JP5924428B2 - 重合体 - Google Patents

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Description

本発明は、重合体に関する。
従来から半導体デバイスの製造において、フォトレジスト組成物を用いたリソグラフィー技術による微細加工が行われている。上記微細加工は、基板上にレジスト膜を形成する工程、上記レジスト膜に紫外線等の放射線を照射して露光する工程、上記露光されたレジスト膜を現像する工程、及び得られたレジストパターンを保護膜として基板をエッチング処理する工程を含む加工法である。近年、半導体デバイスの高集積度化が進み、使用される放射線もKrFエキシマレーザー(248nm)からArFエキシマレーザー(193nm)、さらにはEUV(13.5nm)へと短波長化される傾向にある。しかし、これら低波長の放射線を用いると、基板からの乱反射、定在波等の影響により良好な微細パターンを形成できないという不都合がある。そこでレジスト膜と基板の間に反射防止膜(Bottom Anti−Reflective Coating:BARC)等のレジスト下層膜を設ける方法が広く検討されている。
上記レジスト下層膜としては、チタン、二酸化チタン、窒化チタン、酸化クロム、カーボン、α−シリコン等の無機レジスト下層膜や、吸光性物質と高分子化合物とからなる有機レジスト下層膜が知られている。前者は膜形成に真空蒸着装置、CVD装置、スパッタリング装置等の設備を必要とするのに対し、後者は特別の設備を必要としない点で有利とされ、数多くの検討が行われている。例えば、米国特許第5919599号明細書に記載の架橋反応基であるヒドロキシル基と吸光基とを同一分子内に有するアクリル樹脂型レジスト下層膜や、米国特許第5693691号明細書に記載の架橋反応基であるヒドロキシル基と吸光基を同一分子内に有するノボラック樹脂型レジスト下層膜等が挙げられる。
有機レジスト下層膜形成用組成物として望まれる物性としては、光や放射線に対して大きな吸光度を有すること、レジスト膜とのインターミキシングが起こらないこと、塗布時又は加熱乾燥時にレジスト下層膜形成用組成物からレジスト膜中への低分子の拡散がないこと、レジストに比べて大きなドライエッチングレートを有すること等があり、それらは例えばProc.SPIE,Vol.3678,174−185(1999)、Proc.SPIE,Vol.3678,800−809(1999)にも記載されている。また、半導体デバイスの高集積度化に伴い、より高い解像度を有すること、より微細なパターンサイズの矩形レジストパターンを形成できること、レジスト下層膜とレジスト膜との密着性が良いこと、パターン倒れに強いこと等の特性もレジスト下層膜形成用組成物に要求されるようになってきている。
特に、パターンサイズの微細化が進む現在の半導体デバイス製造プロセスにおいては、ドライエッチングによるパターン形成時に、レジスト膜及び基板に対する優れたエッチング選択比を実現することができ、さらにパターン倒れに強いことを可能とするレジスト下層膜形成用組成物、及び上記特性を備えたレジスト下層膜の開発が強く望まれている。
米国特許第5919599号公報 米国特許第5693691号公報
Proc.SPIE、Vol.3678(1999)、p.174−185 Proc.SPIE、Vol.3678(1999)、p.800−809
本発明は以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、ドライエッチングによるパターン形成時に高いエッチングレートを有し、レジスト膜に対する優れたエッチング選択比を実現し、さらにパターン倒れに強いレジスト下層膜を形成するためのレジスト下層膜形成用組成物、レジスト下層膜、それらを用いたパターン形成方法及び半導体装置の製造方法を提供することである。
本発明のレジスト下層膜形成用組成物は、[A]環状カーボネート構造を有する重合体
を含有する。レジスト下層膜形成用組成物が、環状カーボネート構造を有することにより、得られるレジスト下層膜のエッチングレートが向上する。また、当該レジスト下層膜はレジスト膜に対する密着性も高いため、パターン倒れにも強い。
[A]重合体は、下記式(1)で表される構造単位(I)を有することが好ましい。
Figure 0005924428
(式(1)中、Rは水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Qは2価の連結基である。Yは単結合、メチレン基、炭素数2〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、環員数6〜20のヘテロアリーレン基又はこれらの基を組み合わせてなる基である。上記アルキレン基、アリーレン基又はヘテロアリーレン基が有する水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。また、上記アルキレン基の炭素鎖中に酸素原子を有していてもよい。pは0〜3の整数である。qは0又は1である。rは0〜2の整数である。Xは−CH−、−CH−CH−、−O−、−S−又は−SO−である。但し、rが2の場合、複数のXは同一でも異なっていてもよい。)
[A]重合体が、上記式(1)で表される構造単位(I)を有することにより、当該レジスト下層膜形成用組成物から得られるレジスト下層膜は、エッチングレートがより向上し、レジスト膜との密着性にも優れる。
[A]重合体は、下記式(2)で表される構造単位(II)をさらに有することが好ましい。
Figure 0005924428
(式(2)中、Rは水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Qは2価の連結基である。Rは水素原子、炭素数1〜15の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又は環員数6〜20のヘテロアリール基である。このアルキル基、アリール基、アラルキル基又はヘテロアリール基が有する水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。)
[A]重合体が、上記式(2)で表される構造単位(II)をさらに有することにより架橋剤又は架橋性基との反応に優れ、レジスト膜とインターミキシングを起こさない下層膜を形成できる。
[A]重合体は、上記構造単位(I)として下記式(1−1)で表される構造単位を有し、上記構造単位(II)として下記式(2−1)で表される構造単位(II−1)及び式(2−2)で表される構造単位(II−2)からなる群より選択される少なくとも1種の構造単位を有することが好ましい。
Figure 0005924428
(式(1−1)中、R、X、Y、p、q及びrは上記式(1)と同義である。
式(2−1)中、Rは水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Rは炭素数1〜15のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基である。このアルキル基及びアリール基が有する水素原子の一部又は全部は置換基で置換されており、上記置換基のうち少なくとも1つは水酸基又はアミノ基を有する基である。
式(2−2)中、Rは水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Rは、フェニル基、ナフチル基、アントリル基又は炭素数1〜15の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基である。このフェニル基、ナフチル基及びアントリル基の有する水素原子の一部又は全部は水酸基及びアミノ基以外の置換基で置換されていてもよい。また、上記アルキル基が有する水素原子の一部又は全部は水酸基及びアミノ基以外の置換基で置換されており、それらの置換基のうち少なくとも1つはフェニル基、ナフチル基又はアントリル基である。但し、このフェニル基、ナフチル基又はアントリル基が有する水素原子の一部又は全部は水酸基及びアミノ基以外の置換基で置換されていてもよい。)
上記[A]重合体が水酸基又はアミノ基を有する構造単位(II−1)を有することで、架橋剤との架橋反応が促進し、得られるレジスト下層膜の硬度及びレジスト膜への密着性が向上する。また、芳香環を有する構造単位(II−2)を有することで、ArFエキシマレーザー等の放射線吸収に優れたレジスト下層膜を形成することができる。
[A]重合体は、上記構造単位(II)として、上記構造単位(II−1)及び構造単位(II−2)を有するか、又は上記構造単位(II−1)を有し、かつ上記Rがアリール基であることが好ましい。[A]重合体が構造単位(II−1)及び(II−2)を有するか、又は上記Rがアリール基である構造単位(II−1)を有することで、架橋剤との架橋反応が促進し、得られるレジスト下層膜の硬度及びレジスト膜への密着性が向上すると共に、ArFエキシマレーザー等の放射線吸収にも優れる。
本発明のレジスト下層膜形成用組成物は、[B]架橋剤をさらに含むことが好ましい。当該レジスト下層膜形成用組成物は、水酸基又はアミノ基を有する構造単位を含有するため、[B]架橋剤をさらに含むことにより[B]架橋剤と重合体との架橋反応が起こり、得られるレジスト下層膜とレジスト膜とのインターミキシングが抑制される。
