JP5923875B2 - 車両制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は車両制御装置に関し、より特定的には車両に搭載される車両制御装置に関する。
近年、自車両に搭載されたレーダ装置等から得られる情報に基づいて、自車両と当該自車両の前方を走行している他車両との間の距離を一定に保つ制御を行うことのできる装置が実用化されている。
なお、このような制御をレーダクルーズコントロール、アダプティブクルーズコントロールなどと称すことがあるが、以下、このような制御のことを単にACC制御と称す。
具体的には、上記ACC制御とは、自車両の前方を走行している他車両が停車すると、その停車に追従して自車両が安全車間距離を保って自動的に停車するような制御である。また、停車後、先行車両が発進して車間距離が増大したときに自車両のドライバーによる発進操作が行われた場合には自車両が発進するようになっている。
また、近年、自車両に搭載されたレーダ装置等から得られる情報に基づいて、自車両の前方の他車両や障害物との衝突の可能性を予測し、衝突前にブレーキ装置を制御したり、シートベルトを巻き取ったりすることにより、衝突した際の衝撃を低減する装置も実用化されている。
なお、このような制御のことをプリクラッシュセーフティ制御と称すことがあり、以下、単にPCS(Pre-Clash Safety)制御と称す。
例えば、これら制御を行う装置の一例として、特許文献1に開示されている技術がある。
特開2008−296887号公報
上記特許文献1に開示されている技術は、自車両において上記ACC制御が行われているときに、当該自車両に搭載されたレーダ装置により障害物を検出したとする。この場合において、当該障害物と自車両との衝突の可能性があると判断された場合、ACC制御における目標加速度と、障害物との衝突回避のための加速度とのうち、小さい方の加速度以下の加速度を算出し、自車両の速度調整を行うものである。
ここで、自車両が上記ACC制御と上記PCS制御とを行っている場合を想定し、仮にPCS制御によりブレーキ装置が制御され、自車両が停止したとする。なお、このとき例えば、自車両が傾いて停止し、その後上記ACC制御が復帰したとき、当該自車両に搭載されているレーダ装置は、先行車両ではなく、隣接車線の他車両を検出してしまうこともありうる。この場合、ACC制御においては、先行車両ではなく、隣接車線の他車両に追従するような制御を行う可能性がある。その結果、ACC制御の目標加速度を正確に算出できない。
また、上記特許文献1に開示されている技術は、上述したような問題に対しては対処できない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ACC制御とPCS制御を行っている自車両で、適切な制御対象物に対してACC制御の目標加速度を正確に算出することのできる車両制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。すなわち第1の発明は、自車両に搭載される車両制御装置である。当該車両制御装置は、自車両の周囲の物体を検出する検出手段と、自車両の周囲の物体は当該自車両前方の先行車両であると判断した場合に当該先行車両と自車両との車間距離を制御する車速制御手段と、検出手段によって検出された物体を衝突判断対象物とし当該衝突判断対象物と自車両とが衝突する可能性を判断する衝突判断手段と、衝突判断対象物と自車両とが衝突する可能性が高いと衝突判断手段が判断した場合に衝突判断対象物と自車両との衝突を回避するための回避制御を前記自車両に対して行う制御手段と、制御手段による回避制御と車速制御手段による自車両の車速の制御とが行われているときに予め定められた条件を満たした場合に、車速制御手段によって行われている自車両の車速の制御を停止する停止手段とを備える。
第2の発明は、上記第1の発明において、停止手段は、車速制御手段による減速度と制御手段による減速度の関係に基づいて、車速制御手段によって行われている自車両の車速の制御を停止することを特徴とする。
第3の発明は、上記第1の発明において、衝突判断手段は、衝突判断対象物と自車両とが衝突するまでの衝突時間に応じて当該衝突判断対象物と自車両とが衝突する可能性を判断する。制御手段が行う回避制御は、当該制御手段が、衝突時間が第1の閾値以下であると判断した場合に自車両に備わった装備品を制御して自車両のドライバーに注意喚起をし、衝突時間が第1の閾値より短い時間で設定される第2の閾値以下であると判断した場合に衝突判断対象物と自車両とが衝突しないようなブレーキ制御を自車両に備わったブレーキ装置に対して行う。停止手段は、制御手段によってブレーキ制御が行われた場合に車速制御手段によって行われている自車両の車速の制御を停止することを特徴とする。
