JP2023005652A - 層間強度向上剤、および抄き合わせ紙の製造方法 - Google Patents

層間強度向上剤、および抄き合わせ紙の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた層間強度向上効果を有する層間強度向上剤、およびこれを含有するスプレー液を湿紙表面へスプレー塗布する、抄き合わせ紙の製造方法を提供する。【解決手段】3級アミノ基および4級アンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有するカチオン性ビニルモノマー単位(a)を50~100モル%、および(メタ)アクリルアミド類(b)を0~50モル%をモノマーユニットとして含有して成るカチオン性樹脂(I)と、特定の構造を有するビニルモノマー(c)を4~20モル%、および(メタ)アクリルアミド類(b)を80~96モル%モノマーユニットとして含有して成るアニオン性アクリルアミド系樹脂(II)とを含有して成り、かつ(I)と(II)の比率が質量比で(I):(II)=10:90~40:60であることを特徴とする層間強度向上剤。【選択図】なし

Description

本発明は、優れた層間強度向上効果を有する層間強度向上剤に関するものである。また、前記層間強度向上剤を含有するスプレー液を湿紙表面へスプレー塗布する、抄き合わせ紙の製造方法に関する。
製紙産業で製造される坪量の高い板紙(コート白ボールや紙管原紙等)は、複数の紙層を抄造しその後抄き合わせる方法により製造されている。しかしながら、抄き合わせ紙の紙層同士の層間強度が不十分である場合、板紙製品として使用する際の層間剥離、印刷時のふくれ等のトラブルが生じやすい。
そこで紙層同士の抄き合わせの際、層間強度向上効果を有する化合物を含有する液を湿紙表面へスプレー塗布することで、抄き合わせ紙の層間強度を向上させている。具体的な化合物としては、未糊化澱粉またはイオン性ポリアクリルアミド、あるいはその両方であり、抄き合わせ紙の層間強度をより高めるために、様々な技術が提案されている。
例えば、未糊化澱粉、イオン性ポリアクリルアミド、水溶性アルミニウム化合物ならびに水溶性無機電解質から成る混合物を湿紙表面へスプレーした後、抄き合わせ抄造を行う方法が提案されている(特許文献1)。また、カチオン性ポリアクリルアミド系樹脂とアニオン性アクリルアミド系樹脂からなる層間強度向上剤が提案されている(特許文献2)。さらに、特定のカチオンモノマーとアニオンモノマーを重合した水溶性高分子からなる層間強度向上剤が提案されている(特許文献3)。
しかしながら、これらの提案では依然として層間強度向上効果において十分に満足できるものではなく、特に、古紙のリサイクル率の向上、古紙の品質の低下を背景に、より高い強度を要求される紙種の紙力向上効果に関して十分に満足できるものではなかった。
一方、(メタ)アクリルアミドのグリオキシル酸変性体とカチオンモノマーからなるポリアクリルアミド系樹脂を製紙用添加剤として用いる方法が開示されている(特許文献4および5)。
しかしながら、これらの発明はパルプスラリーへの添加を想定したものであり、層間強度向上剤として用いた場合の紙力向上についての記載はない。
特開2018-3231号公報 特開2002-317393号公報 特開2010―077567号公報 国際公開第2017/073355号公報 国際公開第2012/164916号公報
本発明は、優れた層間強度向上効果を有する層間強度向上剤およびこれを含有するスプレー液を湿紙表面へスプレー塗布する、抄き合わせ紙の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、特定のカチオン性樹脂と、特定のアニオン性アクリルアミド系樹脂をある割合で混合した層間強度向上剤を湿紙にスプレーすると、効率よく湿紙表面に定着し、優れた層間強度を発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、前記課題を解決するための手段である本発明は、
<1>3級アミノ基および4級アンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有するカチオン性ビニルモノマー単位(a)を50~100モル%、および(メタ)アクリルアミド類(b)を0~50モル%をモノマーユニットとして含有して成るカチオン性樹脂(I)と、以下の一般式(A)で示されるビニルモノマー(c)を4~20モル%、および(メタ)アクリルアミド類(b)を80~96モル%モノマーユニットとして含有して成るアニオン性アクリルアミド系樹脂(II)とを含有して成り、かつカチオン性樹脂(I)とアニオン性アクリルアミド系樹脂(II)の比率が質量比で(I):(II)=10:90~40:60であることを特徴とする層間強度向上剤、
一般式(A)
Figure 2023005652000001
(式中RはH又はCHを表し、RはH、Na、K又はNHを表す)
<2>3級アミノ基および4級アンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有するカチオン性ビニルモノマー単位(a)がジアリルジメチルアンモニウムクロライドである前記<1>の層間強度向上剤、
<3>前記<1>または<2>に記載の層間強度向上剤を湿紙表面へスプレーした後に抄き合わせる、抄き合わせ紙の製造方法、
である。
湿紙表面にスプレー塗布することで優れた層間強度向上効果を有する、層間強度向上剤を提供することができる。
