<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る画像形成装置100について、図1から図13を参照しながら説明する。まず、第1実施形態に係る画像形成装置100の概略構成について、図1を参照しながらシートPの動きに沿って説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置100の全体構成を示す断面図である。
図1に示すように、画像形成装置100は、シートPに画像を形成する画像形成装置本体(以下、「装置本体」という)200と、装置本体200で画像が形成されたシートPを収納するシート収納装置300と、を備える。装置本体200は、シートPを給送するシート給送部210と、画像を形成する画像形成部220と、画像形成部220で形成された画像をシートPに転写する転写部230と、転写された画像をシートPに定着させる定着部105と、を備える。
シート給送部210は、シートPを収納する給紙カセット104と、給紙カセット104に収容されたシートPを給送するピックアップローラ108とを備え、シートPを1枚ずつ転写部230に向けて給送する。
画像形成部220は、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色のトナー画像を形成する感光体ドラムa〜dと、画像情報に基づいてレーザビームを照射して感光体ドラムa〜d上に静電潜像を形成する露光装置106等を備える。なお、この感光体ドラムa〜dは、不図示のモータにより駆動されると共に、周囲には、それぞれ不図示の一次帯電器、現像器、転写帯電器が配置されており、これらはプロセスカートリッジ101a〜101dとしてユニット化されている。
転写部230は、所定方向に回転駆動される転写ベルト102と、感光体ドラム上の各色トナー像を転写ベルト102に転写する転写帯電器102a〜102dと、トナー像をシートPに2次転写する2次転写部103と、を備える。定着部105は、転写部230の下流側に設けられており、熱及び圧力でトナー像を定着させる。なお、図1に示す240は、装置本体200及びシート収納装置300の制御を司る制御部であるCPU回路部である。
次に、このように構成された装置本体200の画像形成動作について具体的に説明する。画像形成動作が開始されると、不図示のパソコン等からの画像情報に基づいて露光装置106がレーザ光を照射し、表面が所定の極性、電位に一様に帯電されている感光体ドラムa〜dの表面を順次露光して感光体ドラムa〜dに静電潜像を形成する。感光体ドラムa〜dに静電潜像が形成されると、この静電潜像をトナーで現像し、可視化する。
例えば、感光体ドラムaに原稿のイエロー成分色の画像信号によるレーザ光を露光装置106のポリゴンミラー等を介して照射し、感光体ドラムa上にイエローの静電潜像を形成する。そして、このイエローの静電潜像を、現像器からのイエロートナーにより現像し、イエロートナー像として可視化する。その後、イエロートナー像が感光体ドラムaの回転により感光体ドラムaと転写ベルト102とが当接する1次転写部に到来すると、転写帯電器102aに印加した1次転写バイアスにより、転写ベルト102にイエロートナー像が1次転写される。
イエロートナー像が転写ベルト102に1次転写されると、上述と同様の方法で感光体ドラムb上に形成されたマゼンタトナー像、シアントナー像及びブラックトナー像がイエロートナー像の上から順次転写ベルト102に多重転写される。これにより、転写ベルト102上にフルカラートナー画像が形成される。
このトナー画像形成動作に並行して、給紙カセット104に収容されたシートPは、ピックアップローラ108により1枚ずつ送り出される。そして、シートPは、レジストローラ109に達し、レジストローラ109により所定のタイミングで2次転写部103に搬送される。その後、2次転写部103に印加された2次転写バイアスによって転写ベルト102上のフルカラーのトナー像がシートP上に一括して転写される(2次転写)。
トナー像が転写されたシートPは、2次転写部103から搬送パス120を介して定着部105に搬送され、定着部105において熱及び圧力を受けてトナーが溶融混色されることによりフルカラーの画像として定着される。その後、画像が定着されたシートPは、定着部105の下流に設けられた排出ローラ対110によって排出され、湾曲形状を有する後述の搬送ガイド313を通って装置本体200の上部に配置されたシート収納装置300に搬送される。
次に、シート収納装置300について、図1に加え、図2から図5を参照しながらシートPの流れに沿って説明する。図2は、第1実施形態に係る画像形成装置100のシート収納装置300を示す断面図である。図3は、第1実施形態に係るシート収納装置300のシート収納部330を示す斜視図である。図4は、第1実施形態に係るシート収納装置300を示す側面図である。図5は、第1実施形態に係るシート収納部330のシート保持部340を示す断面図である。
図1に示すように、シート収納装置300は、装置本体200の上方に設けられている。上記シート収納装置300には、装置本体200に設けられ、不図示の排出モータによって駆動される排出ローラ対110から湾曲状に形成された搬送ガイド313を介してシートPが搬送(排出)されるように構成されている。図2に示すように、搬送ガイド313の入口部には、入口センサS1が設けられており、装置本体200から排出されるシートPは、入口センサS1により搬送タイミングがモニターされる。また、搬送ガイド313の下流部には、装置本体200から排出されたシートを搬送する搬送ローラ301と、搬送ローラ301に圧接して搬送ローラ301に従動する搬送従動コロ302とが設けられている。上記搬送ガイド313、搬送ローラ301及び搬送従動コロ302は、装置本体200から排出されるシートを搬送するシート搬送部314を構成している。
シート収納装置300に搬送されたシートPは、搬送ローラ301及び搬送従動コロ302によって後述の5つのシート収納部330(330a〜330e)の中から選択された1つに搬送される。なお、搬送ローラ301は、駆動装置としての搬送モータM1により駆動される搬送ローラ駆動ギア307と搬送ローラ駆動ベルト306によって回転駆動が付与される。
