JP5923943B2 - 半導体装置及び電子装置 - Google Patents
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Description
一般に、半導体チップを配線基板上にフリップチップ接合する場合、半導体チップの表面側に設けられた配線層、即ち、回路や配線を絶縁膜で覆った配線層が配線基板側になるため、半導体チップの裏面側から、半導体チップからの発熱を放熱させるようにしている。つまり、本来であれば、半導体チップの表面側、即ち、配線層が設けられている側に発熱箇所があるため、この表面側から、半導体チップからの発熱を放熱させるのが効率的である。しかしながら、フリップチップ接合の場合、半導体チップの表面側を配線基板側に向けて接合するため、半導体チップの表面側には全面にわたって複数の電極が設けられており、半導体チップの表面側から、半導体チップからの発熱を放熱させるのは難しい。そこで、フリップチップ接合する場合、半導体チップの裏面側から、半導体チップからの発熱を放熱させるようにしている。
また、上述のように、半導体チップの表面側に設けられた配線層の中に熱伝導膜やダミー配線を設けるには、半導体チップの製造プロセスの中でこれらを形成することが必要になる。このため、熱伝導膜やダミー配線を含むものとして、半導体チップに備えられる回路や配線の設計を行なう必要がある。また、既に設計済みの半導体チップについては新たに設計しなおす必要があり、これには莫大な工数とコストがかかる。また、半導体チップを実際に作製した後に性能が十分でない場合には、設計変更が必要になり、さらに工数やコストがかかることになる。
本電子装置は、絶縁膜と、配線と、絶縁膜の表面上に全面にわたって設けられた複数の第1電極とを含む配線層を備える半導体チップと、半導体チップの絶縁膜の表面上の第1電極が設けられていない領域に貼り付けられ、絶縁膜よりも高い熱伝導率を有する高熱伝導部材と、複数の第1電極に対応する位置に設けられた複数の第2電極を有する配線基板とを備え、半導体チップが配線基板にフリップチップ接合されている半導体装置を備えることを要件とする。
[第1実施形態]
まず、第1実施形態にかかる半導体装置について、図1〜図6を参照しながら説明する。
本半導体パッケージは、図2に示すように、パッケージ基板1と、パッケージ基板1上に搭載された半導体チップ2と、パッケージ基板1のチップ搭載面の反対側の面の全面に格子状に配列された複数の電極3と、各電極3上に設けられたはんだボール4とを備えるBGA(Ball Grid Array)パッケージである。
ここで、半導体チップ2は、図1(A)に示すように、その表面側に、絶縁膜5と、配線6と、絶縁膜5の表面上に全面にわたって設けられた複数の電極7(第1電極)とを含む配線層8を備える。なお、配線層8に含まれる配線6によって各素子が接続されて回路が構成されるため、半導体チップ2は、その表面側に回路を含むことになる。このため、半導体チップ2の表面側は、回路が形成されている側であるため、半導体チップ2の表面を回路面ともいう。ここでは、半導体チップ2は、LSIチップである。また、絶縁膜5の表面上に露出している複数の電極7は、例えば信号入出力用の電極である。
また、本実施形態では、半導体チップ2の裏面側に、例えばはんだ接合部などの熱伝導用接合部12を介して、ヒートスプレッダとして機能するリッド13が熱的に接続されている。ここでは、半導体チップ2の裏面側に熱的に接続されるように、パッケージ基板1上に例えば接着シート14によってリッド13が接着されている。このため、本半導体パッケージは、リッド13を備える。
なお、高熱伝導部材15は、AlN、SiC(炭化ケイ素)、炭素系材料、ダイヤモンド、Cu、Ag、Au、Alからなる群から選ばれるいずれか一種の材料で構成されるものとすれば良い。
例えば、高熱伝導部材15をAlN、SiC、炭素系材料、ダイヤモンド、Alによって構成する場合には、半導体チップ2の表面及び高熱伝導部材15の半導体チップ2に貼り付ける側の表面をメタライズして金属層(図4参照)を形成した上で、高熱伝導部材15を半導体チップ2の表面にはんだ接合すれば良い。なお、高熱伝導部材15をCu、Ag、Auによって構成する場合には、メタライズして金属層を形成しなくても良い。また、メタライズして形成される金属層を、メタライズ層ともいう。
特に、半導体チップ2には、その表面側の全面にわたって回路や配線6が設けられているものの、例えば演算に用いられる箇所など、局所的に発熱が集中する箇所、即ち、ホットスポットHSがある。このようなホットスポットHSがあると、その箇所で配線6が断線してしまうおそれがあるため、ホットスポットHSから効率良く放熱させることが重要である。
