以下、実施形態に係るコネクタ嵌合装置10について説明する(図1〜図4参照)。コネクタ嵌合装置10は、一対のコネクタを嵌合させる装置である。
<コネクタ>
説明の便宜上、まず、嵌合対象となる一対のコネクタについて説明しておく(図5〜図9参照)。ここでは、一対のコネクタが、車両に配索されるワイヤーハーネスを構成するコネクタのうち、複数回路同士の接続を行うジャンクションコネクタである例で説明する。また、一方のコネクタ11が雄コネクタであり、他方のコネクタが雌コネクタである例で説明する。そして、一方のコネクタ11と他方のコネクタとが嵌合される方向を嵌合方向という(図8、図9における左右方向)。また、一方のコネクタ11及び他方のコネクタそれぞれについて、嵌合方向に向かい合わされる端部を前端部、その単体側の端部を後端部という。また、一方のコネクタ11及び他方のコネクタそれぞれについて、嵌合方向に沿った前方、後方で向きを示す。さらに、ここでは、他方のコネクタは、積層コネクタである例で説明する。
積層コネクタである他方のコネクタは、単層コネクタ15が積層されて形成されている(図8、図9参照)。単層コネクタ15は、貫通方向を平行にして並列状に一列に形成された複数のキャビティを有し、複数のキャビティにそれぞれ雌端子が挿入配設されている。なお、キャビティ及び端子は図示を省略している。この単層コネクタ15は、複数のキャビティが並ぶ方向及び雌端子の挿入方向に沿って扁平な直方体形状に形成されている(図6、図7参照)。ここで、単層コネクタ15について、複数のキャビティが並ぶ方向を幅方向といい、複数のキャビティが並ぶ方向及び雌端子の挿入方向に直交する方向を厚さ方向という。
また、単層コネクタ15の嵌合方向後端部には、幅方向両側に張り出す張出部18が形成されている。なお、以下の説明において、他方のコネクタ全体について説明する場合にも、積層された単層コネクタ15の各張出部18をまとめた全体として張出部18と称することがある。
また、単層コネクタ15は、互いに厚さ方向に合体可能に形成されている。より具体的には、単層コネクタ15の厚さ方向一方側には、側面から部分的に前記一方側に突出する凸部16が形成されている。この凸部16は、複数設けられ、ここでは張出部18からも突出するように設けられている。また、単層コネクタ15の厚さ方向他方側には、側面において前記他方側に開口する凹部17が形成されている。
他方のコネクタは、一方のコネクタ11に対する嵌合方向に直交する一方向の寸法が異なる複数のサイズが用意されている。ここでは、積層コネクタである他方のコネクタは、積層される単層コネクタ15の数が異なることによるサイズ違いのものが用意されている。すなわち、車両の仕様(グレード)違いによっては、ワイヤーハーネスに組み込まれる回路数が異なることがある。例えば、他方のコネクタにおいて、一方の仕様の車両では単層コネクタ15を10層積層した分の回路が採用され、他方の仕様の車両では単層コネクタ15を9層積層した分の回路が採用されることもある。以下、この例で説明し、他方のコネクタのうち、単層コネクタ15を10層積層したものを10層コネクタ15a(図8参照)、単層コネクタ15を9層積層したものを9層コネクタ15b(図9参照)と称する。
また、他方のコネクタのうちの積層方向における凹部17側の端面には、凹部17を覆う形態でリテーナ19が設けられている。このリテーナ19は、凹部17側の端面から盛り上がった形態で設けられている。
一方のコネクタ11は、複数サイズの他方のコネクタをいずれも接続可能に形成されている(図5参照)。ここでは、一方のコネクタ11は、10層コネクタ15a及び9層コネクタ15bをいずれも接続可能である。すなわち、一方のコネクタ11は、10層コネクタ15aに設けられた複数の雌端子それぞれに対して接続される複数の雄端子を有している。
より具体的には、一方のコネクタ11は、コネクタ本体部12と、付属部14とを有している。コネクタ本体部12は、略直方体形状に形成され、並列状に一列に並んだ複数のキャビティが10列形成されて他方のコネクタに対して嵌合される部分である。そして、複数のキャビティにそれぞれ雄端子が挿入配設されている。なお、キャビティ及び端子は図示を省略している。複数の雄端子は、一方のコネクタ11の嵌合方向前方から先端側部分(雌端子との接触部分)を突出させる形態で配設されている。また、本体部12の先端側部分は、複数の雄端子の突出部分を囲う枠状に形成されている。また、コネクタ本体部12の外周面には、後述する第1ホルダー20の抜止部24が係止可能な凹部13が形成されている。付属部14は、コネクタ本体部12の嵌合方向後端部に設けられている。より具体的には、付属部14は、一方のコネクタ11の嵌合方向後端部から後方側に向けて突出する形状に形成されている。この付属部14は、車両に対する固定用のクランプ等である。ここでは、付属部14は、一方のコネクタ11のうちの他方のコネクタの積層方向に対応する方向における中央に対していずれか一方側にずれて設けられている。
そして、一方のコネクタ11と10層コネクタ15aとは、付属部14が寄った側の側端部と凸部16が設けられた側の側端部が同じ側になる姿勢で嵌合される(図8参照)。また、一方のコネクタ11と9層コネクタ15bとは、付属部14が寄った側の側端部と凸部16が設けられた側の側端部が同じ側になる姿勢で、且つ、9層コネクタ15bを一方のコネクタ11の付属部14が寄った側に寄せた位置で嵌合される(図9参照)。すなわち、一方のコネクタ11の付属部14から遠い側の一列の複数の端子には、雌端子(単層コネクタ15)が接続されない。
<コネクタ嵌合装置>
コネクタ嵌合装置10は、上述した一方のコネクタ11と他方のコネクタである10層コネクタ15a或いは9層コネクタ15bのいずれか一方とを嵌合させるための装置である。このコネクタ嵌合装置10は、第1ホルダー20と、第2ホルダー40と、移動機構部60とを備えている(図1〜図4参照)。また、第1ホルダー20には第1嵌合規制部70が設けられ、第2ホルダー40にはコネクタ規制機構部50と第2嵌合規制部80とが設けられている(図2、図4参照)。
そして、コネクタ嵌合装置10は、第1ホルダー20に一方のコネクタ11を支持すると共に第2ホルダー40に他方のコネクタを支持し、移動機構部60が操作されることにより第1ホルダー20と第2ホルダー40とを相対近接移動させることにより一方のコネクタ11と他方のコネクタとを嵌合させるように構成されている。