本発明における層間強度向上剤は、特定のモノマー構成を有するカチオン性樹脂(I)と特定のモノマー構成を有するアニオン性アクリルアミド系樹脂(II)とを含有する必要がある。
カチオン性樹脂(I)は、3級アミノ基および4級アンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有するカチオン性ビニルモノマー単位(a)を50~100モル%、および(メタ)アクリルアミド類(b)を0~50モル%をモノマーユニットの構成成分として含有する。
3級アミノ基および4級アンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有するカチオン性ビニルモノマー単位(a)は、3級アミノ基を含有するビニルモノマー、および4級アンモニウム塩を含有するビニルモノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を、単独重合、あるいは共重合の成分として使用することで導入することができる。
3級アミノ基を含有するビニルモノマーとしては、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、およびジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類;ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、およびジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド類;ジ(メタ)アリルメチルアミンおよびジ(メタ)アリルエチルアミン等のジ(メタ)アリルアルキルアミン類;および前記3級アミノ基を有するビニルモノマーの塩酸塩や硫酸塩等の無機酸塩類、並びに前記3級アミノ基を有するビニルモノマーのギ酸塩、および酢酸塩等の有機酸塩類が挙げられる。
4級アンモニウム塩を含有するビニルモノマーとしては、前記3級アミノ基を有するビニルモノマーと4級化剤との反応によって得られるビニルモノマーが挙げられる。前記4級化剤としては、メチルクロライド、およびメチルブロマイド等のアルキルハライド;ベンジルクロライド、およびベンジルブロマイド等のアラルキルハライド;ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、エピクロロヒドリン、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、並びにグリシジルトリアルキルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
これらの中でも、特に4級アンモニウム塩を含有するカチオン性ビニルモノマー単位がpHによるカチオン性の変動が小さく、スプレー時に安定的にカチオン性を維持できるため、層間強度向上効果に有利であり好ましく、層間強度向上効果の点からジアリルジメチルアンモニウムクロライドがより好ましい。1級アミノ基および2級アミノ基を含有するカチオン性ビニルモノマー単位をカチオン性樹脂(I)に用いた場合、アニオン性アクリルアミド系樹脂(II)と混合して層間強度向上剤とした際に、増粘ないしゲル化しやすくなるため不適である。
3級アミノ基および4級アンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有するカチオン性ビニルモノマー(a)の割合は、(a)と(b)成分の合計100モル%のうち50~100モル%の範囲内である必要がある。50モル%未満であると、層間強度向上剤としての層間強度向上効果が低下する。
(メタ)アクリルアミド類(b)は、アクリルアミド、またはメタクリルアミドを共重合の成分として使用することで導入することができる。共重合の成分として使用するアクリルアミドは粉体でも、水溶液でも使用することができる。カチオン性樹脂(I)の構成成分中の(メタ)アクリルアミド単位(b)の割合は、(a)と(b)成分の合計100モル%のうち0~50モル%の範囲内である必要がある。
カチオン性樹脂(I)の構成成分には、任意成分として、本発明の効果に支障のない限りにおいて、(a)、(b)成分の一部に代えて、その他の構成成分を含有することができる。その他の成分のビニルモノマー等として例えば、カルボキシル基を含有するアニオン性ビニルモノマーなどが挙げられる。これらは1種単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。カチオン性樹脂(I)の構成成分中の任意成分の割合は、10モル%以下であることが好ましい。
カルボキシル基を含有するアニオン性ビニルモノマーとしてはアクリル酸、メタクリル酸、2-(メタ)アクリルアミド-N-グリコール酸、N-アクリロイルグリシン、3-アクリルアミドプロパン酸、4-アクリルアミドブタン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、およびそれらの塩などが挙げられる。
カチオン性樹脂(I)を本発明の層間強度向上剤の構成成分として用いた際に、スプレーしやすい粘度に調整するため、連鎖移動剤(d)をカチオン性樹脂(I)の構成成分として導入してもよい。連鎖移動剤(d)は、層間強度向上効果の観点から、(a)と(b)成分(前記任意成分を用いた場合はこれも含める)の合計100モル%に対して0~1.5モル%の割合が好ましい。