第4の発明は、上記第1の発明において、停止手段は、制御手段が衝突判断対象物と自車両との衝突を回避するための回避制御を自車両に対して行う必要があると判断した場合に衝突判断対象物は移動体であるか否かを判断し、衝突判断対象物は移動体であると判断した場合に車速制御手段によって行われている自車両の車速の制御を停止することを特徴とする。
第5の発明は、上記第1の発明において、自車両のアクセルペダルが踏まれているか否かを示す情報を取得する車両情報取得手段をさらに備える。停止手段は、上記情報に基づいて自車両のアクセルペダルは踏まれていないと判断した場合に車速制御手段によって行われている自車両の車速の制御を停止することを特徴とする。
第6の発明は、上記第1の発明において、停止手段は、車速制御手段が自車両の車速を加速する必要があると判断した場合に車速制御手段によって行われている自車両の車速の制御を停止することを特徴とする。
第7の発明は、上記第1の発明において、自車両に対して予め定められた操作が行われた場合に停止手段によって停止されていた車速制御手段によって行われる自車両の車速の制御を復帰する復帰手段をさらに備える。
上記第1の発明によれば、ACC制御とPCS制御を行っている自車両で、適切な制御対象物(先行車両)に対してACC制御の目標加速度を正確に算出することのできる車両制御装置を提供することができる。
第2の発明によれば、車速制御手段による減速度と制御手段による減速度の関係に基づいて、車速制御手段によって行われている自車両の車速の制御を停止するので、一旦ブレーキが、いわゆる抜けるといった現象が発生することがない。
第3の発明によれば、自車両と物体との衝突の可能性がある場合、ドライバーに対して注意喚起を行うことができる。
第4の発明によれば、例えば、ACC制御の車速制御対象は自車両の前方の他車両であり、PCS制御の衝突判断対象物はガードレールなどの場合でもACC制御は解除されることがない。つまり、例えばガードレールとの衝突の危険性に対してはPCS制御で対処し、自車両mvの前方の他車両に対してはACC制御で対処することができ、それぞれの制御を確実に行うことができ、適切な制御対象物に対してACC制御の目標加速度を正確に算出することができる。
第5の発明によれば、例えば、自車両と物体との衝突の可能性あるにもかかわらず、ドライバーがアクセルペダルを踏んでいる場合において、ACC制御が解除(停止)されることはない。従って、自車両のドライバーが、よそ見をしている場合でも、ACC制御は解除されることはなく、ドライバーがアクセルペダルから足を離した場合にはACC制御は実行されることとなり、安全に走行することができる。
第6の発明によれば、衝突の可能性がある場合、自車両に対して、より大きなブレーキ量でブレーキが作動するように要求でき、適切な制御対象物に対してACC制御の目標加速度を正確に算出することができるだけでなく、一旦ブレーキが、いわゆる抜けるといった現象が、より発生し難くなる。
第7の発明によれば、例えば、ドライバーの操作により一旦停止されていたACC制御を必要に応じて復帰することができる。
車両制御装置の構成の一例を示すブロック図 第1の実施形態に係る車両制御装置の制御ECU1において行われる処理の流れの一例を示すフローチャート 第2の実施形態に係る車両制御装置の制御ECU1において行われる処理の流れの一例を示すフローチャート 第3の実施形態に係る車両制御装置の制御ECU1において行われる処理の流れの一例を示すフローチャート 第4の実施形態に係る車両制御装置の制御ECU1において行われる処理の流れの一例を示すフローチャート
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しつつ、本発明の第1の実施形態に係る車両制御装置について説明する。なお、本実施形態では、当該車両制御装置が車両(具体的には、一般的な乗用車を想定し、以下、自車両mvと称す)に搭載される例について説明する。
図1は、車両制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
図1において、車両制御装置は、制御ECU(Electrical Control Unit)1を備えている。この制御ECU1には、レーダ装置2、車両情報取得装置3、ブレーキECU(Electrical Control Unit)4、エンジンECU(Electrical Control Unit)5、および車室内装置6等が接続されている。
制御ECU1は、後述する当該制御ECU1に接続されている各種機器や装置を制御して、自車両mvを制御する。具体的には、制御ECU1は、自車両mvに搭載されたレーダ装置2から得られる情報に基づいて、自車両mvと当該自車両の前方を走行している他車両との間の距離を一定に保つ制御を行う(以下、ACC制御と称す)。
