JP5929017B2 - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents
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Description
請求項2に記載の発明は、前記磁界生成部材は、前記定着部材の外側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の定着装置である。
請求項3に記載の発明は、記録材にトナー像を形成するトナー像形成部と、導電層を有し、当該導電層が電磁誘導加熱されることで前記記録材にトナーを定着する定着部材と、前記定着部材に対峙して設けられ、当該定着部材の長手方向の一端から他端に向けておよび当該他端から当該一端に向けて旋回して捲かれた導線を有し、当該定着部材の前記導電層を電磁誘導加熱する交流磁界を生成する磁界生成部材と、前記磁界生成部材の前記定着部材と対峙する側とは反対側において、少なくとも当該磁界生成部材の中央部と前記一端側の端部と前記他端側の端部とに複数配置され、当該磁界生成部材にて生成された磁界の磁路を形成する磁路形成部材と、を備え、前記磁界生成部材は、前記一端側の端部および前記他端側の端部が前記中央部と比較して前記定着部材に近接して設けられるとともに、当該定着部材と対峙する側とは反対側と前記磁路形成部材との距離が前記長手方向にかけて一定であって、当該一端側の端部および当該他端側の端部の当該定着部材の周方向における幅が当該中央部の当該周方向における幅よりも長く形成されることを特徴とする画像形成装置である。
請求項2の発明によれば、定着部材の内側に磁界生成部材を設ける場合と比較して、磁界生成部材の温度上昇を抑えることができる。
<画像形成装置の説明>
図1は、本実施形態の定着装置が適用される画像形成装置を示した図である。
図1に示すように、画像形成装置1は、所謂タンデム型のカラープリンタであり、画像データに基づき画像形成を行う画像形成部10、画像形成装置1全体の動作を制御する制御部31を備えている。さらには、例えばパーソナルコンピュータ(PC)3や画像読取装置(スキャナ)4等との通信を行って画像データを受信する通信部32、通信部32にて受信された画像データに対し予め定めた画像処理を施す画像処理部33を備えている。
画像形成ユニット11各々は、現像器15に収納されるトナーを除いてほぼ同様に構成され、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
一方、一次転写後に感光体ドラム12に付着しているトナー(一次転写残トナー)、および二次転写後に中間転写ベルト20に付着しているトナー(二次転写残トナー)は、それぞれドラムクリーナ16、およびベルトクリーナ25によって除去される。
このようにして、画像形成装置1での画像形成処理がプリント枚数分のサイクルだけ繰り返し実行される。
次に、本実施形態の定着ユニット60について説明する。
図2および図3は本実施形態の定着ユニット60の構成を示す図であり、図2は正面図、図3は図2におけるIII−III断面図である。また、図4は、定着ベルト61の断面層構成図である。
まず、断面図である図3に示すように、定着ユニット60は、交流磁界を生成するIH(Induction Heating)ヒータ80、IHヒータ80により電磁誘導加熱されてトナー像を定着する定着ベルト61、定着ベルト61に対向するように配置された加圧ロール62、定着ベルト61を介して加圧ロール62から押圧される押圧パッド63を備えている。
さらに、定着ユニット60は、押圧パッド63等の構成部材を支持するホルダ65、IHヒータ80にて生成された交流磁界を誘導して磁路を形成する感温磁性部材64、感温磁性部材64を通過した磁力線を誘導する誘導部材66、定着ベルト61からの用紙Pの剥離を補助する剥離補助部材70を備えている。
定着部材の一例としての定着ベルト61は、原形が円筒形状の無端のベルト部材で構成され、例えば原形(円筒形状)時の直径が30mm、幅方向(定着ベルト61の回転中心方向)長が370mmに形成されている。また、図4に示すように、定着ベルト61は、基材層611、基材層611の上に積層された導電発熱層612、トナー像の定着性を向上させる弾性層613、最上層に被覆された表面離型層614を備える多層構造のベルト部材である。