連鎖移動剤(d)としては、2-メルカプトエタノール、3-メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸およびそのエステル類等のチオール基を有する化合物;亜リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、次亜リン酸塩およびそれらの水和物等;亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、亜二チオン酸塩、メタ重亜硫酸塩およびそれらの水和物;アリルスルホン酸およびメタリルスルホン酸のナトリウム塩;カリウム塩等のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩などの(メタ)アリルスルホン酸およびその塩;およびイソプロピルアルコール等を挙げることができる。
カチオン性樹脂(I)の分子量については、特に制限はないが、重量平均分子量が10,000~500,000g/モルであると、層間強度向上剤とした際にスプレーしやすいため好ましい。
アニオン性アクリルアミド系樹脂(II)は以下の一般式(A)で示されるビニルモノマー(c)を4~20モル%、および(メタ)アクリルアミド類(b)を80~96モル%をモノマーユニットの構成成分として含有する。
一般式(A)
Figure 2023005652000002
(式中RはH又はCHを表し、RはH、Na、K又はNHを表す)
一般式(A)で表される構造を構成することができるモノマーとしては、2-アクリルアミド-N-グリコール酸、2-メタアクリルアミド-N-グリコール酸またはそれらのナトリウム、カリウム、アンモニウム等の塩類が挙げられ、これらのモノマーを用いない場合には、グリオキシル酸類を用いて共重合後の(メタ)アクリルアミド系重合体の一般式(A)で表される構造を導入することができる。グリオキシル酸類としては、グリオキシル酸およびそのナトリウム、カリウム、アンモニウム等の塩類が挙げられる。
一般式(A)で示されるビニルモノマー(c)の割合は、(b)と(c)成分の合計100モル%のうち4~20モル%の範囲内である必要がある。4モル%未満であると、層間強度向上剤としての層間強度向上効果が低下し、20モルを超えては、層間強度向上剤として使用した場合に水への希釈分散性が悪くなる。
アニオン性アクリルアミド系樹脂(II)の構成成分中の(メタ)アクリルアミド単位(b)の割合は、(b)と(c)成分の合計100モル%のうち80~96モル%の範囲内である必要がある。80モル%未満や96モル%を超えると、層間強度向上剤としての層間強度向上効果が低下する。
アニオン性アクリルアミド系樹脂(II)の構成成分には、任意成分として、本発明の効果に支障のない限りにおいて、(b)、(c)成分の一部に代えて、2級アミノ基、3級アミノ基および4級アンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有するカチオン性ビニルモノマーや、カルボキシル基を含有するアニオン性ビニルモノマー、その他ビニルモノマーを用いても良い。これらは1種単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。アニオン性アクリルアミド系樹脂(II)の構成成分中の任意成分の割合は、10モル%以下であることが好ましい。
2級アミノ基を含有するビニルモノマーとしては、例えばジアリルアミン、およびジアリルアミンの塩酸塩や硫酸塩等の無機酸塩類、並びにギ酸塩、および酢酸塩等の有機酸塩類が挙げられる。
3級アミノ基を含有するビニルモノマーとしては、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、およびジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類;ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、およびジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド類;ジ(メタ)アリルメチルアミンおよびジ(メタ)アリルエチルアミン等のジ(メタ)アリルアルキルアミン類;および、これら前記した3級アミノ基を有するビニルモノマーの、塩酸塩や硫酸塩等の無機酸塩類あるいはギ酸塩、および酢酸塩等の有機酸塩類が挙げられる。
4級アンモニウム塩を含有するビニルモノマーとしては、前記3級アミノ基を有するビニルモノマーと4級化剤との反応によって得られるビニルモノマーが挙げられる。前記4級化剤としては、メチルクロライド、およびメチルブロマイド等のアルキルハライド;ベンジルクロライド、およびベンジルブロマイド等のアラルキルハライド;ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、エピクロロヒドリン、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、並びにグリシジルトリアルキルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
カルボキシル基を含有するアニオン性ビニルモノマーとしては、カチオン性樹脂(I)で挙げたカルボキシル基を含有するアニオン性ビニルモノマーなどが挙げられる。