また、制御ECU1は、自車両mvに搭載されたレーダ装置2から得られる情報に基づいて、自車両mvの周囲の他車両や障害物との衝突の可能性を予測し、仮に衝突する可能性があると判断した場合には衝突した際の衝撃や被害を低減する制御を行う(以下、PCS制御と称す)。
図1の説明に戻って、上記レーダ装置2は、典型的には、ミリ波レーダ装置、レーザーレーダ装置等である。なお、当該レーダ装置2は、例えば、自車両mvの前部に設置され、自車両mvの前方外側に向けて電磁波を照射し、当該レーダ装置2の検出範囲内に存在する物体(具体的には先行車両などの他車両やガードレールなどの障害物)を検出する。そして、レーダ装置2は、例えば、当該物体を検出したことを示す信号を、制御ECU1に出力する。
上記車両情報取得装置3は、自車両mvの走行に関する情報を取得する。なお、車両情報取得装置3の一例として、例えば、自車両mvが走行している際の車速を検出する車速検出装置や、自車両mvのステアリングハンドルのステアリングロッドに取り付けられ当該ステアリングハンドルに与えられた操舵トルクを検出する操舵トルク検出装置や、操舵角を検出する操舵角検出装置等を挙げることができる。
また、上記車両情報取得装置3は、自車両mvのドライバーがブレーキペダルを踏んだことを示す情報や、アクセルペダルを踏んだことを示す情報なども取得する。
さらに、上記ACC制御や上記PCS制御を行わせるためのスイッチが自車両mvに備わっている場合、上記車両情報取得装置3は、当該スイッチが押下されたことを示す情報(ON/OFFを示す情報)を取得してもよい。
上記ブレーキECU4は、制御ECU1からの指示に従ってブレーキアクチュエータ(図示せず)を制御して、例えば、自車両mvのブレーキを作動させたり、さらには、自車両mvのドライバーのブレーキ操作がなくともブレーキを作動させたりする。
上記エンジンECU5は、自車両mvのエンジンを制御するための装置であり、制御ECU1からの指示に従って、例えば、自車両mvのエンジンのトルクを制御する。
上記車室内装置6とは、具体的には、自車両mvの車室内に設けられた表示装置や、音声出力装置等のことである。
例えば、上記表示装置とは、自車両mvの運転席に着席したドライバーから視認可能な位置(運転席前面の計器盤等の中等)に設けられる、液晶ディスプレイ、発光ダイオード(LED)、有機ELディスプレイなどの表示媒体である。
また、例えば、上記音声出力装置とは、各種情報を音声で自車両mvのドライバーに提供する自車両mvに備わっているスピーカー等である。
なお、上記車室内装置6には、例えば、自車両mvのシートベルトを駆動させるための装置や、シート(運転席や助手席、後部座席等)を駆動させるための装置や、エアバッグ(フロント、ニー、カーテンシールド等)を駆動させるための装置なども含まれる。そして、これら装置は制御ECU1の指示に従って、シートを駆動させたり、シートベルトを巻き取ったりすることにより自車両mvの乗員の拘束性を高めたり、エアバッグのセーフィングを解除したりして、衝突被害を低減する。なお、これら装置の一例であって、衝突した際に自車両mvの乗員の被害を軽減する装置であればこれに限られるものではない。
次に、図2を参照しつつ、本発明の第1の実施形態に係る車両制御装置の制御ECU1において行われる処理の流れの一例を説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る車両制御装置の制御ECU1において行われる処理の流れの一例を示したフローチャートである。なお、本実施形態においては、自車両mvが上述したACC制御とPCS制御とを実行できるもの、つまり車両制御装置の制御ECU1によってACC制御とPCS制御とを実行することができるものとして説明する。
なお、図2に示すフローチャートは、例えば、制御ECU1が当制御ECU1内に備えられている図示しない記憶部に記憶されている所定のプログラムを実行することにより行われる。また、図2に示すフローチャートの処理は、制御ECU1の電源がON(例えば自車両mvの始動/停止スイッチがON)されることによって開始される。なお、以下の説明において、始動/停止スイッチのことを単にSWと称す。
図2のステップS11において、制御ECU1は、自車両mvのSWがONであるか否かを判断する。そして、制御ECU1は、自車両mvのSWはONであると判断した場合(YES)、次のステップS12に処理を進める。一方、制御ECU1は、自車両mvのSWはONではないと判断した場合(NO)、当該フローチャートの処理を終了する。
ステップS12において、制御ECU1は、車両情報取得装置3から自車両mvの車両情報を取得する。なお、当該ステップS12において、制御ECU1が車両情報取得装置3から取得する車両情報とは、例えば、上記ACC制御を行わせるためのスイッチが、ドライバーによって押下されているか否か、上記PCS制御を行わせるためのスイッチが、ドライバーによって押下されているか否かを示す情報などである。そして、制御ECU1は、次のステップS13に処理を進める。
