JP5931434B2 - 窒化物半導体素子及びその製造方法 - Google Patents

窒化物半導体素子及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、発光ダイオード、レーザダイオード等に利用される窒化物半導体素子に関し、特に、表面の結晶面が(0001)面であるAlNモル分率が60%以上のn型AlGaN系半導体層とその上に形成されるn電極間の接触抵抗の低抵抗化技術に関する。
従来から、LED(発光ダイオード)や半導体レーザ等の窒化物半導体発光素子は、サファイア等の基板上にエピタキシャル成長により複数の窒化物半導体層からなる発光素子構造を形成したものが多数存在する。窒化物半導体層は、一般式Al1−x−yGaInN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦x+y≦1)で表される。
発光素子構造は、n型窒化物半導体層とp型窒化物半導体層との間に、単一量子井戸構造(SQW:Single−Quantum−Well)或いは多重量子井戸構造(MQW:Multi−Quantum−Well)の窒化物半導体層よりなる活性層が挟まれたダブルへテロ構造を有している。活性層がAlGaN系半導体層の場合、AlNモル分率(Al組成比とも言う)を調整することにより、バンドギャップエネルギを、GaNとAlNが取り得るバンドギャップエネルギ(約3.4eVと約6.2eV)を夫々下限及び上限とする範囲内で調整でき、発光波長が約200nmから約365nmまでの紫外線発光素子が得られる。具体的には、p型窒化物半導体層からn型窒化物半導体層に向けて順方向電流を流すことで、活性層において上記バンドギャップエネルギに応じた発光が生じる。
当該順方向電流を外部から供給するために、p型窒化物半導体層上にはp電極が、n型窒化物半導体層上にはn電極が、夫々設けられている。図15に、一般的な発光ダイオードの素子構造を模式的に示す。図15に示す発光ダイオードは、サファイア基板等の上に窒化物半導体層を堆積して形成されたテンプレート100上に、n型窒化物半導体層101、活性層102、p型窒化物半導体層103を順番に堆積し、p型窒化物半導体層103と活性層102の一部を、n型窒化物半導体層101が露出するまでエッチング除去し、n型窒化物半導体層101の露出面にn電極104を、p型窒化物半導体層103の表面にp電極105を夫々形成して構成される。
活性層がAlGaN系半導体層の場合、活性層を挟むn型窒化物半導体層とp型窒化物半導体層は、活性層より高AlNモル分率のAlGaN系半導体層で構成される。そのため、n電極及びp電極を夫々2層以上の積層構造とし、下層側を、夫々n型AlGaN系半導体層及びp型AlGaN系半導体層とオーミック接触可能な金属層で形成し、上層側を、Auワイヤ等によるワイヤーボンディングを可能にすべくAu層で形成することが、一般的に行われている。一例として、n電極として、下層側からTi/Al/Ti/Auの4層構造、p電極として、下層側からNi/Auの2層構造のものが使用されている。
また、n型AlGaNとオーミック接触するn電極の他の一例として、Crをベースとしてその上にAlを設けた電極構造が提案されている(下記の特許文献1参照)。当該特許文献1では、Al単体のn電極ではn型AlGaNと完全なオーミック接触が形成されないことが開示されている。更に、特許文献1と同じ出願人から、Al及びInはn型窒化ガリウム系化合物半導体と十分なオーミック接触が得難いことが報告されており、n型窒化ガリウム系化合物半導体と十分なオーミック接触を得る金属材料として、AlにTiを含有させた合金膜または多層膜を使用すること、400℃以上の温度でアニーリング(熱処理)することが提案されている(下記の特許文献2参照)。更に、下記の特許文献3では、下層側からCr/Ti/Alの積層構造を有するn電極が、Tiをベースとするn電極或いはCrをベースとするn電極と比較して、低接触抵抗化、アニーリングの低温化等で有利であることが報告されている。
特開平05−291621号公報 特開平07−2783349号公報 米国特許出願公開第2008/0315419号明細書
窒化物半導体発光素子においては、n型窒化物半導体層とn電極間の接触抵抗(n電極接触抵抗)、及び、p型窒化物半導体層とp電極間の接触抵抗(p電極接触抵抗)は、順方向電流を流した場合に電圧降下を誘起するため、p電極とn電極間に印加する順方向電圧の高電圧化を招き、消費電力の増大、更には、ジュール熱による発光素子の発熱量の増加による素子寿命の低下を招く虞がある。
本願発明者は、図15に模式的に示す断面構造のAlGaN系窒化物半導体紫外線発光素子において、p型窒化物半導体層103と活性層102の一部を、n型窒化物半導体層101が露出するまでエッチング除去して得られたn型窒化物半導体層101の露出面にn電極104を形成した場合のn電極接触抵抗が、堆積直後の、つまり、活性層102をその上に堆積する前のn型窒化物半導体層101の表面にn電極を形成した場合のn電極接触抵抗より、4〜5桁程度も高抵抗化する場合があることを見出した。また、当該高抵抗化する現象は、n型窒化物半導体層101のAlNモル分率が60%以上において特に顕著である。
当該現象は、或る程度確率的に発生しており、高抵抗化の程度にもバラツキがあるため、1枚のウェハ上に多数の発光素子を作製する場合には、n電極接触抵抗の高い素子は不良品となり生産歩留まり低下の要因となる。また、当該現象は、エッチングダメージ等の影響により、n型窒化物半導体層のエッチング露出面の表面性状が、n型窒化物半導体層を形成時の、つまり、活性層をその上に堆積する前の表面性状より劣化していることに起因しているものと考えられるが、詳細な原因は不明である。
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、AlNモル分率が60%以上のn型AlGaN系半導体層とn電極間の接触抵抗の高抵抗化が抑制された窒化物半導体素子を提供することにある。