<第1ホルダー>
第1ホルダー20には、一方のコネクタ11を支持可能な第1凹部22が形成されている(図18参照)。より具体的には、第1ホルダー20は、略直方体形状の外形を有し、第1凹部22が隣接する2面で連続して開口する凹状に形成されている。この第1ホルダー20は、合成樹脂材料を射出成型した成型体等を組み合わせることにより形成されている。第1凹部22は、本体収容部23と、付属収容部25とを有している。より具体的には、第1凹部22は、本体収容部23と付属収容部25とが一方向に連通し、連通方向の一端における嵌合用開口を通じて一方のコネクタ11の嵌合方向前端部を露出させる。また、一方のコネクタ11は、第1凹部22に対して、本体収容部23及び付属収容部25の両方が開口する挿入用開口から挿入される。このため、以下の説明において、第1凹部22について、一方のコネクタ11が挿入される方向における内面を底部(底面)という。
本体収容部23は、一方のコネクタ11のコネクタ本体部12を収容可能な略直方体空間を有する凹状に形成されている。本体収容部23には、抜止部24が設けられている。この抜止部24は、本体収容部23内に配設されたコネクタ本体部12に係止して一方のコネクタ11を所定の位置に支持する部分である。ここでは、抜止部24は、一方のコネクタ11の外周面に形成されている凹部13に対して係止する。より具体的には、抜止部24は、本体収容部23内に出退可能に形成され、本体収容部23内にコネクタ本体部12を配設可能に形成されている。ここでは、抜止部24として、球状の先端部を有する進退部が進出付勢された構成のボールプランジャを採用している。そして、この抜止部24は、本体収容部23のうちの対向する一対の壁部にそれぞれ設けられている。ボールプランジャである抜止部24は、一方のコネクタ11が他方のコネクタと嵌合された状態で、嵌合方向に他方のコネクタを引っ張る力によってコネクタ本体部12に対する係止状態を解除可能な付勢力であるとよい。すなわち、抜止部24の付勢力は、一方のコネクタ11と他方のコネクタとの嵌合力より小さいことが好ましい。
付属収容部25は、一方のコネクタ11の付属部14を配設位置に挿入可能且つ収容可能な凹状に形成されている。より具体的には、付属収容部25は、第1ホルダー20の一方の面と本体収容部23の内面で開口している。
また、上述したように、付属部14は、一方のコネクタ11のうちの第1凹部22に挿入する方向(他方のコネクタの積層方向に対応する方向)における中央より一端側に寄った位置に設けられている。これに対して、付属収容部25は、第1凹部22に対する一方のコネクタ11の挿入方向における向きが正常な場合にのみ、付属部14を底部側まで挿入できる深さ寸法に形成されている。ここで、一方のコネクタ11の第1凹部22に対して挿入される正常な向きとは、第1凹部22に挿入する方向において付属部14が第1凹部22の底部側に寄る向きである(図18参照)。
また、第1ホルダー20には、後述する移動機構部60における基部62のレール64に対して移動可能に嵌合する走行部26が形成されている。この走行部26の詳細な形状については、移動機構部60の説明と併せて後で詳述する。さらに、第1ホルダー20には、後述する第1嵌合規制部70が配設されるバー収容部32及びピン挿通孔部34が形成されている。このバー収容部32の詳細な形状については、第1嵌合規制部70の説明と併せて後で詳述する。
<第2ホルダー>
第2ホルダー40には、他方のコネクタである10層コネクタ15a或いは9層コネクタ15bを複数サイズごとにそれぞれ寸法が異なる一方向(積層方向)が深さ方向に沿う姿勢で支持可能な第2凹部42が形成されている(図18参照)。この第2ホルダー40は、一方側に開口する略U字状(ここでは略直方体形状の外形)に形成されている。すなわち、第2凹部42は、略U字状の内側部分であり、他方のコネクタを挿入可能な挿入用開口を有している。より具体的には、第2凹部42には、他方のコネクタの張出部18を配設可能な一対の溝部44が形成されている。この一対の溝部44は、第2凹部42の内側に配設される他方のコネクタの嵌合方向の一部分において対向する内壁部で開口すると共に第2凹部42の深さ方向に延在する溝状に形成されている。
ここでは、第2ホルダー40は、合成樹脂材料を射出成型等することにより形成された樹脂部分と、金属板を打抜き等することにより形成された金属部分とを組み合わせて形成されている(図10参照)。より具体的には、略U字ブロック状の樹脂部分の一端面に略U字板状の金属部分が固定されている。そして、樹脂部分の一端部で略U字状の内側が幅広に形成されると共に、略U字状の金属部分の内側部分が樹脂部分の幅広部分の一端側を遮ることにより、一対の溝部44が形成されている(図4参照)。
そして、他方のコネクタは、第2凹部42に対して、凹部17が形成されてリテーナ19が設けられた側の端面を底部側に向けて挿入される。
また、第2ホルダー40には、後述するコネクタ規制機構部50の複数の規制部52a、52b及び複数の付勢部58が配設される収容部46が形成されている。この収容部46の詳細な形状については、コネクタ規制機構部50の説明と併せて後で詳述する。さらに、第2ホルダー40には、後述する第2嵌合規制部80が配設される収容部48が形成されている。この収容部48の詳細な形状については、第2嵌合規制部80の説明と併せて後で詳述する。
<コネクタ規制機構部>
第2ホルダー40には、コネクタ規制機構部50が設けられている(図11参照)。コネクタ規制機構部50は、第2凹部42内に配設される他方のコネクタに係止して他方のコネクタの第2凹部22の開口側への移動を規制する規制位置と規制を解除した解除位置との間で移動可能な複数の規制部を有している。そして、コネクタ規制機構部50は、第2凹部42内に配設される他方のコネクタに対して、サイズごとに複数の規制部のうちのいずれかを係止させて他方のコネクタを移動規制するように構成されている。