具体的には、基材層611として、例えば、厚さ30〜200μm(好ましくは50〜150μm)の非磁性ステンレススチール等の非磁性金属や、厚さ60〜200μmの樹脂材料等が用いられる。
通常、IHヒータ80に交流電流を供給する励磁回路88(後述する図6参照)の電源として、安価に製造できる汎用電源が使用される。そのため、IHヒータ80により生成される交流磁界の周波数は、一般に、汎用電源による20k〜100kHzとなる。それにより、導電発熱層612は、周波数20k〜100kHzの交流磁界が侵入し通過するように構成される。
そのため、導電発熱層612の厚さは、周波数20k〜100kHzの交流磁界が導電発熱層612を侵入し通過するように、(1)式で規定される導電発熱層612の表皮深さ(δ)よりも薄層に構成される。また、導電発熱層612を構成する材料として、例えば、Au,Ag,Al,Cu,Zn,Sn,Pb,Bi,Be,Sb等の金属や、これらの金属合金が用いられる。
また、定着ベルト61が定着設定温度まで加熱されるまでに要する時間(以下、「ウォームアップタイム」)を短縮する観点からも、導電発熱層612は、薄層に構成するのが好ましい。
押圧パッド63は、シリコーンゴム等やフッ素ゴム等の弾性体で構成され、加圧ロール62と対向する位置にてホルダ65に支持される。そして、定着ベルト61を介して加圧ロール62から押圧される状態で配置され、加圧ロール62との間でニップ部Nを形成する。
また、押圧パッド63は、ニップ部Nの入口側(用紙Pの搬送方向上流側)のプレニップ領域63aと、ニップ部Nの出口側(用紙Pの搬送方向下流側)の剥離ニップ領域63bとで異なるニップ圧が設定されている。すなわち、プレニップ領域63aでは、加圧ロール62側の面がほぼ加圧ロール62の外周面に倣う円弧形状に形成され、均一で幅の広いニップ部Nを形成する。また、剥離ニップ領域63bでは、剥離ニップ領域63bを通過する定着ベルト61の曲率半径が小さくなるように、加圧ロール62表面から局所的に大きなニップ圧で押圧されるように形成される。それにより、剥離ニップ領域63bを通過する用紙Pに定着ベルト61表面から離れる方向のカール(ダウンカール)を形成して、用紙Pに対する定着ベルト61表面からの剥離を促進させている。
次に、感温磁性部材64は、定着ベルト61の内周面に倣った円弧形状で形成され、定着ベルト61の内周面とは予め定めた間隙(例えば、0.5〜2.5mm)を有するように近接はさせるが、非接触で配置される。感温磁性部材64を定着ベルト61と近接させて配置するのは、感温磁性部材64の温度が定着ベルト61の温度に対応して変化する、すなわち、感温磁性部材64の温度が定着ベルト61の温度とほぼ同じ温度となるように構成するためである。また、感温磁性部材64を定着ベルト61と非接触で配置するのは、画像形成装置1のメインスイッチがオンされ、定着ベルト61が定着設定温度まで加熱される際に、定着ベルト61の熱が感温磁性部材64に流入するのを抑制して、ウォームアップタイムの短縮を図るためである。
一方、透磁率変化開始温度を超える温度範囲においては、感温磁性部材64は、IHヒータ80にて生成され定着ベルト61を透過した磁力線を、感温磁性部材64の厚さ方向に横切るように透過させる。それにより、IHヒータ80にて生成され定着ベルト61を透過した磁力線は、感温磁性部材64を透過し、誘導部材66の内部を通過してIHヒータ80に戻る磁路を形成する。
また、感温磁性部材64は、IHヒータ80により生成された交流磁界(磁力線)に対する表皮深さδ(上記(1)式参照)よりも厚い厚さで形成される。具体的には、例えばFe−Ni合金を用いた場合には50〜300μm程度に設定される。
