JP5924594B2 - 板紙の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、板紙の製造方法に関し、さらに詳しくは、(メタ)アクリルアミド系共重合体である製紙用添加剤を使用した、歩留まり及び強度に優れる板紙の製造方法に関する。
板紙の製造にあたっては、高品質の板紙を得ることが困難であったことから酸性下での製造が一般的である。ところが、近年、板紙の原料となる古紙中の炭酸カルシウム分が増加する傾向にあり抄紙系のpHが下がり難くなっているため硫酸バンドや硫酸の使用量の増大やクローズド化による硫酸イオンの増加と炭酸カルシウム含有量の増加により、硫酸バンドと炭酸カルシウムとの反応物である硫酸カルシウム(石膏)が抄紙系内で増加し、これが抄紙工程で析出することによるスケールトラブルが発生するようになってきている。
これらの問題を解決するため、pH6.5〜8.5、アルカリ度50〜400ppm、電導度50〜250mS/mのパルプスラリーを用い、内添サイズ剤と紙力剤をパルプスラリーに添加して抄紙を行う板紙の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、炭酸カルシウムを5重量%以上含有するパルプスラリーに製紙用薬品を添加し、pH5〜8の条件で湿式抄造する板紙の製造方法において、上記製紙用薬品が、カチオン性凝結剤、紙力増強剤、硫酸バンド、サイズ剤、カチオン性歩留り剤及びアニオン性歩留り剤であり、且つ、上記硫酸バンドの添加量が絶乾パルプ重量に対して0.5〜4重量%であるとともに、製紙用薬品の添加手順として、上記サイズ剤を添加する直前に硫酸バンドを添加するか、或は、硫酸バンド及びサイズ剤を同時に添加する板紙の製造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、これらの提案では、スケールトラブルの発生は解決できるものの、抄紙pHが中性で硫酸バンドをほとんど用いないため、紙力増強剤の歩留まりが悪くなったり、紙力増強剤の紙力増強効果が十分に発揮できなかったりした。
一方、一般的な紙の製造にあたっても、原料事情の悪化、抄紙機の高速化、製紙工程中に生ずる白水中の夾雑物量の増大や抄紙pHの変動といった紙質に関わる諸問題が発生してきている。これらを解決した紙力増強効果に優れる特定の構造を有するポリアクリルアミド系樹脂を含有する製紙用添加剤(例えば、特許文献3参照)などの種々の提案がされている。しかしながら、そのような提案を、一般的に紙力増強剤の歩留まりが悪くなったり、紙力増強剤の紙力増強効果が十分に発揮できなかったりする抄紙pH6.5〜8.5で硫酸バンドをほとんど用いないという一般的でない板紙の製造方法に、適用すると、紙力増強剤の歩留まりが良くなることや紙力増強効果が優れるようになることは記載も示唆もない。
特開2007−186822号公報 特開2007−154349号公報 特開2000−008293号公報
本発明の課題は、スケールトラブルの発生を解決するとともに抄紙pH6.5〜8.5において、歩留まり及び強度に優れる板紙の製造方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、
特定の製紙用添加剤をパルプスラリーに添加し、抄紙pHが6.5〜8.5である板紙の製造方法とすることにより、スケールトラブルの発生を解決するとともに歩留まり向上効果及び紙力向上効果が優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、前記課題を解決する手段は、
<1> 一般式(A)で表される構造を構成することができるモノマー(A)、重合系内に存在するモノマー全量に対して1〜20モル%のカチオン性ビニルモノマー(C)並びに重合系内に存在するモノマー全量に対して0.01〜5モル%の(メタ)アリルスルホン酸及び/又はその塩(D)を少なくとも重合して得られる一般式(B)で表される構造を有する(メタ)アクリルアミド系共重合体である製紙用添加剤を古紙パルプを50%以上使用するパルプスラリーに添加し、添加後のパルプスラリーについて下記条件により得られる歩留まり向上率(Re)が3%以上であり、添加後のパルプスラリーにおける抄紙pHが6.5〜8.5であるパルプスラリーを使用することを特徴とする板紙の製造方法。
Figure 0005924594
(式中RはH又はCHを表す。)
Figure 0005924594
(式中RはH又はCHを表し、RはH、Na、K又はNHを表す。)
条件
(i)カナディアンスタンダードフリーネスを300mlに調整した1質量%のパルプスラリーを、温度25℃に調整し、
(ii)40メッシュワイヤーを具備したダイナミックドレネージテスターに採取、600rpmにて攪拌し、
(iii)製紙用添加剤をパルプ固形分に対して0.5質量%添加し、
(iv)製紙用添加剤を添加した1分後に排水を開始し、50g排水後、さらに150g排水した濾液中の固形分濃度(b)を測定し、
(v)排水前のパルプスラリー中の固形分濃度(a)と、(iv)にて測定した濾液中の固形分濃度を用いて、下記式から歩留まり率を計算する。
歩留まり率(R):(a−b)/a×100(%)
(vi)製紙用添加剤を添加した際の歩留まり率(Rs)と製紙用添加剤を添加しなかった際の歩留まり率(R0)を用いて下記式により、歩留まり向上率(Re)を計算する。歩留まり向上率(Re):(Rs−R0)/R0×100(%)