より具体的には、複数の規制部は、第2凹部42の一対の溝部44内及び一対の溝部44の第2凹部42の開口側の位置に進出可能に設けられ、一対の溝部44内に配設される他方のコネクタの一対の張出部18に係止する。すなわち、規制位置は複数の規制部が一対の溝部44内に進出した位置で、解除位置は複数の規制部が一対の溝部44内から退避した位置である。ここでは、コネクタ規制機構部50は、一対の溝部44内にそれぞれ配設される一対の張出部18に係止するように、略U字状の第2ホルダー40における対向する一対の壁部に1組ずつ(計2組)設けられている。以下、一方の溝部44側に設けられる1組の複数の規制部に着目して説明する。
コネクタ規制機構部50には、最も大きいサイズの他方のコネクタを移動規制可能な最終規制部と、他のサイズの他方のコネクタを移動規制可能な1つ又は複数の中間規制部とが設けられている。ここでは、コネクタ規制機構部50は、10層コネクタ15aを移動規制する最終規制部52aと、9層コネクタ15bを移動規制する中間規制部52bとを有している。
複数の規制部52a、52bは、第2凹部42の幅方向に移動可能で、且つ、第2凹部42の深さ方向に並べて配設されている。この複数の規制部52a、52bは、第2ホルダー40の収容部46内に配設される。より具体的には、収容部46は、最終規制部52aと中間規制部52bとを重ねて収容可能且つ後述する各付勢部58を収納可能な大きさに形成されている。また、収容部46の上端部には、長孔部47が形成されている。この長孔部47は、後述する規制解除操作部56を複数の規制部52a、52bの移動方向に沿って移動可能に配設する部分であり、前記移動方向に沿った長孔形状に形成されている。
そして、最終規制部52aは、第2凹部42の深さ方向において、第2凹部42内に底部側まで挿入配設された10層コネクタ15aの張出部18に対して、第2凹部42の開口側から係止する位置に配設される(図15参照)。また、中間規制部52bは、第2凹部42の深さ方向において、第2凹部42内に底部側まで挿入配設された9層コネクタ15bの張出部18に対して、第2凹部42の開口側から係止する位置に配設される(図16参照)。すなわち、最終規制部52aは、中間規制部52bより第2凹部42の開口側に配設されている。
複数の規制部52a、52bは、角棒状に形成されている。そして、複数の規制部52a、52bは、長尺方向に沿って移動するように配設される。より具体的には、複数の規制部52a、52bは、最終規制部52aが規制位置にある状態で中間規制部52bが規制位置と解除位置との間で移動可能、且つ、最終規制部52aが解除位置に移動されると中間規制部52bが解除位置に移動されるように形成されて組み合わされている。ここでは、複数の規制部52a、52bのうちの最終規制部52aには、中間規制部52b側の部分で開口し、規制位置と解除位置とを結ぶ方向に沿って長尺な細長凹部53aが形成されている(図12参照)。これに対して、中間規制部52bには、最終規制部52a側に向けて突出して最終規制部52aの細長凹部53a内に長尺方向に沿って移動可能に配設された突部54bが設けられている。ここで、細長凹部53aの位置及び長尺方向の寸法は、最終規制部52aが規制位置にある状態で、突部54bが内側を長尺方向に移動することにより、中間規制部52bが規制位置と解除位置との間で移動可能であるように設定されるとよい。
そして、最終規制部52aが規制位置にある状態で、突部54bは細長凹部53a内で移動可能となる。すなわち、中間規制部52bは、突部54bが細長凹部53a内の規制位置側に配設されると規制位置に位置し、突部54bが細長凹部53a内の解除位置側に配設されると解除位置に位置する。また、最終規制部52aが解除位置にある状態で、突部54bは細長凹部53a内の規制位置側に配設される。すなわち、中間規制部52bは、解除位置に維持される。このように、複数の規制部52a、52bは、一斉に解除位置に移動操作可能に組み合わされている。より具体的には、複数の規制部52a、52bは、第2凹部42の開口側に配設された最終規制部52aが解除位置に移動されるのに連動して解除位置に移動される。つまり、最終規制部52aが解除位置に移動させることにより、中間規制部52bを解除位置に移動させることができる。
また、最終規制部52aには、規制位置側端部において、第2凹部42の開口側を向くと共に、解除位置側から規制位置側に向けて第2凹部42の底部側に傾く傾斜面55aが形成されている。他方のコネクタが第2凹部42に配設される際に、他方のコネクタの張出部18が最終規制部52aの傾斜面55aに摺接しつつ第2凹部42に挿入されることにより、最終規制部52aが解除位置側に押し込まれる。そして、最終規制部52aが解除位置に移動されることにより、中間規制部52bも一緒に解除位置に移動される。
また、最終規制部52aには、規制位置側から解除位置側に移動操作可能な規制解除操作部56が設けられている。この規制解除操作部56は、第2凹部42の開口側に向けて突出する形状に形成されている。また、規制解除操作部56は、第2ホルダー40の長孔部47を通じて外部に突出している。より具体的には、規制解除操作部56は、外部に露出されて操作される先端部に、基端側より大径の柱状部分を有している。そして、規制解除操作部56を長孔部47内で移動させることにより、最終規制部52aを規制位置から解除位置に移動操作できる。
また、第2ホルダー40には、複数の規制部52a、52bをそれぞれ規制位置側に付勢する複数の付勢部58が設けられている。付勢部58は、第2ホルダー40の収容部46内において、規制部52の解除位置側に圧縮状態で配設されている。すなわち、複数の規制部52a、52bは、解除位置側に付勢部58の付勢力より大きい外力が作用しない間は、付勢部58の付勢力により規制位置に維持される。
<移動機構部>
移動機構部60は、第1ホルダー20と第2ホルダー40とを、第1凹部22に支持される一方のコネクタ11と第2凹部42に支持される他方のコネクタとの嵌合方向に沿って相対接離移動可能に形成されている(図1、図3参照)。より具体的には、移動機構部60は、第1ホルダー20と第2ホルダー40とを、一方のコネクタ11と他方のコネクタとを嵌合させる近接位置と近接位置より離間させた離間位置との間で相対移動させる。この移動機構部60は、基部62と、操作レバー66と、リンク68とを有している。