押圧パッド63を支持するホルダ65は、押圧パッド63が加圧ロール62からの押圧力を受けた状態での撓み量が一定量以下となるように、剛性の高い材料で構成される。それにより、ニップ部Nにおける長手方向の圧力(ニップ圧)の均一性を維持している。さらに、本実施形態の定着ユニット60では、電磁誘導を用いて定着ベルト61を加熱する構成を採用していることから、ホルダ65は、誘導磁界に影響を与えないか、または与え難い材料であり、かつ、誘導磁界から影響を受けないか、または受け難い材料で構成される。例えば、ガラス混入PPS(ポリフェニレンサルファイド)等の耐熱性樹脂や、例えばAl,Cu,Ag等の非磁性金属材料等が用いられる。
誘導部材66は、感温磁性部材64の内周面に倣った円弧形状で形成され、感温磁性部材64の内周面とは予め定めた間隙(例えば、1.0〜5.0mm)を有する非接触に配置される。また、誘導部材66は、例えばAg,Cu,Alといった固有抵抗値が比較的小さい非磁性金属で構成される。そして、感温磁性部材64が透磁率変化開始温度以上の温度に上昇した際に、IHヒータ80により生成された交流磁界(磁力線)を誘導して、定着ベルト61の導電発熱層612よりも渦電流Iが発生し易い状態を形成する。それにより、誘導部材66の厚さは、渦電流Iが流れ易いように、表皮深さδ(上記(1)式参照)よりも充分に厚い予め定めた厚さ(例えば、1.0mm)で形成される。
次に、定着ベルト61の駆動機構について説明する。
正面図である図2に示したように、ホルダ65(図3参照)の軸方向両端部には、定着ベルト61の両端部の断面形状を円形に維持しながら定着ベルト61を周方向に回転駆動するエンドキャップ部材67が固定されている。そして、定着ベルト61は、両端部からエンドキャップ部材67を介した回転駆動力を直接的に受けて、例えば140mm/sのプロセススピードで図3の矢印C方向に回転移動する。
図5に示したように、エンドキャップ部材67は、定着ベルト61の両端部内側に嵌め込まれる固定部67a、固定部67aより外径が大きく形成され、定着ベルト61に装着された際に定着ベルト61よりも半径方向に張り出すように形成されたフランジ部67d、回転駆動力が伝達されるギヤ部67b、ホルダ65の両端部に形成された支持部65aと結合部材166を介して回転自在に結合されたベアリング軸受部67cを備える。そして、上記図2に示したように、ホルダ65の両端部の支持部65aが定着ユニット60の筐体69の両端部に固定されることで、エンドキャップ部材67は、支持部65aに結合されたベアリング軸受部67cを介して回転自在に支持される。
このように、定着ベルト61が定着ベルト61の両端部から駆動力を直接受けて回転するので、定着ベルト61は安定して回転する。
また、エンドキャップ部材67のフランジ部67dにより定着ベルト61の片寄りを抑えているが、その際の定着ベルト61には、一般に、端部(フランジ部67d)側から軸方向に向けて1〜5N程度の圧縮力が働く。しかし、定着ベルト61がこのような圧縮力を受けた場合においても、定着ベルト61の基材層611が非磁性ステンレススチール等で構成されていることから、座屈等の発生が抑制される。
加圧ロール62は、例えば直径18mmの中実のアルミニウム製コア(円柱状芯金)621と、コア621の外周面に被覆された例えば厚さ5mmのシリコーンスポンジ等の耐熱性弾性体層622と、さらに例えば厚さ50μmのカーボン配合のPFA等の耐熱性樹脂被覆または耐熱性ゴム被覆による離型層623とが積層されて構成される。そして、押圧バネ68(図2参照)により例えば25kgfの荷重で定着ベルト61を介して押圧パッド63を押圧している。
図6は、IHヒータ80の構成を説明する断面図である。また、図7は、IHヒータ80の積層構造を説明するための図である。
続いて、定着ベルト61の導電発熱層612に交流磁界を作用させて電磁誘導加熱するIHヒータ80について説明する。
加熱装置の一例としてのIHヒータ80は、図6に示すように、例えば耐熱性樹脂等の非磁性体から構成される支持体81、交流磁界を生成する励磁コイル82を備えている。また、励磁コイル82を支持体81上に固定する例えばシリコーンゴム等の弾性体で構成された弾性支持部材83、定着ベルト61の幅方向に沿って複数配置され、励磁コイル82にて生成された交流磁界の磁路を形成する磁心84を備えている。さらに、磁心84を上部から覆うように保持して磁心84の動きや移動を規制する磁心規制部材87、磁心規制部材87を介して磁心84を支持体81側に加圧する加圧部材86、磁界を遮蔽して外部への漏洩を抑制するシールド85、励磁コイル82に交流電流を供給する励磁回路88を備えている。