<2> 板紙が、ライナー原紙、中芯原紙、紙管原紙、石膏ボード原紙、コート白板、ノーコート白板、又はチップボールであることを特徴とする、請求項1に記載の板紙の製造方法、
<3> 前記製紙用添加剤が、一般式(A)で表される構造を構成することができるモノマー(A)、重合系内に存在するモノマー全量に対して1〜20モル%のカチオン性ビニルモノマー(C)、重合系内に存在するモノマー全量に対して0.01〜5モル%の(メタ)アリルスルホン酸及び/又はその塩(D)、並びに一般式(B)で表される構造を構成することができるモノマー(B)を含有するモノマーを共重合して得られる一般式(B)の構造を有する(メタ)アクリルアミド系共重合体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の板紙の製造方法、
<4> モノマー(A)が(メタ)アクリルアミドであり、モノマー(B)が2−(メタ)アクリルアミド−N−グリコール酸類であることを特徴とする請求項3に記載の板紙の製造方法、
<5> 前記製紙用添加剤が、一般式(A)で表される構造にグリオキシル酸類を反応させることにより構成された一般式(B)の構造を有する(メタ)アクリルアミド系共重合体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の板紙の製造方法、
<6> 製紙用添加剤が、さらにアニオン性ビニルモノマー(E)を重合系内に存在するモノマー全量に対して0.5〜10モル%の範囲で使用して得られた(メタ)アクリルアミド系共重合体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の板紙の製造方法、
<7> 前記アニオン性ビニルモノマー(E)が不飽和モノカルボン酸又は不飽和ジカルボン酸である前記請求項6に記載の板紙の製造方法、
<8> 製紙用添加剤が、さらに架橋性ビニルモノマー(F)を重合系内に存在するモノマー全量に対して0.001〜2モル%の範囲で使用して得られた(メタ)アクリルアミド系共重合体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の板紙の製造方法、
<9> パルプスラリーは、そのパルプスラリーの固形分に対し、アルミニウム化合物を、アルミナ換算で0.1質量%以下の割合で含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の板紙の製造方法である。
抄紙pH6.5〜8.5で硫酸バンドをほとんど用いないで板紙を製造する従来の方法では、紙力増強剤の歩留りが悪くなったり、紙力増強剤の紙力増強効果が十分に発揮できなかったりした。しかしながら、この発明によると、スケールトラブルの発生を解決するとともに紙力増強剤の歩留まりが良くなり、紙力増強効果が優れる板紙の製造方法を提供することができる。
図1は、ダイナミックドレネージジャーの概略を示す概略図である。
本発明は、
一般式(A)で表される構造を構成することができるモノマー(A)、重合系内に存在するモノマー全量に対して1〜20モル%のカチオン性ビニルモノマー(C)並びに重合系内に存在するモノマー全量に対して0.01〜5モル%の(メタ)アリルスルホン酸及び/又はその塩(D)を少なくとも重合して得られる一般式(B)で表される構造を有する(メタ)アクリルアミド系共重合体である製紙用添加剤をパルプスラリーに添加し、添加後のパルプスラリーにおける抄紙pHが6.5〜8.5であるパルプスラリーを使用することを特徴とする板紙の製造方法である。
Figure 0005924594
(式中RはH又はCHを表す。)
Figure 0005924594
(式中RはH又はCHを表し、RはH、Na、K又はNHを表す。)
本発明の好ましい態様は、
前記<1>に記載の製紙用添加剤をパルプスラリーに添加し、添加後のパルプスラリーについて下記条件により得られる歩留まり向上率(Re)が3%以上であり、添加後のパルプスラリーにおける抄紙pHが6.5〜8.5であるパルプスラリーを使用することを特徴とする板紙の製造方法、
ことを特徴とする板紙の製造方法である。
条件
(i)カナディアンスタンダードフリーネスを300mlに調整した1質量%のパルプスラリーを、温度25℃に調整し、
(ii)40メッシュワイヤーを具備したダイナミックドレネージテスターに採取、600rpmにて攪拌し、
(iii)製紙用添加剤をパルプ固形分に対して0.5質量%添加し、
(iv)製紙用添加剤を添加した1分後に排水を開始し、50g排水後、さらに150g排水した濾液中の固形分濃度(b)を測定し、
(v)排水前のパルプスラリー中の固形分濃度(a)と、(iv)にて測定した濾液中の固形分濃度を用いて、下記式から歩留まり率を計算する。
歩留まり率(R):(a−b)/a×100(%)
(vi)製紙用添加剤を添加した際の歩留まり率(Rs)と製紙用添加剤を添加しなかった際の歩留まり率(R0)を用いて下記式により、歩留まり向上率(Re)を計算する。
歩留まり向上率(Re):(Rs−R0)/R0×100(%)
本発明の板紙の製造方法における板紙として、ライナー原紙、中芯原紙、紙管原紙、石膏ボード原紙、コート白板、ノーコート白板、チップボール等を挙げることができる。
