しかしながら、上述の特許文献1では、保持部材に生じた応力が液晶パネルに伝達されることにより、液晶パネルの表示画像に色むらが発生し、表示画質が低下してしまうという技術的問題点がある。例えば、この主の電気光学装置は、液晶プロジェクターなどの電子機器に取り付けられる際に、保持部材を電子機器の壁面等にボルトなどによって取り付けることがある。ボルトで締め付ける際、保持部材には締め付け力に対応する歪みが生じるため、応力が発生する。また、放熱部材が有する放熱性能を超える発熱が生じた場合、保持部材が変形する(即ち、熱膨張しようとする)ことによってもまた、応力が発生する。このような応力が液晶パネルに伝達されると、液晶パネルの基板間ギャップを変異させ、表示画像に色むらが生じてしまう。
本発明は、例えば上記問題点に鑑みてなされたものであり、装置内部に発生する応力を抑制することにより、色むらが少なく高品位な画像表示が可能な電気光学装置、及びこれを備えてなる電子機器を提供することを課題とする。
本発明の電気光学装置は上記課題を解決するために、電気光学パネルと、前記電気光学パネルの一方の面に貼り合わされた防塵用基板と、前記防塵用基板の端部を支持する支持部と、前記電気光学パネルを囲むように配置される本体部とを有する保持部材とを備える。
本発明に係る電気光学パネルは、例えば、液晶パネルであり、光源光を画素領域において透過又は反射することによって画像を表示する。光源光は例えば白色ランプ等であり、その動作時に画素領域に対して照射される。画素領域には、例えば複数の画素がマトリクス状に配置されており、走査信号を供給する走査線及び画像信号を供給するデータ線に夫々電気的に接続されている。各画素は、画像信号の電位に応じて、対向配置された液晶等の電気光学物質の配向状態を制御する。
本発明に係る「保持部材」は、電気光学パネルを保持するための部材であって、本体部と支持部とを有して構成されている。
保持部材の本体部は、電気光学パネルを囲むように配置されている。本体部は、内側に配置されている電気光学パネルを外的要因から保護すると共に、電気光学装置を被実装部材に取り付ける際に使用するボルトなどを貫通させる部位であるため、典型的には十分な剛性度を有するように形成されている。
保持部材の支持部は、防塵用基板の端部を支持する。例えば、防塵用基板の外形形状が電気光学パネルの外形形状より大きいために、当該防塵用基板の端部が電気光学パネルより外側に張り出している場合、当該張り出した部分に支持部が接することによって、防塵用基板に貼り合わされた電気光学パネルが支持部によって支持される。つまり、保持部材の本体部において発生した応力は、防塵用基板及び保持部の支持部を介して、電気光学パネルに間接的に伝達される。そのため、保持部材から直接的に電気光学パネルに応力が伝達される場合に比べて、電気光学パネルが受ける応力を軽減することができる。
尚、防塵用基板は支持部に対して直接的に接触していてもよいし、接着剤やグリスなどを介して間接的に接触することにより支持されていてもよい。また、支持部は、本体部と一体的に形成されていてもよいし、互いに固定された別々の部材で形成されていてもよい。
以上説明したように、本発明によれば電気光学パネルに応力が印加されにくく、色むらの少ない高品位な画像表示が可能な電気光学装置を実現することができる。
本発明の電気光学装置の一の態様では、前記防塵用基板の外形形状は、前記電気光学パネルの外形形状よりも大きい。
この態様によれば、電気光学パネルより外側に張り出している防塵用基板の端部に支持部が接することによって、防塵用基板に貼り合わされた電気光学パネルが支持部によって支持される。つまり、保持部材の本体部において発生した応力は、防塵用基板及び保持部の支持部を介して、電気光学パネルに間接的に伝達される。そのため、保持部材から直接的に電気光学パネルに応力が伝達される場合に比べて、電気光学パネルが受ける応力を軽減することができる。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記本体部は、被実装部材側に突出するように形成された取付部を有し、前記支持部は、前記取付部に比べて凹むように形成されている。
この態様によれば、本体部は、被実装部材側に突出した取付部を有している。ここで被実装部材とは、当該電気光学装置が取り付けられる対象である外部の部材である限りにおいて限定されず、その物理的、機械的又は電気的構成を問わない各種の態様を採り得る。例えば、当該電気光学装置が液晶プロジェクター等の電子機器に取り付けられるライトバルブとして用いられる場合、ライトバルブを液晶プロジェクターに固定するための固定治具である。
取付部は被実装部材に対して、例えばボルトなどによって取り付けられる。この場合、ボルトを締め付けた際にボルトが接触する本体部及び被実装部材に歪みが生じ、応力が発生しやすい。しかしながら、このように発生した応力は、上述のように、保持部材の支持部において軽減されるため、電気光学パネルに伝達されにくい。本態様では、このようにボルトによって保持部材が締め付けられた場合であっても応力を軽減可能であるため、電気光学パネルの表示画像における色むらを効果的に抑制することができる。
