本発明は、安定、且つ、高精度に時間(タイミング)を検知しデジタル変換するTDC(Time to Digital Converter)の原理を、光速を扱う測距システムの安価な同期手法として用いる。TDC回路は安定、且つ、高精度な位相比較器としての機能を有する。このTDC回路の原理を利用し、制御回路(制御手法)や遅延回路(遅延手法)等の他回路とを組み合わせることで、安定、且つ、高精度な時間分解能を有する測距システムの同期を実現できる。
TDC回路の原理を用いた位相比較器は、内部で自己フィードバック(遅延同期ループ)制御により、回路自身の特性変化に対応して、自己補正する機能を有しているため、環境変化に対して安定した位相比較結果を得ることができる。
位相比較器自体の特性変化の影響を受けないので、本来補正するべき、発光/受光タイミングのみの特性変化を観測することが可能となり、環境変動に対してロバストで高時間分解能の同期が実現できる。
以下、本発明に係る測距システムの実施の形態例を図1〜図14を参照しながら説明する。
本実施の形態に係る測距システム10は、図1に示すように、測距対象物12に向けて放射光14を放射する発光部16と、放射光14の測距対象物12からの反射光18を受光し、受光光量に応じた出力を行う受光部20と、発光部16及び受光部20を制御する制御部22と、受光部20の出力を用いてタイム・オブ・フライト法により測距対象物12までの距離を演算する距離演算部24と、を有する。なお、受光部20からの出力は、A/D変換器26でデジタル信号に変換した後、距離演算部24に出力する。
制御部22は、基準クロック生成部28と、シーケンサ30と、発光駆動部32と、受光駆動部34と、タイミング補正部36とを有する。
基準クロック生成部28は、温度や湿度等の周辺環境にほとんど影響されない水晶振動子を基準クロック周波数信号として用いた例えばPLL(Phase Locked Loop)回路等によって構成し、基準クロックclkを生成し、少なくともシーケンサ30に基準クロックclkを出力する。
シーケンサ30は、発光部16の発光タイミング及び受光部20の受光タイミングを規定する。具体的には、発光部16での発光タイミングの基準となる発光基準信号Pe2及び受光部20での受光タイミングの基準となる受光基準信号Pr2を生成する。例えば図1に示すように、シーケンサ30は、第1信号生成回路38a、第2信号生成回路38b、第1クロック同期回路40a及び第2クロック同期回路40bを有する。第1信号生成回路38aは、発光タイミングの基となる信号Pe1を生成し、第2信号生成回路38bは、受光タイミングの基となる信号Pr1を生成する。第1クロック同期回路40aは、例えばD型フリップフロップにより構成し、第1クロック同期回路40aのD端子には信号Pe1を供給し、CK端子には基準クロックclkを供給する。このとき、第1クロック同期回路40aのQ端子からは基準クロックclkに同期した信号Pe1、すなわち、発光基準信号Pe2が出力される。同様に、第2クロック同期回路40bのD端子には信号Pr1を供給し、CK端子には基準クロックclkを供給する。このとき、第2クロック同期回路40bのQ端子からは基準クロックclkに同期した信号Pr1、すなわち、受光基準信号Pr2が出力される。
発光駆動部32は、後述するタイミング補正部36からのタイミング調整信号Pe3に基づいて発光部16を駆動制御する。例えばタイミング調整信号Pe3により、放射光14を放射するための発光タイミング信号Pe4を生成して出力する。発光部16は、発光駆動部32からの発光タイミング信号Pe4により、例えばパルス発光した放射光14を放射する。
受光駆動部34は、シーケンサ30からの受光基準信号Pr2に基づいて受光部20を駆動制御する。例えば受光基準信号Pr2により、反射光18を受光する期間を規定する受光タイミング信号Pr4(=電子シャッタタイミング信号)を生成し、受光部20を駆動制御する。受光部20は、受光タイミング信号Pr4により規定された期間(電子シャッター期間)の間の反射光18の光量を受光し、受光部20の出力値に反映する。
この受光駆動部34は、図1では、受光部20、A/D変換器26、基準クロック生成部28、シーケンサ30及びタイミング補正部36と共に1つの固体撮像装置42に実装している。そのため、受光駆動部34にクロック同期回路を実装し、クロック同期した受光タイミング信号Pr4を出力する等の対策が可能である。従って、受光基準信号Pr2と同等に、クロック同期した受光タイミング信号Pr4を受光部20に直接供給することが比較的容易である。
一方、固体撮像装置42に発光部16を実装することが困難であるため、上述した発光駆動部32や発光部16は、固体撮像装置42の外部に設置している。そのため、シーケンサ30からの発光基準信号Pe2と発光駆動部32からの発光タイミング信号Pe4のタイミング差(位相差)は、温度や湿度といった周辺環境に影響され、安定したタイミング差を維持することが困難である。
そこで、タイミング補正部36を、シーケンサ30と発光駆動部32との間に配置し、シーケンサ30からの発光基準信号Pe2と発光駆動部32からの発光タイミング信号Pe4の遅延差が常に一定となるように、発光基準信号Pe2に対して遅延制御したタイミング調整信号Pe3を生成し発光駆動部32に供給することで、発光基準信号Pe2と発光タイミング信号Pe4、さらには発光タイミング信号Pe4と受光タイミング信号Pr4の同期を図る。
ここで、タイミング補正部36の概略構成例について図2を参照しながら説明する。
タイミング補正部36は、図2に示すように、第1遅延時間制御回路44と、第2遅延時間制御回路46と、タイミング補正用位相比較器48と、タイミング補正制御ロジック回路50とを有する。
第1遅延時間制御回路44にはシーケンサ30からの発光基準信号Pe2を入力する。発光基準信号Pe2は、この第1遅延時間制御回路44においてタイミングを遅延制御されタイミング調整信号Pe3として発光駆動部32へ出力される。
第2遅延時間制御回路46にはシーケンサ30からの発光基準信号Pe2を入力する。この第2遅延時間制御回路46は、例えば測距システム10の出荷時やその後のキャリブレーションの際に、タイミング補正制御ロジック回路50からのオフセット調整信号S2によって、遅延時間(オフセット時間)を設定(あるいは再設定)する。すなわち、図3Aに示すように、発光基準信号Pe2の例えば立ち下り時(立ち上がり時でもよい)と、発光タイミング信号Pe4の例えば立ち下り時(立ち上がり時でもよい)との間には時間的なずれ、すなわち、オフセット時間Toffsetが存在する。このオフセット時間Toffsetは、測距システム10の経時変化によって変動する。そこで、測距システム10の出荷時やその後に行われる定期的あるいは不定期のキャリブレーションの際に、オフセット時間Toffsetを取得し、取得したオフセット時間Toffsetの情報をタイミング補正制御ロジック回路50に与えて、タイミング補正制御ロジック回路50から新たなオフセット時間Toffsetに対応したオフセット調整信号S2を出力し、第2遅延時間制御回路46に供給することによって、第2遅延時間制御回路46にオフセット時間Toffsetを設定(あるいは再設定)する。従って、第2遅延時間制御回路46に入力された発光基準信号Pe2は、設定されたオフセット時間Toffsetだけ遅延し、オフセット信号Pe5として出力される。
