JP5926570B2 - コンクリート養生マット - Google Patents
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Description
特許文献1には、「組み立てられた型枠の少なくとも一部に透明又は半透明部分を設けるとともに、該透明又は半透明部分のコンクリート打設面側に、温度変化を表示する温度表示部材を密着設置したことを特徴とするコンクリート打設用型枠。」(特許請求の範囲)が記載されている。この型枠は、コンクリート構造物を構築する際の型枠の脱枠時期を定量的に知ることを目的としている。
特許文献2には、「養生用シート本体に偏平状の温度計を取付けたことを特徴とするコンクリート製品養生用シート。」が記載されている(実用新案登録請求の範囲)。同考案は、プレキャストコンクリート製品の養生用のものであり、それによれば、養生シート本体の外方からシート内の温度を視認することができ、シート内の温度管理が容易となり、適切な養生管理を行うことができる。シートとしてテント地などを用いている。
また、打設後のコンクリートの表面にマットを設置し、養生を行う場合においては、特許文献3に記載のように、「型枠内に打設後のコンクリートを電熱養生シートで覆うことによりコンクリートの加熱養生を行う場合において、前記電熱養生シートの内側のコンクリート養生温度及び外気温を検出する温度検出部と、該温度検出部からの出力信号を温度表示信号に変換して出力する信号処理部と、該信号処理部からの温度表示信号に従ってコンクリート養生温度及び外気温を表示する表示部とを備えたことを特徴とするコンクリート養生温度監視装置。」が知られている。同発明によれば、コンクリート養生温度が最適な温度で一定に保たれているかを視覚的に監視することができる。
しかしながら、同発明は、電熱養生シートにより型枠を覆い、電熱養生シートを加熱制御することによりコンクリートを所定温度で養生するものであり、ヒータを内蔵した電熱養生シートを用いるとともに、温度検出部、信号処理部、表示部を備えた電気的な専用の監視装置であり、設置が簡単ではなく、装置も高価であり、多数の箇所に設置することは現実的に困難であり、簡単に実施し得るものではない。
前記マットは、透孔部を備えるとともに、該透孔部には、前記マットが設置されるコンクリートの表面側にテープないしシート状の温度表示部材及び湿度表示部材を備えた透明性のスペーサ部材が嵌め込まれており、前記スペーサ部材は、前記透孔部を閉鎖し、前記透孔部に適合する大きさの中空状に形成されてなることを特徴とする、コンクリート養生マットである。
(2)前記スペーサ部材は、前記透孔部に着脱可能に嵌め込まれているコンクリート養生マットである。
また、前記スペーサ部材は、前記透孔部を閉鎖し、前記透孔部に適合する大きさの中空状に形成されてなる構成により、コンクリートの表面はスペーサ部材によって遮断され、スペーサ部材により、コンクリート表面の温度・湿度状態が外気の影響を受けることがなく、直接に温度・湿度状態を的確に視認することができる。
(2)前記スペーサ部材は、前記透孔部に着脱可能に嵌め込まれている構成により、スペーサ部材は、使用後にマットから外すことができ、簡単に再使用、繰り返し使用ができるため、経済的でかつ省資源の見地からも有益である。
本発明に係るコンクリート養生マット1は少なくとも、断熱部材からなる保温シートを備えてなる。以下、望ましいコンクリート養生マット1の構成を例示して説明する。
図1に示すとおり、コンクリート養生マット1は、水を吸収して湿潤する湿潤材を含む保湿シート10と、断熱部材からなる保温シート20とを備えてなる。例えば、保湿シート10と保温シート20とは、積層状態に直接、接着一体化されてなる。保湿シート10と保温シート20は、それぞれ均一な厚みに形成され、コンクリート養生マット1も全体として均一な厚みを有している。
例えば、保湿シート10と保温シート20の面同士が互いに全面にわたって接着一体化される。
また、接着は、接着剤を用いて接着するほか、接着剤を用いない熱溶着その他の溶着により行うことがより好ましい。熱ラミネーションによる積層一体化は好ましい一態様である。