ステップS13において、制御ECU1は、ACC制御モードおよびPCS制御モードに入るか否かを判断する。そして、制御ECU1は、当該ステップS13での判断を肯定(YES)した場合、次のステップS14に処理を進める。一方、制御ECU1は、判断を否定(NO)した場合、ステップS12に処理を戻す。つまり、制御ECU1により当該ステップS13での判断が肯定された場合、自車両mvは制御ECU1によって、予め定められた条件が満たされたときACC制御とPCS制御とを開始できる状態となる。
なお、上記ステップS13でいうACC制御モードに入った状態とは、レーダ装置2が自車両mvの前方の他車両を検出して当該検出結果に基づいて、当該自車両mvと当該他車両(先行車両)との間の距離の制御を行うことをいう。つまり、上記ステップS13の判断が肯定(YES)された後は、制御ECU1により、先行車両が停車すると、その停車に追従して自車両mvが安全車間距離(安全車間距離は、一定とは限らない)を保って自動的に停車し、また、停車後、先行車両が発進して車間距離が増大したときにおいて、自車両mvのドライバーによる発進操作が行われた場合には自車両mvが発進するような制御が行われる状態であることをいう。なお、以下の説明において、自車両mvの前方の先行車両のことをACC制御における車速制御対象物と称すことがある。
また、上記ステップS13でいうPCS制御モードに入った状態とは、自車両mvの周囲の他車両やガードレールなどの障害物を検出して、仮に自車両mvが当該他車両や障害物などと衝突の可能性が高い場合に上述したようなPCS制御を行うことのできる状態であることをいう。なお、以下の説明においても、制御ECU1によって、衝突の可能性が高いと判断された物体(他車両や障害物等)のことをPCS制御における衝突判断対象物と称すことがある。
図2の説明に戻って、ステップS14でPCS制御を実行する必要があるか否かを判断する。ここで、当該ステップS14での判断について説明する。上述したように上記ステップS13での判断が肯定された後は、制御ECU1によってACC制御とPCS制御とが開始されている。このような状態において、制御ECU1はレーダ装置2から得られる情報に基づき、当該レーダ装置2が検出した物体と自車両mvとが衝突の可能性があるか否かを判断する。
そして、制御ECU1は、レーダ装置2が検出した物体と自車両mvとの衝突の可能性があると判断した場合、PCS制御を実行する必要があると判断し、当該ステップS14の処理を肯定(YES)する。一方、制御ECU1は、レーダ装置2が検出した物体と自車両mvとの衝突の可能性は無い(低い)と判断した場合、PCS制御を実行する必要は無いと判断し、当該ステップS14の処理を否定(NO)する。
なお、上記ステップS14の判断、つまりPCS制御を実行する必要があるか否かの判断にあたっては、例えば、制御ECU1は、レーダ装置2から取得した信号を用いて、自車両mvに対する、レーダ装置2が検出した物体の相対距離、相対速度の情報を算出することによって行えばよい。具体的には、制御ECU1は、レーダ装置2が照射した電磁波と受信した反射波との和および差や送受信タイミング等を用いて、自車両mvに対する、レーダ装置2が検出した物体の相対距離、相対速度の情報を算出する。そして、制御ECU1は、例えば上述した方法で算出された相対距離、相対速度等の情報に基づき、自車両mvと物体とが衝突する可能性はあるか否かを判断すればよい。
また、この場合、レーダ装置2が検出した物体とは、例えば自車両mvの前方を走行している他車両(先行車両)であったり、ガードレールなどの障害物であったりする。そして、例えば、先行車両が急停止した場合や、自車両mvのドライバーが、よそ見などをしており自車両mvとガードレールとが接触する可能性のある場合、制御ECU1は、PCS制御を実行する必要があると判断する。
ステップS15において、制御ECU1は、注意喚起をするか否かを判断する。ここで、当該注意喚起とは、例えば、上記ステップS14において、制御ECU1が算出した相対距離、相対速度等の情報に基づき、自車両mvと物体との衝突の可能性はあるが、その可能性は低い(それほど高くない)と判断した場合に行う動作のことである。具体的には、制御ECU1は、注意喚起を行うと判断した場合、当該ステップS15の判断を肯定(YES)する。
つまり、制御ECU1が、後述する衝突回避制御を行うほどではないと判断した場合に行う制御のことである。具体的には、例えば、制御ECU1は当該ステップS15での判断を肯定(YES)した場合、ブレーキECU4に指示し、ブレーキ装置(図示せず)を制御して短時間に、軽く(具体的には後述する衝突回避制御におけるブレーキより短時間で、軽く)ブレーキをかけ、ドライバーに注意喚起を促す。
