JP5935681B2 - エアクリーナ - Google Patents

Description

本発明は、筒状のケースとキャップとによってハウジングが構成され、ケース内に収容されたエレメントの外周部のシール部がケースとキャップとの間に挟持されるようにしたエアクリーナに関する。

従来から、エンジンに供給される空気を濾過するためのエアクリーナとして、筒状のケースとキャップとで構成されるハウジングと、ハウジングに収容される略筒状のエレメントとを備えたエアクリーナが知られている。

こうしたエアクリーナとしては、例えば特許文献１に記載されたものがある。この特許文献１に記載のエアクリーナでは、筒状をなすエレメントが、吸気口が形成された第１ケースと吐出口が形成された第２ケースとで構成されるハウジングに収容されている。エレメントは、その基端部において、第２ケースに支持されている。

特開２０１２−１１２３１１号公報

ところで、エアクリーナには、エンジン性能の確保を目的として、例えば、エアクリーナにおける圧力損失を低下させることによってエンジン性能を向上させるために、エレメントの外周と第１ケースの内周との間の空間を広くするという要求がある。また、エンジンルーム内の狭いスペースにハウジングを搭載するために、ハウジング及びエレメントを円形以外の異形形状にするという要求もある。

本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、ケースの成形性を低下させることなく、ハウジングの形状に関する自由度を向上させることが可能なエアクリーナを提供することを目的とする。

上記目的を達成するため、本発明のエアクリーナは、一端にエア導入用の上流側の開口部が形成された筒状のケースと、このケースの他端における下流側の開口部に取り付けられたキャップとで構成されるハウジングと、前記ハウジングに収容され、前記ケースと前記キャップとによって挟持される環状のシール部を外周部に有する筒状のエレメントと、を備えたエアクリーナにおいて、前記ケースは、ケース本体と、前記ケース本体の下流側の開口部に取り付けられ、前記キャップとの協働により前記シール部を挟持するサポートプレートとを含み、前記ケース本体の下流側の開口部の周壁は、前記エレメントのシール部の外周を間隔をあけて囲繞する。

この構成によれば、ケースは、ケース本体とサポートプレートとを含んでおり、ケース本体とシール部との間にサポートプレートが介在した状態でエレメントのシール部を挟持する。すなわち、ケース本体には、エレメントのシール部を挟持する挟持部を一体形成することが不要となる。そのため、ケース本体を成形する金型の構造の複雑化や成形工程の複雑化が回避される。その結果、ケースの成形性を低下させることなく、ケース本体の形状、ひいてはハウジングの形状に関する自由度が向上する。

以上のように、この発明によれば、ハウジングを構成するケースがケース本体とサポートプレートとで構成されることから、ケースの成形性を低下させることなく、ハウジングの形状に関する自由度を向上させることができる。

本発明のエアクリーナを具体化した一実施形態の概略構成を示す斜視図。 エアクリーナの主要部品をその構造を簡略化して示した分解斜視図。 図１における３−３線における断面構造を示す断面図。 図３における一点鎖線４で囲まれた部分の拡大図。 サポートプレートのシール面側における平面構造を示す平面図。 サポートプレートのシール面とは反対側における平面構造を示す平面図。 サポートプレートの孔にケース本体の突部が圧入された状態の一例を示す断面図。

以下、図１〜図７を参照して、本発明におけるエアクリーナの一実施形態について説明する。

図１及び図２に示されるように、エアクリーナ１０を構成するハウジング１１は、断面略長円形状をなす合成樹脂製のケース１２と、ケース１２に対して図示されないねじ等を用いて着脱可能に取り付けられた合成樹脂製のキャップ１３とで構成されている。ケース１２の一端の大気に開放される開口部１４の縁部には、シートラバー１６が接着されている。ケース１２は、エンジンルーム内において例えば図示されないフェンダーの孔の縁部に対してシートラバー１６を押圧させた状態で固定される。そして、ケース１２の開口部１４からハウジング１１に流入した吸入空気は、ハウジング１１に収容されたエレメント２０によって濾過された後、キャップ１３の供給口１８を通じてエンジンの吸気側へと供給される。