本発明で使用するパルプスラリーは、パルプ原料を工業用水などでスラリー化して得ることができる。パルプ原料として、クラフトパルプあるいはサルファイトパルプなどの晒あるいは未晒化学パルプ、砕木パルプ、機械パルプあるいはサーモメカニカルパルプなどの晒あるいは未晒高収率パルプ、上白古紙、新聞古紙、雑誌古紙、段ボール古紙あるいは脱墨古紙などの古紙パルプのいずれも使用することができ、古紙パルプを50%以上使用することが好ましい。また、前記パルプ原料としては、前記パルプ原料と、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン等との混合物も使用することができる。さらにパルプスラリーに用いる主要な原料として填料がある。填料としては、炭酸カルシウム、クレー、タルク、チョーク、酸化チタン、ホワイトカーボンなどを挙げることができる。
この発明における(メタ)アクリルアミド系共重合体を製紙用添加剤としてパルプスラリーに添加する量は、特に制限はないが、パルプスラリーの固形分に対し、0.05〜2.0質量%が好ましい。(メタ)アクリルアミド系共重合体の添加量が、前記範囲内にあるとこの発明の課題をよく達成することができ、歩留り向上効果及び紙力向上効果をよく達成することができ、しかも抄紙機等設備の汚れを生じさせることがない。
本発明においては、パルプスラリーの固形分に対して、アルミナ換算で0.1質量%以下のアルミニウム化合物をパルプスラリーに添加することが好ましい。アルミニウム化合物としては、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、ポリ塩化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム等が挙げられる。
また、本発明の効果に悪影響を及ぼさない範囲で、パルプスラリーに対して、サイズ剤、湿潤紙力剤、ピッチコントロール剤、凝結剤、濾水剤、歩留まり剤、染料、スライムコントロール剤、pH調整剤等、紙の製造に必要な添加剤を添加することが可能である。
本発明における製紙用添加剤の添加場所に関しては特に制限はなく、例えばミキシングチェスト、マシンチェスト、種箱、ファンポンプ、スクリーン、白水ピット等が挙げられる。好ましくは、ミキシングチェスト、マシンチェストである。
本発明における抄紙pHとは、抄紙機にて脱水する直前のパルプスラリーのpHであり、抄紙pHは、6.5〜8.5である。なお、抄紙機にて脱水する直前のパルプスラリーのpHは、一般的に実機ではインレットにおけるpHに相当する。
本発明で用いる製紙用添加剤は、一般式(A)で表される構造を構成することができるモノマー(A)、重合系内に存在するモノマー全量に対して1〜20モル%のカチオン性ビニルモノマー(C)並びに重合系内に存在するモノマー全量に対して0.01〜5モル%の(メタ)アリルスルホン酸及び/又はその塩(D)を少なくとも重合して得られる一般式(B)で表される構造を有する(メタ)アクリルアミド系共重合体である。
Figure 0005924594
(式中RはH又はCHを表す。)
Figure 0005924594
(式中RはH又はCHを表し、RはH、Na、K又はNHを表す。)
本発明で使用する一般式(A)で表される構造を構成することができるモノマー(A)として(メタ)アクリルアミドを挙げることができる。(メタ)アクリルアミドなる表記は、アクリルアミド及びメタクリルアミドの二種を意味する。この発明における(メタ)アクリルアミド系共重合体は、モノマー(A)としてアクリルアミド及びメタクリルアミドのいずれか又は両方を用いて合成されることができる。
本発明における一般式(B)で表される構造を構成することができるモノマー(B)としては、一般式(B1)で示される2−(メタ)アクリルアミド−N−グリコール酸類を挙げることができ、例えば2−アクリルアミド−N−グリコール酸、2−メタアクリルアミド−N−グリコール酸またはそれらのナトリウム、カリウム、アンモニウム等の塩類が挙げられる。
Figure 0005924594
(式中RはH又はCHを表し、RはH、Na、K又はNHを表す。)
前記モノマー(B)を用いないで一般式(B)で表される構造を有する(メタ)アクリルアミド系共重合体を合成する方法として、
(1) モノマー(A)、カチオン性ビニルモノマー(C)及び(メタ)アリルスルホン酸及び/又はその塩(D)を重合することにより形成されている一般式(A)で表される構造にグリオキシル酸類を反応させる方法、及び
(2) モノマー(A)、カチオン性ビニルモノマー(C)、(メタ)アリルスルホン酸及び/又はその塩(D)及びグリオキシル酸類を反応させる方法を、挙げることができる。
なお、以下において、製紙用添加剤として用いる(メタ)アクリルアミド系共重合体における一般式(B)で表される構造をモノマー換算したものを(B)成分と略することがある。グリオキシル酸類としては、グリオキシル酸およびそのナトリウム、カリウム、アンモニウム等の塩類が挙げられる。