コンクリート養生マット1は、例えば、幅45cm〜1m程度の長尺物としてロールに巻回されて流通する。
保湿シート10は、水を湿潤状態に保持可能なシート状物である。その機能水準としては、養生中コンクリート表面の相対湿度が80.0%以上で7日間程度保持されるものが望ましい。後述する保温シート20と接着可能に形成されたものを用いるとよい。
保湿シート10は、単数層、複数層のいずれによって構成されていてもよい。
上記高分子吸収体としては、ポリアクリル酸ナトリウム等のポリアクリル酸系、カルボキシメチルセルロース等のセルロース系などが挙げられる。
ポリアクリル酸ナトリウムは、自重の400倍の吸水性能を有しており、従来の湿潤養生マットが構成材料自体に保水性がなく、保水層の空隙中に保水するのに対して、水を取り込み、取り込まれた水は圧力や重力によって排出されにくく、時間経過と共に徐々に緩やかに放散されるため、好適である。
また、前記基材シートには、後述する保温シートと接着される側の面に非通水性の膜を形成し、非通水性の膜と不織布又は織布との積層体からなるシートとして用いることができる。
非通水性の膜には、ポリエチレンフィルム等の合成樹脂フィルム、その他種々のメンブレンを用いることができる。
このような構成とすることにより、後に接着一体化される保温シート20への保湿シート10からの水分の浸透を防止できるとともに、保温シート20と同類の素材を使用することにより、接着一体化の際のバインダーの役割を果たすことができる等の利点がある。
保湿シート10の厚みは限定されないが、好ましくは1〜3mm程度である。
保温シート20を形成する断熱部材は、上記保湿シート10と直接、接着可能なものであり、コンクリート養生において必要な所定の保温、断熱性能を備えたものである。
好ましい保温、断熱性能としては、理論値として、熱伝導率で0.020〜0.055W/(m・K)、熱伝達率で0.5〜3.5W/(m2・K)である。
保温シート20を形成する断熱部材としては、ロール状に巻回することの可能な柔軟性を有する、軟質樹脂発泡体を用いることができる。
軟質樹脂発泡体としては、独立気泡構造のものが好適に用いられる。
例えば、軟質な独立気泡構造の発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレン、発泡ウレタン等が挙げられる。
中でも、低熱伝導率(例えば、0.030〜0.045W/(m・K))で、クッション性、耐水性、耐久性等が良好である点で、発泡ポリエチレンが好ましく用いられる。
軟質樹脂発泡体の発泡倍率は、通常10〜50程度、好ましくは30〜50である。
保温シート20の厚みは限定されないが、好ましくは7〜50mm程度である。
図2は、保温シート20が、発泡倍率の異なる軟質樹脂発泡体の2層からなり、保湿シート側の層21を高発泡倍率とし、他の層22を保湿シート側の層21よりも低発泡倍率の層とした例を示す。
例えば、保湿シート側の層21を40〜50の発泡倍率、他の層22を30〜40未満の発泡倍率とした、発泡ポリエチレン等が好ましい一例として挙げられる。
熱反射層30は、ラミネーション、接着剤等で、保温シート20の外表面に適宜手段で積層一体化することができる。
前記のように構成された養生マット1には、該マット1を貫通する透孔部が設けられており、その透孔部には、スペーサ部材50が嵌め込まれている。透孔部は、通常、養生マット1の長手方向に所定間隔をおいて設けられる。
スペーサ部材50は、前記透孔部に適合する大きさに形成され、前記透孔部を閉鎖するものであり、例えば透明性の合成樹脂材で形成され、養生マット1に固定される。スペーサ部材50の正面形状は円形、矩形等任意である。スペーサ部材50の大きさは、例えば、厚さ1〜2cm程度(養生マット1の厚みと略同じとなるように形成するのが望ましい。)、正面形状が円形の場合、その直径は4〜8cm程度、正面形状が矩形の場合、各辺の大きさは、3〜8cm程度である。