本願発明者の鋭意研究により、AlNモル分率が60%以上のn型AlGaN系半導体層のエッチング露出面に形成したn電極の接触抵抗の内、高抵抗化していないサンプルを解析した結果、当該露出面に亀裂があり、n電極が当該亀裂を埋めるように形成されているサンプルでは、高抵抗化が起きていないことを確認した。
使用したサンプルは、サファイア基板の(0001)面上に形成されたAlGaN系の窒化物半導体紫外線発光素子であるので、n型窒化物半導体層の表面は当然に(0001)面(一般にC面と呼ばれている)であるが、亀裂内部には、(0001)面以外の側面が露出し、当該(0001)面以外の側面とn電極が低抵抗にオーミック接触しているものと推察し、n型窒化物半導体層のエッチング露出面に(0001)面以外の側面が露出する凹凸構造を人為的に形成して、n電極接触抵抗の高抵抗化が阻止されていることを実験により確認した。以上の実験結果により、本願発明者は以下に示す本発明に至った。
上記目的を達成するため、本発明では、表面の結晶面が(0001)面であるAlNモル分率が60%以上のn型AlGaN系半導体層の表面の少なくとも一部のn電極形成面に、1層または多層金属膜からなるn電極が形成された窒化物半導体素子であって、前記n電極形成面に、(0001)面以外の側面が露出する凹凸構造または亀裂が形成されており、前記n電極が、前記凹凸構造または前記亀裂の形成された前記(0001)面以外の側面と接触していることを第1の特徴とする窒化物半導体素子が提供される。
尚、本発明では、AlGaN系半導体は、一般式AlGa1−xN(xはAlNモル分率、0≦x≦1)で表わされる3元(または2元)加工物を基本とし、そのバンドギャップエネルギがGaN(x=0)のバンドギャップエネルギ(約3.4eV)以上の3族窒化物半導体であり、当該バンドギャップエネルギに関する条件を満たす限りにおいて、微量のInが含有されている場合も含まれる。
更に、上記第1の特徴の窒化物半導体素子において、前記n電極が少なくとも最下層にTi層を有することが好ましい。
更に、上記第1の特徴の窒化物半導体素子において、前記n型AlGaN系半導体層からなるn型クラッド層上の前記n型クラッド層の表面と平行な面内の第1領域に、AlGaN系半導体層を有する活性層と、前記活性層より上層に位置するp型AlGaN系半導体層からなるp型クラッド層が少なくとも形成され、前記第1領域以外の第2領域内の前記n型クラッド層の表面上に前記n電極が形成され、前記第2領域内の前記n型クラッド層の表面の前記n電極形成面に、前記(0001)面以外の側面が露出する前記凹凸構造または前記亀裂が形成されていることを第2の特徴とする。
更に、上記第2の特徴の窒化物半導体素子において、前記活性層が、バンドギャップエネルギが4.4eV以上のAlGaN系半導体層を有する発光層であることが好ましい。
更に、上記第2の特徴の窒化物半導体素子において、前記凹凸構造が、前記n型クラッド層上の全面に形成された前記活性層と前記p型クラッド層を含むデバイス構造層の内の前記第2領域内の前記デバイス構造層を除去して前記第2領域内の前記n型クラッド層を露出させる加工処理後に、別の加工処理によって形成されていることを第3の特徴とする。
更に、上記第1乃至第3の何れかの特徴の窒化物半導体素子において、前記凹凸構造の前記(0001)面以外の側面が、(0001)面に対して傾斜した傾斜面であることが好ましい。
更に、上記第1または第2の特徴の窒化物半導体素子において、前記亀裂が、前記n型AlGaN系半導体層が形成される基板上の前記n電極形成面より下方に設けられた、AlGaN系半導体層のエピタキシャル成長を選択的に誘起させる第2の凹凸構造によって形成されていることを第4の特徴とする。
更に、上記第2の特徴の窒化物半導体素子において、前記亀裂が、前記n型クラッド層が形成される基板上の前記n電極形成面より下方に設けられた、AlGaN系半導体層のエピタキシャル成長を選択的に誘起させる第2の凹凸構造によって形成され、前記第2の凹凸構造が、前記基板上の前記第1領域内には形成されていないことを第5の特徴とする。
更に上記目的を達成するため、本発明では、上記第2の特徴の窒化物半導体素子の製造方法であって、表面が(0001)面の結晶基板上に、下層側から順番に前記n型クラッド層と、前記活性層と、前記p型クラッド層を少なくとも形成し、前記活性層と前記p型クラッド層を含むデバイス構造層の内の前記第2領域内の前記デバイス構造層を第1の加工処理により除去して前記第2領域内の前記n型クラッド層を露出させ、露出した前記第2領域内の前記n型クラッド層の表面に、第2の加工処理により、(0001)面以外の側面が露出する凹凸構造を形成し、前記凹凸構造を含む前記第2領域内の前記n型クラッド層の表面上の前記n電極形成面上に、前記(0001)面以外の側面と接触するように、前記n電極を形成することを特徴とする窒化物半導体素子の製造方法が提供される。
更に上記目的を達成するため、本発明では、上記第2の特徴の窒化物半導体素子の製造方法であって、表面が(0001)面の結晶基板上の前記第2領域内に、AlGaN系半導体層のエピタキシャル成長を選択的に誘起させる第2の凹凸構造を形成し、前記第2の凹凸構造が形成された前記基板上に、下層側から順番に前記n型クラッド層と、前記活性層と、前記p型クラッド層を少なくとも形成し、前記n型クラッド層の形成時点において、前記第2領域内に、少なくとも前記第2の凹凸構造の形成位置から前記n型クラッド層表面まで貫通する亀裂を形成し、前記活性層と前記p型クラッド層を含むデバイス構造層の内の前記第2領域内の前記デバイス構造層を第1の加工処理により除去して前記第2領域内の前記n型クラッド層を露出させ、前記第2領域内の前記n型クラッド層の表面の前記亀裂を含む前記n電極形成面上に、前記亀裂の前記(0001)面以外の側面と接触するように、前記n電極を形成することを特徴とする窒化物半導体素子の製造方法が提供される。