一方、支持部は、取付部に比べて凹むように設けられているため、取付部が被実装部材に取り付けられた際に、保持部材は取付部においてのみ被実装部材に接触する。即ち、被実装部材に保持部材を取り付けた際に、支持部は被実装部材に接触せず、支持部の表面には構造的に余裕が存在する。本態様では、このような余裕空間に防塵用基板が接するように配置することで、効率的なレイアウトで本発明に係る電気光学装置を実現することができる。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記本体部は、前記電気光学パネルの画素領域に対応する開口部を有しており、前記支持部は、前記開口部の縁に沿って形成されている。
この態様によれば、支持部は開口部の縁に沿って形成されており、防塵用基板の縁部の全周に亘って支持部が接している。そのため、防塵用基板、及び防塵用基板に貼り合わされた電気光学パネルは保持部材内に安定的に固定される。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記支持部は、平面的に見て、前記本体部から凸状に突出するように形成されている。
この態様によれば、支持部は凸状に形成されているため、支持部が広く形成されている場合に比べて、防塵用基板との接触面積を減少させることができる。支持部から防塵用基板に伝達される応力の大きさは、支持部と防塵用基板との接触面積に依存するため、このように接触面積を減少させることにより、防塵用基板、及び防塵用基板に貼り合わされた電気光学パネルに印加される応力を軽減することができる。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記支持部は、接着用開口部を有し、前記防塵用基板は、該接着用開口部に充填された接着剤により、前記支持部に固定されている。
この態様によれば、支持部に形成された接着用開口部に接着剤を充填することにより、支持部に防塵用基板を固定することができる。上述のように、電気光学パネルに伝達される応力を軽減するためには、電気光学パネルに貼り合わされた防塵用基板と支持部との接触面積を減少させることが好ましいが、その反面、支持部によって支持された防塵用基板の安定性も同時に損なわれてしまうおそれがある。本態様では、このような場合であっても、防塵用基板を支持部に接着剤によって固定することができるので、防塵用基板の安定性を確保しつつ、電気光学パネルに伝達される応力を軽減することができる。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記防塵用基板の前記電気光学パネルに貼り合わされた面とは反対側から、前記防塵用基板及び前記本体部に接するように設けられており、平面的に見て、前記電気光学パネルの画素領域を少なくとも部分的に囲むように形成された遮光板を備える。
この態様によれば、遮光板は、電気光学パネルの画素領域を少なくとも部分的に囲むように形成されている。遮光板は、例えば、いわゆる見切り板である。遮光板の材料としては、遮光板の周辺に配置される部材(例えば、保持部材など)に比べて光反射性の低い材料を用いるとよい。
本発明では特に、遮光板は、防塵用基板の電気光学パネルに貼り合わされた面とは反対側から、保持部材及び防塵用基板に接するように設けられている。遮光板は典型的には板形状を有しているので、保持部材に比べて弾性を有する。従って、表示面側(即ち、光源光の入射する側)から遮光板によって保持することによって、保持部材において生じた応力は遮光板の弾性によって吸収され、電気光学パネルに伝達される応力を軽減することができる。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記電気光学パネルの前記防塵用基板が貼り合わされた面とは反対側に設けられた放熱部材を備える。
この態様によれば、放熱部材は、画像表示に関わる光源光の光路を妨げないように、電気光学パネルの裏面側に設けられており、例えばアルミニウム(Al)や銅(Cu)等の金属材料により形成される。このように、放熱部材では、電気光学パネルで発生する熱を効率良く熱伝導させて、放熱することができる。このように電気光学パネル放熱性を向上させることによって、発熱による保持部材などの電気光学装置の構成部材の歪み(即ち、応力の発生)を抑制することができる。
この場合、前記放熱部材は、前記保持部材と一体的に形成されているとよい。
この態様によれば、放熱部材と保持部材が別部材として形成された場合に比べて、全体の剛性度を向上させることができる。そのため、仮に電気光学装置に応力が発生した場合であっても、放熱部材と保持部材が別部材として形成された場合に比べて、応力を小さく留めることができる。従って、電気光学パネルに伝達される応力もまた軽減することが可能であり、表示画像における色ムラを更に抑制することができる。
また、前記放熱部材の前記電気光学パネルとの対向する面とは反対側から、前記放熱部材を前記保持部材に固定するためのフック部材を備えてもよい。
この態様によれば、放熱部材をフック部によって固定することにより、例えば放熱部材をネジ等によって固定する場合に比べて、電気光学パネル及び保持部材に対して応力が印加されることを抑制することができる。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記電気光学パネルは反射型である。