その他ビニルモノマーとしては、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド等のN置換(メタ)アクリルアミド;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類;N,N’-メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’-エチレンビス(メタ)アクリルアミド等のビス(メタ)アクリルアミド類;アジピン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル等のジビニルエステル類;水溶性アジリジニル化合物、水溶性多官能エポキシ化合物、シリコン系化合物などのような架橋剤として作用する成分あるいは、(メタ)アリルスルホン酸またはその塩、(メタ)アリルアルコール、(メタ)アリルアミン等の(メタ)アリル類や、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、スチレン誘導体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、およびメチルビニルエーテル等のノニオン性ビニルモノマーなどが挙げられる。
アニオン性アクリルアミド系樹脂(II)を本発明の層間強度向上剤の構成成分として用いた際に、スプレーしやすい粘度に調整するため、カチオン性樹脂(I)に使用できるとして挙げた連鎖移動剤(d)をアニオン性アクリルアミド系樹脂(II)の構成成分として導入することができる。連鎖移動剤(d)は、水への希釈分散性と層間強度向上効果の観点から、(b)と(c)成分(前記任意成分を用いた場合はこれも含める)の合計100モル%に対して0.1~3モル%の割合が好ましい。アニオン性アクリルアミド系樹脂(II)に使用する連鎖移動剤(d)としては、メタアリルスルホン酸ナトリウムが粘度調整のしやすさ、工業的に入手しやすい点で好ましい。
アニオン性アクリルアミド系樹脂(II)の分子量については、特に制限はないが、重量平均分子量が100,000~5000,000g/モルであると、層間強度向上効果が高いため好ましい。
カチオン性樹脂(I)およびアニオン性アクリルアミド系樹脂(II)を合成するために使用される重合開始剤は、特に限定されるものではなく、公知のものが使用できる。例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、tert-ブチルハイドロパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド等の過酸化物、臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム等の臭素酸塩、過ホウ素酸ナトリウム、過ホウ素酸カリウム、過ホウ素酸アンモニウム等の過ホウ素酸塩、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過炭酸アンモニウム等の過炭酸塩、過リン酸ナトリウム、過リン酸カリウム、過リン酸アンモニウム等の過リン酸塩等が例示できる。この場合、単独でも使用できるが、還元剤と組み合わせてレドックス系重合開始剤としても使用できる。
還元剤としては、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩あるいはN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン等の有機アミン、2,2’-アゾビス-2-アミジノプロパン塩酸塩等のアゾ化合物、アルドース等の還元糖等が例示できる。また、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス-2-アミジノプロパン塩酸塩、2,2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、4,4’-アゾビス-4-シアノ吉草酸およびその塩等のアゾ化合物も使用可能である。これらの開始剤は2種類以上併用してもよい。
カチオン性樹脂(I)およびアニオン性アクリルアミド系樹脂(II)の製造方法としては、特に制限はなく、従来公知の各種の方法を採用することができる。例えば、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下、撹拌機および温度計を備えた反応容器に、前述のモノマーと溶媒である水(必要に応じて有機溶媒を併用することも可能である)、必要に応じて連鎖移動剤や架橋剤を仕込む、さらに必要に応じて硫酸、塩酸等の酸もしくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等のアルカリといったpH調整剤によりpHを調製する。その後重合開始剤を加え、反応温度20~90℃で1~15時間反応させ、目的とするカチオン性樹脂(I)およびアニオン性アクリルアミド系樹脂(II)を得ることが出来る。また、必要に応じて、モノマー、水、連鎖移動剤、架橋剤、pH調整剤、重合開始剤の一部または全量を反応容器に滴下しながら重合することもできる。
(メタ)アクリルアミド系共重合体にグリオキシル酸を反応せることによって一般式(A)の構造を導入する場合は、(メタ)アクリルアミド系共重合体の製造時にグリオキシル酸を同時に仕込んで反応してもよいし、(メタ)アクリルアミド系共重合体を製造したものにグリオキシル酸を添加して反応してもよい。反応条件に特に制限はないが、通常は反応温度20~90℃、反応時間30分~10時間程度で行われる。
カチオン性樹脂(I)とアニオン性アクリルアミド系樹脂(II)を混合することで層間強度向上剤とすることができる。カチオン性樹脂(I)とアニオン性アクリルアミド系樹脂(II)の比率は質量比で(I):(II)=10:90~40:60の範囲内である必要がある。カチオン性樹脂(I)の割合が質量比で10%未満の場合、層間強度向上剤としての層間強度向上効果が低下し、40%を超えては、層間強度向上剤としての層間強度向上効果が頭打ちになるばかりか、経済的にも不利益である。