本発明で使用できるカチオン性ビニルモノマー(C)としては、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドもしくはジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、アルキルジアリルアミン、ジアルキルアリルアミン、ジアリルアミン、アリルアミン等の3級アミノ基、2級アミノ基、1級アミノ基を有するビニルモノマーまたは、それらの塩酸、硫酸、ギ酸、酢酸などの無機酸ないしは有機酸の塩類、または上記3級アミノ基含有ビニルモノマーとメチルクロライド、メチルブロマイド等のアルキルハライド、ベンジルクロライド、ベンジルブロマイド等のアラルキルハライド、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、エピクロロヒドリン、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、グリシジルトリアルキルアンモニウムクロライド等の4級化剤との反応によって得られる4級アンモニウム塩を含有するビニルモノマー、例えば2−ヒドロキシN,N,N,N’,N’−ペンタメチル−N’−[3−{(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ}プロピル]−1,3−プロパンジアミニウムジクロライド等、(メタ)アリルハライドとジメチルアミノアルキルアルコールとの反応物等が例示され、これらの一種を単独でまたは二種以上を併用して使用することができる。
本発明で使用できる(メタ)アリルスルホン酸(塩)(D)としては、アリルスルホン酸及びメタリルスルホン酸並びにアリルスルホン酸及びメタリルスルホン酸のナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩等が挙げられる。
本発明で使用できるアニオン性ビニルモノマー(E)としては、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、不飽和トリカルボン酸、不飽和テトラカルボン酸、不飽和スルホン酸、不飽和ホスホン酸およびそれらの塩類が挙げられ、これらの一種を単独でまたは二種以上を併用して使用することができる。
これらのうち不飽和モノカルボン酸およびそれらの塩類としては、アクリル酸、メタクリル酸およびそれらのナトリウム、カリウム塩等のアルカリ金属類またはアンモニウム塩等が挙げられる。
不飽和ジカルボン酸およびそれらの塩類の例としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸およびそれらのナトリウム、カリウム塩等のアルカリ金属塩類またはアンモニウム塩等が挙げられる。不飽和トリカルボン酸およびそれらの塩類の例としてはアコニット酸、3−ブテン−1,2,3−トリカルボン酸、4−ペンテン−1,2,4−トリカルボン酸およびそれらのナトリウム、カリウム塩等のアルカリ金属塩類またはアンモニウム塩等が挙げられる。
不飽和テトラカルボン酸およびそれらの塩類の例としては、1−ペンテン−1,1,4,4−テトラカルボン酸、4−ペンテン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、3−ヘキセン−1,1,6,6―テトラカルボン酸およびそれらのナトリウム、カリウム塩等のアルカリ金属塩類又はアンモニウム塩等が挙げられる。
不飽和スルホン酸の例としては、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびそれらのナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩等が挙げられる。
不飽和ホスホン酸の例としては、ビニルホスホン酸、α−フェニルビニルホスホン酸およびそれらのナトリウム、カリウム塩等のアルカリ金属塩類またはアンモニウム塩等が挙げられる。
上記のアニオン性ビニルモノマーの中でも紙質向上効果及び経済性の点で不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、具体的には、アクリル酸、イタコン酸およびその塩類が特に好ましい。
本発明で使用できる架橋性ビニルモノマー(F)としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類、メチレンビス(メタ)アクリルアミド等のビス(メタ)アクリルアミド類、アジピン酸ジビニル等のジビニルエステル類、ウレタンアクリレート類、アリル(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、グリシジル(メタ)アクリレート、N置換(メタ)アクリルアミド、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−S−トリアジン、トリアリルイソシアヌレート、N,N−ジアリルアクリルアミド、テトラメチロールメタンテトラアクリレート等の2〜4官能性ビニルモノマーのような多官能性ビニルモノマーが例示できる。
本発明において使用する重合開始剤は、特に限定されるものではなく、公知のものが使用できる。例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド等の過酸化物、臭素酸ナトリウム、及び臭素酸カリウム等の臭素酸塩、過ホウ素酸ナトリウム、過ホウ素酸カリウム、及び過ホウ素酸アンモニウム等の過ホウ素酸塩、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、及び過炭酸アンモニウム等の過炭酸塩、過リン酸ナトリウム、過リン酸カリウム、及び過リン酸アンモニウム等の過リン酸塩等が例示でき、1種単独で用いても良いし、2種類以上併用してもよく、これらの重合開始剤を単独でも使用できるが、還元剤と組み合わせてレドックス系重合開始剤としても使用できる。また、重合開始剤として、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−アミジノプロパン塩酸塩、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸及びその塩等のアゾ化合物も使用可能であり、1種単独で用いても良いし、2種類以上併用してもよい。