基部62は、第1ホルダー20と第2ホルダー40とを相対接離移動可能に支持する部分である。第1ホルダー20と第2ホルダー40とは、第1ホルダー20の本体収容部23と付属収容部25とを結ぶ方向と、第2ホルダー40の樹脂部分と金属部分とを結ぶ方向とを一致させ、第1ホルダー20の本体収容部23側と第2ホルダー40の金属部分側とを向き合わせる姿勢で、基部62に支持される。すなわち、第1ホルダー20に支持される一方のコネクタ11及び第2ホルダー40に支持される他方のコネクタが、嵌合方向前端部を向かい合わせられる。
基部62は、部分的に溝状に形成され、その内側に第1ホルダー20及び第2ホルダー40の一部分が配設される。ここでは、第2ホルダー40のうちの第2凹部42の底部側の端部は、基部62の溝状部分の内側に配設可能に形成されている。そして、第2ホルダー40は、第2凹部42の底部側の端部が基部62の溝状部分の内側に配設された状態で、基部62に対してねじ止め等により固定されている。また、第1ホルダー20は、基部62に対して、嵌合方向において第2ホルダー40に対して接離移動可能に支持される。より具体的には、基部62には、第1ホルダー20の走行部26に嵌合して、第1ホルダー20を嵌合方向に案内するレール64が設けられている。レール64は、基部62の溝状部分のうちの対向する内壁面の底部に対して間隔をあけた部分から内側に突出し、溝状部分の延在方向に沿って延在する形状に形成されている。ここでは、レール64は断面視略矩形状に形成されている。一方、走行部26は、第1ホルダー20のうちの第1凹部22の底部側の端部に設けられ、基部62の溝状部分の内側に配設可能に形成されている。この走行部26には、両側部に嵌合方向(本体収容部23と付属収容部25とを結ぶ方向)に沿った嵌合溝部が形成されている。嵌合溝部は、内側にレール64を相対移動可能に配設可能な(ここではレール64の外形より僅かに大きい略直方体空間を有する)形状に形成されている。
そして、基部62に対して移動可能に支持された第1ホルダー20は、基部62に対して固定された第2ホルダー40に対して、嵌合方向に沿って近接位置と離間位置との間で移動可能となる。ここで、近接位置とは、第1ホルダー20と第2ホルダー40とが、第1ホルダー20に支持される一方のコネクタ11と第2ホルダー40に支持される他方のコネクタとが嵌合されるまで近接された位置である(図1、図2参照)。ここでは、近接位置では、第1ホルダー20が第2ホルダー40に当接する。また、離間位置とは、第1ホルダー20と第2ホルダー40とが、第1ホルダー20に支持される一方のコネクタ11と第2ホルダー40に支持される他方のコネクタとが間隔をあけるように離間した位置である(図3、図4参照)。ここでは、離間位置では、第1ホルダー20がレバー支持部65又は操作レバー66に当接する。
また、基部62には、第1ホルダー20の嵌合方向後方の位置に、操作レバー66を回転軸周りに回転可能に支持するレバー支持部65が設けられている。操作レバー66は、リンク68を介して第1ホルダー20に連結され、第1ホルダー20の第2ホルダー40に対する接離移動操作をするための部分である。この操作レバー66は、レバー支持部65に対して、基部62の溝状部分の対向する壁部を結ぶ方向に沿った回転軸周りに姿勢変更可能に支持されている。ここでは、操作レバー66は、前記回転軸に直交する平面に沿った扁平な形状に形成されている。より具体的には、操作レバー66は、側面視において、回転軸側の基端側部分と反対側の先端側部分との間に鈍角を成す屈曲部を有する長尺状に形成されている。
リンク68は、一端部が第1ホルダー20の側部に対して回転軸周りに姿勢変更可能に連結され、他端部が操作レバー66の側部に対して回転軸周りに姿勢変更可能に連結されている。より具体的には、リンク68の他端部は、操作レバー66の回転軸に対して間隔をあけた回転軸周りに姿勢変更可能に支持されている。また、リンク68は、第1ホルダー20及び操作レバー66の両側部にそれぞれ設けられている。なお、一対のリンク68は、扁平形状に形成され、操作レバー66と平行な姿勢で設けられている。
そして、リンク68を介して第1ホルダー20に連結された操作レバー66は、嵌合姿勢と解除姿勢との間で姿勢変更可能となっている。嵌合姿勢は、第1ホルダー20を近接位置に移動させた姿勢である。また、解除姿勢は、第1ホルダー20を離間位置に移動させた姿勢である。
<嵌合規制機構部>
嵌合規制機構部は、第1凹部22に対して一方のコネクタ11が完全にセットされ、且つ、第2凹部42に対して他方のコネクタが完全にセットされた状態でのみ、嵌合動作を行えるようにする構成である。この嵌合規制機構部によって、一方のコネクタ11と他方のコネクタとをより確実に正常な形態で嵌合させる。嵌合規制機構部は、第1嵌合規制部70と、第2嵌合規制部80とを有している(図17、図18参照)。
<第1嵌合規制部>
第1ホルダー20には、第1凹部22に対して一方のコネクタ11が完全に底部側までセットされていない状態で、嵌合動作を規制する第1嵌合規制部70が設けられている。第1嵌合規制部70は、突出ピン72と、規制バー74と、付勢部76とを備えている(図17参照)。この第1嵌合規制部70のうち規制バー74及び付勢部76は第1ホルダー20のバー収容部32内に配設され、突出ピン72はバー収容部32内からピン挿通孔部34に挿入されている。
突出ピン72は、棒(ここでは丸棒)状に形成され、第1凹部22の底部から突出する進出位置(図17参照)と、進出位置より第1凹部22の底部側に押し込まれた退避位置との間で移動可能に配設されている。より具体的には、進出位置は、第1凹部22に正常な向きで挿入される一方のコネクタ11の付属部14によって押動可能な位置に先端部を突出させる位置である。一方、退避位置は、第1凹部22に正常な向きで底部側まで挿入された一方のコネクタ11の付属部14によって第1凹部22の底部側に押し込まれた位置である。なお、ここでは、突出ピン72は、退避位置でもわずかに先端部を付属収容部25内に突出させており、進出位置と退避位置とでは先端部の突出量が異なる。
また、突出ピン72は、一方のコネクタ11を第1凹部22に挿入する方向において、付属部14が第1凹部22の底部側に寄る向きで第1凹部22に挿入される一方のコネクタ11の付属部14によって進出位置から退避位置に押動可能に配設されている。また、突出ピン72は、付属部14が第1凹部22の挿入用開口側に寄る向きで第1凹部22に挿入される一方のコネクタ11の付属部14によっては退避位置まで押動されないように配設されている(図22参照)。この設定は、本体収容部23の底部に対する突出ピン72の進出位置における先端部の相対高さ等の調節により行うとよい。