カチオン性樹脂(I)とアニオン性アクリルアミド系樹脂(II)の混合方法は特に指定はないが、カチオン性樹脂(I)とアニオン性アクリルアミド系樹脂(II)を混ぜる方法、カチオン性樹脂(I)の存在下に、アニオン性アクリルアミド系樹脂(II)を構成するモノマー類を重合して混ぜる方法、
アニオン性アクリルアミド系樹脂(II)の存在下にカチオン性樹脂(I)を構成するモノマーを重合して混ぜる方法を用いることができる。
カチオン性樹脂(I)およびアニオン性アクリルアミド系樹脂(II)を含有する層間強度向上剤は、通常水溶液の状態で供給される。層間強度向上剤に含まれるカチオン性樹脂(I)およびアニオン性アクリルアミド系樹脂(II)の濃度に関しては特に制限はないが、輸送コスト、取扱いの観点から10~40質量%が好ましい。
層間強度向上剤の粘度に関しては特に制限はないが、前記濃度におけるB型粘度が10~15,000mPa・s(25℃)程度であると、取扱いの観点から好ましい。また、層間強度向上剤のpHに関しては特に制限はないが、2.5~7.0であると、カチオン性樹脂(I)およびアニオン性アクリルアミド系樹脂(II)を構成するモノマー単位の加水分解が発生しにくいため好ましい。
本発明の抄き合わせ紙の製造方法においては、前記層間強度向上剤を湿紙表面へスプレーした後に抄き合わせる。尚、従来層間スプレー剤として使用されている澱粉、変性澱粉、カゼイン、CMCなどの他の製紙用添加剤も、各々の紙種に要求される物性を発現させるために、本発明に係る層間強度向上剤に加え必要に応じて併用することができる。
前記層間強度向上剤の希釈液濃度は、固形分濃度で0.01~8質量%、好ましくは0.1~5質量%である。また、希釈した層間スプレー剤の使用時の粘度は1~50mPa・s程度、好ましくは、1~10mPa・s(25℃)であり、pHは2.0~8.0である。スプレー塗布量については、特に限定はないが、通常、紙層1層間について、固形分で0.1~5g/mである
本発明の抄き合わせ紙の製造方法において、紙の原料となるパルプとしては、クラフトパルプおよびサルファイトパルプ等の晒、又は未晒化学パルプ;砕木パルプ、機械パルプ、サーモメカニカルパルプ等の晒、又は未晒高収率パルプ;新聞古紙、雑誌古紙、段ボール古紙および脱墨古紙等の古紙パルプが挙げられる。これらのパルプは水で希釈されスラリー状に調製された後に紙として抄造される。パルプスラリーは酸性系または中性系のいずれのパルプスラリーを用いても良い。
本発明の抄き合わせ紙の製造方法においては、パルプスラリーに対し、クレー、カオリン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン等の填料、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、サイズ剤、サイズ定着剤、消泡剤、pH調整剤、染料、蛍光増白剤、歩留り向上剤等の製紙用内添薬品を適宜含有させてもよい。また、製造される紙は、通常、坪量が10~400g/m程度である。
以下に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において「部」および「%」は、特に断りがない限り、それぞれ質量部および質量%を意味する。
<分子量の測定>
カチオン性樹脂(I)およびアニオン性アクリルアミド系樹脂(II)の重量平均分子量は、以下の測定条件でGPCに多角度光散乱検出器を接続したGPC-MALLS法により得た。
HPLC:Agilent1100シリーズ
カラム:昭和電工株式会社製SHODEX SB806MHQ
溶離液:硝酸ナトリウムを含むリン酸塩緩衝液(pH3)
流速:1.0ml/分
検出器1:ワイアットテクノロジー社製 多角度光散乱検出器DAWN
検出器2:昭和電工(株)製 示唆屈折率検出器RI-101
<カチオン性樹脂(I)の合成>
[合成例1]
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を付けた1リットルの四つ口フラスコに65%ジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液103.47部((a)と(b)成分の合計100モル%とした場合の50.06モル%に相当)、イオン交換水410.00部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で80℃まで昇温した。次いで、50%アクリルアミド水溶液141.82部((a)と(b)成分の合計100モル%とした場合の49.94モル%に相当)、次亜リン酸ナトリウム・一水和物0.25部((a)と(b)成分の合計100モル%に対して0.12モル%に相当)、イオン交換水23.00部を混合させたモノマー水溶液、および過硫酸アンモニウム2.74部、およびイオン交換水80.00部を混合させた重合開始剤水溶液を6時間かけて別々のラインにて滴下により投入した。滴下中、フラスコ内の温度は85℃になるよう適宜フラスコの冷却または過熱を行った。滴下終了からさらに1時間85℃で保持した後、イオン交換水35.00部を加え冷却した。25℃に冷却後、反応溶液に25%水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを4.0に調整することで固形分25%のカチオン性樹脂(I-1)を得た。得られたカチオン性樹脂(I-1)を構成するモノマー単位の割合(モル%)、固形分、粘度、pH、および分子量を表1に示す。
