JP5935099B2 - マイクロアクチュエータ - Google Patents
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Description
本発明において、アモルファス金属は、全体的に非平衡相或いは部分的に非平衡相を含む物質である。アモルファス金属として、所謂、金属ガラスを用いることができる。金属ガラスは2種以上の金属からなり、ガラス遷移温度と結晶化温度を有する非晶質つまりアモルファスからなる合金である。
アモルファス金属の「結晶化温度」とは、Differential scanning calorimeter(DSC)やDifferential thermo analysis(DTA)などの熱分析法の加熱過程で結晶化反応による発熱現象が始まる温度である。
本明細書で「金属ガラス」とは、ガラス遷移温度と結晶化温度を有するアモルファス金属として、金属をベースにした合金系である。磁気特性を持つ金属ガラスの主成分となる元素としては、Fe(鉄)、Ni(ニッケル)、Co(コバルト)等が上げられる。金属ガラスは、室温から800℃近傍までの幅広いガラス遷移温度と結晶化温度を有している。本発明では、例えばFeを主成分とする金属ガラス合金をFe基金属ガラス合金と呼ぶ。
金属ガラスでは、結晶化開始温度(Tx)とガラス遷移温度(Tg)との温度間隔ΔTx(=Tx−Tg)は、過冷却液体領域(ΔTx)と呼ばれている。広い過冷却液体領域(ΔTx)及び大きな換算ガラス化温度(Tg/T1)を有する金属ガラス合金は、結晶化に対する高い安定性を示して、大きな非晶質形成能を有することが知られている。T1は、金属ガラスの液相線温度である。非晶質形成能は、ガラス形成能(GFA)とも呼ばれている。金属ガラス合金は、従来の非晶質合金のように薄帯、ファイバー、微粉末に限らず、金型鋳造法により直径又は厚さがmmオーダーのバルク状非晶質合金材をも作製することが可能である。
「ガラス遷移温度」とは、Differential scanning calorimeter(DSC)やDifferential thermo analysis(DTA)などの熱分析法で、加熱過程で固体から過冷却液体領域になるときの吸熱現象が始まる温度を示している。
ここで、過冷却液体領域(ΔTx)とは結晶化に対する抵抗力、すなわち非晶質の安定性及び加工性を示すもので、例えば0.3K/秒の加熱速度で示差走査熱量分析(DSC)を行うことで得られるガラス遷移温度Tgと結晶化温度Txの差で定義される値である。
なお、本発明では、磁性アモルファス金属として、金属ガラス以外に、過冷却液体領域を示さないアモルファス構造合金も使用可能である。
本発明の第1実施形態に係る磁性アモルファス金属を用いたマイクロアクチュエータについて説明する。図1(A)は本発明の第1実施形態に係る磁性アモルファス金属を用いたマイクロアクチュエータ1を示す平面図、(B)は正面図である。
図2は本発明の第1実施形態の第1適用例を示す斜視図であり、具体的にはスイッチ装置1Aを示している。スイッチ装置1Aは、ベース10と、このベース10に一端部を支持されたカンチレバー20Aと、このカンチレバー20Aを駆動する駆動部30と、電気配線40と、を備えている。なお、図のベース10と電気配線40とは一部だけを表し、全体表示を省略している。電気配線40は例えば高周波の信号を伝送する伝送路としてもよい。
図3は本発明の第1適用例の応用例を示す斜視図である。適用例1と同じ部材には同じ符号を付してその説明を省略する。図3のスイッチ装置1Bは、ベース10と、このベース10に一端部を支持された2本のカンチレバー20A,20Aと、各カンチレバー20A,20Aを駆動する駆動部30,30と、2本の電気配線40,40と、を備えている。なお、図のベース10と電気配線40,40とは一部だけを表し、全体表示を省略している。
図示例の各カンチレバー20A,20Aの基端部は互いに連結されているが、連結されずにそれぞれベース10に固定されてもよい。
図4は本発明の第1実施形態の第2適用例を示す斜視図であり、具体的には可動ミラー装置1Cを示している。
可動ミラー装置1Cは、ベース10と、このベース10に一端部を支持されたカンチレバー20Cと、このカンチレバー20Cを駆動する駆動部30と、を備えている。なお、図のベース10は一部だけを表し、全体表示を省略している。
なお、駆動部30を駆動させた際の磁界が反射部23の面を多く横切るように、反射部23の面の向きが選定されている。反射部23の裏面には反射部23を保形するために形状維持部23Aが設けられている。本実施形態では、軽量化のために反射部23の裏面の一部だけに形状維持部23Aが設けられている。具体的には、反射部23の裏面が一部露呈するよう、例えば模様のパターンを呈するように、シリコンの形状維持部23Aが反射部23の裏面に形成されている。