シート収納装置300は、搬送ローラ301及び搬送従動コロ302により順次搬送されるシートPを下方から受け入れ、シートの先端を上にし、後端を下にした状態(上下方向に立てた状態)で収納する5つのシート収納部330(330a〜330e)を備える。図3に示すように、5つのシート収納部330(330a〜330e)は、水平方向に並んで配置されており、収納部連結軸308により連結されると共に、収納部保持板309によって保持されている。収納部保持板309には、収納部移動モータM2の同軸上に設けた移動プーリ311bと対向側に設けられた移動プーリ311aとに掛けられているタイミングベルト312に固定された、収納部移動連結部材310が固定されている。なお、本実施形態においては、シート収納装置300に5つのシート収納部330a〜330eを設けたが、シート収納部330の数は5つに限らず、1つ以上のシート収納部が設けられていれば良い。
5つのシート収納部330(330a〜330e)は、タイミングベルト312が回転すると、収納部移動連結部材310と共に収納部保持板309が移動することにより、図2に示す矢印X方向(左右方向)へと一体的に移動する。そして、5つのシート収納部330(330a〜330e)が左右方向に移動することにより、搬送ローラ301に臨む(鉛直方向上方に一致する)シート収納部330を変更可能となる。つまり、固設された搬送ローラ301と各シート収納部330a〜330eとの相対位置を変えることにより、5つのシート収納部330(330a〜330e)の中から選択された1つに搬送ローラ301から搬送されるシートPを収納させることが可能になる。
図4に示すように、シート収納装置300には、収納部移動連結部材310のホームポジションを検知する収納部移動検知センサ(ホームポジション検知センサ)S3が設けられている。後述するシート収納装置制御部636のCPU701は、収納部移動検知センサS3により、図2に示すX方向(左右方向)中央のホームポジションを決定している。また、CPU701(図10参照)は、ホームポジションからの収納部移動モータM2の駆動パルス数を計数によって、シート収納部330(330a〜330e)の受け渡し位置を決定している。
シート収納部330(330a〜330e)には、それぞれシートの有無を検出する紙有り無し検知センサS2(S2a〜S2e)が設けられている。そして、紙有り無し検知センサS2の検知結果により、シート収納部330の各々にシートが収納されているかをCPU701が判断し、未収納のシート収納部に次のシートPを収納するようにシート収納部330の位置を制御する。
次に、5つのシート収納部330(330a〜330e)を構成する各シート収納部330a〜330eについて説明する。なお、各シート収納部330a〜330eは、同じ構成であるため、以下の説明においては、シート収納部330aとして説明する。
シート収納部330aは、シート搬送方向にはシートPの通過を可能にし、シート搬送方向と逆方向にはシートPの移動を規制可能なシート保持手段としてのシート保持部340と、シート保持部340の上方に設けられる先端規制部材350と、を備える。また、シート収納部330aは、シート保持部340の上流側に設けられ、搬送ローラ301及び搬送従動コロ302から順次搬送されるシートPを下方から受け入れる受入部360を備える。
シート保持部340は、シート搬送方向の上流側に設けられる第1保持部340aと、第1保持部340aの下流側(鉛直方向の上方)に設けられる第2保持部340bと、を備える。
より詳しくは、図5に示すように、シート収納部330aは、収納ガイド(第1ガイド)304と、搬送ガイド(第2ガイド)303とを有するガイド部370を備えている。上記収納ガイド304は、上下方向に立設(立てた状態)されたガイド部材であり、搬送ガイド303は、収納ガイド304と対向して設けられている。また、シート収納部330aは、収納ガイド304及び搬送ガイド303aとの間に設けられ、収納ガイド304と共にシートPを挟持して保持する転動部材としての第1及び第2保持部材305a,305bを備える。
即ち、上記収納ガイド304及び搬送ガイド303を有するガイド部370、第1及び第2保持部材305a,305bによって上述した第1及び第2保持部340a,340bが構成されている。第1保持部340aは、第1搬送ガイドとしての搬送ガイド303aと、収納ガイド304及び搬送ガイド303aとの間に設けられた第1保持部材305aと、収納ガイド304のガイド面304aとを備えている。上記第1保持部材305aは、収納ガイド304と共にシートPを挟んで保持する転動部材となっている。また、第2保持部340bは、第2搬送ガイドとしての搬送ガイド303bと、収納ガイド304及び搬送ガイド303bとの間に設けられた第2保持部材305bと、収納ガイド304のガイド面304aとを備えている。上記第2保持部材305bは、収納ガイド304と共にシートPを挟んで保持する転動部材となっている。
なお、上述の収納ガイド304は、第1及び第2保持部340a,340bの側壁を形成し、受入部360から受け入れられるシートPを上方にガイドするものである。収納ガイド304は、上下方向に略垂直に形成された上記ガイド面304aを有し、ガイド面304aは、シートPの一方の面をガイドする。
搬送ガイド303aは、上部に設けられた対向壁部303αaと、下部に設けられ、収納ガイド304と共に受入部360から受け入れられたシートPを上方にガイドする下部ガイド部303γaと、を備える。さらに、搬送ガイド303aは、下部ガイド部303γaの上方、すなわち対向壁部303αa及び下部ガイド部303γaの間に設けられ、収納ガイド304から離れる方向に傾斜した傾斜面31を有する傾斜部材としての傾斜部303βaを備える。傾斜部303βaの傾斜面31は、収納ガイド304のガイド面304aとの距離が下方から上方に向けて広がるように形成されている。即ち、搬送ガイド303aの傾斜面31は、収納ガイド304と対向して設けられ、該収納ガイド304のガイド面304aとの間隔が下方側の第2の距離51よりも上方側の第1の距離52のほうが大きくなるように傾斜している。
第1保持部材305aは、円柱形状に形成されており、収納ガイド304と、搬送ガイド303aの対向壁部303αa及び傾斜部303βaとの間で傾斜面31に沿って転動自在に設けられている。第1保持部材305aは、シートが第1保持部340aに搬送されるまでは、自重により収納ガイド304のガイド面304aと、搬送ガイド303aの傾斜部303βaに当接した状態となっている。つまり、第1保持部材305aは、自重が収納ガイド304のガイド面304a及び搬送ガイド303aによって支持される位置で停止し、ガイド間距離が大きくなる方向、すなわち上方向には移動できるようになっている。
