JP2004190215A - 断熱ボード - Google Patents
断熱ボード Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004190215A JP2004190215A JP2002355339A JP2002355339A JP2004190215A JP 2004190215 A JP2004190215 A JP 2004190215A JP 2002355339 A JP2002355339 A JP 2002355339A JP 2002355339 A JP2002355339 A JP 2002355339A JP 2004190215 A JP2004190215 A JP 2004190215A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- heat insulating
- plastic
- layer
- protrusions
- board
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Abstract
【課題】断熱性能を維持向上し、夏期に外気が比較的高くなる温暖地域であっても年間を通しての省エネルギー効果が得られるとともに、作業者に与える不快感や危険を除去し、断熱材と通気層とを一体化することにより、外断熱コンクリート建築物の外壁構造の施工を容易にすることができる断熱ボードを提供する。
【解決手段】多数の突起を設けたプラスチック製のキャップシート1、その突起の底面に貼り合わせた平坦なプラスチック製のバックシート2、および突起の頂を連ねて貼り合わせた平坦なプラスチック製のライナーシート3からなる三層構成の気泡ボード10である。気泡ボート10の表面及び/又は裏面に、金属の薄層4を存在させる。
【選択図】 図1
【解決手段】多数の突起を設けたプラスチック製のキャップシート1、その突起の底面に貼り合わせた平坦なプラスチック製のバックシート2、および突起の頂を連ねて貼り合わせた平坦なプラスチック製のライナーシート3からなる三層構成の気泡ボード10である。気泡ボート10の表面及び/又は裏面に、金属の薄層4を存在させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外断熱工法で用いる断熱ボードに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、建造物の断熱を行う工法として、外断熱工法が知られている。
外断熱工法とは、建築物を構成するコンクリート躯体が外気温の影響をできるだけ受けないようにコンクリート躯体を外側から断熱材で包囲して建築する工法である。
【0003】
この外断熱工法を採用することにより、コンクリート躯体の熱疲労を防止してその耐久性を向上させることができるだけでなく、コンクリート建築物内での生活環境が著しく改善され、特に、コンクリート躯体の内側に断熱材を配置する内断熱に比較して省エネルギー効果が高く、また冬季に室内側での結露の発生を著しく低下できる等、経済的にも環境衛生的にも優れた生活空間を提供することができる。
【0004】
しかしながら、このような外断熱工法を採用してコンクリート建築物を建築する場合、図5に示すように、コンクリート躯体30の外壁面をグラスウール等の断熱材40で覆い、この断熱材40の外表面に沿って複数の下地材33を所定の間隔をあけて、コンクリート躯体30と一体化された取付金具34で立設支持し、この下地材33を利用して外装仕上材20を取り付ける構造が外壁構造として一般的であった。
【0005】
このとき、上記コンクリート躯体30が外気温の影響をできるだけ受けないようにするため、コンクリート躯体3の外壁面を断熱材40で覆うことにより、蓄熱体としてのコンクリート躯体30の温度は年間を通して極端に低下することがない。
【0006】
ところが、夏季において日中の外気温が30℃前後になり、且つ夜間でも外気が22〜25℃となるような温暖地域では、外装仕上材20が大気により加熱され、昇温した外装仕上材20の裏面から断熱材40を介してコンクリート躯体30に輻射熱が伝熱する。
前述したようにコンクリートは、蓄熱作用があることから、一度保温されると、たとえ外気が夜間に多少低下しても、それだけでは所望の温度にまで低下しない。
このため、外断熱コンクリート建築物は、室内の温度が非常に高くなり、夏季では空調機を連続的に長時間作動させる必要があった。
【0007】
また、外断熱工法によるコンクリート建築物は、図5に示すように、断熱材40の内部に発生した水蒸気を大気に逃がすため、外装仕上材20と断熱材40との間に通気層32が必要不可欠である。
しかしながら、断熱材40で覆われたコンクリート躯体30を所定の間隔の通気層32を有するように外装仕上材20で取り囲む施工は、煩雑となりやすく、人為的なミスも発生しやすかった。
【0008】