[合成例2、比較合成例1]
カチオン性樹脂(I-1)を構成するモノマー単位の割合を表1のように変えた以外は、合成例1と同様にしてカチオン性樹脂(I-2、I-6)を得た。カチオン性樹脂(I-2、I-6)の固形分、粘度、pH、および分子量を表1に示す。
[合成例3]
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を付けた1リットルの四つ口フラスコに65%ジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液373.08部、イオン交換水410.00部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で80℃まで昇温した。次いで、過硫酸アンモニウム3.08部、およびイオン交換水100.00部を混合させた重合開始剤水溶液を7時間かけて別々のラインにて滴下により投入した。滴下中、フラスコ内の温度は85℃になるよう適宜フラスコの冷却または過熱を行った。滴下終了からさらに1時間85℃で保持した後、イオン交換水105.00部を加え冷却した。25℃に冷却後、反応溶液に25%水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを4.0に調整することで固形分25%のカチオン性樹脂(I-3)を得た。得られたカチオン性樹脂(I-3)を構成するモノマー単位の割合(モル%)、固形分、粘度、pH、および分子量を表1に示す。
[合成例4]
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を付けた1リットルの四つ口フラスコにジメチルアミノエチルメタクリレート220.09部、メタリルスルホン酸ナトリウム1.55部((a)と(b)成分の合計100モル%に対し、0.70モル%に相当)、イオン交換水420.00部を仕込み、さらに30%硫酸水溶液228.82部を加えpHを3.0に調整した後、窒素ガス雰囲気下で80℃まで昇温した。次いで、過硫酸アンモニウム1.60部、およびイオン交換水40.00部を混合させた重合開始剤水溶液を2時間かけて別々のラインにて滴下により投入した。滴下中、フラスコ内の温度は85℃になるよう適宜フラスコの冷却または過熱を行った。滴下終了からさらに1時間85℃で保持した後、イオン交換水60.00部を加え冷却することで固形分30%のカチオン性樹脂(I-4)を得た。得られたカチオン性樹脂(I-4)を構成するモノマー単位の割合(モル%)、固形分、粘度、pH、および分子量を表1に示す。
[合成例5]
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を付けた1リットルの四つ口フラスコに77%ジメチルアミノエチルメタクリレートメチルクロライド4級化物水溶液374.99部、メタリルスルホン酸ナトリウム1.55部((a)と(b)成分の合計100モル%とした場合の0.70モル%に相当)、およびイオン交換水495.00部を仕込み、さらにクエン酸無水物1.00部を加えpHを2.5に調整した後、窒素ガス雰囲気下で80℃まで昇温した。次いで、過硫酸アンモニウム1.60部、およびイオン交換水40.00部を混合させた重合開始剤水溶液を2時間かけて別々のラインにて滴下により投入した。滴下中、フラスコ内の温度は85℃になるよう適宜フラスコの冷却または過熱を行った。滴下終了からさらに1時間85℃で保持した後、イオン交換水60.00部を加え冷却することで固形分30%のカチオン性樹脂(I-5)を得た。得られたカチオン性樹脂(I-5)を構成するモノマー単位の割合(モル%)、固形分、粘度、pH、および分子量を表1に示す。
Figure 2023005652000003
表1中の略号は以下の通りである。
AAm:アクリルアミド
DADMAC:ジアリルジメチルアンモニウムクロライド
DM:ジメチルアミノエチルメタクリレート
DMC:ジメチルアミノエチルメタクリレートメチルクロライド4級化物
SMAS:メタリルスルホン酸ナトリウム
SPH:次亜リン酸ナトリウム・一水和物
-:用いていない
<アニオン性アクリルアミド系樹脂(II)の合成>
[合成例6]
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を付けた1リットルの四つ口フラスコに、モノマー類[1]として2-アクリルアミド-N-グリコール酸16.04部((b)と(c)成分の合計100モル%とした場合の4.00モル%に相当)、50%アクリルアミド水溶液156.94部((b)と(c)成分の合計100モル%とした場合の46.00モル%に相当)、メタリルスルホン酸ナトリウム2.28部((b)と(c)成分の合計100モル%とした場合の0.60モル%に相当)、イオン交換水390.00部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で80℃まで昇温した。次いで、過硫酸アンモニウム0.11部を投入し、反応を開始させた。反応中、フラスコ内の温度は85℃になるよう適宜フラスコの冷却または過熱を行った。反応開始から1時間後、モノマー類[2]として2-アクリルアミド-N-グリコール酸16.04部((b)と(c)成分の合計100モル%とした場合の4.00モル%に相当)、50%アクリルアミド水溶液156.94部((b)と(c)成分の合計100モル%とした場合の46.00モル%に相当)、メタリルスルホン酸ナトリウム1.52部((b)と(c)成分の合計100モル%に対して0.40モル%に相当)、イオン交換水90.00部を混合させたモノマー水溶液、および過硫酸アンモニウム0.33部、およびイオン交換水45.00部を混合させた重合開始剤水溶液を1時間かけて別々のラインにて滴下により投入した。滴下中、フラスコ内の温度は85℃になるよう適宜フラスコの冷却または過熱を行った。滴下からさらに1時間85℃で保持した後、イオン交換水90.00部を加え冷却することで固形分20%のアニオン性アクリルアミド系樹脂(II-1)を得た。得られたアニオン性アクリルアミド系樹脂(II-1)を構成するモノマー単位の割合(モル%)、固形分、粘度、pH、および分子量を表2に示す。