タイミング補正用位相比較器48の第1入力端子には第2遅延時間制御回路46からのオフセット信号Pe5を入力し、第2入力端子には発光駆動部32からの発光タイミング信号Pe4を入力する。タイミング補正用位相比較器48は、例えば図3Bに示すように、オフセット信号Pe5の例えば立ち下り時と発光タイミング信号Pe4の例えば立ち下り時との時間差(位相差ΔTchange)を検出し、位相比較結果S1として出力端子から出力する。特に、タイミング補正用位相比較器48は、オフセット信号Pe5と発光タイミング信号Pe4との時間差(位相差ΔTchange)に応じたデジタル信号に変換し、該デジタル信号を位相比較結果S1として出力し、タイミング補正制御ロジック回路50に入力する。
タイミング補正制御ロジック回路50は、入力された位相比較結果S1に基づいた遅延調整信号S3を生成して出力し、第1遅延時間制御回路44に入力する。第1遅延時間制御回路44は、入力された遅延調整信号S3に基づいて発光基準信号Pe2の遅延時間を調整して、タイミング調整信号Pe3として出力する。遅延調整信号S3は、該遅延調整信号S3がアナログ信号であれば、電圧値、電流値等が挙げられる。また、遅延調整信号S3はデジタル信号であってもよい。なお、タイミング補正制御ロジック回路50の機能は、固体撮像装置42の外部のCPU及びメモリを備える組み込みコンピュータやFPGA等のハードウェアに置き換えて実現させてもよい。
例えば図3Bに示すように、周辺環境の影響によって、発光タイミング信号Pe4が、オフセット時間Toffsetよりもある時間(変動時間と記す)だけ遅延した場合、タイミング補正用位相比較器48は位相差ΔTchange(変動時間)を検出し、位相比較結果S1を出力し、タイミング補正制御ロジック回路50は位相比較結果S1に基づいた遅延調整信号S3を出力する。第1遅延時間制御回路44は、発光基準信号Pe2を遅延調整信号S3に基づいた時間だけ遅延して、タイミング調整信号Pe3として出力する。つまり、図3Cに示すように、第1遅延時間制御回路44は、発光基準信号Pe2を上述した位相差ΔTchange(変動時間)と同じ時間(ΔTcontrol)だけ遅延し、発光基準信号Pe2のタイミングを調整して、タイミング調整信号Pe3として発光駆動部32に出力することから、発光タイミング信号Pe4の例えば立ち下り時とオフセット信号Pe5の立ち下り時とが同期するようになり、周辺環境による変動時間分をフィードバック制御により吸収して、タイミング的に正確な発光タイミング信号Pe4として発光部16に供給することができる。これによって測距対象物12までの距離を周辺環境に影響されずに測定することが可能となる。
ところで、基準クロックclkとして、クロック周波数が例えば250MHzのクロック信号を想定した場合、クロックの立ち上がり及び立ち下りを回路のトリガタイミングとして使うとしても、その時間分解能は2nsec程度である。放射光14は例えば1nsecで約300mm進むが、測距システム10では、往復の光路を測定するため、測距値に換算すると、150mmに相当する。そのため、2nsecの時間分解能でタイミングを調整すると、測距値300mm単位での調整となり、この測距分解能未満でのタイミング調整ができない。例えば数mmオーダーでの測距性能を得るためには、数10psecのオーダーの時間分解能が必要となる。
そこで、本実施の形態では、第1遅延時間制御回路44、第2遅延時間制御回路46、タイミング補正用位相比較器48を、それぞれ第1遅延線と第2遅延線とを有する回路にて構成し、第1遅延同期ループ回路で生成された第1遅延調整バイアス(電圧)を各第1遅延線に印加し、第2遅延同期ループ回路で生成された第2遅延調整バイアス(電圧)を各第2遅延線に印加することで、第1遅延線を構成する複数の遅延素子での各遅延時間τ1と第2遅延線を構成する複数の遅延素子での各遅延時間τ2とを異ならせる。さらに、第1遅延時間制御回路44及び第2遅延時間制御回路46では、第1遅延線から第2遅延線への経路を可変にして、|τ1−τ2|の時間分解能を得るようにし、タイミング補正用位相比較器48では、TDC回路にノギスの原理(バーニアの原理)を用いて、|τ1−τ2|の時間分解能で位相比較を行えるようにしている。これにより、数psec〜数10psecのオーダーの時間分解能を実現することができ、数mmオーダの測距値精度を補償することが可能となる。
ここで、タイミング補正部36の具体的な回路構成例について図4〜図14を参照しながら説明する。
先ず、第1の具体例に係るタイミング補正部(以下、第1タイミング補正部36Aと記す)は、図4に示すように、第1遅延同期ループ回路52aと、第2遅延同期ループ回路52bと、上述した第1遅延時間制御回路44と、第2遅延時間制御回路46と、タイミング補正用位相比較器48と、タイミング補正制御ロジック回路50とを有する。
第1遅延同期ループ回路52aは、複数の遅延素子を有しており、時間分解能設定部51からの第1遅延段数制御信号Sprec1を入力する第1段数制御端子φprec1と、基準クロックclkを入力するクロック端子φclkと、第1遅延調整バイアスVb1(電圧)を出力する第1出力端子φbo1とを有する。
内部構成は、図5Aに示すように、基準クロックclkを入力とする第1遅延線DL1と、第1遅延段数制御信号Sprec1に基づいて第1遅延線DL1の遅延段数を設定する複数の第1セレクタ56aと、第1遅延線DL1からの出力と基準クロックclkとの位相差を検出する第1クロック位相比較器58aと、第1クロック位相比較器58aからの出力信号に基づき、加算あるいは減算電荷を生成する第1チャージポンプ60aと、第1チャージポンプ60aの出力電荷を累算し、第1遅延調整バイアスVb1(電圧)として出力する第1ローパスフィルタ62aとを有する。この第1遅延調整バイアスVb1は、第1遅延線DL1に供給し、第1遅延同期ループ回路52aのフィードバックループを形成し、且つ、第1出力端子φbo1を通じて外部に第1遅延調整バイアスVb1を出力可能になっている。
第1遅延線DL1は、複数の第1遅延素子64aを直列に接続して構成し、各第1遅延素子64aの前段には、それぞれ第1セレクタ56aが接続されている。各第1遅延素子64aは、第1遅延調整バイアスVb1によって遅延時間が制御される例えばインバータ遅延素子により構成する。各第1セレクタ56aは、第1遅延段数制御信号Sprec1のそれぞれ対応するバイナリ値(「1」又は「0」)に応じて経路を選択するようになっている。例えば入力側から見て1番目の第1セレクタ56aは、第1遅延段数制御信号Sprec1の例えばMSB(最上位ビット)のバイナリ値に応じて基準クロックclkと接地電圧Vssのいずれかを選択する。この例では、バイナリ値が「1」のとき、基準クロックclkを選択し、バイナリ値が「0」のとき、接地電圧Vssを選択する。入力側から見て2番目以降の第1セレクタ56aは、バイナリ値が「1」のとき、基準クロックclkを選択し、バイナリ値が「0」のとき、1つ前の第1遅延素子64aからの出力を選択する。すなわち、複数の第1セレクタ56aによって、遅延段数を制御している。従って、例えば16個の第1遅延素子64aがそれぞれ第1セレクタ56aを介在させて直列に接続されている場合を想定したとき、第1遅延線DL1として、14個の第1遅延素子64aを使用する場合は、第1遅延段数制御信号Sprec1として、
