JP5935321B2 - 液体噴射装置及びメンテナンス方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液体噴射装置及びメンテナンス方法に関するものである。
記録媒体に液体を噴射して画像や文字等を記録する記録装置の一つとして、インクジェット式プリンターが知られている。このインクジェット式プリンターにおいて、例えば、比較的粘度が高いインク(液体)を塗布する場合、良好なインク噴射特性を得るためにインクの粘度管理が重要となる。そこで、インク供給路の途中にインクを加熱する加熱部を設けた技術がある(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−130907号公報
しかしながら、上記従来技術のプリンターにおいては、ヘッドのクリーニングとして吸引処理を行った際、インク吸引量が多いと、加熱部で十分に加熱されていないインクがヘッドに流れてしまい、良好なインク噴射特性が得られなくなるといった問題があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、吸引後にヘッドに供給されるインクの温度を安定させることができる液体噴射装置及びメンテナンス方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の液体噴射装置は、媒体に対して液体を噴射して記録動作を行う液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドに供給される前記液体を加熱する加熱部と、吸引動作によって前記液体噴射ヘッドから前記液体を吸引することで該液体噴射ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンス部と、を備え、前記メンテナンス部は、前記液体噴射ヘッドから前記液体を吸引排出させて前記液体噴射ヘッドをクリーニングする第1の吸引を行った後、前記液体噴射ヘッドに供給される前記液体が前記加熱部により加熱されるまで待機し、その後、前記記録動作において前記液体噴射ヘッドから噴射される際の前記液体の流速よりも低い流速で、加熱された前記液体を前記液体噴射ヘッドに供給する第2の吸引を行うことを特徴とする。
本発明の液体噴射装置によれば、第1の吸引によるクリーニングが行われた液体噴射ヘッドは加熱部付近の液体が加熱されていない状態になっているのに対し、加熱部で液体が加熱されるまで待機することで、吸引後も加熱された液体を供給することができる。
加熱部で所定温度に加熱された液体を第1の吸引より弱い第2の吸引によって供給することで加熱しながらの供給ができる。よって、クリーニング後に液体噴射ヘッドに供給される液体の温度が安定することで良好な噴射特性を得ることができる。
また、上記液体噴射装置においては、前記メンテナンス部は、前記液体噴射ヘッドから噴射される前記液体の流速よりも低い速さで前記第2の吸引を行うのが好ましい。
この構成によれば、第2の吸引が液体噴射ヘッドの液体噴射時の流速よりも低い速さで行われるので、液体噴射ヘッド内に所定温度に加熱された液体を確実に供給できる。
また、上記液体噴射装置においては、前記液体噴射ヘッドは、前記メンテナンス部によるメンテナンス後に記録媒体に対して前記液体を噴射する記録動作を行うのが好ましい。
この構成によれば、液体噴射ヘッド内に所定温度の液体が供給されたものとなっているので、メンテナンス後に液体噴射精度の高い記録動作を継続して行うことができる。
また、上記液体噴射装置においては、前記液体の温度を検出する温度検出部を有し、前記メンテナンス部は、前記温度検出部の検出結果に基づいて前記第1の吸引後の待機時間を設定するのが好ましい。
この構成によれば、液体の温度に基づいて第1の吸引後の待機時間が設定されるので、待機時間をできるだけ短くすることができる。よって、メンテナンスに要する時間を短縮できる。
本発明のメンテナンス方法は、液体を加熱する加熱部と、該加熱部で加熱された前記液体を噴射する液体噴射ヘッドとを備えた液体噴射装置におけるメンテナンス方法において、前記液体噴射ヘッドから前記液体を排出させることで該液体噴射ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンス工程を有し、前記メンテナンス工程は、吸引動作によって前記液体を前記液体噴射ヘッドから排出させる第1の吸引ステップと、前記第1の吸引ステップの後、前記加熱部により前記液体が加熱されるまで待機する待機ステップと、前記待機ステップの後、前記第1の吸引ステップよりも弱い吸引力で吸引動作を行う第2の吸引ステップと、を含むことを特徴とする。