上記特徴の窒化物半導体素子または窒化物半導体素子の製造方法によれば、n電極形成面に形成された凹凸構造または亀裂の(0001)面以外の側面とn電極が接触することで、低抵抗のオーミック接触が実現できるため、n型AlGaN系半導体層とn電極間の接触抵抗の低抵抗化が図れる。この結果、n型AlGaN系半導体層からなるn型クラッド層とAlGaN系半導体層を有する活性層とp型AlGaN系半導体層からなるp型クラッド層を備えた窒化物半導体発光素子においては、n型クラッド層とn電極間の接触抵抗を低抵抗化できるため、n型クラッド層とn電極間の寄生抵抗を抑制でき、順方向電圧の低電圧化が図れ、結果として、発光素子の低消費電力化並びに長寿命化が図れる。
ここで、n電極を形成するn電極形成面が、n型AlGaN系半導体層上に堆積された他のAlGaN系半導体層をエッチング除去して露出した表面である場合は、エッチングダメージ等により表面性状が劣化してn電極接触抵抗が高抵抗化すると考えられるが、当該エッチングによっては、エッチング露出面には、n電極接触抵抗の低抵抗化に寄与する(0001)面以外の側面を有する亀裂等は形成されないと考えられる。n型AlGaN系半導体層を露出させるためのエッチングにおいて、仮に露出面に何らかの微小な凹凸が形成されている可能性があるとしても、当該微小な凹凸では、n電極接触抵抗を低抵抗化するのに十分な面積の(0001)面以外の側面が形成されずに、上述のn電極接触抵抗が高抵抗化する現象が生じるものと考えられる。
図1は、本発明に関係する測定データで、n型AlGa1−xN層上に形成したn電極(Ti/Al/Ti/Au:最下層がTi、最上層がAu)とn型AlGaN層との接触抵抗ρ(単位:Ωcm)と熱処理温度T(単位:℃)の関係を、n型AlGaN層のAlNモル分率xが、0%、25%、40%、60%、75%の5通りについて測定した結果を示す。図1に示す各ポイントは、同じAlNモル分率の同じ熱処理温度で処理した複数のサンプルの接触抵抗の平均値をプロットしたもので、破線で示す曲線は、各ポイントの変化の傾向を便宜的に示すものである。尚、接触抵抗の測定は、公知のTLM(Transmission Line Model)法により行った。熱処理温度は450℃〜1000℃の範囲内に設定し、AlNモル分率xが0%のサンプルは、熱処理を行わない場合も測定対象とした。AlNモル分率xが0%のサンプルは、熱処理なしの場合と、熱処理温度が450℃の場合で接触抵抗は同じであった。また、AlNモル分率xが75%のサンプルについては、熱処理温度が950℃において、AlNモル分率xが60%のサンプルと比較して、接触抵抗が平均で200倍以上高く、良好なオーミック接触が形成されておらず、熱処理温度が900℃以下では、オーミック接触が得られていない。更に、AlNモル分率xが75%のサンプルについては、接触抵抗のバラツキも大きく、更に2桁以上高い接触抵抗も測定されている。
n電極接触抵抗は、図1に示すように、n型AlGaN系半導体層のAlNモル分率に大きく依存して変化し、AlNモル分率が大きい程、高抵抗化する傾向があり、また、低抵抗な接触を得るための熱処理温度も高温化する傾向がある。更に、図1には示されていないが、AlNモル分率が大きい程、接触抵抗のバラツキも大きくなる傾向がある。尚、接触抵抗のバラツキは、接触抵抗の高抵抗化とともに、サンプルにも依存するが、AlNモル分率xが60%以上において特に大きくなる傾向がある。このため、上記特徴の窒化物半導体素子で採用するn電極のコンタクト構造、つまり、n電極形成面に(0001)面以外の側面が露出する凹凸構造または亀裂が形成されたコンタクト構造によれば、当該接触抵抗のバラツキも抑制されるものと期待される。
図2は、上記内容を裏付ける本発明の基礎となる測定データで、n型AlGa1−xN層上に形成したn電極(Ti/Al/Ti/Au:最下層がTi、最上層がAu)とn型AlGaN層との接触抵抗ρ(単位:Ωcm)とn型AlGaN層のAlNモル分率xの関係を、AlNモル分率xが、20%、40%、60%、65%、70%の5通りについて測定した結果を示す。図2では、各AlNモル分率xにおける、接触抵抗ρのバラツキ範囲を縦線で示し、その平均値を丸印(○、●)で示している。図2(A)は、n型AlGaN層の表層部をエッチング除去した後の露出面にn電極を形成したサンプルの測定結果を示し、図2(B)は、同じサンプルにおいて、上記エッチング除去後の露出面に更にストライプ状の凹凸構造を形成して、(0001)面以外の側面を露出させて、当該側面に接触するようにn電極を形成したサンプルの測定結果を示す。尚、図2(A)及び(B)に示すサンプルは、後述する図4に示す比較サンプルR2、サンプルS1及びS2と同じ要領で作製したものであり、当該サンプルの詳細は後述する。尚、接触抵抗の測定は、図1に示す測定と同様にTLM法により行った。
図2の測定結果より、本発明の当該コンタクト構造は、n型AlGaN系半導体層のAlNモル分率が60%以上におけるn電極に適用することで、n電極接触抵抗の低抵抗化及びバラツキの抑制が効果的に図られることが分かる。
n型AlGaN層上に形成したn電極とn型AlGaN層との接触抵抗と熱処理温度Tとn型AlGaN層のAlNモル分率との間の関係の測定結果を示す特性図 n型AlGaN層上に形成したn電極とn型AlGaN層との接触抵抗とn型AlGaN層のAlNモル分率との間の関係の測定結果を示す特性図 本発明に係る窒化物半導体素子で使用するn電極のコンタクト構造の一実施形態における断面構造を模式的に示す断面図 図3に示すn電極コンタクト構造によるn電極とn型AlGaN層間の接触抵抗の低減効果を検証する実験に使用した2つのサンプルと2つの比較サンプルの断面構造を模式的に示す断面図 図4に示す検証実験で使用したサンプルの作製手順を示すフローチャート 図4に示す検証実験で使用したサンプルのn電極の形成前と形成後の表面状態を示す走査型電子顕微鏡写真 図4に示す検証実験で使用した各サンプルの接触抵抗の測定結果を示す図 図4に示す検証実験で使用した各サンプルの電流電圧特性を示す図 本発明に係る窒化物半導体素子の一実施形態における積層構造を模式的に示す断面図 本発明に係る窒化物半導体素子で使用するn電極のコンタクト構造の別実施形態における断面構造を模式的に示す断面図 図10に示すn電極のコンタクト構造の形成方法を説明する断面図 図11に示すn電極のコンタクト構造で使用する亀裂の形成されたサンプルの走査型電子顕微鏡写真 本発明に係る窒化物半導体素子の別実施形態における積層構造を模式的に示す断面図 図10に示すn電極のコンタクト構造の他の形成方法を説明する断面図 従来のAlGaN系発光ダイオードの素子構造を模式的に示す断面図