MSB LSB
↓ ↓
「0010000000000000」
を時間分解能設定部51から供給する。これにより、出力側から見て14番目の第1セレクタ56aが基準クロックclkを選択し、出力側から見て1番目〜13番目の第1セレクタ56aがそれぞれ1つ前の第1遅延素子64aの出力を選択することになり、14個の第1遅延素子64aによる第1遅延線DL1が構成されることになる。なお、第1遅延線DL1としては、実際には、100個以上の第1遅延素子64aを用いてもよい。
この第1遅延同期ループ回路52aでは、第1遅延線DL1は、基準クロックclkを1周期遅らせるように動作し、第1遅延線DL1の出力と基準クロックclkとの立ち上がりタイミングあるいは立ち下りタイミングを第1クロック位相比較器58aで比較する。比較結果に基づき、第1チャージポンプ60aや第1ローパスフィルタ62aが動作することで、第1遅延線DL1の出力と基準クロックclkの位相差を相殺するように常にフィードバック制御する。これにより、第1遅延素子DL1の遅延値(τ1)を生成するための第1遅延調整バイアスVb1を得る。ここで、回路電源投入時や回路起動時には、第1遅延調整バイアスVb1が定まらないことに起因した、2周期遅れ、3周期遅れ等のロック(擬似ロック)の可能性がある。擬似ロックを回避するため、回路電源投入や回路起動の直前にあらかじめ任意の電圧を印加する等の対策を施し、常に1周期遅れ動作を補償させる。第1遅延素子64aの数を増やすほど、各第1遅延素子64aでの遅延時間(τ1)は短くなる。なお、第1遅延同期ループ回路52aは、集積回路の製造ばらつきや周辺環境の変動等に対して安定した基準クロックclkを基準にして、自律的な自己フィードバックの機能を有しているため、製造ばらつきや周辺環境変動に対応した第1遅延調整バイアスVb1を生成することができる。
第2遅延同期ループ回路52bは、上述した第1遅延同期ループ回路52aと同様の構成を有し、図4に示すように、時間分解能設定部51からの第2遅延段数制御信号Sprec2を入力する第2段数制御端子φprec2と、基準クロックclkを入力するクロック端子φclkと、第2遅延調整バイアス(電圧)Vb2を出力する第2出力端子φbo2とを有する。
内部構成は、図5Bに示すように、基準クロックclkを入力とする第2遅延線DL2と、第2遅延段数制御信号Sprec2に基づいて第2遅延線DL2の遅延段数を設定する複数の第2セレクタ56bと、第2遅延線DL2からの出力と基準クロックclkとの位相差を検出する第2クロック位相比較器58bと、第2クロック位相比較器58bからの出力信号に基づき、加算あるいは減算電荷を生成する第2チャージポンプ60bと、第2チャージポンプ60bの出力電荷を累算し、第2遅延調整バイアスVb2(電圧)として出力する第2ローパスフィルタ62bとを有する。この第2遅延調整バイアスVb2は、第2遅延線DL2に供給し、第2遅延同期ループ回路52bのフィードバックループを形成し、且つ、第2出力端子φbo2を通じて外部に第2遅延調整バイアスVb2を出力可能になっている。
第2遅延線DL2は、複数の第2遅延素子64bを直列に接続して構成し、各第2遅延素子64bの前段には、それぞれ第2セレクタ56bが接続されている。各第2遅延素子64bは、第2遅延調整バイアスVb2によって遅延時間が制御される例えばインバータ遅延素子により構成する。これら第2遅延素子64b、第2セレクタ56b及び第2遅延段数制御信号Sprec2の構成については、上述した第1遅延素子64a、第1セレクタ56a及び第1遅延段数制御信号Sprec1と同じであるため、その重複説明を省略する。
この第2遅延同期ループ回路52bにおいても、第2遅延線DL2は、基準クロックclkを1周期遅らせるように動作し、第2遅延線DL2の出力と基準クロックclkとの立ち上がりタイミングあるいは立ち下りタイミングを第2クロック位相比較器58bで比較する。比較結果に基づき、第2チャージポンプ60bや第2ローパスフィルタ62bが動作することで、第2遅延線DL2の出力と基準クロックclkの位相差を相殺するように常にフィードバック制御する。これにより、第2遅延素子DL2の遅延値(τ2)を生成するための第2遅延調整バイアスVb2を得る。また、擬似ロックを回避するため、回路電源投入や回路起動の直前にあらかじめ任意の電圧を印加する等の対策を施し、常に1周期遅れ動作を補償させる。第2遅延素子64bの数を増やすほど、各第2遅延素子64bでの遅延時間(τ2)は短くなる。
ところで、第1遅延素子64aと第2遅延素子64bの回路構成と回路を構成するトランジスタサイズ等は互いに同じである。従って、第1遅延線DL1で選択した第1遅延素子64aの数と、第2遅延線DL2で選択した第2遅延素子64bの数が同じであれば、各第1遅延素子64aの遅延時間(第1遅延時間τ1)と各第2遅延素子64bの遅延時間(第2遅延時間τ2)は同じになる。
しかし、本実施の形態では、ノギスの原理を利用するため、第1遅延時間τ1と第2遅延時間τ2は差を持たせる。そのため、第1遅延線DL1で選択する第1遅延素子64aの数と、第2遅延線DL2で選択する第2遅延素子64bの数は差を持つ。例えば第1遅延素子64aの数を第2遅延素子64bの数よりも多くして、第1遅延時間τ1を数100psec、第2遅延時間τ2を(数100+数10)psecとする。このとき、遅延時間の差|τ1−τ2|は数10psec程度となる。
第1遅延時間制御回路44は、図4に示すように、例えばタイミング補正制御ロジック回路50からの遅延調整信号S3を供給する遅延調整端子φS3と、シーケンサ30から発光基準信号Pe2を入力する入力端子φe2と、第1遅延同期ループ回路52aからの第1遅延調整バイアスVb1を入力する第1バイアス端子φbi1と、第2遅延同期ループ回路52bからの第2遅延調整バイアスVb2を入力する第2バイアス端子φbi2と、発光基準信号Pe2を遅延調整したタイミング調整信号Pe3を出力する出力端子φe3とを有する。
内部構成は、図6に示すように、第1遅延同期ループ回路52aの第1遅延線DL1と同様の構成を有し、発光基準信号Pe2を入力とする第1遅延線DL1と、第2遅延同期ループ回路52bの第2遅延線DL2と同様の構成を有し、同じく発光基準信号Pe2もしくは、発光基準信号Pe2の第1遅延線DL1を経由した信号を入力とする第2遅延線DL2と、遅延調整信号S3に基づいて第1遅延線DL1から第2遅延線DL2への経路を切り替える複数の第2セレクタ56bを有する。
第1遅延線DL1は、複数の第1遅延素子64aを直列に接続して構成し、各第1遅延素子64aの前段には、それぞれ第1セレクタ56aを接続する。各第1セレクタ56aは特性ダミーであって、第2遅延線DL2と負荷をそろえるために接続する。入力側から見て1番目の第1セレクタ56aは発光基準信号Pe2を固定で選択し、入力側から見て2番目以降の第1セレクタ56aは、1つ前の第1遅延素子64aからの出力を固定で選択するようになっている。なお、第1遅延線DL1の出力側端(終端)も遅延線最終段の負荷特性を最終段以前の特性とあわせるための特性ダミーインバータ遅延回路を接続する。
