JP5923194B1 - Ptp用アルミニウム箔 - Google Patents

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Abstract

【課題】内容物の取り出し性を損なうことなく、エンボス部での亀裂の発生を防止したPTP用アルミニウム箔を提供する。【解決手段】プレススルーパッケージ(PTP)において樹脂製フィルムにシールされるPTP用アルミニウム箔は、Fe:0.2質量%〜1.4質量%、Cu:0.01質量%〜0.10質量%含有し、残部がAlと不可避不純物からなり、0.2%耐力が140MPa以上、伸びが1.0%以上であり、Feの含有量は0.3質量%〜0.7質量%が好ましい。【選択図】 なし

Description

本発明は、プレススルーパッケージ等に用いて好適なPTP用アルミニウム箔に関する。
プレススルーパッケージ(Press Through Package;以下PTPという。また、ブリスターパックとも称される場合がある。)は、錠剤やカプセル等の薬剤を収容する複数のポケット部を形成したポリプロピレン樹脂等からなるフィルムの片面にアルミニウム箔が接合されることにより、各ポケット部が密封状態にシールされた構成とされ、ポケット部の裏側を押すことにより、ポケット部内の薬剤がアルミニウム箔を突き破って薬剤をポケット部から取り出すことができるようになっている。このPTPは、フィルムの各ポケット部の周囲が平面部とされ、その平面部でフィルムとアルミニウム箔とがシールされており、そのシール部に、各ポケット部を分離可能なミシン目が形成されるとともに、一般に溝状にエンボス加工が施される。
特許文献1には、このようなPTP用包装材のうちのアルミニウム箔として、耐力(0.2%耐力)160MPa以上(さらに好ましくは160MPa〜180MPa)、伸び(破断伸び)1.0%〜2.5%の硬質アルミニウム箔を用いて、PTPを製造することが開示されている。アルミニウム箔の純度については特に制限されないと記載されている。
特開2007−253949号公報
ところで、PTPでは、ピール強度確保等を目的として、前述したようにシール時にエンボス模様を付与することがある。このエンボス部において、アルミニウム箔とフィルムとのシール時、あるいは1シート単位に打ち抜くカット時、又はシール後の充填機内搬送時にアルミニウム箔に亀裂が生じ、不良品が発生してしまうことがある。この亀裂防止のために、アルミニウム箔に高強度のものを用いると、内容物の取り出しが困難になる。これを回避するために、アルミニウム箔の製造ロット等に応じてシール条件等を調整することが必要になるが、アルミニウム箔を切り替える毎に調整作業すると生産性が大幅に低下する。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、内容物の取り出し性を損なうことなく、エンボス部での亀裂の発生を防止したPTP用アルミニウム箔を提供することを目的とする。
本発明のPTP用アルミニウム箔は、Fe:0.2質量%〜1.4質量%、Cu:0.01質量%〜0.10質量%含有し、残部がAlと不可避不純物からなり、0.2%耐力が140MPa以上、伸びが1.0%以上である。
FeはAl−Fe−Si系金属間化合物等を晶出し、アルミニウム箔の材料強度を向上させる効果があるが、その含有量が0.2質量%未満では、0.2%耐力が不足し、また、高純度地金の使用により、コストが増加する。Feの含有量が1.4質量%を超えると金属間化合物が多くなり、ピンホールが発生するおそれが高くなる。
Cuはアルミニウム中に固溶して存在する元素であり、アルミニウム箔の材料強度を高める効果がある。このCuの含有量が0.01質量%未満では、0.2%耐力が不足する。Cuの含有量が0.10質量%を超えると、圧延時にクラックが発生し易くなり、トリムや中間焼鈍を追加しなくてはならず、生産性が低下する。
0.2%耐力を140MPa以上とした理由は、140MPa未満と低い場合には、エンボス部で破断し易いからである。
伸びを1.0%以上とした理由も、1.0%未満と低い場合には、エンボス部で破断し易いからである。
本発明のPTP用アルミニウム箔によれば、内容物の取り出し性を損なうことなく、エンボス部での亀裂の発生を防止することができる。