[B]架橋剤は、少なくとも2個の架橋形成官能基を有することが好ましい。[B]架橋剤が少なくとも2個の架橋形成官能基を有することにより、架橋剤の自己縮合及び[A]重合体との架橋反応がさらに促進されるため、当該組成物から形成されるレジスト下層膜の硬度がさらに向上する。
[A]重合体は、フッ素原子を含む構造単位(III)をさらに有することが好ましい。当該レジスト下層膜形成用組成物がフッ素原子を含有する重合体を含むことにより、得られるレジスト下層膜のエッチングレートがさらに高くなる。
本発明は、
下記式(1−1)で表される構造単位(I)、
下記式(2−1)で表される構造単位(II−1)、及び
下記式(2−2)で表される構造単位(II−2)
を有する重合体を含む。
Figure 0005924428
(式(1−1)中、R、X、Y、p、q及びrは上記式(1)と同義である。
式(2−1)中、Rは水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Rは炭素数1〜15のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基である。このアルキル基及びアリール基が有する水素原子の一部又は全部は置換基で置換されており、上記置換基のうち少なくとも1つは水酸基又はアミノ基を有する基である。
式(2−2)中、Rは水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Rは、フェニル基、ナフチル基、アントリル基又は炭素数1〜15の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基である。このフェニル基、ナフチル基及びアントリル基の有する水素原子の一部又は全部は水酸基及びアミノ基以外の置換基で置換されていてもよい。また、上記アルキル基が有する水素原子の一部又は全部は水酸基及びアミノ基以外の置換基で置換されており、それらの置換基のうち少なくとも1つはフェニル基、ナフチル基又はアントリル基である。但し、このフェニル基、ナフチル基又はアントリル基が有する水素原子の一部又は全部は水酸基及びアミノ基以外の置換基で置換されていてもよい。)
当該重合体は、本発明の下層膜形成用組成物の材料として好適に用いられる。当該重合体は水酸基又はアミノ基を有する構造単位と、芳香環を有する構造単位とを含有する。そのため、当該重合体を本発明の下層膜形成用組成物の材料として用いた場合に、得られるレジスト下層膜は硬度及び密着性に優れると共に、ArFエキシマレーザー等の放射線吸収にも優れる。
本発明のレジスト下層膜は、上記レジスト下層膜形成用組成物を用いて形成されたものであるため、ドライエッチング工程におけるエッチングレートに優れる。また、レジスト膜対する高い密着性を有するため、パターン倒れにも強い。
本発明のパターン形成方法は、
(1)当該レジスト下層膜形成用組成物を被加工基板上に塗布してレジスト下層膜を形成する工程と、
(2)上記レジスト下層膜上にレジスト組成物を塗布してレジスト膜を形成する工程と、
(3)上記レジスト膜に、フォトマスクを介して選択的に放射線を照射して上記レジスト膜を露光する工程と、
(4)上記露光されたレジスト膜を現像して、レジストパターンを形成する工程と、
(5)上記レジストパターンをマスクとして、上記レジスト下層膜及び上記被加工基板をドライエッチングしてパターンを形成する工程とを含む。
当該レジスト下層膜形成用組成物から得られるレジスト下層膜が上述のような特性を有しているため、本発明のパターン形成方法によると、より微細なパターンの形成が可能となる。
本発明のパターン形成方法においては、上記(3)工程は193nmの波長の光により行われることが好ましい。当該下層膜形成用組成物を用いて形成したレジスト下層膜は、193nmの波長を有するArFエキシマレーザーの基板による乱反射を防ぐことができるため、より高い解像度を有すると共に、微細なパターンを形成することができる。
本発明の半導体装置の製造方法は、
(1)本発明のレジスト下層膜形成用組成物を被加工基板上に塗布してレジスト下層膜を形成する工程と、
(2)上記レジスト下層膜上にレジスト組成物を塗布してレジスト膜を形成する工程と、
(3)上記レジスト膜に、フォトマスクを介して選択的に放射線を照射して上記レジスト膜を露光する工程と、
(4)上記露光されたレジスト膜を現像して、レジストパターンを形成する工程と、
(5)上記レジストパターンをマスクとして、上記レジスト下層膜及び上記被加工基板をドライエッチングしてパターンを形成する工程と
(6)上記パターンを備える集積回路素子を形成する工程と
を含む。
当該レジスト下層膜形成用組成物から得られるレジスト下層膜が上述のような特性を有しているため、本発明の半導体装置の製造方法によると、より微細なパターンを有する半導体装置を製造することができる。
本発明の半導体装置の製造方法において、上記(3)工程は193nmの波長の光により行われることが好ましい。当該組成物を用いて形成したレジスト下層膜は、193nmの波長を有するArFエキシマレーザーの基板による乱反射を防ぐことができるため、より高い解像度を有する微細なパターンを備える半導体装置を製造することができる。
本発明のレジスト下層膜形成用組成物を用いることにより、高いエッチングレートを有し、レジスト膜に対する優れたエッチング選択比を実現するレジスト下層膜を形成することができる。また、当該レジスト下層膜は、レジスト膜への密着性に優れるため、パターン倒れを抑制することができる。これらの結果、当該レジスト下層膜形成用組成物を用いると、より微細なパターン形成が可能となる。
本発明のレジスト下層膜形成用組成物、レジスト下層膜、当該レジスト下層膜形成用組成物を用いたパターン形成方法及び半導体装置の製造方法の実施形態について以下に詳説する。
<レジスト下層膜形成用組成物>
当該レジスト下層膜形成用組成物は、[A]重合体を含有する。さらに好適成分として[B]架橋剤を含有することができる。さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の任意成分を含んでいてもよい。各成分について以下に詳述する。
<[A]重合体>
[A]重合体は、環状カーボネート構造を有する重合体である。重合体中に酸素原子含有率の高い環状カーボネート構造を有するため、[A]重合体を含有するレジスト下層膜形成用組成物を用いて形成されるレジスト下層膜はエッチングレートが高くなり、レジスト膜に対するエッチング選択比に優れる。またレジスト膜に対する密着性にも優れる。環状カーボネート構造としては、例えば下記式(3)で表される基等が挙げられる。
Figure 0005924428
上記式(3)中、pは0〜3の整数である。qは0又は1である。rは0〜2の整数である。Xは−CH−、−CH−CH−、−O−、−S−又は−SO−である。但し、rが2の場合、複数のXは同一でも異なっていてもよい。「*」は結合手である。また、上記式(3)中、環状カーボネート基が有する水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。
上記式(3)で表される基としては、下記式(3−1)及び(3−2)で表される基を好ましい基として挙げることができる。
Figure 0005924428
上記式(3−1)及び(3−2)中、「*」は結合手である。
[A]重合体は、環状カーボネート構造を有する上記式(1)で表される構造単位(I)を有することが好ましく、上記式(2)で表される構造単位(II)、フッ素原子を含む構造単位(III)をさらに有することが好ましい。また、[A]重合体は、本発明の効果を損なわない限り、その他の構造単位を有していてもよい。以下、それぞれの構造単位について詳述する。なお、[A]重合体は、それぞれの構造単位を1種単独で有していてもよいし、2種以上有していてもよい。
[構造単位(I)]
[A]重合体は、上記式(1)で表される構造単位(I)を有することが好ましい。
上記式(1)中、Rは水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Qは2価の連結基である。Yは単結合、メチレン基、炭素数2〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、環員数6〜20のヘテロアリーレン基又はこれらの基を組み合わせてなる基である。上記アルキレン基、アリーレン基又はヘテロアリーレン基が有する水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。また、上記アルキレン基の炭素鎖中に酸素原子を有していてもよい。pは0〜3の整数である。qは0又は1である。rは0〜2の整数である。Xは−CH−、−CH−CH−、−O−、−S−又は−SO−である。但し、rが2の場合、複数のXは同一でも異なっていてもよい。
上記Qが表す2価の連結基としては、例えば−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−NHCOO−、−NHCONH−、−SO−、−CO−等が挙げられる。これらのうち、−COO−が好ましい。