図２及び図３に示されるように、エレメント２０は、濾紙からなる濾材シートを全体として筒状に成形した濾過部材２１を備えている。濾過部材２１は、ケース１２とほぼ相似形に形成されており、エアの下流側端部から上流側端部に向けて窄まるように成形されている。濾過部材２１の内側には、細枠を縦横に組み、濾過部材２１の形状を保持するための合成樹脂製の補強部材２２が収容されている。これら濾過部材２１と補強部材２２は、濾過部材２１の上流側端部に形成された封止部材２３と、濾過部材２１の下流側端部に形成されたシールリング２４とによって一体化されている。封止部材２３及びシールリング２４は、独立発泡のポリウレタン樹脂からなる。そして、エレメント２０は、ケース１２に対し、開口部１４とは反対側の開口部側から挿入される。

図３及び図４に示されるように、シールリング２４には、開口部１４側の端面の外周縁部に環状の段差面２６が形成され、キャップ１３側の端面の外周縁部にキャップ１３側へと盛り上がる環状の凸面２８が形成されている。段差面２６と凸面２８とによって、シール部２９が形成されている。

図２〜図４に示されるように、ケース１２は、筒状のケース本体３０と、該ケース本体３０の下流側開口部に取り付けられたリング状のサポートプレート３１とで構成されている。

図７に示されるように、ケース本体３０の周壁３２には、サポートプレート３１の孔３５の各々に対応するようにピン状の突部３４が形成されており、この突部３４が、各孔３５に圧入されることによって、サポートプレート３１がケース本体３０に対して取り付けられる。

ケース本体３０は、サポートプレート３１の取り付けられる部位における周壁３２がシールリング２４の外周を間隔をおいて囲繞可能な大きさに形成されている。エレメント２０は、サポートプレート３１にシールリング２４の段差面２６が当接することによって、封止部材２３が開口部１４から突き出た位置でケース本体３０に支持されている。

図５に示されるように、サポートプレート３１の中心部には、エレメント２０を装着するための挿入口３３が形成され、外周部に複数の前記孔３５が貫通形成されている。

また、サポートプレート３１の側面には、シールリング２４の段差面２６が全周にわたって当接するシール面３６が挿入口３３を取り囲むように形成されているとともに、このシール面３６とシールリング２４との間でシールが確保されている。また、サポートプレート３１の側面には、シール面３６の外周に沿って補強用の突条部３７ａ，３７ｂ，３７ｃが形成されている。

図６に示されるように、サポートプレート３１には、シール面３６とは反対側の面に、挿入口３３の外周縁部に沿って延びる補強用の突条部３８ａ，３８ｂと、突条部３８ａ，３８ｂから外側方に延びる同じく補強用の複数のリブ３９ａ，３９ｂとが形成されている。

また、図１〜図４に示されるように、ケース本体３０には、開口部１４から突き出たエレメント２０の部位を覆う抑え部４０が一体形成され、エレメント２０の露出部分を保持できるようになっている。抑え部４０は、開口部１４の対向する壁部間に架け渡されている。この抑え部４０は、振動するエレメント２０と当接してそのエレメント２０の過度な振動を抑える。

一方、図２〜図４に示されるように、キャップ１３には、供給口１８の入口を覆う整流板４７がかしめ固定されている。整流板４７は、網目状あるいは格子状をなしており、供給口１８へ流入する吸入空気を整流する。また、キャップ１３の上流側開口部には、シールリング２４のシール部２９が当接して、サポートプレート３１との協働によりシールリング２４をシール状態で挟持する挟持部４３が形成されている。
図３に示すように、そして、キャップ１３には、差込型のヒンジ部５０を係合させた状態で図示されないねじ等を用いてケース１２に対して取り付けられる。
次に、上述した構成のエアクリーナ１０の作用について説明する。

上述したエアクリーナ１０では、エレメント２０のシールリング２４が、ケース１２のケース本体３０とは別体のサポートプレート３１とキャップ１３との協働によって全周にわたってシール状態で挟持されている。そして、サポートプレート３１がケース本体３０と別体であるため、ケース本体３０には、エレメント２０のシールリング２４を挟持する挟持部を一体形成することが不要となる。そのため、ケース本体３０においては、該ケース本体３０を成形する金型の構造の複雑化や成形工程の複雑化が回避されるとともに、ケース本体３０の形状に関する自由度が向上する。