本発明のメンテナンス方法によれば、第1の吸引ステップによるクリーニングが行われた液体噴射ヘッドに対し、第2の吸引ステップによって待機ステップの間に加熱部で所定温度に加熱された液体を供給することができる。よって、液体噴射ヘッドに供給される液体の温度が安定することでメンテナンス後においても良好な液体噴射特性を得ることができる。
また、上記メンテナンス方法においては、前記第2の吸引ステップは、前記液体噴射ヘッドから噴射される前記液体の流速よりも低い速さで吸引を行うのが好ましい。
この構成によれば、第2の吸引ステップが液体噴射ヘッドの液体噴射時の流速よりも低い速さで行われるので、液体噴射ヘッド内に所定温度に加熱された液体を確実に供給できる。
また、上記メンテナンス方法においては、前記待機ステップは、前記液体の温度を検出し、該検出結果に基づいて待機時間を設定するのが好ましい。
この構成によれば、液体の温度に基づいて待機時間が設定されるので、待機時間をできるだけ短くすることができる。よって、メンテナンスに要する時間を短縮できる。
本発明の実施形態に係るプリンターを示す斜視図である。 プリンターの概略構成を示す断面図である。 プリンターのインク供給経路を概念的に示す図。 第2流路部及び第1の熱源に係る構成を示す図である。 メンテナンス装置の概略構成を示す図である。 プリンターのメンテナンス工程を説明するための示す図である。 メンテナンス時の吸引工程を説明するための図である。
以下、本発明に係る記録装置の各実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
本実施形態では、本発明に係る液体噴射装置として、インクジェット式プリンター(以下、単にプリンター1と称する)を例示する。
図1は、本実施形態に係るプリンター1の外観を示す斜視図である。図2は、プリンター1の概略構成を示す断面図である。
プリンター(記録装置)1は、比較的大型のメディアMを扱うラージフォーマットプリンター(LFP)である。メディアMは、例えば64インチ(Inch)程度の幅を有する帯状の媒体であり、例えば塩化ビニル系フィルムや紙などから形成されている。
プリンター1は、ロール・ツー・ロール方式でメディアMを搬送する搬送部2と、メディアMに対して液体としてのインク(例えば紫外線硬化型インク)を噴射して画像や文字等を記録する記録部3と、メディアM上に噴射されたインクに紫外線を照射して硬化させる処理部4とを有する。これら各構成部は、本体フレーム5に支持されている。
搬送部2は、ロール状に回巻されたメディアMを送り出す巻出部21と、送り出されたメディアMをロール状に巻き取る巻取部22と、巻出部21,巻取部22の間の搬送経路においてメディアMを保持して搬送力を与える搬送ローラー対23と、を有する。巻出部21、巻取部22、搬送ローラー対23は、不図示のモーター及び減速機により駆動される。
記録部3は、搬送ローラー対23の下流側の搬送経路においてメディアMに対してインクを噴射するインクジェットヘッド31と、インクジェットヘッド31を搭載して幅方向に往復移動自在なキャリッジ32と、を有する。インクジェットヘッド31は、複数のノズルNZを備え(図3参照)、メディアMとの関係で選択されて紫外線照射を必要とする紫外線硬化型インクを噴射可能な構成となっている。インクジェットヘッド31は、複数色(本実施形態では5色)のインクを噴射可能であり、各色のインクを噴射する5列のノズル列を有している。
紫外線硬化型のインクは樹脂材料、硬化剤としての光重合開始剤、溶媒または分散媒を主材料とする。この主材料に顔料または染料等の色素や、親液性または撥液性等の表面改質材料等の機能性材料を添加することにより固有の機能を有する機能液を形成することができる。本実施形態では、例えば、シアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの顔料を添加している。インクの樹脂材料は樹脂膜を形成する材料である。樹脂材料としては、常温で液状であり、重合させることによりポリマーとなる材料であれば特に限定されない。さらに、粘性の小さい樹脂材料が好ましく、オリゴマーの形態であるのが好ましい。モノマーの形態であればさらに好ましい。光重合開始剤はポリマーの架橋性基に作用して架橋反応を進行させる添加剤であり、例えば、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール等を用いることができる。溶媒または分散媒は樹脂材料の粘度を調整するものである。