このため、上記第1保持部材305aは、収納ガイド304と共に第1ニップ部61を形成しており、上方に向かって搬送されるシートPが第1ニップ部61へ進入することにより転動してシートPの通過を可能にする第1転動部材となっている。より詳しくは、この第1保持部材305aは、上方に向かって搬送されるシートPの第1ニップ部61の通過を可能する一方、第1ニップ部61を先端が通過したシートPの下方への移動は規制して保持する構成となっている。
一方、上述した第2保持部340bも第1保持部340aと同様の構成を有している。即ち、第2保持部340bは、第1保持部340aと同構造の第2保持部材305bと、収納ガイド304と、搬送ガイド303bとを有しており、収納ガイド304及び搬送ガイド303bは、第1保持部340aと共通して形成されている。
そのため、搬送ガイド303には、保持部ごとに対向壁部303αa,303αb、傾斜部303βa,303βb及び下部ガイド部303γa,303γbが形成されている。そして搬送ガイド303は、ガイド全体として、第1保持部材(第1転動部材)305aが転動する第1傾斜面31と、第2保持部材(第2転動部材)305bが転動する第2傾斜面32との2つの傾斜面を有している。
また、第2保持部材305bは、収納ガイド304と共に第2ニップ部62を形成しており、上方に向かって搬送されるシートPが第2ニップ部62へ進入することにより転動してシートPの通過を可能にする第2転動部材となっている。より詳しくは、上方に向かって搬送されるシートPの第2ニップ部62の通過を可能する一方、第2ニップ部62を先端が通過したシートPの下方への移動は規制して保持する構成となっている。
このように、各シート収納部330は、上記第1及び第2保持部340a,340bを上下方向位置が異なるように配設しており、これにより、第1及び第2保持部材305a,305bを搬送ガイド303のガイド面に沿って上下に配設している。そして、上下方向位置が異なるように配設された第1及び第2保持部材305a,305bによって複数枚のシートPを安定して保持可能に構成されている。
なお、上記収納ガイド304及び搬送ガイド303は、その下端部が互いに離れるように屈曲して上記受入部360を形成している。即ち、収納ガイド304の下端部は、搬送ガイド303aに対して離れるように屈曲されていると共に、該搬送ガイド303の下端部も同様に収納ガイド304に対して離れるように屈曲されている。
また、上記搬送ガイド303又は収納ガイド304には、第1保持部材305aがシート搬送方向と直交する奥行き方向(幅方向、シート取り出し方向)に移動して脱落することがないように、シートPの搬入を阻害しない範囲で不図示の係止部が設けられている。
更に、各シート収納部330は、収納されたシートPの上方側の先端位置を規制する先端規制部材(規制部材)350を有している。この先端規制部材350は、例えば、搬送ローラ301及び搬送従動コロ302から搬送されるシートや搬送中のシートに連れ回されたシート等の先端位置(下流端位置)を規制して、シートの高さを一定にさせる。
次に、シート保持部340で複数枚のシートPを保持する動作について、図6(a)から図7(c)を参照しながら説明する。まず、1枚目のシートP1(以下、「先行シート」という)を保持する動作について、図6(a)から図6(c)を参照しながら説明する。図6(a)は、先行シートP1が第1保持部340aを通過する状態を示す図である。図6(b)は、先行シートP1が第2保持部340bを通過する状態を示す図である。図6(c)は、先行シートP1が第1保持部340a及び第2保持部340bに保持された状態を示す図である。
搬送ローラ301より先行シートP1がシート収納部330に搬送されると、図6(a)に示すように、第1保持部340aの第1保持部材305aが、第1ニップ部61に進入しようとする先行シートP1により押圧される。第1保持部材305aが先行シートP1に押圧されると、第1保持部材305aは、搬送ガイド303aの第1傾斜面31に沿って矢印B方向に先行シートP1の厚さ分移動(上昇)する。これにより、先行シートP1が第1保持部340aを通過可能となる。また第1ニップ部61の通過時には、先行シートP1には、第1保持部材305aに作用する重力Mにより、収納ガイド304に向かう挟持圧(当接力)F1(=M/tanθ)が加わる。しかし、搬送ローラ301の搬送力により先行シートP1が第1保持部材305aを押圧すると共に、第1保持部材305aが転動自在に形成されているため先行シートP1は第1保持部340aを通過することができる。
次に、先行シートP1が搬送ローラ301より更に上方に搬送されると、図6(b)に示すように、第2保持部340bの第2保持部材305bが、第2ニップ部62に進入しようとする先行シートP1により押圧される。第2保持部材305bが先行シートP1に押圧されると、第2保持部材305bは、搬送ガイド303の第2傾斜面32に沿って矢印B方向に先行シートP1の厚さ分移動(上昇)する。これにより、先行シートP1が第2保持部340bを通過可能となる。なお、ここでも第2ニップ部62の通過時には、先行シートP1には、第2保持部材305bに作用する重力Mにより、収納ガイド304の方向に向かう挟持圧F2(=M/tanθ)が加わる。しかし、搬送ローラ301の搬送力により先行シートP1が第2保持部材305bを押圧すると共に、第2保持部材305bが転動自在に形成されているため先行シートP1は第2保持部340bを通過することができる。
次に、先行シートP1の後端が搬送ローラ301を抜けると、搬送ローラ301からの搬送力がなくなり、先行シートP1による第1保持部材305a及び第2保持部材305bへの押圧が解除される。先行シートP1による押圧が解除されると、第1保持部材305a及び第2保持部材305bは自重により下降して、収納ガイド304及び搬送ガイド303の第1及び第2傾斜面31,32により先行シートP1に対して挟持圧を発生する。そして、図6(c)に示すように、先行シートP1は、第1及び第2傾斜面31,32における楔効果が作用した挟持圧F1及び挟持圧F2により第1保持部340a及び第2保持部340bで保持される。