そして、ケース本体３０は、サポートプレート３１の取り付けられる部位における周壁３２がエレメント２０のシールリング２４を間隔をおいて囲繞可能な大きさに形成されている。これにより、ケース本体３０の容量が拡大されてケース本体３０の内側面とエレメント２０との間の間隔が広くなる。従って、濾過部材２１に流入するまでの吸入空気の流速を抑えることができる。特に、濾過部材２１の下流側端部においてケース本体３０との間に広い通路断面積を構成する隙間が形成され、濾過部材２１の下流側端部に流入する吸入空気の流速を抑えることができる。その結果、エレメント２０に流入するまでに吸入空気に生じる圧力損失を抑えることができる。しかも、エレメント２０がサポートプレート３１上に着座しているため、キャップ１３の上流側の開口部面積をサポートプレート３１の開口部面積と同等にできる。従って、キャップ１３も広い通路断面積を確保して、エレメント２０から流出された空気の圧力損失を抑えることができる。これらのことから、エアクリーナ１０を通過する際に吸入空気に生じる圧力損失を抑えることができて、エンジンの燃焼効率アップに貢献できる。

ちなみに、特許文献１のエアクリーナにおいては、エレメントがキャップの端面のみに着座しているため、キャップ側の通路断面積を大きくすることができず、圧力損失が大きくなる。

また、サポートプレート３１は、外周部に形成された各孔３５にケース本体３０の突部３４が圧入されることで、ケース本体３０に対して取り付けられる。そのため、サポートプレート３１がねじ等の固定具を用いてケース本体３０に取り付けられる構成に比べて、エアクリーナ１０を構成する部品が低減されるとともにケース本体３０に対するサポートプレート３１の取付を容易に行うことができる。また、孔３５に突部３４が圧入されていることで、キャップ１３をケース本体３０から外したときにおいて、ケース本体３０からサポートプレート３１が脱落することも抑えられる。その結果、エアクリーナ１０の組立性が向上するとともに、エレメント２０の交換時における作業性も向上する。

ここで、シールリング２４を用いたシール方法としては、シールリング２４の内周面をキャップに設けられた筒部の外周面に圧接させる内周シール、あるいは、該シールリング２４の外周面をケース本体あるいはキャップに設けられた筒部の内周面に圧接させる外周シールが可能である。しかしながら、実施形態のように、外周形状が略長円形状であるシールリング２４に対して上述した方法を適用した場合、長軸方向と短軸方向とでシールリング２４の圧縮量が異なりやすいため、シールリング２４の周方向においてシール性にばらつきが生じやすい。そのため、外周形状が長円形状をなすシールリング２４を用いたシール方法としては、実施形態のように、該シールリング２４を挟みこむ方法が好ましい。従って、実施形態のエアクリーナ１０では、シールリング２４の周方向においてシール性のばらつきが生じにくい。従って、シール性のばらつきが抑えられつつハウジング１１の形状に関する自由度が向上する。

また、キャップ１３には、サポートプレート３１との協働により封止部材２３を挟持する挟持部４３が一体形成されている。そのため、ケース１２と同様にキャップ１３がキャップ本体とサポートプレートとを含んで構成される場合に比べて、エアクリーナ１０を構成する部品が低減される。

一方、ケース本体３０には、エレメント２０の振動を抑える抑え部４０が一体形成されている。このため、エレメント２０がケース１２の下流側において片持ち支持されていても、このエレメント２０の振動を抑制できるため、振動によってシールリング２４によるシール性が損なわれるようなことを回避できる。
以上説明したように、上記実施形態のエアクリーナ１０によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。

（１）実施形態のエアクリーナ１０では、ケース１２が、ケース本体３０と、ケース本体３０とは別体のサポートプレート３１とで構成されている。これにより、ケース本体３０の成形性を低下させることなくハウジング１１の形状に関する自由度が向上する。

（２）エレメント２０のシールリング２４は、その全周にわたってサポートプレート３１と、キャップ１３の挟持部４３とで挟持される。そのため、内周シールや外周シールと比較して、ケース本体３０やキャップ１３の形状に関わらず適切なシール効果を得ることができる。よって、ケース本体３０及びキャップ１３の形状に関する自由度がさらに向上する。

（３）ケース本体３０の周壁３２がシールリング２４を間隔をおいて囲繞可能な大きさに形成されている。そのため、ケース本体３０の通路断面積を広くして、エレメント２０に流入するまでに吸入空気に生じる圧力損失、ひいてはエアクリーナ１０を通過する際に吸入空気に生じる圧力損失が抑えられる。また、エレメント２０がサポートプレート３１に支持されているため、キャップ１３に対する形状の制約が少なく、キャップ１３においても、広い通路断面積を確保して圧力損失を抑えることができる。従って、エンジンの燃焼効率を向上できる。