本発明に係る窒化物半導体素子(以下、適宜「本発明素子」と称する)の実施の形態につき、図面に基づいて説明する。尚、以下の説明で使用する図面では、説明の理解の容易のために、要部を強調して発明内容を模式的に示しているため、各部の寸法比は必ずしも実際の素子と同じ寸法比とはなっていない。以下、本発明素子が紫外線発光ダイオードである場合を想定して説明する。
先ず、本発明素子で使用するn電極のコンタクト構造(以下、適宜、「本コンタクト構造」と称する)について、図3を参照して説明する。本発明は本コンタクト構造に特徴がある。本コンタクト構造は、図3に示すように、表面の結晶面が(0001)面であるn型AlGaN層1の表面上に、一例としてストライプ状に互いに平行して延伸する複数の溝2(凹凸構造の凹部)がエッチング加工により形成され、n型AlGaN層1の表面上の当該溝2を含むn電極形成面3に、1層または多層金属膜からなるn電極4が形成されている。
本実施形態におけるn型AlGaN層1の表面は、その上に堆積したAlGaN層(適宜、「上層AlGaN層」と称す。)をエッチング除去した後に露出した表面である。当該エッチング処理は、実際の発光素子を作製する場合に、後述するように、n型AlGaN層1からなるn型クラッド層上に、他の複数のAlGaN層からなる活性層及びp型クラッド層等を堆積した後、これらの他の複数のAlGaN層の一部を異方性エッチングにより除去して、n型クラッド層の表面を一部露出させる工程を想定したものである。従って、当該露出表面に直接n電極4を形成した場合、後述するように、当該エッチングに伴う表面性状の劣化に起因する接触抵抗の増加が生じる。以下、便宜的に、n型AlGaN層1の表面を露出させるエッチング処理を第1エッチング処理(第1の加工処理に相当)と称し、溝2を加工するエッチング処理を第2エッチング処理(第2の加工処理に相当)と称す。
本実施形態では、n電極形成面3に形成された溝2の側壁面は、n型AlGaN層1の表面の(0001)面に対して傾斜した傾斜面である。溝2の側壁面を傾斜面とすることにより、溝2の側壁面が(0001)面に対して垂直な垂直面である場合に比べ、n型AlGaN層1の(0001)面以外の面とn電極4との接触をより確実にしている。ここで、n電極4が(0001)面以外の面と接触し得る溝2からなる凹凸構造を採用する理由は、(0001)面以外の面とn電極4との接触により、接触抵抗の低抵抗化が図れるという新知見に基づく。尚、溝2の側壁面が垂直面である場合でも、n電極4の電極材料が溝2内に密に充填される場合は、当該側壁面とn電極4との接触は確保され得る。
本実施形態では、n電極4は、一例として、n型AlGaN層1と接触する電極材料としてTiを採用し、一般にn電極として採用されている下層側からTi/Al/Ti/Auの4層構造とした。尚、n電極4は、Crをベースとする電極構造や、CrとTiを含有する電極構造であっても良い。
次に、本コンタクト構造によりn電極4とn型AlGaN層1との間の接触抵抗が低下することを検証するための実験内容及びその実験結果を説明する。
以下の実験では、本コンタクト構造を有する2種類のサンプルS1及びS2と、本コンタクト構造を有しない2種類の比較サンプルR1及びR2を準備した。本実験における接触抵抗の測定はTLM法を用いて行った。そのため、n型AlGaN層1上に、TLM測定用の2つのn電極4を相互に離間させ形成した。サンプルS1とサンプルS2では、溝2の延伸方向が互いに異なり、サンプルS1は、溝2の延伸方向と2つのn電極4の離間方向が平行で、サンプルS2は、溝2の延伸方向と2つのn電極4の離間方向が直交している。2種類のサンプルS1及びS2を準備したのは、溝2の延伸方向の接触抵抗に及ぼす影響を確認するためである。比較サンプルR1は、第1エッチング処理の影響を排除した基準サンプルであり、n型AlGaN層1を形成後に、上記第1エッチング処理を施さずにその表面に直接TLM測定用のn電極4を形成したサンプルである。比較サンプルR2は、サンプルS1及びS2と同様に第1エッチング処理によりn型AlGaN層1の表面の表層部を全面的にエッチング除去した後、第2エッチング処理を行わずに、つまり、溝2の加工を行わずに、第1エッチング処理後の露出面上に、TLM測定用のn電極4を形成したサンプルである。図4に、各サンプルの概略の断面構造を模式的に示す。尚、図中のX方向が、サンプルS1及びS2におけるTLM測定用のn電極4の離間方向である。
サンプルS1及びS2の作製手順について、図4の断面図及び図5のフローチャートを参照して説明する。先ず、サファイア(0001)基板11上にAlN層12とAlGaN層13を成長させたテンプレート14上に、膜厚2μmのn型AlGaN層1を成長させ、全てのサンプルS1,S2,R1,R2に共通のスターティングサンプルを作製する(ステップ#1)。本実験では、各窒化物半導体層の成長には、周知の有機金属化合物気相成長(MOVPE)法を用いた。また、n型AlGaN層1のAlNモル分率は60%とした。
引き続き、スターティングサンプルの表面に対して反応性イオンエッチングによる第1エッチング処理を全面的に施し、スターティングサンプルの表層部分約150nmを削除する(ステップ#2)。引き続き、ステップ#2の第1エッチング処理により露出したn型AlGaN層1の露出面をバッファードフッ酸洗浄により洗浄し(ステップ#3)、当該洗浄後の露出面上に、耐熱レジストを用いてストライプ状のLS(ラインアンドスペース)パターンのエッチングマスクを形成する(ステップ#4)。耐熱レジストは予めポストベークしておき、エッジ部分がテーパ状の台形の断面形状にしておく。尚、LSパターンは6μmピッチで形成した。