次に、2枚目のシートP2(以下、「後続シート」という)を保持する動作について、図7(a)から図7(c)を参照しながら説明する。図7(a)は、後続シートP2が第1保持部340aを通過する状態を示す図である。図7(b)は、後続シートP2が第2保持部340bを通過する状態を示す図である。図7(c)は、先行シートP1及び後続シートP2が第1保持部340a及び第2保持部340bに保持された状態を示す図である。
先行シートP1がシート保持部340に保持されている状態で、後続シートP2がシート収納部330に搬送されると、図7(a)に示すように、第1保持部材305aが、第1ニップ部61に進入しようとする後続シートP2により押圧される。第1保持部材305aが後続シートP2に押圧されると、第1保持部材305aは、搬送ガイド303の第1傾斜面31に沿って矢印B方向に後続シートP2の厚さ分移動(上昇)する。これにより、後続シートP2が第1保持部340aを通過可能となる。
このとき、第1保持部材305aが移動することにより第1保持部材305aによる挟持圧F1は解除されるが、先行シートP1は、第2保持部材305bの挟持圧F2により保持されている。そのため、第1保持部材305aによる挟持圧F1が解除されても、先行シートP1が落下する等の不良現象は発生しない。即ち、第2保持部材305bは、上方に向かって搬送される後続シートP2が第1ニップ部61に進入する際には第2ニップ部62にて保持されている先行シートP1に挟持圧F2を付与して、保持されている先行シートP1の下方への移動を規制している。
また、後続シートP2の第1ニップ部61の通過時には、第1保持部材305aに作用する重力Mにより、先行シートP及び後続シートP2に収納ガイド304の方向に向かう挟持圧F1(=M/tanθ)が加わる。しかし、搬送ローラ301の搬送力により後続シートP2が第1保持部材305aを押圧すると共に、第1保持部材305aが転動自在に形成されているため後続シートP2は第1ニップ部61を通過することができる。
次に、後続シートP2が搬送ローラ301より更に上方に搬送されると、図7(b)に示すように、第2保持部340bの第2保持部材305bが、第2ニップ部62に進入しようとする後続シートP2により押圧される。第2保持部材305bが後続シートP2に押圧されると、第2保持部材305bは、搬送ガイド303の第2傾斜面32に沿って矢印B方向に後続シートP2の厚さ分移動(上昇)する。これにより、後続シートP2が第2ニップ部62を通過可能となる。なお、ここでも、後続シートP2の第2ニップ部62の通過時には、先行シートP1及び後続シートP2に、保持部材305bに作用する重力Mにより、収納ガイド304の方向に向かう挟持圧F2(=M/tanθ)が加わる。しかし、搬送ローラ301の搬送力により後続シートP2が第2保持部材305bを押圧すると共に、第2保持部材305bが転動自在に形成されているため後続シートP2は第2ニップ部62を通過することができる。
また後続シートP2の第2ニップ部62への進入時には、第2保持部材305bが移動することにより第2保持部材305bによる挟持圧F2は解除される。しかしながら、先行シートP1及び後続シートP2は、第1保持部材305aの挟持圧F1により保持されている。そのため、第2保持部材305bによる挟持圧F2が解除されても、先行シートP1及び後続シートP2が落下する等の不良現象は発生しない。即ち、第1保持部材305aは、上方に向かって搬送される後続シートP2が第2ニップ部62に進入する際には第1ニップ部61にて保持されている先行シートP1に挟持圧を付与して、保持されている先行シートP1の下方への移動を規制している。
次に、後続シートP2の後端が搬送ローラ301を抜けると、搬送ローラ301からの搬送力がなくなり、後続シートP2による第1保持部材305a及び第2保持部材305bへの押圧が解除される。後続シートP2による押圧が解除されると、保持部材305a、305bは自重により下降して、収納ガイド304及び搬送ガイド303の傾斜面31,32により先行シートP1及び後続シートP2に対して挟持圧を掛ける。そして、図7(c)に示すように、先行シートP1及び後続シートP2は、この楔効果が作用した挟持圧F1及び挟持圧F2により第1保持部340a及び第2保持部340bで保持される。
このように、先行シートP1を保持している状態で、後続シートP2がシート保持部340に進入する場合でも、既保持シートを第1及び第2保持部材305a、305bのどちらかが保持している。そのため、シート収納部330に複数のシートPを収納することが可能となる。特に、搬送される後続シートP2の先端の形状がカールなどの変形を伴っていても、第1及び第2保持部材305a、305bのいずれかによって、確実に既保持シートを保持することができる。
ここで、図8に、シート収納部330aに保持されたシートPの状態を示す。図8に示すように、シート収納部330aは、シート保持部340を収納ガイド304のガイド面304aに沿って上方に向かって搬送されるシートの搬送方向Zと直交する奥行き方向Yの奥側位置に配置している。また、装置本体200から排出されたシートを搬送するシート搬送部314が、上記複数のシート収納部330に対して、奥行き方向(幅方向)Yにシフトして配置されている。
これにより、シート保持部340によってシートPを保持した際、シートPの手前側がシート収納部330aから手前側、すなわち装置本体200の手前側に突出した状態になる。ここで、奥行き方向(幅方向)Yとはユーザがシートを取り出す方向を指し、手前側とはユーザがシートを取り出すために向かい合っている画像形成装置100の前面側、奥側とはその反対側のことである。
より詳しくは、シート搬送部314は、上述したように搬送ガイド(第3ガイド)313、搬送ローラ301及び従動コロ302によって構成されている。シート搬送部314は、シート収納部330をシートPの積層方向Xに移動させるモータM2と奥行き方向Yに並んで配設されていると共に、このモータM2よりも奥行き方向手前側に位置している。そして、搬送ガイド313の奥行き方向手前側の端部3131が、収納ガイド304の奥行き方向手前側の端部3041よりもモータM2とは反対側にオフセットするように構成されている。このため、シート搬送部314から搬送されたシートPは、シート保持部340から手前側に突出した状態で保持されるようになっている。