なお、制御ECU1は上記注意喚起とともに、車室内装置6、より具体的には、自車両mvに備わっているスピーカーや表示装置を制御して、音声や表示でドライバーに注意喚起を促してもよい。
一方、制御ECU1は、当該ステップS15の判断を否定した場合(NO)、ステップS16に処理を進める。なお、当該ステップS15の判断が否定(NO)される場合とは、具体的に、例えば、制御ECU1が相対距離、相対速度等の情報に基づき、後述する衝突回避制御を行う必要があると判断した場合である。
ここで、衝突回避制御とは、例えば、制御ECU1が相対距離、相対速度等の情報に基づき、自車両mvと物体(例えば先行車両やガードレールなどの障害物)との衝突が避けられないと判断した場合に、制御ECU1がブレーキECU4に指示をして、ドライバーのブレーキ操作が無くとも自車両mvのブレーキを作動させ、上記物体との衝突を回避するための制御のことである。
なお、図2のフローチャートでは、上記ステップS15の処理を行わなくともよい。つまり、ステップS14の処理の判断結果に応じてステップS16に処理を進めてもよい。さらには、上記ステップS15での判断を行わず、つまり注意喚起を行うか否かを判断せず、上記ステップS14の判断が肯定された後には、上述した注意喚起を行ってもよい。
ステップS16において、制御ECU1は、PCS制御の要求減速度はACC制御の要求減速度を超えたか否かを判断する。そして、当該ステップS16の判断が肯定された場合(YES)、次のステップS17においてACC制御を解除、つまり停止する。以下、ステップS16およびステップS17ついて説明する。
まず、PCS制御の要求減速度およびACC制御の要求減速度について説明する。なお、当該ステップS16に処理が進むのは上述したように、制御ECU1によって衝突回避制御を行う必要があると判断された場合である。以下では、衝突の可能性のある場面として、例えば、自車両mvの前方の先行車両が急停止した場合を仮に想定して説明する。
上述したように、自車両mvは、ACC制御モードであるので、制御ECU1が行っているACC制御においては、まず、自車両mvの前方の先行車両と近づきすぎないために必要なブレーキ量、つまり必要とされる減速度(以下、ACC制御のおけるブレーキ要求量を第1の要求量と称す)を算出する。そして、制御ECU1は、ブレーキECU4に対して当該必要なブレーキ量でブレーキが作動するように要求する。その後、ブレーキECU4は、ブレーキ装置を制御して上記第1の要求量を満たすまでブレーキを作動させる。
また、この場合、制御ECU1は、上記第1の要求量でブレーキを作動させるようにブレーキECU4に対して指示をしているが、上述したように、制御ECU1によって衝突回避制御が必要と判断された場合でもある。そのため、制御ECU1が行っているPCS制御においても、自車両mvの前方の先行車両との衝突を避けるために必要なブレーキ量、つまり必要とされる減速度(以下、PCS制御のおけるブレーキ要求量を第2の要求量と称す)を算出する。そして、制御ECU1は、ブレーキECU4に対して当該必要なブレーキ量でブレーキが作動するように要求する。
なお、PCS制御の衝突回避制御におけるブレーキ制御は、例えば、自車両mvの前方の先行車両との衝突を避けるために行われるもので、PCS制御が要求するブレーキ量(第2の要求量)は、自車両mvと先行車両との車間距離を安全に保って当該先行車両に追従するACC制御におけるブレーキ制御において想定されるブレーキ量(第1の要求量)より大きい。つまり、衝突回避制御においては、ACC制御において想定されるブレーキ量よりも大きいブレーキ量でブレーキを作動させる。
しかしながら、ACC制御でブレーキが作動している場合に、衝突回避のためにPCS制御でブレーキを作動させるために当該ACC制御のブレーキ制御を中止したとする。この場合、一旦ブレーキが、いわゆる抜けるといった現象が発生することがある。
そのため、制御ECU1は、まず、第1の要求量と第2の要求量とを算出する。そして、制御ECU1は、ブレーキECU4に当該第1の要求量と第2の要求量とでブレーキを作動させるように指示する。次いで、当該ブレーキECU4は、第2の要求量が第1の要求量に追いついた時点(超えた時点)で、ACC制御を解除する。
つまり、このようにすることで、制御ECU1からブレーキECU4に対して第1の要求量が要求され、次いで第2の要求量が要求された場合、第2の要求量が第1の要求量に追いついた時点で(ステップS16でYES)、ACC制御を解除(ステップS17)するので一旦ブレーキが、いわゆる抜けるといった現象が発生することがない。
一方、上記ステップS16の判断が否定(NO)される場合とは、制御ECU1は、ブレーキECU4に第1の要求量と第2の要求量とでブレーキを作動させるように指示しているけれども、第1の要求量のブレーキ量、つまりACC制御のブレーキ作動によって自車両mvの前方の先行車両との衝突が回避できると制御ECU1が判断した場合である。
