JP5888261B2 - コネクタ検査装置 - Google Patents

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Description

この発明は、コネクタを検査する装置である。
特許文献1には、ワイヤーハーネスの組立工程において、コネクタに端子を挿入する際に端子が完全に挿入されているかどうかを検査可能な端子半挿入検出機能付きコネクタ組立用装置が開示されている。この端子半挿入検出機能付きコネクタ組立用装置は、コネクタのうちの端子抜けを防止する係止片が、端子の半挿入によって外方へ浮いていることを検知可能に構成されている。
特開2010−165516号公報
ところで、端子が挿入されたコネクタは、ワイヤーハーネスの組立工程の後にも、端子が正常に挿入されているかどうかを再検査することがある。この再検査では、端子が正常に挿入されているか否かを表示するために、端子が正常に挿入されている場合にコネクタに合格印を付すことがある。
そこで、本発明は、コネクタの検査及びコネクタに対する合格印の押印を同時に行うことを目的とする。
第1の態様は、一側面に端子固定用のリテーナが設けられたコネクタについて、一側方への前記リテーナの浮きを検知するコネクタ検査装置であって、前記コネクタを嵌合方向に沿って挿入支持可能なコネクタ支持凹部が形成されたホルダーと、前記ホルダーに対して、前記コネクタのうちの前記リテーナと反対側の他側面に合格印を押印する押印位置と退避位置との間で移動可能に支持された押印部と、前記ホルダーを前記コネクタ支持凹部に支持された前記コネクタの嵌合方向に沿ってセット位置と検査位置との間で移動可能に支持すると共に、前記ホルダーの前記セット位置から前記検査位置への移動に伴って前記押印部を前記押印位置に案内する押印案内部が形成された基部と、前記コネクタ支持凹部に支持された前記コネクタの一側方に浮いた前記リテーナに対して前記ホルダーの前記検査位置側から接触可能なリテーナ受部が形成され、前記ホルダーの移動方向に沿って解除位置と前記解除位置より前記ホルダーの前記検査位置側の規制位置との間で前記基部に移動可能に支持されたスライダと、前記スライダに支持され、前記ホルダーが前記検査位置にあり且つ前記スライダが前記規制位置にある状態で、前記押印部の前記押印位置への移動を規制する押印規制部とを備える。
第2の態様は、第1の態様に係るコネクタ検査装置であって、前記押印案内部は、前記ホルダーの移動方向の前記検知位置側に向けて徐々に前記押印部の移動方向の前記押印位置側に向かうカム面状に形成され、前記押印部は、前記ホルダーの前記検査位置への移動に伴ってカム面状の前記押印案内部に摺接しつつ前記押印位置側に移動する。
第3の態様は、第2の態様に係るコネクタ検査装置であって、前記押印部には、前記ホルダーの前記検査位置への移動に伴ってカム面状の前記押印案内部に摺接すると共に移動方向に沿って非押込位置から押込位置に押し込み可能な摺接部と、前記摺接部を前記退避位置側に付勢する摺接用付勢部とが設けられている。
第4の態様は、第1から第3のいずれか一態様に係るコネクタ検査装置であって、前記スライダは、位置決め付勢部により前記コネクタ支持凹部側に向けて付勢され、前記押印規制部は、前記スライダに対して前記押印部の移動方向に遊びを持って支持され、前記基部には、前記押印規制部を前記スライダの移動方向に沿って案内するレール部が形成されている。
第5の態様は、第1から第4のいずれか一態様に係るコネクタ検査装置であって、前記スライダには、前記解除位置側且つ前記コネクタ支持凹部側の端部のうちの前記リテーナ受部の側方に、前記規制位置側に向けて徐々に前記コネクタ支持凹部側に傾斜する傾斜部が形成されている。
第6の態様は、第1から第5のいずれか一態様に係るコネクタ検査装置であって、前記ホルダーには、前記コネクタ支持凹部に支持される前記コネクタに対して前記セット位置側から係止可能なロックが設けられている。
第7の態様は、第6の態様に係るコネクタ検査装置であって、前記ロックは、前記コネクタ支持凹部に支持される前記コネクタに係止する抜止位置と、前記コネクタ支持凹部の前記セット位置側の領域から退避した規制位置との間で移動可能に設けられ、前記規制位置で前記基部に対して前記セット位置側から係止するホルダー移動規制部が形成されている。
第1の態様に係るコネクタ検査装置によると、コネクタ支持凹部にコネクタが支持された状態でホルダーを検査位置側に移動させると、押印案内部により押印部が押印位置側に移動される。コネクタ支持凹部に支持されたコネクタのリテーナが浮いていない場合、スライダは解除位置のままで押印部が押印位置に移動され、コネクタに合格印が押印される。一方、コネクタ支持凹部に支持されたコネクタのリテーナが浮いている場合、スライダはリテーナ受部によって浮いたリテーナを受けてホルダーと一緒に移動し、規制位置に移動される。この際、押印部は、規制位置に移動されたスライダに支持されている押印規制部により押印位置への移動を規制される。これにより、コネクタに合格印が押印されない。このようにして、コネクタの検査及びコネクタに対する合格印の押印を同時に行うことができる。
第2の態様に係るコネクタ検査装置によると、押印部が、ホルダーの検査位置への移動に伴ってカム面状の押印案内部に摺接しつつ押印位置側に移動する。このため、より簡単な構成で押印部の押印動作を実現できる。
第3の態様に係るコネクタ検査装置によると、ホルダーの検査位置への移動に伴う押印部の押印位置側への移動の際に、摺接部が摺接用付勢部の付勢力に逆らって押込位置側に移動することにより、押印部によるコネクタに対する押印時のコネクタと押印部との密着を確保しつつ負荷を軽減できる。また、押印部の押印位置への移動が押印規制部によって規制された時も、摺接部の押込位置への移動により、押印案内部による案内距離のうち移動規制された分の距離を吸収することができる。
第4の態様に係るコネクタ検査装置によると、スライダが、位置決め付勢部によりコネクタ支持凹部側に向けて付勢されているため、コネクタの一側面に沿って配設される。また、押印規制部が、スライダに対して押印部の移動方向に遊びを持って支持され、レール部によってスライダの移動方向に沿って案内されているため、押印規制部が押印部の移動を規制することによって押圧されても、押印規制部にかかる押印部の移動方向の力はレール部によって受け止められる。これにより、リテーナの浮きが小さくても、より確実にリテーナ受部で浮いたリテーナを受けて検知することができる。