上記Yが表す炭素数2〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基としては、例えばエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基等が挙げられる。メチレン基及びこれらのうち、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基及びペンチレン基が好ましい。
上記Yが表す炭素数6〜20のアリーレン基としては、例えばフェニレン基、メチルフェニレン基、メトキシフェニレン基、ニトロフェニレン基、1,4−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基等が挙げられる。
上記Yが表すヘテロアリーレン基としては、例えばピリジンジイル基、キノリンジイル基、キノキサリンジイル基等が挙げられる。
上記式(1)で表される構造単位(I)としては、例えば下記式で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 0005924428
上記式中、Rは上記式(1)と同義である。
これらのうち、上記式(I−1)で表される構造単位(I)が好ましい。
構造単位(I)を与える単量体としては、例えば4−(1,3−ジオキサ−2−オキソ)シクロペンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
[A]重合体において、構造単位(I)の含有率は、5モル%以上60モル%が好ましく、10モル%以上50モル%以下がより好ましい。構造単位(I)の含有率を上記特定範囲とすることで、当該レジスト下層膜形成用組成物から得られるレジスト下層膜はエッチングレート及びレジスト膜に対するエッチング選択比に優れる。
[構造単位(II)]
[A]重合体は、上記式(2)で表される構造単位(II)をさらに有することが好ましい。[A]重合体は、上記構造単位(I)に加えて上記構造単位(II)をさらに有することにより、架橋剤又は架橋性基との反応性を向上させることができる。また、当該レジスト下層膜形成用組成物から形成されるレジスト下層膜は、レジスト膜とのインターミキシングを起こし難い。
上記式(2)中、Rは水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Qは2価の連結基である。Rは炭素数1〜15の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又は環員数6〜20のヘテロアリール基である。このアルキル基、アリール基、アラルキル基又はヘテロアリール基が有する水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。
上記Qが表す2価の連結基としては、例えば上記式(1)のQが表す2価の連結基として例示したものと同様の基等が挙げられる。これらのうち、−COO−が好ましい。
上記Rが表す炭素数1〜15の直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、n−へキシル基、i−へキシル基等が挙げられる。
上記Rが表す炭素数6〜20のアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。これらのうち、フェニル基が好ましい。
上記Rが表す炭素数7〜20のアラルキル基としては、例えばベンジル基、フェニレンエチル基、ネフチレンメチル基等が挙げられる。
上記Rが表す環員数6〜20のヘテロアリール基としては、例えばピリジル基、キノリニジル基、ピラジル基等が挙げられる。
上記アルキル基、アラルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基の水素原子の一部又は全部が置換されていてもよい置換基としては、水酸基又はアミノ基が好ましく、水酸基がより好ましい。
[A]重合体は、上記構造単位(II)として、上記式(2−1)で表される構造単位(II−1)及び式(2−2)で表される構造単位(II−2)からなる群より選択される少なくとも1種の構造単位を有することが好ましい。構造単位(II−1)は、置換基として水酸基又はアミノ基を少なくともひとつ含むので、[A]重合体の架橋剤または架橋性基との反応性が促進される。また、上記構造単位(II−2)は、フェニル基、ナフチル基又はアントリル基を有するので、当該レジスト下層膜形成用組成物から形成されるレジスト下層膜はKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、DUVフッ素レーザー等の放射線吸収性に優れる。
上記式(2−1)中、Rは水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Rは炭素数1〜15のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基である。上記アルキル基及びアリール基が有する水素原子の一部又は全部は置換基で置換されており、上記置換基のうち少なくとも1つは水酸基又はアミノ基を有する基である。水酸基及びアミノ基を有する基以外の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基等が挙げられる。
上記炭素数1〜15のアルキル基としては、上記Rで表される炭素数1〜15の直鎖状又は分岐状のアルキル基として例示した基と同様の基が挙げられる。
上記炭素数6〜20のアリール基としては、上記Rで表される炭素数6〜20のアリール基として例示した基と同様の基が挙げられる。
上記式(2−2)中、Rは水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Rは、フェニル基、ナフチル基、アントリル基又は炭素数1〜15の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基である。上記フェニル基、ナフチル基及びアントリル基の有する水素原子の一部又は全部は水酸基及びアミノ基以外の置換基で置換されていてもよい。また、上記アルキル基が有する水素原子の一部又は全部は水酸基及びアミノ基以外の置換基で置換されており、それらの置換基のうち少なくとも1つはフェニル基、ナフチル基又はアントリル基である。但し、上記フェニル基、ナフチル基又はアントリル基が有する水素原子の一部又は全部は水酸基及びアミノ基以外の置換基で置換されていてもよい。水酸基及びアミノ基以外の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基等が挙げられる。
上記Rで表される炭素数1〜15の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、上記Rで表される炭素数1〜15の直鎖状又は分岐状のアルキル基として例示した基と同様の基が挙げられる。
[A]重合体としては、上記構造単位(II)として構造単位(II−1)及び構造単位(II−2)を有するか、又は上記構造単位(II)として構造単位(II−1)を有し、かつ上記Rがアリール基であることがより好ましい。
上記構造単位(II−1)としては、下記式(2−1−1)、(2−1−2)及び(2−1−4)で表される構造単位が好ましい。
Figure 0005924428
上記式中、Rは、上記式(2)と同義である。
上記構造単位(II−2)としては、下記式で表される構造単位が好ましい。
Figure 0005924428
上記式中、Rは、上記式(2)と同義である。
構造単位(II)を与える単量体としては、例えば3−(1−オキサ−2−オキソ)シクロペンチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
[A]重合体における構造単位(II)の含有率は、30モル%以上95モル%以下が好ましく、40モル%以上90モル%以下がより好ましい。構造単位(II)の含有率を上記特定範囲とすることで、[A]重合体の架橋剤又は架橋性基との反応性を向上させることができる。
[A]重合体における構造単位(II−1)の含有率としては、10モル%以上80モル%以下が好ましく、20モル%以上70モル%以下がより好ましい。構造単位(II−2)の含有率としては、0モル%以上50モル%以下が好ましく、20モル%以上40モル%以下がより好ましい。構造単位(II−1)及び(II−2)の含有率を、上記特定範囲とすることで、[A]重合体の架橋剤又は架橋性基との反応性に優れると共に、当該レジスト下層膜形成用組成物から得られるレジスト下層膜の放射線吸収率を向上させることができる。なお、[A]重合体としては、構造単位(II−1)及び(II−2)の両方を、上記特定の含有率で有することが好ましい。
[構造単位(III)]
構造単位(III)はフッ素原子を含有する構造単位である。構造単位(III)としては、下記式(4)で表される構造単位が好ましい。
Figure 0005924428