上記のような建築物の外壁面を覆う断熱材としては、一般に、グラスウールを板状に成形し、場合により両面をアルミ蒸着フィルムで覆ったものが使用されている。このグラスウール断熱材は、施工に当たって適宜の寸法に裁断するか、またはあらかじめ裁断されたものが使用されている。
【0009】
しかしながら、グラスウール断熱材は、裁断や埋め込みの使い勝手自体があまりよいものではなく、グラスウール断熱材を裁断すると、切り口からガラス繊維が露出したり、短片が散乱したりするため、それが作業者の皮膚に突き刺さって不快感を与えるという問題があり、吸入されて肺に入る危険もあった。
同様の問題は、家屋の取り壊しなどの場合にも生じる。
また、グラスウール断熱材は、ガラス繊維を接着剤で固めるという製法に起因して、充填密度にムラが生じやすく、それが断熱効果の場所によるバラツキを招いていた。
【0010】
別の問題として、この種の断熱材が環境条件によっては湿気を含みやすいということが挙げられ、施工後に湿ると、断熱効果の急激な低下をみることがある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、断熱性能を維持向上し、夏期に外気が比較的高くなる温暖地域であっても年間を通しての省エネルギー効果が得られるとともに、作業者に与える不快感や危険を除去し、断熱材と通気層とを一体化することにより、外断熱コンクリート建築物の外壁構造の施工を容易にすることができる断熱ボードを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明によれば、多数の突起を設けたプラスチック製のキャップシート、その突起の底面に貼り合わせた平坦なプラスチック製のバックシート、および突起の頂を連ねて貼り合わせた平坦なプラスチック製のライナーシートからなる三層構成の気泡ボードであって、前記気泡ボートの表面及び/又は裏面に、金属の薄層を存在させてなることを特徴とする断熱ボードが提供される。
【0013】
このとき、本発明では、前記金属の薄層が、金属箔又はプラスチックフィルム上に設けた金属の蒸着層であり、且つその表面に樹脂コート層を存在させてなることが好ましく、また、前記金属の薄層が、アルミニウムから形成されてなることが好ましい。
【0014】
また、本発明では、前記プラスチックが、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンであることが好ましく、更に、上記プラスチックに難燃材を混練してあることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて更に詳細に説明する。
図1〜3は本発明の断熱ボードの一例を示すものであり、(a)は概略斜視図、(b)は要部断面図である。
本発明の断熱ボードは、図1〜3に示すように、多数の突起を設けたプラスチック製のキャップシート1、その突起の底面に貼り合わせた平坦なプラスチック製のバックシート2、および突起の頂を連ねて貼り合わせた平坦なプラスチック製のライナーシート3からなる三層構成の気泡ボード10であって、気泡ボート10の表面及び/又は裏面に、金属の薄層4を存在させてなるものである。
尚、図1は、気泡ボード10の表面、即ち、気泡12の頂上部14側に金属の薄層4がある場合であり、図2は、気泡ボード10の裏面、即ち、気泡12の底面部16側に金属の薄層4がある場合であり、図3は、気泡ボード10の両面に金属の薄層がある場合である。
【0016】
このとき、本発明の断熱ボードは、気泡ボートの表面及び/又は裏面に、金属の薄層を存在させることにより、外気が高くなる夏季においても外気によって熱せられた外装仕上材からの熱輻射を遮蔽する(熱線を反射する)ことができるため、断熱効果に優れ、コンクリート躯体の温度上昇を防止することができるとともに、気泡ボード10の気泡12と気泡12との間に通気層18が十分且つ確実に形成されているため、調湿効果に優れており、結露を予防し、且つ夏季に外気が比較的高くなる温暖地域であっても年間を通しての省エネルギー効果を得ることができる(図4参照)。
尚、本発明の用いる気泡ボードの気泡の配置は、千鳥状であることが一般的であるが、特に限定されるものでない。
【0017】
また、本発明の断熱ボードは、断熱材として、従来のグラスウール断熱材の代わりに、気泡ボードを用いることにより、グラスウール断熱材の裁断の際に、切り口からガラス繊維の露出や短片が散乱することがないため、作業者に与える不快感や危険を除去することができる。
【0018】
更に、本発明の断熱ボードは、図4に示すように、外断熱工法を採用してコンクリート建築物を建築する場合、図1に示す断熱ボード10でコンクリート躯体30の外壁面に断熱材と通気層とを一体施工することができるため、外断熱コンクリート建築物の外壁構造の施工を容易にすることができる。
【0019】
また、本発明で用いる金属の薄層4は、金属箔であってもよいし、プラスチックフィルム上に設けた金属の蒸着層であってもよい。
気泡シートへの貼り合わせは、一般に熱融着によることが有利であるから、金属箔の場合も、他のプラスチックシートに貼り合わせることを容易にするため、箔の少なくとも一方の面に融着性のあるプラスチックの層を積層した形で使用すべきである。