また、支持面81aの中央には、磁心84を支持する一対の磁心支持部(凸状部)81b1,81b2が支持体81の長手方向(=定着ベルト61移動方向と直交する方向)に沿って平行に配置されている。磁心支持部81b1,81b2は、磁心84と支持面81aとの間隙を一定に保つとともに、磁心84を定着ベルト61の回転方向に沿って移動可能に支持する。
さらに、図7に示すように、長手方向における支持面81aの端部は、中央部と比較して定着ベルト61側に低くなるように表面が抉られた凹部81uを有している。この支持面81aの端部に形成される凹部81uは、後述する励磁コイル82の端部における折返し部82R(後段の図9参照)が嵌るように構成されている。
弾性支持部材83は、例えばシリコーンゴム等やフッ素ゴム等の弾性体で構成されたシート状部材である。弾性支持部材83は、励磁コイル82が支持体81の支持面81aに密着して固定されるように、励磁コイル82を支持体81に対して押圧するように設定されている。
なお、一般に、励磁コイル82にて交流磁界が生成されると、励磁コイル82近傍に配置された磁心84や定着ベルト61の内周面側に配置された感温磁性部材64等との間で相互に磁力が作用する。それにより、励磁コイル82自身に振動(磁歪)が発生する。そこで、本実施形態のIHヒータ80では、弾性支持部材83によって、励磁コイル82の振動を吸収させている。
また、定着ベルト61の回転方向に沿った磁心84の長さは、感温磁性部材64の定着ベルト61の回転方向に沿った長さよりも小さく構成される。それにより、磁力線のIHヒータ80周辺への漏洩が減り、力率が向上する。さらには、定着ユニットを構成する金属製部材への電磁誘導を抑え、定着ベルト61(導電発熱層612)での発熱効率を高める。
また、加圧部材86は、本実施形態では矩形状の部材であって、長手方向に沿って延びて設けられる。本実施形態では、シールド85と磁心規制部材87との間に設けられる。そして、加圧部材86は、磁心規制部材87を介して磁心84を支持体81側に加圧する。なお、加圧部材86としては、例えばシリコーンゴム等やフッ素ゴム等の弾性体や、バネ等の弾性部材を用いることができる。
次に、本実施形態のIHヒータ80における励磁コイル82および磁心84の支持体81への固定について述べる。
IHヒータ80では、支持体81の支持面81a上にて、励磁コイル82の閉ループ中空部82aが、支持面81aの長手方向中心軸に沿って配置された一対の磁心支持部(凸状部)81b1,81b2を囲むようにして設置される。支持面81aは、円形状の軌道を描きながら回転移動する定着ベルト61との間隙が規定値(設計値)に設定された位置設定面として形成されている。それにより、励磁コイル82が支持面81aに密着して配置されることで、励磁コイル82と定着ベルト61との間隙が設計値に設定されることとなる。なお、本実施形態では、支持面81aの長手方向中心軸は、定着ベルト61の移動方向と直交する方向に沿って設けられる。
なお、磁心84と励磁コイル82との間に配置される弾性支持部材83の厚さは、磁心支持部81b1,81b2に内周側円弧面84bが支持された際の磁心84と支持面81aとの間隙よりも厚く形成されている。
IHヒータ80により生成された交流磁界によって定着ベルト61が発熱する状態を説明する。
まず、上記したように、感温磁性部材64の透磁率変化開始温度は、各色トナー像を定着する定着設定温度以上であって定着ベルト61の耐熱温度以下となる温度範囲内(例えば、140〜240℃)に設定されている。そして、定着ベルト61の温度が透磁率変化開始温度以下の状態にある場合には、定着ベルト61に近接する感温磁性部材64の温度も定着ベルト61の温度に対応して、透磁率変化開始温度以下となる。そのため、感温磁性部材64は強磁性を呈するので、IHヒータ80により生成された交流磁界の磁力線は、定着ベルト61を透過した後、感温磁性部材64の内部を広がり方向に沿って通過する磁路を形成する。ここでの「広がり方向」とは、感温磁性部材64の厚さ方向と直交する方向を意味する。