この態様によれば、電気光学パネルは、光源光を表示領域において反射することによって画像を表示する。光源光は例えば白色ランプ等であり、その動作時に表示領域に対して照射される。電気光学パネルは、例えば表示領域に入射した光を画素単位で変調した後、Al(アルミニウム)膜等の反射膜によって反射することにより画像を表示する。
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様も含む)を備える。
本発明の電子機器によれば、上述した本発明に係る電気光学装置を具備してなるので、信頼性が高く、高品質な画像を表示可能な投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサー、ビューファインダー型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。また、本発明の電子機器として、例えば電子ペーパーなどの電気泳動装置等も実現することも可能である。
本発明の作用及び他の利得は次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態では、電気光学パネルの一例であるTFTアクティブマトリクス駆動方式の反射型の液晶パネルを備える電気光学装置を例にとる。
<電気光学装置>
<第1実施形態>
まず、本実施形態に係る電気光学装置が備える液晶パネル100の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る電気光学装置が備える液晶パネル100の全体構成を示す平面図である。図2は、図1のH−H´線断面図である。
液晶パネル100は、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されて構成されている。TFTアレイ基板10は、例えば単結晶シリコン基板又はガラス基板若しくは石英基板等の透明基板からなり、対向基板20は、例えばガラス基板、石英基板等の透明基板からなる。TFTアレイ基板10と対向基板20との間には液晶層50が封入されている。液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、一対の配向膜間で所定の配向状態をとる。
TFTアレイ基板10と対向基板20とは、複数の画素電極が設けられた画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により、相互に接着されている。尚、画像表示領域10aは、本発明に係る「画素領域」の一例である。
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(即ち、基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバー或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。尚、ギャップ材を、シール材52に混入されるものに加えて若しくは代えて、画像表示領域10a又は画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域に、配置するようにしてもよい。
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を部分的に規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。対向基板20側に設けられた額縁遮光膜53は、画像表示領域10aを部分的に規定している。
周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、TFTアレイ基板10の一辺に沿って、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102が設けられている。走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿い、且つ、額縁遮光膜53に覆われるように設けられている。更に、このように画像表示領域10aの両側に設けられた二つの走査線駆動回路104間を接続するために、TFTアレイ基板10の残る一辺に沿い、且つ、額縁遮光膜53に覆われるようにして複数の配線105が設けられている。
TFTアレイ基板10上における対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域には、両基板間を上下導通材107で接続するための上下導通端子106が配置されている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
図2に示すように、TFTアレイ基板10上には、駆動素子である画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成されている。この積層構造の詳細な構成については図2では図示を省略してあるが、この積層構造の上に、反射電極となる反射型の画素電極9aが設けられている。画素電極9aは典型的にはアルミニウムなどの光反射性の高い材料により、画素毎に所定のパターンで島状に形成され、入射光を反射する。