また、シート収納部330a(のシート保持部340)の高さ方向(上下方向)Zの長さは、収納したシートPの上部が突出するような長さに設定されている。つまり、本実施形態においては、シート収納部330aの高さ及び奥行き方向の幅を、収納されたシートPのシート搬送方向下流端部及び手前側の端部がシート収納部330aから突出するように設定している。これにより、シート収納部330に収納されたシートPは、図8の角度θ(=90°)で示す装置本体手前側方向U、装置本体手前側斜め上方方向V、上方向Wの範囲で取り出しが可能となる。
このようにシート収納部330の各シート収納部に収納された際、シートPはシート収納部330a(330b〜330e)の上方及び手前に突出しているため、この突出部分がシートPを取り出す時の掴み代として有効となっている。そして、シートPを装置本体手前側、装置本体手前側斜め上方及び図6の(a)の矢印Aで示す上方向にシート束を引き抜くようにすれば、保持部材305a、305bによる楔効果が作用しない。したがって、片手で容易にシート収納部330からシートP、あるいはシートの束を取り出すことができる。
次に、本実施形態に係る画像形成装置100の制御部としてのCPU回路部630について、図9及び図10を参照しながら説明する。図9は、本実施形態に係る装置本体200及びシート収納装置300を制御する制御ブロック図である。図10は、本実施形態に係るシート収納装置300を制御するシート収納装置制御部636の制御ブロック図である。
図9に示すように、CPU回路部630は、CPU629と、ROM631と、RAM650と、を有している。CPU回路部630は、画像信号制御部634、プリンタ制御部635、シート収納装置制御部636及び外部のPC(パソコン)620とのインターフェイスである外部インターフェイス637等を制御している。なお、CPU回路部630は、ROM631に格納されているプログラム及び図1に示すシート収納装置300の上面に設けられた操作部601の設定に従って、後述のシート収納装置制御部636等を制御する。
画像信号制御部634は、外部のPC620から外部インターフェイス637を介して入力される画像データをプリンタ制御部635に入力し、プリンタ制御部635は、この画像データに基づき装置本体200を制御する。また、シート収納装置制御部636は、シート収納装置300に搭載され、CPU回路部630と情報のやり取りを行うことによってシート収納装置全体の駆動制御を行う。なお、本実施形態においては、シート収納装置制御部636をシート収納装置300に搭載しているが、本発明はこれに限定されるものではない。シート収納装置制御部636を、CPU回路部630と一体的に装置本体200に設け、装置本体200側からシート収納装置300を制御するように構成してもよい。
また、シート収納装置制御部636は、図10に示すように、CPU701、RAM702、ROM703と、収納部制御部708等で構成されている。このシート収納装置制御部636は、通信インターフェイス706を介して装置本体200側に設けられたCPU回路部630と通信してデータ交換を行う。そして、シート収納装置制御部636は、CPU回路部630からの指示に基づきROM703に格納されている各種プログラムを実行し、収納部制御部708を介してシート収納装置300の制御を行う。例えば、シート収納処理制御を行う際には、CPU701に、収納部制御部708からI/Oユニット705を介してシート収納装置300を制御するための各種センサからの検出信号が取り込まれる。なお、このような各種センサとしては、既述した入口センサS1、紙有り無し検知センサS2(S2a〜S2e)、収納部移動検知センサS3がある。また、CPU701は、収納部制御部708を介して既述した搬送モータM1、収納部移動モータM2を駆動する。
次に、第1実施形態に係るシート収納装置300のシート収納動作制御について、図11から図13を参照しながら説明する。図11は、本実施形態に係るシート収納装置300のシート収納動作制御を示すフローチャートである。図12は、本実施形態に係るシート収納装置300の収納対象トレイ番号確定処理を示すフローチャートである。図13は、本実施形態に係るシート収納装置300の収納部移動処理を示すフローチャートである。
図11に示すように、画像形成装置100にプリントJobが送られると、プリントJobがスタートされ、これに伴いシート収納装置制御部636は、まず収納対象トレイ番号確定処理を行う(S801)。
そして、この収納対象トレイ番号確定処理として、図12に示すように、まずシートを収納するシート収納部を設定するためのトレイモニター番号iを0にリセットし(i=0)(S820)、次にトレイモニター番号iに1を加える処理を行なう(S821)。次に、i(=1)番目のシート収納部をモニター(監視)し(S822)、紙有り無し検知センサS2によりi(=1)番目のシート収納部に保持シートが存在するかを判別する(S823)。例えば、紙有り無し検知センサS2(S2a〜S2e)によって、各シート収納部330にシートが保持されているかが検知される。
ここで、i(=1)番目のシート収納部に保持シートがある場合は(S823のN)、iが5、すなわち最後のシート収納部330であるかを判断する(S826)。そして、i=5でない場合には(S826のN)、トレイモニター番号iに1を加え(S821)、i(=2)番目のシート収納部に保持シートが存在するかを判別する(S823)。
このように、シート収納部に保持シートがある場合は(S823のN)、5番目のシート収納部の監視が終了するまで、すなわちi=5となるまで繰り返し行なう。そして5番目のシート収納部330eに保持シートが存在する場合、即ち全てのシート収納部330に保持シートが存在する場合であるi=5の場合は(S826のY)、“スタックFULL”信号をCPU701からCPU回路部630に発信する(S827)。なお、この“スタックFULL”信号を受信すると、CPU回路部630は、操作部601に設けられた不図示の表示部に収納不能を表示する。
一方、i番目のシート収納部で保持シートが存在しない(無し)場合(S823のY)、収納対象番号をi番目に確定する(S824)。そして、このように収納対象番号を確定することにより、収納対象番号がi番目のシート収納部への搬送指令を出し、収納対象トレイ番号確定処理を完了する。