上記式(4)中、Rは水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Rはフッ素原子を有する炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又はフッ素原子を有する炭素数3〜20の1価の脂環式基である。但し、上記アルキル基及び脂環式基が有する水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。)
上記Rが表すフッ素原子を有する炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等が有する水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基等が挙げられる。
上記Rが表すフッ素原子を有する炭素数3〜20の1価の脂環式基としては、例えばシクロペンチル基、シクロペンチルプロピル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクチルメチル基等が有する水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基等が挙げられる。
構造単位(III)としては、例えば下記式(4−1)、(4−2)で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 0005924428
上記式(4−1)及び(4−2)中、Rは上記式(4)と同義である。
構造単位(III)を与える単量体としては、例えばトリフルオロメチル(メタ)アクレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロn−プロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロi−プロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロn−ブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロi−ブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロt−ブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ)プロピル(メタ)アクリレート、1−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ)ペンチル(メタ)アクリレート、1−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ)ヘキシル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、1−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ)プロピル(メタ)アクリレート、1−(2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ)ペンタ(メタ)アクリレート、1−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロ)デシル(メタ)アクリレート、1−(5−トリフルオロメチル−3,3,4,4,5,6,6,6−オクタフルオロ)ヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
[A]重合体における構造単位(III)の含有率は、1モル%以上40モル%以下が好ましく、5モル%以上30モル%以下がより好ましい。
[[A]重合体の合成方法]
[A]重合体は、例えば所定の各構造単位を与える単量体を、ラジカル重合開始剤を使用し、適当な溶媒中で重合することにより製造できる。
上記重合に使用されるラジカル開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)等が挙げられる。これらの開始剤は2種以上を混合して使用してもよい。
上記重合に使用される溶媒としては、例えば
n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等のアルカン類;
シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類;
クロロブタン類、ブロモヘキサン類、ジクロロエタン類、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;
酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル類;
アセトン、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン等のケトン類;
テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン類、ジエトキシエタン類等のエーテル類;
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、4−メチル−2−ペンタノール等のアルコール類等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
上記重合における反応温度としては、通常40℃〜150℃、50℃〜150℃が好ましい。反応時間としては、通常1時間〜48時間、1時間〜24時間が好ましい。
[A]重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)としては、1,000〜100,000が好ましく、2,000〜50,000がより好ましく、3,000〜30,000が特に好ましい。[A]重合体のMwが1,000未満の場合、膜のインターミキシング耐性が低下する可能性がある。一方、Mwが100,000を超えると、下層膜の面内均一性が低下する傾向がある。
[A]重合体のMwとGPC法によるポリスチレン換算数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)としては、通常1〜3であり、好ましくは1〜2.5である。
<[B]架橋剤>
本発明のレジスト下層膜形成用組成物に用いられる[B]架橋剤は、熱や酸の作用により、樹脂等の配合組成物や他の架橋性分子との結合を形成する化合物である。[B]架橋剤としては、例えば多官能(メタ)アクリレート化合物、エポキシ化合物、ヒドロキシメチル基置換フェノール化合物、アルコキシアルキル化されたアミノ基を有する化合物等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレート化合物としては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エチレングルコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングルコールジ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エポキシ化合物としては、例えばノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。
ヒドロキシメチル基置換フェノール化合物としては、例えば2−ヒドロキシメチル−4,6−ジメチルフェノール、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン、3,5−ジヒドロキシメチル−4−メトキシトルエン[2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール]等が挙げられる。
アルコキシアルキル化されたアミノ基を有する化合物としては、例えば(ポリ)メチロール化メラミン、(ポリ)メチロール化グリコールウリル、(ポリ)メチロール化ベンゾグアナミン、(ポリ)メチロール化ウレア等の、一分子内に複数個の活性メチロール基を有する含窒素化合物であって、そのメチロール基の水酸基の水素原子の少なくとも一つが、メチル基やブチル基等のアルキル基によって置換された化合物等が挙げられる。なお、アルコキシアルキル化されたアミノ基を有する化合物は、複数の置換化合物を混合した混合物であることがあり、一部自己縮合してなるオリゴマー成分を含むものも存在するが、それらも使用することができる。 これらのうち、アルコキシアルキル化されたアミノ基を有する化合物が好ましい。中でもメチロール化メラミン及びメチロール化グリコールウリルがより好ましい。
[B]架橋剤としては、少なくとも2個の架橋形成官能基を有するものがより好ましい。本発明において「架橋形成官能基」とは、[A]重合体との架橋反応性を有する官能基であれば特に限定されるものではないが、例えば、グリシジルエーテル基、グリシジルエステル基、グリシジルアミノ基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、アセトキシメチル基、ベンゾイロキシメチル基、ホルミル基、アセチル基、ビニル基、イソプロペニル基、ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル基、ジメチロールアミノメチル基、ジエチロールアミノメチル基、モルホリノメチル基等が挙げられる。上記の架橋形成官能基を有する化合物としては、メトキシメチル化グリコウリル、又はメトキシメチル化メラミンが好ましく、中でも、上記式ヘキサメトキシメチル化メラミン、及びテトラメトキシメチル化グリコールウリルが特に好ましい。