第5の態様に係るコネクタ検査装置によると、コネクタのコネクタ支持凹部に対する挿入作業をよりスムーズにすることができる。
第6の態様に係るコネクタ検査装置によると、コネクタ支持凹部に挿入されたコネクタが該コネクタ支持凹部から抜け出すのを規制することができる。
第7の態様に係るコネクタ検査装置によると、コネクタがコネクタ支持凹部に対して中途半端に挿入された状態では、ロックが該コネクタに係止できずに規制位置に維持され、ロックのホルダー移動規制部が基部に係止してホルダーの検査位置側への移動を規制する。これにより、コネクタがコネクタ支持凹部に対して奥側まで挿入されていない状態におけるコネクタの検査を規制することができる。
コネクタの斜視図である。 リテーナが浮いた状態のコネクタの斜視図である。 コネクタ検査装置の分解斜視図である。 コネクタ検査装置の断面図である。 コネクタをセットする様子を示す図である。 コネクタをセットした状態を示す図である。 ホルダーを押し下げる様子を示す図である。 ホルダーを検査位置に押し下げた状態を示す図である。 リテーナが浮いたコネクタをセットした状態を示す図である。 ホルダーを押し下げる様子を示す図である。 ホルダーを検査位置に押し下げた状態を示す図である。 コネクタをセットする際のスライダの様子を示す拡大図である。 ホルダーを押し下げる際のスライダの様子を示す拡大図である。 押印部と押印規制部との関係を示す斜視図である。 押印規制突部と押印規制部との関係を示す断面図である。 ホルダーを押し下げた状態を示す図である。 リテーナが浮いたコネクタをセットしたホルダーを押し下げた状態を示す図である。
以下、実施形態に係るコネクタ検査装置10について説明する(図3、図6参照)。コネクタ検査装置10は、コネクタ12のリテーナ16の浮きを検知して各キャビティに端子が正常に挿入されているかどうかを検査する装置である。
<コネクタ>
説明の便宜上、まず、検査対象となるコネクタ12について説明しておく(図1、図2参照)。ここでは、コネクタ12が雌コネクタである例で説明する。もっとも、検査対象となるコネクタは、雄コネクタであってもよい。コネクタ12について、相手コネクタ等の接続対象に対して嵌合される方向を嵌合方向という。
また、ここでは、コネクタ12は、貫通方向を平行にして並列状に一列に形成された複数のキャビティを有する扁平な形状に形成され、複数のキャビティにそれぞれ雌端子が挿入配設されている。なお、キャビティ及び端子については図示省略している。
コネクタ12は、本体部14と、端子固定用のリテーナ16と、張出部18とを有している。本体部14は、略直方体形状に形成されている。この本体部14の一側部には、複数のキャビティを外部に連通させるリテーナ16嵌込用の孔部が形成されている。
リテーナ16は、複数のキャビティにそれぞれ挿入された端子に対して、コネクタ12の嵌合方向に係止して抜止めする部分である。このリテーナ16は、本体部14の一側部に設けられ、ここでは、本体部14の一側部に形成された孔部に嵌合されている。より具体的には、リテーナ16は、本体部14に形成された孔部を通じて、キャビティに挿入される端子の一部分に対して挿入方向後方から係止する。そして、リテーナ16は、複数のキャビティにそれぞれ端子が奥側まで挿入された状態で、本体部14に形成された孔部に対して完全に嵌合し、該孔部内に全体的に収容される。この状態で、リテーナ16は、外面が本体部14の一側面と略面一となる。一方、リテーナ16は、複数のキャビティのうちのいずれか1つでも端子が半挿入である状態或いはキャビティに対する端子の挿入姿勢が間違っている状態で、一部分が本体部14の一側面から外方に突出して浮いた形態で配設される(図2参照)。もっとも、リテーナ16は、複数のキャビティにそれぞれ端子が奥側まで挿入された状態であっても、本体部14に対する嵌合ミスにより、本体部14の一側面から浮いた形態で配設されることがある。
また、張出部18は、本体部14のうちリテーナ16が設けられる一側部の嵌合方向後端縁部から側方に張り出す形状に形成されている。この張出部18は、コネクタ12の嵌合方向に直交する方向に延在している。
<コネクタ検査装置>
コネクタ検査装置10は、本体部14の一側方に突出したリテーナ16を検知することにより端子の挿入状態の正否を検査できる。このコネクタ検査装置10は、基部20と、スライダ30と、ホルダー50と、押印部60と、ロック80とを備えている(図3、図4参照)。概略的には、コネクタ検査装置10は、ホルダー50にコネクタ12を支持した状態で、基部20に対して、ホルダー50をコネクタ12の嵌合方向に沿ってセット位置から検査位置に押し込んで検査を行う(図6、図8参照)。そして、コネクタ12に全ての端子が正常に挿入されてリテーナ16が嵌合されている状態では、ホルダー50の押し込み動作に伴って押印部60が移動してコネクタ12に押印する(図8参照)。一方、コネクタ12のいずれかの端子が正常に挿入されていない場合等のリテーナ16が浮いている状態では、ホルダー50の押し込み動作が行われても押印部60による押印が行われない(図11参照)。すなわち、コネクタ12に対する押印の有無でコネクタ12に対する端子挿入が正常に行われているか(リテーナ16が嵌合されているか)どうかを検査することができる。
<ホルダー>
ホルダー50は、略直方体形状の外部形状に形成されている。このホルダー50には、コネクタ12を支持可能なコネクタ支持凹部52と、押印部60を支持する押印収容凹部54とが形成されている(図3、図4参照)。なお、押印収容凹部54については、押印部60に関する説明中に詳述する。
コネクタ支持凹部52は、コネクタ本体部14を内側に収容支持可能に形成されている。ここでは、コネクタ支持凹部52は、略直方体形状のホルダー50の一端縁部で隣り合う二面で開口する凹状に形成されている。そして、コネクタ支持凹部52は、コネクタ12を、リテーナ16及び張出部18が設けられた一側面と嵌合方向後端部を各開口から露出させる姿勢で収容支持する。より具体的には、コネクタ支持凹部52は、コネクタ本体部14と同じかそれより僅かに大きい内部空間を有する大きさに設定されている。さらに、コネクタ支持凹部52は、コネクタ12を、浮いたリテーナ16及び張出部18を一方の開口から外方に突出させる形態で支持可能に形成されている。