ここでは、直径約0.1mmの複数の電極7がピッチ約0.2mmで配列されている半導体チップ2であって、ホットスポットHSが4箇所ある場合に、各ホットスポットHSの上方のそれぞれに高熱伝導部材15を貼り付けて、半導体パッケージを製造する場合を例に挙げて説明する。
次いで、図3(C)に示すように、上述のようにして4つの領域に分割して形成された各金属層16上に、蒸着法によって約0.01mm程度の厚さになるようにはんだ17を設ける。ここで、はんだ17の種類はIn系のはんだが柔軟性に優れる点で好ましい。ここでは、例えばIn−10Agはんだを用いる。
また、半導体チップ2の表面に貼り付ける高熱伝導部材15を用意する。
ここでは、各高熱伝導部材15は、例えばAlNからなるものとし、厚さを約0.03mmとし、4つの領域に形成された金属層16と同じ大きさとする。そして、各高熱伝導部材15は、半導体チップ2の各電極7に対応する領域に貫通穴15Aを有するものとする。つまり、半導体チップ2の各電極7の上方の金属層16が形成されていない領域と同じ大きさの貫通穴15A(直径約0.12mm)を有するものとする。ここで、各高熱伝導部材15の貫通穴15Aは、例えばレーザー加工、超音波加工、ドライエッチングなど様々は方法によって形成することができる。
ここでは、上述のようにして、表面に金属層18を形成された各高熱伝導部材15を、半導体チップ2の表面上の各領域に分割して形成された各金属層16上に位置合わせし、載置した状態で、例えば窒素雰囲気の加熱炉で加熱して、はんだ接合する。なお、接合性を上げるために、接合箇所に予めフラックスを塗布しておくのが好ましい。
ここで、はんだバンプ10の形成方法としては、例えばメッキ法、蒸着法、蒸着転写法などがある。ここでは、蒸着転写法を用いてはんだバンプ10を形成する場合を例に挙げて、図5(A)〜図5(D)を参照しながら説明する。
次に、メタルマスク19を剥がし、図5(C)に示すように、シリコンウェハ20上の各はんだ10Xを半導体チップ2の各電極7に位置合わせし、これらが接した状態で、例えば約235℃の窒素雰囲気の加熱炉で加熱すると、それぞれのはんだ10Xはシリコンウェハ20から剥がれ、図5(D)に示すように、半導体チップ2の各電極7に転写される。この際、蒸着はんだ10Xの表面にフラックスを塗布しておくと、より良いはんだバンプ10を形成することが可能となる。なお、このはんだバンプ10の形成の際に、先に半導体チップ2に高熱伝導部材15を接合するのに用いたIn−10Agはんだ17も溶融状態となるが、表面張力で高熱伝導部材15がずれたり、剥がれたりすることはない。
このようにして、本実施形態の半導体パッケージが完成する。
したがって、本実施形態にかかる半導体装置によれば、半導体チップ2に備えられる回路や配線6の設計に影響を与えることなく、半導体チップ2の表面側から、半導体チップ2からの発熱を効率良く放熱させることができるという利点がある。
従来の発熱モデルでは、図6(A)に示すように、縦約100mm、横約100mm、厚さ約0.5mmのシリコン板21(熱伝導率:約149W/mK)の表面上の中央部に、縦約2mm、横約2mm、厚さ約0.1mmの発熱部22(約100W)を設けた。そして、シリコン板21を含む表面全体を、絶縁膜としての厚さ約0.01mmのSiO2膜23(熱伝導率:約1〜2W/mK)で覆った。また、シリコン板21の裏面側には冷却ブロック24を設け、温度を約20℃に固定した。
これらの発熱モデルを用いて熱シミュレーションを行なった結果、従来の発熱モデルに比べて、上述の実施形態の発熱モデルでは、発熱部22の中心部温度を約27%改善できた。このように、発熱部22の熱を絶縁膜としてのSiO2膜23上に設けられた高熱伝導部材としてのAlN板25によって放熱させ、発熱部22の温度を下げることができることが確認できた。これにより、上述の実施形態の構成によって、半導体チップ2からの発熱を効率良く放熱させ、温度を下げることができることが確認できた。
例えば、図7に示すように、半導体チップ2の表面側に高熱伝導部材15を接着剤26によって接着するようにしても良い。この場合、高熱伝導部材15は、半導体チップ2の絶縁膜5の表面上の複数の電極7が設けられていない領域に接着剤26によって接着されることになる。例えば、AlNからなり、半導体チップ2の各電極7に対応する領域に直径約0.12mmの貫通穴15Aを有する高熱伝導部材15を用意し、この高熱伝導部材15の半導体チップ2に貼り付ける側の表面に、耐熱性に優れるポリイミド系の接着剤26を約0.02mm塗布する。次に、フリップチップボンダーを用いて、接着剤26を塗布した面を半導体チップ2の表面に向けて、半導体チップ2に対して高熱伝導部材15を位置合わせし、載置した状態で、約150℃で約1時間加熱して、半導体チップ2の表面側に高熱伝導部材15を接着するようにすれば良い。なお、接着剤26によって接着する場合には、上述の実施形態のように半導体チップ2や高熱伝導部材15にメタライズによる金属層16、18を形成しなくても良い。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態にかかる電子装置について、図8を参照しながら説明する。