金属箔は少なくとも10μmを超える厚さがあるのに対し、蒸着膜は数1nmの厚さでしかないから、後者は、空気に触れていると長期の使用により酸化を受けて、機能を失う可能性がある。
特に、金属薄層として蒸着膜を採用する場合は、その表面にプラスチック層6、例えば、厚さ数μmのエポキシ樹脂コート層を存在させて、金属が直接空気に触れないようにした構成が好ましい。
尚、金属の薄層は、アルミニウムから形成されていることが、熱輻射を遮蔽する(熱線を反射する)能力が優れているため好ましい。
【0020】
本発明で用いる気泡ボードは、図1〜3に示すように、多数の突起を設けたプラスチック製のキャップシート1、その突起の底面に貼り合わせた平坦なプラスチック製のバックシート2、および突起の頂を連ねて貼り合わせた平坦なプラスチック製のライナーシート3とを熱溶着した三層中空積層体からなるものであり、キャップシート1とバックシート2との熱溶着により、真空成形された気泡12が多数形成される。
これにより、上記気泡ボードは、独特の中空構造により、非常に軽量であり、平面圧縮強度、耐衝撃性、緩衝効果、熱遮断効率に優れているとともに、縦横の強度差がないため、どの方向にも加工することができる。
【0021】
尚、本発明で用いるプラスチックは、特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレン(PE)であることが好ましく、ポリプロピレン(PP)であってもよい。
このとき、上記プラスチックは、ポリプロピレン(PP)の場合、高温特性に優れており、また、高密度ポリエチレン(PE)製の場合、低温特性に優れている。
【0022】
また、上記プラスチックは、難燃性を要求される場合、プラスチックに難燃剤を混練して使用することが好ましい。
難燃剤としては、これまでしばしば使用されてきたハロゲン系のものでもよいが、近年の環境に対する配慮にかんがみれば、ポリリン酸アンモニウムのようなリン酸系のものや、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの含水物系のものが好ましい。
【0023】
更に、上記プラスチックは、原料にダイオキシン抑制剤の活性フェロキサイドや焼成ドロマイトを添加しても良い。
活性フェロキサイドは、燃焼温度を高め、合成樹脂の不完全燃焼によるベンゼン環の発生を抑制する効果があり、また、焼成ドロマイトには、塩素の吸着効果のあることが知られている。
これにより、上記プラスチックは、耐水性、防湿性、耐薬品性に優れているとともに、リサイクルも可能であり、焼却されても塩化水素・ダイオキシンが発生しないため、環境保全に寄与することができる。
【0024】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明の断熱ボードは、断熱性能を維持向上し、夏期に外気が比較的高くなる温暖地域であっても年間を通しての省エネルギー効果が得られるとともに、作業者に与える不快感や危険を除去し、断熱材と通気層とを一体化することにより、外断熱コンクリート建築物の外壁構造の施工を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の断熱ボードの一例を示すものであり、(a)は概略斜視図、(b)は要部断面図である。
【図2】本発明の断熱ボードの他の例を示すものであり、(a)は概略斜視図、(b)は要部断面図である。
【図3】本発明の断熱ボードの更に他の例を示すものであり、(a)は概略斜視図、(b)は要部断面図である。
【図4】本発明の断熱ボードを適用した外断熱工法における施工例を示す概略断面図である。
【図5】従来のグラスウール断熱材を適用した外断熱工法における施工例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1…キャップシート、
2…バックシート、
3…ライナーシート、
4…金属の薄層、
6…プラスチック層、
10…気泡シート、
12…気泡、
14…頂上部、
16…底面部、
18…流通層、
20…外装仕上材、
30…コンクリート躯体、
32…通気層、
33…下地材、
34…取付金具、
40…断熱材。
【発明の属する技術分野】
本発明は、外断熱工法で用いる断熱ボードに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、建造物の断熱を行う工法として、外断熱工法が知られている。
外断熱工法とは、建築物を構成するコンクリート躯体が外気温の影響をできるだけ受けないようにコンクリート躯体を外側から断熱材で包囲して建築する工法である。
【0003】
この外断熱工法を採用することにより、コンクリート躯体の熱疲労を防止してその耐久性を向上させることができるだけでなく、コンクリート建築物内での生活環境が著しく改善され、特に、コンクリート躯体の内側に断熱材を配置する内断熱に比較して省エネルギー効果が高く、また冬季に室内側での結露の発生を著しく低下できる等、経済的にも環境衛生的にも優れた生活空間を提供することができる。