ここで、ピン挿通孔部34は付属収容部25及びバー収容部32を連通させるように貫通する孔状に形成されている。より具体的には、ピン挿通孔部34は、第1凹部22の深さ方向に沿って貫通し、断面視円形に形成されている。そして、突出ピン72は、ピン挿通孔部34にバー収容部32内から挿入され、ピン挿通孔部34の貫通方向に沿って移動可能に配設されている。また、突出ピン72には、基端部に先端側部分より大径な部分が形成されている。突出ピン72は、大径な基端部がピン挿通孔部34のバー収容部32側の開口縁部に当接することにより、進出側への抜け出しを規制されている。
規制バー74は、棒(ここでは角棒)状に形成され、第1ホルダー20と第2ホルダー40との接離方向(第1ホルダー20の移動方向)に沿った解除姿勢と、前記接離方向に対して傾斜した規制姿勢との間で姿勢変更可能に支持されている。より具体的には、規制バー74の解除姿勢とは先端部を第2ホルダー40の後述する挿入孔部に挿入可能な姿勢であり、規制姿勢とは先端部を挿入孔部に挿入不能な姿勢である。この規制バー74は、第1ホルダー20の幅方向に沿った回転軸周りに姿勢変更可能に軸支され、先端部を第1ホルダー20の第2ホルダー40側端面から突出させている。より具体的には、規制バー74の先端側部分の長さは、規制姿勢において、第1ホルダー20の近接移動時に、第1凹部22に支持された一方のコネクタ11と第2凹部42に支持された他方のコネクタとが嵌合されない位置で第2ホルダー40に当接するように設定されている。
また、規制バー74は、基端部が突出ピン72の基端部に対して退避位置側から接触するように配設されている。ここで、規制バー74は、規制姿勢で基端部が回転軸に対して突出ピン72の進出位置側に位置するように姿勢変更可能に配設されている。そして、規制バー74は、規制姿勢で基端部により突出ピン72を進出位置に押し出し、解除姿勢で突出ピン72を退避位置に移動可能にする。
この規制バー74は、付勢部76により規制姿勢側に向けて付勢されている。より具体的には、付勢部76は、規制バー74の基端部を突出ピン72の進出位置側に向けて付勢している。ここでは、付勢部76は、コイルバネを採用し、規制バー74の基端部に対して突出ピン72の反対側の位置に圧縮状態で配設されている。
そして、第1凹部22に対して一方のコネクタ11が挿入用開口を通じて底部側まで挿入される力を受けて、付勢部76の付勢力に逆らって規制バー74が規制姿勢から解除姿勢に姿勢変更される。ここで、第1規制部70は、一方のコネクタ11を第1凹部22に挿入する方向において、付属部14が第1凹部22の底部側に寄る向きで第1凹部22に挿入した状態で規制バー74が規制姿勢から解除姿勢に姿勢変更し且つ反対向きで第1凹部22に挿入した状態で規制バー74が規制姿勢から解除姿勢に姿勢変更しないように構成されている(図18、図22参照)。すなわち、突出ピン72は、正常な向きで第1凹部22に挿入された一方のコネクタ11のうちの付属収容部25内に配設された付属部14によって進出位置から退避位置に押し込まれ、退避位置で規制バー74を押動して解除姿勢に姿勢変更させる。
一方、第1凹部22に対して一方のコネクタ11が底部側まで挿入されずに突出ピン72が押動されない状態では、該突出ピン72が進出位置に維持され、規制バー74が付勢部76の付勢力により規制姿勢に維持される。また、第1凹部22に挿入される一方のコネクタ11の付属部14により突出ピン72が押動されても、一方のコネクタ11が第1凹部22に対して底部側まで挿入されずに突出ピン72が退避位置に到達していない状態では、規制バー74が解除姿勢まで姿勢変更しない。
<第2嵌合規制部>
第2ホルダー40には、第2凹部42に対して他方のコネクタが完全に底部側まで挿入されていない状態で、嵌合動作を規制する第2嵌合規制部80が設けられている。第2嵌合規制部80は、規制出退部82と、規制付勢部86とを備えている(図17参照)。
この第2嵌合規制部80は、第2ホルダー40の収容部48内に配設されている。収容部48は、第2凹部42の底部で開口する凹状に形成されている。ここでは、収容部48は、第2凹部42の底部のうちの一対の溝部の間の位置で開口している。また、第2ホルダー40には、収容部48を第1ホルダー20の移動方向に沿って横切る挿入孔部が形成されている。挿入孔部は、貫通孔部49aと凹部49bとで構成されている。貫通孔部49aは、規制出退部82(収容部48)の第1ホルダー20側に隣接して設けられている規制壁部49に形成されている。規制壁部49は、第2ホルダー40を構成する金属部分の一部分であり、収容部48の第1ホルダー20側の壁部を兼ねている。凹部49bは、第2ホルダー40のうちの樹脂部分に形成されている。
より具体的には、貫通孔部49aは、第1ホルダー20と第2ホルダー40との近接移動において解除姿勢の規制バー74を挿入可能(図18、図19参照)で且つ規制姿勢の規制バー74を挿入不能(図20参照)に設けられている。すなわち、貫通孔部49aは、解除姿勢の規制バー74の長尺方向延長線上に形成され、規制バー74の長尺方向に直交する断面より大きく形成されている。好ましくは、貫通孔部49aは、解除姿勢の状態でのみ規制バー74を挿入可能であるとよく、規制バー74の長尺方向に直交する断面より僅かに大きい大きさ及び形状に形成されているとよい。これにより、完全に解除姿勢に姿勢変更されるまでは、第1ホルダー20を近接位置に移動させて嵌合動作を行うことが規制される。
ここでは、凹部49bは、貫通孔部49aと同じ矩形状に開口し、同じ大きさに形成されている(図10参照)。また、凹部49bは、貫通孔部49aに対して、収容部48の内部空間を挟んで第1ホルダー20の移動方向において全体的に重なる位置に形成されている。