なお、これらの[B]架橋剤は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
[B]架橋剤は、自己縮合による架橋反応を起こすこともあるが、[A]重合体中に架橋形成官能基が存在する場合には、それら架橋形成官能基と架橋反応を起こすことができる。また、[A]重合体中の上記式(2)で表される構造単位(II)が水酸基又はアミノ基を有する場合には、架橋剤の架橋形成官能基と水酸基又はアミノ基が架橋反応を起こすことができる。
[B]架橋剤の含有割合は、レジスト下層膜形成用組成物によって形成される下層膜が十分に硬化する量となるように適宜設定される。具体的には、[B]架橋剤の含有割合は、当該レジスト下層膜形成用組成物に含まれる[A]重合体100質量部に対して、通常0.001〜100質量部であり、0.01〜50質量部が好ましく、0.1〜30質量部がより好ましい。0.001質量部未満であると、得られるレジスト下層膜の硬度が不十分となるおそれがある。一方、100質量部を超えると、レジスト下層膜中の架橋剤とレジスト膜との間で架橋反応が起きてしまう可能性がある。
<その他の任意成分>
当該レジスト下層膜形成用組成物は、その他の任意成分として、[C]架橋触媒、[D]溶媒、[E]界面活性剤、[F]保存安定剤等を含有していてもよい。以下に各成分について詳説する。
([C]架橋触媒)
当該レジスト下層膜形成用組成物は、架橋触媒として各種アミン化合物、フェノール樹脂、アミノ樹脂、メルカプタン系化合物、ヒドラジド類、ポリフェノール、多塩基酸、光酸発生剤又は熱酸発生剤などを使用することができる。中でも生産性や残存触媒の光学特性への影響がほとんどみられない光又は熱酸発生剤が好ましい。
本発明においては下記式で表される化合物が好ましい。
Figure 0005924428
([D]溶媒)
当該レジスト下層膜形成用組成物は通常[D]溶媒を含有する。[D]溶媒は少なくとも上記の[A]重合体、[B]架橋剤、及び必要に応じて加えられるその他の任意成分を溶解できれば特に限定されない。[D]溶媒としては、例えばアルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒及びその混合溶媒等が挙げられる。
アルコール系溶媒としては、例えば
メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、tert−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等のモノアルコール系溶媒;
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等の多価アルコール系溶媒;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール部分エーテル系溶媒等が挙げられる。
エーテル系溶媒としては、例えばジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジフェニルエーテル等が挙げられる。
ケトン系溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン等のが挙げられる。
アミド系溶媒としては、例えばN,N’−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
エステル系溶媒としては、例えばジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等が挙げられる。
炭化水素系溶媒としては、例えば
n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、i−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;
ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、i−プロピルベンゼン、ジエチルベンゼン、i−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−i−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
これらのうち、プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル及びシクロヘキサノンが好ましい。これらの有機溶媒は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
([E]界面活性剤)
界面活性剤は、当該レジスト下層膜形成用組成物の塗布性の改善、塗布ムラの低減、放射線照射部の現像性を改良するために添加することができる。好ましい界面活性剤の例としては、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアリールエーテル類;ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジアルキルエステル類;(メタ)アクリル酸系共重合体類等が挙げられる。(メタ)アクリル酸系共重合体類の例としては、ポリフローNo.57、同No.95(共栄社化学社製)等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば1,1,2,2−テトラフルオロオクチル(1,1,2,2−テトラフルオロプロピル)エーテル、1,1,2,2−テトラフルオロオクチルヘキシルエーテル、オクタエチレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフルオロブチル)エーテル、ヘキサエチレングリコール(1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロペンチル)エーテル、オクタプロピレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフルオロブチル)エーテル、ヘキサプロピレングリコールジ(1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロペンチル)エーテル等のフルオロエーテル類;パーフルオロドデシルスルホン酸ナトリウム;1,1,2,2,8,8,9,9,10,10−デカフルオロドデカン、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロデカン等のフルオロアルカン類;フルオロアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム類;フルオロアルキルオキシエチレンエーテル類;フルオロアルキルアンモニウムヨージド類;フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル類;パーフルオロアルキルポリオキシエタノール類;パーフルオロアルキルアルコキシレート類;フッ素系アルキルエステル類等が挙げられる。
これらのフッ素系界面活性剤の市販品としては、エフトップEF301、303、352(以上、新秋田化成社製)、メガファックF171、172、173(以上、大日本インキ社製)、フロラードFC430、431(以上、住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC−101、102、103、104、105、106(以上、旭硝子社製)、FTX−218(ネオス社製)等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤の例としては、例えばSH200−100cs、SH28PA、SH30PA、ST89PA、SH190(以上、東レダウコーニングシリコーン社製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業社製)等が挙げられる。
[E]界面活性剤を使用する場合の量は、[A]重合体100質量部に対して0.001質量部以上10質量部以下が好ましく、0.005質量部以上5質量部以下がより好ましい。[E]界面活性剤の使用量を0.001質量部以上10質量部以下とすることによって、レジスト下層膜形成用組成物の塗布性を最適化することができる。
<レジスト下層膜形成用組成物の調製>
当該レジスト下層膜形成用組成物は、上記の[A]重合体、好適成分である[B]架橋剤、必要に応じて加えられる[C]架橋触媒、[D]溶媒、[E]界面活性剤等のその他の任意成分を均一に混合することによって調製される。通常、当該レジスト下層膜形成用組成物は、好ましくは適当な溶媒に溶解又は分散させた状態に調製され使用される。