【0004】
しかしながら、このような外断熱工法を採用してコンクリート建築物を建築する場合、図5に示すように、コンクリート躯体30の外壁面をグラスウール等の断熱材40で覆い、この断熱材40の外表面に沿って複数の下地材33を所定の間隔をあけて、コンクリート躯体30と一体化された取付金具34で立設支持し、この下地材33を利用して外装仕上材20を取り付ける構造が外壁構造として一般的であった。
【0005】
このとき、上記コンクリート躯体30が外気温の影響をできるだけ受けないようにするため、コンクリート躯体3の外壁面を断熱材40で覆うことにより、蓄熱体としてのコンクリート躯体30の温度は年間を通して極端に低下することがない。
【0006】
ところが、夏季において日中の外気温が30℃前後になり、且つ夜間でも外気が22〜25℃となるような温暖地域では、外装仕上材20が大気により加熱され、昇温した外装仕上材20の裏面から断熱材40を介してコンクリート躯体30に輻射熱が伝熱する。
前述したようにコンクリートは、蓄熱作用があることから、一度保温されると、たとえ外気が夜間に多少低下しても、それだけでは所望の温度にまで低下しない。
このため、外断熱コンクリート建築物は、室内の温度が非常に高くなり、夏季では空調機を連続的に長時間作動させる必要があった。
【0007】
また、外断熱工法によるコンクリート建築物は、図5に示すように、断熱材40の内部に発生した水蒸気を大気に逃がすため、外装仕上材20と断熱材40との間に通気層32が必要不可欠である。
しかしながら、断熱材40で覆われたコンクリート躯体30を所定の間隔の通気層32を有するように外装仕上材20で取り囲む施工は、煩雑となりやすく、人為的なミスも発生しやすかった。
【0008】
上記のような建築物の外壁面を覆う断熱材としては、一般に、グラスウールを板状に成形し、場合により両面をアルミ蒸着フィルムで覆ったものが使用されている。このグラスウール断熱材は、施工に当たって適宜の寸法に裁断するか、またはあらかじめ裁断されたものが使用されている。
【0009】
しかしながら、グラスウール断熱材は、裁断や埋め込みの使い勝手自体があまりよいものではなく、グラスウール断熱材を裁断すると、切り口からガラス繊維が露出したり、短片が散乱したりするため、それが作業者の皮膚に突き刺さって不快感を与えるという問題があり、吸入されて肺に入る危険もあった。
同様の問題は、家屋の取り壊しなどの場合にも生じる。
また、グラスウール断熱材は、ガラス繊維を接着剤で固めるという製法に起因して、充填密度にムラが生じやすく、それが断熱効果の場所によるバラツキを招いていた。
【0010】
別の問題として、この種の断熱材が環境条件によっては湿気を含みやすいということが挙げられ、施工後に湿ると、断熱効果の急激な低下をみることがある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、断熱性能を維持向上し、夏期に外気が比較的高くなる温暖地域であっても年間を通しての省エネルギー効果が得られるとともに、作業者に与える不快感や危険を除去し、断熱材と通気層とを一体化することにより、外断熱コンクリート建築物の外壁構造の施工を容易にすることができる断熱ボードを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明によれば、多数の突起を設けたプラスチック製のキャップシート、その突起の底面に貼り合わせた平坦なプラスチック製のバックシート、および突起の頂を連ねて貼り合わせた平坦なプラスチック製のライナーシートからなる三層構成の気泡ボードであって、前記気泡ボートの表面及び/又は裏面に、金属の薄層を存在させてなることを特徴とする断熱ボードが提供される。
【0013】
このとき、本発明では、前記金属の薄層が、金属箔又はプラスチックフィルム上に設けた金属の蒸着層であり、且つその表面に樹脂コート層を存在させてなることが好ましく、また、前記金属の薄層が、アルミニウムから形成されてなることが好ましい。
【0014】
また、本発明では、前記プラスチックが、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンであることが好ましく、更に、上記プラスチックに難燃材を混練してあることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて更に詳細に説明する。
図1〜3は本発明の断熱ボードの一例を示すものであり、(a)は概略斜視図、(b)は要部断面図である。
本発明の断熱ボードは、図1〜3に示すように、多数の突起を設けたプラスチック製のキャップシート1、その突起の底面に貼り合わせた平坦なプラスチック製のバックシート2、および突起の頂を連ねて貼り合わせた平坦なプラスチック製のライナーシート3からなる三層構成の気泡ボード10であって、気泡ボート10の表面及び/又は裏面に、金属の薄層4を存在させてなるものである。