規制出退部82は、進出位置と退避位置との間で移動可能に配設されている。より具体的には、規制出退部は、第2凹部42に対して他方のコネクタが底部側まで挿入される力を受けて、進出位置から退避位置に移動される。ここでは、規制出退部82の進出位置は、第2凹部42に対して底部側まで挿入される他方のコネクタによって押動可能な位置に、第2凹部42の底部から突出する位置である(図17参照)。一方、退避位置は、第2凹部42に対して底部側まで挿入された他方のコネクタによって、進出位置より底部側に押し込まれた位置である(図18参照)。そして、規制出退部82は、第1ホルダー20と第2ホルダー40との近接移動において、解除姿勢の規制バー74を、進出位置で規制解除穴部84に挿入不能(図19参照)で且つ退避位置で規制解除穴部84に挿入可能(図18参照)に構成されている。
より具体的には、規制出退部82は、第2凹部42の底部と挿入用開口とを結ぶ方向に移動可能に配設されている。ここでは、規制出退部82は、矩形板状に形成され、第1ホルダー20の移動方向に直交する平面に沿った姿勢で配設されている。また、規制出退部82は、自身に形成された進退方向に沿った長孔と、収容部48の内壁面から長孔の内側に突出する棒状のガイドピンによって、進出位置と退避位置との間で移動するように設定されている。
規制出退部82には、第1ホルダー20と第2ホルダー40との接離方向に開口する規制解除穴部84が形成されている。規制解除穴部84は、規制出退部82が退避位置に移動された状態で、挿入孔部の貫通孔部49a及び凹部49bに挿入される第1嵌合規制部70の解除姿勢における規制バー74の先端部を挿通可能にする部分である。ここでは、規制解除穴部84は、規制出退部82の厚さ方向に貫通し、規制バー74の先端部を挿通可能な(規制バー74の長尺方向に直交する断面より大きい)矩形孔状に形成されている。なお、規制解除穴部84は、第2ホルダー40の貫通孔部49aと同じ大きさに形成されているとよい。また、規制解除穴部84は、規制出退部82が退避位置に移動された状態で、貫通孔部49aに対して第1ホルダー20の移動方向に全体的に重なる位置に形成されている(図18参照)。一方、規制解除穴部84は、規制出退部82が退避位置以外の位置にある状態では、貫通孔部49aに対してずれた状態にあり、重なった領域が規制バー74を挿入可能な程大きくない(図19参照)。すなわち、規制出退部82が退避位置まで移動されていない状態では、解除姿勢の規制バー74が規制出退部82のうちの規制解除穴部84の周囲の壁面に当接する。なお、規制解除穴部84は、規制出退部82の進出位置或いはそれ以外の退避位置に到達していない位置において、貫通孔部49aに対して部分的に重なることはあるが、規制バー74を挿入できるほどの大きさではない。
この規制出退部82は、規制付勢部86により進出位置側に向けて付勢されている。ここでは、規制付勢部86は、コイルバネを採用し、規制出退部82の退避位置側の位置に圧縮状態で間隔をあけて一対設けられている。もっとも、規制付勢部86は、規制出退部82を進出位置側に付勢できればよく、コイルバネ以外の付勢部材を採用してもよい。これにより、規制出退部82は、退避位置側に外力が作用しない状態では進出位置に維持される。
<付属検知部>
第1ホルダー20には、第1凹部22に配設される一方のコネクタ11の付属部14を検知する付属検知部90が設けられている(図17、図18参照)。ここでは、付属検知部90は、マイクロスイッチである。そして、付属検知部90は、スイッチ部分を付属収容部25内に突出させて、付属収容部25内に付属部14が配設されるとオンされるように配設されている。ここでは、付属検知部90は、スイッチ部分が、第1凹部22内に底部側まで挿入された一方のコネクタ11における付属部14の先端部が配設される空間上に延出するように配設されている。
マイクロスイッチである付属検知部90は、図示省略の報知部に接続されているとよい。そして、付属検知部90による付属部14の検知により、報知部が嵌合作業を行う作業者等に付属部14の有無を報知するように構成されているとよい。例えば、報知部としては、ランプ、ブザー、液晶表示装置等を採用することができる。
<近接検知部>
また、第1ホルダー20には、第1ホルダー20が近接位置に移動されたことを検知する近接検知部95が設けられている(図10参照)。ここでは、近接検知部95は、基部に対して進退可能に設けられた先端部が基部に対して押し込まれることによりオンされるスイッチ付プローブである。そして、近接検知部95は、先端部を第1ホルダー20の第2ホルダー40側端面から突出させて、第1ホルダー20が近接位置に移動されると第2ホルダー40の第1ホルダー20側端面に当接してオンされるように配設されている。
スイッチ付プローブである近接検知部95も、付属検知部90の説明中に記載した報知部に接続されているとよい。そして、近接検知部95による第1ホルダー20の近接位置への移動の検知により、報知部が嵌合作業を行う作業者等に報知するように構成されているとよい。この報知により、作業者は、一対のコネクタの嵌合作業時に、一対のコネクタの嵌合が完了したことを確認することができる。
<嵌合動作>
次に、一対のコネクタの嵌合作業におけるコネクタ嵌合装置10の動作について説明する。コネクタ嵌合装置10は、初期状態として、操作レバー66が解除姿勢に維持されることにより、第1ホルダー20が離間位置に位置しているものとする(図3、図4、図12、図17参照)。また、初期状態では、第1凹部22及び第2凹部42それぞれに対して一方のコネクタ11及び他方のコネクタが配設されていない。
まず、第1凹部22内に一方のコネクタ11を挿入する。すると、付属収容部25内に配設された付属部14によって付属検知部90がオンする。また、一方のコネクタ11が正常な向きで挿入されている場合には、付属収容部25内に配設された付属部14によって第1嵌合規制部70の突出ピン72が押動されて進出位置から退避位置に移動される(図18参照)。これにより、突出ピン72が規制バー74の基端部を押動し、付勢部76の付勢力に逆らって規制バー74が規制姿勢から解除姿勢に姿勢変更する。
また、第2凹部42内に他方のコネクタを挿入する。もっとも、第1凹部22に対する一方のコネクタ11の挿入作業と、第2凹部42に対する他方のコネクタの挿入作業とはどちらが先に行われてもよいし、同時に行われてもよい。