図5は本発明の第1実施形態の第2適用例を示す斜視図であり、具体的には可変コンデンサ1Dを示している。
可変コンデンサ1Dは、ベース10と、このベース10に一端部を支持された可動電極部20Dと、この可動電極部20Dを駆動する駆動部30と、可動電極部20Dと距離を置いて設けられた固定電極部25と、を備えている。なお、図のベース10は一部だけを表し、全体表示を省略している。
なお、駆動部30を駆動させた際の磁界が電極本体部27の面を多く横切るように、電極本体部27面の向きが選定されている。
本発明による第2の実施の形態に係るマイクロアクチュエータについて説明する。図6(A)は本発明の第2実施形態に係るマイクロアクチュエータ2を模式的に示す平面図、(B)は(A)のA―A線断面図である。
図7は本発明の第2実施形態の第1適用例を示す斜視図であり、具体的には可動ミラー装置2Aを示している。第2実施形態と同様の構成には同じ符号を付して、説明を省略する。可動ミラー装置2Aは、ベース210と、一対のトーションバー220と、反射部230Aと、駆動部240と、を備えている。
なお、駆動部240を駆動させた際の磁界が反射部230Aの面を多く横切るように、反射部230Aの面の向きが選定されている。反射部230Aの裏面には反射部230Aを保形するために形状維持部291が設けられている。本実施形態では、軽量化のために反射部230Aの裏面の一部だけに形状維持部291が設けられている。具体的には、反射部230Aの裏面が一部露呈するよう、例えば模様のパターンを呈するように、シリコンの形状維持部291が反射部230Aの裏面に形成されている。
図8は本発明の第2実施形態の第2適用例を示す斜視図であり、具体的には可変コンデンサ2Bを示している。第2実施形態の構成と同様の構成には同じ符号を付して、その説明を省略する。
可変コンデンサ2Bは、ベース210と、一対のトーションバー220,220と、可動電極部250と、可動電極部250と距離を置いて設けられた固定電極部260と、駆動部240と、を備えている。
なお、駆動部240を駆動させた際の磁界が可動電極部250の面を多く横切るように、可動電極部250の面の向きが選定されている。
本発明による第3の実施の形態に係るマイクロアクチュエータについて説明する。図9(A)は本発明の第3実施形態に係るマイクロアクチュエータ3を模式的に示す平面図、(B)は(A)のB―B線断面図である。マイクロアクチュエータ3は、ベース310と、可動部320と、駆動部330と、を備えている。
図10は本発明の第3実施形態の第1適用例を示す斜視図であり、具体的にはポンプ装置3Aを示している。第3実施形態と同様の構成には同じ符号を付して、説明を省略する。
図11(A)は本発明の第3実施形態の第2適用例に係る可変コンデンサ3Bを模式的に示す平面図、(B)は(A)のC―C線断面図である。第3実施形態と同様の構成には同じ符号を付して、その説明を省略する。
[実施例]
第2実施形態の第1適用例の実施例について説明する。ベースをSiで構成し、トーションバーと可動部とを金属ガラスFe76Si9B10P5で構成した。図12はマイクロアクチュエータのトーションバーと可動部との製造方法を示している。
金属アモルファスとして、上記組成に加えて、強磁性金属(Fe,Co,Ni)と半金属(B,P,Si,C)との合金、或いは強磁性金属(Fe,Co,Ni)とIVa属(Ti,Zr,Hr)との合金とを利用することができる。
また、可動部や可動電極部を駆動する駆動部は、電磁石に代えて、永久磁石、さらに電磁石と永久磁石との組み合わせでも良い。
可動部や可動電極部などの輪郭形状、厚みや寸法の比率は図示例に限定されるものではない。
1A,1B スイッチ装置
1C,2A 可動ミラー装置
1D,2B,3B 可変コンデンサ
3A ポンプ装置
10,210,310 ベース
20,230,320 可動部
20A,20B カンチレバー
20D,250,320B 可動電極部
21 本体部
22 幅広部
23,230A 反射部
23A,28,255,291 形状維持部
24,255 支持層
25,260,340 固定電極部
26 棒状部
27 電極本体部
30,240,330 駆動部
40 電気配線
41 第1電線部
42 第2電線部
43 断線部
211,311 凹部
220 トーションバー
312 底部
313 開口
315 貯蔵スペース
316 第1流路
317 第2流路
320A ダイヤフラム
Claims (14)
- 半導体、絶縁物及び金属の何れかでなるベースと、このベースに支持された可動部と、可動部を駆動する駆動部と、を備えた、マイクロアクチュエータであって、
上記可動部は一端部が前記ベースに固定されたカンチレバーであり、
上記可動部が磁性金属ガラスで構成され、該磁性金属ガラスが、Fe基、Co基及びNi基の何れかでなる金属ガラスであり、Fe,Co,Niの何れかとB,P,Si,Cとの合金又は、Fe,Co,Niの何れかとTi,Zr,Hfとの合金からなり、