当該レジスト下層膜形成用組成物を溶液状態として調製する場合、固形分濃度すなわち上記の[A]重合体、好適成分である[B]架橋剤、必要に応じて加えられる[C]架橋触媒等の合計量の割合は、使用目的や必要な膜厚の値等に応じて任意の濃度に設定することができる。0.5〜50質量%が好ましく、1〜40質量%がより好ましい。さらに好ましくは1.5〜35質量%である。こうして調製されたレジスト下層膜形成用組成物の溶液は、孔径0.2〜0.5μm程度のミリポアフィルタ等を用いてろ過した後使用に供することもできる。
<重合体>
当該重合体は、上記式(1−1)で表される構造単位(I)、上記式(2−1)で表される構造単位(II−1)、及び上記式(2−2)で表される構造単位(II−2)を有する重合体である。当該重合体は水酸基又はアミノ基を有する構造単位と、芳香環を有する構造単位とを含有する。それにより、当該重合体を本発明の下層膜形成用組成物の材料として用いた場合に、得られるレジスト膜は、架橋剤との架橋反応が促進し硬度及び密着性に優れる共に、ArFエキシマレーザー等の放射線吸収にも優れる。そのため、当該重合体は、本発明の下層膜形成用組成物の材料として好適に用いられる。なお、当該重合体については、上記レジスト下層膜形成用組成物の[A]重合体の説明を適用できる。
<レジスト下層膜>
当該レジスト下層膜は、[A]環状カーボネート構造を有する重合体を含むレジスト下層膜形成用組成物を用いて形成されているため、エッチングレートが高く、レジスト膜と基板に対する優れたエッチング選択比を備えている。さらに、レジスト膜への密着性にも優れている。また、[A]重合体が、芳香族環を有する構造単位を有しているので、当該レジスト下層膜は、ArFエキシマレーザー等の放射線吸収に優れ、反射防止膜として好適に用いることができる。さらに[A]重合体が水酸基又はアミノ基を有しているので、[B]架橋剤との架橋反応が促進されため、得られるレジスト下層膜のインターミキシング耐性が向上する。このようなレジスト下層膜は、高い解像性を要する技術用途に好適に用いることができる。
当該レジスト下層膜の膜厚は、通常5nm以上200nm以下であり、パターンニング性を高めるためには、10nm以上100nm以下が好ましい。
<レジスト下層膜の製造方法>
当該レジスト下層膜の具体的製造方法としては、例えば、基板上又は他の下層膜等の表面に、当該レジスト下層膜形成用組成物を塗布して塗膜を形成し、この塗膜を加熱処理することにより、又は、潜在性光酸発生剤を含有する場合には、紫外光の照射及び加熱処理を行うことにより硬化させる方法を挙げることができる。上記基板としては、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、ポリシロキサン等の絶縁膜、ブラックダイヤモンド(AMAT社製)、シルク(ダウケミカル社製)、LKD5109(JSR社製)等の低誘電体絶縁膜で被覆したウェハ等の層間絶縁膜を使用することができる。また、この基板としては、配線講(トレンチ)、プラグ溝(ビア)等のパターン化された基板を用いてもよい。
レジスト下層膜形成用組成物を塗布する方法としては、公知の方法が挙げられ、例えばスピンコート法、ロールコート法、ディップ法等が挙げられる。また、形成される塗膜の加熱温度は通常50〜450℃である。
<パターン形成方法>
本発明のパターン形成方法は、(1)レジスト下層膜形成用組成物を被加工基板上に塗布してレジスト下層膜を形成する工程(以下、「工程1」ともいう。)と、(2)上記レジスト下層膜上にレジスト組成物を塗布してレジスト膜を形成する工程(以下、「工程2」ともいう。)と、(3)上記レジスト膜に、フォトマスクを介して選択的に放射線を照射して上記レジスト膜を露光する工程(以下、「工程3」ともいう。)と、(4)上記露光されたレジスト膜を現像して、レジストパターンを形成する工程(以下、「工程4」ともいう。)と、(5)上記レジストパターンをマスクとして、上記レジスト下層膜及び上記被加工基板をドライエッチングしてパターンを形成する工程(以下、「工程5」ともいう。)とを有する。
以下、これらの各工程について順次説明する。
[工程(1)]
この工程(1)では、上記レジスト下層膜形成用組成物を用いて、基板上にレジスト下層膜を形成する。これにより、基板上にレジスト下層膜が形成されたレジスト下層膜付き基板を得ることができる。上記基板としては、レジスト下層膜の製造方法において例示したものと同様のものを使用することができる。
また、上記基板には、予め本発明のレジスト下層膜形成用組成物を用いて得られるレジスト下層膜とは異なる他の下層膜(以下、「下層膜」ともいう。)が形成されていてもよい。この下層膜は、反射防止機能、塗布膜平坦性、CF等のフッ素系ガスに対する高エッチング耐性等が付与された膜である。この下層膜は、例えば「NFC HM8005」(JSR社製)、「NFC CT08」(JSR社製)等の商品名で市販されている材料等を用いて従来公知の方法により形成することができる。
当該レジスト下層膜の形成方法は特に限定されないが、例えば、被加工基板上に当該レジスト下層膜形成用組成物をスピンコート法等の公知の方法により塗布して形成された塗膜を、露光及び/又は加熱することにより硬化して形成することができる。この露光に用いられる放射線としては、例えば可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線、γ線、分子線、イオンビーム等が挙げられる。また、塗膜を加熱する際の温度は、特に限定されないが、90〜550℃であることが好ましく、より好ましくは90〜450℃、更に好ましくは90〜300℃である。なお、上記下層膜の膜厚は特に限定されないが、通常5nm以上200nm以下であり、パターンニング性を高めるためには、10nm以上100nm以下が好ましい。
[工程(2)]
この工程(2)では、レジスト組成物を用いて、工程(1)にて得られたレジスト下層膜上にレジスト膜を形成する。この工程(2)にて用いられるレジスト組成物としては、例えば、光酸発生剤を含有するポジ型又はネガ型の化学増幅型レジスト組成物、アルカリ可溶性樹脂とキノンジアジド系感光剤とからなるポジ型レジスト組成物、アルカリ可溶性樹脂と架橋剤とからなるネガ型レジスト組成物等を好適例として挙げることができる。
また、レジスト組成物の固形分濃度は特に限定されないが、例えば、5〜50質量%であることが好ましい。
また、レジスト組成物としては、孔径0.2μm程度のフィルターを用いてろ過したものを好適に用いることができる。なお、本発明のパターン形成方法においては、このようなレジスト組成物として、市販品のレジスト組成物をそのまま使用することもできる。
レジスト組成物を塗布する方法は特に限定されず、例えば、スピンコート法等の従来の方法によって塗布することができる。なお、レジスト組成物を塗布する際には、得られるレジスト膜が所定の膜厚となるように、塗布するレジスト組成物の量を調整する。
上記レジスト膜は、上記レジスト組成物により形成された塗膜をプレベークすることにより、塗膜中の溶媒(即ち、レジスト組成物に含有される溶媒)を揮発させて形成することができる。プレベークする際の温度は、使用するレジスト組成物の種類等に応じて適宜調整されるが、30〜200℃であることが好ましく、より好ましくは50〜150℃である。なお、このレジスト膜の表面にさらに他の被膜を設けてもよい。
[工程(3)]
この工程(3)では、工程(2)において得られたレジスト膜に、フォトマスクを介して選択的に放射線を照射してレジスト膜を露光する。この工程(3)において用いられる放射線としては、レジスト組成物に使用されている酸発生剤の種類に応じて、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線、γ線、分子線、イオンビーム等から適切に選択されるが、遠紫外線であることが好ましく、特に、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、Fエキシマレーザー(157nm)、Krエキシマレーザー(147nm)、ArKrエキシマレーザー(134nm)、極紫外線(13.5nm等)等を好適例として挙げることができる。
また、露光する方法についても特に制限はなく、従来公知のパターン形成において行われる方法に準じて行うことができる。また、液浸露光法も採用することができる。
[工程(4)]
この工程(4)では、工程(3)において露光したレジスト膜を現像液を用いて現像し、レジストパターンを形成する。現像に用いる現像液は、使用されるレジスト組成物の種類に応じて適宜選択することができる。ポジ型化学増幅型レジスト組成物やアルカリ可溶性樹脂を含有するポジ型レジスト組成物の場合には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性水溶液を用いることができる。また、これらのアルカリ性水溶液は、水溶性有機溶媒、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類や、界面活性剤を適量添加したものであってもよい。
また、ネガ型化学増幅型レジスト組成物、アルカリ可溶性樹脂を含有するネガ型レジスト組成物の場合には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類等のアルカリ類の水溶液等を用いることができる。