言い換えると上記ステップS16の判断が肯定(YES)される場合とは自車両mvの前方の先行車両との衝突が非常に高い場合である。そして、この場合、後のステップS17においてACC制御が解除される。このようにすることで、自車両mvが上記ACC制御と上記PCS制御とを行っている場合において、仮にPCS制御により自車両mvが物体と衝突することなく停止し、PCS制御が終了したとする。なお、このとき例えば、自車両mvが傾いて停止し、その後上記ACC制御が復帰したとき、当該自車両mvに搭載されているレーダ装置2が、先行車両ではなく、隣接車線の他車両を検出してしまうこともありうる。
しかしながら、本実施形態に係る車両制御装置によれば、例えば仮にPCS制御により自車両mvが物体と衝突することなく停止し、PCS制御が終了した場合には、ACC制御は解除される(停止する)ので、先行車両ではなく、隣接車線の他車両に追従するような制御を行ってしまうようなことを防ぐことができ、結果として、適切な制御対象物に対してACC制御の目標加速度を正確に算出することができる。
図2の説明に戻って、ステップS18において、制御ECU1は、自車両mvのSWがOFFされたか否かを判断する。そして、制御ECU1は、SWがOFFであると判断した場合(YES)、当該フローチャートでの処理を終了する。一方、制御ECU1は、自車両のSWがOFFされていないと判断した場合(NO)、上記ステップS12に処理を戻す。
(第2の実施形態)
以下、図面を参照しつつ、本発明の第2の実施形態に係る車両制御装置について説明する。なお、本実施形態においても、当該車両制御装置が車両(具体的には、一般的な乗用車を想定し、以下、自車両mvと称す)に搭載される例について説明する。
また、以下の第2の実施形態の説明では、上述した第1の実施形態と異なる点についてのみ説明し、同様の動作については、その説明は省略し、同様の構成要素は同じ参照符号を付して、その説明は省略する。
図3は、本発明の第2の実施形態に係る車両制御装置の制御ECU1において行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、本実施形態においても、自車両mvが上述したACC制御とPCS制御とを実行できるもの、つまり車両制御装置がACC制御とPCS制御とを実行するものとして説明する。
第2の実施形態において、上述した第1の実施形態と異なる点は、第1の実施形態に係る図2に示したフローチャートと比べて図3のステップS25以降の処理が異なる。つまり、異なるのは、図3に示すフローチャートのステップS24の処理において、制御ECU1がPCS制御を実行する必要があると判断(YES)した次のステップS25からである。
ステップS25において、制御ECU1は、PCS制御における物体は移動体であるか否かを判断する。そして、制御ECU1は、PCS制御における物体は移動体であると判断した場合、当該ステップS25の判断を肯定(YES)し、次のステップS26に処理を進める。一方、制御ECU1は、PCS制御における物体は移動体ではないと判断した場合、当該ステップS25の判断を否定(NO)し、ステップS24に処理を戻す。
具体的には、上述したようにPCS制御においては、自車両mvに搭載されたレーダ装置2から得られる情報に基づいて、自車両mvの前方の他車両などの移動体や、ガードレールなどの移動しない障害物などとの衝突の可能性を予測し、衝突した際の衝撃を低減する制御を行うものである。
一方、ACC制御においては、上述したように、自車両mvに搭載されたレーダ装置2から得られる情報に基づいて、自車両mvと当該自車両mvの前方を走行(移動)している先行車両、つまりはレーダ装置2により移動体を検出して、当該先行車両との間の距離の制御を行うものである。
すなわち、ステップS25における判断が肯定される場合とは、PCS制御は、ACC制御の車速制御対象物である自車両mvの前方の他車両(先行車両)に対して行われていると考えられる。言い換えると、ACC制御とPCS制御とは同じ物体を制御対象物としていると考えられる。そのため、制御ECU1は、後のステップS26においてACC制御を解除(ステップS26)し、制御対象物に対する制御をPCS制御とする。
一方、ステップS25における判断が否定される場合とは、例えば、ACC制御の車速制御対象は自車両mvの前方の他車両であり、PCS制御の衝突判断対象物はガードレールなどの場合が考えられる。なお、この場合、ACC制御は解除されることがない。このようにすることで、例えばガードレールとの衝突の危険性に対してはPCS制御で対処し、自車両mvの前方の他車両に対してはACC制御で対処することができ、それぞれの制御を確実に行うことができる。つまり、適切な制御対象物に対してACC制御の目標加速度を正確に算出することができる。