メディア支持部10は、メディアMの搬送経路の一部を構成するものであり、巻出部21,22の間において、メディアMを上方に凸となるように湾曲させて支持する構成となっている。
処理部4は、記録部3が設けられた位置よりも搬送方向下流側でメディアMに紫外線を照射する紫外線照射部43を有する。
紫外線照射部43は、紫外線を照射する発光部43aと反射板43bとを有する。
発光部43aは、多数のLED(Light Emitting Diode)素子が配列して設置されている。このLED素子は、電力の供給を受けて紫外線の光である紫外光を発光する素子である。反射板43bは、発光部43aから射出される紫外線を反射させて当該紫外線をメディアMの記録面に向けて集中して照射するためのものである。
ところで、本実施形態に係るプリンター1は、高粘度の紫外線硬化型インクを噴射するものである。このように粘度の高いインクをインクジェットヘッド31から噴射するためには、加温して粘度を低下させる必要がある。インクの加温とは、インクの温度を一定温度まで上昇させることを意味する。
本実施形態においては、インクジェットヘッド31に供給されるインクを加温することで所定温度に調整し、インクの粘度を安定させることでインクジェットヘッド31から精度良く噴射できるようにしている。具体的に、本実施形態では、インクの温度を例えば35℃に加温し、インクの温度が30℃よりも高いうちにインクジェットヘッド31から噴射されるようにしている。
図3は本実施形態に係るプリンター1のインク供給経路を概念的に示す図である。
図3に示されるように、インクカートリッジ50に貯留された紫外線硬化型のインクは、複数(本実施形態では5個)のインク流路11を介してキャリッジ32(記録部3)に搭載されるインクジェットヘッド31へと供給される。インクカートリッジ50はインクジェットヘッド31から吐出されるインク色に対応して複数(本実施形態では5個)設けられている。
インク流路11は、第1流路部11aと、第2流路部11bと、第3流路部11cと、を含む。第1流路部11aは可撓性を有する複数のチューブ12から構成され、各々の一端側がインクカートリッジ50に接続されている。第2流路部11bは第1の熱源(加熱部)25により加温されている。
ところで、インクカートリッジ50からインクジェットヘッド31に供給される紫外線硬化型のインクは上述のように温度によって粘度が変化するため、インクの温度管理が重要とされている。一方、圧力調整部30は、その構造上、インクが一時的に貯留されるため、圧力調整部30内でインクの温度が低下してしまい、粘度が増加したインクがノズルNZから良好に吐出されない、いわゆる吐出不良が発生する可能性がある。
これに対して本実施形態では、第1の熱源25とインクジェットヘッド31との間において第3流路部11cを構成する圧力調整部30内のインクを加温可能な第2の熱源26を備えている。これにより、圧力調整部30内に一時的貯留されるインクを加温できるようになっている。よって、圧力調整部30からインクジェットヘッド31側に送られるインクは、その粘度が所定状態に保たれるため、圧力調整部30内のインク流路を滞りなく流れることでインクジェットヘッド31に良好に供給されることとなる。
第2の熱源26は、ヒーター26aと、該ヒーター26aで温められた空気を圧力調整部30(第3流路部11c)側に供給するファン26bとを有する。第2の熱源26は、ヒーター26aで加温した外気をファン26bが圧力調整部30側に供給する。これにより、圧力調整部30内のインクを効率的に加温し、所定温度(35℃)に保持することができる。
プリンター1においては、上記第1の熱源25及び第2の熱源26がキャリッジ32内に密閉状態で設けられている。これにより、第1の熱源25及び第2の熱源26の熱がインク流路11(第2流路部11b及び第3流路部11c)に効率的に伝わるようにしている。なお、キャリッジ32内の雰囲気を循環することでインク流路11の加温効率を向上させるようにしても構わない。
第2流路部11bは第1の熱源25により内部を流れるインクが加温される平板流路13から構成されるものである。第3流路部11cは平板流路13とインクジェットヘッド31との間に設けられる圧力調整部30によって構成されるものである。平板流路13には、第2流路部11b内のインクの温度を検出する温度センサー(温度検出部)60が設けられている。この温度センサー60は、検出結果を後述するメンテナンス部55へと送信するようになっている。