還元剤としては、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩あるいはN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン等の有機アミン、2,2’−アゾビス−2−アミジノプロパン塩酸塩等のアゾ化合物、アルドース等の還元糖等が例示できる。これらの還元剤は1種単独で用いても良いし、2種類以上併用してもよい。
また、必要に応じ、アルキルメルカプタン類、チオグリコール酸あるいはそのエステル類、イソプロピルアルコール、アリルアルコール等の公知の連鎖移動剤を使用することができる。
本発明における製紙用添加剤である(メタ)アクリルアミド系共重合体に含まれる一般式(A)で表される構造の含有割合は、一般式(A)で表される構造をモノマー換算した場合に、特に限定はないが、70モル%〜99モル%が好ましい。前記一般式(A)で表される構造の含有割合が前記範囲を外れてもこの発明の課題を達成することができるが、前記範囲内にあると、特に紙力向上効果が奏される。
本発明における製紙用添加剤である(メタ)アクリルアミド系共重合体に含まれる一般式(B)で表される構造の含有割合は、一般式(B)で表される構造をモノマー換算した場合に、特に限定はないが、0.5〜30モル%が好ましい。前記構造の含有割合が前記範囲を外れてもこの発明の課題を解決することができるが、前記範囲内にあると、特に歩留り向上効果及び紙力向上効果が奏され、30モル%を超えるとコストの上昇に見合ったパルプへの定着向上効果、歩留まり向上効果、紙力向上効果が見られないことがある。
本発明における製紙用添加剤である(メタ)アクリルアミド系共重合体を得るためのカチオン性ビニルモノマー(C)の使用量は、通常1〜20モル%であり、好ましくは2〜15モル%である。カチオン性ビニルモノマー(C)の使用量が前記範囲を外れてもこの発明の課題を解決することができるが、前記範囲内であると特に紙力の向上効果が十分に奏される。
本発明における製紙用添加剤である(メタ)アクリルアミド系共重合体を得るための(メタ)アリルスルホン酸及び/又はその塩(D)の使用量は、通常0.01〜5モル%であり、好ましくは0.05〜2モル%である。(メタ)アリルスルホン酸及び/又はその塩(D)の使用量が前記範囲を外れてもこの発明の課題を解決することができるが、前記範囲内であると製紙用添加剤の粘度調整が特に容易になり、前記上限値を超えると使用量の増大に見合った紙力向上効果の増大が期待できないことがある。
本発明における製紙用添加剤である(メタ)アクリルアミド系共重合体を得るためのアニオン性ビニルモノマー(E)の使用量は、通常、0.5〜10モル%であり、好ましくは1〜10モル%である。アニオン性ビニルモノマー(E)の使用量が前記範囲を外れてもこの発明の課題を解決することができるが、前記範囲内であると製紙用添加剤の紙力向上効果が特に奏される。
本発明における製紙用添加剤である(メタ)アクリルアミド系共重合体を得るための架橋性ビニルモノマー(F)の使用量は、通常、0.001〜2モル%であり、好ましくは0.001〜1モル%である。架橋性ビニルモノマー(F)の使用量が前記範囲を外れてもこの発明の課題を解決することができるが、前記範囲内であると製紙用添加剤の粘度の調整が容易である。
(メタ)アクリルアミド系共重合体の製造方法としては、特に制限はなく、従来公知の各種の方法を採用することが出来る。例えば、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下、撹拌機及び温度計を備えた反応容器に、前述のモノマーと溶媒である水(必要に応じて有機溶媒を併用することも可能である)、必要に応じて連鎖移動剤を仕込む、さらに必要に応じて硫酸、塩酸等の酸もしくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等のアルカリといったpH調整剤によりpHを調製する。その後重合開始剤を加え、反応温度20〜90℃で1〜5時間反応させ、目的とする(メタ)アクリルアミド系共重合体を得ることが出来る。また、必要に応じて、モノマー、水、連鎖移動剤、pH調整剤、重合開始剤の一部または全量を反応容器に滴下しながら重合することもできる。
(メタ)アクリルアミド系共重合体は、例えばモノマー(A)とカチオン性ビニルモノマー(C)と(メタ)アリルスルホン酸及び/又はその塩(D)とグリオキシル酸類とを用いて製造することができる。
より具体的に言うと、(メタ)アクリルアミド系共重合体は、
(a) モノマー(A)と、重合系内に存在するモノマー全量に対して1〜20モル%のカチオン性ビニルモノマー(C)と、重合系内に存在するモノマー全量に対して0.01〜5モル%の(メタ)アリルスルホン酸及び/又はその塩(D)とグリオキシル酸類とを同じ反応容器に仕込んでこれらを反応させることにより得ることができ、又は、