第2遅延線DL2は、複数の第2遅延素子64bを直列に接続して構成し、各第2遅延素子64bの前段には、それぞれ第2セレクタ56bを接続する。各第2セレクタ56bは、遅延調整信号S3のそれぞれ対応するバイナリ値(「1」又は「0」)に応じて経路を選択するようになっている。例えば入力側から見て1番目の第2セレクタ56bは、遅延調整信号S3の例えばMSB(最上位ビット)のバイナリ値に応じて発光基準信号Pe2と接地電圧Vssのいずれかを選択する。この例では、バイナリ値が「1」のとき、発光基準信号Pe2を選択し、バイナリ値が「0」のとき、接地電圧Vssを選択する。入力側から見て2番目以降の第2セレクタ56bは、バイナリ値が「1」のとき、1つ前の第1遅延素子64aからの出力を選択し、バイナリ値が「0」のとき、1つ前の第2遅延素子64bからの出力を選択する。
従って、例えば16個の第1遅延素子64aがそれぞれ第1セレクタ56aを介在させて直列に接続され、16個の第2遅延素子64bがそれぞれ第2セレクタ56bを介在させて直列に接続されている場合を想定したとき、第1遅延線DL1として2個の第1遅延素子64aを選択し、第2遅延線DL2として14個の第2遅延素子64bを選択する場合は、遅延調整信号S3として、
MSB LSB
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「0010000000000000」
がタイミング補正制御ロジック回路50から供給する。これにより、入力側から見て2番目の第1遅延素子64bから入力側から見て3番目の第2遅延素子64bへの経路が選択され、その結果、発光基準信号Pe2が遅延時間{(2×τ1)+(14×τ2)}だけ遅延されたタイミング調整信号Pe3として出力される。同様に、第1遅延線DL1として3個の第1遅延素子64aを選択し、第2遅延線DL2として13個の第2遅延素子64bを選択した場合は、入力側から見て3番目の第1遅延素子64aから入力側から見て4番目の第2遅延素子64bへの経路が選択され、その結果、発光基準信号Pe2が遅延時間{(3×τ1)+(13×τ2)}だけ遅延されたタイミング調整信号Pe3として出力される。前者と後者の遅延時間の差は、|{(2×τ1)+(14×τ2)}−{(3×τ1)+(13×τ2)}|=|τ2−τ1|となり、第2セレクタ56bによって経路を切り替えることにより、|τ2−τ1|の時間分解能を得ることができる。なお、上述の例では、16個の第1遅延素子64a及び16個の第2遅延素子64bの場合を示したが、実際には、100個以上の第1遅延素子64a及び100個以上の第2遅延素子64bを用いてもよい。
第2遅延時間制御回路46は、図4に示すように、例えばタイミング補正制御ロジック回路50からのオフセット調整信号S2を供給するオフセット調整端子φS2と、シーケンサ30からの発光基準信号Pe2を入力する入力端子φe2と、第1遅延同期ループ回路52aからの第1遅延調整バイアスVb1を入力する第1バイアス端子φbi1と、第2遅延同期ループ回路52bからの第2遅延調整バイアスVb2を入力する第2バイアス端子φbi2と、オフセット調整された発光基準信号Pe2、すなわち、オフセット信号Pe5を出力する出力端子φe5とを有する。
内部構成は、上述した第1遅延時間制御回路44(図6参照)と同様の構成を有するため、その重複説明を省略するが、第2セレクタ56bは、オフセット調整信号S2のそれぞれ対応するバイナリ値(「1」又は「0」)に応じて経路を選択するようになっている。この第2遅延時間制御回路46においても、第2セレクタ56bによって経路を切り替えることにより、|τ2−τ1|の時間分解能を得ることができる。
タイミング補正用位相比較器48は、図4に示すように、発光駆動部32からの発光タイミング信号Pe4を入力する第1入力端子φe4と、第2遅延時間制御回路46からのオフセット信号Pe5を供給する第2入力端子φe5と、第1遅延同期ループ回路52aから第1遅延調整バイアスVb1を入力する第1バイアス端子φbi1と、第2遅延同期ループ回路52bから第2遅延調整バイアスVb2を入力する第2バイアス端子φbi2と、オフセット信号Pe5と発光タイミング信号Pe4の位相差を位相比較結果S1として出力する出力端子φS1とを有する。
内部構成は、図7に示すように、発光タイミング信号Pe4を入力とする第1遅延線DL1と、オフセット信号Pe5を入力とする第2遅延線DL2と、遅延素子に応じて配列された複数のフリップフロップ回路66(ここではD型フリップフロップ)を有する位相判定回路68と、デコーダ70とを有する。
第1遅延線DL1は、それぞれ第1遅延調整バイアスVb1により遅延時間を制御可能な複数の第1遅延素子64aを直列に接続して構成している。第2遅延線DL2も、それぞれ第2遅延調整バイアスVb2により遅延時間が制御可能な複数の第2遅延素子64bを直列に接続し構成している。なお、第1遅延線DL1及び第2遅延線DL2の最終段には、それぞれ最終段の負荷特性が最終段以前の特性と差が出ないように特性ダミー用遅延素子を接続する。
第1遅延調整バイアスVb1及び第2遅延調整バイアスVb2によって、第2遅延素子64bの遅延時間τ2を、第1遅延素子64bの遅延時間τ1よりも長く設定すると、発光タイミング信号Pe4が周辺環境の影響によって遅延して、オフセット信号Pe5に対して発光タイミング信号Pe4が位相遅れとなった場合、上述した遅延時間の違いにより、オフセット信号Pe5に対して発光タイミング信号Pe4は位相遅れが徐々に小さくなり、第1遅延線DL1及び第2遅延線DL2の途中から、今度は、オフセット信号Pe5に対して発光タイミング信号Pe4が位相進みとなり、位相進みは徐々に拡大する。
位相判定回路68は、例えば第1遅延素子64a(又は第2遅延素子64b)の個数+1個分のフリップフロップ回路66を有する。各フリップフロップ回路66をそれぞれ例えばD型フリップフロップにて構成する。そのうち、第1遅延素子64a(又は第2遅延素子64b)の個数分のフリップフロップ回路66を、第1遅延素子64a(又は第2遅延素子64b)に対応して配置し、D端子に、対応する第1遅延素子64aの出力を入力し、CK端子には、対応する第2遅延素子64bの出力を入力する。入力側から見て1番目のフリップフロップ回路66は、D端子に発光タイミング信号Pe4を入力し、CK端子には、オフセット信号Pe5を入力する。本実施の形態では、第1遅延素子64aとしてインバータ遅延素子を用いているため、発光タイミング信号Pe4を反転し遅延させた信号波形を出力する第1遅延素子64aが存在する。例えば入力側から見て奇数番目の第1遅延素子64aの出力波形は、発光タイミング信号Pe4を反転し遅延させた信号波形となり、入力側から見て偶数番目の第1遅延素子64aの出力波形は、発光タイミング信号Pe4をそのまま遅延させた信号波形となる。これは、第2遅延線DL2においても同様であり、入力側から見て奇数番目の第2遅延素子64bの出力波形は、オフセット信号Pe5を反転し遅延させた信号波形となり、入力側から見て偶数番目の第2遅延素子64bの出力波形は、オフセット信号Pe5をそのまま遅延させた信号波形となる。