圧力調整部30は、例えばポリプロピレン等の樹脂製材料を用いて形成されている。圧力調整部30には、弾性シートで区画されることで外部の圧力に応じて容積が変動するインク室を有している。この弾性シートは、インク室を収縮させる方向と膨張させる方向とに変形可能である。そして、弾性シートの変形によるダンパ機能によって、インクの圧力変動が吸収される。すなわち、弾性シートの作用によって圧力調整部が圧力ダンパとして機能する。したがって、インクは、圧力調整部30内で圧力変動が吸収された状態でインクジェットヘッド31側に供給されるようになっている。すなわち、圧力調整部は、他の流路11aや11bより拡幅していて、インクジェットヘッド31に供給するインクを一時的に貯留可能な液体貯留部を構成している。
図4は第2流路部11b及び第1の熱源25に係る構成を示す図であり、図4(a)は第2流路部11bの周辺構成の図4(b)におけるA−A線矢視の断面図であり、図4(b)は平板流路13を構成する金属板の平面構成を示す図である。
平板流路13は、図4(a)に示す金属板14に形成された複数(本実施形態では5本)の溝14aから構成される。金属板14としては熱伝導性が高いものが好ましく、本実施形態ではステンレスを用いている。金属板14に形成された溝14aは一端側に設けられた接続部14bを介して、上記第1流路部11aを構成する複数のチューブ12にそれぞれ接続されている。また、溝14aの他端側は不図示の領域において第3流路部11cを構成する複数(本実施形態では5個)の圧力調整部30に連通している。
図4(a)に示されるように、1つの平板流路13は複数の溝14aが形成された金属板14と、該溝14aが形成された側の面を封止する封止板(封止部材)15と、該封止板15の金属板14と反対側に設けられた固定板16と、を備えている。金属板14と固定板16とは、封止板15を挟持した状態で不図示の領域で螺子によって締結されている。すなわち、溝14aは封止板15によってシールされた状態となっており、封止板15及び溝14aによって第2流路部11bが構成されている。
第1の熱源25は平板流路13に接して貼着されたヒーター25aから構成されている。ヒーター25aとしては、例えば抵抗加熱方式の配線が埋め込まれたフィルム材から構成される。具体的にヒーター25aは金属板14に直接貼り付けられている。ヒーター25aの金属板14と反対面側には断熱材17が貼り付けられている。これにより、ヒーター25aの熱が金属板14側に効率的に伝わるようになっている。
このように金属板14に形成した溝14aによって第1流路部11aが構成され、金属板14がヒーター25aで直接加温されるので、第1流路部11a(溝14a)内のインクを効率的に加温することができる。よって、複数の溝14aから構成された複数のインク流路20を同一の熱源(第1の熱源25)で効率的に加温することができる。
本実施形態に係るプリンター1は、インクジェットヘッド31におけるインク噴射特性を維持するためにメンテナンス処理を行うようにしている。具体的にプリンター1は、図5に示されるようなメンテナンス部55を備えている。
メンテナンス部55は、インクジェットヘッド31におけるノズルNzが形成されたノズル面Nz1に当接可能なキャップ部材56と、キャップ部材56とノズル面Nz1との間に形成される空間を減圧可能な吸引ポンプ57と、キャップ部材56と吸引ポンプ57との間を接続するチューブ58とを有している。
キャップ部材56は、ノズル面Nz1に形成されたノズル形成領域を枠状に囲む枠状の部材から構成されるものであり、少なくともノズル面Nz1に当接する先端部56aがゴム等の弾性部材から構成されている。これにより、キャップ部材56は、先端部56aをノズル面Nz1に良好に密着させることが可能となっている。キャップ部材56は不図示の駆動機構によりノズル面Nz1に対して昇降可能とされている。これにより、キャップ部材56はメンテナンス時においてはノズル面Nz1に当接可能な位置まで上昇し、非メンテナンス時においてはメンテナンス位置よりも下方の待機位置に配置されるようになっている。
吸引ポンプ57は、例えばチューブポンプから構成される。また、チューブ58としては可撓性を有する樹脂材料から構成されている。このような可撓性を有するチューブ58を備えることで上述のようにキャップ部材56が昇降する動作が妨げられるのを防止できる。