[合成例7~10、比較合成例2~5]
モノマー類[1]、モノマー類[2]の組成を表2に示すように変更した以外は、合成例6と同様の方法にてアニオン性アクリルアミド系樹脂(II-2~II-5、II-7~10)を得た。得られたアニオン性アクリルアミド系樹脂の固形分、粘度、pH、および分子量を表2に示す。
[合成例11]
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を付けた1リットルの四つ口フラスコに、モノマー類[1]として50%グリオキシル酸水溶液15.40部((b)と(c)成分の合計100モル%とした場合の4.00モル%に相当)、50%アクリルアミド水溶液170.02部((b)と(c)成分の合計100モル%とした場合の46.00モル%に相当)、メタリルスルホン酸ナトリウム2.47部((b)と(c)成分の合計100モル%に対して0.60モル%に相当)、イオン交換水380.00部を仕込み、25%水酸化ナトリウム水溶液16.64部を加えることでpH9.0に調整した。次いで、窒素ガス雰囲気下で80℃まで昇温し、過硫酸アンモニウム0.12部を投入することで、反応を開始させた。反応中、フラスコ内の温度は85℃になるよう適宜フラスコの冷却または過熱を行った。反応開始から1時間後、モノマー類[2]として50%グリオキシル酸水溶液15.40部((b)と(c)成分の合計100モル%とした場合の4.00モル%に相当)、50%アクリルアミド水溶液170.02部((b)と(c)成分の合計100モル%とした場合の46.00モル%に相当)、メタリルスルホン酸ナトリウム1.64部((b)と(c)成分の合計100モル%に対して0.40モル%に相当)、イオン交換水90.00部を混合させ、さらに25%水酸化ナトリウム水溶液16.64部を加えることでpH9.0に調整したモノマー水溶液、および過硫酸アンモニウム0.36部、およびイオン交換水45.00部を混合させた重合開始剤水溶液を1時間かけて別々のラインにて滴下により投入した。滴下中、フラスコ内の温度は85℃になるよう適宜フラスコの冷却または過熱を行った。滴下からさらに1時間85℃で保持した後、イオン交換水85.00部を加え冷却することで固形分20%のアニオン性ポリアクリルアミド系樹脂(II-6)を得た。得られたアニオン性アクリルアミド系樹脂(II-6)を構成するモノマー単位の割合(モル%)、固形分、粘度、pH、および分子量を表2に示す。
Figure 2023005652000004
表2中の略号は以下の通りである。
AAm:アクリルアミド
AGA:2-アクリルアミド-N-グリコール酸
Gly:グリオキシル酸
IA:イタコン酸
AA:アクリル酸
SMAS:メタリルスルホン酸ナトリウム
[実施例1]
<層間強度向上剤の調整>
200mLビーカーに、固形分25%のカチオン性樹脂(I-1)36.00部、固形分20%のアニオン性アクリルアミド系樹脂(II-1)105.00部、イオン交換水9.00部を加え、固形分の質量比が(I-1):(II-1)=30:70になるように撹拌・混合させることで固形分20%の層間強度向上剤を得た。得られた層間強度向上剤を構成する樹脂の割合(質量%)、固形分、粘度、およびpHを表3に示す。
<抄き合わせ紙の製造>
カナディアン・スタンダード・フリーネス(CSF)300mLの段ボール古紙からなる濃度3%のパルプスラリーに、撹拌下において硫酸アルミニウムをパルプに対して0.8%、両性ポリアクリルアミド系紙力増強剤(製品名『DS4421』、星光PMC株式会社製)をパルプに対して0.8%添加した。次に、硫酸カルシウムを溶解させ電気伝導度150mS/mに調整した水でパルプスラリーを濃度0.25%になるように希釈し、ノーブルアンドウッド製シートマシンにて抄紙し、坪量100g/m、水分率90%の湿紙を2枚製造した。片方の湿紙の片面に層間強度向上剤を層間強度向上剤固形分濃度0.5%に希釈し、層間強度向上剤固形分での塗布量が0.4g/mになるようにスプレーした後、塗布面にもう一方の湿紙を重ねプレスし、ドラムドライヤーにて80℃で100秒間、120℃で120秒間乾燥することで抄き合わせ紙を得た。
<層間強度の測定>
得られた抄き合わせ紙を、23℃、50%RH(相対湿度)の条件下、24時間調湿した後、層間剥離強度(T字剥離強度:JIS P8139)の測定を行った。結果を表3に示す。
[実施例2~12、比較例1~7]
カチオン性樹脂(I)とアニオン性アクリルアミド系樹脂(II)を表3に示すように変えた以外は実施例1と同様にして層間強度向上剤を得た。得られた層間強度向上剤を構成する樹脂の割合(質量%)、固形分、粘度、およびpHを表3に示す。実施例1と同様の操作を行い、 層間強度向上剤をスプレーした抄き合わせ紙を作成し、実施例1と同様の層間剥離強度の評価を行った。結果を表3に示す。
[比較例8]