引き続き、当該エッチングマスクを用いて、ステップ#3の洗浄後の露出面の内、耐熱レジストで被覆されていない露出面を、第1エッチング処理と同じ反応性イオンエッチングによる第2エッチング処理を行い、深さ1μmの溝2を複数形成した(ステップ#5)。尚、本実験では、エッチングマスクは、選択比の小さい耐熱レジストを使用し、ポストベークによりエッジ部分がテーパ状に形成されているため、第2エッチング処理とともに、エッチングマスクのエッジ部分が徐々に後退し、溝2の断面形状は、図4に示すように逆台形状に加工され、溝2の側壁面は、n型AlGaN層1の表面の(0001)面に対して傾斜した傾斜面となっている。
本実験では、n型AlGaN層1の表面を露出させるための第1エッチング処理と、溝2を加工するための第2エッチング処理の違いによる影響を排除するため、2つのエッチング処理は、夫々同じドライエッチング法である反応性イオンエッチングを使用し、エッチング時間を除き同じエッチング条件下でエッチング処理を行った。
引き続き、n型AlGaN層1の表面と溝2内の露出面に対して、アセトン、メタノールによる洗浄及びバッファードフッ酸洗浄により洗浄を行い(ステップ#6)、当該洗浄後の露出面の全面にn電極4の反転パターンとなるフォトレジストを形成し、その上に、n電極4となるTi/Al/Ti/Auの4層金属膜(膜厚:20nm/100nm/50nm/100nm)を、電子ビーム蒸着法により蒸着し、当該フォトレジストをリフトオフにより除去して、当該フォトレジスト上の4層金属膜を剥離し、n電極4を形成する(ステップ#7)。引き続き、窒素ガス雰囲気中において、950℃のアニール処理を1分間行う(ステップ#8)。
比較サンプルR1及びR2は、サンプルS1及びS2の作製手順から一部のステップを省略して作製されている。比較サンプルR1は、上記ステップ#2の第1エッチング処理と、上記ステップ#4のエッチングマスクの形成と、上記ステップ#5の第2エッチング処理を省略して作製されている。比較サンプルR2は、上記ステップ#4のエッチングマスクの形成と、上記ステップ#5の第2エッチング処理を省略して作製されている。
図6に、サンプルS1のn型AlGaN層1の表面の走査型電子顕微鏡写真を示す。図6(A)は、溝2の形成後、n電極4の形成前の表面状態を、図6(B)は、n電極4の形成後の表面状態を、夫々示している。
図7に、サンプルS1及びS2、比較サンプルR1及びR2の各接触抵抗ρc[Ω・cm]の測定結果を示す。また、図8に、サンプルS1及びS2、比較サンプルR1及びR2の各電流電圧特性を示す。
図7及び図8に示すように、第1エッチング処理の行われない比較サンプルR1では接触抵抗ρcが6.63×10−3Ω・cmと低く、第1エッチング処理が行なわれ、本コンタクト構造を有しない比較サンプルR2では、第1エッチング処理の影響により、接触抵抗ρcが1.12×10Ω・cmと、比較サンプルR1の約50000倍に高抵抗化している。これに対して、第1エッチング処理が行なわれ、本コンタクト構造を有するサンプルS1及びS2では、接触抵抗ρcが1.69×10−2Ω・cm及び1.24×10−2Ω・cmと、比較サンプルR1の2倍程度と低く、比較サンプルR2のような極端な高抵抗化は生じていない。溝2の延伸方向に関係なく、接触抵抗ρcの極端な高抵抗化が阻止され、比較サンプルR2と比較して接触抵抗ρcが大幅に低抵抗化していることが分かる。
ここで、サンプルS1及びS2と比較サンプルR2の各n電極形成面を対比すると、サンプルS1及びS2の溝2と溝2の間のn型AlGaN層1の表面と溝2の底面のn型AlGaN層1の表面は、何れも(0001)面で、比較サンプルR2のn型AlGaN層1の表面と同じであるが、サンプルS1及びS2は溝2の側壁面において、(0001)面以外の露出面を有する点で、比較サンプルR2と異なる。これより、サンプルS1及びS2では、n電極4が溝2の(0001)面以外の側壁面においてn型AlGaN層1と接触することで、n電極4とn型AlGaN層1の間の接触抵抗が低抵抗化しているものと考えられる。このことは、本発明に至るきっかけとなった現象、つまり、n型窒化物半導体層のエッチング露出面に亀裂が有るサンプルにおいてn電極の接触抵抗が高抵抗化していないサンプルが存在していたという現象と符合するものである。
更に、図7及び図8に示す測定結果に加えて、図2に示す測定結果より、n電極4が溝2の(0001)面以外の側壁面においてn型AlGaN層1と接触することで、n電極4とn型AlGaN層1の間の接触抵抗の低抵抗化とともに、当該接触抵抗のバラツキも大幅に抑制されることが分かる。尚、図2の測定結果より、当該接触抵抗の低抵抗化及びバラツキ抑制効果は、AlNモル分率が60%以上において、顕著に発揮される。
上記実験とは別に、比較サンプルR2の作製過程において、以下の検討を行い、溝2を形成する以外に、n電極4とn型AlGaN層1との間の接触抵抗の低抵抗化が図れるか否かを確認した。第1に、第1エッチング処理後における表面洗浄を種々変更したが、低抵抗化の効果は確認されなかった。第2に、第1エッチング処理後の露出面に対して熱処理を施し、表面劣化を緩和させる処理を行ったが、低抵抗化の効果が現れる場合と現れない場合が混在し、安定して確実に接触抵抗の低減効果が現れるまでには至らなかった。第3に、n電極の電極構成を上記Ti/Al/Ti/Auの4層金属膜から変更したが、接触抵抗の低減効果は確認されなかった。
次に、図3に示す本コンタクト構造を採用した本発明素子10の一実施形態の積層構造について、図9を参照して説明する。
図9に示すように、本発明素子10は、サファイア(0001)基板11上にAlN層12とAlGaN層13を成長させた基板をテンプレート14として用い、当該テンプレート14上に、n型AlGaNからなるn型クラッド層15、活性層16、Alモル分率が活性層16より大きいp型AlGaNの電子ブロック層17、p型AlGaNのp型クラッド層18、p型GaNのp型コンタクト層19を順番に積層した積層構造を有している。n型クラッド層15より上部の活性層16、電子ブロック層17、p型クラッド層18、p型コンタクト層19からなる積層構造(デバイス構造層に相当)の一部が、n型クラッド層15の一部表面が露出するまで反応性イオンエッチング等により除去され、n型クラッド層16上の第1領域(A1)に活性層16からp型コンタクト層19までの積層構造が形成されている。n型クラッド層15は、第1領域(A1)以外の第2領域(A2)において表面が露出する。