本発明のPTP用アルミニウム箔が適用されるPTPの例を示す斜視図である。 図1の一部の縦断面図である。
以下、本発明のPTP用アルミニウム箔の実施形態について、詳細に説明する。
PTPについて説明しておくと、図1及び図2に示すように、PTP1は、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等の樹脂製のフィルム2とアルミニウム箔3とにより構成される。フィルム2には、真空成形等により、その片面に開口するポケット部4が複数形成され、各ポケット部4の周囲は平面部5に形成されている。アルミニウム箔3は、フィルム2のポケット部4の開口を閉塞してフィルム2の平面部5に重ね合わせられ、この平面部5に熱接着等によりシールされている。
また、そのシール部6には、各ポケット部4を個々にあるいは複数ずつに分離可能なミシン目7が形成されるとともに、エンボス状に溝8が形成される。ミシン目7は、表裏貫通状態のスリットが一列に並んで形成される。エンボス状の溝8は、フィルム2とアルミニウム箔3とを熱接着する際に用いられる一組のロール(図示略)によって形成される。これらロールのうちの一方が凸条を表面に形成したエンボスロールであり、これらロールの間にフィルム2とアルミニウム箔3との積層体を通過させ、これらをシールしながらエンボスロールの凸条によって微細な溝8が形成される。この溝8は、ストライプ状、格子目状、網目状等に形成される。
そして、ポケット部4内に錠剤やカプセル等の薬剤9が収納される。
次に、このPTP用アルミニウム箔3について説明する。
このアルミニウム箔は、Fe:0.2質量%〜1.4質量%、Cu:0.01質量%〜0.10質量%含有し、残部がAlと不可避不純物からなり、0.2%耐力が140MPa以上、伸びが1.0%以上である。厚さは10μm〜30μmとするのが好ましい。
FeはAl−Fe−Si系金属間化合物等を晶出し、アルミニウム箔の材料強度を向上させる効果があるが、その含有量が0.2質量%未満では、0.2%耐力が不足し、また、高純度地金の使用により、コストが増加する。Feの含有量が1.4質量%を超えると金属間化合物が多くなり、ピンホールが発生するおそれが高くなる。このFeの含有量の好ましい範囲は、0.3質量%〜0.7質量%であり、さらに好ましくは0.3質量%〜0.55質量%である。
Cuはアルミニウム中に固溶して存在する元素であり、アルミニウム箔の材料強度を高める効果がある。このCuの含有量が0.01質量%未満では、0.2%耐力が不足する。Cuの含有量が0.10質量%を超えると、圧延時にクラックが発生し易くなり、トリムや中間焼鈍を追加しなくてはならず、生産性が低下する。このCuの含有量のより好ましい範囲は、0.015質量%〜0.06質量%であり、さらに好ましくは、0.03質量%〜0.05質量%である。
0.2%耐力を140MPa以上とした理由は、140MPa未満と低い場合には、エンボス部で破断し易いからである。この0.2%耐力のより好ましい範囲は160MPa以上である。
伸びを1.0%以上とした理由も、1.0%未満と低い場合には、エンボス部で破断し易いからである。この伸びのより好ましい範囲は2.0%以上である。
厚さが10μm未満では、透湿度が上昇して内容物を保護出来ず、また、輸送時や取扱時に破れてしまうおそれが増加する。厚さが30μmを超えると、内容物を取り出す際に力が必要となり、高齢者や子供が開封し難くなる。この厚さは15μm〜25μmがより好ましく、17μm〜22μmがさらに好ましい。
次に、このような構成のPTP用アルミニウム箔を製造する方法について説明する。
(鋳造工程)
まず、Fe:0.2質量%〜1.4質量%、Cu:0.01質量%〜0.10質量%含有し、残部がAlと不可避不純物からなる組成に調整したアルミニウム溶湯から、適宜の鋳造法により鋳造して、アルミニウム鋳塊を形成する。
(均質化処理工程)
次に、アルミニウム鋳塊を面削後、アルミニウム鋳塊の組織を均一化させる目的で均質化処理を行う。例えば、アルミニウム鋳塊を450℃〜620℃に加熱して1時間〜12時間保持することにより均質化処理を施す。
(圧延工程)