さらに、後述するスライダ30のリテーナ受部32によって浮いたリテーナ16をより確実に検知する観点から言うと、コネクタ支持凹部52は、支持されるコネクタ12のリテーナ16の浮き方向において、コネクタ本体部14より僅かに小さい寸法に設定されているとよい。
<基部>
基部20は、ホルダー50をコネクタ支持凹部52に支持されたコネクタ12の嵌合方向に沿ってセット位置と検査位置との間で移動可能に支持する(図6、図8参照)。この基部20は、内側にホルダー50及びスライダ30を配設可能な凹部を有している。より具体的には、基部20には、一面で開口するホルダー収容凹部22と、ホルダー収容凹部22の一側部で開口するスライダ収容凹部26とが形成されている。なお、スライダ収容凹部26については、スライダ30に関する説明中に詳述する。
ホルダー収容凹部22は、ホルダー50をセット位置と検査位置との間で移動可能に収容可能な凹状に形成されている。ここでは、ホルダー収容凹部22は、ホルダー50の略直方体形状の外部形状に対応して略直方体形状の内部空間を有する。そして、ホルダー50は、ホルダー収容凹部22に対して、コネクタ支持凹部52のうちのコネクタ12の嵌合方向後端部が配設される側の開口がホルダー収容凹部22の開口から露出される姿勢で収容される。ここで、セット位置とは、ホルダー収容凹部22の開口縁部とコネクタ支持凹部52の開口縁部とが略面一になる位置であり、コネクタ支持凹部52にコネクタ12をセットする位置である(図6参照)。検査位置とは、ホルダー収容凹部22内にホルダー50が押し込まれた位置であり、コネクタ支持凹部52に支持されたコネクタ12に対する押印動作或いは押印規制がなされる位置である(図8参照)。
ホルダー50は、ホルダー付勢部58により、セット位置側に付勢されている。ここでは、ホルダー付勢部58としてコイルバネを採用しているが、ホルダー付勢部はホルダー50をセット位置側に付勢可能な付勢部材であればよい。
また、ホルダー50には、側面の一部から移動方向に直交する向きに突出し、セット位置側を向く係止面を有する凸部が形成されている(図15参照)。一方、基部20には、内壁面一部にホルダー50の移動方向に直交する向きに凹み、ホルダー50の検査位置側を向く係止面を有する凹部が形成されている。上記ホルダー50の凸部と基部20の凹部とは、ホルダー50がセット位置にある状態で凸部と凹部との係止面同士が当接して、ホルダー50が基部20のホルダー収容凹部22から抜け出さないように形成されている。そして、ホルダー50は、検査位置側に向けてホルダー付勢部58の付勢力より大きい外力が作用しない状態ではセット位置に維持される。
また、基部20には、ホルダー50のコネクタ支持凹部52に支持されるコネクタ12の浮いたリテーナ16及び張出部18を通過及び配設可能なリテーナ通過溝部24が形成されている。すなわち、コネクタ支持凹部52は、コネクタ12を、浮いたリテーナ16及び張出部18を外方に突出させる形態で支持する。このため、該リテーナ16及び張出部18を通過及び配設可能な内部空間を有するリテーナ通過溝部24を設けている。ここでは、リテーナ通過溝部24は、ホルダー収容凹部22のへ基部で開口し、ホルダー50の移動方向に沿った溝状に形成されている。このリテーナ通過溝部24は、リテーナ16及び張出部18のうちの幅広な一方の幅寸法と同じかそれより大きい(ここでは僅かに大きい)幅寸法に設定されている。
また、基部20には、ホルダー50の検査位置への移動に伴って後述する押印部60を押印位置に案内する押印案内部23と、押印部60(押印本体部62)の移動方向後端部を収容可能な押印移動用凹部28とが形成されている。押印案内部23及び押印移動用凹部28については、押印部60に関する説明中に詳述する。
<押印部>
押印部60は、コネクタ12のリテーナ16と反対側の他側面に合格印を押印する部分である。この押印部60は、押印本体部62と、押印移動部64と、摺接部66と、摺接用付勢部67とを有している(図14参照)。
押印本体部62は、コネクタ12に合格印を押印する部分であり、ここではインク付のスタンプである。この押印本体部62は、略円柱形状に形成されている。もっとも、押印本体部62は、コネクタ12に合格印を付すことが可能なものであればよく、例えば、焼印等により合格印を付すものであってもよい。押印本体部62は、押印移動部64に支持されている。押印移動部64は、押印本体部62の先端部を突出させる形態で押印本体部62を支持する。この押印移動部64は、ホルダー50の押印収容凹部54内に移動可能に支持されている。
押印収容凹部54は、押印部60を、コネクタ12のリテーナ16と反対側の他側部に合格印を押印する押印位置(図8参照)とコネクタ12の他側部から離間した退避位置(図6参照)との間で移動可能に支持するように形成されている。押印部60の押印位置と退避位置とを結ぶ移動方向は、コネクタ支持凹部52内に支持されるコネクタ12の押印面(他側面)に直交する方向に設定されている(図7参照)。この押印収容凹部54は、コネクタ支持凹部52の内壁部で開口すると共に、ホルダー50のコネクタ支持凹部52とは反対側の側面で開口する貫通孔状に形成されている。より具体的には、押印収容凹部54は、押印部60の移動方向に直交する方向において、押印移動部64より僅かに大きいサイズに設定されている。すなわち、押印収容凹部54は、押印部60が移動方向に直交する方向になるべくがたつかないように設定されている(図3参照)。また、押印収容凹部54のコネクタ支持凹部52側部分は、押印移動部64から突出する押印本体部62の先端部を挿通可能な円筒状空間を有する孔状に形成されている。
また、ここでは、押印部60(押印本体部62)の移動方向後端部は、基部20に形成された押印移動用凹部28内に収容されている(図4参照)。押印移動用凹部28は、ホルダー収容凹部22の内壁部で押印部60の移動方向押印位置側に向けて開口している。より具体的には、押印移動用凹部28は、押印部60が退避位置にある状態で、押印移動部64の移動方向後端部から突出する押印本体部62の後端部を収容可能な大きさに形成されている。