活性層16は、一例として、膜厚10nmのn型AlGaNのバリア層16aと膜厚3.5nmのAlGaNの井戸層16bからなる単層の量子井戸構造となっている。活性層16は、下側層と上側層にAlモル分率の大きいn型及びp型AlGaN層で挟持されるダブルヘテロジャンクション構造であれば良く、また、上記単層の量子井戸構造を多層化した多重量子井戸構造であっても良い。
各AlGaN層は、有機金属化合物気相成長(MOVPE)法、或いは、分子線エピタキシ(MBE)法等の周知のエピタキシャル成長法により形成されており、n型層のドナー不純物として、例えばSi、p型層のアクセプタ不純物として、例えばMgを使用している。尚、導電型を明記していないAlN層及びAlGaN層は、不純物注入されないアンドープ層である。また、各AlGaN層及び活性層のAlNモル分率は、一例として、AlGaN層13、n型クラッド層15及びバリア層16aが60%、井戸層16bが35%となっている。
活性層16以外の各AlGaN層の膜厚は、例えば、n型クラッド層15が2000nm、電子ブロック層17が2nm、p型クラッド層18が100nm、p型コンタクト層19が100nmである。また、テンプレート14については、AlN層12の膜厚は、2200nm以上6600nm以下に設定するのが好ましく、AlGaN層13の膜厚は、例えば、200nm以上300nm以下の範囲に設定する。尚、本実施形態では、AlGaN層13上に同じAlGaN層のn型クラッド層15が形成されるため、AlGaN層13の導電型はアンドープ層ではなくn型層であっても良く、AlGaN層13をn型クラッド層15と一体化して、テンプレート14をAlN層12だけで構成しても良い。
第2領域(A2)内のn型クラッド層15の露出面の一部に、溝20が、反応性イオンエッチング等により形成されている。溝20は、図9中、平面視ストライプ状に複数形成されているが、溝20の平面視形状は、必ずしもストライプ状に限定されるものではなく、格子状、モスアイ状、ハニカム状等の2次元パターンであっても良い。本実施形態では、溝20の側壁面は(0001)面に対して傾斜した(0001)面以外の傾斜面に形成されている。
p型コンタクト層19の表面に、例えば、Ni/Auのp電極21が、第2領域(A2)内のn型クラッド層15の露出面の溝20が形成されたn電極形成面に、例えば、Ti/Al/Ti/Auのn電極22が形成されている。n電極22は、溝20と溝20の間のn型クラッド層15の露出面、及び、溝20の各側壁面及び各底面において、n型クラッド層15と接触している。尚、p電極21の2層金属膜の各層の膜厚は、例えば、記載順に、60nm/50nmである。また、n電極22の4層金属膜の各層の膜厚は、例えば、記載順に、20nm/100nm/50nm/100nmである。
尚、図9に示す素子構造は、図15に示す従来の発光ダイオードの素子構造と、n電極22の下地構造(本コンタクト構造)を除き、基本的に同じである。従って、本発明素子10は、本コンタクト構造に特徴がある。従って、n型クラッド層15のAlNモル分率が60%以上に場合において、活性層のバンドギャップエネルギに換算すると4.4eV以上(中心発光波長では約280nm以下)の紫外線発光素子において、本コンタクト構造を採用することの効果、つまり、n電極22の接触抵抗の低抵抗化及びバラツキ抑制効果が図られ、電気的特性の向上(特に順方向電圧の低電圧化)及び歩留まりの向上が期待される。
上述のように、本発明素子10は本コンタクト構造に特徴があり、本コンタクト構造の作製方法は、一例として、図4及び図5を参照して、サンプルS1及びS2の作製手順として既に説明した通りであるので、重複する説明は割愛する。尚、サンプルS1及びS2の作製手順では、実験の趣旨から、第2エッチング処理は、第1エッチング処理と同じエッチング処理法を用いたが、第1及び第2エッチング処理は必ずしも同じエッチン処理法を使用しなくても良い。また、本発明素子10の本コンタクト構造以外の各窒化物半導体層の形成及びエッチング処理、電極形成処理等は、従来の発光ダイオードの作製方法と同じであるので、詳細な説明は割愛する。
次に、図3に示す本コンタクト構造の別実施形態について説明する。本発明は、上述したように、n型AlGaN層の第1エッチング処理で露出した表面に亀裂が存在するサンプルにおいてn電極との接触抵抗が高抵抗化していないサンプルが存在していたという現象に基づくものであるため、図10に示すように、n電極のコンタクト構造を、n電極形成面3に、(0001)面以外の側面を有する溝2を形成するのに代えて、亀裂5を意図的に形成して、n電極4が亀裂5の(0001)面以外の側面と接触するコンタクト構造(第2の本コンタクト構造)としても良い。
次に、第2の本コンタクト構造において、n電極形成面3に、(0001)面以外の側面を有する亀裂5を意図的に形成する方法を、一例として、第2の本コンタクト構造をサファイア(0001)基板11上に形成する場合について、図11を参照して説明する。先ず、サファイア(0001)基板11の上部にn電極形成面3が位置する箇所に、ストライプ状の溝6を複数エッチング加工して凹凸構造(第2の凹凸構造に相当)を形成する。凹凸構造の形成されたサファイア(0001)基板11上に、AlN層12及びn型AlGaN層1を順次成長させる。尚、溝6の側面は、図3に示す本コンタクト構造の溝2の側面とは異なり、基板1の表面に対して垂直な面に形成されている。