均質化処理工程後のアルミニウム鋳塊に熱間圧延を施し、2mm〜10mmの熱延板を作製する。熱間圧延は、均質化処理に続けて行っても良く、また均質化処理後、一旦常温まで冷却してから再度加熱して実施しても良い。
続いて冷間圧延、冷間圧延の途中で中間焼鈍、仕上げの最終冷間圧延をこの順に施して箔を作製する。熱間圧延及び冷間圧延の温度、圧下率等は特に限定されるものではなく、常法に従えばよい。この冷間圧延で0.3mm〜1.0mmの厚みのアルミニウムシートとする。
次いで、中間焼鈍は、280℃〜400℃に1時間〜12時間保持することにより、冷間圧延によるひずみ硬化を除去し、材料の変形抵抗を小さくして、続く冷間圧延と最終冷間圧延を容易にする。この中間焼鈍は常法により行うことができる。
最終冷間圧延では、2枚のアルミニウムシートを重ねて圧延する重合圧延とする。1回の圧下率を30%〜60%とし、1枚の厚さが10μm〜30μmのアルミニウム箔を得る。
このように製造されたアルミニウム箔においては、PTPを構成するためにフィルムに熱接着される際に、エンボスロールの凸条に押圧されるが、0.2%耐力が140MPa以上、伸びが1.0%以上とされているので、エンボス部で破断しにくく、また、10μm〜30μmの厚さであるので、酸素や湿度のバリア性に優れ、ポケット部内の薬剤を外部環境から保護することができ、かつ輸送時や取扱時に不用意に破れるなどの不具合もない。しかも、開封時に、通常の取り出し操作で容易にアルミニウム箔を破ることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
次に、本発明のPTP用アルミニウム箔の効果を確認するために行った実験結果について説明する。
表1に示すようにFe,Cuの各成分を調整したアルミニウム溶湯から鋳造してアルミニウム鋳塊を作製した。なお、残部はAlと不可避不純物からなる。
そして、このアルミニウム鋳塊の表面を面削後、550℃で5時間の均質化処理を行い、熱間圧延で厚さ6mmのアルミニウムシートとした。次に冷間圧延を施し、途中で中間焼鈍を行って、最終冷間圧延で2枚のアルミニウムシートを重合圧延することにより、厚さ17μmのアルミニウム箔を得た。
得られたアルミニウム箔の各試料について、0.2%耐力、伸び、亀裂発生の有無を測定、評価した。比較例4についてはピンホールが発生していたため、PTP用アルミニウム箔として不適であるので、これらの測定をしなかった。
0.2%耐力及び伸びは、JIS Z2241に準じて5号試験片を作製し、各試料の試験片について室温で引張試験を行い測定した。
亀裂発生の有無は、寸法を100mm×200mmとしたアルミニウム箔と厚さ0.5mmのポリ塩化ビニルフィルムとの積層体を250℃に加熱したエンボスロールに通して、熱接着させた結果を目視により確認し、全く亀裂が認められなかったものを「無」、0.5mm以下の亀裂が2個以下の範囲で認められたものを「僅か」、0.5mm以下の亀裂が3個以上又は亀裂のサイズが0.5mmを超えたものを「多」とした。この基準における「僅か」の評価では、製品として使用可能な許容範囲と認められる。
これらの結果を表1に示す。
Figure 0005923194
表1から明らかなように、本発明に係る実施例1〜6の試料においては、いずれも亀裂の発生がないか、許容範囲とされる僅かなものであり、開封性も良好であった。したがって、Fe:0.2質量%〜1.4質量%、Cu:0.01質量%〜0.10質量%含有し、残部がAlと不可避不純物からなり、0.2%耐力が140MPa以上、伸びが1.0%以上とすることにより、PTP用アルミニウム箔として、内容物の取り出し性を損なうことなく、エンボス部での亀裂の発生を防止することができる。
1 PTP
2 フィルム
3 アルミニウム箔
4 ポケット部
5 平面部
6 シール部
7 ミシン目
8 溝
9 薬剤

Claims (1)

  1. Fe:0.2質量%〜1.4質量%、Cu:0.01質量%〜0.10質量%含有し、残部がAlと不可避不純物からなり、0.2%耐力が140MPa以上、伸びが1.0%以上であることを特徴とするPTP用アルミニウム箔。


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