画素電極9aは、対向電極21に対向するように、TFTアレイ基板10上の画像表示領域10aに形成されている。TFTアレイ基板10における液晶層50の面する側の表面、即ち画素電極9a上には、配向膜16が画素電極9aを覆うように形成されている。
対向基板20におけるTFTアレイ基板10との対向面上には、ITO等の透明材料からなる対向電極21が複数の画素電極9aと対向するように形成されている。また、画像表示領域10aにおいてカラー表示を行うために、開口領域及び非開口領域の一部を含む領域に、図2には図示しないカラーフィルターが形成されてもよい。対向基板20のTFTアレイ基板10に対する対向面上において、対向電極21上には、配向膜22が形成されている。尚、透過型の液晶装置と同様に、対向基板20上に格子状又はストライプ状に遮光膜を形成し、非開口領域を設けてもよい。
尚、図1及び図2に示したTFTアレイ基板10上には、上述したデータ線駆動回路101、走査線駆動回路104等の駆動回路に加えて、画像信号線上の画像信号をサンプリングしてデータ線に供給するサンプリング回路、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該液晶パネル100の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。
次に、本実施形態に係る液晶パネル100の画素部の電気的な構成について、図3を参照して説明する。ここに図3は、本実施形態に係る電気光学装置が備える液晶パネル100の画像表示領域10aを構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図である。
図3において、画像表示領域10aを構成するマトリクス状に形成された複数の画素の各々には、画素電極9a及びTFT30が形成されている。TFT30は、画素電極9aに電気的に接続されており、液晶パネル100の動作時に画素電極9aをスイッチング制御する。画像信号が供給されるデータ線6aは、TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、・・・、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
TFT30のゲートには、走査線3aが電気的に接続されており、液晶パネル100は、所定のタイミングで、走査線3aにパルス的に走査信号G1、G2、・・・、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、・・・、Snが所定のタイミングで書き込まれる。画素電極9aを介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、・・・、Snは、対向基板に形成された対向電極との間で一定期間保持される。
液晶層50(図2参照)を構成する液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。例えば、ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として液晶パネル100からは画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射される。
ここで保持された画像信号がリークすることを防ぐために、画素電極9aと対向電極21(図2参照)との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70が付加されている。蓄積容量70は、画像信号の供給に応じて各画素電極9aの電位を一時的に保持する保持容量として機能する容量素子である。蓄積容量70の一方の電極は、画素電極9aと並列してTFT30のドレインに電気的に接続され、他方の電極は、定電位となるように、電位固定の容量線300に電気的に接続されている。蓄積容量70によれば、画素電極9aにおける電位保持特性が向上し、コントラスト向上やフリッカーの低減といった表示特性の向上が可能となる。
次に、本実施形態に係る電気光学装置の全体構成について、図4を参照して説明する。ここに図4は、本実施形態に係る電気光学装置1の全体構成を示す斜視図である。図5は図4のI−I´断面図である。尚、図4以降の図では、図1及び図2に示した液晶パネル100における詳細な部材を適宜省略して図示している。
本実施形態に係る電気光学装置は、液晶パネル100、フレキシブル基板200、フレーム310、ヒートシンク320、防塵用基板400及び見切り板600を備えて構成されている。尚、フレーム310は本発明に係る「保持部材」の一例であり、ヒートシンク320は本発明に係る「放熱部材」の一例であり、防塵用基板400は本発明に係る「防塵用基板」の一例であり、見切り板600は本発明に係る「遮光板」の一例である。