従って、発光タイミング信号Pe4が周辺環境の影響によって遅延した場合、発光タイミング信号Pe4がオフセット信号Pe5よりも位相遅れとなる例えば入力側から2j+1(奇数)番目のフリップフロップ回路66では、図8に示すように、CK端子の入力が2値論理のHighになった時点で、D端子の入力が2値論理のLowであることから、Q端子からは論理値「0」を出力し、例えば入力側から2j+2(偶数)番目のフリップフロップ回路では、CK端子の入力がLowになった時点で、D端子の入力がHighであることから、Q端子から論理値「1」を出力する。すなわち、位相遅れを示す論理値が奇数番目と偶数番目とで互いに反転した論理値となる。
同様に、第1遅延線DL1及び第2遅延線DL2の途中から発光タイミング信号Pe4がオフセット信号Pe5よりも位相進みとなる例えば入力側から2j+4(偶数)番目のフリップフロップ回路では、CK端子の入力がLowになった時点で、D端子の入力がLowであることから、Q端子から論理値「0」を出力し、例えば入力側から2j+5(偶数)番目のフリップフロップ回路では、CK端子の入力がHighになった時点で、D端子の入力がHighであることから、Q端子から論理値「1」を出力する。すなわち、位相進みを示す論理値が奇数番目と偶数番目とで互いに反転した論理値となる。
そこで、例えば偶数番目のフリップフロップ回路からの出力を反転(ビット反転)するNOTゲート72(図7参照)を接続して、発光タイミング信号Pe4がオフセット信号Pe5よりも位相遅れを示す論理値が奇数番目と偶数番目とで共に論理値「0」、位相進みを示す論理値が奇数番目と偶数番目とで共に論理値「1」となるようにしている。これにより、オフセット信号Pe5に対して位相遅れで入力した発光タイミング信号Pe4は第1遅延線DL1の途中でオフセット信号を追い抜いた時点で論理値が「0」から「1」に反転(ビット反転)する形態の位相判定信号Dbを得る。デコーダ70は、位相判定回路68からの位相判定信号Dbをデコードし、タイミング補正制御ロジック回路50に受け渡す。
デコーダ70でのデコード手法としては、以下の2つの手法が挙げられる。
第1デコード手法は、下記表1に示すように、位相判定回路68からの位相判定信号Dbを最下位ビットから1が並ぶ数で1対1に変換(温度計コード変換)し、位相差値S1(位相比較結果)として出力する。
第2デコード手法は、下記表2に示すように、位相判定回路68からの位相判定信号Dbのうち、論理値が「1」のビットの数をデジタル値に変換し、位相差値S1として出力する。この場合、0と1が仮にノイズ等の揺らぎで連続でない場合でも、デコードすることができるため、上述の第1デコード手法よりも好ましいが、デコーダ70に1の個数をカウントする回路を必要とする。
第1タイミング補正部36Aでは、第1遅延時間制御回路44及び第2遅延時間制御回路46において、複数の第1遅延素子64a(遅延時間τ1)を直列に配置した第1遅延線DL1と第1遅延線DL1に対応して複数の第2遅延素子64b(遅延時間τ2)を直列に配置した第2遅延線DL2との間で経路を選択可能にして、|τ1−τ2|の時間分解能を得るようにしており、また、タイミング補正用位相比較器48では、第1遅延線DL1と、第2遅延線DL2と、フリップフロップ回路66及び位相判定回路68を用いてノギスの原理(バーニアの原理)を適応して、|τ1−τ2|の時間分解能で位相比較を行うようにしている。これにより、数10psecのオーダーの時間分解能を実現することができ、数mmの測距値精度を補償することが可能となる。
次に、第2の具体例に係るタイミング補正部(以下、第2タイミング補正部36Bと記す)について図9及び図10を参照しながら説明する。
この第2タイミング補正部36Bは、上述した第1タイミング補正部36Aとほぼ同様の構成を有するが、図9及び図10に示すように、タイミング補正用位相比較器48内に、第1遅延同期ループ回路部74aと、第2遅延同期ループ回路部74bとを組み込み、位相比較動作と遅延調整バイアス生成動作とを選択的に切り替えるようにする点と、タイミング補正用位相比較器48の第1遅延線DL1と第1遅延同期ループ回路部74aの第1遅延線DL1とを共有とし、タイミング補正用位相比較器48の第2遅延線DL2と第2遅延同期ループ回路部74bの第2遅延線DL2とを共有とする点で異なる。
タイミング補正用位相比較器48は、図9に示すように、発光タイミング信号Pe4を入力する第1入力端子φe4と、オフセット信号Pe5を入力する第2入力端子φe5と、オフセット信号Pe5と発光タイミング信号Pe4との位相差を位相差値S1としてを出力する出力端子φS1とに加えて、例えばタイミング補正制御ロジック回路50からの動作切替信号Sch(位相比較動作と遅延調整バイアス生成動作とを切り替えるための信号)を入力する動作切替端子φchと、第1遅延段数制御信号Sprec1を入力する第1段数制御端子φprec1と、第2遅延段数制御信号Sprec2を入力する第2段数制御端子φprec2と、基準クロックclkを入力するクロック端子φclkと、第1遅延調整バイアスVb1を出力する第1バイアス出力端子φbo1と、第2遅延調整バイアスVb2を出力する第2バイアス出力端子φbo2とを有する。
内部構造は、図10に示すように、第1遅延線DL1と、第2遅延線DL2と、位相判定回路68と、デコーダ70とを有する。第1遅延線DL1は、第1タイミング補正部36Aにおける第1遅延同期ループ回路52aの第1遅延線DL1と同様の構成(第1セレクタ56aと第1遅延素子64aとの組を多数直列接続した構成)を有し、基準クロックclk及び発光タイミング信号Pe4が選択的に供給可能なようになっている。第2遅延線DL2は、第1タイミング補正部36Aにおける第2遅延同期ループ回路52bの第2遅延線DL2と同様の構成(第2セレクタ56bと第2遅延素子64bとの組を多数直列接続した構成)を有し、基準クロックclk及びオフセット信号Pe5が選択的に供給可能になっている。
タイミング補正用位相比較器48は、さらに、第3セレクタ56cと、第4セレクタ56dと、第1遅延同期ループ回路部74aと、第2遅延同期ループ回路部74bとを有する。
第3セレクタ56cは、動作切替信号Schの信号レベルに応じて基準クロックclkと発光タイミング信号Pe4のいずれかを選択する。例えば信号レベルが2値論理的にHighであれば基準クロックclkを選択し、Lowであれば発光タイミング信号Pe4を選択する。
第4セレクタ56dは、動作切替信号Schの信号レベルに応じて基準クロックclkとオフセット信号Pe5のいずれかを選択する。例えば信号レベルがHighであれば基準クロックclkを選択し、Lowであればオフセット信号Pe5を選択する。
第1遅延同期ループ回路部74aは、第1遅延段数制御信号Sprec1に基づいて第1遅延線DL1の遅延段数を設定する複数の第1セレクタ56aと、遅延調整バイアス生成動作の際(動作切替信号Schの信号レベルがHighの際)に、第1遅延線DL1からの出力と基準クロックclkとの位相差を検出する第1クロック位相比較器58aと、第1クロック位相比較器58aの比較結果に基づき、電荷を加算、減算させる第1チャージポンプ60aと、第1チャージポンプ60aの出力電荷を累算し、第1遅延調整バイアスVb1(電圧)として出力する第1ローパスフィルタ62aと、第1遅延調整バイアスVb1を保持する第1コンデンサ76aとを有する。この第1遅延調整バイアスVb1は第1バイアス出力端子φbo1を通じて外部に出力され、また、第1遅延線DL1にも供給するようになっている。