メンテナンス部55は、上述したような構成に基づいて、キャップ部材56をノズル面Nz1に当接させた状態で吸引ポンプ57を駆動することでノズル面Nz1の周辺雰囲気を減圧状態とし、ノズルNzからインクを強制的に排出させる吸引処理を行うことができる。
これにより、プリンター1は例えばインクジェットヘッド31内から増粘インクを排出したり、気泡を排出するといったメンテナンス処理が行われ、ノズルNzにおけるインクの噴射特性を回復させることができる。
なお、図示は省略するものの、プリンター1は、上記メンテナンス部として、メンテナンス部55の他、ノズル面Nz1を払拭するワイパー部材(払拭部材)を備えている。ワイパー部材は、メンテナンス部55による吸引処理やノズルNz内のメニスカスを整えるために行われるインクの予備噴射処理(フラッシング処理)によってノズル面Nz1に付着したインクを払拭するものである。
ところで、メンテナンス部55による吸引時にノズルNzから強制的に排出されるインクの流速は、0.2〜0.3g/s程度である。また、記録動作時においてノズルNzから噴射された際のインクの流速は、0.1g/s程度である。
従って、メンテナンス部55による吸引動作時には噴射動作時に比べてインクの流速が高いため、第1の熱源25及び第2の熱源26によるインクの加温が終了する前にインク流路20から内部に引き込まれたインクがインクジェットヘッド31のノズルNzから排出されることとなる。すなわち、吸引後にインクジェットヘッド31内に保持されるインクは、第1の熱源25及び第2の熱源26による加温が不十分な状態とされている。プリンター1は、インクジェットヘッド31内のインクを加熱する手段を有しないため、噴射するインクの加温が不十分となり、インクの粘度が所定値よりも高くなってしまい、良好な噴射特性が得られなくなるおそれがある。
このような問題を解決すべく、本実施形態に係るプリンター1はメンテナンス部55によるメンテナンス工程として、図6に示すフローチャートに示すステップを有している。具体的に、プリンター1が行うメンテナンス工程は、吸引動作によってインクをインクジェットヘッド31から排出させる本吸引ステップ(第1の吸引ステップ)S1と、本吸引ステップS1の後、第1の熱源25及び第2の熱源26によりインクが加熱されるまで待機する待機ステップS2と、待機ステップS2の後、本吸引ステップS1よりも弱い吸引力でインクをヘッド内に充填するための吸引動作を行う充填用吸引ステップ(第2の吸引ステップ)S3と、を有している。
図7はメンテナンス工程において、メンテナンス部55における吸引ポンプ57の時間による吸引力(圧力)の変化を示す図である。
メンテナンス部55は本吸引ステップS1において、キャップ部材56をノズル面Nz1に当接させた状態で吸引ポンプ57を駆動し、ノズルNzからインクを排出させる吸引動作を行う。このとき、メンテナンス部55は、図7に示されるように、吸引ポンプ57を時間T1の間、駆動させる。なお、本吸引ステップS1時における吸引ポンプ57の吸引力は、ノズルNzから排出されるインクの流速が上述の0.2〜0.3g/s程度となる大きさに設定される。
本吸引ステップS1では、インクジェットヘッド31内におけるインクの流速が速いため、当該本吸引ステップS1が終了した状態ではヘッド内のインクが十分に加温されていない状態となっている。
これに対し、メンテナンス部55は、待機ステップS2を行う。待機ステップS2では、メンテナンス部55が吸引ポンプ57の駆動を時間T2だけ停止させる。時間T2の間、インク流路20内のインクは第1の熱源25及び第2の熱源26により加温され、所定温度となる。なお、待機ステップS2における時間T2は、プリンター1が設置されている環境温度、インク温度等の種々の条件により変化する。具体的に本実施形態では、メンテナンス部55は、温度センサー60による第2流路部11b内のインクの温度に基づいて待機する時間T2を変化させる。これにより、待機時間をできるだけ短くすることができ、メンテナンスに要する時間を短縮できる。
メンテナンス部55は、待機ステップS2の後、充填用吸引ステップS3において、キャップ部材56をノズル面Nz1に当接させた状態で本吸引ステップS1よりも弱い吸引力で吸引ポンプ57を駆動し、ノズルNzからインクを排出させる吸引動作を行う。このとき、メンテナンス部55は、図7に示されるように、吸引ポンプ57を時間T3の間、駆動させる。なお、充填用吸引ステップS3時における吸引ポンプ57の吸引力は、ノズルNzから排出されるインクの流速が上述した記録動作時においてノズルNzから噴射された際のインクの流速(0.1m/s)よりも低い速さとなる大きさに設定される。これにより、メンテナンス部55は、インク噴射時の流速よりも低い速さで行われるので、インクジェットヘッド31内に第1の熱源25及び第2の熱源26により所定温度に加温されたインクを確実に供給することができる。