工程(4)においては、上記現像液で現像を行った後、洗浄し、乾燥することによって上記フォトマスクに対応した所定のレジストパターンを形成することができる。
なお、この工程(4)では、解像度、パターンプロファイル、現像性等を向上させるため、現像を行う前(即ち、工程(3)における露光を行った後)に、ポストベークを行うことが好ましい。このポストベークの温度は、使用されるレジスト組成物の種類等に応じて適宜調整されるが、50〜200℃であることが好ましく、より好ましくは80〜150℃である。
[工程(5)]
この工程(5)では、工程(4)にて形成したレジストパターンをマスク(エッチングマスク)として、レジスト下層膜及び基板をドライエッチングしてパターンを形成する。なお、下層膜が形成された基板を用いた場合には、レジスト下層膜及び基板と共に下層膜もドライエッチングする。上記ドライエッチングは、公知のドライエッチング装置を用いて行うことができる。また、ドライエッチング時のソースガスとしては、被エッチング物の元素組成にもよるが、O、CO、CO等の酸素原子を含むガス、He、N、Ar等の不活性ガス、Cl、BCl等の塩素系ガス、H、NHのガス等を使用することができる。なお、これらのガスは混合して用いることもできる。
当該レジスト下層膜形成用組成物から得られるレジスト下層膜は、上述のように高いエッチングレートを有しレジスト膜との密着性に優れる。そのためパターン倒れに対して強いので、本発明のパターン形成方法によると、より微細なパターンを形成することができる。
<半導体装置の製造方法>
本発明における半導体装置の製造方法は、
(1)本発明のレジスト下層膜形成用組成物を被加工基板上に塗布してレジスト下層膜を形成する工程(以下、「工程1」ともいう。)と、
(2)上記レジスト下層膜上にレジスト組成物を塗布してレジスト膜を形成する工程(以下、「工程2」ともいう。)と、
(3)上記レジスト膜に、フォトマスクを介して選択的に放射線を照射して上記レジスト膜を露光する工程(以下、「工程3」ともいう。)と、
(4)上記露光されたレジスト膜を現像して、レジストパターンを形成する工程(以下、「工程4」ともいう。)と、
(5)上記レジストパターンをマスクとして、上記レジスト下層膜及び上記被加工基板をドライエッチングしてパターンを形成する工程(以下、「工程5」ともいう。)と
(6)集積回路素子を形成する工程(以下、「工程6」ともいう。)とを含む。
各工程について以下に順次説明する。上記工程1〜工程5までは、上述のパターン形成方法における工程1〜工程5と同様である。
[工程(6)]
この工程(6)では、上記パターンが形成された基板を用いて従来公知の方法に従って集積回路を形成する。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。各種物性値の測定方法を以下に表す。
[重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)]
東ソー株式会社製GPCカラム(G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本)を用い、流量1.0mL/分、溶出溶媒にテトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
13C−NMR分析]
重合体のフッ素原子含有率(質量%)を求めるための13C−NMR分析は、核磁気共鳴装置(日本電子社製「JNM−ECX400」)を使用し、測定した。
<[A]重合体の合成>
下記式で表される化合物(M−1)〜(M−12)を用いて、重合体(A−1)〜(A−6)及び(a−1)〜(a−6)を合成した。なお、後述するレジスト組成物用の重合体(R−1)〜(R−2)の合成に用いた化合物も以下に合わせて示す。
Figure 0005924428
[実施例1]
200mLのフラスコに、(M−1)7.00g(31モル%)、(M−3)6.63g(31モル%)、(M−5)6.37g(38モル%)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.55g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル40gを仕込み、窒素下、80℃で5時間攪拌し重合反応を行った。重合終了後、重合溶液を水冷することにより30℃以下に冷却した後、300gのメタノール:水(質量比9:1)の溶液へ投入して重合体を沈殿させた。上澄みの溶液を除いた後、沈殿した重合体にメタノール60gを加え、重合体を洗浄した。上澄み液を除いた後に、50℃にて17時間乾燥して、重合体(A−1)を得た(収量12.8g、収率64%)。この共重合体は、Mwが21,600であり、Mw/Mnが2.2であった。13C−NMR分析の結果、(M−1)、(M−3)、(M−5)の含有率はそれぞれ32モル%、31モル%、37モル%であった。
[実施例2]
200mLのフラスコに、(M−1)7.00g(31モル%)、(M−3)6.63g(31モル%)、(M−5)6.37g(38モル%)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.55g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル40gを仕込み、窒素下、80℃で5時間攪拌した。その後、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)をさらに0.23g(1モル%)添加し、90℃まで昇温させ1時間反応させ重合終了とした。重合終了後、後処理はせず重合体(A−2)を含む溶液を得た。この共重合体は、Mwが23,400であり、Mw/Mnが2.3であった。また溶液の濃度は33.3%であった。
[実施例3〜6及び比較例1〜6]
配合する各成分の種類及び配合量を表1記載の通りとした以外は、実施例2の合成方法と同様にして重合体(A−3)〜(A−6)、及び(a−1)〜(a−6)を合成した。得られた重合体のMw及びMw/Mnは表1に合わせて表す。
Figure 0005924428
<レジスト膜形成用重合体の調製>
[合成例1]
化合物(M−9)18.60g(15モル%)、化合物(M−10)6.20g(35モル%)、及び化合物(M−12)25.20g(50モル%)を2−ブタノン100gに溶解し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)1.86gを溶解させた単量体溶液を準備した。50gの2−ブタノンを投入した500mLの三口フラスコを30分窒素パージした後、反応器を攪拌しながら80℃に加熱し、上述のように準備した単量体溶液を、滴下漏斗を用いて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液を水冷することにより30℃以下に冷却し、1,000gのメタノールへ投入して析出した白色粉末をろ別した。ろ別した白色粉末を200gのメタノールに分散させてスラリー状にして洗浄した後、ろ別する操作を2回行った。50℃にて17時間乾燥して白色粉末の共重合体を得た(収量39g、収率78%)。この共重合体は、Mwが6,300であり、Mw/Mnが1.4であった。この共重合体を重合体(R−1)とする。
[合成例2]
化合物(M−9)17.69g(40モル%)、化合物(M−11)5.35g(10モル%)、及び化合物(M−12)26.96g(50モル%)を2−ブタノン100gに溶解し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)1.99gを溶解させた単量体溶液を準備した。50gの2−ブタノンを投入した500mLの三口フラスコを30分窒素パージした後、反応器を攪拌しながら80℃に加熱し、上述のように準備した単量体溶液を、滴下漏斗を用いて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液を水冷することにより30℃以下に冷却し、1,000gのメタノールへ投入して析出した白色粉末をろ別した。ろ別した白色粉末を200gのメタノールに分散させてスラリー状にして洗浄した後、ろ別する操作を2回行った。50℃にて17時間乾燥して白色粉末の共重合体を得た(収量41g、収率82%)。この共重合体は、Mwが6,100であり、Mw/Mnが1.4であった。この共重合体を重合体(R−2)とする。
<レジスト下層膜形成用組成物の調製>
上記にて調製した重合体(A−1)〜(A−6)及び(a−1)〜(a−6)以外の下層膜形成用組成物を構成する各成分([B]架橋剤、[C]架橋触媒、[D]溶媒及びその他の任意成分)について以下に表す。
[B]架橋剤
下記式(B−1)及び(B−2)で表される化合物
Figure 0005924428
[C]架橋触媒
下記式(C−1)で表される化合物
Figure 0005924428
[D]溶媒
(D−1):プロピレングリコールモノメチルエーテル
(D−2):酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル
(D−3):シクロヘキサノン
[E]界面活性剤
FTX−218(ネオス社製)
<レジスト下層膜形成用組成物の調製>
[実施例7] 重合体(A−1)100質量部、架橋剤(B−1)20質量部、架橋触媒(C−1)3質量部、溶媒(D−1)1,800質量部、および溶媒(D−2)1,800質量部を混合してレジスト下層膜形成用組成物(T−1)を調製した。
[実施例8〜19及び比較例7〜19]
配合する各成分の種類及び配合量を表2記載の通りとした以外は実施例7と同様にして、レジスト下層膜形成用組成物(T−2)〜(T−26)を調製した。なお、実施例19及び比較例19においては、表2に記載の量の[E]界面活性剤を添加した。
Figure 0005924428
<レジスト下層膜の形成>
[実施例20〜32及び比較例20〜32]
上記実施例及び比較例で調製した各レジスト下層膜形成用組成物を、8インチのシリコンウエハー表面に、スピンコートにより塗布し、ホットプレート上にて、205℃で60秒間ベークを行い、膜厚90nmのレジスト下層膜を形成した。レジスト下層膜の膜厚はリソグラフィ・シミュレータ(商品名「プロリス(Prolith)」、KLA Tencor社製)を用いて計算し、反射率の第二最小値となるようにした。このレジスト下層膜について下記評価方法に従い屈折率及び減衰係数を測定した。結果を表3に示す。
Figure 0005924428
表3に示す通り、波長193nmのレーザーについての屈折率及び減衰係数において、実施例のレジスト下層膜は、比較例と同等の値を示し、反射防止膜としての一般的要求性を十分満たしていることがわかった。
<レジストパターンの形成>
[感放射線性樹脂組成物の調製]
重合体(R−1)70質量部、重合体(R−2)30質量部、酸発生剤としてトリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネートを4質量部、4−ブトキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネートを5部、酸拡散制御剤として、N−t−アミロキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジンを0.9質量部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1,250質量部、シクロヘキサノン520質量部を混合して感放射線性樹脂組成物(P−1)を調製した。
[レジスト下層膜の形成]
上記実施例及び比較例で調製したそれぞれのレジスト下層膜形成用組成物を、8インチのシリコンウエハー表面に、スピンコートにより塗布し、ホットプレート上にて、205℃で60秒間ベークを行い、膜厚90nmのレジスト下層膜を形成した。
[レジスト膜の形成]
このレジスト下層膜の上に上記で調整した感放射線性組成物(P−1)をスピンコートにより塗布し、ホットプレート上にて、120℃で60秒間ベークを行い、膜厚120nmのフォトレジスト膜を形成した。このとき、レジストと反射防止膜とのインターミキシングは認められなかった。
[レジストパターンの形成]
得られたレジスト下層膜形成用組成物および感放射線性組成物を塗布したシリコンウェハをArFエキシマレーザー露光装置(商品名「NSRS306C」、NIKON社製)を用いて、マスクパターンを介して露光した。その後、115℃で60秒間PEBを行った後、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(以下、「TMAH水溶液」ともいう)により、25℃で30秒現像し、水洗し、乾燥して、ポジ型のレジストパターンを形成し、下記評価方法に従って、パターン倒れ寸法を測定した。使用した感放射線性樹脂組成物及び結果を表4に示した。(実施例33〜45及び比較例33〜45)
<評価方法>
[屈折率及び減衰係数]
分光エリプソメーターを用いて、波長193nmにおける屈折率及び減衰係数を測定した。
[倒れ試験]
パターン設計寸法80nmの1対1ラインアンドスペースが9本並んだパターンを有するマスクを用い、上記手順にて露光を行った。露光量を0.5mJ/cmずつ増やしていき、9本並んだパターンのうち4本が倒れた時、残り5本の線幅の平均値を倒れ寸法とした。倒れ寸法が短い程、パターン倒れがより抑制されていると評価される。レジストパターンの測長には走査型電子顕微鏡(商品名「S9380」、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いた。
[エッチングレート]
得られたレジスト下層膜形成用組成物溶液をスピナーを用い、シリコンウェハー上に塗布した。ホットプレート上で205℃で1分間焼成し、レジスト下層膜を形成した。ドライエッチングガスとしてCFを使用した条件下でドライエッチングレートを測定した。感放射線性組成物のドライエッチングレートを1とした場合のレジスト下層膜形成組成物のドライエッチングレートをドライエッチングレート選択比として表5に表す(実施例46及び比較例46)。
Figure 0005924428
表4に示す同じ番号の実施例及び比較例においては、実施例では[A]重合体を、比較例ではラクトン骨格を有する比較例の重合体を用いた以外は、他の成分を全く同じ割合で配合したレジスト下層膜形成用組成物から形成したレジスト下層膜を用いてパターンを形成した。全ての組み合わせにおいて、比較例に比べて実施例のレジスト下層膜の方が倒れ寸法が短かった。当該レジスト形成組成物から得られたレジスト下層膜を用いてパターン形成を行った場合には、比較例と比べてパターン倒れを抑制できることがわかった。
Figure 0005924428
表5に示す通り、実施例のレジスト下層膜形成用組成物を用いて形成したレジスト膜は比較例に比べて高いエッチングレートを有していた。カーボネート構造を有する当該レジスト形成組成物から得られたレジスト下層膜は、比較例と比べてエッチングレートが高いことがわかった。
本発明のレジスト下層膜形成用組成物を用いることにより、高いエッチングレートを有し、レジスト膜に対する優れたエッチング選択比を実現するレジスト下層膜を形成することができる。また、当該レジスト下層膜は、レジスト膜への密着性に優れると共に、パターン倒れを抑制できるため、より微細なパターン形成を可能とする。当該下層膜形成用組成物は、さらなる微細化が要求される半導体デバイス、液晶デバイス等の各種電子デバイス構造に十分対応することができる。

Claims (2)

  1. 下記式(1−1)で表される構造単位(I)、
    下記式(2−1)で表される構造単位(II−1)、
    下記式(2−2)で表される構造単位(II−2)、及び
    下記式(4)で表される構造単位(III)
    を有する重合体。
    Figure 0005924428
    (式(1−1)中、Rは水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Yは単結合、メチレン基、炭素数2〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、環員数6〜20のヘテロアリーレン基又はこれらの基を組み合わせてなる基である。また、上記アルキレン基の炭素鎖中に酸素原子を有していてもよい。pは0〜3の整数である。qは0又は1である。rは0〜2の整数である。Xは−CH−、−CH−CH−、−O−、−S−又は−SO−である。但し、rが2の場合、複数のXは同一でも異なっていてもよい。
    式(2−1)中、Rは水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Rは炭素数1〜15のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基である。このアルキル基及びアリール基が有する水素原子の一部又は全部は置換基で置換されており、上記置換基は水酸基を有する基である。
    式(2−2)中、Rは水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Rは、フェニル基、ナフチル基、アントリル基又は炭素数1〜15の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基である。このフェニル基、ナフチル基及びアントリル基の有する水素原子の一部又は全部はフェニル基で置換されていてもよい。また、上記アルキル基が有する水素原子の一部又は全部は置換基で置換されており、上記置換基はフェニル基、ナフチル基又はアントリル基である。)
    Figure 0005924428
    (式(4)中、R は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R はフッ素原子を有する炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又はフッ素原子を有する炭素数3〜20の1価の脂環式基である。)
  2. 上記Rがアリール基である請求項1に記載の重合体。


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