第2遅延同期ループ回路部74bは、第2遅延段数制御信号Sprec2に基づいて第2遅延線DL2の遅延段数を設定する複数の第2セレクタ56bと、遅延調整バイアス生成動作の際(動作切替信号Schの信号レベルがHighの際)に、第2遅延線DL2からの出力と基準クロックclkとの位相差を検出する第2クロック位相比較器58bと、第2クロック位相比較器58bの比較結果に基づき、電荷を加算、減算させる第2チャージポンプ60bと、第2チャージポンプ60bの出力電荷を累算し、第2遅延調整バイアスVb2(電圧)として出力する第2ローパスフィルタ62bと、第2遅延調整バイアスVb2を保持する第2コンデンサ76bとを有する。この第2遅延調整バイアスVb2は第2バイアス出力端子φbo2を通じて外部に出力され、また、第2遅延線DL2にも供給するようになっている。
第1遅延線DL1を構成する複数の第1遅延素子64aのうち、選択された一連の複数の第1遅延素子64aを、第1遅延素子64aの遅延時間τ1を設定する第1遅延調整バイアスVb1を生成のための第1遅延同期ループ回路部74aの遅延線として使用し、さらに第1遅延同期ループ回路部74aの遅延線と一部共有した一連の複数の第1遅延素子64aを位相比較器用の遅延線に使用する。例えば位相比較器用にn個の一連の第1遅延素子64aを使用し、第1遅延同期ループ回路部74aの遅延線として、m個の一連の第1遅延素子64aを使用した場合、遅延線の全体あるいは一部を共有することで、実際の物理的な遅延素子の個数をkとしたときに、k<m+nとすることができる。つまり、m+n−k個の一連の第1遅延素子64aを、タイミング補正用位相比較器48と第1遅延同期ループ回路部74aとで共有可能である。
同様に、第2遅延線DL2を構成する複数の第2遅延素子64bのうち、選択された一連の複数の第2遅延素子64bを、第2遅延素子64bの遅延時間τ2を設定する第2遅延調整バイアスVb2を生成のための第2遅延同期ループ回路部74bの遅延線として使用し、さらに第2遅延同期ループ回路部74bの遅延線と一部共有した一連の複数の第2遅延素子64bを位相比較器用の遅延線に使用する。例えば位相比較器用にn個の一連の第2遅延素子64bを使用し、第2遅延同期ループ回路部74bの遅延線として、p個の一連の第2遅延素子64bを使用した場合、遅延線の全体あるいは一部を共有することで、実際の物理的な遅延素子の個数をkとしたときに、k<p+nとすることができる。つまり、p+n−k個の一連の第2遅延素子64bを、タイミング補正用位相比較器48と第2遅延同期ループ回路部74bとで共有可能である。
第2タイミング補正部36Bにおいては、上述した第1タイミング補正部36Aと同様に、数10psecのオーダーの時間分解能を実現し、数mmの測距値精度で補正することが可能となる。特に、この第2タイミング補正部36Bにおいては、タイミング補正用位相比較器48への第1遅延調整バイアスVb1及び第2遅延調整バイアスVb2のための配線の引き回しが減るため、ノイズの発生を低減する効果が期待できる。また、タイミング補正用位相比較器48内に第1遅延同期ループ回路部74a及び第2遅延同期ループ回路部74bを組み込んで、回路規模的に大きなチップ占有面積を占める遅延線を共有するので、全体のチップ占有面積を小さくすることができる。
次に、第3の具体例に係るタイミング補正部(以下、第3タイミング補正部36Cと記す)について図9及び図10を参照しながら説明する。
この第3タイミング補正部36Cは、上述した第2タイミング補正部36Bとほぼ同様の構成を有するが、図9及び図10において、括弧書きにて示すように、動作切替端子φch及びクロック端子φclkがなく、第3セレクタ56c及び第4セレクタ56dも存在しない。
第1遅延同期ループ回路部74aは、基準クロックclkではなく、発光タイミング信号Pe4に基づいて第1遅延調整バイアスVb1を生成する。第2遅延同期ループ回路部74bは、同じく基準クロックclkではなく、オフセット信号Pe5に基づいて第2遅延調整バイアスVb2を生成する。
発光タイミング信号Pe4及びオフセット信号Pe5は、いずれも基準クロックclkと同様に複数のパルスが連続して現れる信号波形を有しており、経年変化や環境変化が時間的に緩やかであれば、連続する信号波形間での位相差は小さいため、基準クロックclkに準じて、第1遅延調整バイアスVb1及び第2遅延調整バイアスVb2を生成するための基準の信号として使用することができる。従って、第1遅延同期ループ回路部74a及び第2遅延同期ループ回路部74bは、連続して現れる複数のパルスをクロックに見立てて自律的に動作するようになり、基準クロックclkを使用しなくても、発光タイミング信号Pe4及びオフセット信号Pe5によって第1遅延調整バイアスVb1及び第2遅延調整バイアスVb2を生成することができる。
これにより、動作切替端子φch、クロック端子φclk、第3セレクタ56c及び第4セレクタ56dを省略することができ、第3タイミング補正部36Cの回路構成を簡略化することができる。ただ、発光タイミング信号Pe4は周辺環境の影響によってパルス周期が変化するおそれがあるため、意図した遅延時間が得られない可能性がある。そこで、第1遅延同期ループ回路部74aにおいても、比較的パルス周期の変化が少ないオフセット信号Pe5に基づいて第1遅延調整バイアスVb1を生成するようにしてもよい。
なお、第1遅延調整バイアスVb1及び第2遅延調整バイアスVb2を保持する第1コンデンサ76a及び第2コンデンサ76bを接続した例を示しているが、これら第1コンデンサ76a及び第2コンデンサ76bを省略してもよい。
次に、第4の具体例に係るタイミング補正部(以下、第4タイミング補正部36Dと記す)について図11及び図12を参照しながら説明する。
この第4タイミング補正部36Dは、上述した第2タイミング補正部36Bとほぼ同様の構成を有するが、図11及び図12に示すように、第1遅延時間制御回路44及び第2遅延時間制御回路46にもそれぞれ第1遅延同期ループ回路部74a及び第2遅延同期ループ回路部74bが組み込まれている点で異なる。
タイミング補正用位相比較器48は、第2タイミング補正部36Bのタイミング補正用位相比較器48とほぼ同様の構成を有するが、図11に示すように、第1バイアス出力端子φbo1及び第2バイアス出力端子φbo2が存在しない。このタイミング補正用位相比較器48の内部構成は図10に示す構成とほぼ同じであるため、その重複説明を省略する。
第1遅延時間制御回路44は、図11に示すように、基準クロックclkを入力するクロック端子φclkと、遅延調整信号S3を入力する遅延調整端子φS3と、発光基準信号Pe2を入力する入力端子φe2と、動作切替信号Schを入力する動作切替端子φchと、第1遅延段数制御信号Sprec1を入力する第1段数制御端子φprec1と、第2遅延段数制御信号Sprec2を入力する第2段数制御端子φprec2と、タイミング調整信号Pe3を出力する出力端子φe3とを有する。