図4及び図5では図示を省略しているが、フレキシブル基板200は、液晶パネル100の外部接続端子102に接合されている。フレキシブル基板200は、上述の液晶パネル100の電気光学動作に要する種々の制御信号を送るための信号配線を含む基板であり、例えばポリイミド等の基材に信号配線等がパターニングされることによって形成されている。尚、フレキシブル基板200上には、液晶パネル100を駆動するための駆動回路の少なくとも一部を含む駆動用ICチップ等が配置されていてもよい。尚、フレキシブル基板200の液晶パネル100に接続された一端とは反対側の他端は、フレーム310及びヒートシンク320の外側に引き出されており、液晶パネル100の電気光学動作に要する種々の制御信号を供給するための外部回路(図示省略)に接続されている。
フレーム310は、防塵用基板400が配置される部位である第1支持部312、見切り板600を配置される部位である支持部313、及び本発明の「被実装部材」の一例である外部部材に電気光学装置1を取り付けるための取付部を有する本体部314から構成されている。フレーム310は、例えば鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム等の熱導電性に優れた金属を含んで構成されており、後述するヒートシンク320と共に液晶パネル100の放熱を行う。尚、第1支持部312は本発明に係る「支持部」の一例であり、本体部314は本発明に係る「本体部」の一例である。
フレーム310の光源光が入射する側には、複数のネジ穴350が設けられた本体部314が設けられている。ネジ穴350には図不示のボルトが貫通可能であり、当該ボルトを締め付けることによってフレーム310を、外部部材に固定することができる。
第1支持部312は、防塵用基板400を下側から接することにより保持する。第1支持部312には、防塵用基板400を当該第1支持部312に固定するための熱伝導性部材の一例である熱伝導性を有する接着剤318を充填するための充填用穴317が形成されている。充填用穴317は、本発明に係る「接着用開口部」の一例である。充填用穴317は、第1支持部312において防塵用基板400に接する面に至るまで貫通するように設けられている。
第2支持部313には、見切り板600が取り付けられている。見切り板600は、図4に示すように、液晶パネル100の画像表示領域10aを囲うように窓状に設けられており、画像表示領域10a以外の領域に光が入射してしまうことを防止する。見切り板600は、例えばフレーム310等の電気光学装置1を構成する他の部材に比べて光反射率の低い材料から形成されている。具体的には、例えば、オーステナイト系ステンレスの代表的な鋼種である、SUS304から形成されるとよい。見切り板600は、図示しない係合部においてフレーム310と係合されている。
フレーム310は、液晶パネル100との間に充填された接着剤510により接着されている。
防塵用基板400は、フレーム310の第1支持部312に接するように、液晶パネル100の対向基板20に透明接着剤540によって貼り付けられている。防塵基板400は、液晶パネル100の画像表示領域10aを塵や埃から保護する機能を有している。
ここで、図6を参照して、光源光が入射する側から見たときのフレーム310の構造について説明する。図6は、本実施形態に係る電気光学装置1からフレーム310を抽出して、光源光が入射する側から示した平面図である。
図6において、点線312´及び313´はそれぞれ第1支持部312、第2支持部313及び本体部314の境界を示している。一点鎖線400´は防塵用基板400の外輪郭を示しており、一点鎖線600´は見切り板600の外輪郭を示している。
防塵用基板400の外形形状は、液晶パネル100の外形形状より大きく形成されているため、フレーム310の第1支持部312は液晶パネル100より外側に張り出している防塵用基板400の端部に接している。このように、第1支持部は、液晶パネル100が貼り合わされた防塵用基板400を支持する。本実施形態では特に、フレーム310において発生した応力は、防塵用基板400及び第1支持部312を介して、液晶パネル100に間接的に伝達されるため、液晶パネル100が受ける応力を軽減することができる。
本体部314は、防塵用基板400上で平面的に見て、画像表示領域10aに対応する開口部(即ち、点線313´で囲まれた内側の領域)を有しており、第1支持部312及び第2支持部313は、当該開口部の縁に沿って(即ち、全周に亘って)形成されている。そのため、防塵用基板400、及び防塵用基板400に貼り合わされた液晶パネル100はフレーム310内において安定的に固定されている。
再び図4及び図5に戻って、ヒートシンク320は、表示面の反対側に位置する背面側から、液晶パネル100に接するように配置されている。ヒートシンク320は、液晶パネル100において発生した熱を放熱するための放熱部325を有している。これにより、液晶パネル100に熱が蓄積することによって液晶パネル100の動作不良等の種々の不具合が発生することを防止することができる。また、熱に伴う電気光学装置1の構成部材における歪みを軽減することによって、装置内に生じる応力を軽減することができる。尚、ヒートシンク320は、放熱効果を高めるために熱伝導性の高い材料、例えば、鉄、銅、アルミニウム等を含んで構成するとよい。