先に、第2凹部42内に他方のコネクタとして10層コネクタ15aを挿入する際のコネクタ規制機構部50の動作について説明する。まず、10層コネクタ15aの張出部18が最終規制部52aの傾斜面55aに当接する(図13参照)。10層コネクタ15aの挿入に伴って、張出部18が、傾斜面55aに摺接しつつ、最終規制部52aを付勢部58の付勢力に逆らって規制位置から解除位置に移動させる(図14参照)。また、最終規制部52aが解除位置側に移動されると、最終規制部52aの細長凹部53aの規制位置側の内壁面によって突部54bが解除位置側に押され、最終規制部52aと一緒に中間規制部52bが解除位置側に移動される。これにより、10層コネクタ15aは、2組の複数の規制部52a、52bの間を通過して第2凹部42内に挿入されていく。
10層コネクタ15aの張出部18全体が最終規制部52aを越えると、付勢部58の付勢力により最終規制部52aが解除位置から規制位置に移動する(図15参照)。この状態で、10層コネクタ15aは、第2凹部42の奥まで完全に挿入され、最終規制部52aによって第2凹部42の開口側への移動を規制される。
次に、第2凹部42内に他方のコネクタとして9層コネクタ15bを挿入する際のコネクタ規制機構部50の動作について説明する。なお、張出部18全体が最終規制部52aを越えるまでは、コネクタ規制機構部50は、9層コネクタ15bを挿入する場合も10層コネクタ15aを挿入する場合と同様の動作をするため、同様の動作については説明を省略する。
9層コネクタ15bの張出部18全体が、最終規制部52aを越えてさらに中間規制部52bを越えると、付勢部58の付勢力により中間規制部52bが解除位置から規制位置に移動する(図16参照)。この状態で、9層コネクタ15bは、第2凹部42の奥まで完全に挿入され、中間規制部52bによって第2凹部42の開口側への移動を規制される。
他方のコネクタが第2凹部42の底部側まで挿入されると、第2嵌合規制部80の規制出退部82は、他方のコネクタに押動されて進出位置から退避位置に移動される(図18参照)。これにより、規制出退部82の規制解除穴部84は、第1ホルダー20の移動方向において、第2ホルダー40の貫通孔部49a及び凹部49bと全体的に重なって連通する。
この状態で、操作レバー66を解除姿勢から規制姿勢に姿勢変更させる(図1、図2参照)。すると、第1ホルダー20は、離間位置から近接位置に移動される。この際に、解除姿勢の規制バー74の先端部が、連通する貫通孔部49a、退避位置の規制解除穴部84及び凹部49b内に挿入される。また、近接検知部95の先端部が第2ホルダー40の第1ホルダー20側端面に当接して基部に対して押し込まれる。これにより、近接検知部95に接続される報知部が作業者に報知し、作業者は一対のコネクタの嵌合が完了したことを確認することができる。
一方のコネクタ11と他方のコネクタとの嵌合が完了すると、操作レバー66を規制姿勢から解除姿勢に姿勢変更させる(図3、図4参照)。これにより、第1ホルダー20は、近接位置から離間位置に移動される。この際、他方のコネクタは一対の張出部18が第2ホルダー40の一対の溝部44内に配設されたままで第1ホルダー20の移動方向に移動規制されているため、一方のコネクタ11は抜止部24を越えて他方のコネクタとの嵌合状態を維持する。
第1ホルダー20が離間位置に戻された後、一方のコネクタ11と嵌合した他方のコネクタを第2凹部42から取り出す。より具体的には、規制解除操作部56を複数の規制部52a、52bの解除位置側に操作し、複数の規制部52a、52bを解除位置に移動させる(図14参照)。すなわち、規制解除操作部56の操作により、中間規制部52bが最終規制部52aと一緒に解除位置に一斉に移動され、他方のコネクタに対する移動規制が解除される。そして、複数の規制部52a、52bが解除位置に移動された状態で、一方のコネクタ11と嵌合した他方のコネクタを第2凹部42から取り出す。以上により、一対のコネクタの嵌合作業が完了する。
なお、上記動作において、第1嵌合規制部70又は第2嵌合規制部80のいずれか一方でも嵌合規制状態にあると、一方のコネクタ11と他方のコネクタとを嵌合させることができない。
すなわち、一方のコネクタ11が第1凹部22に対して底部側まで挿入されない場合には、突出ピン72が退避位置まで移動されず、規制バー74は付勢部76の付勢力によって規制姿勢に維持される(図20参照)。また、一方のコネクタ11が第1凹部22に対して逆向き(正常でない向き)で挿入される場合には、付属検知部90がオンされるものの、付属部14が付属収容部25の底部から離れた位置に配設される(図22参照)。このため、突出ピン72は一方のコネクタ11の付属部14によって押動されず、規制バー74は付勢部76の付勢力によって規制姿勢に維持される。この状態で第1ホルダー20が第2ホルダー40に対して近接移動されても、第2嵌合規制部80の規制出退部82の位置に関わらず、第1ホルダー20を近接位置まで移動させることはできない。すなわち、規制バー74の先端部が第2ホルダー40のうちの貫通孔部49aの周囲の壁面に対して当接して、規制出退部82の規制解除穴部84に挿通されない(図20参照)。
また、他方のコネクタが第2凹部42に対して底部側まで挿入されない場合には、規制出退部82が退避位置まで移動されず、規制解除穴部84は貫通孔部49aに対して第1ホルダー20の移動方向に全体的に重なることがない。例えば、9層コネクタ15aの第2凹部42に対する挿入において、張出部18が中間規制部52bを越えない位置では、規制出退部82は9層コネクタ15aによって退避位置まで押動されない(図21参照)。また、10層コネクタ15bの第2凹部42に対する挿入において、張出部18が最終規制部52aを越えない位置では、規制出退部82は10層コネクタ15bによって退避位置まで押動されない。この状態で第1ホルダー20が第2ホルダー40に対して近接移動されても、第1嵌合規制部70の規制バー74の姿勢に関わらず、第1ホルダー20を近接位置まで移動させることはできない。すなわち、貫通孔部49aに挿入される解除姿勢の規制バー74の先端部が規制出退部82の規制解除穴部84の周囲の壁面に対して当接して、規制出退部82の規制解除穴部84に挿通されない(図19参照)。
<効果>