(b) モノマー(A)と、重合系内に存在するモノマー全量に対して1〜20モル%のカチオン性ビニルモノマー(C)と、重合系内に存在するモノマー全量に対して0.01〜5モル%の(メタ)アリルスルホン酸及び/又はその塩(D)とを重合することにより得られる重合体における一般式(A)で示される構造にグリオキシル酸を反応せることによって一般式(B)の構造を導入することにより得ることができる。上記二つの製造方法における反応条件は、特に制限はないが、通常は反応温度が20〜90℃、反応時間が30分〜10時間程度である。
本発明における(メタ)アクリルアミド系共重合体は、通常、これを含有する水溶液の状態で供給される。この水溶液に含まれる(メタ)アクリルアミド系共重合体の濃度に関しては特に制限はないが、輸送コスト、取扱いの観点から、10〜40質量%が好ましい。(メタ)アクリルアミド系共重合体を含む水溶液の粘度は、ポンプでの送液の観点から、25℃におけるブルックフィールド粘度が100〜20000mPa・sであることが好ましい。
(メタ)アクリルアミド系共重合体の分子量は、特に制限はないが、GPC−MALSで測定した重量平均分子量が、50万〜1000万が好ましい。重量平均分子量が前記範囲内にあると歩留り向上効果及び紙力向上効果がよく奏され、50万未満のはるかに小さな重量平均分子量である場合は、歩留まり、紙力向上効果が乏しく、1000万をはるかに超える場合は、パルプスラリーへ添加した際の凝集性が強く、紙の地合い、紙力に悪影響を及ぼす場合がある。
下記条件により得られる歩留り向上率(Re)が3%以上の板紙の製造方法であることが好ましい。歩留り向上率(Re)は3%〜20%がより好ましく、5%〜15%であることがさらに好ましい。歩留まり向上率はワイヤーの網目をすり抜ける微細なパルプの割合を示す指標であり、歩留まり向上率(Re)が3%以上であるとワイヤーの網目をすり抜ける微細なパルプが少なくなり、ワイヤー上での水切れの低下、プレス工程のフェルトの目詰まり等のトラブルが減少させることができる。なお、ダイナミックドレネージジャーは、TAPPI T261 cm−00(Fine fraction by weight of paper stock by wet screening)に記載の図1のような装置に準じたものを使用する。
条件
(i)カナディアンスタンダードフリーネスを300mlに調整した1質量%のパルプスラリーを、温度25℃に調整し、
(ii)攪拌機(3枚プロペラ)、40メッシュワイヤーを具備した内径10.16cm(4インチ)のダイナミックドレネージジャーに採取、600rpmにて攪拌し、
(iii)製紙用添加剤をパルプ固形分に対して0.5質量%添加し、
(iv)製紙用添加剤を添加した1分後に排水を開始し、50g排水後、さらに150g排水した濾液中の固形分濃度(b)を測定し、
(v)排水前のパルプスラリー中の固形分濃度(a)と、(iv)にて測定した濾液中の固形分濃度を用いて、下記式から歩留まり率を計算する。
歩留まり率(R):(a−b)/a×100(%)
(vi)製紙用添加剤を添加した際の歩留まり率(Rs)と製紙用添加剤を添加しなかった際の歩留まり率(R0)を用いて下記式により、歩留まり向上率(Re)を計算する。
歩留まり向上率(Re):(Rs−R0)/R0×100(%)
以下、実施例により本発明の実施の形態を説明するが、これら実施例により、本発明は制限されるものではない。
製造例1
撹拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を付した1リットル四つ口フラスコに、イオン交換水 610.1g、50%アクリルアミド水溶液 315.17g、ジメチルアミノエチルメタクリレート 19.28g、2−アクリルアミド−N−グリコール酸 14.22g、トリアクリルホルマール 0.06g、メタリルスルホン酸ナトリウム 1.97gを仕込み、次いで、30%硫酸水溶液 15.93gを仕込み、pH3.0とし、窒素ガス雰囲気下、60℃に昇温した。次いで、重合開始剤として5%水溶液とした過硫酸アンモニウム 5.59gを加え、窒素ガス雰囲気下90℃に昇温し、保温した。重合開始から1時間後に、5%過硫酸アンモニウム 11.17gを追添加し、反応開始後、2時間後に重合を止めた。冷却後、固形分20.1%、粘度(25℃、ブルックフィールド回転粘度計使用)7500mPa・s、pH2.9の重合体含有水溶液を得た。得られた重合体含有水溶液の性状を表2に示す。
製造例2〜8、比較製造例1〜3
表1のように(A)〜(F)の成分の種類、モル比を変えた以外は、製造例1と同様な操作を行い、重合体含有水溶液を得た。得られた重合体含有水溶液の性状を表2に示す。
製造例9
撹拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を付した1リットル四つ口フラスコに、イオン交換水 576.0g、50%アクリルアミド水溶液 315.23g、ジメチルアミノエチルメタクリレート 19.28g、50%グリオキシル酸 14.53g、メタリルスルホン酸ナトリウム 2.33gを仕込み、次いで、30%硫酸水溶液 15.25gを仕込み、pH3.0とし、窒素ガス雰囲気下、60℃に昇温した。次いで、重合開始剤として5%水溶液とした過硫酸アンモニウム 5.59gを加え、窒素ガス雰囲気下90℃に昇温し、保温した。重合開始から1時間後に、5%過硫酸アンモニウム 11.17gを追添加し、反応開始後、2時間後に重合を止めた。冷却後、固形分20.0%、粘度6400mPa・s、pH2.8の重合体含有水溶液を得た。得られた重合体含有水溶液の性状を表2に示す。