また、押印部60は、押印付勢部65によって退避位置側に付勢されている。すなわち、押印部60は、コネクタ支持凹部52側に向けて押動されない状態では、押印付勢部65の付勢力によって退避位置に維持される(図4参照)。ここでは、押印付勢部65としてコイルバネを採用しているが、押印付勢部は押印部60を退避位置側に付勢可能な付勢部材であればよい。
この押印部60(押印移動部64)は、押印案内部23により、退避位置から押印位置に案内される。押印案内部23は、ホルダー50の検査位置への移動に伴って押印部60を押印位置に案内するように形成されている。この押印案内部23は、ホルダー50の移動方向の検知位置側(ホルダー収容凹部22の奥側)に向けて徐々に押印部60の移動方向の押印位置側に向かうカム面状に形成されている(図4参照)。より具体的には、押印案内部23は、ホルダー収容凹部22のうちのスライダ収容凹部26とは反対側の内壁部から内側に張り出す形状に形成されている。ここでは、押印案内部23は、ホルダー収容凹部22のうち、リテーナ通過溝部24の幅方向における中間部分から張り出している。また、押印案内部23は、ホルダー50がセット位置にある状態において、押印部60より検査位置側の位置に形成されている。そして、押印部60は、ホルダー50の検査位置への移動に伴って押印案内部23に摺接しつつ押印位置側に移動する。
また、押印部60には、摺接部66と、摺接用付勢部67とが設けられている。摺接部66及び摺接用付勢部67は、ホルダー50の検査位置側への移動に伴って退避位置から押印位置側に押動される押印部60が押印規制部38によって押印位置側への移動を規制された際に押印位置側への押動力を吸収する部分である(図11参照)。
この摺接部66は、ホルダー50の検査位置への移動に伴って押印案内部23に摺接すると共に、押印部60の移動方向に沿って非押込位置から押込位置に押し込み可能に設けられている。より具体的には、摺接部66は、押印移動部64に形成された凹部内に収容されている。押印移動部64の凹部は、コネクタ支持凹部52側とは反対側の端縁部で隣り合う2面で開口する略直方体形状の内部空間を有する形状に形成されている。摺接部66は、非押込位置で、前記凹部が開口する2面に略面一となるように形成されている(図4、図14参照)。
摺接部66には、押印部60の移動方向に長く、リテーナ通過溝部24の幅方向に貫通する長孔が形成されている。一方、押印移動部64の凹部には、リテーナ通過溝部24の幅方向に沿って両側壁間に軸部が架け渡されている。そして、摺接部66は、長孔に軸部が挿通される形態で押印移動部64の凹部内に配設され、軸部が長孔内を相対移動する範囲内で押印部60の移動方向に沿って移動可能となっている。この摺接部66の移動範囲は、長孔の長手寸法によって設定されている。
摺接部66は、摺接用付勢部67によって非押込位置側に向けて付勢されている。この摺接用付勢部67の付勢力は、押印付勢部65の付勢力より強く設定されている。すなわち、通常は、摺接部66が押込位置側に押されると、押印付勢部65が圧縮されて押印部60全体が押印位置側に移動される(図7参照)。押印部60が押印位置側への移動を規制された状態で摺接部66が押込位置側に押されると、摺接用付勢部67が圧縮されて摺接部66が押込位置側に移動される(図11参照)。ここでは、摺接用付勢部67としてコイルバネを採用しているが、摺接用付勢部は摺接部を非押込位置側に付勢可能な付勢部材であればよい。
そして、ホルダー50がセット位置から検査位置側に移動されると、摺接部66が押印案内部23に摺接し、摺接部66が摺接用付勢部67の付勢力により非押込位置に維持されたまま押印部60が押印位置に移動される(図7、図8参照)。押印部60が押印位置側への移動を規制されると、摺接用付勢部67が圧縮されて摺接部66が押込位置側に移動する(図11参照)。
また、押印移動部64には、押印規制突部68が形成されている(図14参照)。押印規制突部68は、後述する押印規制部38に当接する部分である。この押印規制突部68は、押印移動部64の押印位置側端部から押印位置側に向けて延出する形状に形成されている。ここでは、押印規制突部68は、押印移動部64のうち、リテーナ通過溝部24の幅方向における両端部から一対延出している。また、一対の押印規制突部68は、コネクタ支持凹部52の両側方を通過可能に設けられている。
より具体的には、一対の押印規制突部68は、押印部60の移動方向において、後述するスライダ収容凹部26の一対のレール部27に対してそれぞれ対向する位置に形成されている。また、一対の押印規制突部68は、ホルダー50がセット位置にある状態で、スライダ30が解除位置にある状態における押印規制部38に対して押印部60の移動方向に対向する位置に形成されている(図15参照)。また、一対の押印規制突部68は、押印部60が退避位置にある状態で、先端部がコネクタ支持凹部52の側方に位置する延出寸法に設定されている。そして、一対の押印規制突部68は、押印部60の押印位置への移動により、先端部が一対のレール部27内に挿入される(押印位置、図16参照)か、或いは、一対のレール部27内に配設されている後述する押印規制部38に当接して一対のレール部27内に挿入されない(図17参照)。そして、押印部60は、一対の押印規制突部68が一対のレール部27内に挿入された押印位置で、コネクタ支持凹部52内に支持されているコネクタ12に押印する。また、押印部60は、一対の押印規制突部68が押印規制部38に当接した位置で、コネクタ支持凹部52内に支持されているコネクタ12から離間して該コネクタ12に押印できない。
<スライダ>
スライダ30は、コネクタ支持凹部52に支持されたコネクタ12のリテーナ16の浮きを検知する部分である。また、スライダ30は、後述する押印規制部38を支持し、リテーナ16の浮きを検知すると、押印規制部38が押印規制する位置に移動するように設けられている。このスライダ30は、スライダ収容凹部26内に収容され、解除位置と規制位置との間で基部20に移動可能に支持されている(図14参照)。解除位置とは、ホルダー50の移動方向セット位置側の位置(図6参照)であり、押印部60の押印を許容する位置である。また、規制位置とは、解除位置よりホルダー50の移動方向検査位置側の位置であり、押印部60の押印を規制する位置(図11参照)である。