内部構成は、図12に示すように、図10に示すタイミング補正用位相比較器48とほぼ同様の構成を有する第1遅延線DL1、第2遅延線DL、第1遅延同期ループ回路部74a、第2遅延同期ループ回路部74b、複数の第1セレクタ56a、複数の第2セレクタ56b、第3セレクタ56c及び第4セレクタ56dを有し、さらに、第5セレクタ56e、第6セレクタ56f、複数の第7セレクタ56g及び複数の第8セレクタ56hを有する。
第5セレクタ56eは、動作切替信号Schの信号レベルに応じて第1遅延段数制御信号Sprec1と固定信号Dcのいずれかを選択する。例えば信号レベルがHigh(遅延調整バイアス生成動作期間)であれば第1遅延段数制御信号Sprec1を選択し、Low(遅延調整動作時)であれば固定信号Dcを選択する。
第1遅延線DL1に接続された各第1セレクタ56aは、第5セレクタ56eにて選択された信号(第1遅延段数制御信号Sprec1又は固定信号Dc)のそれぞれ対応するバイナリ値(「1」又は「0」)に応じて経路を選択する。第5セレクタ56eにて固定信号Dcを選択した場合は、発光基準信号Pe2の遅延調整に使用する一連の複数の第1遅延素子64aのうち、入力側から見て1番目の第1遅延素子64aの第1セレクタ56aが第3セレクタ56cからの出力を選択し、入力側から見て2番目以降の第1遅延素子64aの第1セレクタ56aが1つ前の第1遅延素子64aの出力を選択する。
第6セレクタ56fは、動作切替信号Schの信号レベルに応じて第2遅延段数制御信号Sprec2と遅延調整信号S3のいずれかを選択する。例えば信号レベルがHighであれば第2遅延段数制御信号Sprec2を選択し、Lowであれば遅延調整信号S3を選択する。
一方、第2遅延線DL2のうち、発光基準信号Pe2の遅延調整に使用する一連の複数の第2遅延素子64bと、それに対応する一連の複数の第1遅延素子64aとの間に、それぞれ第7セレクタ56gを接続する。さらに、上述の一連の複数の第2遅延素子64bの各前段に、第2セレクタ56bに代えて第8セレクタ56hをそれぞれ接続する。
各第7セレクタ56gは、動作切替信号Schの信号レベルに応じて、対応する第1遅延素子64aの出力と第4セレクタ56dの出力のいずれかを選択する。例えば信号レベルがHigh(遅延調整バイアス生成動作期間)であれば第4セレクタ56dの出力を選択し、Low(遅延調整動作期間)であればそれぞれ対応する第1遅延素子64aの出力を選択する。
各第2セレクタ56b及び各第8セレクタ56hは、第6セレクタ56fにて選択された信号(第2遅延段数制御信号Sprec2又は遅延調整信号S3)のそれぞれ対応するバイナリ値(「1」又は「0」)に応じて経路を選択する。第6セレクタ56fにて第2遅延段数制御信号Sprec2を選択した場合は、遅延調整バイアス生成動作期間であることから、複数の第2セレクタ56bのうち、第2遅延段数制御信号Sprec2に対応する1つの第2セレクタ56bのみが第4セレクタ56dの出力(この場合、基準クロックclk)を選択する。第6セレクタ56fにて遅延調整信号S3を選択した場合は、遅延調整動作期間であることから、全ての第7セレクタ56gがそれぞれ対応する第1遅延素子64aの出力を選択し、複数の第8セレクタ56hのうち、遅延調整信号S3に対応する1つの第8セレクタ56hのみが対応する第7セレクタ56gの出力を選択する。
すなわち、複数の第8セレクタ56hのうち、遅延調整信号S3に対応する1つの第8セレクタ56hのみを第1遅延素子64a側の経路に設定し、その他の第8セレクタ56hを1つ前の第2遅延素子64b側の経路に設定する。これにより、発光基準信号Pe2の遅延調整に使用する一連の複数の第1遅延素子64aのうち、第8セレクタ56hにて設定された経路に含まれる第1遅延素子64aの数をAとし、第8セレクタ56hにて設定された経路に含まれる第2遅延素子64bの数をBとしたとき、発光基準信号Pe2は、遅延時間{(A×τ1)+(B×τ2)}だけ遅延されたタイミング調整信号Pe3として出力される。従って、この第1遅延時間制御回路44においても、第8セレクタ56hによって経路を切り替えることにより、|τ2−τ1|の時間分解能を得ることができる。
この場合も、第1遅延線DL1を構成する複数の第1遅延素子64aのうち、選択された一連の複数の第1遅延素子64aを、第1遅延調整バイアスVb1を生成のための第1遅延同期ループ回路部74aの遅延線として使用し、さらに第1遅延同期ループ回路部74aの遅延線と一部共有した一連の複数の第1遅延素子64aを、遅延調整用の遅延線に使用する。そのため、例えば遅延調整用にn個の一連の第1遅延素子64aを使用し、第1遅延同期ループ回路部74aの遅延線として、m個の一連の第1遅延素子64aを使用した場合、遅延線の全体あるいは一部を共有することで、実際の物理的な遅延素子の個数をkとしたときに、k<m+nとすることができ、m+n−k個の一連の第1遅延素子64aを、第1遅延時間制御回路44と第1遅延同期ループ回路部74aとで共有可能である。これは、第2遅延線DL2についても同様である。
一方、第2遅延時間制御回路46は、上述した第1遅延時間制御回路44と同様の構成を有し、図11に示すように、基準クロックclkが入力されるクロック端子φclkと、発光基準信号Pe2が入力される入力端子φe2と、動作切替信号Schが入力される動作切替端子φchと、第1遅延段数制御信号Sprec1が供給される第1段数制御端子φprec1と、第2遅延段数制御信号Sprec2が供給される第2段数制御端子φprec2と、オフセット調整信号S2が供給されるオフセット調整端子φS2と、オフセット調整された発光基準信号Pe2、すなわち、オフセット信号Pe5が出力される出力端子φe5とを有する。
内部構成は、上述した第1遅延時間制御回路44と同様の構成を有し、図12に示すように、複数の第8セレクタ56hのうち、オフセット調整信号S2に対応する1つの第8セレクタ56hのみを第1遅延素子64a側の経路に設定し、その他の第8セレクタ56hを1つ前の第2遅延素子64b側の経路に設定する。これによって、発光基準信号Pe2の遅延調整に使用する一連の複数の第1遅延素子64aのうち、第8セレクタ56hにて設定された経路に含まれる第1遅延素子64aの数をC、第8セレクタ56hにて設定された経路に含まれる第2遅延素子64bの数をDとしたとき、発光基準信号Pe2は、遅延時間{(C×τ1)+(D×τ2)}だけ遅延されたオフセット信号Pe5として出力される。この第2遅延時間制御回路46においても、第8セレクタ56hによって経路を切り替えることにより、|τ2−τ1|の時間分解能を得ることができる。
この第4タイミング補正部36Dにおいては、上述した第2タイミング補正部36Bと同様に、数10psecのオーダーの時間分解能を実現し、数mmの測距値精度で補正することが可能となる。特に、この第4タイミング補正部36Dにおいては、第1遅延時間制御回路44、第2遅延時間制御回路46及びタイミング補正用位相比較器48への第1遅延調整バイアスVb1及び第2遅延調整バイアスVb2のための配線の引き回しが減るため、ノイズの発生をさらに低減することができる。また、第1遅延時間制御回路44、第2遅延時間制御回路46及びタイミング補正用位相比較器48内にそれぞれ第1遅延同期ループ回路部74a及び第2遅延同期ループ回路部74bを組み込んで、第1遅延線DL1及び第2遅延線DL2を共有するようにしたので、第1タイミング補正部36Aに比べ全体の回路規模が小さくなる利点がある。