ヒートシンク320には、フレーム310及び液晶パネル100が接着剤530によって貼り合わされている。尚、フレーム310及びヒートシンク320は、図不示の接合部において互いに接合されていてもよい。この場合、接合は、例えば、フレーム310に設けられた凹部とヒートシンクに設けられた凸部とを嵌合させることによって行われてもよいし、ネジ等を用いて行われてもよい。接着剤530は、空気より高い熱伝導性を有しており、液晶パネル100において発生した熱を、効率よくヒートシンク320に伝達することが可能であり、放熱部325における放熱性能を高める機能を有している。
尚、本実施形態では、接着剤530は、液晶パネル100及びヒートシンク320間並びにフレーム310及びヒートシンク320間を充填するように塗布されているが、それぞれ一部にのみ接着剤530が塗布されていてもよいし、液晶パネル100及びヒートシンク320間並びにフレーム310及びヒートシンク320間には接着剤530が塗布されていなくてもよい。また、接着剤530に代えて又は加えて熱伝導性を有するシートやグリス等を用いてもよい。
ここで、図7を参照して、フレーム310の本体部314が外部部材700に取り付けられた場合に、本実施形態に係る電気光学装置1に生じる応力について説明する。図7は、フレーム310の本体部314が外部部材700に取り付けられた場合に、本実施形態に係る電気光学装置1に生じる応力を模式的に示す断面図である。
尚、外部部材700は、本発明に係る「被実装部材」の一例であり、具体的には、電気光学装置1を具備する電子機器として後述する液晶プロジェクターに、本実施形態に係る電気光学装置1がライトバルブとして取り付けられる際に、液晶プロジェクターの内壁に取り付けるための治具部材である。液晶プロジェクターに関しては、後に詳述する。
フレーム310は、フレーム310に形成されたネジ穴350と、外部部材700に形成されたネジ穴750とを貫通するようにボルト800が挿入され、当該ボルト800を締め付けることによって、外部部材700に固定されている。尚、ボルト800の表面には図不示のネジが切ってあり、ドライバー等を用いてボルト800を回転させることによって、ボルト800を締め付け、フレーム310を外部部材700に堅く固定することができる。
ボルト800が締め付けられると、電気光学装置1の内部に応力が発生する。図6では、フレーム310に発生する応力の一例を白抜きの矢印bで模式的に図示している。このようにフレーム310において発生した応力は、フレーム310及び液晶パネル100間に配置されている各種部材(例えば、フレーム310の支持部316や、見切り板600など)を介して、液晶パネル100に伝達される。
本実施形態では特に、防塵用基板400は、液晶パネル100より広く形成されているため、フレーム310の第1支持部312は液晶パネル100より外側に張り出している防塵用基板400の端部に接している。このように、第1支持部は、液晶パネル100が貼り合わされた防塵用基板400を支持する。本実施形態では特に、フレーム310において発生した応力は、防塵用基板400及び第1支持部312を介して、液晶パネル100に間接的に伝達されるため、液晶パネル100が受ける応力は軽減される。
尚、ネジ穴350及び750にボルト800を挿入して外部部材700に固定する例を示したが、さらに、液晶パネル100にフレーム310から伝達される応力を軽減するため、ネジ穴350を設けることなく接着剤を介してフレーム310の取付部と外部部材700とを固着させてもよい。また、フレーム310の4隅の取付部のうち、対角線上の2つの取付部をネジ穴350及び750にボルト800を挿入して固定し、残りの対角線上の2つの取付部を接着剤を介して外部部材700と固着させてもよい。
また、防塵用基板400の液晶パネル100が貼り合わされている面とは反対側から見切り板600が接することにより、防塵用基板400が保持されている。そのため、フレーム310において生じた応力は見切り板600を介して、防塵用基板400に伝達される。見切り板600は、薄い板状に形成されているため、力が作用すると上下方向に少なからず歪曲可能である(即ち、見切り板600は弾性を有している)。従って、フレーム310から見切り板600を介して防塵用基板400に伝達される応力は、見切り板600の弾性によって吸収され、防塵用基板400に貼り合わされた液晶パネル100に伝達される応力は軽減される。
以上説明したように、本実施形態に係る電気光学装置では、液晶パネル100に伝達される応力を軽減し、表示画像における色むらの発生を防止することができる。
<第2実施形態>
続いて、第2実施形態に係る電気光学装置について、図8を参照して説明する。図8は、本実施形態に係る電気光学装置からフレーム310を抽出して示す平面図であり、図6と同趣旨のものである。尚、本実施形態に係る電気光学装置において、上述の第1実施形態に係る電気光学装置1と共通する部位に関しては、共通の符号を付すこととし、詳細な説明は省略することとする。