尚、図1は、気泡ボード10の表面、即ち、気泡12の頂上部14側に金属の薄層4がある場合であり、図2は、気泡ボード10の裏面、即ち、気泡12の底面部16側に金属の薄層4がある場合であり、図3は、気泡ボード10の両面に金属の薄層がある場合である。
【0016】
このとき、本発明の断熱ボードは、気泡ボートの表面及び/又は裏面に、金属の薄層を存在させることにより、外気が高くなる夏季においても外気によって熱せられた外装仕上材からの熱輻射を遮蔽する(熱線を反射する)ことができるため、断熱効果に優れ、コンクリート躯体の温度上昇を防止することができるとともに、気泡ボード10の気泡12と気泡12との間に通気層18が十分且つ確実に形成されているため、調湿効果に優れており、結露を予防し、且つ夏季に外気が比較的高くなる温暖地域であっても年間を通しての省エネルギー効果を得ることができる(図4参照)。
尚、本発明の用いる気泡ボードの気泡の配置は、千鳥状であることが一般的であるが、特に限定されるものでない。
【0017】
また、本発明の断熱ボードは、断熱材として、従来のグラスウール断熱材の代わりに、気泡ボードを用いることにより、グラスウール断熱材の裁断の際に、切り口からガラス繊維の露出や短片が散乱することがないため、作業者に与える不快感や危険を除去することができる。
【0018】
更に、本発明の断熱ボードは、図4に示すように、外断熱工法を採用してコンクリート建築物を建築する場合、図1に示す断熱ボード10でコンクリート躯体30の外壁面に断熱材と通気層とを一体施工することができるため、外断熱コンクリート建築物の外壁構造の施工を容易にすることができる。
【0019】
また、本発明で用いる金属の薄層4は、金属箔であってもよいし、プラスチックフィルム上に設けた金属の蒸着層であってもよい。
気泡シートへの貼り合わせは、一般に熱融着によることが有利であるから、金属箔の場合も、他のプラスチックシートに貼り合わせることを容易にするため、箔の少なくとも一方の面に融着性のあるプラスチックの層を積層した形で使用すべきである。
金属箔は少なくとも10μmを超える厚さがあるのに対し、蒸着膜は数1nmの厚さでしかないから、後者は、空気に触れていると長期の使用により酸化を受けて、機能を失う可能性がある。
特に、金属薄層として蒸着膜を採用する場合は、その表面にプラスチック層6、例えば、厚さ数μmのエポキシ樹脂コート層を存在させて、金属が直接空気に触れないようにした構成が好ましい。
尚、金属の薄層は、アルミニウムから形成されていることが、熱輻射を遮蔽する(熱線を反射する)能力が優れているため好ましい。
【0020】
本発明で用いる気泡ボードは、図1〜3に示すように、多数の突起を設けたプラスチック製のキャップシート1、その突起の底面に貼り合わせた平坦なプラスチック製のバックシート2、および突起の頂を連ねて貼り合わせた平坦なプラスチック製のライナーシート3とを熱溶着した三層中空積層体からなるものであり、キャップシート1とバックシート2との熱溶着により、真空成形された気泡12が多数形成される。
これにより、上記気泡ボードは、独特の中空構造により、非常に軽量であり、平面圧縮強度、耐衝撃性、緩衝効果、熱遮断効率に優れているとともに、縦横の強度差がないため、どの方向にも加工することができる。
【0021】
尚、本発明で用いるプラスチックは、特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレン(PE)であることが好ましく、ポリプロピレン(PP)であってもよい。
このとき、上記プラスチックは、ポリプロピレン(PP)の場合、高温特性に優れており、また、高密度ポリエチレン(PE)製の場合、低温特性に優れている。
【0022】
また、上記プラスチックは、難燃性を要求される場合、プラスチックに難燃剤を混練して使用することが好ましい。
難燃剤としては、これまでしばしば使用されてきたハロゲン系のものでもよいが、近年の環境に対する配慮にかんがみれば、ポリリン酸アンモニウムのようなリン酸系のものや、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの含水物系のものが好ましい。
【0023】
更に、上記プラスチックは、原料にダイオキシン抑制剤の活性フェロキサイドや焼成ドロマイトを添加しても良い。
活性フェロキサイドは、燃焼温度を高め、合成樹脂の不完全燃焼によるベンゼン環の発生を抑制する効果があり、また、焼成ドロマイトには、塩素の吸着効果のあることが知られている。
これにより、上記プラスチックは、耐水性、防湿性、耐薬品性に優れているとともに、リサイクルも可能であり、焼却されても塩化水素・ダイオキシンが発生しないため、環境保全に寄与することができる。
【0024】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明の断熱ボードは、断熱性能を維持向上し、夏期に外気が比較的高くなる温暖地域であっても年間を通しての省エネルギー効果が得られるとともに、作業者に与える不快感や危険を除去し、断熱材と通気層とを一体化することにより、外断熱コンクリート建築物の外壁構造の施工を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の断熱ボードの一例を示すものであり、(a)は概略斜視図、(b)は要部断面図である。
