して、表面粗さRaを2.0μmとなるようにした。
その後、脱脂及び不純物除去を行い、更に、ショットブラストにより軸受合金層3の表面処理を行った。
次に、ターゲットとしてAl合金を用いてスパッタリングを実行して20.0μmの滑り層5を作製した。
このようにして形成された滑り層5の表面には、軸受合金層3の凹凸形状が反映されていた。
このようにして形成された滑り層5の表面には、軸受合金層3の凹凸形状が反映されていた。
次に、樹脂層6について説明する。
最初に、熱可塑性樹脂として(PAI)を溶剤(NMP)に溶かした第1の溶液を準備し、この第1の溶液に固体潤滑剤として(MoS2)を投入して分散させて塗液とする。固体潤滑剤の配合量は、製品時において20vol%〜70vol%となるように調整した。この体積%は次のようにして特定できる。樹脂層6をその摺動面に対して垂直にかつ軸に沿った方向に切断し、その切断面の任意の部分を所定の範囲で顕微鏡撮影する。得られた画像を画像解析ソフトにかけて固体潤滑剤の現れている面積の割合を演算する。
この塗液を軸受合金層3の表面へスプレー塗布する。その後、所定時間放置し(レベリング工程)、加熱して塗液から溶剤を除去する乾燥工程を経て、150℃〜250℃で30分〜120分間の焼成工程により樹脂成分を硬化させて樹脂層6を形成する。
樹脂層6の膜厚は2.0〜10.0μmであり、その表面には軸受合金層3の凹凸が反映されており、算術平均粗さRaは2.0μmであり、最大粗さRzは8.0μmであった。
最初に、熱可塑性樹脂として(PAI)を溶剤(NMP)に溶かした第1の溶液を準備し、この第1の溶液に固体潤滑剤として(MoS2)を投入して分散させて塗液とする。固体潤滑剤の配合量は、製品時において20vol%〜70vol%となるように調整した。この体積%は次のようにして特定できる。樹脂層6をその摺動面に対して垂直にかつ軸に沿った方向に切断し、その切断面の任意の部分を所定の範囲で顕微鏡撮影する。得られた画像を画像解析ソフトにかけて固体潤滑剤の現れている面積の割合を演算する。
この塗液を軸受合金層3の表面へスプレー塗布する。その後、所定時間放置し(レベリング工程)、加熱して塗液から溶剤を除去する乾燥工程を経て、150℃〜250℃で30分〜120分間の焼成工程により樹脂成分を硬化させて樹脂層6を形成する。
樹脂層6の膜厚は2.0〜10.0μmであり、その表面には軸受合金層3の凹凸が反映されており、算術平均粗さRaは2.0μmであり、最大粗さRzは8.0μmであった。
他方、上記実施例において樹脂層6の表面を平滑にしたもの(比較例)を準備した。
実施例と比較例の摺動部材に対して焼付き試験を行った。
面圧を段階的に上昇させて焼付面圧を特定した。
その結果、実施例の摺動部材と比較例の摺動部材との間で有意な差は認められず、実施例の摺動部材は、製造コストを抑えつつ耐焼付性を維持することができた。
実施例と比較例の摺動部材に対して焼付き試験を行った。
面圧を段階的に上昇させて焼付面圧を特定した。
その結果、実施例の摺動部材と比較例の摺動部材との間で有意な差は認められず、実施例の摺動部材は、製造コストを抑えつつ耐焼付性を維持することができた。
この発明は、上記発明の実施形態の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
実施の形態では、摺動部材として半割軸受を例にとり説明をしてきたが、ブシュやスラストワッシャ等その他の摺動部材にも適用可能である。
実施の形態では、摺動部材として半割軸受を例にとり説明をしてきたが、ブシュやスラストワッシャ等その他の摺動部材にも適用可能である。
1 摺動部材、2 裏金層、3 軸受合金層、4 基材層、5 滑り層、6 樹脂層。
Claims (11)
- 基材層、該基材層の上に物理気相成長法により形成される滑り層及び該滑り層の上に形成される樹脂層を備える摺動部材であって、
前記樹脂層は樹脂と固体潤滑剤とを含み、その表面の算術平均粗さRaが1.5μm以上である、摺動部材。 - 前記基材層の表面に凹凸が形成され、この凹凸が前記滑り層及び前記樹脂層の表面形状に反映している、請求項1に記載の摺動部材。
- 前記基材層の表面は平滑である、請求項1に記載の摺動部材。
- 前記樹脂はポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド若しくはこれらの混合体を含み、前記固体潤滑剤は硫化モリブデンを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の摺動部材。
- 前記滑り層の材質はSn及びCuを含むAl合金である、請求項1〜4の何れかに記載の摺動部材。
- 前記樹脂層の最大粗さRzが5.0μm以上である、請求項1〜5の何れかに記載の摺動部材。
- 基材層、該基材層の上に物理気相成長法により形成される滑り層及び該滑り層の上に形成される樹脂層を備える摺動部材であって、
前記樹脂層は樹脂と固体潤滑剤とを含み、その表面の最大粗さRzが5.0μm以上である、摺動部材。 - 前記基材層の表面に凹凸が形成され、この凹凸が前記滑り層及び前記樹脂層の表面形状に反映している、請求項7に記載の摺動部材。
- 前記滑り層の表面は平滑である、請求項7に記載の摺動部材。
- 前記樹脂はポリイミド、ポリアミドイミド若しくはこれらの混合体を含み、前記固体潤滑剤は硫化モリブデンを含む、請求項7〜9のいずれかに記載の摺動部材。
- 前記滑り層の材質はSn及びCuを含むAl合金である、請求項1〜10の何れかに記載の摺動部材。
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