AlN層12は、サファイア(0001)基板11の凸部上面から選択的にエピタキシャル成長するとともに、凹部を覆うように横方向成長(ELO:Epitaxial Lateral Overgrowth)が進行する。これにより、サファイア(0001)基板11の凹部(溝6)の底面からのAlN層12の成長は原料ガスの供給が滞るため途中で停止し、横方向成長の初期段階で、凹部の上部にボイドが生じ、その上部に亀裂5が生じる。横方向成長を、条件を整えて継続させると、亀裂5が閉じて表面が平坦化されるが、横方向成長の途中で、AlN層12の成長を停止して、n型AlGaN層1の成長を開始し、亀裂5が完全に閉じる前にn型AlGaN層1の成長を停止することで、溝6の上部からn電極形成面3に至る亀裂5を形成することができる。
亀裂5が表面に到達したn型AlGaN層1は、上層AlGaN層(図示せず)がその上に堆積された後、n電極形成面3上の当該上層AlGaN層を第1エッチング処理で除去され、n電極形成面3が露出する。図10に示す第2の本コンタクト構造では、溝2を形成する第2エッチング処理は行わず、n電極4をn電極形成面3上に形成する。n電極4の形成工程は、サンプルS1及びS2の作製手順として図4及び図5を参照して既に説明した通りである。ここで、n電極4が亀裂5の内部の上層部分を充填することで、内部の側壁に現れた(0001)面以外の側面と接触する。これにより、図3に例示した第1の本コンタクト構造において、n電極4が溝2の側壁に現れた(0001)面以外の側面と接触する場合と同じ状況が再現され、n電極4とn型AlGaN層1との間の接触抵抗の低抵抗化が実現する。
図12に、サファイア(0001)基板11の表面に形成された溝6の上部からn型AlGaN層1の表面に至る亀裂5が形成されたサンプルの走査型電子顕微鏡写真を示す。
次に、図10に示す第2の本コンタクト構造を採用した本発明素子30の一実施形態の積層構造について、図13を参照して説明する。
図13に示すように、本発明素子30は、サファイア(0001)基板11上にAlN層12を成長させた基板をテンプレート14として用い、当該テンプレート14上に、n型AlGaNからなるn型クラッド層15、活性層16、Alモル分率が活性層16より大きいp型AlGaNの電子ブロック層17、p型AlGaNのp型クラッド層18、p型GaNのp型コンタクト層19を順番に積層した積層構造を有している。n型クラッド層15より上部の活性層16、電子ブロック層17、p型クラッド層18、p型コンタクト層19からなる積層構造(デバイス構造層に相当)の一部が、n型クラッド層15の一部表面が露出するまで反応性イオンエッチング等により除去され、n型クラッド層16上の第1領域(A1)に活性層16からp型コンタクト層19までの積層構造が形成されている。n型クラッド層15は、第1領域(A1)以外の第2領域(A2)において表面が露出する。
第2の本コンタクト構造では、第2領域(A2)においてサファイア(0001)基板11上に予め溝31がストライプ状に複数形成されている。第1領域(A1)内には、溝31は形成されていない。この結果、第2領域(A2)内においてのみ、溝31の上方にn型クラッド層16の露出面に至る亀裂32が形成される。ここで、溝31が、図10及び図11中の溝6に相当し、亀裂32が、図10及び図11中の亀裂5に相当する。亀裂32の形成方法は、一例として、n電極形成面3に(0001)面以外の側面を有する亀裂5を意図的に形成する方法として図11を参照して説明した方法と同じであるので、重複する説明は割愛する。尚、溝31は、図13中、平面視ストライプ状に複数形成されているが、その延伸方向は必ずしも第1領域(A1)と第2領域(A2)の境界に沿って平行である必要はなく、更に、溝31の平面視形状は、必ずしもストライプ状に限定されるものではなく、格子状、モスアイ状、ハニカム状等の2次元パターンであっても良い。
活性層16の構成は、図9に示す本発明素子10の活性層16と同じであるので重複する説明は省略する。また、各AlGaN層の成長方法、AlNモル分率、膜厚の一例も、図9に示す本発明素子10の各AlGaN層と同じであるので重複する説明は省略する。
p型コンタクト層19の表面に、例えば、Ni/Auのp電極21が、第2領域(A2)内のn型クラッド層15の露出面の溝20が形成されたn電極形成面に、例えば、Ti/Al/Ti/Auのn電極22が形成されている。n電極22は、亀裂32と亀裂32の間のn型クラッド層15の露出面、及び、亀裂32の内部の上層部分の各側壁面において、n型クラッド層15と接触している。
尚、図13に示す素子構造は、図15に示す従来の発光ダイオードの素子構造と、n電極22の下地構造(亀裂32を有する第2の本コンタクト構造)を除き、基本的に同じである。従って、本発明素子30は、n電極形成面に亀裂32を有する第2の本コンタクト構造に特徴がある。
次に、亀裂5,32を有する第2の本コンタクト構造の別の実施形態について説明する。図11を参照して説明した(0001)面以外の側面を有する亀裂5を意図的に形成する方法では、サファイア(0001)基板11の上部にn電極形成面3が位置する箇所に、ストライプ状の溝6を複数エッチング加工して凹凸構造を形成したが、図14に示すように、斯かる凹凸構造に代えて、例えば、図11において凹部(溝6)が形成された位置の上方に当たるAlN層12の表面に、AlGaN系半導体層がエピタキシャル成長するのを阻害する構造体33を、例えばストライプ状に複数形成し、構造体33と構造体33の間から、例えば、AlGaN層13を選択的にエピタキシャル成長させるようにしても良い。構造体33としては、例えば、非晶質のSiO膜やタングステン等の高融点金属膜を使用する。構造体33の表面上には、AlGaN層13はエピタキシャル成長せずに多結晶膜が堆積される。構造体33と構造体33の間から選択成長したAlGaN層13は、成長条件を調整することで、構造体33の上部を覆うように横方向成長する。このとき、横方向成長の初期段階において構造体33の上方に亀裂5が生じるため、亀裂5が横方向成長によって閉じる前に、AlGaN層13の成長を停止して、n型AlGaN層1の成長を開始し、亀裂5が完全に閉じる前にn型AlGaN層1の成長を停止することで、構造体33の上部からn電極形成面3に至る亀裂5を形成することができる。