ここで、従来例としてのIHヒータは、図8(a)に示すように、複数の銅線材を縒り合わせたリッツ線を巻いて形成した励磁コイル200を有している。そして、励磁コイル200は、リッツ線が定着ベルト300の長手方向に沿って直線状に伸びる直線部200Sと、定着ベルト300の長手方向に対して交差する方向に曲がりながらリッツ線が折り返される部分である折返し部200Rとを有している。そして、図8(b)に示すように、従来例の励磁コイル200は、定着ベルト300の長手方向に直線部200Sが沿うように設置される。励磁コイル200を励磁させることで、定着ベルト300の導電層を電磁誘導加熱することによって定着ベルト300の加熱を行う。
図9は、本実施形態が適用される励磁コイル82を説明するための図である。なお、図9(a)は励磁コイル82の斜視図であり、図9(b)は励磁コイル82の部分断面図である。
本実施形態の励磁コイル82は、図9(a)に示すように、閉ループ中空部82aを内側に有する楕円形状を呈している。そして、励磁コイル82の閉ループ中空部82aが定着ベルト61の回転中心方向に沿って設けられる支持体81の磁心支持部(81b1,81b2)に嵌め込まれて、定着ベルト61に対向するように取り付けられる(図7参照)。すなわち、励磁コイル82は、定着ベルト61の長手方向(回転軸方向)に沿って設けられる磁心支持部(81b1,81b2)の一端から他端に向けておよび他端から一端に向けて導線が旋回して捲かれる。そして、励磁コイル82には、定着ベルト61の回転方向に沿って直線状にリッツ線が伸びる部分となる直線部82Sと、励磁コイル82の端部にて、リッツ線が定着ベルト61の回転方向と交差する方向に曲がりながら折り返えす部分となる折返し部82Rとが形成される。このように構成される励磁コイル82は、IHヒータ80に取り付けられた状態にて、定着ベルト61に対峙して設けられる。
なお、本実施形態では1本のリッツ線を10周捲いて励磁コイル82を構成しているため、直線部82Sおよび折返し部82Rは、それぞれ10本分のリッツ線の断面に相当する束によって構成される。
本実施形態では、2枚の板部材からなる成形型を用いて、励磁コイル82を作製する。成形型は、平面部および平面部から突出する矩形状の凸部を有する第1型部材と、折返し部82Rに対応する位置を抉るように形成した凹部を有する第2型部材とを備えて構成される。なお、第1型部材の矩形状の凸部は、本実施形態の支持体81の磁心支持部81b1,81b2(図7参照)に対応し、磁心支持部81b1,81b2の長手方向と同様の長さに設定されている。また、第2型部材の凹部は、本実施形態の支持体81の凹部81u(図7参照)に対応し、凹部81uと同様の深さを有している。
励磁コイル82は、IHヒータ80に取り付けられた状態で、定着ベルト61に対向するように設けられる。このとき、図10(a)および(b)に示すように、励磁コイル82の折返し部82Rの突出部が形成される側が定着ベルト61側を向くようにして設けられる。また、励磁コイル82の平坦状に形成される面が定着ベルト61と逆側を向くように設けられる。
これによって、励磁コイル82の端部に形成される折返し部82Rによって磁力線の方向が直線部82Sと異なることに起因して定着ベルト61の発熱量が低下したのに対して、本実施形態では、折返し部82Rをより近接させることによって定着ベルト61に与える磁力を強くし、端部における発熱量の低下を抑制する。そして、本実施形態では、定着ベルト61の長手方向における温度分布の均一化を図っている。
また、例えば磁心84が取り付けられる側にも突出するように折返し部82Rの厚さを厚くした場合、折返し部82Rが位置する部分に取り付けられる磁心84が他の部分と比較して突出して高い位置に取り付けられることも考えられる。そうすると、磁心84と定着ベルト61表面との間隔は、折返し部82Rと直線部82Sとで異なってくる可能性が生じる。この場合、定着ベルト61の長手方向における定着ベルト61と磁心84との間隔の違いが、長手方向における発熱量のバラツキにつながる畏れがある。