次に、収納対象トレイ番号確定処理が完了すると、図11に示す収納部移動処理に移行する(S802)。そして、この収納部移動処理として、図13に示すように、シート収納装置制御部636は、まず収納部移動モータM2を駆動し(S830)、収納部移動連結部材310を、図2に示すホームポジションまで移動させる。そして、ステップS831にて収納部移動連結部材310がホームポジションに到達したか否かが判断され、連結部材310がホームポジションに到達していない場合には(S831のN)、リターンされる。また、収納部移動検知センサS3によって、収納部移動連結部材310がホームポジションに到達したことが検知されると(S831のY)、すなわちシート収納部330がホームポジションに到達すると、一旦、収納部移動モータM2を停止させる(S832)。
次に、このようにシート収納部330がホームポジションに到達した後、収納部移動モータM2を駆動し(S833)、収納部移動モータM2のクロック数をカウント(監視)する(S834)。例えば、回転速度に基づいて収納部移動モータM2は出力信号を出力し、シート収納装置制御部636は、この収納部移動モータM2の出力信号のクロック数を計数する。そして、収納部移動モータM2のクロック数が、シート収納部330が、既述した収納対象トレイ番号確定処理(S801)によって決定されたi番目のシート収納部330iが搬送ローラ301に一致する位置となるまでカウントする。そして、収納部移動モータM2のクロック数がi番目のシート収納部が搬送ローラ301に一致する位置となる所定数(i×20)となると(S835のY)、収納部移動モータM2を停止する(S836)。即ち、言い換えると、シートPをシート搬送部314から受け入れるために、i番目のシート収納部330iの受入部360が、湾曲した搬送ガイド313の上方に位置すると、収納部移動モータM2を停止させる。なお、ステップS835にて収納部移動モータM2のクロック数が上記所定数に達しない場合(S835のN)は、ステップ833へ戻る。
次に、このような収納部移動処理が完了すると、装置本体200側に設けられたCPU回路部630に、図11に示すようにプリントの排出可能信号を出力する(S803)。また、搬送モータM1を駆動させ(S804)、さらに画像形成装置100からのシート搬送に備え、入口センサS1によるシートの到達監視を行なう(S805)。そして、入口センサS1がシート先端を検知すると(S806のY)、排紙モータクロックの監視を開始する(S807)。
その後、入口センサS1がシート後端を検知すると(S808のY)、紙有り無し検知センサS2の信号を監視する(S809)。そして、紙有り無し検知センサS2がシートの先端を検知すると(S810のY)、選択されたi番目のシート収納部のシート保持部340に正常にシートが保持されたと判断し、シートの収納が正常に完了したと判断する(S811)。
なお、入口センサS1がシート先端を検知せず(S806のN)、この状態が所定時間経過した場合には(S840のY)、ジャム信号を出力する(S850)。また、入口センサS1がシート後端を検知せず(S808のN)、この状態が所定時間経過した場合、すなわちモータクロック数が所定の値となった場合には(S841のY)、ジャム信号を出力する(S850)。さらに、紙有り無し検知センサS2がシート先端を検知せず(S810のN)、この状態が所定時間経過した場合、すなわちモータクロック数が所定の値となった場合には(S842のY)、ジャム信号を出力する(S850)。
以上説明したように、本実施形態では、先行シートP1を保持したまま後続シートP2をシート保持部340に進入させる場合でも、先行シートを保持部材305a、305bのどちらかが保持する。そのため、複数枚のシートPを立てた状態でも先行シートP1を落下等させることなく収納することができる。これにより、例えば、ステイプル等の処理を施さない場合でも複数枚のシートを立てた状態で容易に保持可能になり、シートの視認性及び取り出し性を向上させることができる。その結果、シート(シート束)の取り出し時の積載シートの乱れを抑制可能となり、排出エラー等の装置トラブルを防ぐことができる。
また、本実施形態では、先行シートP1が収納ガイド304と保持部材305a、305bの間に挿入する際には、矢印B方向へ移動自在な保持部材305a、305bを先行シートP1の厚さ分のみ移動させるだけの弱い力で挿入することができる。また、挿入された先行シートP1の後端が搬送ローラ301から抜けると、保持部材305a、305bに作用する重力が搬送ガイド303の傾斜部303βa、303βbを介して、収納ガイド304のガイド面へ当接する挟持圧F1、F2を加える。この楔効果として作用する挟持圧F1、F2により先行シートP1は、シート保持部340に保持される。そして、保持部材305a、305bと収納ガイド304との間で保持されたシートPを装置の奥行き方向及び上方向に引けば楔効果が作用しないので、片手で容易にシート保持部340からシート(シート束)を取り出すことができる。これは、後続シートP2等に対しても同様である。
また、本実施形態では、シート保持部340の上方に先端規制部材350が設けられている。そのため、搬送ローラ301及び搬送従動コロ302から搬送されるシートや搬送中のシートに連れ回されたシート等の先端位置を規制して、例えば、シートの高さを一定にさせることができる。
また、本実施形態では、装置本体200の上部に5つのシート収納部330を並列配置することにより、例えば、設置スペースを広くすることなく、収納量を増加することができる。また、シートを立てた状態で収納するようにすることにより、例えば、ラージサイズのシートを収納する場合においても、設置スペースを広くする必要がなくなる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置100Aについて、図14(a)から図16を参照しながら説明する。第2実施形態に係る画像形成装置100Aは、2つのシート保持部340a,340bによってシートPを保持する第1実施形態に対して、1つのシート保持部340AによってシートPを保持する点で相違する。そのため、第2実施形態においては、第1実施形態と相違する点、即ち、シート収納装置300Aのシート保持部340Aを中心に説明し、第1実施形態と同様の構成のものについては、同じ符号を付してその説明を省略する。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成のものについては、第1実施形態と同様の効果を奏する。
まず、第2実施形態に係るシート保持部340Aについて、図14(a)及び図14(b)を参照しながら説明する。図14(a)は、第2実施形態に係るシート収納装置300Aのシート収納部330Aを示す斜視図である。図14(b)は、図14(a)に示すシート収納部330Aのシート保持部340Aを示す断面図である。