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を付けた1リットルの四つ口フラスコに65%ジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液92.17部((a)~(c)成分の合計100モル%とした場合の17.50モル%に相当)、イオン交換水410.00部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で80℃まで昇温した。次いで、2-アクリルアミド-N-グリコール酸23.35部((a)~(c)成分の合計100モル%とした場合の6.60モル%に相当)、50%アクリルアミド水溶液228.48部((a)~(c)成分の合計100モル%とした場合の75.90モル%に相当)、メタリルスルホン酸ナトリウム2.78部((a)~(c)成分の合計100モル%とした場合の0.83モル%に相当)、イオン交換水115.00部を混合させたモノマー水溶液、および過硫酸アンモニウム0.97部、およびイオン交換水40.00部を混合させた重合開始剤水溶液を3時間かけて別々のラインにて滴下により投入した。滴下中、フラスコ内の温度は85℃になるよう適宜フラスコの冷却または過熱を行った。滴下終了からさらに1時間85℃で保持した後、イオン交換水90.00部を加え冷却することで構成成分およびモル量は実施例3と同一の固形分20%の層間強度向上剤を得た。得られた層間強度向上剤を構成するモノマー単位の割合(モル%)、固形分、粘度、pH、および分子量を表3に示す。
実施例1と同様の操作を行い、層間強度向上剤をスプレーした抄き合わせ紙を作成し、実施例1と同様の層間剥離強度評価を行った。結果を表3に示す。
[比較例9](特開2002-317393号公報の合成例1)
攪拌機、温度計、還流冷却管、および窒素ガス導入管を付した1リットル四つ口フラスコに、イオン交換水409.1g、65%ジアリルジメチルアンモニウムクロライド28.2g(11.7モル%)を仕込み、90℃まで昇温し、窒素ガス導入下、イオン交換水30g、50%アクリルアミド水溶液122.3g(88.3モル%)、5%メタアリルスルホン酸ナトリウム1.2g、0.5%トリアクリルホルマール3.77g、20%過硫酸アンモニウム1.1gの混合溶液を2時間かけて滴下することにより重合反応を行ってジアリルジメチルアンモニウムクロライドとアクリルアミドとをモノマーユニットとして含有するカチオン性樹脂を形成した。
滴下終了後、更に、水30g、50%アクリルアミド水溶液122.3g(93.8モル%)、イタコン酸7.4g(6.2モル%)、5%メタアリルスルホン酸ナトリウム1.2g(0.04モル%)、0.5%トリアクリルホルマール3.77g、20%過硫酸アンモニウム1.1gの混合溶液を2時間かけて滴下し、90℃で更に2時間保持することにより反応を行い、固形分15%のカチオン性樹脂とアニオン性アクリルアミド系樹脂からなる層間強度向上剤を得た。得られた層間強度向上剤固形分、粘度、およびpHを表3に示す。
実施例1と同様の操作を行い、層間強度向上剤をスプレーした抄き合わせ紙を作成し、実施例1と同様の層間剥離強度評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 2023005652000005
(*1)使用した層間強度向上剤の構成モノマー組成は実施例3で使用した層間強度向上剤と同一ではあるが、すべての構成モノマーを共重合している点で実施例3の層間強度向上剤と異なる。
(*2)特開2002-317393号公報の合成例1
本発明の層間強度向上剤の構成成分の割合を満たさない比較例1~7に比べ、実施例1~12は層間強度向上効果が優れていることがわかる。
また、比較例8のようにカチオン性樹脂(I)とアニオン性アクリルアミド系樹脂(II)の構成成分を共重合した層間強度向上剤は、カチオン性樹脂(I)とアニオン性アクリルアミド系樹脂(II)を混合した実施例3よりも層間強度向上効果が劣ることがわかる。
特開2002-317393号公報記載の製造例1を参考として合成した層間強度向上剤を用いた比較例9は本発明の実施例1~12に対比して層間強度向上効果が劣ることがわかる。

Claims (3)

  1. 3級アミノ基および4級アンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有するカチオン性ビニルモノマー単位(a)を50~100モル%、および(メタ)アクリルアミド類(b)を0~50モル%をモノマーユニットとして含有して成るカチオン性樹脂(I)と、以下の一般式(A)で示されるビニルモノマー(c)を4~20モル%、および(メタ)アクリルアミド類(b)を80~96モル%モノマーユニットとして含有して成るアニオン性アクリルアミド系樹脂(II)とを含有して成り、かつカチオン性樹脂(I)とアニオン性アクリルアミド系樹脂(II)の比率が質量比で(I):(II)=10:90~40:60であることを特徴とする層間強度向上剤。
    一般式(A)
    Figure 2023005652000006
    (式中RはH又はCHを表し、RはH、Na、K又はNHを表す)
  2. 3級アミノ基および4級アンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有するカチオン性ビニルモノマー単位(a)がジアリルジメチルアンモニウムクロライドである請求項1記載の層間強度向上剤。
  3. 請求項1または2に記載の層間強度向上剤を湿紙表面へスプレーした後に抄き合わせる、抄き合わせ紙の製造方法。
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