以下に、本発明素子10,30の別の実施形態につき説明する。
〈1〉上記実施形態では、本発明素子が発光ダイオードの場合を想定して説明したが、半導体レーザ(レーザダイオード)等の他の窒化物半導体発光素子や、窒化物半導体受光素子においても、上述の図3、図10、図11、図14等に例示した本コンタクト構造を適用することで、n型AlGaN層とn電極との間の接触抵抗の低抵抗化を図り、各窒化物半導体素子の電気的特性等の改善を図ることができる。
〈2〉上記実施形態では、本発明素子10,30を構成するテンプレートとして、図9または図13に示すテンプレート14を一例としたが、当該テンプレート14に限定されるものではない。更に、上記実施形態で例示した本発明素子10,30を構成する各AlGaN層のAlNモル分率及び膜厚は、一例であり、素子の仕様に応じて適宜変更可能である。また、上記実施形態では、電子ブロック層17を設ける場合を例示したが、電子ブロック層17は必ずしも設けなくても構わない。
〈3〉上記実施形態では、p電極21がNi/Auの場合、n電極22がTi/Al/Ti/Auの場合を例示したが、各電極の電極構成、電極材料及び膜厚は、上記のものに限定されるものではない。p電極21とn電極22の電極材料は、夫々の下地層であるp型コンタクト層19、n型クラッド層15との間でオーミック接触可能な金属材料であれば良く、必ずしも上記した多層構造でなくても良く、更には、熱処理によって層構造が合金化していても良い。
本発明に係る窒化物半導体素子は、一例として、発光ダイオード、レーザダイオード等の窒化物半導体紫外線発光素子に利用可能であり、順方向電圧の低電圧化に有効である。
1: n型AlGaN層
2,20: 溝(凹凸構造の凹部)
3: n電極形成面
4,22: n電極
5,32: 亀裂
6,31: 溝(第2の凹凸構造の凹部)
10,30:窒化物半導体素子(紫外線発光ダイオード)
11: サファイア基板
12: AlN層
13: AlGaN層
14: テンプレート
15: n型クラッド層(n型AlGaN)
16: 活性層
16a: バリア層
16b: 井戸層
17: 電子ブロック層(p型AlGaN)
18: p型クラッド層(p型AlGaN)
19: pコンタクト層(p型GaN)
21: p電極
33: 構造体
100: テンプレート
101: n型窒化物半導体層
102: 活性層
103: p型窒化物半導体層
104: n電極
105: p電極
A1: 第1領域
A2: 第2領域

Claims (7)

  1. 表面の結晶面が(0001)面であるAlNモル分率が60%以上のn型AlGaN系半導体層の表面の少なくとも一部のn電極形成面に、1層または多層金属膜からなるn電極が形成された窒化物半導体素子であって、
    前記n電極形成面に、(0001)面以外の側面が露出する亀裂が形成されており、
    前記n電極が、前記亀裂に形成された前記(0001)面以外の側面と接触していることを特徴とする窒化物半導体素子。
  2. 前記n電極が少なくとも最下層にTi層を有することを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体素子。
  3. 前記n型AlGaN系半導体層からなるn型クラッド層上の前記n型クラッド層の表面と平行な面内の第1領域に、AlGaN系半導体層を有する活性層と、前記活性層より上層に位置するp型AlGaN系半導体層からなるp型クラッド層が少なくとも形成され、
    前記第1領域以外の第2領域内の前記n型クラッド層の表面上に前記n電極が形成され、
    前記第2領域内の前記n型クラッド層の表面の前記n電極形成面に、前記(0001)面以外の側面が露出する前記亀裂が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の窒化物半導体素子。
  4. 前記活性層が、バンドギャップエネルギが4.4eV以上のAlGaN系半導体層を有する発光層であることを特徴とする請求項3に記載の窒化物半導体素子。
  5. AlGaN系半導体層のエピタキシャル成長を選択的に誘起させる第2の凹凸構造が、前記n型AlGaN系半導体層が形成される基板上の前記n電極形成面より下方に設けられ
    前記亀裂が、前記第2の凹凸構造の上方に形成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の窒化物半導体紫外線素子。
  6. AlGaN系半導体層のエピタキシャル成長を選択的に誘起させる第2の凹凸構造が、前記n型クラッド層が形成される基板上の前記n電極形成面より下方に設けられ
    前記亀裂が、前記第2の凹凸構造の上方に形成され、
    前記第2の凹凸構造が、前記基板上の前記第1領域内には形成されていないことを特徴とする請求項3または4に記載の窒化物半導体素子。
  7. 請求項3または4に記載の窒化物半導体素子の製造方法であって、
    表面が(0001)面の結晶基板上の前記第2領域内に、AlGaN系半導体層のエピタキシャル成長を選択的に誘起させる第2の凹凸構造を形成し、
    前記第2の凹凸構造が形成された前記基板上に、下層側から順番に前記n型クラッド層と、前記活性層と、前記p型クラッド層を少なくとも形成し、
    前記n型クラッド層の形成時点において、前記第2領域内に、少なくとも前記第2の凹凸構造の形成位置から前記n型クラッド層表面まで貫通する亀裂を形成し、
    前記活性層と前記p型クラッド層を含むデバイス構造層の内の前記第2領域内の前記デバイス構造層を第1の加工処理により除去して前記第2領域内の前記n型クラッド層を露出させ、
    前記第2領域内の前記n型クラッド層の表面の前記亀裂を含む前記n電極形成面上に、前記亀裂の前記(0001)面以外の側面と接触するように、前記n電極を形成することを特徴とする窒化物半導体素子の製造方法。
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