次に、第1タイミング補正部36A〜第4タイミング補正部36Dにおける第1遅延時間制御回路44及び第2遅延時間制御回路46の変形例について図13A〜図14を参照しながら説明する。
変形例に係る第1遅延時間制御回路44は、図13Aに示すように、例えばタイミング補正制御ロジック回路50からの第1遅延調整信号S3coarse、第2遅延調整信号S3middle及び第3遅延調整信号S3fineが入力される第1遅延調整端子φcoarse、第2遅延調整端子φmiddle及び第3遅延調整端子φfineと、基準クロックclkが入力されるクロック端子φclk、発光基準信号Pe2を入力する入力端子φe2と、第1遅延調整バイアスVb1を入力する第1バイアス端子φbi1と、第2遅延調整バイアスVb2を入力する第2バイアス端子φbi2と、タイミング調整信号Pe3を出力する出力端子φe3とを有する。
内部構成は、図14に示すように、遅延段数が可変とされたシフトレジスタにて構成された第1遅延調整回路78と、遅延段数が可変とされた第2遅延調整回路80と、第1遅延線DL1及び第2遅延線DL2を具備し、第1遅延線DL1と第2遅延線DL2間の経路が可変とされた第3遅延調整回路82とを有する。
第1遅延調整回路78は、第1遅延調整信号Sd1に基づいて遅延段数を設定する複数の第9セレクタ56iを有し、複数のフリップフロップ回路66(例えばD型フリップフロップ)を直列に接続して構成する。各フリップフロップ回路66の前段には、それぞれ第9セレクタ56iが接続されている。各フリップフロップ回路66のCK端子には基準クロックclkを供給する。複数の第9セレクタ56iのうち、入力側から見て1番目の第9セレクタ56iは、第1遅延調整信号S3coarseの対応するバイナリ値に応じて基準クロックclkと接地電圧Vssのいずれかを選択する。入力側から見て2番目以降の第9セレクタ56iは、第1遅延調整信号S3coarseの対応するバイナリ値に応じて発光基準信号Pe2と1つ前のフリップフロップ回路66の出力のいずれかを選択する。従って、第1遅延調整信号S3coarseによって、例えば出力側から見てE番目(E=1、2、3・・・)の第9セレクタ56iのみが発光基準信号Pe2を選択することで、遅延段数がE段とされた第1遅延調整回路78となる。基準クロックclkの周期は短くても数nsec程度であるため、発光基準信号Pe2は、E段×数nsecだけ遅延した第1遅延信号Sd1を出力する。また、1段ずつ遅延段数を変化させることができるため、時間分解能は数nsecとなる。
第2遅延調整回路80は、第2遅延調整信号S3middleに基づいて第2遅延調整回路80の遅延段数を設定する複数の第1セレクタ56aを有し、複数の第1遅延素子64aが直列に接続されて構成されている。各第1遅延素子64aの前段には、それぞれ第1セレクタ56aが接続されている。各第1遅延素子64aには、第1遅延調整バイアスVb1が供給される。複数の第1セレクタ56aのうち、入力側から見て1番目の第1セレクタ56aは、第2遅延調整信号S3middleの対応するバイナリ値に応じて第1遅延信号Sd1と接地電圧Vssのいずれかを選択する。入力側から見て2番目以降の第1セレクタ56aは、第2遅延調整信号S3middleの対応するバイナリ値に応じて第1遅延信号Sd1と1つ前の第1遅延素子64aの出力のいずれかを選択する。従って、第2遅延調整信号S3middleによって、例えば出力側から見てF番目(F=1、2、3・・・)の第1セレクタ56aのみが第1遅延信号Sd1を選択することで、遅延段数がF段とされた第2遅延調整回路80となる。1つの第1遅延素子64aによる遅延時間は数100psec程度であるため、第1遅延信号Sd1は、F段×数100psecだけ遅延した第2遅延信号Sd2を出力する。また、1段ずつ遅延段数を変化させることができるため、時間分解能は数100psecとなる。
第3遅延調整回路82は、第3遅延調整信号S3fineに基づいて第1遅延線DL1と第2遅延線DL2間の経路を設定する複数の第2セレクタ56bを有する。
第1遅延線DL1は、複数の第1遅延素子64aを直列に接続して構成し、各第1遅延素子64aの前段には、それぞれ第1セレクタ56aを接続する。各第1遅延素子64aには、第1遅延調整バイアスVb1が供給される。なお、各第1セレクタ56aは特性ダミーであって、第2遅延線DL2と負荷をそろえるために配置する。また、第1遅延線DL1のは最終段の負荷が最終段以前と同じ負荷になるように遅延素子ダミーを配置する。
第2遅延線DL2は、複数の第2遅延素子64bを直列に接続して構成し、各第2遅延素子64bの前段には、それぞれ第2セレクタ56bが接続する。各第2遅延素子64bには、第2遅延調整バイアスVb2が供給される。
複数の第2セレクタ56bのうち、入力側から見て1番目の第2セレクタ56bは、第3遅延調整信号S3fineの対応するバイナリ値に応じて第2遅延信号Sd2と接地電圧Vssのいずれかを選択する。入力側から見て2番目以降の第2セレクタ56bは、第3遅延調整信号S3fineの対応するバイナリ値に応じて1つ前の第1遅延素子64aの出力と1つ前の第2遅延素子64bの出力のいずれかを選択する。従って、第1遅延素子64a(第2遅延素子64b)の数がG個あり、第3遅延調整信号S3fineによって、例えば入力側から見てH番目の第2セレクタ56bのみが対応するH番目の第1遅延素子64aの出力を選択することを仮定すると、1つの第1遅延素子64aによる遅延時間をτ1、1つの第2遅延素子64bによる遅延時間をτ2とすると、第2遅延信号S3fineは、H×τ1+(G−H)×τ2だけ遅延された第3遅延信号、すなわち、タイミング調整信号Pe3として出力される。また、経路を1段ずつ切り替えることができるため、時間分解能は|τ1−τ2|となる。ここで、|τ1−τ2|は数10psec〜数psecを想定している。
このように、変形例に係る第1遅延時間制御回路44においては、小規模な各遅延線の構成により、時間分解能を数10psec以下のオーダーから数nsecのオーダーまで幅広く可変にすることができる。
一方、変形例に係る第2遅延時間制御回路46は、上述した第1遅延時間制御回路44と同様の構成を有し、図13Bに示すように、例えばタイミング補正制御ロジック回路50からの第1オフセット調整信号S2coarse、第2オフセット制御信号S2middle及び第3オフセット調整信号S2fineを入力する第1オフセット調整端子φcoarse、第2オフセット調整端子φmiddle及び第3オフセット調整端子φfineと、クロック端子φclk、入力端子φe2と、第1バイアス端子φbi1と、第2バイアス端子φbi2と、オフセット信号Pe5を出力する出力端子φe5とを有する。
内部構成は、上述した第1遅延時間制御回路44と同様の構成を有するため、その重複説明を省略するが、この第2遅延時間制御回路46においても、小規模な各遅延線の構成により、時間分解能を数10psec以下のオーダーから数nsecのオーダーまで幅広く可変にすることができる。
なお、本発明に係る測距システムは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。