なお、図3のフローチャートでの図示は省略したが、ステップS25の判断が肯定された後に、図2のフローチャートで示したステップS16の処理を行ってもよい。
また、ステップS26以降の処理は、図2で示したステップS17以降の処理と同様であるのでその説明は省略する。
(第3の実施形態)
以下、図面を参照しつつ、本発明の第3の実施形態に係る車両制御装置について説明する。なお、本実施形態においても、当該車両制御装置が車両(具体的には、一般的な乗用車を想定し、以下、自車両mvと称す)に搭載される例について説明する。
また、以下の第3の実施形態の説明では、上述した第1の実施形態と異なる点についてのみ説明し、同様の動作については、その説明は省略し、同様の構成要素は同じ参照符号を付して、その説明は省略する。
図4は、本発明の第3の実施形態に係る車両制御装置の制御ECU1において行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、本実施形態においても、自車両mvが上述したACC制御とPCS制御とを実行できるもの、つまり車両制御装置がACC制御とPCS制御とを実行するものとして説明する。
第3の実施形態において、上述した第1の実施形態と異なる点は、第1の実施形態に係る図2に示したフローチャートと比べて図4のステップS35以降の処理が異なる。つまり、異なるのは、図4に示すフローチャートのステップS34の処理において、制御ECU1がPCS制御を実行する必要があると判断(YES)した次のステップS35からである。
図4のステップS35において、制御ECU1は車両情報取得装置3からの情報に基づき、ドライバーはアクセルオーバーライド中であるか否か、つまり自車両mvのドライバーはアクセルを踏んでいるか否かを判断する。そして、制御ECU1は、自車両mvのドライバーはアクセルを踏んでいると判断した場合(YES)、ステップS34に処理を戻す。一方、制御ECU1は、自車両mvのドライバーはアクセルを踏んでいないと判断した場合(NO)、ステップS36に処理を進める。
なお、上記ステップS35での判断が否定された後のステップS36以降の処理は、図2で示したステップS16以降の処理と同様であるのでその説明は省略する。
このようにすることで以下に説明する効果がある。一般的にACC制御中に自車両mvのドライバーがアクセルペダルを踏んでいる場合は、ACC制御モードではあるが、ACC制御(先行車両に追従する制御)は行わないような設定がされている。なお、一般的に、この場合ACC制御は解除されることはない。つまり、ドライバーがアクセルペダルを踏んでいる場合における自車両mvの運転操作の主権はドライバー自身が持ってことになり、当該ドライバーのアクセル操作によって自車両mvの走行速度は制御されていることになる。
なお、当該ステップS35で判断が肯定(YES)されるのは、制御ECU1が、レーダ装置2が検出した物体と自車両mvとが衝突の可能性があると判断したにもかかわらず、ドライバーがアクセルペダルを踏んでいる場合である。具体的には、例えば、自車両mvのドライバーが、よそ見をしている場合などが想定される。そのため、PCS制御を実行する必要があると判断された場合で、ドライバーがアクセルペダルを踏んでいる場合においては、後の処理においてACC制御が解除(停止)されることはない。従って、自車両mvのドライバーが、よそ見をしている場合でも、ACC制御は解除されることはなく、ドライバーがアクセルペダルから足を離した場合にはACC制御は実行されることとなり、安全に走行することができる。
一方、ドライバーがアクセルペダルを踏んでいない状態では、ステップS36に処理が進む。つまり、自車両mvが上記ACC制御と上記PCS制御とを行っている場合において、仮にPCS制御により衝突前にブレーキ装置が制御され、自車両が停止したとする。そして、図2のステップS16で説明した条件を満たした場合にACC制御は解除される(図4のステップS37)。
なお、このとき例えば、自車両mvが傾いて停止し、その後上記ACC制御が復帰したとき、当該自車両mvに搭載されているレーダ装置2が、先行車両ではなく、隣接車線の他車両を検出してしまうこともありうる。この場合、ACC制御においては、先行車両ではなく、隣接車線の他車両に追従するような制御を行ってしまうようなことを防ぐことができる。そして、結果として、適切な制御対象物に対してACC制御の目標加速度を正確に算出することができる。
(第4の実施形態)
以下、図面を参照しつつ、本発明の第4の実施形態に係る車両制御装置について説明する。なお、本実施形態においても、当該車両制御装置が車両(具体的には、一般的な乗用車を想定し、以下、自車両mvと称す)に搭載される例について説明する。