図1〜3に示すスペーサ部材50は、中空状(中空体)に形成されている例を示す。正面形状は前記のとおり、円形、矩形等任意であり、全体として円柱形、矩形箱形等に形成される。透孔部はスペーサ部材50によって閉鎖され、コンクリートの表面はスペーサ部材50によって遮断され、スペーサ部材50によりコンクリート表面の温度・湿度状態が外気の影響を受けることがなく、直接に温度・湿度状態を的確に視認することができる。
図4に示すスペーサ部材51は、保温シート側の天板部を有さず、全体として容器状の形態を有している例を示す。コンクリートの表面はスペーサ部材51によって遮断され露出することがない。
スペーサ部材50への養生マット1への固定は、接着その他の手段により固着するほか、前記透孔部に着脱可能に嵌め込むようにしてもよい。例えば、前記透孔部の平面形の輪郭より若干大きく形成されたスペーサ部材50を透孔部に押し込むことにより容易に外れないように、かつ着脱可能とすることができる。スペーサ部材50を透孔部に着脱可能とすることにより、スペーサ部材50を使用後にマットから外すことができ、簡単に再使用、繰り返し使用ができるため、経済的でかつ省資源の見地からも有益である。
また、例えば、図5に示すように、養生マット1の透孔部の内周に雌ネジ部を形成し、ておき、正面形状が円形のスペーサ部材50外周面にこの雌ネジ部に適合する雄ネジ部50aを形成し、スペーサ部材50を養生マット1の透孔部に螺着することにより、着脱可能に嵌め込む形態とすることができる。この場合、養生マット1の透孔部に前記雌ネジ部が形成されるように養生マット1に孔を開けて養生マット1の一部分を切り取れば、その切り取った一部分を必要に応じて再度、前記透孔部を埋める形で戻すことができる。
その他、スペーサ部材50の外周面に一又は複数の凸部を形成し、該凸部が前記透孔部の内周壁に嵌入するようにすることにより(図示省略)、不用意に外れにくい態様で着脱可能とすることができる。
そして、スペーサ部材50は、前記保湿シート10側に、テープないしシート状の温度表示部材60及び湿度表示部材70を備えている。スペーサ部材50は、少なくとも温度表示部材60及び湿度表示部材70を備えた部位において該温度表示部材60及び湿度表示部材70を透視可能な透明性を有すればよい。
養生マット1をコンクリートCの表面へ、保湿シート10側をコンクリートCの表面に当たるように設置することにより、温度表示部材60及び湿度表示部材70はコンクリートCの表面に当接する。
温度表示部材60としては、温度変化によって常時発色する可逆性のある材料が用いられる。例えば、温度変化によって変色する材料として可逆性サーモシートが挙げられるが、温度を数値でデジタルに表示するデジタルサーモシートを用いてもよい。
湿度表示部材70としては、湿度変化によって変色する可逆性発色シートが好適に用いられる。例えば吸湿すると、色が濃くなる吸取紙が用いられる。また、湿度を6段階その他の複数段階で表示する発色紙等が用いられる。
本発明に係るコンクリート養生マット1のコンクリートC表面への設置は、保湿シート10側をコンクリートCの表面に当て、常法にしたがって行えばよい。スペーサ部材50,51を介して温度表示部材60及び湿度表示部材70による温度・湿度状態を視認することができる。
1 コンクリート養生マット
10 保湿シート
20 保温シート
30 熱反射層
50,51 スペーサ部材
60 温度表示部材
70 湿度表示部材
Claims (2)
- 断熱部材からなる保温シートを備えたコンクリート養生マットであって、
前記マットは、透孔部を備えるとともに、該透孔部には、前記マットが設置されるコンクリートの表面側にテープないしシート状の温度表示部材及び湿度表示部材を備えた透明性のスペーサ部材が嵌め込まれており、前記スペーサ部材は、前記透孔部を閉鎖し、前記透孔部に適合する大きさの中空状に形成されてなることを特徴とする、コンクリート養生マット。 - 前記スペーサ部材は、前記透孔部に着脱可能に嵌め込まれている、請求項1に記載のコンクリート養生マット。
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