本実施形態では、上述の第1実施形態に比べて第1支持部312の形状が異なる。本実施形態では、第1支持部312は、フレーム310の内側に向かって凸状に張り出すように形成されている。防塵用基板400は、凸状に張り出した第1支持部312の先端付近に接触することにより、支持されている。このように、第1支持部312が凸状に張り出すように形成されているので、第1実施形態のように(即ち、本体部314の縁の全周に亘って)形成されている場合に比べて、防塵用基板400と第1支持部312との接触面積を少なく抑えることができる。ここで、フレーム310から防塵用基板400に伝達される応力の大きさは、第1支持部312と防塵用基板400との接触面積に依存するため、このように接触面積を減少させることにより、防塵用基板400に貼り合わされた液晶パネル100に印加される応力を軽減することができる。
<第3実施形態>
続いて、第3実施形態に係る電気光学装置について、図9を参照して説明する。図9は、本実施形態に係る電気光学装置の全体構成を示す斜視図である。尚、本実施形態に係る電気光学装置において、上述の第1実施形態に係る電気光学装置1と共通する部位に関しては、共通の符号を付すこととし、詳細な説明は省略することとする。
本実施形態では、ヒートシンク320はフレーム310にフック390を用いて取り付けられている点において、上述の各実施形態と異なっている。フック390は、本発明に係る「フック部材」の一例である。フック390は、側面に設けられた開口部391を、フレーム310に設けられた凸部318にひっかけることで固定されており、フレーム310及びヒートシンク320を固定している。尚、フック390は、フレーム310に対して取り付けられたヒートシンク320の位置がズレないように、支持部391で支えている。
上述の各実施形態では、ヒートシンク320はフレーム310に接着剤350によって堅く固定されているため、フレーム310及びヒートシンク320において生じた応力は、液晶パネル100に伝達されやすい構造を有している。一方、本実施態様では、例えば、ヒートシンク320はフレーム310にフック390をひっかけることによって固定されているため、発生する応力は軽微である。つまり、フック390で固定することにより、フレーム310及びヒートシンク320に歪みが生じにくく、応力の発生を効果的に防止することができる。
尚、フック390は液晶パネル100の表示面とは反対側に設けられているため、液晶パネル100の画像表示領域10aへの入射光を遮らない。そのため、液晶パネル100の表示を妨げることなく、効率的なレイアウトでヒートシンク320をフレーム310に固定することができる。
<電子機器>
次に、上述した電気光学装置である液晶装置を各種の電子機器に適用する場合について説明する。ここでは、本発明に係る電子機器として、投射型液晶プロジェクターを例にとる。図10は、本実施形態に係る投射型液晶プロジェクターの図式的断面図である。
図10において、本実施形態に係る液晶プロジェクター1100は、夫々RGB用の液晶ライトバルブ100R、100G及び100Bの3枚を用いた複板式カラープロジェクタとして構築されている。液晶ライトバルブ100R、100G及び100Bの各々は、上述した反射型の液晶装置が使用されている。
図10に示すように、液晶プロジェクター1100では、メタルハライドランプ等の白色光源のランプユニット1102から投射光が発せられると、2枚のミラー1106、2枚のダイクロイックミラー1108及び3つの偏光ビームスプリッタ(PBS)1113によって、RGBの3原色に対応する光成分R、G及びBに分けられ、各色に対応する液晶ライトバルブ100R、100G及び100Bに夫々導かれる。尚、この際、光路における光損失を防ぐために、光路の途中にレンズを適宜設けてもよい。そして、液晶ライトバルブ100R、100G及び100Bにより夫々変調された3原色に対応する光成分は、クロスプリズム1112により合成された後、投射レンズ1114を介してスクリーン1120にカラー映像として投射される。
尚、液晶ライトバルブ100R、100B及び100Gには、ダイクロイックミラー1108及び偏光ビームスプリッタ1113によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルターを設ける必要はない。
図10を参照して説明した電子機器の他にも、モバイル型のパーソナルコンピューターや、携帯電話、液晶テレビ、ビューファインダー型、モニタ直視型のビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に、本発明の電気光学装置を適用可能なのは言うまでもない。
本発明は、上述の実施形態で説明した反射型の液晶装置以外にも、透過型液晶装置、プラズマディスプレイ(PDP)、電解放出型ディスプレイ(FED、SED)、有機ELディスプレイ、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、電気泳動装置等にも適用可能である。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置、及び該電気光学装置を備えた電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。