図14(a)及び図14(b)に示すように、シート収納部330aAは、収納ガイド304及び搬送ガイド303Aを有するガイド部370Aと、保持部材305Aとを備えて構成されている。これら搬送ガイド303A及び保持部材305Aは、シート保持部340Aを構成している。また、シート収納部330aAは、先端規制部材350も備えている。搬送ガイド303Aは、対向壁部303αAと、傾斜部303βAと、下部ガイド部303γAと、を備える。傾斜部303βAの傾斜面33は、X方向に傾斜しているのに加えて、ガイド面沿って上方に向かって搬送されるシートの搬送方向と直交する幅方向Yに対して所定角度傾斜(C度傾斜)した状態で設けられている。保持部材305Aは、第1保持部材305A1と、第2保持部材305A2と、第3保持部材305A3と、を備え、収納ガイド304と、搬送ガイド303Aの対向壁部303αA及び傾斜部303βAとの間に、転動自在に配設されている。このように、シート保持部340Aは、上下方向の異なる位置に配置された第1〜第3保持部材305A1、305A2、305A3が、上記幅方向Yにおいても異なる位置に配置されて構成されている。即ち、上記傾斜部303βAの傾斜面33は、幅方向Yに対しても所定角度C傾斜している。そして第1〜第3転動部材である上記第1〜第3保持部材305A1、305A2、305A3は、この単一の傾斜部303βAの傾斜面33の異なる部分を転動するように配設されている。
次に、シート保持部340Aで複数枚のシートPを保持する動作について、図15(a)から図15(d)を参照しながら説明する。第2実施形態においては、先行シートP1が第1保持部材305A1、第2保持部材305A2及び第3保持部材305A3に保持された状態で後続シートP2を挿入して、先行シートP1及び後続シートP2が保持されるまでの動作について説明する。
図15(a)は、後続シートP2が第1保持部材305A1を通過する状態を示す図である。図15(b)は、後続シートP2が第2保持部材305A2を通過する状態を示す図である。図15(c)は、後続シートP2が第3保持部材305A3を通過する状態を示す図である。図15(d)は、先行シートP1及び後続シートP2が第1保持部材305A1、第2保持部材305A2及び第3保持部材305A3に保持された状態を示す図である。
先行シートP1がシート保持部340aAに保持されている状態で、後続シートP2がシート収納部330に搬送されると、第1保持部材305A1が収納ガイド304との第1ニップ部61Aに進入しようとする後続シートP2に押圧される(図15(a)参照)。第1保持部材305A1が後続シートP2に押圧されると、第1保持部材305A1は、傾斜部303βAの傾斜面33に沿って矢印B方向に後続シートP2の厚さ分移動(上昇)する。これにより、後続シートP2が第1ニップ部61Aを通過可能となる。
このとき、第1保持部材305A1が移動することにより第1保持部材305A1による挟持圧F1は解除されるが、先行シートP1は、第2保持部材305A2の挟持圧F2及び第3保持部材305A3の挟持圧F3により保持されている。そのため、第1保持部材305A1による挟持圧F1が解除されても、先行シートP1が落下する等の不良現象は発生しない。また、後続シートP2の第1ニップ部61A通過時には、第1保持部材305A1に作用する重力Mにより、先行シートP1及び後続シートP2に収納ガイド304の方向に向かう挟持圧F1(=M/tanθ)が加わる。しかし、搬送ローラ301の搬送力により後続シートP2が第1保持部材305A1を押圧すると共に、第1保持部材305A1が転動自在に形成されているため後続シートP2は第1ニップ部61Aを通過することができる。
次に、後続シートP2が搬送ローラ301より更に上方に搬送されると、図15(b)に示すように、第2保持部材305A2が、収納ガイド304との第2ニップ部62Aに進入しようとする後続シートP2により押圧される。第2保持部材305A2が後続シートP2に押圧されると、第2保持部材305A2は、傾斜部303βAの傾斜面33に沿って矢印B方向に後続シートP2の厚さ分移動(上昇)する。これにより、後続シートP2が第2ニップ部62Aを通過可能となる。
またこのとき、第2保持部材305A2が移動することにより第2保持部材305A2による挟持圧F2は解除されるが、先行シートP1及び後続シートP2は、第1保持部材305A1の挟持圧F1及び第3保持部材305A3の挟持圧F3により保持されている。そのため、第2保持部材305A2による挟持圧F2が解除されても、先行シートP1及び後続シートP2が落下する等の不良現象は発生しない。なお、ここでも、第2ニップ部62Aの通過時には、先行シートP1及び後続シートP2には、第2保持部材305A2に作用する重力Mにより、収納ガイド304の方向に向かう挟持圧F2(=M/tanθ)が加わる。しかし、搬送ローラ301の搬送力により後続シートP2が第2保持部材305A2を押圧すると共に、第2保持部材305A2が転動自在に形成されているため後続シートP2は第2ニップ部62Aを通過することができる。
次に、後続シートP2が搬送ローラ301より更に上方に搬送されると、図15(c)に示すように、第3保持部材305A3が、収納ガイド304との第3ニップ部63に進入しようとする後続シートP2により押圧される。第3保持部材305A3が後続シートP2に押圧されると、第3保持部材305A3は、傾斜部303βAの傾斜面33に沿って矢印B方向に後続シートP2の厚さ分移動(上昇)する。これにより、後続シートP2が第3ニップ部63を通過可能となる。
またこのとき、第3保持部材305A3が移動することにより第3保持部材305A3による挟持圧F3は解除されるが、先行シートP1及び後続シートP2は、第1保持部材305A1の挟持圧F1及び第2保持部材305A2の挟持圧F2により保持されている。そのため、第3保持部材305A3による挟持圧F3が解除されても、先行シートP1及び後続シートP2が落下する等の不良現象は発生しない。なお、ここでも、第3ニップ部63の通過時には、先行シートP1及び後続シートP2には、第3保持部材305A3に作用する重力Mにより、収納ガイド304の方向に向かう挟持圧F3(=M/tanθ)が加わる。しかし、搬送ローラ301の搬送力により後続シートP2が第3保持部材305A3を押圧すると共に、第3保持部材305A3が転動自在に形成されているため後続シートP2は第3ニップ部63を通過することができる。