スライダ収容凹部26は、リテーナ通過溝部24の検査位置側で、ホルダー収容凹部22内に開口すると共にリテーナ通過溝部24と内部空間を連通させるように形成されている。より具体的には、スライダ収容凹部26は、スライダ30を、ホルダー50の移動方向と同方向に沿って解除位置と規制位置との間で移動可能に収容する。また、スライダ収容凹部26には、後述する押印規制部38をスライダ30の移動方向に沿って案内するレール部27が形成されている(図15参照)。このレール部27については、押印規制部38に関する説明中に詳述する。
スライダ30は、略直方体形状の外部形状に形成されている。このスライダ30には、コネクタ支持凹部52に支持されたコネクタ12の側方に突出したリテーナ16に対して、ホルダー50の検査位置側から接触可能なリテーナ受部32が形成されている(図9参照)。より具体的には、リテーナ受部32は、スライダ30のうちホルダー50のセット位置側で且つホルダー収容凹部22側の端部に形成され、ホルダー50の移動方向のセット位置側に向く面状に形成されている。ここでは、リテーナ受部32は、ホルダー50(スライダ30)の移動方向に直交するように形成されている。そして、リテーナ受部32は、ホルダー50のコネクタ支持凹部52内に支持されたコネクタ12のうちの浮いたリテーナ16に対して、ホルダー50の移動方向に対向する。ここでは、リテーナ受部32は、スライダ30が解除位置にある状態で、コネクタ支持凹部52内に支持されたコネクタ12の浮いたリテーナ16に接触する位置に形成されている。
また、スライダ30には、解除位置側且つコネクタ支持凹部52側の端部のうちのリテーナ受部32の側方に、規制位置側に向けて徐々にコネクタ支持凹部52側に傾斜する傾斜部34が形成されている(図12参照)。ここでは、傾斜部34は、リテーナ受部32の両側に形成されている(図14参照)。そして、傾斜部34は、コネクタ支持凹部52にコネクタ12が挿入される際に、コネクタ12の嵌合方向先端部がスライダ30に引っ掛かってスライダ30が誤って規制位置に移動されることを抑制できる。
また、スライダ30は、スライダ付勢部36により解除位置側に付勢されている(図12参照)。すなわち、スライダ30は、規制位置側に向けてスライダ付勢部36の付勢力より大きい外力が作用しない状態では解除位置に維持される。また、スライダ30は、位置決め付勢部37により、コネクタ支持凹部52側(ホルダー収容凹部22側)に向けて付勢されている。すなわち、スライダ30は、ホルダー収容凹部22内に収容されているホルダー50のうちのスライダ収容凹部26側の壁部に押し付けられている。これにより、スライダ30は、コネクタ支持凹部52内に支持されるコネクタ12のリテーナ16側の一側面に押し当てられる(図13参照)。なお、スライダ30は、コネクタ12の一側面に接触しない場合もあい得るが、位置決め付勢部37が設けられない場合と比べてコネクタ12に対する隙間をより狭く維持できる。さらに、上述したように、コネクタ支持凹部52がコネクタ12のリテーナ16の浮き方向においてコネクタ本体部14より僅かに小さい寸法に設定されていると、位置決め付勢部37によって付勢されるスライダ30がコネクタ12の一側面に対してより確実に押し付けられる。これにより、リテーナ受部32は、リテーナ16のより小さい浮きでも検知することができる。
ここでは、スライダ付勢部36及び位置決め付勢部37としてコイルバネを採用しているが、これに限られるものではない。すなわち、スライダ付勢部は、スライダ30を解除位置に付勢可能な付勢部材であればよい。また、位置決め付勢部は、スライダ30をコネクタ支持凹部52側に付勢可能な付勢部材であればよい。
<押印規制部>
押印規制部38は、スライダ30に支持され、スライダ30が規制位置にある状態で、押印部60の押印位置への移動を規制する部分である。この押印規制部38は、円柱棒状に形成され、スライダ収容凹部26のレール部27及びスライダ30の凹部33に支持されている(図14参照)。
レール部27は、リテーナ通過溝部24の幅方向において、スライダ収容凹部26の両側で互いに向かい合って開口し、スライダ30の移動方向に沿って延在する溝状に形成されている。ここでは、一対のレール部27は、ホルダー収容凹部22内にも開口し、ホルダー収容凹部22内に配設されるホルダー50の一部分によって該開口を塞がれて溝状を成している(図15参照)。そして、一対のレール部27は、押印規制部38を、両端部を内側に配設して、自身の延在方向に沿って移動可能に支持する。より具体的には、一対のレール部27の対向する内壁面同士は、押印規制部38の長手寸法より大きい(ここでは僅かに大きい)間隔をあける位置に形成されている。また、一対のレール部27は、押印規制部38の直径より大きい(ここでは僅かに大きい)幅寸法に設定されている。
また、凹部33は、押印規制部38の中間部分を支持する。この凹部33は、ホルダー収容凹部22側に開口すると共に、リテーナ通過溝部24の幅方向に沿って延在する溝状に形成されている。より具体的には、凹部33は、スライダ30の移動方向において、内側に配設される押印規制部38がなるべくがたつかない、すなわち、押印規制部38の直径と同じかそれより僅かに大きい寸法に設定されている。好ましくは、凹部33は、押印規制部38を、内側で回転可能に支持するように形成されているとよい。また、凹部33は、押印規制部38の直径より大きい深さ寸法に設定されている。すなわち、押印規制部38は、スライダ30に対して押印部60の移動方向に遊びを持って設けられている。これにより、押印規制部38は、スライダ30の移動方向ではスライダ30と共に移動するように設けられ、押印部60の移動方向ではスライダ30の動作と独立して一対のレール部27の各側壁部によって移動規制されている。
そして、スライダ30が解除位置にある状態で押印部60が押印位置側に移動されると、一対の押印規制突部68は、押印規制部38よりスライダ30の規制位置側で一対のレール部27内に挿入される(図16参照)。すなわち、押印部60が、押印位置に移動される。一方、スライダ30が規制位置にある状態で押印部60が押印位置側に移動されると、一対の押印規制突部68は、押印部60の移動方向において押印規制部38と当接する(図17参照)。すなわち、押印部60は、押印位置への移動を規制される。