上記駆動部が上記可動部に磁界を与えることを特徴とする、マイクロアクチュエータ。 - 断線部を有する電気配線を備え、
前記カンチレバーがバー状の本体部と上記本体部の先端部に設けられた幅広部とを備え、
前記駆動部の磁界によって前記カンチレバーが曲がると共に上記幅広部が上記断線部を塞くことで電気配線を導通させることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロアクチュエータ。 - 前記カンチレバーは、バー状のレバー本体部と、上記レバー本体部の先端部に設けられ光を反射する反射部と、から構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロアクチュエータ。
- 表面側に一部を抉りとった凹部を有する半導体、絶縁物及び金属の何れかでなるベースと、上記凹部で回転自在な可動部と、上記凹部で仮想の直線上に配置され一端部を上記ベースに固定され他端部を上記可動部に固定された一対のトーションバーと、上記可動部に回転する力を与える駆動部と、を備え、
上記可動部が上記トーションバーの幅よりも幅広に形成された、マイクロアクチュエータであって、
上記一対のトーションバーと上記可動部とが磁性金属ガラスで形成されており、該磁性金属ガラスが、Fe基、Co基及びNi基の何れかでなる金属ガラスであり、Fe,Co,Niの何れかとB,P,Si,Cとの合金又は、Fe,Co,Niの何れかとTi,Zr,Hfとの合金からなり、
上記駆動部が上記可動部に磁界を与えることで、上記可動部が、100°以上回転することを特徴とする、マイクロアクチュエータ。 - 前記可動部が光を反射することを特徴とする、請求項4に記載のマイクロアクチュエータ。
- 前記磁性金属ガラスからなる可動部に、さらに金属からなる支持層が形成され、反射される光の範囲が該支持層の金属材料によって選定されることを特徴とする、請求項4又は5に記載のマイクロアクチュエータ。
- 前記可動部を可動電極部とし、該可動電極部から距離を置いた位置に、さらに固定電極部が設けられたことを特徴とする、請求項4に記載のマイクロアクチュエータ。
- 前記磁性金属ガラスからなる可動部には、該可動部を保形するための形状維持部が設けられていることを特徴とする、請求項4又は5に記載のマイクロアクチュエータ。
- 開口を有する半導体、絶縁物及び金属の何れかでなるベースと、上記開口を塞ぐ可動部と、上記可動部を駆動する駆動部と、を備えたマイクロアクチュエータであって、
上記ベースの上面に凹部が形成され、該凹部の底部には上記開口が設けられ、当該凹部によって画成される領域へ液体を導く第1流路と当該領域から液体を排出する第2流路とが設けられ、
上記可動部が磁性金属ガラスの薄膜で形成されており、
上記駆動部が上記薄膜に磁界を与えることで、上記開口を塞ぐ上記薄膜の形状が変形し
、これにより上記第1流路から上記領域へ液体を導き、さらに上記領域から上記第2流路へ液体を送り出すことを特徴とする、マイクロアクチュエータ。 - 開口を有する半導体、絶縁物及び金属の何れかでなるベースと、上記開口を塞ぐ可動部と、上記可動部を駆動する駆動部と、を備えたマイクロアクチュエータであって、
上記可動部が磁性金属ガラスの薄膜で形成された可動電極部でなり、該磁性金属ガラスが、Fe基、Co基及びNi基の何れかでなる金属ガラスであり、Fe,Co,Niの何れかとB,P,Si,Cとの合金又は、Fe,Co,Niの何れかとTi,Zr,Hfとの合金からなり、
上記可動電極部から距離を置いた位置に、さらに固定電極部が設けられたことを特徴とする、マイクロアクチュエータ。 - 前記磁性金属ガラスが、Fe基、Co基及びNi基の何れかでなる金属ガラスであり、Fe,Co,Niの何れかとB,P,Si,Cとの合金又は、Fe,Co,Niの何れかとTi,Zr,Hfとの合金からなることを特徴とする、請求項9に記載のマイクロアクチュエータ。
- 前記請求項1〜11の何れかに記載のマイクロアクチュエータの製造方法であって、
基板上に磁性金属ガラス薄膜のパターンをフォトレジストで形成する第1ステップと、
上記基板に上記磁性金属ガラス薄膜を形成する第2ステップと、
上記フォトレジストを剥離する第3ステップと、
上記基板の裏面にフォトレジストのパターンを形成する第4ステップと、
上記基板をエッチングする第5ステップと、
を含むことを特徴とする、マイクロアクチュエータの製造方法。 - 前記第1ステップにおいて、前記基板上にリフトオフレジストを形成し、該リフトオフレジスト上にフォトレジストを形成することを特徴とする、請求項12に記載のマイクロアクチュエータの製造方法。
- 前記第5ステップにおいて、基板のエッチングを2回行うことを特徴とする、請求項12に記載のマイクロアクチュエータの製造方法。
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