（４）ケース本体３０の突部３４が孔３５に圧入されることでサポートプレート３１がケース本体３０に取り付けられる。そのため、エアクリーナ１０を構成する部品数の増加を抑えることができる。

（５）外周形状が長円形状をなすシールリング２４は、サポートプレート３１とキャップ１３の挟持部４３とによって挟持されている。その結果、シール性のばらつきが抑えられたうえでハウジング１１の形状に関する自由度が向上する。
（６）シールリング２４を挟持する挟持部４３がキャップ１３に一体形成されていることから、エアクリーナ１０の部品数の増加を抑えることができる。
なお、上記実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。

・キャップ１３は、キャップ本体と該キャップ本体に取り付けられるサポートプレートとによって構成されてもよい。すなわち、エレメント２０のシールリング２４は、ケース本体３０に取り付けられたサポートプレート３１と、キャップ本体に取り付けられた別のサポートプレートとの協働によって挟持されてもよい。

・ケース本体３０及びキャップ１３とエレメント２０のシールリング２４とは、その外周形状が略長円形状に限られるものではない。すなわち、例えば円形状であってもよいし四角形状であってもよい。

・ケース本体３０に対するサポートプレート３１の取付方法は、サポートプレート３１の突部がケース本体３０の孔に圧入される方法であってもよいし、例えばねじ等の固定具を用いた方法であってもよい。また例えば、サポートプレート３１は、各孔３５に挿入された突部３４がかしめられることでケース本体３０に取り付けられてもよい。

・ケース本体３０には、抑え部４０が形成されていなくてもよい。すなわち、エレメント２０は、サポートプレート３１とキャップ１３との挟持によってシールリング２４のみが支持されていてもよい。
・シールリング２４のシール部２９には、段差面２６が形成されていなくてもよい。
・サポートプレート３１には、シール面３６の外周縁部に沿う突条部が該シール面３６の全周にわたって形成されていてもよい。

１０…エアクリーナ、１１…ハウジング、１２…ケース、１３…キャップ、１４…開口部、１６…シートラバー、１８…供給口、２０…エレメント、２１…濾過部材、２２…補強部材、２３…封止部材、２４…シールリング、２６…段差面、２８…凸面、２９…シール部、３０…ケース本体、３１…サポートプレート、３２…周壁、３３…挿入口、３４…突部、３５…孔、３６…シール面、３７ａ，３７ｂ，３７ｃ，３８ａ，３８ｂ…突条部、３９ａ，３９ｂ…リブ、４０…抑え部、４３…挟持部、４７…整流板、５０…ヒンジ部。

Claims (4)

1. 一端にエア導入用の上流側の開口部が形成された筒状のケースと、このケースの他端における下流側の開口部に取り付けられたキャップとで構成されるハウジングと、
   前記ハウジングに収容され、前記ケースと前記キャップとによって挟持される環状のシール部を外周部に有する筒状のエレメントと、を備えたエアクリーナにおいて、
   前記ケースは、
   ケース本体と、前記ケース本体の下流側の開口部に取り付けられ、前記キャップとの協働により前記シール部を挟持するサポートプレートとを含み、
   前記ケース本体の下流側の開口部の周壁は、前記エレメントのシール部の外周を間隔をあけて囲繞する
   ことを特徴とするエアクリーナ。
2. 一端にエア導入用の上流側の開口部が形成された筒状のケースと、このケースの他端における下流側の開口部に取り付けられたキャップとで構成されるハウジングと、
   前記ハウジングに収容され、前記ケースと前記キャップとによって挟持される環状のシール部を外周部に有する筒状のエレメントと、を備えたエアクリーナにおいて、
   前記ケースは、
   ケース本体と、前記ケース本体の下流側の開口部に取り付けられ、前記キャップとの協働により前記シール部を挟持するサポートプレートとを含み、
   前記ケース本体及び前記サポートプレートの一方に突部が形成され、
   前記ケース本体及び前記サポートプレートの他方に前記突部が圧入される孔が形成されている
   ことを特徴とするエアクリーナ。
3. 前記シール部の外周形状が長円形状をなしている
   請求項１または２に記載のエアクリーナ。
4. 前記キャップには、
   前記サポートプレートとの協働により前記シール部を挟持する挟持部が一体形成されている
   請求項１〜３のいずれか一項に記載のエアクリーナ。

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