また、以下の第4の実施形態の説明では、上述した第1の実施形態と異なる点についてのみ説明し、同様の動作については、その説明は省略し、同様の構成要素は同じ参照符号を付して、その説明は省略する。
第4の実施形態において、上述した第1の実施形態と異なる点は、第1の実施形態に係る図2に示したフローチャートと比べて図5のステップS46以降の処理が異なる。つまり、異なるのは、図5に示すフローチャートのステップS45の処理において、制御ECU1が判断を肯定(YES)した次のステップS46からである。
図5のステップS46において、制御ECU1は、ACC制御の目標加速度は正の値であるか否かを判断する。そして、制御ECU1は、当該ステップS46の判断を肯定(YES)した場合、次のステップS47に処理を進める。一方、制御ECU1は、当該ステップS46の判断を否定(NO)した場合、次のステップS45に処理を戻す。
なお、当該ステップS46の判断が否定される場合とは、自車両mvの前方の先行車両と近づきすぎないために必要なブレーキ量、つまり必要とされる減速度を算出し、制御ECU1はブレーキECU4に対して当該必要なブレーキ量でブレーキが作動するように要求している状態である。一方ステップS46の判断が肯定される場合とは、ACC制御におけるブレーキの作動の必要が無くなった、つまり自車両mvのドライバーのアクセル操作などによって加速することとなった場合である。そして、この場合、次のステップS47にて当該ACC制御は解除される。
例えば、上記ステップS45での判断が肯定された後に、ステップS46の処理を経ずにACC制御を解除した場合を想定する。上述したように、ステップS45において、制御ECU1からブレーキECU4に対して第1の要求量が要求され、次いで第2の要求量が要求された場合、第2の要求量が第1の要求量に一旦追いついた時点で(ステップS45でYES)、ステップS47の処理に進みACC制御は解除されることとなる。しかしながら、上記ステップS45での判断が肯定された後に、ステップS46の処理を経ることで、自車両mvのブレーキECU4には、より大きなブレーキ量でブレーキが作動するように要求されるようになり、適切な制御対象物に対してACC制御の目標加速度を正確に算出することができるだけでなく、一旦ブレーキが、いわゆる抜けるといった現象が、より発生し難くなる。
なお、ステップS47以降の処理は、図2で示したステップS17以降の処理と同様であるのでその説明は省略する。
上記実施形態で説明した態様は、単に具体例を示すものであり、本願発明の技術的範囲を何ら限定するものではない。よって、本願の効果を奏する範囲において、任意の構成を採用することが可能である。
本発明に係る車両制御装置は、車両に搭載される車両制御装置等に利用可能である。
1…制御ECU
2…レーダ装置
3…車両情報取得装置
4…ブレーキECU
5…エンジンECU
6…車室内装置

Claims (3)

  1. 自車両に搭載される車両制御装置であって、
    前記自車両の周囲の物体を検出する検出手段と、
    前記自車両の周囲の物体は当該自車両前方の先行車両であると判断した場合に当該先行車両と前記自車両との車間距離を制御する車速制御手段と、
    前記検出手段によって検出された物体を衝突判断対象物とし、当該衝突判断対象物と前記自車両とが衝突する可能性を判断する衝突判断手段と、
    前記衝突判断対象物と前記自車両とが衝突する可能性が高いと前記衝突判断手段が判断した場合に前記衝突判断対象物と前記自車両との衝突を回避するための回避制御を前記自車両に対して行う制御手段と、
    前記車速制御手段による車間距離制御のためにブレーキに要求される第1の要求量、および前記制御手段による回避制御のためにブレーキに要求される第2の要求量を算出する算出手段と、
    前記車速制御手段による車間距離制御と前記制御手段による回避制御とが開始されると、前記第2の要求量が前記第1の要求量を超えれば前記車速制御手段による車間距離制御を停止させる停止手段とを備え
    前記停止手段は、前記制御手段が前記衝突判断対象物と前記自車両との衝突を回避するための回避制御を前記自車両に対して行う必要があると判断した場合に前記衝突判断対象物は移動体であるか否かを判断し、前記衝突判断対象物は移動体であると判断した場合に前記車速制御手段による車間距離制御を停止することを特徴とする、車両制御装置。
  2. 前記停止手段は、前記車速制御手段による減速度と前記制御手段による減速度の関係に基づいて、前記車速制御手段による車間距離制御を停止することを特徴とする、請求項1に記載の車両制御装置。
  3. 前記自車両に対して予め定められた操作が行われた場合に前記停止手段によって停止されていた前記車速制御手段による車間距離制御を復帰する復帰手段をさらに備える、請求項1に記載の車両制御装置。
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