<ロック>
ロック80は、コネクタ支持凹部52に支持されるコネクタ12に対してホルダー50のセット位置側から係止可能に設けられている。より具体的には、ロック80は、ホルダー50に対して、押印部60の移動方向に沿って係止位置(図6参照)と規制位置(図5参照)との間で移動可能に配設されている。ここでは、ロック80は、ホルダー50のセット位置側端部のうちのコネクタ支持凹部52とは反対側の部位に形成された凹部に嵌合されている(図3参照)。このロック80は、係止延出部82と、ホルダー移動規制部84と、押圧面86とを有している。
係止延出部82は、コネクタ支持凹部52に支持されるコネクタ12に係止する部分である。この係止延出部82は、ホルダー50に嵌合されたロック80の本体部分からホルダー50のセット位置側端面に沿ってコネクタ支持凹部52側に延出する形状に形成されている。また、係止延出部82の先端側部分には、先端に近付くにつれてホルダー50側に傾斜する傾斜面が形成されている。
そして、係止延出部82は、ロック80が係止位置にある状態でコネクタ支持凹部52のセット位置側の領域に張り出し(図4参照)、ロック80が規制位置にある状態でコネクタ支持凹部52のセット位置側の領域から退避する(図5参照)。
ホルダー移動規制部84は、ホルダー50の検査位置への移動を規制する部分である。このホルダー移動規制部84には、ロック80の本体部分から係止延出部82とは反対側に突出し、ホルダー50の検査位置側を向く規制面が形成されている。ホルダー移動規制部84の規制面は、ホルダー50の移動方向に直交する形状に形成されている。
このホルダー移動規制部84は、ロック80が規制位置に移動されると、ホルダー50の検査位置側の部位が、基部20に形成された規制凹部29内に配設される。規制凹部29は、基部20のうち、リテーナ通過溝部24とは反対側のホルダー収容凹部22の内壁面及びホルダー収容凹部22の開口側端面の2面で開口する凹状に形成されている。この規制凹部29には、ホルダー50の移動方向のセット位置側を向く規制面が形成されている。規制凹部29の規制面は、ホルダー50の移動方向に直交する形状に形成されている。
そして、ホルダー移動規制部84は、ロック80が規制位置にある状態で、部分的に規制凹部29内に進入し、ホルダー50の移動方向において規制面が規制凹部29の規制面に対向する位置に配設される。一方、ホルダー移動規制部84は、ロック80が係止位置にある状態で、規制凹部29内から退避する。
また、押圧面86は、ホルダー50をセット位置から検査位置に移動させる際に、作業者が指で押すための部分である。押圧面86は、ロック80のうち、ホルダー50のセット位置側に形成されている。より具体的には、押圧面86は、係止延出部82とホルダー移動規制部84とを結ぶ方向に凹状の曲線状に延在する形状に形成されている。
また、ロック80は、ロック付勢部88によって係止位置側に付勢されている。すなわち、ロック80は、規制位置側に向けてロック付勢部88の付勢力より大きい外力が作用しない状態では、係止位置に維持される。ここでは、ロック付勢部88としてコイルバネを採用しているが、ロック付勢部はロック80を係止位置側に付勢可能な付勢部材であればよい。
<動作>
次に、コネクタ12の検査を行う際のコネクタ検査装置10の動作について説明する。コネクタ検査装置10は、初期状態として、コネクタ支持凹部52が空で、ロック80が係止位置に、ホルダー50がセット位置に、スライダ30が解除位置に、押印部60が退避位置にあるものとする(図4、図15参照)。
まず、ロック80を係止位置から規制位置に移動させて、コネクタ12をコネクタ支持凹部52に挿入する(図5参照)。この際、コネクタ12がコネクタ支持凹部52の奥側まで挿入されると、ロック80はロック付勢部88の付勢力によって係止位置に移動される(図6、図9参照)。これにより、ロック80は、係止延出部82がコネクタ支持凹部52内のコネクタ12の嵌合方向後端部に係止した状態となる。一方、コネクタ12がコネクタ支持凹部52の奥側まで挿入されない(係止延出部82を越えていない)状態では、ロック80はコネクタ12により規制位置に維持される。すなわち、ロック80は、ホルダー移動規制部84が基部20の規制凹部29に係止して、ホルダー50の検査位置への移動を規制する。
コネクタ12がコネクタ支持凹部52の奥側まで挿入された状態で、ロック80の押圧面86を押して、ホルダー50を検査位置に移動させる(図7、図10参照)。ホルダー50の検査位置側への移動に伴って、押印部60は押印位置側に移動される。より具体的には、押印部60は、摺接部66が押印案内部23に摺接しつつ押印位置側に移動される。
ここで、端子が正常に(正規の姿勢で奥まで)挿入されているコネクタ12がコネクタ支持凹部52に挿入された場合、ホルダー50が検査位置に移動されると、スライダ30は解除位置に維持される(図7参照)。すなわち、コネクタ12のリテーナ16は、リテーナ受部32に引っ掛からずにスライダ30のホルダー50側を通過する。そして、押印部60は、一対の押印規制突部68が押印規制部38より規制位置側で一対のレール部27内に挿入されつつ押印位置側に移動される(図16参照)。この際、押印付勢部65が圧縮されると共に、摺接部66は摺接用付勢部67の付勢力によって非押込位置に維持されたまま押印案内部23に摺接する。ホルダー50が検査位置まで移動されると、押印部60が押印位置まで移動され、押印部60によってコネクタ12に合格印が押印される(図8参照)。
一方、端子が正常に挿入されていない場合等、リテーナ16が浮いた状態のコネクタ12がコネクタ支持凹部52に挿入された場合(図9参照)、ホルダー50が検査位置に移動されると、スライダ30は規制位置に移動される。すなわち、コネクタ12のリテーナ16は、スライダ30のリテーナ受部32に引っ掛かり、ホルダー50の検査位置側への移動に伴ってスライダ30を規制位置側に押動する(図10参照)。このため、スライダ30に支持された押印規制部38は、ホルダー50に支持された押印部60と一緒にホルダー50の検査位置側に移動される。そして、押印部60は、一対の押印規制突部68が押印規制部38に当接して、押印位置側への移動が規制される(図17参照)。すなわち、押印部60によってコネクタ12に合格印が押印されない(図11参照)。この際、摺接部66は、ホルダー50の検査位置への移動に伴って、押印案内部23に摺接しつつ摺接用付勢部67を圧縮し、押込位置に移動される。