製造例10
表1のように(A)〜(F)の成分の種類、モル比を変えた以外は、製造例9と同様な操作を行い、重合体含有水溶液を得た。得られた重合体含有水溶液の性状を表2に示す。
Figure 0005924594
表1中の略号は以下の通りである。
AAm:アクリルアミド
AGA:2−アクリルアミド-N-グリコール酸
Gly:グリオキシル酸
DM:ジメチルアミノエチルメタクリレート
DMBz:ジメチルアミノエチルメタクリレート塩化ベンジル4級化物
DABz:ジメチルアミノエチルアクリレート塩化ベンジル4級化物
IA:イタコン酸
AA:アクリル酸
SMAS:メタリルスルホン酸ナトリウム
TAF:トリアクリルホルマール
表1中の空欄はその成分を用いていないことを示す。
なお、各成分の欄にはその成分の種類を上記略号で示し、その略号の右横にその成分のモル%を記載した。また、製造例5のC成分は横一列に上記略号及びモル%を並べて3種を示している。
Figure 0005924594
製造例における重量平均分子量測定は、GPCに多角度光散乱検出器を接続したGPC−MALS法により行った。測定条件は以下の通りである。
GPC本体:アジレント・テクノロジー社製 LC1100シリーズ
カラム:昭和電工(株)製 SHODEX SB806M HQ
溶離液:N/10硝酸ナトリウムを含むN/15リン酸緩衝液 (pH3)
流速:1.0ml/分
検出器1:ワイアットテクノロジー社製多角度光散乱検出器DAWN
検出器2:昭和電工(株)製示唆屈折率検出器RI−101
歩留まり率に関する実験1
40メッシュの金属ワイヤーを具備した内径10.16cm(4インチ)のダイナミックドレネージジャーに、段ボール古紙から得られる叩解度(カナディアンスタンダード・フリーネス)を300mlに調整したパルプ濃度1.0質量%のパルプスラリー(パルプスラリー温度は25℃)800gを投入した。この際、ダイナミックドレネージジャーの攪拌回転数(攪拌羽根は3枚プロペラ羽根)を600rpmに設定した。パルプスラリー投入から1分10秒後、0.8質量%に希釈した製造例1〜10および比較製造例1〜3で得られた製紙用添加剤5gを添加した(製紙用添加剤をパルプ固形分に対して0.5質量%になるように添加した)。なお、製紙用添加剤無添加の場合は5gの水を添加した。製紙用添加剤の添加から1分後(このときのパルプスラリーのpHは7.5であった)にダイナミックドレネージジャーの下部に設置されたコックを開放し、50gの濾液を排水した(この濾液は廃棄)。さらに150gの濾液を排水し、この濾液をワットマン社製No.41の濾紙を用いて吸引濾過することで、濾液中の固形分を回収した。濾紙上の残渣を105℃1.5時間の条件にて乾燥後、重量を測定することで、濾液中の固形分(b)を求めた。別途排水前のパルプスラリーの固形分(a)を測定し、下記式より歩留まり率(R)を算出した。
歩留まり率(R):(a−b)/a×100(%)
製紙用添加剤を添加しなかった際の歩留まり率(R0)と、製造例1〜10および比較製造例1〜3で得られた製紙用添加剤を添加した際の歩留まり率(Rs)を用いて、下記式より歩留まり向上率(Re)を算出した。
結果を表3に示す。
歩留まり向上率(Re):(Rs−R0)/R0×100(%)
歩留まり率に関する実験2
パルプスラリー投入から10秒後、2.4質量%に希釈した硫酸バンドを5g添加した以外は、歩留まり率に関する実験1と同様の操作を行った(このときのパルプスラリーのpHは6.2であった)。結果を表3に示す。
Figure 0005924594
実施例1
段ボール古紙から得られる叩解度(カナディアンスタンダード・フリーネス)を300mlに調整したパルプ濃度2.4質量%のパルプスラリーに、パルプ固形分に対して0.5質量%となるように硫酸バンドを添加し、次いで、製造例1〜10及び比較製造例1〜3で得られた製紙用添加剤をパルプ固形分に対して0.5質量%となるように添加し、または添加しないで撹拌した。このパルプスラリーを撹拌後、pH7.0の水でパルプ濃度を0.8質量%に希釈した後(このときのパルプスラリーのpHは7.0であった)、ノーブル・アンド・ウッド製シートマシンにて抄紙し、プレス後、ドラムドライヤーで100℃、100秒間乾燥させて、坪量80g/m(比破裂強さ及び紙中灰分測定に使用)及び150g/m(比圧縮強さ測定に使用)の手抄紙を得た。得られた紙料は、23℃、RH50%条件下で24時間調湿した後、各種測定を行った。製紙用添加剤を添加しない場合についても同様に行った。
なお、上記薬品の添加率は、パルプ絶乾重量に対する固形分重量比である。
測定結果を表4に示す。表4に示す測定は、以下の方法に準じて行った。
比破裂強さ・・・JIS P 8112
比圧縮強さ・・・JIS P 8126
紙中灰分・・・JIS P 8128
実施例2
硫酸バンドを添加しない(添加率を0質量%)とし、pHを7.5の水でパルプ濃度を0.8質量%に希釈した(このときのパルプスラリーのpHは7.5であった)とした以外は実施例1と同様の操作を行った。測定結果を表4に示す。