以上のように構成されたプリンター1では、印字開始のジョブ指令が入力されると次のように動作する。
まず、上記ジョブ指令が入力されると、第1の熱源25(ヒーター25a)及び第2の熱源26(ヒーター26a、ファン26b)を駆動させ、インク流路11(第2流路部11b、第3流路部11c)内のインクを加温する。
本実施形態では、上述のようにインク流路11の上流側を第1の熱源25、インク流路11の下流側を第2の熱源26で加温する2段加温方式を採用しているため、インクジェットヘッド31に供給されるインクの温度を安定させることができる。
そして、インク流路11内のインクの温度が所定温度に保持された状態となると、メディアMをメディア支持部10の印字領域まで搬送し、記録部3のインクジェットヘッド31がメディアMに印字処理を開始する。インクジェットヘッド31は、キャリッジ32に搭載された状態で、メディアMの幅方向を往復しながら印字処理を行う。
処理部4の発光部43aは、インクが噴射されたメディアMに対して紫外線を照射する。本実施形態で用いたインクは、上述のように紫外線硬化型であって紫外線により重合が開始する光重合開始剤を含んでいるため、表面が直ちに固化または硬化される。これにより、インクが硬化されメディアMに定着する。このように本実施形態では、メディアMにインク滴を噴射した直後に紫外線を照射して硬化させるので、インク滴の滲みが抑制されて滲みの少ない高品質の印刷処理を行うことができる。
プリンター1は、インクジェットヘッド31におけるインク噴射特性を維持するためにメンテナンス処理を行う。メンテナンス処理は、例えばインクジェットヘッド31内へのインクの初期充填後、所定時間が経過するごとに定期的に行われるものである。
プリンター1はメンテナンス部55を用いてメンテナンス処理を行う。メンテナンス部55は、上述した本吸引ステップS1、待機ステップS2、及び充填用吸引ステップS3を行う。実施形態に係るプリンター1によれば、本吸引ステップS1によるクリーニングが行われたインクジェットヘッド31に対し、第1の熱源25及び第2の熱源26で所定温度に加熱されたインクを充填用吸引ステップS3によって供給することができる。よって、クリーニング後にインクジェットヘッド31に供給されるインクの温度が安定することで良好な噴射特性を得ることができる。すなわち、プリンター1は、インクジェットヘッド31内に所定温度のインクが供給されたものとなっているので、メンテナンス後にインク噴射精度の高い記録動作を継続して行うことができる。
また、プリンター1は、インクジェットヘッド31に供給されるインクが第1の熱源25及び第2の熱源26によって2段階で加温されるので、インクの温度管理が良好に行われることで安定した温度のインクをインクジェットヘッド31に供給することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。例えば、上記実施形態では、メンテナンス部55が平板流路13に設けた温度センサー60のみによって待機ステップS2の時間T2を決定する場合を例に挙げて説明したが、圧力調整部30にも温度センサー60を設け、2つのセンサーの検出結果に基づいて総合的に時間T2を決定するようにしても構わない。このようにすれば、時間T2を高精度で求めることができ、メンテナンスを効率的に行うことができる。
また、上記実施形態では、インク流路11を構成する一部である第3流路部11cとして圧力調整部30を備えたプリンター1を例示したが、圧力調整部30に代えてインクジェットヘッド31から噴射するインクを一時的に貯留するサブタンクやバッファ等を備えたプリンター1にも本発明は適用可能である。
このようなサブタンクやバッファ等は、インク流路が他の部分に対して拡大されている拡幅部であることからインクの温度が低下しやすいことから第2の熱源26で加温することでインクの温度調整を良好に行うことができる。
また、本実施形態においては、記録装置がプリンター1である場合を例にして説明したが、これに限らない。複写機及びファクシミリ等の装置であってもよい。