ここで、一対の押印規制突部68によって押圧される押印規制部38は、上述したように、スライダ30に対して押印部60の移動方向に遊びを持って支持されると共に、一対のレール部27によって押印部60の移動方向に移動規制されている。このため、スライダ30は、押印規制部38による押印部60の移動規制に関わらずに、位置決め付勢部37の付勢力によりコネクタ支持凹部52側に押し付けられた状態に維持される(図13参照)。これにより、リテーナ受部32により浮いたリテーナ16を受けた状態をより確実に維持できる。
ホルダー50が検査位置に移動されて検査が終了すると、ロック80の押圧面86に対する押圧を解除する。すると、ホルダー付勢部58の付勢力により、ホルダー50は、セット位置に戻される。また、押印部60は押印付勢部65の付勢力により退避位置に戻され、摺接部66は摺接用付勢部67の付勢力により非押込位置に戻され、スライダ30はスライダ付勢部36の付勢力により解除位置に戻される。
そして、ロック80を規制位置に移動させて、コネクタ支持凹部52からコネクタ12を取り出す。合格印が押印されたコネクタ12は後工程に供給し、合格印が押印されていないコネクタ12は、端子を正常に挿入し直し、リテーナ16を完全に嵌合させて再度コネクタ検査装置10を用いた検査に供するとよい。
<効果>
上記実施形態に係るコネクタ検査装置10によると、コネクタ支持凹部52にコネクタ12が支持された状態でホルダー50を検査位置側に移動させると、押印案内部23により押印部60が押印位置側に移動される。コネクタ支持凹部52に支持されたコネクタ12のリテーナ16が浮いていない場合、スライダ30は解除位置のままで押印部60が押印位置に移動され、コネクタ12に合格印が押印される。一方、コネクタ支持凹部52に支持されたコネクタ12のリテーナ16が浮いている場合、スライダ30はリテーナ受部32によって浮いたリテーナ16を受けてホルダー50と一緒に移動し、規制位置に移動される。この際、押印部60は、規制位置に移動されたスライダ30に支持されている押印規制部38により押印位置への移動を規制される。これにより、コネクタ12に合格印が押印されない。このようにして、コネクタ12の検査及びコネクタ12に対する合格印の押印を同時に行うことができる。
また、押印部60によって合格印を押印するため、導通確認なしにコネクタ12に対して端子が正常に挿入されているか否かを確認できる。これにより、導通検査に係る機器及びスペースを省略し、ワイヤーハーネスの組立工程外において簡素な構成で且つ簡単にコネクタ12の検査を行うことができる。
また、押印案内部23が、ホルダー50の移動方向の検知位置側に向けて徐々に押印部60の移動方向の押印位置側に向かうカム面状に形成されている。そして、ホルダー50の検査位置への移動に伴って、押印部60がカム面状の押印案内部23に摺接しつつ押印位置側に移動する。このため、より簡単な構成で押印部60の押印動作を実現できる。
また、押印部60に、ホルダー50の検査位置への移動に伴って押印案内部23に摺接すると共に移動方向に沿って非押込位置から押込位置に押し込み可能な摺接部66と、摺接部66を退避位置側に付勢する摺接用付勢部67とが設けられている。このため、ホルダー50の検査位置への移動に伴う押印部60の押印位置側への移動の際に、摺接部66が摺接用付勢部67の付勢力に逆らって押込位置側に移動することにより、押印部60によるコネクタ12に対する押印時のコネクタ12と押印部60との密着を確保しつつ負荷を軽減できる。また、押印部60の押印位置への移動が押印規制部38によって規制された時も、摺接部66の押込位置への移動により、押印案内部23による案内距離のうち移動規制された分の距離を吸収することができる。
また、スライダ30が、位置決め付勢部37によりコネクタ支持凹部52側に向けて付勢されているため、コネクタ支持凹部52に支持されたコネクタ12の一側面に沿って配設される。また、押印規制部38が、スライダ30に対して押印部60の移動方向に遊びを持って支持され、レール部27によってスライダ30の移動方向に沿って案内されているため、押印規制部38が押印部60の移動を規制することによって押圧されても、押印規制部38にかかる押印部60の移動方向の力はレール部27によって受け止められる。これにより、リテーナ16の浮きが小さくても、より確実にリテーナ受部32で浮いたリテーナ16を受けて検知することができる。
また、押印規制部38が円柱棒状に形成されているため、レール部27に対してスムーズに移動することができる。
また、スライダ30に、解除位置側且つコネクタ支持凹部52側の端部のうちのリテーナ受部32の側方に、規制位置側に向けて徐々にコネクタ支持凹部52側に傾斜する傾斜部34が形成されているため、コネクタ12のコネクタ支持凹部52に対する挿入作業をよりスムーズにすることができる。
また、ホルダー50に、コネクタ支持凹部52に支持されるコネクタ12に対してセット位置側から係止可能なロック80が設けられているため、コネクタ支持凹部52に挿入されたコネクタ12が該コネクタ支持凹部52から抜け出すのを規制することができる。
また、ロック80は、コネクタ支持凹部52に支持されるコネクタ12に係止する抜止位置と、コネクタ支持凹部52のセット位置側の領域から退避した規制位置との間で移動可能に設けられ、規制位置で基部20に対してセット位置側から係止するホルダー移動規制部84を有している。このため、コネクタ12がコネクタ支持凹部52に対して中途半端に挿入された状態では、ロック80が該コネクタ12に係止できずに規制位置に維持され、ロック80のホルダー移動規制部84が基部20に係止してホルダー50の検査位置側への移動を規制する。これにより、コネクタ12がコネクタ支持凹部52に対して奥側まで挿入されていない状態におけるコネクタ12の検査を規制することができる。
<変形例>