このように、先行シートP1を保持している状態で、後続シートP2がシート保持部340Aに進入する場合でも、第1保持部材305A1、第2保持部材305A2及び第3保持部材305A3のいずれかが先行シートP1及び後続シートP2を保持している。これにより、シート収納部330に複数のシートPを収納することが可能となる。
ここで、図16に、シート収納部330aAに保持されたシートPの状態を示す。図16に示すように、シート保持部340Aは、シート搬送方向と直交する奥行き方向(幅方向、シート取り出し方向)の奥側位置に配置されている。これにより、シート保持部340AによってシートPを保持した際、シートPの手前側がシート収納部330aAから手前側、すなわち装置本体200の手前側に突出した状態になる。
また、シート収納部330aA(のシート保持部340A)の高さ方向(上下方向Z)の長さは、収納したシートPの上部が突出するような長さに設定されている。つまり、本実施形態においては、シート収納部330Aの高さ及び奥行き方向の幅を、収納されたシートPのシート搬送方向下流端部及び手前側の端部がシート収納部330aAから突出するように設定している。
以上説明したように、本実施形態では、第1実施形態と比較すると、単一の傾斜面33によって複数の保持部材としての転動部材305A1〜305A3を上下方向の異なる位置に配設し、複数枚のシートPを安定的に保持することができる。即ち、搬送ガイド303Aは、少なくとも1つの傾斜面33があれば、複数の転動部材305A1〜305A3を上下方向の異なる位置に配設することができる。
また、傾斜部303βAが幅方向に対してC度傾いて形成されているため、取り出し可能範囲がC度広がる構成となっている。これにより、シート収納部330Aに収納されたシートPは、図16の角度θ+Cで示す装置本体手前側方向T、装置本体手前側斜め上方方向V、上方向Wの範囲で取り出しが可能となり、シートPを取り出す時の掴み代として有効となる。
なお、上記第1及び第2実施形態において、保持部材として転動部材を用いたが、必ずしも保持部材が回転する部材である必要はない。例えば、保持部材として、毛の流れが上方側に向いたブラシや、上方側に向いたゴムなどの可撓性部材によって保持部材を形成しても良い。即ち、収納ガイド304と共にニップ部を形成し、上方に向かって搬送されるシートのニップ部の通過を可能にし、ニップ部を先端が通過したシートの下方への移動を規制して保持する事が可能であれば、どのような構成でも良い。
また、上記第1及び第2実施形態において、保持部材を、傾斜面を転動する円柱形状のコロからなる転動部材によって構成したが、例えば、球体形状、円筒形状、紡錘形状のものを用いてもよい。更に、転動部材は、その外周をスポンジやゴムなどによって構成しても良い。
また、上記転動部材は、傾斜面を転動するコロではなく、ワンウェイクラッチを介して設けられたローラによって構成しても良い。例えば、図17に示すように、シート収納部は、第1転動部材として第1ワンウェイクラッチ403aを介して設けられた第1ローラ405aと、第2転動部材として第2ワンウェイクラッチ403bを介して設けられた第2ローラ405bとを備えても良い。
より詳しくは、上記第1転動部材は、第1固定軸404aと、上述した第1ワンウェイクラッチ403a及び第1ローラ405aを有しており、第1固定軸404aは、搬送ガイド303Bに対して回転不能に支持されている。また、第1ワンウェイクラッチ403aは、上方に向かうシートPの搬送に従動する方向には第1固定軸404aに対して空転し、逆方向には第1固定軸404aに係合するように構成されている。更に、第1ローラ405aは、この第1ワンウェイクラッチ403aを介して第1固定軸404aに取付けられており、弾性を有する発泡体により構成されている。そのため、この第1ローラ405aは、収納ガイド304に当接して弾性変形し、収納ガイド304と共に第1ニップ部61Bを形成する。
一方、第2転動部材も第1転動部材と同様に、第2固定軸404b、第2ワンウェイクラッチ403b及び第2ローラ405bによって構成されている。これら第2固定軸404b、第2ワンウェイクラッチ403b及び第2ローラ405bは、第1転動部材と同様の構造をしているが、第2固定軸404bが第1固定軸404aと上下方向位置が異なるように配設されている。具体的には、上記第2固定軸404bは収納ガイド304に沿って第1固定軸404aの上方側に配設されており、収納ガイド304と第2ローラ405bとによって第2ニップ部62Bを形成している。
そのため、上記シート収納部330にシート搬送部314からシートPが搬送されると第1ローラ405aが第1ニップ部61Bに進入しようと上方に向かって搬送されるシートPに従動して時計回りに回転し、シートPの第1ニップ部61Bの通過を許可する。更にシートPが収納ガイド304のガイド面に沿って上方に搬送されると、第2ニップ部62Bに進入しようとするシートPによって第2ローラ405bが時計周りに回転し、シートPの第2ニップ部62Bの通過を許可する。そして、シートPの搬送が終わると、上記第1及び第2ローラ405a,405bは、反時計回りには回転しないため、シートPはこれら第1及び第2ローラ405a,405bからの挟持圧(押圧力)によって保持される。
更に、既保持シートP1がある場合についても、第1及び第2ニップ部61B,62Bのいずれか一方に後続シートP2が進入する際には、上記第1もしくは第2ローラ405a,405bの少なくともいずれか一方から挟持圧が付与されている。そのため、既保持シートP1が落下することを防止することができる。
また、例えば、上述した実施形態においては、収納ガイド304は、略垂直に立設したが、本発明においては、収納ガイド(ガイド面304a)304が鉛直方向に対して正逆45度以内の範囲に形成されたものであってもよい。
更に、本実施形態に記載された発明は、どのように組み合わされても良く、例えば、第1実施形態や第2実施形態に記載されているシート保持部を組み合わせたり、第2実施形態のシート保持部を複数設けたりしても良い。また、上記保持部は、2つに限らず、3つ以上の保持部を設けても良いことは言うまでもない。更に、例えば、第1実施形態の第1及び第2転動部材を幅方向に分割し、保持部材を複数の転動部材のグループによって形成しても良い。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されない。