上記実施形態に係るコネクタ嵌合装置10によると、一方のコネクタ11を第1凹部22に支持した第1ホルダー20と他方のコネクタを第2凹部42に支持した第2ホルダー40とを移動機構部60によって相対近接移動させることにより、一方のコネクタ11と他方のコネクタとを嵌合させることができる。また、第1ホルダー20の第1嵌合規制部70は、解除姿勢と規制姿勢との間で姿勢変更可能に支持された規制バー74を有し、第1凹部22に対して一方のコネクタ11が底部側まで挿入される力を受けて規制バー74が規制姿勢から解除姿勢に姿勢変更される。一方、第2ホルダー20の第2嵌合規制部80は、第2凹部42の底部から突出する進出位置と進出位置より底部側に押し込まれた退避位置との間で移動可能で接離方向に開口する規制解除穴部84が形成された板状の規制出退部82を有し、第2凹部42に対して他方のコネクタが底部側まで挿入される力を受けて規制出退部82が進出位置から退避位置に移動される。そして、規制出退部82は、第1ホルダー20と第2ホルダー40との近接移動において、解除姿勢の規制バー74を、進出位置で規制解除穴部84に挿入不能で且つ退避位置で規制解除穴部84に挿入可能に構成されている。このように、一方のコネクタ11及び他方のコネクタの両方がそれぞれ第1凹部22又は第2凹部42に底部側まで挿入されていないと嵌合規制されるため、一対のコネクタをより確実に所定の位置で支持した状態で嵌合させることができる。これにより、嵌合位置ずれによるコネクタの破損も抑制することができる。
また、コネクタ規制機構部50との関係から言うと、他方のコネクタとして9層コネクタ15aを第2凹部42に挿入する際に、10層コネクタ15bと勘違いして張出部18が最終規制部52aを越えた位置で挿入を停止してしまった場合にも、一方のコネクタ11と9層コネクタ15aとの嵌合を規制することができる。このため、積層数が異なるコネクタを扱う場合でも、より確実に第2凹部42に対して底部側まで挿入した状態でコネクタの嵌合を行うことができる。
また、第1嵌合規制部70が、第1凹部22の底部から突出する進出位置と進出位置より底部側に押し込まれた退避位置との間で移動可能な棒状の突出ピン72が、退避位置で規制バー74を押動して解除姿勢に姿勢変更をさせる。このため、一方のコネクタ11のうちの規制バー74を直接接触させることが困難な部分でも第1凹部22の底部側まで挿入されたことを検知することができる。
また、一方のコネクタ11のうちの第1凹部22に挿入する方向における中央より一端側に寄った位置に設けられた付属部14が一方のコネクタ11を第1凹部22に挿入する方向において底部側に寄る向きで一方のコネクタ11を第1凹部22に挿入した状態では、規制バー74が規制姿勢から解除姿勢に姿勢変更される。一方、それとは反対向きで一方のコネクタ11を第1凹部に挿入した状態では、規制バー74が規制姿勢から解除姿勢に姿勢変更されない。このため、一方のコネクタ11をより確実に正常な姿勢で支持することができる。
また、突出ピン72が、付属部14が第1凹部22の底部側に寄る向きで第1凹部22に挿入される一方のコネクタ11の付属部14によって進出位置から退避位置に押動可能であると共に、付属部14が第1凹部22の挿入用開口側に寄る向きで第1凹部22に挿入される一方のコネクタ11の付属部14によって退避位置まで押動されないように配設されている。このため、より簡単な構成で、一方のコネクタ11をより確実に正常な姿勢で支持することができる。
また、第1ホルダー20と第2ホルダー40との近接移動において解除姿勢の規制バー74を挿入可能で且つ規制姿勢の規制バー74を挿入不能な貫通孔部49aが形成された規制壁部49が、規制出退部82の第1ホルダー20側に隣接して設けられている。このため、一方のコネクタ11が第1凹部22に対して底側まで挿入されていない状態で第1ホルダー20と第2ホルダー40とが近接移動されても、規制バー74が規制壁部49のうちの貫通孔部49aの周囲に当接して第1ホルダー20と第2ホルダー40とが近接位置に移動されない。これにより、各コネクタを、より確実に所定の位置で支持してから嵌合させることができる。
<変形例>
これまで、他方のコネクタが積層コネクタである例で説明してきたが、これに限られるものではない。また、サイズ違いの他方のコネクタが用意されている場合にも限られない。
また、移動機構部60により第1ホルダー20を第2ホルダー40に対して接離移動させる構成について説明してきたが、これに限られるものではない。すなわち、第1ホルダー20が基部62に対して固定され、第2ホルダー40が第1ホルダー20に対して接離移動可能に配設され、移動機構部により移動されていてもよい。さらに、第1ホルダー20及び第2ホルダー40の両方が相互に接離移動可能に配設され、移動機構部によりそれぞれ移動されていてもよい。
また、規制姿勢の規制バー74が先端部を規制出退部82の移動方向退避位置側に傾ける姿勢である例について説明してきたが、規制出退部82の移動方向進出位置側に傾ける姿勢に設定されていてもよい。すなわち、規制バー74の回転軸より先端側を付勢部76によって規制出退部82の移動方向進出位置側に付勢し、退避位置に移動される突出ピン72によって回転軸より先端側が規制出退部82の移動方向退避位置側に押動されるように設けられているとよい。
また、第1嵌合規制部70が、第1凹部22に挿入される一方のコネクタ11の付属部14に当接可能な突出ピン72を含む例で説明してきたが、これに限られるものではない。すなわち、第1嵌合規制部は、規制バーが第1凹部22に挿入される一方のコネクタ11のコネクタコネクタ本体部12に直接当接可能に設けられて構成されていてもよい。
また、第1嵌合規制部70に規制バー74が設けられ、第2嵌合規制部80に規制出退部82が設けられている例で説明してきたが、これに限られるものではない。例えば、第1嵌合規制部に規制解除穴部が形成された出退機構が設けられ、第2嵌合規制部に回転軸周りに姿勢変更可能な規制バー74が設けられ、それぞれ一方のコネクタ11又は他方のコネクタの正常な支持状態を確保してもよい。
また、第2ホルダー40に規制壁部49が設けられている例で説明してきたが、規制壁部49は省略されてもよい。すなわち、規制バー74が規制姿勢のまま第1ホルダー20が近接移動されると、規制出退部82のうちの規制解除穴部84の周りの壁部に当接するように構成されていてもよい。
以上のように、この発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。また、上述した各種変形例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。