これまで、ロック80について、好ましい形状としてホルダー移動規制部84を有する例で説明してきたが、ホルダー移動規制部84が省略されてもよい。また、ロック80が省略されてもよい。この場合、ホルダー50を検査位置に移動させる際にコネクタ支持凹部52に支持されたコネクタ12をコネクタ支持凹部52内から抜け出さないように押さえておくとよい。
また、押印案内部23について、ホルダー収容凹部22のうちのリテーナ通過溝部24及びスライダ収容凹部26とは反対側の内壁部から突出する例で説明してきたが、これに限られるものではない。例えば、押印部60の押印規制突部68の側部から側方に突出する凸部を設けると共に、ホルダー収容凹部22のうちのリテーナ通過溝部24及びスライダ収容凹部26が形成された内壁部と隣接する内壁部に前記凸部を押印部60の移動方向に案内するカム面を有する押印案内部を形成してもよい。また、押印部にカム面を儲け、基部にカム面に摺接する凸部を設けてもよい。
また、これまで、好ましい構成として、押印規制部38がスライダ30に対して押印部60の移動方向に遊びを持って支持されている例で説明してきたが、これに限られるものではない。すなわち、押印規制部38は、スライダ30に対して押印部60の移動方向に相対移動不能に設けられていてもよいし、スライダと一体形成されていてもよい。また、位置決め付勢部37も省略することができる。
また、好ましい構成として、押印部60が摺接部66及び摺接用付勢部67を有する例で説明してきたが、これに限られるものではない。例えば、押印部は、摺接部66及び摺接用付勢部67が省略され、押印移動部が押印案内部23に摺接可能に形成されていてもよい。この場合、押印部が押印規制部38によって押印位置への移動を規制された際に、押印部の移動規制された位置からの移動距離分を吸収することができないため、ホルダー50が検査位置側への移動を規制される。
以上のように、この発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。また、上述した各種変形例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
10 コネクタ検査装置
12 コネクタ
16 リテーナ
20 基部
23 押印案内部
27 レール部
30 スライダ
32 リテーナ受部
34 傾斜部
37 位置決め付勢部
38 押印規制部
50 ホルダー
52 コネクタ支持凹部
60 押印部
66 摺接部
67 摺接用付勢部
80 ロック
84 ホルダー移動規制部

Claims (7)

  1. 一側面に端子固定用のリテーナが設けられたコネクタについて、一側方への前記リテーナの浮きを検知するコネクタ検査装置であって、
    前記コネクタを嵌合方向に沿って挿入支持可能なコネクタ支持凹部が形成されたホルダーと、
    前記ホルダーに対して、前記コネクタのうちの前記リテーナと反対側の他側面に合格印を押印する押印位置と退避位置との間で移動可能に支持された押印部と、
    前記ホルダーを前記コネクタ支持凹部に支持された前記コネクタの嵌合方向に沿ってセット位置と検査位置との間で移動可能に支持すると共に、前記ホルダーの前記セット位置から前記検査位置への移動に伴って前記押印部を前記押印位置に案内する押印案内部が形成された基部と、
    前記コネクタ支持凹部に支持された前記コネクタの一側方に浮いた前記リテーナに対して前記ホルダーの前記検査位置側から接触可能なリテーナ受部が形成され、前記ホルダーの移動方向に沿って解除位置と前記解除位置より前記ホルダーの前記検査位置側の規制位置との間で前記基部に移動可能に支持されたスライダと、
    前記スライダに支持され、前記ホルダーが前記検査位置にあり且つ前記スライダが前記規制位置にある状態で、前記押印部の前記押印位置への移動を規制する押印規制部と、
    を備える、コネクタ検査装置。
  2. 請求項1に記載のコネクタ検査装置であって、
    前記押印案内部は、前記ホルダーの移動方向の前記検知位置側に向けて徐々に前記押印部の移動方向の前記押印位置側に向かうカム面状に形成され、
    前記押印部は、前記ホルダーの前記検査位置への移動に伴ってカム面状の前記押印案内部に摺接しつつ前記押印位置側に移動する、コネクタ検査装置。
  3. 請求項2に記載のコネクタ検査装置であって、
    前記押印部には、前記ホルダーの前記検査位置への移動に伴ってカム面状の前記押印案内部に摺接すると共に移動方向に沿って非押込位置から押込位置に押し込み可能な摺接部と、前記摺接部を前記退避位置側に付勢する摺接用付勢部とが設けられている、コネクタ検査装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコネクタ検査装置であって、
    前記スライダは、位置決め付勢部により前記コネクタ支持凹部側に向けて付勢され、
    前記押印規制部は、前記スライダに対して前記押印部の移動方向に遊びを持って支持され、
    前記基部には、前記押印規制部を前記スライダの移動方向に沿って案内するレール部が形成されている、コネクタ検査装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のコネクタ検査装置であって、
    前記スライダには、前記解除位置側且つ前記コネクタ支持凹部側の端部のうちの前記リテーナ受部の側方に、前記規制位置側に向けて徐々に前記コネクタ支持凹部側に傾斜する傾斜部が形成されている、コネクタ検査装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のコネクタ検査装置であって、
    前記ホルダーには、前記コネクタ支持凹部に支持される前記コネクタに対して前記セット位置側から係止可能なロックが設けられている、コネクタ検査装置。
  7. 請求項6に記載のコネクタ検査装置であって、
    前記ロックは、前記コネクタ支持凹部に支持される前記コネクタに係止する抜止位置と、前記コネクタ支持凹部の前記セット位置側の領域から退避した規制位置との間で移動可能に設けられ、前記規制位置で前記基部に対して前記セット位置側から係止するホルダー移動規制部が形成されている、コネクタ検査装置。
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