【図2】本発明の断熱ボードの他の例を示すものであり、(a)は概略斜視図、(b)は要部断面図である。
【図3】本発明の断熱ボードの更に他の例を示すものであり、(a)は概略斜視図、(b)は要部断面図である。
【図4】本発明の断熱ボードを適用した外断熱工法における施工例を示す概略断面図である。
【図5】従来のグラスウール断熱材を適用した外断熱工法における施工例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1…キャップシート、
2…バックシート、
3…ライナーシート、
4…金属の薄層、
6…プラスチック層、
10…気泡シート、
12…気泡、
14…頂上部、
16…底面部、
18…流通層、
20…外装仕上材、
30…コンクリート躯体、
32…通気層、
33…下地材、
34…取付金具、
40…断熱材。
Claims (5)
- 多数の突起を設けたプラスチック製のキャップシート、その突起の底面に貼り合わせた平坦なプラスチック製のバックシート、および突起の頂を連ねて貼り合わせた平坦なプラスチック製のライナーシートからなる三層構成の気泡ボードであって、
前記気泡ボートの表面及び/又は裏面に、金属の薄層を存在させてなることを特徴とする断熱ボード。 - 前記金属の薄層が、金属箔又はプラスチックフィルム上に設けた金属の蒸着層であり、且つその表面に樹脂コート層を存在させてなる請求項1に記載の断熱ボード。
- 前記金属の薄層が、アルミニウムから形成されてなる請求項1又は2に記載の断熱ボード。
- 前記プラスチックが、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンである請求項1〜3のいずれか1項に記載の断熱ボード。
- 前記プラスチックに難燃材を混練してある請求項1〜4のいずれか1項に記載の断熱ボード。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002355339A JP2004190215A (ja) | 2002-12-06 | 2002-12-06 | 断熱ボード |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002355339A JP2004190215A (ja) | 2002-12-06 | 2002-12-06 | 断熱ボード |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004190215A true JP2004190215A (ja) | 2004-07-08 |
Family
ID=32756067
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002355339A Pending JP2004190215A (ja) | 2002-12-06 | 2002-12-06 | 断熱ボード |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004190215A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009160857A (ja) * | 2008-01-09 | 2009-07-23 | Kawakami Sangyo Co Ltd | 気泡シート体の製造方法 |
JP2010089449A (ja) * | 2008-10-10 | 2010-04-22 | Kawakami Sangyo Co Ltd | 合成樹脂製気泡シート及びその製造方法 |
JP2011140089A (ja) * | 2010-01-07 | 2011-07-21 | Jtekt Corp | 研削盤および研削方法 |
JP2013174047A (ja) * | 2012-02-23 | 2013-09-05 | Sakai Kagaku Kogyo Kk | 寒中コンクリートの遮熱養生工法および遮熱養生シート |
US8936847B2 (en) | 2006-04-19 | 2015-01-20 | Promethean Insulation Technology Llc | Metallized polymeric film reflective insulation material |
CN106516423A (zh) * | 2016-12-22 | 2017-03-22 | 宿迁旭翔科技有限公司 | 一种泡罩结构 |
CN110185164A (zh) * | 2019-06-25 | 2019-08-30 | 吉林建筑科技学院 | 一种超低能耗建筑用节能保温板及其制备方法 |
-
2002