この発明の方法においては、パルプスラリーは、パルプスラリー中の固形分に対するアルミナ換算で0.1質量%以下の割合で、アルミニウム化合物を含有するのが、好ましい。パルプスラリー中にアルミニウム化合物が含有されていると、本発明における製紙用添加剤による歩留り効果及び紙力増強効果を更に向上させることができるといった利点がある。アルミニウム化合物として硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム等を挙げることができる。
Figure 0005924594
表3及び4に示す結果から明らかな通り、本発明の板紙の製造方法により、歩留まりの向上、強度の向上が認められ、板紙の製造時の生産性、品質の向上に大きく寄与すると考えられる。

Claims (9)

  1. 一般式(A)で表される構造を構成することができるモノマー(A)、重合系内に存在するモノマー全量に対して1〜20モル%のカチオン性ビニルモノマー(C)並びに重合系内に存在するモノマー全量に対して0.01〜5モル%の(メタ)アリルスルホン酸及び/又はその塩(D)を少なくとも重合して得られる一般式(B)で表される構造を有する(メタ)アクリルアミド系共重合体である製紙用添加剤を、古紙パルプを50%以上使用するパルプスラリーに添加し、添加後のパルプスラリーについて下記条件により得られる歩留まり向上率(Re)が3%以上であり、添加後のパルプスラリーにおける抄紙pHが6.5〜8.5であるパルプスラリーを使用することを特徴とする板紙の製造方法。
    Figure 0005924594
    (式中RはH又はCHを表す。)
    Figure 0005924594
    (式中RはH又はCHを表し、RはH、Na、K又はNHを表す。)
    条件
    (i)カナディアンスタンダードフリーネスを300mlに調整した1質量%のパルプスラリーを、温度25℃に調整し、
    (ii)40メッシュワイヤーを具備したダイナミックドレネージテスターに採取、600rpmにて攪拌し、
    (iii)製紙用添加剤をパルプ固形分に対して0.5質量%添加し、
    (iv)製紙用添加剤を添加した1分後に排水を開始し、50g排水後、さらに150g排水した濾液中の固形分濃度(b)を測定し、
    (v)排水前のパルプスラリー中の固形分濃度(a)と、(iv)にて測定した濾液中の固形分濃度を用いて、下記式から歩留まり率を計算する。
    歩留まり率(R):(a−b)/a×100(%)
    (vi)製紙用添加剤を添加した際の歩留まり率(Rs)と製紙用添加剤を添加しなかった際の歩留まり率(R0)を用いて下記式により、歩留まり向上率(Re)を計算する。歩留まり向上率(Re):(Rs−R0)/R0×100(%)
  2. 板紙が、ライナー原紙、中芯原紙、紙管原紙、石膏ボード原紙、コート白板、ノーコート白板、又はチップボールであることを特徴とする、請求項1に記載の板紙の製造方法。
  3. 前記製紙用添加剤が、一般式(A)で表される構造を構成することができるモノマー(A)、重合系内に存在するモノマー全量に対して1〜20モル%のカチオン性ビニルモノマー(C)、重合系内に存在するモノマー全量に対して0.01〜5モル%の(メタ)アリルスルホン酸及び/又はその塩(D)、並びに一般式(B)で表される構造を構成することができるモノマー(B)を含有するモノマーを共重合して得られる一般式(B)の構造を有する(メタ)アクリルアミド系共重合体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の板紙の製造方法。
  4. モノマー(A)が(メタ)アクリルアミドであり、モノマー(B)が2−(メタ)アクリルアミド−N−グリコール酸類であることを特徴とする請求項3に記載の板紙の製造方法。
  5. 前記製紙用添加剤が、一般式(A)で表される構造にグリオキシル酸類を反応させることにより構成された一般式(B)の構造を有する(メタ)アクリルアミド系共重合体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の板紙の製造方法。
  6. 製紙用添加剤が、さらにアニオン性ビニルモノマー(E)を重合系内に存在するモノマー全量に対して0.5〜10モル%の範囲で使用して得られた(メタ)アクリルアミド系共重合体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の板紙の製造方法。
  7. 前記アニオン性ビニルモノマー(E)が不飽和モノカルボン酸又は不飽和ジカルボン酸である前記請求項6に記載の板紙の製造方法。
  8. 製紙用添加剤が、さらに架橋性ビニルモノマー(F)を重合系内に存在するモノマー全量に対して0.001〜2モル%の範囲で使用して得られた(メタ)アクリルアミド系共重合体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の板紙の製造方法。
  9. パルプスラリーは、そのパルプスラリーの固形分に対し、アルミニウム化合物を、アルミナ換算で0.1質量%以下の割合で含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の板紙の製造方法。
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