また、液体噴射装置としては、インク以外の他の流体を噴射したり吐出したりする記録装置を採用してもよい。本発明は、例えば微小量の液滴を吐出させる記録ヘッド等を備える各種の記録装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記記録装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、記録装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインク(紫外線硬化型インク)が挙げられる。また、メディアMとしては、紙や塩化ビニル系フィルム等のプラスチックフィルム以外に、薄く熱伸びする機能紙、基板や金属板などを包含するものとする。また、メディアMは、帯状に限らず、予め切断された記録媒体であってもよい。
1 プリンター(液体噴射装置)、11 インク流路、14 金属板、14a 溝、15 封止板(封止部材)、25 第1の熱源(加熱部)、26 第2の熱源(加熱部)、26a ヒーター、26b ファン、30 圧力調整部(液体貯留部)、31 インクジェットヘッド、55 メンテナンス部、56 キャップ部材

Claims (7)

  1. 媒体に対して液体を噴射して記録動作を行う液体噴射ヘッドと、
    前記液体噴射ヘッドに供給される前記液体を加熱する加熱部と、
    吸引動作によって前記液体噴射ヘッドから前記液体を吸引することで該液体噴射ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンス部と、を備え、
    前記メンテナンス部は、前記液体噴射ヘッドから前記液体を吸引排出させて前記液体噴射ヘッドをクリーニングする第1の吸引を行った後、前記液体噴射ヘッドに供給される前記液体が前記加熱部により加熱されるまで待機し、その後、前記記録動作において前記液体噴射ヘッドから噴射される際の前記液体の流速よりも低い流速で、加熱された前記液体を前記液体噴射ヘッドに供給する第2の吸引を行うことを特徴とする液体噴射装置。
  2. 前記加熱部は、前記液体噴射ヘッドに前記液体を供給する流路の上流側を加温する第1の熱源と、前記流路の下流側を加温する第2の熱源と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
  3. 前記液体噴射ヘッドは、前記メンテナンス部によるメンテナンス後に記録媒体に対して前記液体を噴射する記録動作を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体噴射装置。
  4. 前記液体の温度を検出する温度検出部を有し、
    前記メンテナンス部は、前記温度検出部の検出結果に基づいて前記第1の吸引後の待機時間を設定することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の液体噴射装置。
  5. 媒体に対して液体を噴射して記録動作を行う液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッドに供給される液体を加熱する加熱部と、を備えた液体噴射装置におけるメンテナンス方法において、
    前記液体噴射ヘッドから前記液体を吸引することで該液体噴射ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンス工程を有し、
    前記メンテナンス工程は、前記液体噴射ヘッドから前記液体を吸引排出させて前記液体噴射ヘッドをクリーニングする第1の吸引ステップと、
    前記第1の吸引ステップの後、前記液体噴射ヘッドに供給される前記液体が前記加熱部により加熱されるまで待機する待機ステップと、
    前記待機ステップの後、前記記録動作において前記液体噴射ヘッドから噴射される際の前記液体の流速よりも低い流速で、加熱された前記液体を前記液体噴射ヘッドに供給する第2の吸引ステップと、を含むことを特徴とするメンテナンス方法。
  6. 前記待機ステップにおいて、前記加熱部は、前記液体噴射ヘッドに前記液体を供給する流路の上流側を前記第1の熱源で加温するとともに、前記流路の下流側を前記第2の熱源で加温することを特徴とする請求項5に記載のメンテナンス方法。
  7. 前記待機ステップは、前記液体の温度を検出し、該検出結果に基づいて待機時間を設定することを特徴とする請求項又はに記載のメンテナンス方法。
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