通常、励磁コイル82を構成する導線の径をより太くした場合、折返し部82Rにおける励磁コイル82の幅も大きくなる。従って、導線の径をより太くした場合、励磁コイル82全体として長手方向の長さはより長くなる。しかしながら、本実施形態では、上述のとおり、励磁コイル82の端部を圧縮し、折返し部82Rの励磁コイル82の幅を直線部82Sの幅よりも小さくする構成としているため、励磁コイル82の長手方向の長さが短くなる。そのため、本実施形態が適用される励磁コイル82は、長手方向の長さが同じである他の励磁コイル82と比較して、より径の大きい導線を用いて構成することが可能になる。
図11は、変形例の励磁コイル82を説明するための図である。
図11(a)に示すように、変形例の励磁コイル82は、励磁コイル82の端部を折り曲げて折返し部82Rを定着ベルト61側に向けて突出するように構成されている。この場合には、例えば上述した実施形態のように励磁コイル82の端部を圧縮する代わりに、励磁コイル82の端部を中央部から離れる方向に押し下げる加工を施す。このように構成した変形例の励磁コイル82は、図11(b)に示すように、励磁コイル82の端部に形成される折返し部82Rが、中央部に形成される直線部82Sと比較して定着ベルト61表面に近接する。このように構成される変形例の励磁コイル82を備えたIHヒータ80では、定着ベルト61の端部における励磁コイル82との距離を定着ベルト61の中央部と比較して相対的に近づけない構成を採用する場合と比較して、定着ベルト61の端部における発熱量が向上し、結果として定着ベルト61の長手方向にわたって発熱量が均一化される。
Claims (3)
- 導電層を有し、当該導電層が電磁誘導加熱されることで記録材にトナーを定着する定着部材と、
前記定着部材に対峙して設けられ、当該定着部材の長手方向の一端から他端に向けておよび当該他端から当該一端に向けて旋回して捲かれた導線を有し、当該定着部材の前記導電層を電磁誘導加熱する交流磁界を生成する磁界生成部材と、
前記磁界生成部材の前記定着部材と対峙する側とは反対側において、少なくとも当該磁界生成部材の中央部と前記一端側の端部と前記他端側の端部とに複数配置され、当該磁界生成部材にて生成された磁界の磁路を形成する磁路形成部材と、
を備え、
前記磁界生成部材は、前記一端側の端部および前記他端側の端部が前記中央部と比較して前記定着部材に近接して設けられるとともに、当該定着部材と対峙する側とは反対側と前記磁路形成部材との距離が前記長手方向にかけて一定であって、当該一端側の端部および当該他端側の端部の当該定着部材の周方向における幅が当該中央部の当該周方向における幅よりも長く形成されることを特徴とする定着装置。 - 前記磁界生成部材は、前記定着部材の外側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 記録材にトナー像を形成するトナー像形成部と、
導電層を有し、当該導電層が電磁誘導加熱されることで前記記録材にトナーを定着する定着部材と、
前記定着部材に対峙して設けられ、当該定着部材の長手方向の一端から他端に向けておよび当該他端から当該一端に向けて旋回して捲かれた導線を有し、当該定着部材の前記導電層を電磁誘導加熱する交流磁界を生成する磁界生成部材と、
前記磁界生成部材の前記定着部材と対峙する側とは反対側において、少なくとも当該磁界生成部材の中央部と前記一端側の端部と前記他端側の端部とに複数配置され、当該磁界生成部材にて生成された磁界の磁路を形成する磁路形成部材と、
を備え、
前記磁界生成部材は、前記一端側の端部および前記他端側の端部が前記中央部と比較して前記定着部材に近接して設けられるとともに、当該定着部材と対峙する側とは反対側と前記磁路形成部材との距離が前記長手方向にかけて一定であって、当該一端側の端部および当該他端側の端部の当該定着部材の周方向における幅が当該中央部の当該周方向における幅よりも長く形成されることを特徴とする画像形成装置。
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