本電子装置は、図8に示すように、例えばマザーボードやシステムボードなどの回路基板(配線基板)27上に、上述の第1実施形態の半導体パッケージ28が実装され、さらに、電源部品29、コネクタ部品30、コントローラ部品31、メモリ部品32、その他の部品33が実装され、冷却ファン34を備えるラック35に収納されたものである。なお、本実施形態では、上述の第1実施形態の半導体パッケージ28上(即ち、リッド13の上面上)にフィンを有するヒートシンク36を熱的に接続したものを、回路基板27上に実装している。
なお、上述の実施形態では、冷却構造としてフィンを有するヒートシンク36を搭載して空冷方式によって冷却を行なう場合を例に挙げて説明しているが、冷却方式はこれに限られるものではない。例えば、冷却方式として、水冷、LHP(Loop Heat Pipe)、サーモサイフォン、浸漬液冷などのいずれの方式を用いることもでき、この場合も上述の実施形態の場合と同様の効果が得られる。
[その他]
なお、本発明は、上述した各実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
2 半導体チップ(半導体装置)
3 電極
4 はんだボール
5 絶縁膜
6 配線
7 電極(第1電極)
8 配線層
9 電極(第2電極)
10 はんだバンプ
10X はんだ
11 アンダーフィル材
12 熱伝導用接合部
13 リッド
14 接着シート
15 高熱伝導部材
15A 貫通穴
16 金属層
17 はんだ
18 金属層
19 メタルマスク
20 シリコンウェハ
21 シリコン板
22 発熱部
23 SiO2膜(絶縁膜)
24 冷却ブロック
25 AlN板(高熱伝導部材)
26 接着剤
27 回路基板(配線基板)
28 半導体パッケージ(半導体装置)
29 電源部品
30 コネクタ部品
31 コントローラ部品
32 メモリ部品
33 その他の部品
34 冷却ファン
35 ラック
36 フィンを有するヒートシンク
Claims (8)
- 絶縁膜と、配線と、前記絶縁膜の表面上に全面にわたって設けられた複数の第1電極とを含む配線層を備える半導体チップと、
前記半導体チップの前記絶縁膜の表面上の前記第1電極が設けられていない領域に貼り付けられ、前記絶縁膜よりも高い熱伝導率を有する高熱伝導部材とを備えることを特徴とする半導体装置。 - 前記高熱伝導部材は、局所的に発熱が集中する箇所の上方に貼り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の半導体装置。
- 前記高熱伝導部材として、複数の高熱伝導部材が設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の半導体装置。
- 前記高熱伝導部材は、前記絶縁膜の表面上の前記第1電極が設けられていない領域にはんだ接合されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置。
- 前記高熱伝導部材は、前記絶縁膜の表面上の前記第1電極が設けられていない領域に接着剤によって接着されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置。
- 前記高熱伝導部材は、AlN、SiC、炭素系材料、ダイヤモンド、Cu、Ag、Au、Alからなる群から選ばれるいずれか一種の材料で構成されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体装置。
- 前記複数の第1電極に対応する位置に設けられた複数の第2電極を有する配線基板を備え、
前記半導体チップは前記配線基板にフリップチップ接合されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体装置。 - 絶縁膜と、配線と、前記絶縁膜の表面上に全面にわたって設けられた複数の第1電極とを含む配線層を備える半導体チップと、前記半導体チップの前記絶縁膜の表面上の前記第1電極が設けられていない領域に貼り付けられ、前記絶縁膜よりも高い熱伝導率を有する高熱伝導部材と、前記複数の第1電極に対応する位置に設けられた複数の第2電極を有する配線基板とを備え、前記半導体チップが前記配線基板にフリップチップ接合されている半導体装置を備えることを特徴とする電子装置。
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