- 2002-12-06 JP JP2002355339A patent/JP2004190215A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8936847B2 (en) | 2006-04-19 | 2015-01-20 | Promethean Insulation Technology Llc | Metallized polymeric film reflective insulation material |
JP2009160857A (ja) * | 2008-01-09 | 2009-07-23 | Kawakami Sangyo Co Ltd | 気泡シート体の製造方法 |
JP2010089449A (ja) * | 2008-10-10 | 2010-04-22 | Kawakami Sangyo Co Ltd | 合成樹脂製気泡シート及びその製造方法 |
JP2011140089A (ja) * | 2010-01-07 | 2011-07-21 | Jtekt Corp | 研削盤および研削方法 |
JP2013174047A (ja) * | 2012-02-23 | 2013-09-05 | Sakai Kagaku Kogyo Kk | 寒中コンクリートの遮熱養生工法および遮熱養生シート |
CN106516423A (zh) * | 2016-12-22 | 2017-03-22 | 宿迁旭翔科技有限公司 | 一种泡罩结构 |
CN110185164A (zh) * | 2019-06-25 | 2019-08-30 | 吉林建筑科技学院 | 一种超低能耗建筑用节能保温板及其制备方法 |
CN110185164B (zh) * | 2019-06-25 | 2024-04-23 | 吉林建筑科技学院 | 一种超低能耗建筑用节能保温板及其制备方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2010196396A (ja) | コンクリート養生シート | |
WO1999060222A1 (en) | Heat reflecting foil | |
JP2004190215A (ja) | 断熱ボード | |
JP2006169951A (ja) | 遮熱・断熱通気材及びそれを用いた屋根部通気、小屋裏換気方法 | |
JP2005320842A (ja) | 建築物用シーリングシートおよびその製造方法 | |
US6351914B1 (en) | Light-transmitting building construction element | |
KR100884259B1 (ko) | 건축용 내벽 단열재 | |
KR20140085020A (ko) | 건축물의 내단열 시공방법 및 이를 위한 복합기능 단열재 | |
JP5162434B2 (ja) | 断熱壁構造およびこれを用いた断熱壁システム | |
KR101616496B1 (ko) | 건축물의 다기능 보온단열재가 부착된 패널 | |
JP3682869B2 (ja) | 住宅の屋根断熱構造 | |
JP2003056090A (ja) | 複合断熱材 | |
BRPI0714731B1 (pt) | Material de construção para revestimento, isolante térmico e, preferivelmente, também acústico | |
JP2001330193A (ja) | 断熱材 | |
JP4010923B2 (ja) | 防火断熱パネル | |
JPH1171835A (ja) | 断熱構造及び複合断熱材 | |
KR200417640Y1 (ko) | 건축물 내, 외장용 차음, 단열, 유독성물질 방지, 방습재 | |
KR100639478B1 (ko) | 건축물용 차음, 단열, 방습재 | |
KR101983497B1 (ko) | 고기능성 준불연 단열재 및 그 제조방법 | |
JP3665299B2 (ja) | 遮熱材を用いた外壁断熱構造、及び断熱パネル | |
JP2003321885A (ja) | 遮熱材を用いた外壁断熱構造、及び断熱パネル | |
JP5263534B2 (ja) | 遮熱断熱構造及び工法 | |
KR200409687Y1 (ko) | 건축물용 차음, 단열, 방습재 | |
KR101080685B1 (ko) | 단열 내장재 및 상기 단열 내장재를 구비하는 건축 구조체 | |
JPS647175B2 (ja) |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20051202 |
|
A977 | Report on retrieval |
Effective date: 20070629 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20070710 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20071106 |